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【発明の名称】 使い捨て衛生材料用シート
【発明者】 【氏名】小河 勝

【要約】 【課題】ウエブのヨコ方向のおける液にじみが抑制された使い捨ておしめ等のトップシートの提供。

【解決手段】疎水性合成繊維の連続フィラメントの不織布のウエブからなり、該ウエブには液透過性処理剤が付与されており、該ウエブのJIS−L−1085により測定した引張強度のタテ・ヨコ比が2.3以上であって、かつウエブ中の繊維の配列がマイクロ波透過度のタテ・ヨコ比1.1以上であって、ウエブ表面での液のウエブの横方向にじみ拡がりがウエブ面に千鳥配置又は縦線配置した熱融着部により抑制された使い捨て衛生材料用シート。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 疎水性合成繊維の連続フィラメントの不織布のウエブからなり、該ウエブには液透過性処理剤が付与されており、該ウエブのJIS−L−1085により測定した引張強度のタテ・ヨコ比が2.3以上であって、かつ該ウエブ中の繊維の配列がマイクロ波透過度のタテ・ヨコ比1.1以上であって、ウエブ表面での液のウエブの横方向にじみ拡がりがウエブ面に千鳥又は縦線配置した熱融着部により抑制されていることを特徴とする使い捨て衛生材料用シート。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は使い捨て衛生材料に関する。より詳しくは使い捨ておしめ等のトップシートに用いられる使い捨て衛生材料に関する。
【0002】
【従来の技術】図1に使い捨ておむつの一例の平面図を示し、図2に断面図を示す。図1および図2に示すように、使い捨ておむつ1は排泄液体吸収用吸収体3を挟んで表面側(人体側)にトップシート2を、裏側にバックシート4を配置することによって構成される。前記トップシート2としては従来から各種不織布が用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年、使い捨ておむつの普及はめざましく、その生産量も急増してきている。このような環境下における使い捨ておむつとしての問題点として、1つはその製造ラインでのロスの減少及び品質の安定性が重要な点である。特に生産量の拡大に伴ない高生産性の要請が強く、設備的な工夫がされてきているが、使用材料についても高速度ラインに耐える強度だけでなく、たびたび発生する低〜高速変速時の変化に耐え、シワの発生、幅ズレ、幅の寸法変化の少ない材料が必要となってきた。
【0004】第2の問題点としては使い捨ておむつの性能面で、漏れについての改良がある。これについてはこれまで各種の提案がなされている。すなわち使い捨ておむつの形態安定性を増して漏れを防止する方法としては、よじれ防止ネット、排泄液体吸収用吸収体の使用量を増加する方法、ホットメルト接着剤を用いて漏れを防止する方法が知られている。使い捨ておむつの形態を改良して漏れを防止する方法としては、パンツスタイルにしたり、使い捨ておむつのサイドやウエストにギャザーを設ける方法が知られている。吸収力をあげて漏れを防止する方法としては、高吸水ポリマーや拡散シートを用いる方法が知られている。使い捨ておむつの使用時に使い捨ておむつがゆるんで漏れが発生することを防止する方法としては、伸縮テープ、取付自由テープを用いる方法が知られている。
【0005】一方トップシートに対しては透液速度を早くするために瞬間吸水性や数次透水性を付与したり、あるいは吸収体に接触する部分のみに液透過性処理剤を付与し、その外側の部分は不織布自体の疎水性を利用して、排泄液体が外側の部分に伝たわらないようにし、それでも充分でない漏れ防止、より詳しくは横漏れや縦漏れの防止のために外側の部分にギャザーを設けたり、あるいはホットメルト剤を塗布してその部分の不織布の繊維間空隙をなくして毛細管現象による排泄液体の進行を防止する等の対策がとられている。
【0006】これらの対策を適切に組合せて用いることにより、従来の使い捨ておむつであっても取付不良やサイズ不一致等の使用者側の取扱いミスがない限り、排泄時での漏れ防止はほゞ防止できる。しかしながら、一度排泄されて吸収された排泄液体が時間経過と共ににじみもれしたり、特定の処、特に狭い部分に吸収が集中した場合に生ずる漏れに対しては前述の従来の対策では解決することができない。すなわち排泄後の排泄液体によって生ずる漏れ発生を防止する方法については何等解決されていないのが現状である。又前述の各対策の中には、使い捨ておむつの嵩が大きくなりすぎたり、人体が接触するトップシートの風合が硬くなったりあるいはコスト高になったりするものがあり、必ずしも実用的でなかった。
【0007】本発明は従来のオムツラインの高速化に伴なう製造上の問題と、使い捨ておむつの有する漏れ特ににじみの問題点を解消するために、トップシートとして用いられる不織布シートの本質的な構造を改良することによって、特別な処理を施すことなしに、且つシートの有する風合を維持しながら前記排泄液体のにじみを防止することのできるトップシート用の衛生材料用シートを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の前述の目的は、疎水性合成繊維の連続フィラメントの不織布のウエブからなり、該ウエブには液透過性処理剤が付与されており、該ウエブのJIS−L−1085により測定した引張強度のタテ・ヨコ比が2.3以上であって、かつ該ウエブ中の繊維の配列がマイクロ波透過度のタテ・ヨコ比1.1以上であって、ウエブ表面での液のウエブの横方向にじみ拡がりがウエブ面に千鳥配置又は縦線配置した熱融着部により抑制されていることを特徴とする使い捨て衛生材料用シート達成される。
【0009】通常オムツ製造ラインでシートにかかる張力はそのシートの破断する強さに相当するものではなくそのライン上で加えられる工程にもよるが、極く低い張力であって、一般的にはオムツ全幅に対し1〜6kgであり、速度変化によって高速ほど高張力となるが、平均ほぼ2kg/30cm巾程度であると推定される。したがって、いかに破断強力が強いものであってもラインでかかる張力で、変形し易いものであれば、速度依存性の高いものとなり、低破断強力でもライン張力で変形しにくいものであれば、その走行安定性の優れたものと言える。本発明者らは、コスト面から、同じ重さ(目付)でまたオムツトップシートとしての表面カバー性、風合等を含めた性能面を考え合わせながら改良方法について検討を進め、ウエブ中の繊維の配列にタテ、ヨコ方向差を設けることにより、特に張力の加わる方向(通常ラインではウエブタテ方向)に配列を優位にすることにより、柔軟な繊維でも、低張力での幅変化は少なくなり、全体としての柔軟な風合、表面カバー性を維持したまま、オムツライン上での走行安定性が付与し得ることを見い出した。これはトップシートとして透水性能を付与しての使用、透水部/撥水部を組み合わせて使用するいずれの場合にも有効である。
【0010】本発明者らは一般に液体はウエブ中の引きそろった繊維の配列の良い方に沿って毛細管現象で進み易いことに注目し、そこで前述のように透水性ウエブ中の繊維の配列にタテ・ヨコ方向差を設け、排泄液体がにじんでは困る方向を横切って繊維がより多く配列されるように本発明のシートを用いれば特別な処理を施すことなく排泄液体のにじみを防止することができることを知った。
【0011】特に前記ウエブ中の繊維の接合を線状の部分熱圧着で行えば前記排泄液体のにじみを特定方向に制御して防止することができる。部分熱圧着のパターンの各種の例を図3〜図6に示す。図3は千鳥状配置ピンポイントエンボス5を示し、円形の突起が千鳥状に配置したエンボスロール又はエンボスプレートを用いて得られ、6で示す部分でウエブ中の繊維が部分熱圧着される。図4は縦線エンボス7を示し、W1 のピッチで幅W2 の線状熱圧着部8がウエブの長手方向に平行に配置されている。図5に示すように、線状熱圧着部10が屈折している変形縦(ジグザグ)線エンボス9を用いてもよい。図6は横線エンボス11を示し、W1 のピッチで幅W2 の線状熱圧着部12がウエブの幅方向に平行に配置されている。図3に示す千鳥状ピンポイントエンボス5では毛細管現象を示す繊維層が連続しており、この繊維層の毛細管現象による液のにじみをウエブの特定方向で抑制することができない。しかし図4〜図6に示すように線状熱圧着部を用いれば、熱圧着された部分では繊維が圧着し表裏一体化し、繊維層としては途切れているので熱圧着線に直角な方向には液の繊維間移動が抑制されることになり液のにじみをとめることができる。図4及び図5はウエブの横(幅)方向の液のにじみ制御に有効である。前記図4〜図6に示す線のピッチW1 および線の幅W2 はシートの用いる用途に応じて任意に選定することができる。W1 を小さくW2 を大きくすれば液のにじみを抑制するのに役立つ。W1 を大きく、W2 を小さくすると柔軟となる。W1 が小さすぎたり、W2 が大きすぎると柔軟性を失い好ましくない。逆の関係にすると毛羽立ち、強力低下が起きる。したがって例えばW1 は1〜5mm、W2 は0.1〜1mmの範囲、好ましくはW1 は2〜3mm、W2 は0.2〜0.5mmの範囲にすれば風合、毛羽立ち、強力、にじみ防止効果上好ましい。柔軟性等の点から線状熱着部を例えば1mm以下、好ましくは0.3mmの間隔をあけて不連続にしてもよい。このようにすればシートの柔軟性を保ちながら液のにじみを抑制することができる。
【0012】当然必要によってはタテ、ヨコ方向共にじみ止めする考えで格子状のエンボスパターンを用いることも有用である。図7〜図9に例としてスパンボンド法でのウエブを形成する方法の各種態様を示す。図7(A)において、フィラメント群f1 は紡糸口13aから押出され、高速気流牽引装置13bによって牽引され、ネット状エンドレスベルト14に吸収装置15によって吸引されながら堆積されウエブW1 を形成する。その際図7(B)に例示するようにフィラメントは牽引された糸速とエンドレスベルトとの速度差により落下した点P1 を中心としてエンドレスベルト14の走行方向に細長く延ばされたようなパターンで堆積され、順次重ね合ってウエブとなる。
【0013】図8(A)はフィラメント群f2 をネット状エンドレスベルト14に対して傾斜して吹きつける方法であり、傾斜角を大きくする程、図8(B)に示すように落下点P2 を中心としてより細長く延ばされてフィラメントf2 はネット状エンドレスベルト14上に配置されてウエブW2 を形成する。傾斜角αは任意に選定すればよいがあまり大きくすると形成したウエブの飛散に注意する必要があり、例えば7°程度が用いられる。当然図8(A)に示す吹き付け方向をウエブ進行方向に向けてもよい。
【0014】図9(A)はフィラメント群f3 を円筒形金網製吸引ドラム16上に堆積してウエブW3 を形成させるものであり、この場合は円筒形ドラム16の直径を変更することによってフィラメントのドラム16上の配置をウエブW3 の進行方向により細長くすることができる。当然図8(A)のようにウエブが吹き飛ばない程度ドラムに対し傾斜して吹きつければさらに細長くすることができる。
【0015】以上説明したように本発明のシートはシート中の繊維の配列をシートの長手方向に細長く配列できる方法によって製造されている。その結果前述のようにシート中の繊維の配列にタテ・ヨコ差が生じ、そのタテ・ヨコ差によって不織布のライン上での巾変化を少なくし、低速〜高速での寸法安定性が得られると共に液のにじみ方向をコントロールすることができる。さらにより好ましくは線状の熱圧着部を適切にシートに設けることにより、液のにじみ方向性と速さをさらにコントロールすることができることになる。
【0016】前記シート中の繊維の配列のタテ・ヨコ差は後述の実施例で詳細に説明するようにシートの引張速度のタテ・ヨコ差、およびマイクロ波配向による測定によって証明することができる。
【0017】
【実施例】以下本発明の衛生材料用シートの各種実施例により本発明を詳述する。各実施例の説明に先立ち、本発明のシートの性能評価方法について説明する。
・繊維の配列方向性引張強度のタテ・ヨコ比ウエブの進行方向をタテとし、ウエブの幅方向をヨコとして得られたシートから試料を採取し、JIS−L−1085により引張強度を測定する。得られたタテ強度とヨコ強度の比からシート中の繊維の配列の強さを推定することができる。
マイクロ波による繊維配向マイクロ波分子配向計(神崎製紙(株)製)MOA−2001Aを用いて、試料に偏波したマイクロ波をあて、繊維の分子の双極子との相互作用により、その分子の主軸の配向を検知し、試料を回転することで異方性(配向性)、TDとMD方向の透過マイクロ波の強度比を求める。
【0018】この方法は従来シート等の分子鎖主軸の配向角、配向パターンおよびシートの電気的異方性等を調べる場合に用いられる測定方法であり、図13にポリイミドフィルム(厚さ130μm)の透過マイクロ波強度の角度依存性の測定結果を例示する。図13の場合には分子鎖主軸の配向角が36°であり、Max/Minが3.08であって大きな差があることが確認できる。
【0019】本出願ではこの方法を利用してウエブ中の繊維の配向を確かめたものであり、図14(A)はブラング状態の測定であり、得られた透過マイクロ波強度は360°にわたって等しく、すなわち眞円を示し、図14(B)本発明の実施例2の場合、図14(C)は本発明の実施例3の場合の透過マイクロ波強度を示す。本発明のシートの場合は、試料のMD方向と主配向方向角度差(図中のINCLINE)は繊維の主配列方向を示す。後述の実施例で示すように本発明のシートの場合はその値は極く小さい値である。透過TD/MD比がウエブ中の繊維の配列比に関連する値であり、図14(A)に示すように値が1の場合は等方性を示し、1以上であればタテ方向(MD)に繊維が配列されていることを示し、値が大きい程その配列の程度が強いことを示す。たゞし透過強度による測定のため配向の絶対値を示すものではない。
・透水性図10(A)に示すように試料17を支持体18に固定する。その際試料17の下にティシュ、パルフ等の液吸収体28を置き密着させる。試料17上方15mmのスポイト19から生理食塩水を1滴(0.1cc/個)滴下し、2sec 以内にほとんどの液が試料を通過し吸収体に吸収されるものを透水性があるものとした。
・にじみ拡がりなおシート自体での液のにじみ拡がりを見る際には図10(B)に示すように試料17の下にティシュ、パルプ等の液吸収体を密着させた上で空中で水平に保持する。生理食塩水1滴を滴下し、液滴が透過した時の試料表面での液の拡がりを測定した。
・にじみ長図11に示す器具20を用い、生理食塩水を器具20の槽21に満たし、液面と同一平面の試料台上に試料(幅15mm)22を配置し、試料22の一端2cmを槽21中に浸たす。液中に浸たしてから60sec 後の試料中の液浸透部分23の端部24の位置を測定し、その長さをにじみ長として液が多量に存在する時のにじみ易さを示す。
・ウエブの幅入り3cm幅の試料を把持部間距離20cmで0.2kg/幅の張力をかけ、10sec 後の長さ方向中央部の試料幅を測定し、元の幅(3cm)に対する縮み率を幅入り率とする。この数値は不織布を実際にオムツ製造ラインにかけた際のウエブの走行安定性の良否を示し、安定性のよいもの程幅入り率は小さくなる。
参考例1ポリプロピレン(JIS K7210の条件Kで測定したMFR=38)を240℃の温度で幅方向に拡げて押出したフィラメント群を高速気流索引装置を使用して3,500m/分の速度で牽引して分散させ、図7に示すように紡糸口下45cmで水平方向に移動するネット上に吸引させながらウエブを形成した。このウエブを搬送し、その表面全面に直径0.45Φの凸部を1.5mmピッチで千鳥配置(第3図参照)したエンボスロールと表面平滑ロールとを組合せて得た部分熱圧着ロールに通して目付20g/cm2 の部分熱圧着されたスパンボンド不織布を得た。その際の上下ロールの温度は135℃であり、60kg/cmの圧力が加えられた。得られた不織布中の繊維の単糸デニールは2.3デニールであった。
参考例2参考例1と同一の条件で牽引・分散させたポリプロピレンフィラメント群を移動ネット上に吹引させてウエブを形成するに際して、ウエブ中の繊維が進行方向により配列するように、フィラメントを垂直方向に対して7°の傾斜を持たせて移動ネット上に吹きつけた(図8参照)。得られたウエブに参考例1と同じ条件で千鳥エンボスの熱圧着加工を施して参考例2のポリプロピレンスパンボンド不織布を得た。
参考例3参考例1で用いた移動ネットに代えて直径110cmの円筒形金網製吸引ドラムを用意した。この吸引ドラムを用いることによりウエブ中の繊維が進行方向により配列する状態でウエブを形成させる(図9参照)以外は参考例1と同じ条件を用いて千鳥エンボスの部分熱圧着部を有する参考例3のポリプロピレンスパンボンド不織布を得た。
実施例1〜3実施例1〜3のポリプロピレンスパンボンド不織布は参考例1〜3の不織布のそれぞれに対して液透過性処理剤としてアルキルフェノールエチレンオキサイド付加物を0.5%付与した不織布である。
【0020】すなわち製造条件で見て、実施例1は垂直吸引エンドレスベルト、千鳥エンボスおよび液透過性処理剤付与の不織布、実施例2は7°傾斜エンドレスベルト、千鳥エンボスおよび液透過性処理剤付与の不織布、実施例3は円筒形ドラム、千鳥エンボスおよび液透過性処理剤付与の不織布である。
実施例4、5実施例4、5のポリプロピレンスパンボンド不織布は参考例1、2の不織布を製造する際の千鳥エンボスの部分熱圧着を縦線エンボスの部分熱圧着にそれぞれ変え、その他の条件は参考例1、2と同一にした不織布である。
【0021】用いた縦線エンボスの部分熱圧着は図4に例示する如く、ウエブ中の繊維の配列方向に沿った縞状熱圧着部が形成されるように、幅0.3mm、高さ0.4mmの線状突起部が3mmのピッチで平行に設けられた表面(熱圧着面積比率10%)を有する彫刻ロールと平滑ロールの組合せを用い、135℃の温度下で圧力60kg/cmで行われた。
【0022】したがって、製造条件で見て、実施例4は垂直吸引エンドレスベルト、縦線エンボス、および液透過性処理剤付与の不織布、実施例5は7°傾斜エンドレスベルト、縦線エンボスおよび液透過性処理剤付与の不織布である。
参考例4、5参考例4、5のポリプロピレンスパンボンド不織布は実施例1、2の不織布を製造する際の千鳥エンボスの部分熱圧着を横線エンボスの部分熱圧着にそれぞれ変え、その他の条件は実施例1、2と同一にした不織布である。
【0023】用いた横線エンボスの部分熱圧着は図6に例示する如く、ウエブ中の繊維の配列方向に垂直な方向で縞状熱圧着部が形成されるように、幅0.2mm高さ0.4mmを有する突起部が2mmのピッチで平行に設けられた表面(熱圧着面積比率10%)を有する彫刻ロールと平滑ロールの組合せを用い、135℃の温度下で圧力60kg/cmで行われた。
【0024】したがって製造条件で見て、参考例4は垂直吸引エンドレスベルト、横線エンボス、および液透過性処理剤付与の不織布、参考例5は7°傾斜エンドレスベルト、横線エンボス、および液透過性処理剤付与の不織布である。前記不織布の実施例、参考例についての性能評価結果を表1及び2に示す。
【0025】
【表1】

【0026】
【表2】

【0027】表1及び2に示す参考例1〜3を比較すれば明らかなように、フィラメントを垂直にコンベアベルトの上に堆積させたものもエンドレスベルトの進行速度が速いことから繊維はタテ配列になるが(参考例1)、これらよりも傾斜させてコンベアベルト上に堆積させたり(参考例2)、円筒形ドラム上に堆積させた方が(参考例3)、フィラメントの配列が、引張強度タテ/ヨコ比、マイクロ波配向で示すように、ウエブの長手方向でより良好になる。すなわち繊維の配列のタテ・ヨコ方向差が大きくなる。又フィラメントがウエブの長手方向でより良好に揃うことにより幅入りが少くなり、このことは撥水性不織布としてオムツラインでの走行安定性が良好になることを示す。
【0028】フィラメントの配列のタテ・ヨコ方向差を大きくすることによる効果は液透過性処理剤を付与した実施例2〜3によって示される。すなわちにじみ長は各実施例ともタテ方向で長く、ヨコ方向で短くなり、その傾向は実施例1よりも実施例2および3の場合が大きくなる。したがって使い捨ておむつのトップシートに本発明のシートを用いる場合には排泄液体の漏れを防ぐ方向に合せてシートの向きを適切に選定すればよく、したがって不織布の繊維配列のタテ・ヨコ方向差を利用して漏れの少い使い捨ておむつを作ることができる。
【0029】実施例4、5に示すように縦線エンボスを用いるとヨコ方向の排泄液体のにじみは繊維の配列との相乗効果によって抑えられ、その分だけタテ方向でのにじみ拡がりが大きくなる。したがってこの不織布を使い捨ておむつのトップシートとしてタテ長に使用すれば、おむつの幅方向への排泄液体のにじみが少くなり、例えばおむつの足廻りをつたっての漏れを防止できることになる。
【0030】参考例14、15に示すように、横線エンボスを用いると、ヨコ方向の排泄液体のにじみは繊維配列によって抑制されるが、一方タテ方向のにじみは横線エンボスによって抑制される。したがってこのシートを使い捨ておむつのトップシートとしてタテ長に使用すれば、おむつの腰部に向けての排泄液のにじみを抑えることができ、更に幅方向の漏れ止めにはギャザーを併用すればタテ方向およびヨコ方向両方に漏れ止めすることのできる使い捨ておむつを提供することができることになる。
実施例11参考例3のポリプロピレンスパンボンド不織布をトップシートとして使用するに際して幅方向の中央部のみに(例えば幅30cmの不織布の場合中央の20aの部分)、実施例3の場合と同様に液透過性処理剤を付与した。すなわち図12に示すように中央部25に液透過性処理液を付与し、中央部25の両縁25aの外側の不織布の部分26は撥水性のある状態のまゝにした。この不織布に対してにじみ長を測定すると処理液を付与した部分は60sec 間に40mmのにじみ長を示したが、未処理の部分には試験液は浸透しなかった。次にこの不織布に試験液を滴下すると中央部の処理域25ではタテ長のにじみ拡り27が生じたが両縁25aの部分では27aで示すように試験液は縁25aより外側、すなわち未処理部分26には拡がらなかった。
参考例6〜8、実施例6〜10、参考例9〜10表1のポリプロピレンスパンボンド不織布の各参考例、実施例に対応するポリエステルスパンボンド不織布の参考例、実施例を示す。
【0031】参考例6はポリエステル樹脂(ηsp/c=0.75)を295℃の温度で幅方向に拡げて押出したフィラメント群を高速気流牽引装置を使用して4、700m/分の速度で牽引して分散させ、図7に示すように紡糸口下45cmで水平方向に移動するネット上に吸引させながらウエブを形成させ、搬送されるウエブを、その表面全面に直径0.45Φの凸部を1.5mmピッチで千鳥配置(図3参照)したエンボスロールと表面平滑ロールとを組合せて得た部分熱圧着ロールに通して得た目付18g/m2 のポリエステルスパンボンド不織布である。その際の上下ロールの温度は250℃であり、60kg/cmの圧力が加えられた。得られた不織布の繊維の単糸デニールは2.1デニールであった。
【0032】参考例7は、ウエブ形成を行うに際してフィラメントを垂直方向に対して7°の傾斜を持たせて移動ネット上に吹き付けたものであり、その他の条件は参考例5と同一である。参考例8は参考例6で用いた移動ネットに代えて直径110cmの円筒形金網製吸引ドラムを用いたものであり、その他の条件は実施例13と同一である。
【0033】実施例6〜8のポリエステルスパンボンド不織布は、参考例6〜8の不織布のそれぞれに対して液透過性処理剤としてポリプロピレンオキサイド−エチレンオキサイド付加物を0.2%付与したものである。実施例9、10のポリエステルスパンボンド不織布は実施例6、7の不織布を製造する際の千鳥エンボスの部分熱圧着を縦線エンボスの部分熱圧着にそれぞれ変え、その他の条件は実施例6、7と同一にした不織布である。縦線エンボスの部分熱圧着はポリプロピレンスパンボンド不織布の実施例4、5と同一条件の彫刻ロールと平滑ロールの組合せを用い、但し温度は255℃にして行った。
【0034】参考例9、10のポリエステルスパンボンド不織布は実施例6、7の不織布を製造す際の千鳥エンボスの部分熱圧着を横線エンボスの部分熱圧着にそれぞれ変え、その他の条件は実施例6、7と同一に不織布である。横線エンボスの部分熱圧着はポリプロピレンスパンボンド不織布の参考例4、5と同一条件の彫刻ロールと平滑ロールの組合せを用い、但し温度は255°にして行った。
【0035】前記不織布の参考例6〜8、実施例6〜10、参考例9〜10についての性能評価結果を表3及び4に示す。
【0036】
【表3】

【0037】
【表4】

【0038】得られた結果は表1及び2で示したポリプロピレンスパンボンド不織布の各例での製造条件差に基づく特徴とほぼ同一の特徴を示した。すなわちフィラメントを垂直にコンベアベルトの上に堆積させたものもエンドレスベルトの進行速度が速いことから繊維はタテ配列になるが、さらに、傾斜させてコンベアベルト上に堆積させたり、円筒形ドラム上に堆積させた方が繊維の配列のタテ・ヨコ方向差がより大きくなる。本発明の不織布ではタテ方向が優位になるにしたがい、巾入りは少なくなりオムツラインでの走行安定性がよくなり、さらににじみ長が各実施例ともタテ方向で長く、ヨコ方向で短くなり、その傾向は縦線エンボスの部分熱圧着ロールを用いることにより増大し、一方横線エンボスの部分熱圧着ロールを用いればタテ方向のにじみ長を抑制することができる。
【0039】
【発明の効果】本発明のシートは連続フィラメントのウエブから成り且つウエブ中の繊維の配列がタテ・ヨコ方向差があるように形成されているので、不織シートの本質的な構造により本発明シートを使い捨ておむつ等のトップシートに透水性能を付与しての使用、さらに透水、撥水性を組合せて使用する場合にオムツラインでの走行安定性に優れ、排泄液体のにじみに方向差を与えることができる。したがって、使用時にシートの使用方向に適切に選定することにより、使い捨ておむつとしての排泄液体の漏れを完全に防止することができる。
【0040】本発明のシートはシートの長手方向の縞状の部分熱圧着を施され、その方向を横切る方向での排泄液体のにじみを抑制することができる。
【出願人】 【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成工業株式会社
【出願日】 平成1年9月5日(1989.9.5)
【代理人】 【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬 (外2名)
【公開番号】 特開2001−29390(P2001−29390A)
【公開日】 平成13年2月6日(2001.2.6)
【出願番号】 特願2000−168232(P2000−168232)