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【発明の名称】 超音波照射装置
【発明者】 【氏名】石橋 義治

【氏名】原頭 基司

【要約】 【課題】電力計測による出力制御、又は温度計測による出力制御を介して超音波振動子の正確な制御を行うことが可能となる超音波照射装置を提供する。

【解決手段】本発明による超音波照射装置は、被検体内の所望の部位に超音波を照射する複数の超音波振動子2から構成された超音波アプリケータ1、超音波振動子2に電圧及び電流を印加する駆動手段11、印加される電圧値及び電流値の各々を計測する電圧・電流計測手段18、及び計測した電圧値及び電流値から電力値を求める電力演算手段16からなり、電力演算手段16は、前記複数の超音波振動子2において、その各々の駆動態様が異なるよう区別された二つ以上の振動子片につき、該振動子片の各々について計測された電圧値の差と電流値の差との積に基づいて前記電力値を求める。またこれに加え、アプリケータ1に温度計測手段(不図示)を設け、その出力結果に基づき前記超音波振動子2の制御をうようにしてよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 被検体内の所望の部位に超音波を照射する複数の超音波振動子から構成された超音波発生源と、前記超音波振動子に電圧及び電流を印加する駆動手段と、前記印加される電圧値及び電流値の各々を計測する電圧・電流計測手段と、前記計測した電圧値及び電流値から電力値を求める電力演算手段と、からなり、前記電力演算手段は、前記複数の超音波振動子のうち、その各々の駆動態様が異なるよう区別された二つ以上の振動子片につき、該振動子片の各々について計測された電圧値の差と電流値の差との積に基づいて前記電力値を求めることを特徴とする超音波照射装置。
【請求項2】 前記駆動態様は前記駆動手段からの出力波形の態様に関するものであり、前記二つ以上の振動子片の各々は前記出力波形の位相及び振幅が異なるものとして駆動されることを特徴とする請求項1記載の超音波照射装置。
【請求項3】 前記駆動態様は前記駆動手段の出力エネルギの態様に関するものであり、前記二つ以上の振動子片の各々は前記出力エネルギの減衰度が異なるものとして駆動されることを特徴とする請求項1記載の超音波照射装置。
【請求項4】 前記駆動態様は前記駆動手段の出力エネルギの態様に関するものであり、前記二つ以上の振動子片の各々は前記出力エネルギが異なる割合で分配され駆動されることを特徴とする請求項1記載の超音波照射装置。
【請求項5】 前記駆動手段の出力を制御する手段をさらに付加し、前記電力演算手段により求められた前記電力値に基づいて、前記駆動手段の出力を制御することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の超音波照射装置。
【請求項6】 被検体内の所望の部位に超音波を照射する複数の超音波振動子から構成された超音波発生源と、前記超音波振動子に電圧及び電流を印加する駆動手段と、からなり、前記超音波発生源の内部又は近傍の所定の部位の温度を計測する温度計測手段と、該温度計測手段の計測結果に基づき前記駆動手段を制御する制御手段とを備えていることを特徴とする超音波照射装置。
【請求項7】 前記制御手段は、前記温度計測手段により計測された温度が第一温度閾値を越える際には、前記駆動手段を停止若しくは出力制限状態にするとともに、第二温度閾値より低下した際には、前記駆動手段を動作可能ならしめることを特徴とする請求項6記載の超音波照射装置。
【請求項8】 前記超音波発生源を冷却する冷却手段をさらに有し、前記第一温度閾値と前記第二温度閾値の温度差が、前記駆動手段の出力、出力時間、又は前記冷却手段の冷却能力のいずれか一以上の関数で表されることを特徴とする請求項7記載の超音波照射装置。
【請求項9】 前記第一温度閾値と前記第二温度閾値の温度差が、超音波照射強度又は照射時間のいずれか一以上の関数で表されることを特徴とする請求項7又は8のいずれかに記載の超音波照射装置。
【請求項10】 前記制御手段は、前記温度計測手段の出力に応じて前記駆動手段の出力、出力時間、及び出力周波数のうち少なくとも一つを制御することを特徴とする請求項6から9のいずれかに記載の超音波照射装置。
【請求項11】 前記駆動手段と前記超音波発生源との間に挿入されて負荷整合を行う整合手段をさらに有し、前記制御手段は、前記温度計測手段の出力に応じて前記整合手段の整合条件を制御することを特徴とする請求項6から10のいずれかに記載の超音波照射装置。
【請求項12】 被検体内の所望の部位に超音波を照射する複数の超音波振動子から構成された超音波発生源と、前記超音波振動子に電圧及び電流を印加する駆動手段と、からなり、前記超音波発生源の内部又は近傍の所定の部位の温度を計測する温度計測手段と、前記超音波振動子の温度に対応した特性値を記憶する記憶手段と、前記温度計測手段による計測温度に基づき、前記特性値を選定して前記駆動手段を制御する制御手段とを備えていることを特徴とする超音波照射装置。
【請求項13】 請求項1から5、請求項6から11、又は請求項12に記載の超音波照射装置について、これらのうちいずれか二つ以上を組み合わせて構成されることを特徴とする超音波照射装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超音波を利用して生体内の腫瘍等を治療する超音波照射装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、医療の分野では、患者の術後の生活の質(Quality of life:QOL)の向上が重要視されており、この理念を達成するため、最少侵襲治療(Minimally Invasive Treatment:MIT) と呼ばれる治療法が注目を集めている。その一例としては、「体外衝撃波結石破砕装置」の実用化があげられる。この装置は、体外から強力な衝撃波を体内の結石へ向けて照射することで、外科的な手術をすることなしに結石を破砕治療する装置であり、泌尿器科結石の治療法を様変わりさせた。
【0003】他方、上記したMITは、癌治療の分野でも注目を集めている。特に癌の場合、その治療の多くを外科的手術に頼っている現状から、本来その臓器が持つ機能や外見上の形態を大きく損なう場合が多く、生命を長らえたとしても、患者にとって大きな負担が残ることから、QOLを考慮した低侵襲治療(装置)の開発が強く望まれている。
【0004】このような流れの中で、癌細胞を加熱し壊死に導くハイパーサーミア療法が開発された。これは、腫瘍組織と正常組織の熱感受性の違いを利用して、患部を42.5度以上に加熱・維持することにより癌細胞を選択的に死滅させる治療法である。特に、生体内深部の腫瘍に対しては、例えば特開昭61−13955号公報に開示されているように、深達度の高い超音波エネルギを利用する方法が考えられている。また、例えば米国特許第5150711号公報に示されているように、上記加熱治療法をさらに進めて、超音波振動子より発生した超音波を患部に集束させて腫瘍部分を加熱し、熱変性壊死させる治療法も考えられている。本治療法では、超音波エネルギと照射時間に応じて熱変性の程度及びその領域の広さが決定される。
【0005】ところで、超音波エネルギ(量)は、すぐ上で述べたように、患部の壊死度合い等を決定する重要な因子となるが、通常、その治療対象領域における実計測は困難とされている。このため、照射超音波エネルギ量が具体的にどれ程のものであるかを計測するにあたっては、その指標として、超音波振動子に投入される電気的エネルギが従来利用されていた。したがって、この電気的エネルギの計測に係る技術は、有効な治療を実施しようとする場合に重要な技術であって、また、その計測精度も一般に高いことが期待される。ちなみに現状においては、超音波振動子に印加される電圧と流れる電流を計測し、これらの位相付き乗算結果から、当該超音波振動子に投入される電力を求める手段が採られている。また、一般的に電力計の入出力インピダーンスやケーブルの特性インピーダンスは、「50Ω」のものが普通であるので、超音波振動子のインピーダンスが50Ωである場合に限っては、通常の電力計を用いて超音波振動子に投入される電力を求めることができる。なお、この「50Ω」という特定の値は、同軸ケーブルにおける伝送効率が最も高いとされるインピーダンス値であって、一般的に、電気伝送工学(伝送線路の理論)において周知の事項となるものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の手法によれば、超音波振動子に印加される電圧と流れる電流とを直截に計測していたため、被検体内部からの反射超音波が振動子を励振させることによって発生する起電力をも同時に計測してしまっており、これを分離することができなかった。したがって、上記のように計測された電圧と電力とによる位相付き乗算結果から求められた電力は、超音波振動子に投入された純粋な電力ではなく、前記起電力による電圧及び電流成分が誤差として重畳されたものとなっており、正確な計測を困難とするという問題点を抱えていた。また、このことから当然に、超音波振動子の正確な駆動制御を実施することも困難となっていた。
【0007】また、反射超音波により引き起こされる振動子の励振は、通常の電力計を用いた電力計測をも不可能とする。というのは、上述したように、電力計の使用が可能となるのは、当該電力計からみて、その先に接続されている振動子の入力インピーダンスが50Ωに整合されている場合に限られるのであるが、上述した理由により振動子が励振することによって、そのインピーダンスを当初50Ωに合わせておいたとしても、当該振動子に関する「みかけ上の」インピーダンスが変化してしまうからである。その結果したがって、通常用いられる電力計を使用することはできず、仮に用いたとしても正確な電力を計測することができなかった。
【0008】加えて、代表的な超音波振動子であるピエゾ素子を用いた装置の場合には、次のような問題点も指摘される。すなわち、その電気音響変換効率(投入された電気エネルギを照射超音波エネルギに変換する効率)は一般に約40〜50%となっていることにより、超音波エネルギとして変換されなかった電気的エネルギは熱エネルギに変換され、当該ピエゾ素子を発熱させるということである。その一方で、ピエゾ素子には、振動子として動作可能な不可逆的な上限温度閾値が存在する。さらに一般的に、超音波振動子の支持体、付属物、接着剤等の耐熱温度をも考慮にいれると、超音波振動子の許容発熱温度が自ずと決定されることになる。すなわち、ピエゾ素子はこのように決定される温度以下で使用することが基本的に必要とされ、そうでなければ、正確な超音波振動子の動作が期待できなくなるのである。
【0009】よって従来においては、温度センサを超音波振動子近傍に配置して温度計測を行い、ある温度閾値以上に発熱したら超音波照射を停止させるなどの制御が行われていた。しかしながら、超音波振動子の発熱温度に対する動作停止の温度閾値は通常一種のみが設定されていたため、この温度近傍において、外来ノイズ等により動作停止と復帰が不連続に起こることがあった。さらに、再動作後、すぐに超音波振動子の温度が閾値を越えてしまうため動作が停止するとの問題点があった。
【0010】さらに、超音波振動子のインピーダンス、及び共振周波数は温度によって変化することが知られている。このため、超音波照射にしたがって振動子温度が高くなっていくと、実際に生体に印加される照射エネルギ総量が常温時に計画した照射エネルギの総量とは異なってしまうという問題点もあった。
【0011】本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、電力計測による出力制御、又は温度計測による出力制御を介して、超音波振動子の正確な駆動制御を行うことが可能となる超音波照射装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決するために以下の手段をとった。
【0013】すなわち、請求項1記載の超音波照射装置は、被検体内の所望の部位に超音波を照射する複数の超音波振動子から構成された超音波発生源と、前記超音波振動子に電圧及び電流を印加する駆動手段と、前記印加される電圧値及び電流値の各々を計測する電圧・電流計測手段と、前記計測した電圧値及び電流値から電力値を求める電力演算手段と、からなり、前記電力演算手段は、前記複数の超音波振動子のうち、その各々の駆動態様が異なるよう区別された二つ以上の振動子片につき、該振動子片の各々について計測された電圧値の差と電流値の差との積に基づいて前記電力値を求めることを特徴とするものである。
【0014】また、上記した請求項1記載の超音波照射装置において、請求項2記載の同装置は、前記駆動態様が前記駆動手段からの出力波形の態様に関するものであり、前記二つ以上の振動子片の各々は前記出力波形の位相及び振幅が異なるものとして駆動されること、請求項3記載の同装置は、前記駆動態様が前記駆動手段の出力エネルギの態様に関するものであり、前記二つ以上の振動子片の各々は前記出力エネルギの減衰度が異なるものとして駆動されること、そして請求項4記載の同装置は、前記駆動態様とは前記駆動手段の出力エネルギの態様に関するものであり、前記二つ以上の振動子片の各々は前記出力エネルギが異なる割合で分配され駆動されること、をそれぞれ特徴とするものである。
【0015】請求項5記載の超音波照射装置は、請求項1から4のいずれかに記載の同装置において、前記駆動手段の出力を制御する手段をさらに付加し、前記電力演算手段により求められた前記電力値に基づいて、前記駆動手段の出力を制御することを特徴とする。
【0016】請求項6記載の超音波照射装置は、被検体内の所望の部位に超音波を照射する複数の超音波振動子から構成された超音波発生源と、前記超音波振動子に電圧及び電流を印加する駆動手段と、からなり、前記超音波発生源の内部又は近傍の所定の部位の温度を計測する温度計測手段と、該温度計測手段の計測結果に基づき前記駆動手段を制御する制御手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0017】請求項7記載の超音波照射装置は、請求項6記載の同装置において、前記制御手段が、前記温度計測手段により計測された温度が第一温度閾値を越える際には、前記駆動手段を停止若しくは出力制限状態にするとともに、第二温度閾値より低下した際には、前記駆動手段を動作可能ならしめることを特徴とする。
【0018】請求項8記載の超音波照射装置は、請求項7記載の同装置において、前記超音波発生源を冷却する冷却手段をさらに有し、前記第一温度閾値と前記第二温度閾値の温度差が、前記駆動手段の出力、出力時間、又は前記冷却手段の冷却能力のいずれか一以上の関数で表されることを特徴とするものである。
【0019】請求項9記載の超音波照射装置は、請求項7又は8記載の同装置において、前記第一温度閾値と前記第二温度閾値の温度差が、超音波照射強度又は照射時間のいずれか一以上の関数で表されることを特徴とする。
【0020】請求項10記載の超音波照射装置は、請求項6から9のいずれかに記載の同装置において、前記温度計測手段の出力に応じて前記駆動手段の出力、出力時間、及び出力周波数のうち少なくとも一つを制御することを特徴とする。
【0021】請求項11記載の超音波照射装置は、請求項6から10のいずれかに記載の同装置において、前記駆動手段と前記超音波発生源との間に挿入されて負荷整合を行う整合手段をさらに有し、前記制御手段は、前記温度計測手段の出力に応じて前記整合手段の整合条件を制御することを特徴とする。
【0022】また、請求項12記載の超音波照射装置は、被検体内の所望の部位に超音波を照射する複数の超音波振動子から構成された超音波発生源と、前記超音波振動子に電圧及び電流を印加する駆動手段と、からなり、前記超音波発生源の内部又は近傍の所定の部位の温度を計測する温度計測手段と、前記超音波振動子の温度に対応した特性値を記憶する記憶手段と、前記温度計測手段による計測温度に基づき、前記特性値を選定して前記駆動手段を制御する制御手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0023】そして、請求項13記載の超音波照射装置は、請求項1から5、請求項6から11、又は請求項12のいずれか二つ以上を組み合わせて構成されることを特徴とするものである。
【0024】
【発明の実施の形態】以下では、本発明の第一の実施の形態について図を参照しつつ説明する。
【0025】図1は、本発明を、強力超音波により腫瘍を熱死に導く超音波照射装置に適用した場合の一実施形態を示すものである。同図において、治療用超音波アプリケータ(超音波発生源)1は、発生超音波の波面が凹面をなすように球面上に配置された複数の圧電素子群(超音波振動子)2と、この圧電素子群2の中心に挿入配置されたイメージング用超音波プローブ3と、可撓性のカップリング膜4によって構成されている。このカップリング膜4内には超音波の伝播物質5、例えばよく脱気された水が封入されている。
【0026】ここで、イメージング用超音波プローブ3は、周知となっているメカニカルスキャン型でも電子スキャン型でも使用可能である。また、このイメージング用超音波プローブ3は、図1に示すように、超音波イメージング装置8に接続され、被検体6体内の断層画像を再構成して、これを表示手段9上に描出する。この描出された断層画像は、以下に述べる圧電素子群2から発生させた強力超音波を被検体6内の治療対象7に正確に照射するため、その位置を確認する目的等に用いられることになる。
【0027】アプリケータ1は、上記カップリング膜4を介して被検体6に当接される。そして、治療用超音波(強力超音波)は、圧電素子群2から治療対象7に向けて照射される。本実施形態における圧電素子群2は、図2に示すように、都合二組の扇形状となる振動子片2a,2bとの区別が設けられ、これらが球面上で交互に配置されるような構成となっている。なお、本明細書においては、「圧電素子」又は「振動子」と称する用語を場合に応じて使い分けているが、いずれにしてもこれらは、本質的に同義とみなされるものであって、二つの用語が特に有意な差異を生みだすものと意図されて使用されているわけではない。
【0028】ところで、上記した振動子片2a,2bが別個に設けられるような構成は、これらを別個に位相制御することによって、「焦点拡大法」による超音波照射を行うことを可能とするものである。ここで簡単に、「焦点拡大法」について説明しておくと、これは、上記した圧電素子群2について、その一片であって複数の圧電素子を含む一組の振動子片2aと、もう一組の同様な振動子片2bとについて、図2に併せて示すように、両振動子片2a,2bを各々別個に位相制御(図1の駆動手段11、位相反転手段12、波形発生手段13(後述)等による)することにより、通常の超音波照射ではある一つの「点」に超音波集束点が定まるところ、当該集束点が周囲に拡大した焦点を形成し、超音波エネルギの作用する範囲をより広範なものとなるようにしたものである。このことにより、治療対象7に対する治療効果を向上させることが可能となる。また、圧電素子群2を二つの組2a,2bに区別することは、上述したように、これら各々を各別に駆動制御することを可能とするが、本発明においては、上記実施形態とは別に、圧電素子群2について、一個一個の振動子すべてを独立のものとして捕らえ、これらを各別に駆動制御するような形態としてもよい。
【0029】また、圧電素子群2は、振動子片2a,2bのそれぞれに応じて電圧・電流計測手段18を介し、インピーダンス整合を行うための負荷整合手段10に接続され、当該負荷整合手段10はさらに駆動手段11に接続されている。駆動手段11は、超音波発生に必要な電力を圧電素子群2に供給する。駆動手段11はまた、位相反転手段12に接続されており、当該位相反転手段12の入力には波形発生手段13からの出力が接続されている。位相反転手段12は、この波形発生手段13からの発生波に関する出力位相の反転・非反転を制御するものである。そして、位相の反転・非反転の実質的な決定は、制御手段14からの信号によって制御される。
【0030】制御手段14は、駆動手段11の出力振幅や、波形発生手段13の出力周波数及び波形、表示手段9の表示形態、負荷整合手段10の整合条件をも制御する。また、制御手段14には、入力手段15を介して、操作者によって設定値、制御値などが入力されるようになっている。
【0031】ここで、上記波形発生手段13としては、通常のアナログ発振回路やPLL回路を用いてもよいし、デジタル的に波形合成を行い、DAコンバータ、及び低域透過フィルタを用いて正弦波を得るようにしてもよい。
【0032】電力演算手段16は、電圧・電流計測手段18からの計測値を受け入れ、この値を基に圧電素子群2に投入されている電力を演算回路又は計算手段により求める。そして、電力演算手段16によって求められた電力値は、制御手段14に送られる。制御手段14は、記憶手段17に予め記憶されていた出力設定値と比較し、設定値と実際の出力値が許容範囲内で同一になるよう駆動手段11の出力、及び負荷整合手段10の整合条件を調整する。
【0033】次に、上記構成となる超音波照射装置を用いた、本第一実施形態による圧電素子群2における電力値の演算と、この演算結果に基づいた投入電力制御方法について説明する。
【0034】圧電素子群2に電力を投入して被検体6内に向けて超音波を照射すると、生体内の様々な超音波反射体によって超音波は反射される。ここで、焦点以外のある一点から反射した超音波が圧電素子群2面に入射する状況を考えると、当該圧電素子群2面の面積は大きいので、そこに対して入射する反射波としては、各々異なる位相を有した様々なものが入射することになり、結果、圧電素子群2面上においては、これら反射波全体が相互に打ち消し合うこととなって、大きな起電力は発生しない。異なる位置にある反射体を仮定(この場合も焦点以外と仮定)しても同様であり、結局大きな起電力が発生することはない。
【0035】他方、焦点近傍からの反射波を考えると、当該焦点近傍から様々な方向に反射した反射波は、ほぼ同一位相で圧電素子群2面に入射する。よって、超音波の高反射体が焦点にあったとすると、圧電素子群2に大きな反射波が入射し、その結果、振動子を大きく励振させ、大きな起電力を発生させる。この起電力による電圧及び電流値は、印加電圧の数十パーセントにもなる場合がある。よって、この反射波による起電力は、電力演算値の大きな誤差要因となる。
【0036】そこで、この焦点近傍からの反射波に関して発生する起電力について、何らかの措置を講じなければ正確な電力を計測することができないが、本第一実施形態においてはこれを実現するため以下のような手段をとる。
【0037】圧電素子群2に入射する反射波は、被検体6内のあらゆる方向からやってくるため、例えば隣り合う位置における振動子片2a,2bに入射する反射波レベル及び位相は互いに非常に似たものとなる。例えば個々の振動子毎に位相や波形が異なる超音波を照射する場合でも、隣り合う位置における振動子片2a,2bに入射する反射波レベル及び位相は互いによく似たものとなる。よって、本第一実施形態では、これらを相殺することを考える。
【0038】いま、位相制御による焦点拡大法を適用して超音波照射を行うと仮定する。つまり、この場合においては、隣り合う振動子片2a,2bにおいて、図2に示すように、駆動波形は互いに逆位相で、かつ振幅も異なっている状態となる。よって、振動子片2aの測定電圧をVA、振動子片2bのそれをVBとおくと、VA=Va+v …(1)
VB=−Vb+v …(2)
ここで、Va及びVbは、それぞれ振動子片2a及び2bに印加される電圧、vは反射波により誘起された電圧である。
【0039】また、振動子片2aに流れる電流の測定値をIA、振動子片2bに流れる電流の測定値をIBとおくと、IA=Ia+i …(3)
IB=−Ib+i …(4)
ここで、Ia及びIbは、それぞれ振動子片2a及び2bに流れる電流、iは反射波により誘起された電流である。
【0040】そして、上記(1)〜(4)式を用いて以下の計算を行う。
【0041】
(VA−VB)×(IA−IB)
=(Va+Vb)×(Ia+Ib)…(5)
ここで、VaとVbとの間、IaとIbとの間において定義される比率は予めわかっており、これをkとおくと、Vb=kVa …(6)
Ib=kIa …(7)
これら(6)及び(7)式を、(5)式に代入すると、(1+k)×Va×Ia …(A)
となる。ここにkは予めわかっているので、結局上式より、反射波により誘起された電圧v及び電流iの影響が相殺(又は排除)された電力(Va×Ia)が求められることになる。
【0042】さて次に、焦点拡大法を適用しない通常の超音波照射の場合を考える。
【0043】前述の場合と同様にして、振動子片2a,2bについて、VA=Va+v …(8)
VB=Vb+v …(9)
とする。ここで、通常はVa=Vbであるが、この場合、(5)式のように相殺によって電力値を求めることはできないので、Va≠Vbとして超音波照射を行う。これを達成するためには、図1に示すように、aチャンネルとbチャンネルを異なる駆動手段11で駆動して、それぞれの駆動出力(出力レベル)を異なるようにするか、図3(a)に示すように、aチャンネル又はbチャンネルの一方の駆動出力に減衰手段31を挿入したり、もしくは、同図(b)に示すように、一つの駆動出力を、二つのチャンネル間で分配率を異ならせた分配器32を挿入することで、aチャンネル及びbチャンネルに異なる出力が分配されるようにすればよい。
【0044】これらの場合、2個の振動子片2a,2bは同一位相かつ異なるエネルギないしレベルで駆動されることになるが、駆動エネルギの差がそれほど大きくなければ焦点音場の性状に与える影響も極めて少ない。これに対し、反射波によるvを相殺するためには、VaとVbとの差はほんの僅かでもよい。実際には、vのばらつきを基準にして、これより十分大きな差があればよい。すなわち、Va−Vb>>δvであればよいということである。ここにδvは、vのばらつきを表す。
【0045】以上説明したように、まず第一に、焦点拡大法を適用する場合において取得すべき、互いに逆位相で振幅も異なる測定電圧VA,VB、また第二に、通常の超音波照射による場合において取得すべき、異なる駆動出力となる場合の測定電圧VA,VB、一方が異なる出力減衰を受けた測定電圧VA,VB、又は一方と他方とが異なる分配率で出力分配された測定電圧VA,VB(上記いずれの場合においても測定電流IA,IBも当然に測定されている)について、これらから実際の電力値を求めるには、(5)式を適用してvないしiを相殺し、(A)式を適用すればよいことがわかる。
【0046】ところで、上記演算を実際に実施するには、上記した電力演算手段16、電圧・電流計測手段18として、例えば図4に示すような回路を有するようなものを用いればよい。
【0047】図4では、電圧・電流計測手段18によりピックアップされた電圧及び電流波形を電力演算手段16に入力して、これら電圧・電流各々のa,bチャンネル間に関して加算器41で差をとり、その結果を乗算器42に入力して結果を得ている。ちなみに、乗算器42以降には、低域通過フィルタ43が接続されており、高域部分の信号はカットされて、低域部分のみが電力値を構成する信号として扱われるようになっている。なお、本第一実施形態における上記電力演算手段16は、いま述べたように、アナログ的な電子回路によって実現されるが、場合によっては、電圧・電流計測手段18によりピックアップされた電圧及び電流波形をA/D変換してデジタル化し、これを計算機によって計算させて、電力値を得るようにしてもよい。
【0048】ここで、上記した説明から、本第一実施形態においては、図1に示す電圧・電流計測手段18として、通常の電圧波形プローブ、電流波形プローブを用いることができるという点を指摘できる。
【0049】次に、このように測定された電力値を用いて、出力を安定させる方法を図5にしたがって述べる。図5は、制御手段14の一部を構成している回路の構成例である。図1では、電力演算手段16によって導出された電力値は制御手段14に入力されている。出力電力設定値は、入力手段15を介して記憶手段17に予め記憶されている。
【0050】図5に示すように、記憶手段17に記憶されている設定電力値と電力演算手段16で計測された実測値とをコンパレータにて比較し、設定値に対して実測値が小さければ、コンパレータ出力である出力増加信号をプラス側に転じ、設定値に対して実測値が大きければ、出力増加信号をマイナス側に転じる。設定値と実測値がちょうど等しい場合には、出力増加信号はゼロとなる。ここで、駆動手段11には、ゲイン調整回路が挿入されており、出力増加信号によってゲインを増加し、出力増加信号がマイナスであれば減少させる。一方、出力増加信号が零であれば、ゲインを一定に保つ。このようにして、出力電力は、予め設定された値で安定化することになる。
【0051】以上説明したように、本第一実施形態においては、従来における圧電素子群2の電力測定においては、当該圧電素子群2に生じている反射超音波を原因とした励振の起電力を併せて測定してしまっていたところ、その影響分を相殺により消滅させることにより、正確な電力値測定を行うことができる。また、この正確な電力測定を背景とすれば、正確な出力電力の制御ができるから、もって治療対象7に対する正確・確実な治療を実施することができる。
【0052】次に、本発明の第二の実施形態について述べる。本第二実施形態は圧電素子群2の温度管理に関してなされた発明に関するものである。つまり、従来の技術の項でも述べたように、一般に、圧電素子群2の温度がある所定の値よりも高温になると、正確な出力制御が不可能となるのをはじめとして、当該素子の劣化、あるいは最悪の場合、破壊に至るのみならず、圧電素子群2を支持するハウジング材及び接着剤などが融解、劣化するなどの異常を発生させる原因となるため、当該圧電素子群2が動作する環境を、上記所定の温度以下に監視・制御する必要が生じることとなる。本第二実施形態は、これを適切になすことを目的とするものである。
【0053】図6は、本第二実施形態に関する超音波照射装置の概要を示すものである。この図6においては、温度計測手段60が新たに設けられている点が、図1と比較した場合には異なる構成となるものである。したがって、図6において、図1と同一の番号が付された構成要素は既に説明した通りの動作をするため、その説明は省略する。
【0054】温度計測手段60には計測プローブ60aが備えられ、該計測プローブ60aは、圧電素子群2の温度を測定するに適当な場所、より具体的には、圧電素子群2の内側すなわちカップリング膜4内に封入された超音波伝播媒質5であるよく脱気された水に接する面(又は、その反対側の面)に装着されている。計測プローブ60aとしては、例えばサ−ミスタを利用すれば良い。サーミスタとは、温度が高くなるにしたがって抵抗値が小さくなっていく性質を持つ部品であり、定電圧源と組み合わせることによって、被測定物の温度を計測することができるものである。
【0055】図7(a)は、温度計測手段60内部の回路構成例を示している。コンパレータ51Aは閾値T1(第一温度閾値)以上の温度で出力がLとなり、コンパレータ51BはT2<T1なる条件を満たす閾値T2(第二温度閾値)以下の温度で出力がHとなる。フリップフロップ71は、コンパレータ51Aの出力をラッチ、及びコンパレータ51Bの出力によりリセットする動作をする。ここで、T1及びT2は、コンパレータ51A及び51Bの入力に接続されたR1,R2,R3、及びR4の抵抗値によって決定される。なお、R2及びR4は可変抵抗器であり、制御手段14からの制御信号によって抵抗値を変化させる。ここでは、予め決定されたT1の温度に対し、|T1−T2|値、すなわちT1とT2の温度差が駆動手段11の設定出力及び設定出力時間に依存して決定されるように制御されている。よって、設定出力が大きいほど、また、設定出力時間が長いほど、T2はより低い温度となる。これらの制御は、制御手段14によって行われる。一方、図7(b)は一つのコンパレータ51でT1及びT2を設定可能なよく知られた回路の例を示しており、帰還抵抗Rf及び入力抵抗Riの値を変更することによってT1及びT2の変更が可能である。
【0056】また、制御手段14は、上記したような温度計測手段60の出力に基づき、図6に示すような、前記駆動手段11と前記超音波アプリケータ1との間に挿入された負荷整合手段10の整合条件を制御するようにされている。このことにより、温度の上昇ないし下降により変化する圧電素子2の整合条件に追随することが可能となる。
【0057】このような構成となる本第二実施形態における超音波照射装置につき、温度計測手段60はアプリケータ1内の圧電素子群2の所定の部位の温度を計測しつつ、以下に述べるような超音波照射の制御に係る作用を実現する。
【0058】すなわち、圧電素子群2の所定部位に関して検出された温度が、上記閾値T1を超えた場合には、圧電素子群2からの強力超音波は、従前の出力に比して抑制され、当該出力が制限された状態となる。超音波照射は、いわば「温度制御下」ないし「温度監視化」の状態におかれることになる。この温度制御下照射は、具体的には、温度計測手段60の計測結果を制御手段14に出力し、該出力に基づき制御手段14が、駆動手段11の出力エネルギないしレベル、出力時間、及び出力周波数のうちの少なくとも一つを制御することにより、達成される。
【0059】また、検出温度が、T1より低い閾値T2まで素子の温度が低下したならば、通常照射を再開する。すなわち、温度制御下照射時には、圧電素子群2の温度がT2まで低下するのを待ちつつも、次の通常照射が開始できるようにしておく。
【0060】以上のことから、まず、本第二実施形態における圧電素子群2は、閾値T1以上の温度となる環境下では、温度制御下照射されることになるから、当該圧電素子群2に関して無用な過昇温を招くことがなく、圧電素子の劣化・破壊、ないしはハウジング材料及び接着剤の融解・劣化等の異常発生を未然に防ぐことができる。ちなみに、温度制御下照射にするのではなく、超音波照射そのものを停止するような処置を採ってもよいことはもちろんである。
【0061】また、本第二実施形態においては、上記T1以外にも閾値T2を定めていたから、次のような効果も導かれ得る。すなわち、閾値が一つであった場合、素子温度が高騰し温度制御が働いて超音波照射が制御された次の瞬間、今度は素子温度が低下して通常動作温度範囲に戻るために通常の超音波照射が行われ、またすぐに温度閾値を超えてしまう、といった、通常照射と温度制御照射が短時間で繰り返される、いわば「フリッカ動作」を行うことになってしまうところ、閾値T2が導入されたことによって、通常の超音波照射と温度制御下照射とが頻繁に繰り返されるということがなくなるのである。
【0062】なお、検出温度が閾値T1を越した場合は、閾値T2まで温度が低下するまで次の通常照射は行わないとする上記のような実施形態の他、新たにT2<T3<T1として定義される温度閾値T3を設け、当該閾値T3まで温度が低下した時点で通常照射に復帰するような形態としてもよい。この場合、通常照射までの時間が短くなる。
【0063】例えば、超音波照射装置を実際に使用する際において、予めこれだけは超音波照射を行わなければならないという設定時間がある場合、又は超音波照射時間をできる限り短いトータル時間内で行いたい場合等には、上記T3の導入は有効な方策となることがわかる。また、このときの温度T2については、上記設定時間ないしはトータル時間の終了後、次の照射を行うにあたって、当該T2まで素子温度が低下するのを待つようにすれば十分である。
【0064】ところで上記の構成では、検出温度が閾値T1を越えた場合に、制御手段14が直截に圧電素子群2の駆動態様(出力レベル等)を制御するような形態となっていたが、これと伴に、又はこれに代えて、圧電素子群2を冷却するための冷却手段(不図示)を別途設けるような形態としてもよい。この場合においては、制御手段14が冷却手段の運転の可否を、上記閾値T1ないし閾値T2に基づき判断することになる。
【0065】なお、本第二実施形態について、上記構成に関する説明中、温度プローブ60aとしてサーミスタを用いることについて述べたが、本発明はこれに限定されるものではなく、この他にも、熱電対や光ファイバ等、各種温度計測特有の温度プローブを用いてもよい。また、この温度プローブ60aは圧電素子群2の所定の部位に装着するとしたが、イメージング用超音波プローブ3の表面や、伝播媒質5、さらにはカップリング膜4の内側等、アプリケータ1内の温度を測るようにしてもよい。
【0066】さらに、T1とT2の温度差は、上において、設定出力及び設定時間に依存して決定されていたが、その他にも、これを超音波照射強度、照射時間、又は上記した冷却手段に基づく圧電素子の冷却能力、等の関数として表しておくようにしてもよい。この場合であっても、安全でより確実な超音波照射が可能となることは明らかである。また、新たに導入したT3に関しても同様で、この場合にあっても、T2及びT3ともに、超音波照射強度、照射時間、冷却能力の関数として構わない。
【0067】加えて、ここではT1、T2及びT3は「温度」を表す記号として導入したが、冷却能力に関連させる場合等にはT1、T2及びT3を「時間」として考え、上記と同様な別の実施形態による超音波治療装置を構成してもよい。
【0068】次に、本発明の第三の実施形態について説明する。本第三実施形態は、図6に示すと同様な構成の装置により実現されるものであるから、当該図6を参照しつつ説明することとする。
【0069】図6において、記憶手段17には予め圧電素子群2の、温度に対応した特性値が記憶されている。ここに「温度に対応した特性値」とは、一般に、圧電素子群2の温度上昇に伴って共振周波数やインピーダンス等の特性が変化することに注意して、各々の温度環境下における圧電素子群2が、当該各々の温度において如何なる特性を有することとなるかを予め調べておき、その調べた結果から、上記各種の特性変化が生じた場合でも、圧電素子群2が温度に関わらず常に一定の特性を保持するために求められた補正値のことをいう。
【0070】また、制御手段14は、温度計測手段60により計測された圧電素子群2の温度情報と、記憶手段17に記憶されている圧電素子群2の上記特性値とを比較し、波形発生手段13の出力信号周波数及び負荷整合手段10の負荷整合条件を調整する。さらに、駆動手段11の信号増幅率を、設定出力値と記憶手段17に記憶されている圧電素子群2の特性とから導き出す。このようにして、圧電素子群2の温度が変化した場合でも、出力超音波強度が一定となるように制御可能となる。
【0071】以上のことから、従来においては、常温において設定された周波数、負荷整合条件のもとで圧電素子群2を駆動していると、当該圧電素子群2の温度が高くなるに従い出力超音波強度が設定値からずれていってしまうことが避けられなかったところ、温度計測手段60を設けて圧電素子群2の温度をモニタリングし、この計測された温度情報に基づき、記憶手段17に記憶されている温度に対応した特性値を選定して補正を行うことから、出力超音波強度を常に一定に保つことが可能となる。
【0072】なお、温度に対応した特性値は、圧電素子群2を予め各種温度環境下で実験的に駆動させて、当該各種温度に対応したものとしての出力周波数や整合条件等を求めるようにしてもよいし、また、それらが温度の関数として、何らかの形で「表式」できるのであれば、その関数ないし式を記憶手段17が記憶し、これに計測温度を代入することにより駆動手段の制御を決定するようにしてもよい。上記した「特性値を選定」するということには、上記のような概念も含まれるものである。
【0073】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の超音波照射装置によれば、まず、出力波形や出力エネルギの態様を異ならせて二つ以上の振動子片に印加し、その各々について計測された電圧値及び電流値について相殺をとって電力値を求めることから、反射超音波による励振の影響が排除されて正確な電力計測が可能となり、もって正確な超音波振動子の出力制御を実施することができる。なおこのとき、いま述べたのと同じ理由により、電圧及び電流を計測する際には、通常の電圧波形用プローブ及び電流波形用プローブを使用することができる。
【0074】また、温度計測手段を設けることにより、ある所定の温度以下で動作することが望まれる超音波振動子について、その過昇温を予め防止することができるとともに、当該過昇温防止を目的とする第一温度閾値に加え、第二温度閾値が導入されていることにより、いわゆるフリッカ動作も未然に防止することができる。よって、これによっても正確な超音波振動子の出力制御に資することになる。
【0075】さらに、超音波振動子に関する、温度に依存した特性の変化に対して、この特性値を予め記憶しておき、これを上記温度計測手段による計測温度とを比較することによって、当該特性値から適当なものを選定・補正することで、如何なる温度においても超音波振動子の正確な動作を実現することができる。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成11年9月1日(1999.9.1)
【代理人】 【識別番号】100081411
【弁理士】
【氏名又は名称】三澤 正義
【公開番号】 特開2001−70334(P2001−70334A)
【公開日】 平成13年3月21日(2001.3.21)
【出願番号】 特願平11−248021