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【発明の名称】 生物用注射器
【発明者】 【氏名】川島 道広

【氏名】谷口 武志

【氏名】麻生 尚

【氏名】柴山 信幸

【氏名】田中 一人

【要約】 【課題】家畜等の生体への薬液注射の作業を安全且つ迅速に実施することができる生物用注射器を提供することを目的とする。

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】バレルに内挿されるピストンの操作により薬液がバレル先端の注射針から被射体内に送出される生物用注射器において、バレル外周に、先端に注射針の突出孔を有するカバーが進退可能で且つ注射針の先端方向に付勢されて嵌挿され、不使用時には注射針を覆い隠す位置に保持され、該カバーの先端を被射体に圧接することにより付勢に抗しつつ後退し、注射針が前記突出孔から突出して被射体に注射すること特徴とする生物用注射器【請求項2】前記カバーは先端を半球に形成し基端を開口させた円筒形であり、前記注射針の突出可能な突出孔は前記半球の中央に設けられることを特徴とする請求項1の生物用注射器【請求項3】バレルのスペースに注射液を供給するチューブがバレルに連結部材によって連結されており、該連結部材の首部にカバーの基端開口から先端に向けて設けられた第1のスリットが嵌まって、カバーがバレルに対して進退可能となっていることを特徴とする請求項1の生物用注射器【請求項4】カバーの基端に近接して前記第1のスリットから続く第2のスリットが円周方向に設けられ、このスリットに前記連結部材の首部を係合させることにより注射器の非使用時に常時注射針を覆い隠すことを特徴とする請求項3の生物用注射器【請求項5】カバー外周のほぼ中央と基端には円周方向に突条が設けられ、その突条の間には環状体が進退可能に嵌装されると共に、該環状体と前記中央の突条との間にコイルバネが嵌挿されていることを特徴とする請求項3の生物用注射器
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、家畜等の生物に薬液を注射する注射器に関し、特に注射器の非使用時に装着している注射針を覆い隠すことができる生物用の注射器に関するものである。
【0002】
【従来技術と問題点】従来、動物を飼育する際の重要作業の一つに、病気予防のために実施される定期的な薬液注射があるが、この薬液注射の作業は、生物は本能的に注射を嫌って暴れ、制御の効かない多数の生物におこなうため、薬液等注射を実施する飼育員にかかる負担は肉体的また精神的にも相当なものであった。このため、予期せぬ被射体の動きによるミスや薬液注射を実施している飼育員の疲労もあり、これにより注意力の低下によるうっかりミスも発生している。
【0003】その主なものは、注射器に装着している注射針の刺し傷が多く、家畜に薬液を注射しようと置いている注射器を取り上げるときに、誤って指または指先が注射針に触れて注射針を刺してしまったり、あるいは注射針で皮膚を引っ掻いてしまったりすることによる怪我が多いのである。また、疲労の増加により、注射器が関連する以外のミスも発生している。
【0004】このため、発明者らは、魚の注射器に関して、注射針の上下に30°ないし60°の扇開角度を持たせたアームを取り付け、この間に魚を導き、注射作業をすることを提案している。しかしこのアームは、魚のようにその間に入る小さな生物には有効であるが、それ以上の大きさの生物においては利用できない。また、適当な大きさの生物でもアームの間に的確に案内することは熟練を要することである。このため、熟練を必要とせずまたどんな生物にも適用可能な注射器の開発が切望されていた。
【0005】
【目的】本発明は上述した問題点に鑑みてなされたもので、生物への薬液注射の作業を安全且つ迅速に実施することができる生物用注射器を提供することを目的とするものである。
【0006】
【問題を解決するための手段】本発明の要旨とするところは、バレルに内挿されるピストンの操作により薬液がバレル先端の注射針から被射体内に送出される生物用注射器において、バレル外周に、先端に注射針の突出孔を有するカバーが進退可能で且つ注射針の先端方向に付勢されて嵌挿され、注射器の非使用時には注射針を覆い隠す位置に保持され、該カバーの先端が被射体に圧接されることにより付勢に抗しつつ後退し、注射針が前記突出孔から突出して被射体に注射されること特徴とする生物用注射器である。
【0007】本発明の注射器を説明すると、生物とは生命を有する対象すべてを含み、家畜などの動物はもちろん、植物も含む。そして、本注射器は、薬液を溜めるバレルと、薬液をバレル内に吸引また被注射体に注入するためのハンドルに接続されたピストンと、被注射体である家畜等の生物に刺し入れる注射針等を有しており、また、連続的に薬液を被注射体に注入する連続式の注射器である場合には、注射器のバレルに薬液の吸引バルブを有した連結部材が設けられ、その連結部材に吸引針を有するチューブが接続されている。
【0008】この注射器のバレルの外周に、注射針が突出する突出孔を有したカバーが進退可能に嵌挿され、且つ注射針の先端方向に向かってコイルバネにより付勢されており、注射器を使用しない時にはカバーによって注射針が覆い隠されるようになっている。カバーの形状は、先端が半球に形成され基端が開口とされた円筒形であり、半球の先端中央には注射針が突出する突出孔が設けられている。突出孔の径や円周の形状も適宜好適なものとすればよい。
【0009】また、カバーをバレルに連結部材が設けられた連続式の注射器に嵌挿する時には、カバーの基端開口から先端に向けて連結部材の首部に嵌まる幅の第1のスリットを設けて、このスリットを連結部材の首部に嵌めてカバーがバレルに対して進退可能となるようにするのがよい。
【0010】さらに、カバーの基端に近接して第1のスリットから続く第2のスリットを円周方向に設けて、注射器を使用しない時にこのスリットに連結部材の首部を係合させることにより常時注射針を覆い隠すようにしてもよい。すなわち、連結部材の首部を第2のスリットに係合させることによって、カバーの進退動作を抑止する。
【0011】したがって、注射器をもち、カバーを被射体に当て押込むと、注射針のみが被射体内に刺され、押当ての力を開放すると、カバーが復帰し、注射針を隠すことになる。カバーを付勢する方法も特に限定するものではないが、カバー外周のほぼ中央と基端の円周方向に突条を設けて、その突条の間に環状体を進退可能に嵌装し、環状体と中央の突条との間にコイルバネを嵌挿して付勢するのがよい。突条や環状体の幅や高さも特に限定するものではない。また、コイルバネのコイル数や付勢力も特に限定するものではないが、カバーを容易に動かすことができなければならない。
【0012】また、カバーの構造を突出孔を有する針カバー部と第1のスリットおよび第2のスリットを有する針カバーホルダー部からなる2ピース構成としてもよい。具体的には、針カバー部の基端と針カバーホルダー部の先端および基端に螺子を螺刻して、針カバー部を針カバーホルダー部の先端に螺着し、また、カバー外周のほぼ中央と基端の円周方向に設ける突条も、環状体の内壁に螺子を螺刻して針カバーホルダー部の先端と基端の螺子にそれぞれ螺着すればよい。その際環状体の螺着からなるそれぞれの突条間に環状体とコイルバネを嵌挿すればよい。
【0013】前記針カバー部および針カバーホルダー部を含めカバーの材質は樹脂や金属等を適宜用いて形成すればよく特に限定するものではないが、好ましくは内部を透視できる透明カバーとするのがよい。また、コイルバネの材質も特に限定するものではないが、ステンレス等の防錆を有するものを用いるのがよい。また、部材の硬度も特に限定するものではなく使用に際し支障がなければ硬質材や軟質材を適宜用いればよい。
【0014】
【作用】本発明の生物用注射器は以上のように構成されているので、注射器を使用しない時にはカバーはコイルバネの付勢力によって注射針を覆い隠す位置に進出されており、また、バレルに有する連結部材の首部に第2のスリットを係合することによりカバーの進退動作は第2のスリットの側壁により抑止される。これにより注射針は常時カバー内に隠される。
【0015】注射器を使用する時には第2のスリットに係合する連結部材の首部を第1のスリットに係合させるべくカバーを円周方向に回し、首部を第1のスリットの位置に合わせる。これにより、カバーは首部を第1のスリットに係合させて進退可能となる。すなわち、カバーのロックを解除するための操作である。
【0016】注射に際して、注射器のバレル内に薬液を吸引し被射体にカバーの先端を押し当てるとカバーは後退すると共に、注射器の先端に取り付けられた注射針がカバー先端の突出孔から突出し生物の体内に刺入する。刺入したらピストンと接続されているハンドルを押して薬液を生物の体内に注入する。注入が完了して注射針を被射体から抜くと共に、カバーはコイルバネによって進出され注射針を覆い隠す。
【0017】
【実施例】本発明の生物用注射器の一実施例を以下図面に従って説明する。本図に示すカバーは透明のものであるがこれに限定されるものではない。図1は、生物用注射器の側面図であり、1は本発明に係わる注射器、2は薬液を溜めるバレル、3はバレル2の薬液を押し出すピストン、4は生体内に刺し入れ薬液を注入する注射針、5は注射器1の非使用時に注射針4を覆い隠すカバー、6はカバー5の先端に設けられた注射針4が突出する突出孔である。
【0018】8はカバー5の外周のほぼ中央に設けられた突条、9はカバー5の外周の基端に設けられた突条、10はカバー5の外周に進退可能に嵌装されたリング、11はカバー5の外周に嵌装されたコイルスプリングで、カバー5を注射針4の先端方向に進出させる。
【0019】14はバレル2に設けられた薬液を供給するチューブが接続される連結部材、14aは連結部材14の首部、15はチューブの接続口、16は注射器1を支持する持ち手、17はピストン3を押すハンドルである。図2は、生物用注射器の底面図であり、12はカバー5に設けられた第1のスリット、13は第2のスリットである。
【0020】図3は、カバーの斜視図であり、5はカバー、6は注射針4の突出孔、7はバレル2に嵌まる開口、8はカバー5の外周のほぼ中央に設けられた突条で、コイルスプリング11の一端を係止する。9はカバー5の外周の基端に設けられた突条で、カバー5の抜け止めとなる。
【0021】10はカバー5の外周に進退可能に嵌装されたリング、11はカバー5の外周に嵌装されたコイルスプリングで、カバー5がバレル2にセットされた時カバー5を注射針の先端方向に進出させる。12は連結部材14の首部14aに嵌まる第1のスリット、13は第1のスリット12から続く円周方向に設けられた第2のスリットで、首部14aをこれに係合させることによりカバー5が常時注射針を覆い隠す。すなわち、カバー5をロックさせるスリットである。
【0022】図4は、カバーがロックされた状態の部分拡大図であり、接続口15を有する連結部材14の首部14a(連結部材14の陰)に第2のスリット13が係合しており、カバー5の進退動作は第2のスリット13の側壁により抑止される。図5は、カバーが進退可能な状態となる位置の部分拡大図であり、接続口15を有する連結部材14の首部14a(連結部材14の陰)に第1のスリット12が係合しており、カバー5は進退可能となる。
【0023】図6は、カバーが退出した状態の部分拡大図であり、生体にカバー5の先端を押し当てることにより、カバー5は連結部材14の首部14a(連結部材14の陰)に第1のスリット12を係合させて退出し、カバー5の先端に有する突出孔6から注射針4が突出して注射針4が生内に刺し入れられる。また、薬液の注入を終え生体から注射針4を抜くことにより、カバー5はコイルスプリング11によって進出されて注射針4を覆い隠す。
【0024】図7は、2ピース構造のカバーの分解側面図であり、50は突出孔51を有する針カバーで、針カバー50の基端には螺子52が螺刻される。53は第1のスリット54および第2のスリット55を有する針カバーホルダーで、針カバーホルダー53の先端に螺子56が基端に螺子57が螺刻される。
【0025】また、58/59は内壁に螺子が螺刻された突条リングであり、リング10とコイルスプリング11を針カバーホルダー53の外周に嵌装して螺子56/螺子57に螺着される。そして、針カバー50の螺子52と針カバーホルダー53の螺子56が螺着されカバーが構成される。
【0026】
【効果】本発明の生物用注射器は以上のように構成されているので、被射体に薬液を注射する際は、注射器のバレル内に薬液を吸引し家畜等の生物の皮膚にカバーの先端を押し当てることによりカバーは自動的に後退し、注射針がカバー先端の突出孔から突出して生物の体内に刺入される。また、生物への薬液の注入が完了して注射針を生物から抜くと、カバーはコイルバネによって進出されて自動的に注射針を覆い隠す。
【0027】このように、注射針は薬液注射の作業中カバーで覆われているため、注射針が原因となる怪我の発生もなく、家畜への薬液注射の作業を安全且つ迅速に実施することができる。薬液注射の作業が終了して注射器を保管する時には、カバーをロックオンすることによりカバーの進退動作は抑止されるため、安全に注射器を保管することができる。
【0028】また、被射体の制約を受けず、どのような被射体にも使用可能である。さらに、カバーが内部を透視することができる透明部材からなるものは、注射針の状態や注射針の接続状態等を確認することができ、異常の際の処置も迅速に対処することができ、よって作業上においても有利となり更なる安全の向上に繋がるものである。
【出願人】 【識別番号】000237824
【氏名又は名称】富士平工業株式会社
【出願日】 平成11年12月20日(1999.12.20)
【代理人】 【識別番号】100071238
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 恒久
【公開番号】 特開2001−170090(P2001−170090A)
【公開日】 平成13年6月26日(2001.6.26)
【出願番号】 特願平11−361573