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【発明の名称】 骨補綴用スペーサ
【発明者】 【氏名】入江 洋之

【要約】 【課題】本発明は、スペーサ自身がリモデリングを受けて、経時的に自家骨に置換され、正常な骨の構造を再建する骨補綴用スペーサを提供する事を目的とする。

【解決手段】本発明は、自家骨移植において、骨より移植用骨を採取した後の骨欠損部に補填する骨補綴用スペーサにおいて、β−リン酸三カルシウムを原料とし、100μm以上の径の気孔を少なくとも1つ以上有し、気孔が連通した気孔率60から75%の多孔質柱体よりなる事を特徴とする骨補綴用スペーサである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】自家骨移植において、骨より移植用骨を採取した後の骨欠損部に補填する骨補綴用スペーサにおいて、β−リン酸三カルシウムを原料とし、100μm以上の径の気孔を少なくとも1つ以上有し、気孔が連通した気孔率が60〜75%の多孔質柱体よりなる事を特徴とする骨補綴用スペーサ。
【請求項2】請求項1において、上記柱体の両端面に凸部を設けた事を特徴とする骨補綴用スペーサ。
【請求項3】請求項1において、柱体の一方の端面に凸部を設け、柱体の他方の端面に凹部を設けた第1のスペーサと、柱体の両端面にそれぞれ凸部を設けた第2のスペーサとを組み合わせて使用する事を特徴とする骨補綴用スペーサ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、採骨後の骨欠損部に補填する補綴用スペーサに関する。
【0002】
【従来の技術およびその問題点】自家骨移植において、腸骨または腓骨から移植骨を採取する事が行われている。腓骨を採取する例では、採骨後の骨欠損部に何も補填しない場合には、筋力低下、足関節の不安定性、脛骨の疲労骨折、残存腓骨の骨萎縮などの合併症があると報告されている(臨整外・33巻3号)。
【0003】そこで、最近は、欠損部に対して水酸アパタイト(HAP)系セラミック製のスペーサを補填する事が行われている。
【0004】しかし、従来のHAP系のスペーサは、骨と化学的に結合する性質を有しているが、異物として長期的に残存してしまい、本来の骨構造を再建しないという欠点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の欠点に対して、スペーサ自身がリモデリングを受けて経時的に自家骨に置換され、正常な骨の構造を再建する骨補綴用スペーサを提供する事を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、自家骨移植において、骨より移植用骨を採取した後の骨欠損部に補填する骨補綴用スペーサにおいて、β−リン酸三カルシウムを原料とし、100μm以上の径の気孔を少なくとも1つ以上有し、気孔が連通した気孔率60〜75%の多孔質柱体よりなる事を特徴とする骨補綴用スペーサである。
【0007】請求項2に係る発明は、請求項1において、柱体の両端面に凸部を設けた事を特徴とする骨補綴用スペーサである。
【0008】請求項3に係る発明は、請求項1において、柱体の一方の端面に凸部を設け、柱体の他方の端面に凹部を設けた第1のスペーサと、柱体の両端面にそれぞれ凸部を設けた第2のスペーサとを組み合わせて使用する事を特徴とする骨補綴用スペーサである。
【0009】
【発明の実施の形態】(第1の実施形態)第1の実施形態に係る腓骨スペーサを、図1をもって説明する。図1はその腓骨スペーサ1を示す斜視図であり、直径Dが10〜15mm、長さLが50〜200mmの円柱体2の両端面中央にそれぞれ凸部3を設けた構造となっている。腓骨スペーサ1の本体たる円柱体(柱体)2はβ−リン酸三カルシウム(β−TCP)を成分とし、100μm以上の径の気孔を少なくとも1つ以上有し、気孔が連通した気孔率60〜75%の多孔体から成るものである。β−TCPはメカノケミカル法により合成されたものが望ましい。
【0010】これを使用する場合、骨膜を可及的に保存して腓骨を採取した後、骨膜下に、この腓骨スペーサ1を補填する。補填後、腓骨スペーサ1は材料の吸収と骨形成が経時的に進行して自家骨に置換され、リモデリングにより正常な構造の腓骨を再建する。上記腓骨スペーサ1の両端に形成された凸部3が髄腔に嵌り込むため、安定した補填状態を得る事が出来る。
【0011】(第2の実施形態)第2の実施形態に係る腓骨スペーサを、図2をもって説明する。図2は、その腓骨スペーサ1,4を示す斜視図であり、一方の腓骨スペーサ1の円柱体2は上記第1の実施形態のものと、材料成分、気孔性状が同一であるが、その円柱体2の長さLが、5〜50mmであり、一方の端面に凸部3を有し、もう一方の端面には他の腓骨スペーサ4の凸部3と嵌り合う凹部5が設けられる。
【0012】他の腓骨スペーサ4としては第1の実施形態のものと同様のものである。腓骨スペーサ1,4は円柱体2の長さが種々のもの、例えば50mm、20mm、10mm、5mmのものが用意される。
【0013】この第2の実施形態のものでは、腓骨の欠損部に応じて、これらのスペーサ1,4を適宜、組み合わせて連結し、所定の長さにして用いる。このため、自在な採骨の長さに対応した補填が可能である。また、異なる長さの腓骨スペーサ1,4を多数用意しておくことにより種々の大きさの欠損部に対応して適切な補填ができる。
【0014】(第3の実施形態)第3の実施形態を、図3をもって説明する。この第3の実施形態では円柱体2の一方の端面に台形状の凸部3を設け、円柱体2の他方の端面には上記同様の台形状の凸部3が軸方向に対し垂直方向から挿入出来る台形状の凹部6を設けたスペーサ7と、円柱体2の両端面に上記スペーサ7の凸部3と同様の台形状の凸部3を設けたスペーサ8とがある。
【0015】2つのスペーサ7,8を使用する場合には一方のスペーサ7の凹部6に、他のスペーサ8の一方の凸部3を嵌め込んで2つのスペーサ7,8を連結する。3つ以上のスペーサ7,8を用いる場合にはスペーサ7の凹部6に同種のスペーサ7の凸部3を嵌め込んで連結する。さらにスペーサ7に同種のスペーサ7を連結することができるが、最後に連結したスペーサ7の凹部6にスペーサ8の凸部3を嵌め込んで連結する。
【0016】以上の如く、採骨の長さに応じて対応した長さになるように、スペーサ7,8の種類と数を選び、それらを一列に連結して組み立てる。連結したスペーサ7,8の両端に凸部3があることになる。
【0017】(第4の実施形態)第4の実施形態を、図4乃至図9をもって説明する。この第4の実施形態は骨採取器具の例を示すものである。
【0018】図4は使用状態における骨採取器具の全体の斜視図である。同図4中符号11は規制部材であり、この規制部材11は矩形板状に形成されている。規制部材11の各辺の隅にはそれぞれスリット12が設けられている。各スリット12はそれぞれ近縁の規制部材11の端に対して平行に配置されている。
【0019】4つのスリット12にはそれぞれノミ13が挿入される。ノミ13はスリット12の数に対応した数のものがある。ノミ13にはスリット12に密に摺動する板状の本体部分14とその本体部分14の先端に形成された刃部15と本体部分14の基端に形成された叩き部16が形成されている。図6で示すように、ノミ13の先端の内側壁面には引っ掛かり部17が設けられている。
【0020】規制部材11の各スリット12はその内側が補填材料の外寸に沿った寸法関係で四角形に配置される。このため、図4および図5で示すように、4つのスリット12に対してノミ13をそれぞれ差し込むと、各ノミ13は補填材料の外寸に沿った寸法関係で四角形の縁辺に配置され、各ノミ13の内側には補填材料の外寸の大きさの採寸領域が形成される。なお、ノミ13の刃長は現実的な切れ味が実現できる15mm以下である。
【0021】ノミ13の叩き部16はその補填材料の外寸に沿った寸法の四角形領域の外側へ延出し、その上端面によって比較的広い叩き面18を形成し、オフセットする下端面によって突き当て面19を形成している。
【0022】また、規制部材11の上面には、スリット12より外側にオフセットする位置で上記ノミ13の突き当て面19と対向する位置規制面20が形成されている。ノミ13がスリット12に押し込める量Lはその突き当て面19が位置規制面20に突き当たる位置によって決まる。
【0023】次に、図7〜図9を用いて、骨採取器具の使用例を説明する。
(a) 図7で示すように、腓骨等の目標とする骨面に骨採取器具の規制部材11を載せる。規制部材11の各スリット12にそれぞれノミ13を差し込む。すると、各ノミ13は補填材料の外寸に沿った寸法関係で四角形に配置される。各ノミ13の刃部15の刃先は規制部材11の下面に一致する。このときのノミ13の突き当て面19と規制部材11の位置規制面20との間の距離Lが、これから採取する骨の深さと同じくなる。各ノミ13を手で僅かに軽く押し込むことにより刃部15の刃先が骨面に僅かに喰い込ませ、骨採取器具の位置決めするとよい(図7)。
【0024】(b) 叩き部16の叩き面18をトンカチ等で叩く(図8)。そして、ノミ13の突き当て面19が規制部材11の位置規制面20に突き当たるまで、ノミ13を骨に突き刺す。
【0025】(c) ノミ13の先端に付いている引っ掛かり部17が採取する骨に引っ掛かる。採取する骨に引っ掛かり部17を引っ掛けたまま、図9で示すように、骨採取器具の全体を引き抜く。すると、骨片21が採取できる。
【0026】(d) 目的とする処置を実施後、採取後の空部に補填材料を充填する(図9)。補填材料としては上述したようなスペーサ22を用いることになる。
【0027】この骨採取器具の機能的特徴は次の通りである。
■規制部材11のスリット12の位置が、骨片削除後の補填する補填材料の外寸に沿った寸法関係で四角形に配置され、骨切除位置を規制する。
【0028】■ノミ13の叩き面18を利用し、トンカチ等で叩くことにより、スリット12の摺動面とノミ13の摺動平面が面接触することで、円滑な進退、垂直性を規制・維持しつつ、規定された位置にノミ13を入れて行くことができる。
【0029】■スリット12の位置規制面20とノミ13の突き当て面19とが接し、安全かつ適切な位置となるように、ノミ13の突き込み量を規制する。
【0030】■骨内に突き込まれたノミ13の先端にある複数の引っ掛かり部17を利用して骨片21を取り出す。
【0031】そして、この骨採取器具によれば、従来行われていた骨片または補填材料の形状加工調整が不要となり、術者はその煩雑な作業から解放される。
【0032】(第5実施形態)第5の実施形態を、図10をもって説明する。この第5の実施形態は骨採取器具の変形例である。
【0033】この第5の実施形態の骨採取器具はノミ13の数が第4実施形態の4つに対し6つに増えている。対向する1組のスリット12に2つのノミ13を嵌め込むようにした。その他の構成は第4実施形態でのものと同じであり、その作用も同様である。
【0034】この第5の実施形態の骨採取器具によれば、採取する骨の一辺が長くてもその1つの辺に複数のノミ13を配置し、各ノミ13の刃長が現実的な切れ味が実現できる15mmに設定することができる。より大きな骨片の取り出しが可能となる。
【0035】(第6実施形態)第6の実施形態を、図11及び図12をもって説明する。この第6の実施形態は骨採取器具の変形例である。
【0036】この第6の実施形態の骨採取器具は、第4の実施形態および第5の実施形態と異なり、上述したようなノミがないものである。さらに規制部材11の裏側にはいわゆる剣山の様な突起25が骨ひっかり部材として形成されている。
【0037】この第6実施形態ではノミが「通常のノミ」を使う事となり、規制部材11のスリット12はそのノミのガイドとして作用する。各スリット12の内辺25の輪郭がスペーサ22の外形に沿う大きさになっている。また、作用は同じだが、骨片取り出し用の引っ掛かり部材17に相当する突起が規制部材11側に設けられている。
【0038】この第6実施形態の骨採取器具によれば、術者が使い慣れている器具(通常のノミ)をそのまま使用することで違和感なく操作できる。さらに、第4の実施形態および第5の実施形態と異なり、ノミがない分、骨採取器具自体がコンパクトなものとなる。
【0039】本発明は前述した実施形態のものに限定されるものではない。上記実施形態の説明によれば少なくとも以下に列記する事項及びその任意の組み合わせの事項のものが得られる。
【0040】<付記>1.自家骨移植において、骨より移植用骨を採取した後の骨欠損部に補填する骨補綴用スペーサにおいて、β−リン酸三カルシウムを原料とし、100μm以上の径の気孔を少なくとも1つ以上有し、気孔が連通した気孔率60〜75%の多孔質円柱体よりなる事を特徴とする骨補綴用スペーサ。
【0041】2.第1項において、多孔質円柱体の原料のβ−リン酸三カルシウムがメカノケミカル法により作製される事を特徴とする骨補綴用スペーサ。
【0042】3.第1項において、長さが5〜200mmの円柱体によって形成した事を特徴とする骨補綴用スペーサ。
【0043】4.第1項において、外径が10〜15mmの円柱体によって形成した事を特徴とする骨補綴用スペーサ。
【0044】5.第1項において、円柱体の両端面にそれぞれ凸部を設けた事を特徴とする骨補綴用スペーサ。
【0045】6.第1項において、円柱体の一方の端面に凸部を設け、円柱体の他方の端面に凹部を設けた第1のスペーサと、円柱体の両端面にそれぞれ凸部を設けた第2のスペーサとを組み合わせて使用する事を特徴とする骨補綴用スペーサ。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように本発明のスペーサを骨欠損部に用いる事で、骨本来の構造を有する骨が再建できる。また、これにより、再度の採骨も可能となる。さらに、自在な長さの採骨にも対応することができるという効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス光学工業株式会社
【出願日】 平成11年7月9日(1999.7.9)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外4名)
【公開番号】 特開2001−17454(P2001−17454A)
【公開日】 平成13年1月23日(2001.1.23)
【出願番号】 特願平11−196508