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【発明の名称】 家畜の臍帯挟扼具
【発明者】 【氏名】阿部 紀次

【氏名】津村 直美

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】一端が軸支され、他端において係止可能な上顎と下顎とからなり、一方の顎には少なくとも複数のリブが長手方向に設けられ、他方の顎には閉じられたとき前記複数のリブと互い違いとなる位置に1つまたは複数のリブが長手方向に設けられており、それぞれのリブ上に軟質材が着設されていることを特徴とする家畜の臍帯挟扼具【請求項2】前記軟質材が、海綿状樹脂からなることを特徴とする請求項1の家畜の臍帯挟扼具【請求項3】それぞれのリブ上縁が中央において凹弧状に湾曲していることを特徴とする請求項1の家畜の臍帯挟扼具
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、出生仔牛等の仔家畜の臍帯を持続的に圧迫挫滅して擠帯の乾燥化を促進する臍帯挟扼具に関するするものである。
【0002】
【従来技術と問題点】臍帯は、分娩前の母牛と仔牛をつなぎ、分娩後には自然に退化して萎縮そして脱落する特殊な組織である。この臍帯は、出生直後では血管や神経が生きている生身の無防備状態であるため、常に細菌等の感染の危険にさらされているのである。もしも臍帯が感染してしまうと、臍帯炎を発症し臍帯膿瘍や化膿性関節炎などの敗血症・臍ヘルニア・発育不良などの症状として現れてしまう。そして、臍帯の大きな仔牛は感染の可能性が高いことから、売却時にその価格が通常より大きく下回り、特に今日の多頭数飼育の現状では売却益の損失は大きく、酪農家にとっては多大な問題となっている。
【0003】従来、出生仔牛の臍帯の処置としては種々の方法が紹介されており、具体的には、ヨード剤を塗布した後に臍帯の基部を紐等で結紐したり、ヨード剤または抗生物質軟膏を臍帯内に注入したりする方法がある。
【0004】しかし、繁忙を極める出産時に臍帯の基部を紐等で適切に結紐することはかなりの熟練を要し、ヨード剤または抗生物質軟膏を臍帯内に注入したりする方法は、酪農家向けの雑誌や講演会等で紹介されたものであって、未だ確立されたわけではない。このように、出生仔牛の臍帯の処置としては確立されたものがないため、その処置の方法また器具の開発が多くの酪農家から切望されている。
【0005】
【目的】本発明は上述した問題点に鑑みてなされたもので、出生仔牛等の仔家畜の臍帯を簡単且つ確実に閉鎖することができると共に、数日間に及ぶ挟扼状態をも確実に維持することができる家畜の臍帯挟扼具を提供することを目的とする。
【0006】
【問題を解決するための手段】本発明の要旨とするところは、一端が軸支され他端が係止可能な上顎と下顎とから成り、一方の顎には少なくとも複数のリブが長手方向に設けられ、他方の顎には顎が閉じられたとき前記複数のリブと互い違いとなる位置に1つまたは複数のリブが長手方向に設けられており、それぞれのリブに軟質材が着設されていることを特徴とする家畜の臍帯挟扼具である。
【0007】本発明の家畜の臍帯挟扼具をさらに詳しく説明すると、上顎となる上部挟持板と下顎となる下部挟持板から構成されており、それぞれの挟持板の一方の端は軸支されて、その軸支部を支点として挟持板部が開閉する。この軸支の解釈としては、上顎及び下顎が軸によって回動自在に接続された状態と、上顎と下顎が一体成型されて上顎と下顎の境の部分が折曲可能な構造に形成された状態のそれぞれを含むものである。
【0008】上顎及び下顎には長手方向に1つまたは複数のリブが設けられており、それぞれのリブの位置は、一方のリブの間に他方のリブが位置するように、すなわち互い違いの位置に設ける。また、それぞれのリブにはスポンジ等海綿状の軟質材を着設する。ここにリブとは、壁のような連続する突条を意味するが、必ずしも連続したものではなく、間に切れ目があるものでもよい。具体的には、上顎に2本のリブを設けたならば、下顎には上顎の2本のリブの間に位置するように1本のリブを設ける。また、上顎に3本のリブを設けたならば、下顎には2本のリブが設けられることになる。このように上下のリブは互い違いに位置するものであり、また複数のリブの間隔は、他の顎のリブが入っても十分なスペースがあるほどのものでり、その噛み合い深さは、それほど深くする必要はない。
【0009】上顎と下顎になる上部挟持板及び下部挟持板は、通常の板体にリブを突設したものであっても、また四辺に壁を有す凹部形状の内部にリブを突設したものであってもよい。なお挟持板のどちら側を上顎または下顎とするかは特に限定するものではない。そして、リブは中央部を浅く凹弧状に湾曲させるのがよく、その湾曲度は特に限定するものではなく、臍帯を挟扼し易いものとすればよい。その凹弧状の形成方法も、リブの中央部のみを湾曲させる方法、また、挟持板を湾曲させてリブの中央部を同時に湾曲する方法としてもよい。
【0010】上顎と下顎は先端において係止可能となっておりその係止部材は雌雄の部材をきつく嵌合する等の方法により係止できるものであればいかなるものでもよく、適宜好適方法また構造によって構成すればよい。具体例としては、上顎に係合アームを設け、下顎に係止突起を設けて、係合アームを係止突起に引っ掛けて挟扼状態を維持できるようにすればよい。また、本臍帯挟扼具の素材も特に限定するものではなく、適宜好適な素材から形成すればよいが、一体成型可能な樹脂素材で形成するのがよい。
【0011】
【作用】本発明の家畜の臍帯挟扼具は以上のように構成されているので、仔牛が生まれた場合、仔牛の臍帯の基部にヨード剤等の消毒薬を塗布し、臍帯を引き延ばした状態で本臍帯挟扼具を臍帯の基部に当接させて上顎と下顎で挟み付け、上顎の係合アームを下顎の係止突起に引っ掛けて係止する。
【0012】この係止により、臍帯は波状に浅く変形して保持され、臍帯の口がしっかりと閉塞され、且つ水分は海綿状の軟質部材に吸収されることになる。上顎及び下顎に有するリブの中央部が凹弧状に湾曲させると挟み付けた臍帯は座りがよく臍帯は閉鎖され続けると共に、数日間に及ぶ挟扼状態を維持することができる。
【0013】
【実施例】本発明の家畜の臍帯挟扼具の一実施例を以下図面に従って説明すると、図1は、本発明に係わる家畜の臍帯挟扼具の斜視図であり、1は本発明の臍帯挟扼具で、上顎2になる上部挟持板5と下顎3になる下部挟持板6から構成されており、軸支点4を支点として上部挟持板5と下部挟持板6は開閉する。また、係合アーム9及び係止突起10によって、上部挟持板5と下部挟持板6は係止され挟扼状態を維持する。
【0014】7は上部挟持板5の長手方向に設けられた上部リブで、8は下部挟持板6の長手方向に設けられた下部リブである。本図では、上部リブ7を2本、下部リブ8を3本としているが、これに限定されるものではなく、上部リブ7を3本、下部リブ8を2本とし、あるいは、上部リブ7を2本、下部リブ8を1本としてもよい。すなわち、上部リブ7と下部リブ8は、それぞれ間に位置するような配置とすればよい。11は上部リブ7及び下部リブ8の上面に着設されたスポンジである。
【0015】図2は、スポンジを取り除いた状態の臍帯挟扼具の斜視図であり、上部リブ7及び下部リブ8の中央部は凹弧状に湾曲している。図3は、スポンジを取り除いた状態の臍帯挟扼具の正面図で、図4は、臍帯挟扼具の側面図で、図5は、上顎と下顎を係止した状態の臍帯挟扼具の側面図である。
【0016】図6は、スポンジを取り除いた状態の他の一例の臍帯挟扼具の斜視図であり、下顎3になる下部挟持板6の係止突起10側と軸支点4側に壁12を設けたものである。また、図示はしていないが、下部挟持板6のみに限ることなく上顎2になる上部挟持板5に同様な壁12を設けてもよい。
【0017】図7は、臍帯挟扼具の使用状態を示す図であり、13は仔牛胴部、14は臍帯基部、15は臍帯で、仔牛が生まれた場合は、仔牛胴部13の臍帯基部14にヨード剤等の消毒薬を塗布し、臍帯15を引き延ばした状態で臍帯挟扼具1を臍帯基部14に当接させて上部挟持板5と下部挟持板6で挟み付け、上部挟持板5の係合アーム9を下部挟持板6の係止突起10に引っ掛けて係止させる。
【0018】
【効果】本発明の家畜の臍帯挟扼具は以上のように、上顎と下顎が一端で軸支され、他端に係止可能となっており、その上に互い違いにリブが形成され更に海綿状の軟質部材が着設されているので、出生仔牛等の仔家畜に際しては、その臍帯を上顎と下顎の間に挟んで、先端を止めればよいので、簡単に装着でき、確実に臍帯の閉鎖をすることができると共に、海綿状の軟質材料のため常時水分が吸収され、臍帯の周囲に良好な乾燥状態を提供でき、数日間に及ぶ挟扼状態を確実に維持することができる。かくして本臍帯挟扼具を装着した出生仔牛の臍帯は、無処置の臍帯に比べ極めて短時間の内に乾燥が始まるため、臍帯の脱落までの期間を大幅に短縮することに成功したものである。
【0019】このように本臍帯挟扼具は、疾病の感染の危険から素早く出生仔牛を保護することができると共に、処置の有無を臍帯挟扼具の装着の有無で判断することができるため、今日のような多頭数飼育している現状では作業効率の向上に多大な効果を発揮するものであり、よって、収益向上にも貢献するものである。また、臍帯挟扼具の保管に際しても、個別包装により常に清潔に保管することができる。
【出願人】 【識別番号】599162794
【氏名又は名称】阿部 紀次
【識別番号】599162808
【氏名又は名称】津村 直美
【出願日】 平成11年11月18日(1999.11.18)
【代理人】 【識別番号】100071238
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 恒久
【公開番号】 特開2001−137265(P2001−137265A)
【公開日】 平成13年5月22日(2001.5.22)
【出願番号】 特願平11−328586