| 【発明の名称】 |
治療・検査用パンツ |
| 【発明者】 |
【氏名】杉山 聰二郎
【氏名】矢田 治久
【氏名】西口 毅
【氏名】安陪 等思
【氏名】淡河 喜雄
|
| 【要約】 |
【課題】鼠径部を露出して大腿動脈にカテーテルを穿刺する場合等において、患者はパンツを着用することができず、よって患者が羞恥心を感じ、心理的負担である。そこで本発明は患者の羞恥心等を軽減することのできる治療・検査用パンツを提供することを目的とする。
【解決手段】検査用パンツ10の前面側は右前身頃布片11と左前身頃布片12,陰部覆布片13の3つに分割されている。治療・検査時には右前身頃布片11或いは左前身頃布片12を開放し、鼠径部等に対して処置を行う。陰部等は陰部覆布片13で被覆している。手術室への入退室時においては右前身頃布片11と左前身頃布片12を閉じて、通常のトランクス型パンツ形状にする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 トランクス型の治療・検査用パンツであって、該パンツの前面側が少なくとも陰部覆布片,右前身頃布片及び左前身頃布片に分割され、且つこれら分割布片が前記パンツの後面側布片から延設されており、前記右前身頃布片及び/または前記左前身頃布片が前方に開放可能に構成されたものであることを特徴とする治療・検査用パンツ。 【請求項2】 前記右前身頃布片と前記左前身頃布片は前記陰部覆布片の前面で交差され、これらが互いに離反・再接合可能である様に接合されたものである請求項1に記載の治療・検査用パンツ。 【請求項3】 前記陰部覆布片は前記後面側布片の下端から延設され、その左右両側縁近傍に離形片を備えた接着部材が設けられている請求項1または2に記載の治療・検査用パンツ。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、医学的治療や検査を行う際に着用する治療・検査用パンツ(以下、単に検査用パンツと称することがある)に関するものである。 【0002】 【従来の技術】医療現場において、左或いは右の大腿動脈や上腕動脈等からカテーテルを体内に挿入し、循環器系疾患等の治療や検査がしばしば行われている。例えば血管造影を行うにあたっては、上述の様に体内に挿入したカテーテルから造影剤を注入し、血管影を撮し出している。 【0003】カテーテルの挿入部位としては大腿動脈を用いることが最も多く、実施件数の7〜8割を占めている。この際、患者は鼠径部を露出する必要があるから、パンツを着用することが許されず、従ってパンツを着用せずに手術室(治療・検査室)に赴き、また治療・検査終了後、パンツを着用しないまま自室に戻る。検査中においては、ガーゼ等の局部用覆布を陰部上に載置して隠している。 【0004】また放射線治療の際にも術野が下腹部である場合は、パンツを着用することができず、上記と同様にパンツを着用せずに手術室に入退出し、治療時は局部用覆布を陰部上に載置する。 【0005】図8は上記従来の治療・検査時における患者65の下腹部付近の状態を表す正面図であり、陰部63から恥骨部64にかけて局部用覆布60が載置されている。尚図中、62は腹部、61は下肢である。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】上述の様にして従来では治療・検査が行われており、パンツを着用しないことによる羞恥心から、患者に大きな心理的負担を強いている。またパンツを着用しないという日常と異なる姿をとることから、治療・検査に対する恐怖心を煽り、ひいては患者の上記羞恥心や恐怖心から介助者(看護婦等)との円滑なコミュニケーションが困難となっている。 【0007】本発明は上記観点からなされたものであって、患者の羞恥心や恐怖心を軽減することのできる治療・検査用パンツを提供することを目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明に係る治療・検査用パンツは、トランクス型であって、該パンツの前面側が少なくとも陰部覆布片,右前身頃布片及び左前身頃布片に分割され、且つこれら分割布片が前記パンツの後面側布片から延設されており、前記右前身頃布片及び/または前記左前身頃布片が前方に開放可能に構成されたものであることを要旨とする。換言すれば、本発明は術野上が開放可能に構成された検査用パンツであることを要旨とする。 【0009】手術室への入室時にはパンツ形状とし、治療・検査時においては上記右前身頃布片及び/または上記左前身頃片を開放し、即ち鼠径部等の術野上を開放して治療や検査を行う。次いで手術室からの退室時には再びパンツ形状する。この様に検査用パンツは通常のトランクス型パンツ形状をとることができるから、患者はパンツ形状の上記検査用パンツを着用した状態で手術室への入退出を行うことができ、羞恥心や恐怖心が軽減される。 【0010】また本発明においては、前記右前身頃布片と前記左前身頃布片が前記陰部覆布片の前面で交差され、これらが互いに離反・再接合可能である様に接合されたものであることが好ましい。 【0011】例えば身体右側の術野を開放する必要がある場合は、上記右前身頃布片を上記左前身頃布片から離反して上記術野を露出し、そして再びパンツ形状にするときは、上記右前身頃布片を上記左前身頃布片に再接合する。 【0012】或いは本発明においては、前記右(或いは左)前身頃布片が前記左(或いは右)前身頃布片及び前記陰部覆布片に対して着脱可能に構成されたものであることが好ましい。 【0013】更に本発明においては、前記陰部覆布片が前記後面側布片の下端から延設され、その左右両側縁近傍に離形片を備えた接着部材が設けらていることが好ましい。尚上記接着部材としては両面接着テープや粘着剤等が挙げられる。 【0014】治療・検査時の術野開放の際に、上記離形片を外して上記接着部材の接着面を患者の肌に接着することにより、上記陰部覆布片が肌から容易に外れない様にできる。尚治療・検査前には上記離形片により上記接着部材の接着面を覆っておくことにより、意図しない部位に接着して着心地が悪くなるという事態を防ぐことができる。 【0015】 【発明の実施の形態及び実施例】以下、本発明に係る検査用パンツに関して、実施例を示す図面を参照しつつ具体的に説明するが、本発明はもとより図示例に限定される訳ではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。 【0016】図1は本発明の一実施例に係る検査用パンツ10についての治療・検査前の着用状態を示す正面図であり、図2は該検査用パンツ10を展開した図である。 【0017】検査用パンツ10は図1に示す様にトランクス型をしており、その前面側(正面側)は右前身頃布片11と左前身頃布片12,陰部覆布片13の3つに分割されている。該右前身頃布片11と該左前身頃布片12は該陰部覆布片13の前面で交差され、上記左前身頃布片12は仮止めテープ22によって陰部覆布片13に接合され、これら左前身頃布片12と陰部覆布片13に対して右前身頃布片11が仮止めテープ21と面ファスナー24(鉤型係止部材24a,ループ型係合部材24b)によって接合されている。これら分割布片(右前身頃布片11,左前身頃布片12,陰部覆布片13)はそれぞれ後面側布片14から延設されており、即ち上記右前身頃布片11は後面側布片14の右側縁に、上記左前身頃布片12は後面側布片14の左側縁に接続され、また上記陰部覆布片13は後面側布片14の下端に接続されている。 【0018】また図2に示す様に、上記右前身頃布片11の正中線側縁近傍11a、及び上記左前身頃布片12の下方部分の正中線側縁近傍12bには、それぞれ身体側面に固着用テープ(例えば両面接着テープ)41a,42aが設けられている。該固着用テープ41a,42a上には離形テープ41b,42bが貼られている。上記左前身頃布片12の上方部分の正中線側縁近傍12a、及び陰部覆布片13の正面部左右側縁近傍13l,13rには、それぞれ反身体側面に身体接着用の接着部材(例えば両面接着テープ)32a,33a,34aが設けられている。該接着部材32a,33a,34a上にも離形テープ(離形片)32b,33b,34bが備えられている。尚該検査用パンツ10のウエスト部にはゴムが設けられており、検査用パンツ10がトランクス形態をとっているときには通常のトランクス型パンツと同様の履き心地となる。 【0019】次に上記実施例の検査用パンツ10の使用手順について説明する。 【0020】図3,5,6は上記検査用パンツ10の使用方法を説明する為の正面図で、図4及び図7は該検査用パンツ10についての治療・検査後の着用状態を示す正面図である。尚図1,2と同じ構成部分については同一の符号を付して重複説明を避ける。 【0021】患者65は、図1に示す様にパンツ形状をした上記検査用パンツ10を着用した状態で手術室へ入室する。 【0022】治療・検査にあたり、先ず図3(a)に示す様に仮止めテープ21を剥がし、次いで面ファスナー24を外して右前身頃布片11を開ける(図3(b))。次いで接着部材32a,33aから離形テープ32b,33bを剥がし、左前身頃布片12の上方部分の正中線側縁近傍12a、及び陰部覆布片13の正面部右側縁近傍13rをそれぞれ折り返し、患者65の肌に貼り付けて固定する(図3(c))。 【0023】図3(c)に示す様に右下腹部が露出しているから、例えば右大腿動脈に穿刺する等、右側の術野に対する処置を支障なく行うことができる。また患者65の陰部及び恥骨部は陰部覆布片13により被覆されているから、患者に安心感を与えることができる。尚、接着部材32a,33aで貼付せずに(或いは接着部材32a,33aを有しない検査用パンツを使用して)、左前身頃布片12と陰部覆布片13を患者腹部に載置した状態で治療・検査処置を行っても良いが、上述の様に接着部材32a,33aによって左前身頃布片12と陰部覆布片13を肌に固定することにより、患者65の安心感が増すから好ましい。また肌への接着前において、上記接着部材32a,33a及び離形テープ32b,33bは反身体側面に存在して、肌に触れることがないから、着心地を悪くすることがない。 【0024】右側下腹部のみの処置で済む場合は、治療・検査処置の後、右前身頃布片11の正中線側縁近傍11aの離形テープ41bを剥がし、右前身頃布片11を閉じつつ固着用テープ41aを左前身頃布片12及び陰部覆布片13に貼って固定し、また面ファスナー24の鉤型係止部材24aをループ型係合部材24bに係合させる(図4)。患者65は、図4に示す様にトランクス型パンツ形状となった検査用パンツ10を着用した状態で手術室から退出する。 【0025】一方左側下腹部の処置も続けて行う場合は、図5(a)に示す様に仮止めテープ22を剥がして、左前身頃布片12を開け(図5(b))、次いで接着部材34aから離形テープ34bを剥がし、陰部覆布片13の正面部左側縁近傍13lを折り返して患者65の肌に貼り付けて固定する(図6(a))。この様に貼り付け固定することによって上記と同様に患者65の安心感が増し、好ましい。また上記と同様に肌への接着前では、上記接着部材34a及び離形テープ34bは反身体側面に存在しているから、肌にあたって着心地が悪くなるということがない。 【0026】図6(a)に示す状態で下腹部の術野に対して処置を行う。このとき右側下腹部だけでなく左側下腹部も露出しているから、支障なく処置することができる。また上記と同様に患者65の陰部及び恥骨部は陰部覆布片13により被覆されているから、患者に安心感を与えることができる。 【0027】治療・検査処置が済むと、離形テープ42bを剥がして固定用テープ42aを陰部覆布片13の反身体側面に貼って固定し(図6(b))、次いで離形テープ41bを剥がして固定用テープ41aを左前身頃布片12及び陰部覆布片13に貼って固定し、また面ファスナー24の鉤型係止部材24aをループ型係合部材24bに係合させてトランクス型にする(図7)。患者65は図7に示す如くトランクス型パンツ形状の検査用パンツ10を着用した状態で手術室から退出する。 【0028】以上の様に、患者65は手術室からの入退出時に、トランクス型パンツ形状の検査用パンツ10を着用した状態であるから、患者の羞恥心,恐怖心等の心理的負担が軽減される。 【0029】尚上述の使用法では、治療・検査後に患者65の肌に貼付した接着部材33a,34a(右側のみの処置の場合は接着部材33a,32a)を外すことなく、検査用パンツ10をトランクス型に戻す場合を示したが、接着部材33a,34a(或いは接着部材33a,32a)を肌から外した後、検査用パンツ10をトランクス型に戻すようにしても良い。 【0030】本発明の検査用パンツの素材としては特に制限されるものではなく、一般的に下着に用いられている綿,絹,綿・麻混等の天然繊維やポリエステル等の合成繊維を用いることができる。更に低発塵性や抗菌性を有する素材も使用できる。また織編物,不織布のいずれであっても良く、或いはフィルムであっても良い。尚不織布製の検査用パンツの場合は、縁部の解れ防止処置を施す必要がないから、安価な検査用パンツとすることができ、よって使い捨てとして使用するときにも低コストとなる。 【0031】また上記実施例においては、左右前身頃布片11,12の検査前後の接合・再接合を仮止めテープ21,22と固着テープ41a,42aにより行ったが、これに限るものではなく、例えば面ファスナーを用いて左右前身頃布片11,12の離反・再接合を行っても良い。 【0032】上記実施例では、陰部覆布片13の左右両側縁に接着部材33a,34aを設けたが、これに加えて陰部覆布片13の上縁近傍に身体接着用の接着部材を設けても良い。或いは陰部覆布片13の左右両側縁に接着部材を設けずに、陰部覆布片13の上縁近傍のみに身体接着用の接着部材を設けたものであっても良い。 【0033】更に上記実施例では検査用パンツ10の前面側を3分割したが、3分割に限るものではなく、例えば該前面側をベルト部片,陰部覆布片,右前身頃布片(ベルト部分を除く)及び左前身頃布片(ベルト部分を除く)の4つに分割したものであっても良い。 【0034】また右側だけ、或いは左側だけが開放可能な構造の検査用パンツであっても良い。 【0035】 【発明の効果】本発明に係る検査用パンツによれば、患者は通常のパンツの如くトランクス型パンツ形状をした検査用パンツを着用した状態で、手術室に入退出できるから、患者の羞恥心や恐怖心等が軽減される。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000003160 【氏名又は名称】東洋紡績株式会社
|
| 【出願日】 |
平成11年7月7日(1999.7.7) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100067828 【弁理士】 【氏名又は名称】小谷 悦司 (外1名)
|
| 【公開番号】 |
特開2001−17464(P2001−17464A) |
| 【公開日】 |
平成13年1月23日(2001.1.23) |
| 【出願番号】 |
特願平11−193637 |
|