| 【発明の名称】 |
生体用潤滑剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】田中 信治
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| 【要約】 |
【課題】潤滑性向上を適度に保ち得る水溶性生体用潤滑剤を提供する。
【解決手段】下記の式[I] |
【特許請求の範囲】
【請求項1】下記の式[I] 【化1】
(ただし、R1、R2、R3は、同一であっても異なっていてもよく水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を示す。mは1〜4の整数を示す。)で示されるホスホリルコリン類似基を側鎖に有する重合体を含有してなる生体用潤滑剤。 【請求項2】重合体が下記の式[II] 【化2】
(ただし、R1、R2、R3は、同一であっても異なっていてもよく水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を示す。mは1〜4の整数を示す。R4は水素原子またはメチル基であり、R5は、炭素数2〜8の炭化水素基であり、同一であっても異なっていてもよい。nは、R5Oの繰り返し数で、0〜10の整数を示す。)で示される単量体の単独重合体、または式[II]で示される単量体と他のラジカル重合性単量体との共重合体である請求項1記載の生体用潤滑剤。 【請求項3】重合体が下記の式[III] 【化3】
で示される2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンの単独重合体、または式[III]で示される2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと他のラジカル重合性単量体との共重合体である請求項1または2記載の生体用潤滑剤。 【請求項4】 請求項1〜3のいづれか1項に記載の生体用潤滑剤を用いて処理してなる衛生品。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、生体用潤滑剤およびその生体用潤滑剤を用いて処理してなる衛生品に関する。更に詳しくは主として性交時において潤滑性および膣の乾燥防止、潤滑性向上を適度に保ち得る水溶性生体用潤滑剤およびその生体用潤滑剤を用いて処理してなる衛生品に関する。 【0002】 【従来の技術】従来から生体用潤滑剤は、シリコンオイルが主流をなすものであったが、これは油溶性であるため使用後に洗剤などで洗浄除去する手間があり、使用感においても必ずしも満足できるものではなかった。また、水溶性生体用潤滑剤としてはポリエチレングリコール、白糖、ゼラチン、パラオキシ安息香酸ブチルを成分とするものがあるが、これは粘度および滑り性においてやや劣るものであった。さらに水溶性生体用潤滑剤としてはポリアクリルアミドを主成分としたものもあるが、潤滑性が高過ぎ,保湿性、湿潤性を補うためにはグリセリンやビタミンEを配合する必要があった。しかし、十分な潤滑能を発揮させるために高濃度で使用すると、糸引き性を生じ、潤滑剤として外見上好ましくなかった。特開平8−20528号公報には、これに代わってヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース誘導体が使用できることが開示されている。しかし、ポリアクリルアミドや、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは冷水に直接溶解させることが困難で、いわゆる「ママコ」状の粒が生じ易く、製品とする際に不都合があった。そこで製造時には、均一な水溶液を得るため、分散溶解機を使用したり、熱水法、粉末混合法や有機溶剤湿潤法などの技術による製造工程が必要であった。したがって、生産性からは、特別な機械を使用したりしないで、あるいは特別な工程を行うことなく、直接冷水を用いても均一な溶液となる潤滑剤が求められている。 【0003】また、適用する部位が刺激に対して敏感な生殖器であるため、それ自体が刺激性を軽減する特性を有していれば生体用潤滑剤としては理想的である。一方、特開平6−157269号公報には2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPCと略す。)のホモ重合体はラメラ形成促進・安定化作用や皮膜形成作用に優れた上に、水分保持機能が高いことが開示されている。しかし前記の2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンのホモ重合体は、皮膚の保湿効果や肌荒れ改善効果に優れた化粧料としてのみ開示されたものであり、生体用潤滑剤については全く記載されていない。一方、特開平5−70321号公報、特開平6−157270号公報や特開平6−157271号公報には、MPCの共重合体の水分保持能が開示されているが、これも皮膚の保湿効果や肌荒れ改善効果に優れた化粧料について開示したものであり、生体用潤滑剤については全く記載されていない。また一方、敏感な生殖器などに適用するためには、より刺激に対して安全な生体用潤滑剤が求められているのが現状である。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的は、十分な保湿作用を有し、かつ滑り性に優れ、糸引き性もなく、生体に対して安全性が高い生体用潤滑剤を提供することにある。本発明の第2の目的は、前記の生体用潤滑剤を用いてなる衛生品を提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の問題点に鑑み鋭意検討して結果、特定のホスホリルコリン類似基を側鎖に有する重合体が、保湿作用に基づく水分保持機能が高く、また滑り性に優れ、さらに糸引き性もなく、生体に対して安全性が高く、製造時にいわゆる「ママコ」の粒状を生じないこと、前記の重合体を衛生品に用いて優れた効果を発揮することを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は次の(1)〜(4)に示すものである。 【0006】(1)下記の式[I] 【0007】 【化4】
【0008】(ただし、R1、R2、R3は、同一であっても異なていてもよく水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を示す。mは1〜4の整数を示す。)で示されるホスホリルコリン類似基を側鎖に有する重合体を含有することを特徴とする生体用潤滑剤。 【0009】(2)重合体が下記の式[II] 【0010】 【化5】
【0011】(ただし、R1、R2、R3は、同一であっても異なっていてもよく水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を示す。mは1〜4の整数を示す。R4は水素原子またはメチル基であり、R5は、炭素数2〜8の炭化水素基であり、同一であっても異なっていてもよい。nは、R5Oで表されるアルキレンオキシ基の繰り返し数で、0〜10の整数を示す。)で示される単量体の単独重合体、または式[II]で示される単量体と他のラジカル重合性単量体との共重合体である前記の生体用潤滑剤。 【0012】(3)重合体が下記の式[III] 【0013】 【化6】
【0014】で示される2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを単独重合、または、前記の2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと他のラジカル重合性単量体との共重合体である前記の生体用潤滑剤。 【0015】(4)前記の(1)〜(3)の生体用潤滑剤を用いて処理してなる衛生品。 【0016】 【発明の実施の形態】本発明の生体用潤滑剤は、ホスホリルコリン類似基を有する重合体であり、下記の式[I] 【0017】 【化7】
【0018】で示される基を側鎖に有する重合体であればいかなるものでもよい。ここで、前記の式[I]のR1、R2、R3は、同一であっても異なる基でもよく水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を示す。炭素数が9以上の場合には得られるポリマー成分の親水性とモノマーの重合性が著しく低下する。炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、オクチル基等があげられ、このうち入手の容易さや重合性などの理由からメチル基が最も好ましい。式[I]のmは1〜4の整数であり、親水性および重合性の著しい低下がなく、入手の容易さなどの理由からエチレン基、プロピレン基がより好ましい。式[I]で表される基を側鎖に有する重合体は、例えば、式[I]で表わされるホスホリルコリン類似基を有する単量体の単独重合体、または前記のホスホリルコリン類似基を有する単量体と公知の他の単量体との共重合体である。前記のホスホリルコリン類似基を有する単量体としては、式[I]で示されるホスホリルコリン類似基を側鎖に有しており、かつ、重合性をもった単量体であればいかなるものでもよいが、具体的には、取扱い易さなどの点から、分子中にラジカル重合性の二重結合を持つものがよく、そのような単量体であれば、いかなるものでも自由に使用することができる。前記の式[I]で表わされるホスホリルコリン類似基を有しており、分子中にラジカル重合性の二重結合を持つ単量体の例としては、入手しやすさなどの点から、下記の式[II] 【0019】 【化8】
【0020】で表される単量体(以下、PC単量体と略す。)が好ましく用いられる。式[II]のR1、R2、R3およびmは、前記の式[I]と同じである。また、前記の式[II]のR4は、水素原子またはメチル基であり、R5は、炭素数2〜8の炭化水素基を表し、同一であっても異なっていてもよい。炭素数2〜8の炭化水素基としては、例えばエチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が挙げられ、このうち入手あるいは合成が容易である理由からエチレン基が最も好ましい。nはアルキレンオキシ基の繰り返し数で、0〜10の整数を示し、入手あるいは合成の容易さから0〜5が好ましく、特に0または1が好ましい。 【0021】本発明で用いられる式[II]で示される単量体としては、具体的には、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、5−(メタ)アクリロイルオキシペンチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2’−(トリエチルアンモニオ)エチルホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−2’−(トリエチルアンモニオ)エチルホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル−2’−(トリエチルアンモニオ)エチルホスフェート、5−(メタ)アクリロイルオキシペンチル−2’−(トリエチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2’−(トリプロピルアンモニオ)エチルホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−2’−(トリプロピルアンモニオ)エチルホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル−2’−(トリプロピルアンモニオ)エチルホスフェート、5−(メタ)アクリロイルオキシペンチル−2’−(トリプロピルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2’−(トリブチルアンモニオ)エチルホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−2’−(トリブチルアンモニオ)エチルホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル−2’−(トリブチルアンモニオ)エチルホスフェート、5−(メタ)アクリロイルオキシペンチル−2’−(トリブチルアンモニオ)エチルホスフェート、【0022】さらに、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−3’−(トリメチルアンモニオ)プロピルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−4’−(トリメチルアンモニオ)ブチルエチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−3’−(トリエチルアンモニオ)プロピルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−4’−(トリエチルアンモニオ)ブチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−3’−(トリプロピルアンモニオ)プロピルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−4’−(トリプロピルアンモニオ)ブチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−3’−(トリブチルアンモニオ)プロピルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−4’−(トリブチルアンモニオ)ブチルホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−3’−(トリメチルアンモニオ)プロピルホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−4’−(トリメチルアンモニオ)ブチルホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−3’−(トリエチルアンモニオ)プロピルホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−4’−(トリエチルアンモニオ)ブチルホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−3’−(トリプロピルアンモニオ)プロピルホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−4’−(トリプロピルアンモニオ)ブチルホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−3’−(トリブチルアンモニオ)プロピルホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−4’−(トリブチルアンモニオ)ブチルホスフェート、【0023】またさらに、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル−3’−(トリメチルアンモニオ)プロピルホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル−4’−(トリメチルアンモニオ)ブチルホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル−3’−(トリエチルアンモニオ)プロピルエチルホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル−4’−(トリエチルアンモニオ)ブチルホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル−3’−(トリプロピルアンモニオ)プロピルホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル−4’−(トリプロピルアンモニオ)ブチルホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル−3’−(トリブチルアンモニオ)プロピルホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル−4’−(トリブチルアンモニオ)ブチルホスフェートなどを挙げることができる。このうち入手性の点からは、2−メタクリロイルオキシエチル−2’−(トリエチルアンモニオ)エチルホスフェート(以下、MPCと略すこともある)を特に好ましく挙げることができる。また、これらの単量体を、一種ないし二種以上を混合して重合したり、公知の他の単量体と共に重合に用いることも、本発明の効果を損なわない限り、行ってよい。 【0024】本発明で用いるPC単量体は、例えば、特開昭54−63025号公報、特開昭58−154591号公報、特開昭63−222183号公報、特開平5−107511号公報、特開平6−41157号公報、WO93−01121号明細書、WO97−08177号明細書などに示された方法に準じて合成することができる。MPCは、次の式[III]に示される構造を有する。 【0025】 【化9】
【0026】本発明に用いる式[I]で示されるホスホリルコリン類似基を側鎖に有する重合体は、PC単量体やMPCを単独で、またはPC単量体やMPCと他の単量体とを公知の方法で重合することによって簡便に得ることができる。式[II]で表わされる単量体やMPCと共重合させることができる他の単量体としては、これと共重合できるものであるならば、公知のいかなる単量体であってもよいが、ラジカル重合性単量体であることが特に好ましい。 【0027】本発明に用いることができるその他のラジカル重合性単量体としては、本発明の効果を損なわない範囲で、公知のいかなるものを用いてもよい。具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;3−((メタ)アクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、3−((メタ)アクリロイルオキシプロピル)トリエトキシシラン、3−((メタ)アクリロイルオキシプロピル)トリプロピルオキシシラン等のシリル基含有(メタ)アクリレート;2−(ペルフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(ペルフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル(メタ)アクリレート等のフッ素含有(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸アミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリル酸アミド,N−ビニルピロリドン,N−ビニルカプロラクタム等のアミド系単量体;(メタ)アクリル酸などを挙げることができる。 【0028】また、スチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等の置換もしくは無置換のスチレン系単量体;エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル系単量体;酢酸ビニル等のビニルエステル系単量体;トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン等のビニルシラン系単量体;エチレン、プロピレン、イソブチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等の置換もしくは無置換の炭化水素系単量体;ジエチルフマレート、ジエチルマレエート等の二塩基酸エステル系単量体;N−ビニルピロリドンなども挙げることができる。 【0029】このうち、アルキル(メタ)アクリレートやシリル基含有(メタ)アクリレート、フッ素含有アクリレートなどの疎水性ラジカル重合性単量体を共重合させたときに、重合体の肌への保持され易さなどにおいて効果があることから好ましく用いられ、さらに、これらのうちブチル(メタ)アクリレートが、入手性などの点から特に好ましく用いられる。 【0030】このときの重合条件は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択されてよく、また、例えば、溶液重合、乳化重合、分散重合、塊状重合等の公知のいかなる重合方法を使用してもかまわないが、好ましい重合方法としては、通常のラジカル重合反応が用いられ、好ましくは溶液重合により30〜90℃で重合を行うのがよい。溶液重合に使用される溶媒としては、どのようなものでもよいが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコールや水、あるいはこれらの混合溶媒などを用いることもできる。 【0031】ラジカル重合反応に使用されるラジカル重合開始剤としては、通常使用されるものであればいかなるものでもよいが、具体的には、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスバレロニトリル等のアゾ系開始剤;過酸化ラウロイル、過酸化ベンゾイル、t−ブチルペルオキシネオデカノエート、t−ブチルペルオキシピバレート等の油溶性の有機過酸化物;コハク酸ジアシルペルオキシド等水溶性の有機過酸化物;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素などの水溶性の無機開始剤などが用いられる。ラジカル重合開始剤の添加量は、適宜選択して良いが、原料の全単量体重量の0.01〜10重量%の割合で使用するのが好ましい。 【0032】共重合体の構造は、次の式[IV] 【0033】 【化10】
【0034】で表される。ここで、R1、R2、R3、m、R4、R5およびnは、前記の式[II]と同じである。 【0035】また式[IV]中、−MO−は前記のその他のラジカル重合性単量体に基づく構成単位である。aはPC単量体またはMPCに基づく構成単位の繰り返し数で、1〜10,000の整数を示す。bはその他の単量体に基づく構成単位の繰り返し数で、0〜10,000の整数を示す(ただしa=1のとき、b=0となることはない。)。(共)重合体の分子量は、重量平均分子量で、1000〜2,000,000である。 【0036】本発明に用いられるホスホリルコリン類似基を側鎖に有する重合体は、式[II]に示されるPC単量体やMPCに基づく構成単位を少なくとも1モル%以上、好ましくは10モル%以上、さらに好ましくは、20モル%以上含有するとよい。1モル%未満の場合には、皮膚に対する保湿効果を十分発揮させることができなくなるので好ましくない。また、皮膚に対するあたりのよさの点からはPC単量体やMPCに基づく構成単位を、30〜95モル%の範囲で含むのがよく、さらには50〜90モル%の範囲で含むのが好ましく、さらには60〜85モル%の範囲で含むのがより一層好ましい。 【0037】式[I]で示されるホスホリルコリン類似基を側鎖に有する重合体を生体用潤滑剤として利用する場合には、式[I]で表されるホスホリルコリン類似基を側鎖に有する重合体をそのまま単独で用いるか、または水で希釈して用いるか、あるいはこれと他の保湿剤や潤滑剤成分を併用する。このほか、生体用潤滑剤に、添加剤を加え、剤型を整えて生体用潤滑剤組成物とすることもできる。生体用潤滑剤として用いる際の式[I]で示されるホスホリルコリン類似基を側鎖に有する重合体の配合量は、本発明の効果を損なわない限り、自由に選択されてよいが、好ましくは生体用潤滑剤組成物全重量に対して0.001〜50重量%の量で配合されるとよく、より好ましくは0.1〜40重量%の量で配合されるのがよい。0.001重量%未満の場合は、保湿性、潤滑性の点から好ましくなく、また、50重量%より多く配合しても、配合量に見合うだけの著しい効果の向上は通常見られないので好ましくない。 【0038】本発明の生体用潤滑剤と、配合することができる添加物としては、生体用潤滑剤組成物中に通常配合される添加剤であれば、いかなるものであっても自由に使用することができるが、例えば色素、香料、多糖、オリゴ糖、単糖、油脂、界面活性剤、タンパク質、ビタミン、ステロイド、ホルモン、低級アルコール、多価アルコール、血管拡張剤、殺精子剤、抗菌剤、抗ウイルス剤などが好ましく使用でき、本発明の効果を損なわない範囲で、適量配合して用いることができる。これらの添加剤を、適量とり、通常知られた方法で本発明の生体用潤滑剤に適宜配合し、その後、一般的な生体用潤滑剤組成物の製造方法を利用して、生体用潤滑剤組成物の形状を、粉末、溶液、ゲル、ムースなどの任意の形状に加工することができる。このとき、取り扱いやすさの点から生体用潤滑剤組成物を、ムース、溶液状に加工することも好ましく行われる。さらに、使用にあたっては、本発明の生体用潤滑剤、または本発明の生体用潤滑剤を配合した生体用潤滑剤組成物を、コンドーム等の避妊具の衛生品の表面に塗布して使用することも、好ましく行われる。 【0039】 【発明の効果】本発明の生体用潤滑剤は、ホスホリルコリン類似基を側鎖に有する重合体を使用するので、保湿性に優れており、使用感が優れ、刺激に対して敏感な生殖器などの安全性に優れた効果を得ることができる。また本発明の生体用潤滑剤を処理してなる衛生品は、ホスホリルコリン類似基を側鎖に有する重合体を使用するので、保湿性に優れており、使用感が優れ、刺激に対して敏感な生殖器などの安全性に優れている。 【0040】 【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。次に用いた測定方法、評価方法を示す。 1.<潤滑性評価方法>滑り感およびざらつき感は摩擦感テスター(カトーテック社製)に25グラムの摩擦子を装着して測定した。2.5×7.5cmのラテックスシートのMIU値(電圧値より算出された値:滑り感を表す係数)とMMD値(電圧値より算出された値:ざらつき感を表す係数)をそれぞれ測定した。試料の生体用潤滑剤溶液0.4mlをこのラテックスシートに塗布し、同様にして両値を求めた。 【0041】2.<糸引き性試験>糸引き性を確認するため、試料の生体用潤滑剤溶液100ml中にガラス棒を1cm浸漬し、再び溶液の界面より2cmだけ引き上げたときの糸引き性を肉眼で判定して、評価した。 【0042】3.<実使用試験>10組の夫婦を被試験者として選定し、使用している市販のコンドームを超音波処理(5分)して潤滑剤を除去したものを対象として、生体用潤滑剤溶液(5重量%)100mlに10分間を浸漬したものを、実際に使用してみた。次の評価基準に従って評価して、合計点で評価した。 評価点 ;内容2;通常品と比べて使用感は良好である。 1;通常品と比べて使用感が劣る。 0;通常品に比べて非常に使用感が悪い。 評価記号;内容(評価点) ○;16〜20点△;10〜15×; 0〜9【0043】4.<刺激性緩和の評価方法>刺激性緩和効果について検討するため、α-ヒドロキシ酸混合液(バーネット社製)と上記生体用潤滑剤溶液をそれぞれ30%、5%含有する混合液80μlのパッチに浸透させての貼付試験を行い、6時間後のパッチ評価基準に基づいて評価し、その平均値を求めた。 【0044】合成例1;PC重合体の製造MPCを0.5mol/Lおよび重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)をモノマーに対して1モル%となるようにエタノール100mlに溶解した。反応容器内をアルゴンで置換した後に封管した。60℃で4時間反応し、反応混合物を大量のジエチルエーテル中に滴下し、コポリマーを沈殿させた。これを濾別して、ジエチルエーテルで十分洗浄した後、減圧乾燥して収率約30%で分子量約35,000の白色粉末状のコポリマーを得た。 【0045】合成例2;MPC/n−ブチルメタクリレート共重合体の製造MPCとブチルメタクリル酸のモノマーの仕込みモル比がMPC:ブチルメタクリル酸=3:5=37.5:52.5、総モノマー濃度が1モル/Lおよび開始剤AIBNをモノマーに対して0.5モル%となるようにとなるようにエタノール100mlに溶解した。反応容器内をアルゴンで置換した後に封管した。60℃で6時間反応し、反応混合物を大量のジエチルエーテル中に滴下し、コポリマーを沈殿させた。これを濾別して、ジエチルエーテルで十分洗浄した後、減圧乾燥して収率約50%で分子量約35,000の白色粉末状のコポリマーを得た。 【0046】実施例1MPC重合体(合成例1で得られたもの)5gを精製水100mlと混合して均一な生体用潤滑剤溶液を調製した。このとき、MPC重合体は均一な溶液となり、ママコを全く生じなかった。前記の生体用潤滑剤溶液 0.4mlをこのラテックスシートに塗末し、前記の方法に従い、MIU値とMMD値をそれぞれ測定して、両値を求めた。これらの実測値から得られた滑り感およびざらつき感の変化率を表1に示す。 <実使用試験>前記の方法に従い、10組の夫婦らが、生体用潤滑剤を塗布したものを実際に使用してみたところ、滑り感がよく、非常に良好な使用感が得られ、その効果に充分な満足を得た。 【0047】参考例1;刺激性緩和効果について検討するため、前記のα-ヒドロキシ酸による刺激性緩和の評価方法に従い、試料をパッチに浸透させての貼付試験を行い、6時間後のパッチ評価基準に基づいて評価し、その平均値を求めた。結果を表1に併せて示す。 【0048】実施例2合成例2で得られたMPC/ブチルメタクリレート共重合体5gを精製水100mlと混合して均一な生体用潤滑剤溶液を調製した。このとき、MPC/ブチルメタクリレート共重合体は、均一な溶液となり、ママコを全く生じなかった。生体用潤滑剤溶液として、これを用いた以外は、すべて実施例1と同様に評価を行った。評価は表1に合わせて記した。また実使用試験では実施例1と全く同様の使用感を得た。 【0049】比較例1生体用潤滑剤溶液として、まったく何も含まない精製水100mlを用いた以外すべて実施例1と同様に行った。評価は表1に合わせて記した。また実使用試験では、滑り抵抗があり、非常に使用感が悪く、効果は全く感じられなかった。 【0050】比較例2ポリアクリルアミド(三井サイテック,A110F)5gを精製水50mlに少量づつしかもすばやく投入し、ポリトロン分散機{KINEMATICA社製(スイス)}を用いて、分散させた後脱気して、精製水を加えたて100mlとして生体用潤滑剤溶液を調製した。このようにして調製した生体用潤滑剤溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、評価した。結果を表1に示す。 【0051】比較例3ヒドロキシプロピルメチルセルロース{信越化学工業(株)社製、メトローズ65SM)5gを60℃の精製水100mlに分散させた後、かき混ぜながら冷却して均一な生体用潤滑剤溶液を調製した。このようにして調製した生体用潤滑剤溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、評価した。結果を表1に示す。 【0052】 【表1】
【0053】なお、用いた略号は次のとおり。MIU1はラテックスのMIU値、MIU2は試料溶液を用いた際のMIU値、MMD1はラテックスのMMD値、MMD2は試料溶液を用いた際のMMD値を示す。 【0054】以上の結果から、実施例1のMPC重合体や実施例2のMPC/n−ブチルメタクリレート共重合体からなる生体用潤滑剤は、比較例1、2および比較例3に比べて滑り性と滑らか感において優れ、刺激性の緩和作用もあり生体用潤滑剤として優れた性能を有していることがわかる。また、比較例2に比べて、実施例1および2では、糸引き性が全く認められなかった。冷水に対する分散性も優れていることがわかる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004341 【氏名又は名称】日本油脂株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年9月6日(1999.9.6) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2001−70332(P2001−70332A) |
| 【公開日】 |
平成13年3月21日(2001.3.21) |
| 【出願番号】 |
特願平11−251231 |
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