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【発明の名称】 関節用軸受面の製造方法
【発明者】 【氏名】ダーク プレッチャー

【氏名】スティーブ ティー.リン

【要約】 【課題】耐摩耗特性を有する関節用軸受面を提供する。

【解決手段】整形法用インプラントにおいて使用するための関節用軸受面の製造方法が開示されている。超高分子量のポリエチレンからなるブロックは、超高分子量のポリエチレンの少なくとも一部分を架橋させるのに十分な放射エネルギにより放射される。放射をうけたブロックは、相補形状の関節用軸受面を有する改質装置内に配置される。このブロックは加熱されて相補形状の関節用軸受面に対して押圧され、その結果、関節用軸受面が形成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 整形法用インプラントにおいて使用するための関節用軸受面の製造方法において、超高分子量のポリエチレンからなるブロックを準備する準備工程と、前記ブロックに、前記超高分子量のポリエチレンの少なくとも一部分が架橋するのに十分な放射エネルギを放射する放射工程と、放射をうけた前記ブロックを、相補形状の関節用軸受面を有する改質装置内に配置する配置工程と、前記ブロックを加熱して、前記ブロックを前記相補形状の関節用軸受面に対して押圧することによって前記ブロックを改質する改質工程とを含み、それにより前記関節用軸受面を形成する関節用軸受面の製造方法。
【請求項2】 前記ブロックを前記改質装置から取外す取外し工程と、前記関節用軸受面以外の前記ブロックの一部分を機械加工する機械加工工程とをさらに含み、それにより前記ブロックを前記整形法用インプラントに係合させる請求項1に記載の関節用軸受面の製造方法。
【請求項3】 前記改質工程より前に、前記改質装置内の酸素量を減少させる減少工程をさらに含む請求項1に記載の関節用軸受面の製造方法。
【請求項4】 前記改質装置内の酸素量を減少させる減少工程が、前記改質装置内を真空にすることと、前記改質装置内に不活性ガスを導入することとのうちの一つを含む請求項3に記載の関節用軸受面の製造方法。
【請求項5】 前記ブロックは、架橋した前記超高分子量のポリエチレン内のラジカルが一緒に反応して互いに安定して結合することができる温度にまで加熱される請求項1に記載の関節用軸受面の製造方法。
【請求項6】 前記ブロックが前記超高分子量のポリエチレンの融点よりも高く加熱される請求項5に記載の関節用軸受面の製造方法。
【請求項7】 前記改質装置が圧縮型を具備する請求項1に記載の関節用軸受面の製造方法。
【請求項8】 前記圧縮型が二つの鋳型部分を有していてこれら鋳型部分の間に鋳型キャビティを有しており、放射をうけた前記ブロックが前記鋳型キャビティ内に配置され、前記改質装置が前記鋳型部分を一緒に押圧して前記鋳型部分を加熱するための一対の加熱式プラテンをさらに具備する請求項7に記載の関節用軸受面の製造方法。
【請求項9】 前記ブロックの前記関節用軸受面には、前記ブロックの他の部分よりも多量の放射線量の放射エネルギが放射される請求項1に記載の関節用軸受面の製造方法。
【請求項10】 前記改質工程よりも前に前記ブロックを整形して略最終形状の関節用軸受面を備えるようにした整形工程をさらに含む請求項1に記載の関節用軸受面の製造方法。
【請求項11】 前記整形工程が前記放射工程の後に行われるようにした請求項10に記載の関節用軸受面の製造方法。
【請求項12】 前記改質工程において前記ブロックが最終形状の関節用軸受面を備えるようにした請求項1に記載の関節用軸受面の製造方法。
【請求項13】 前記放射エネルギがガンマ線放射、X線放射、紫外線放射、中性子粒子ビーム、プロトン粒子ビーム、および電子粒子ビームによるエネルギのうちの一つからなる請求項1に記載の関節用軸受面の製造方法。
【請求項14】 前記関節用軸受面が頸骨の膝関節用インプラントに使用できるよう形成される請求項1に記載の関節用軸受面の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は整形法用インプラントに関し、さらに特に整形法用インプラントの関節用軸受面、および関節用軸受面の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】患者の関節を再構築するのに使用される整形法用インプラントは二つのインプラント用半形部を典型的には有しており、これらインプラント半形部のそれぞれは関節用軸受面を形成している。例えば、整形法用の膝関節用インプラントは大腿骨内に配置される基端部構成要素と頸骨内に配置される末端部構成要素とを有している。基端部構成要素は、頸骨の膝関節用構成要素によって形成される非金属製関節用軸受面において回動する金属製関節用軸受面を有している。非金属製軸受面を超高分子量のポリエチレン(ultra−high molecular weight polyethylene(UHMWPE))からなるブロックより形成して、機械加工して関節用軸受面を形成することができる。非金属製軸受面を頸骨用トレーに取り付けて頸骨用トレーによって担持し、次いで、非金属製軸受面を頸骨の随の溝内に挿入される胴部に固定する。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明は、整形法用インプラントにおいて使用するための関節用軸受面の製造方法に関しており、架橋したUHMWPEからなるブロックが略最終形状にされて、熱および圧力状況下において改質されて最終形状の関節用軸受面を形成する。
【0004】本発明の一つの形態において本発明は整形法用インプラントにおいて使用するための関節用軸受面を製造する製造方法を含む。超高分子量のポリエチレンからなるブロックには、超高分子量のポリエチレンの少なくとも一部分が架橋するのに十分な放射エネルギが放射される。放射をうけたブロックは、相補形状の関節用軸受面を有する改質装置内に配置される。ブロックは加熱されて相補形状の関節用軸受面に対して押圧され、その結果、関節用軸受面を形成する。
【0005】本発明の利点は、表面仕上げ状態と耐摩耗特性とが向上している最終形状の関節用軸受面を提供することである。本発明の他の利点は、熱および圧力状況下において関節用軸受面を改質した後に、関節用軸受面を形成する必要がないことである。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の前述した特徴と利点および他の特徴と利点とが、添付図面に関連した本発明の実施態様に関する以下の説明によって明らかとなってさらに理解できるであろう。対応する参照番号は図面全体を通して対応する部品を示している。ここでは実施例は本発明の一つの形態である好ましい実施態様を示しており、そのような実施例は本発明の範囲を制限するものではない。
【0007】図面、特に図1を参照すると、整形法用インプラント、例えば頸骨の膝関節用インプラント14に使用する関節用軸受面12(図2)の製造方法10を示すフローチャートの実施態様が示されている。関節用軸受面12の製造方法10はUHMWPEからなるブロック16を略最終形状にする整形工程(囲み18)から開始される。さらに特に、ブロック16は公知の機械加工プロセスによって整形され、それによりブロック16の周方向縁部は、ブロック16が完全な状態のときに通常要求される形状に概ね一致させられる。ブロック16内において形成される関節用軸受面12の一般的な外形は、整形されるかもしくは略平坦にされる場合があり、このことは、本発明の製造方法10における関節用軸受面12の物理的変形量に応じて定まる。図示される実施態様においては、ブロック16は、関節用軸受面の略最終形状の外形を備えて整形される。
【0008】次いで、略最終形状のブロック16には、UHMWPEの少なくとも一部分において架橋するのに十分な量の放射エネルギが放射される(囲み20)。略最終形状のブロックは放射工程時に酸化作用を妨げる低酸素環境下において放射されて、低酸素環境下において改質工程まで維持されるのが好ましい。あるいは、大型のブロックに対して放射して、次いで、改質工程に先行して、酸化した外側層を除去するよう機械加工してもよい。少なくとも関節用軸受面12に隣接しているUHMWPEが、架橋プロセス時に使用される放射エネルギの量に応じて架橋されて、耐摩耗特性が向上する。放射エネルギは電子ビーム放射の形態であるのが好ましいが、ガンマ線放射、X線放射、紫外線放射、中性子粒子ビーム放射、もしくはプロトン粒子ビーム放射の形態であってもよい。図示される実施態様においては、ブロック16からなるUHMWPEは、約25kGyから500kGyの間、好ましくは100kGyから250kGy、さらに好ましくは140kGyから180kGyの間の全放射線量レベルを形成する10MeVの電子ビームによって架橋される。放射線の貫通量を変更して物性が異なるようにしてもよい。低出力の放射源を使用して貫通作用を少なくさせるか、もしくはブロック16の一部分を遮蔽して貫通作用を少なくしてもよい。多量の放射線量を受けるブロック16の一部分はすぐれた耐摩耗特性を有するのに対し、少量の放射線量を受けるブロック16の他の部分は大きい引張り強さと衝撃強さと破壊靱性とを有する。
【0009】ブロック16を放射エネルギによって架橋させた後、ブロック16は相補形状の軸受面を有する改質装置内に配置される。ブロック16はこの相補形状の軸受面に対して押圧されて、整形法用インプラント14において使用される関節用軸受面を形成する(囲み22)。図示される実施態様においては、改質装置は、二つの鋳型部分26、28を有する圧縮型24の形態をしており、これら鋳型部分の間には鋳型キャビティ30が形成されている。鋳型部分26によって形成される鋳型キャビティ30は相補形状の関節用軸受面32を有しており、ブロック16はこの相補形状の関節用軸受面32に対して押圧されて関節用軸受面12を形成する。
【0010】ブロック16は、鋳型キャビティ30内において相補形状の関節用軸受面32に隣接して略最終形状の関節用軸受面12を備えた状態で配置される。次いで、鋳型部分26、28を一緒に組み立て、鋳型キャビティ30内の酸素量を少なくする(囲み36)。製造プロセス時に鋳型キャビティ30内の酸素量を少なくすることによって、後述される加熱して押圧する工程のときにUHMWPEが酸化するのを妨げることができる。鋳型キャビティ30を、鋳型キャビティ30に連通して配置されたポート34に取り付けられた真空源(図示しない)によって真空にすることによって、鋳型キャビティ30内の酸素を少なくすることができる。あるいは、不活性ガス、例えば窒素もしくはアルゴンをポート34に通して鋳型キャビティ30内に導入してもよい。
【0011】圧縮型24は一対のプラテン38の間に配置されており、この圧縮型24によって、鋳型部分26、28を一緒に押圧する(線40によって示される)ことと、鋳型部分26、28を主として伝導による伝熱作用によって加熱することとが行われる(囲み44)。各プラテン38は、例えば電気導体42を介して電源に接続されている一体的なヒータ(図示しない)を有している。
【0012】ブロック16は同時に押圧されて加熱され、それによりブロック16は最終形状の関節用軸受面を備えるよう改質される(囲み44)。改質プロセス時に、ブロックはUHMWPEの融点よりも高く加熱されるのが好ましい。UHMWPEをその融点よりも高く加熱することによって、架橋工程時に形成されるUHMWPE内のラジカルがUHMWPE内の他のラジカルと共に反応して、その結果安定して結合する。改質プロセス時に、最終形状の関節用軸受面12を形成してUHMWPE内のラジカルを少なくできるのに必要とされる時間は、当然のことながら、改質プロセスを行う温度に応じて定まる。改質プロセス時に必要とされる時間は数分間から数時間であってもよく、この時間は、UHMWPEの温度がUHMWPEの融点よりもかなり高いか、もしくはUHMWPEの融点で維持されるかまたはこれよりわずかに低いかに応じて定まる。
【0013】最終形状の関節用軸受面12が圧縮型24内のブロック16内に形成された後に、ブロック16を冷却して圧縮型24内から取外す(囲み46)。次いで、ブロック16の一部分を適切な機械加工プロセスによって機械加工してブロック16を頸骨の膝関節用インプラント14に係合できるようにする。例えば、関節用軸受面12にほぼ対向する仮想の側部線48上のブロック16の一部分を適切な機械加工プロセスによって整形するか、および/または除去することにより、ブロック16を頸骨の膝関節用インプラント14に係合させることができる。当然のことながら、ブロック16を機械加工して、頸骨の膝関節用インプラントに係合させるための固定構造部および/または結合構造部を形成してもよい(囲み50)。
【0014】図示される実施態様においては、ブロック16は、圧縮型24と加熱式プラテン38とによって熱および圧力状況下において改質される。しかしながら、熱を加えて加圧する他の適切な改質方法、例えば均衡状態形成技術、スタンピング技術、熱成形技術などを使用してもよい。整形法用インプラントにおいて使用するための関節用軸受面を製造する本発明の製造方法によって、物性が向上している関節用軸受面を製造することができる。架橋時に使用される放射エネルギによる貫通深さを制限することによって、関節用軸受面を形成するUHMWPEの耐摩耗特性が向上し、さらに少ない放射線量を受けるブロック16の一部分の他の物性、例えば引張り強さと衝撃強さと破壊靱性とが大きくなる。成型された最終形状の関節用軸受面12を形成するためにブロック16を熱および圧力状況下において改質することによって、関節用軸受面12は、機械加工された関節用軸受面と比較した場合にその表面仕上げ状態が向上している。最終形状の関節用軸受面12の平滑さが向上することによって、使用時に患者の体内における摩擦を少なくすることができる。
【0015】本発明を本発明の好ましい形状に関して説明したが、本発明を開示の精神および範囲内においてさらに改良することができる。それゆえ、本願明細書は一般原則に基づいてあらゆる変更例、使用例、もしくは適用例を含むようになっている。さらに、本願明細書は、本発明が属していて添付される特許請求の範囲内に含まれる技術分野において公知もしくは慣例的に実施される本願の開示の範囲内にそのような試みを含んでいる。
【出願人】 【識別番号】391015708
【氏名又は名称】ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL−MYERS SQUIBB COMPANY
【出願日】 平成12年6月19日(2000.6.19)
【代理人】 【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬 (外4名)
【公開番号】 特開2001−17455(P2001−17455A)
【公開日】 平成13年1月23日(2001.1.23)
【出願番号】 特願2000−187529(P2000−187529)