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【発明の名称】 歯科用陶材
【発明者】 【氏名】冨田 弘正

【氏名】久世 征夫

【要約】 【課題】焼成により微膨張し、焼成後の強度が歯科臨床に耐え得る歯科用補綴物を作成するための歯科用陶材を提供する。

【解決手段】アルミニウム粉末を主体とする金属粉末および/または金属酸化物粉末の混合物を原料とし、成形焼成することによって人工歯冠を作製するための歯科用陶材であって、該陶材の焼成後の寸法/焼成前の寸法>1であること、および焼成後の曲げ強度が200MPa以上であることに特徴付られる歯科用陶材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 アルミニウム粉末を主体とする金属粉末および/または金属酸化物粉末の混合物を含み、成形、焼成することによって人工歯冠を作製するための歯科用陶材であって、該陶材の焼成後の寸法/焼成前の寸法>1であること、および焼成後の曲げ強度が200MPa以上であることに特徴付られる歯科用陶材。
【請求項2】 アルミニウム粉末を主体とする金属粉末および/または金属酸化物粉末の混合物を加圧成形により固形化させて得られるブロックである、請求項1記載の歯科用陶材。
【請求項3】 成形圧を20〜50MPaの圧力にて行う、請求項2記載の歯科用陶材。
【請求項4】 アルミニウム粉末を主体とする金属粉末および/または金属酸化物粉末の混合物、結合材、滑材、可塑材、および助剤を含有するコンパウンド組成物である、請求項1記載の歯科用陶材。
【請求項5】 アルミニウム粉末を主体とする金属粉末および/または金属酸化物粉末の混合物、結合材、滑材、可塑材、および助剤を含有するコンパウンド組成物を射出成形してなるブロックである、請求項4記載の歯科用陶材。
【請求項6】 アルミニウム粉末を主体とする金属粉末および/または金属酸化物粉末の混合物、結合剤、解膠材、溶媒から成る鋳込み成形用スラリー組成物である、請求項1記載の歯科用陶材。
【請求項7】 アルミニウム粉末を主体とする金属粉末および/または金属酸化物粉末の混合物がアルミナ粉末を含有する混合物である、請求項1〜6いずれかに記載の歯科用陶材。
【請求項8】 アルミニウム粉末を主体とする金属粉末および/または金属酸化物粉末の混合物がアルミニウム粉末50〜85重量%およびアルミナ粉末15〜50重量%を含有する、請求項7記載の歯科用陶材。
【請求項9】 アルミニウム粉末を主体とする金属粉末および/または金属酸化物粉末の混合物が酸化ジルコニウム粉末を含有する混合物である請求項1〜7いずれかに記載の歯科用陶材。
【請求項10】 アルミニウム粉末を主体とする金属粉末および/または金属酸化物粉末の混合物がアルミニウム粉末のみからなる、請求項1〜6いずれかに記載の歯科用陶材。
【請求項11】 請求項1〜10いずれかに記載の歯科用陶材を成形加工し、次いで焼成する工程を含む、歯科用補綴物の作製方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ウ蝕や事故によって損傷した歯を元来の形状および機能を有するように歯にかぶせるセラミックス製の内冠(コア)、オンレー、ラミネートベニア、及びクラウン等の人工歯冠を作製するのに用いることのできる歯科材料である歯科用陶材、および人工歯冠の作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に損傷した歯を、元来の形状および機能を有するように修復する際に用いられる人工歯冠は、材料によって、メタルセラミックスクラウンと、オールセラミックスクラウンとに区別される。
【0003】メタルセラミックスクラウンは、金、銀、白金、またはパラジウムのような貴金属合金や、ニッケル、クロム、コバルトのような卑金属合金により作製された金属冠に、セラミックスの陶材粉末を溶着させて、自然の歯と類似する色調を発揮するようにしたものであり、現在、人工歯冠の主流を占めている。しかしながら、このようなメタルセラミックスクラウンは外観上、審美性が乏しく、そのうえ患者によっては、金属に対する過敏な反応を起こす可能性がある。
【0004】オールセラミックスクラウンは、人工歯、補綴物の全てをセラミックス材料のみによって作製し、削除された歯質上に接着させる歯冠である。このオールセラミックスクラウンは、前記メタルセラミックスクラウンとは異なり、自然の歯と同様な色調に容易に作製することができ、優美な審美性を発揮し、生体との適合性が優れ、人体への過敏な反応が発生しないため、現在、多くの関心が集まっている。
【0005】そこで前記メタルセラミックスクラウンをオールセラミックスクラウンによって代替しようとする研究が盛んに行われ、それに用いられる多様なセラミックス材料と、製造工程とが開発されている。しかしながら、セラミックス固有の低い靭性および物理的材料強度により、十分臨床に耐えうる強度と高い適合精度を兼ね備えた製品はまだ知られていない。
【0006】従来のオールセラミックスクラウンは、メタルセラミックスクラウンに比べて審美性には優れているが、その機械的強度に問題があった。しかしこの機械的強度の強いものとしては、近年、Procera AllCeram, In-Ceram等のメタルセラミックスクラウンに遜色無い強度を有する材料が開発されている。
【0007】しかしかかるオールセラミックスクラウンは、焼成時の焼成収縮及び結晶化(セラミング)時に収縮することが知られており、歯冠修復物に対する加工精度を維持するのが大変である。
【0008】In-Ceramに関しては、米国特許第4,772,436に開示されているごとく、アルミナまたはアルミナとジルコニアの混合物をセラミックスの原料として用いたものであり、これに水を添加して懸濁液を調製し、さらに安定化剤としてポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、セルロースエステルまたは珪酸ナトリウムを添加し、さらにpH調整剤を添加したものである。得られた懸濁液は、歯の模型に被覆して基本構造を形成し、次いで熱処理によりこの模型を収縮させて分離させ、補綴物を得るというものである。
【0009】このIn−Ceramによる歯科用補綴物を調製する際に用いられる型は、たとえば乾燥の際に膨張する半水石膏(CaSO4・1/2H2O)によって、あるいはアルミナ、シリカのような耐火性の材料と、珪酸ナトリウム、珪酸エチル、硫酸アンモニウム、燐酸アンモニウムのごとき結合剤を添加した混合物を用いて製造してもよい。かかる型に被覆されたセラミックス原料は、焼成し、開孔型の骨組み構造を形成させ、得られた骨組み構造にガラスを浸透させて陶材内冠を製造している。この骨組み構造は焼成される際に収縮するが、上記歯の模型を作成する際の膨張によりこの収縮は相殺されるため、高い精度が確保できる。
【0010】ニアネットシェイプ(nearnet shape)性の高い、適合精度の高い歯冠修復物を作るため、近年CAD-CAMシステムの制御下でのオールセラミックスクラウンを作る試みがなされている。しかしながら、陶材原料として用いられるブロックはいずれも焼成により収縮するため、CAD&CAMシステムにて成形加工する際には、測定したデータを元に収縮見込み分を拡大した値に基づいて加工することが行われている。
【0011】一般工業界では、従来よりニアネットシェイプ(near-net shape)の技術として反応焼結(raction-bonded)が知られている。発表されている反応焼結の論文を以下に列記する:【0012】1. Yosiyuki Yasutomi,Akio Chiba,and Masahisa Sobue,"Development of Reaction-Bonded Electrconductive Sillcon Nitride-Titanium Nitride and Resistive Sillcon Nitride-Aluminum Oxide Composites"J.Am.Ceram.Soc.,74[5]950-57(1991)ニアネットシェイプについて言及されている。寸法変化は、0.3%以下である。また、曲げ強度は、460MPaである。
【0013】2. Suxing Wu and Nils Claussen,"Fabrication and Properties of Low-Shrikage Reaction-Bonded Mullite"J.Am.Ceram.Soc.,74[10]2460-63(1991)収縮率0.1%、強度は、290MPaである旨が開示されている。又、Introductionにおいてreaction-bonded Al2O3(RBAO)では現在5%〜10%の線収縮が発生しているが、将来、Zr,Cr,SiC等を添加することにより、ゼロ収縮のRBAOが作られるであろうと述べられている。
【0014】3. Suxing Wu,Dietmar Holz,and Nils Claussen,"Mechnisms and Kinetics of Reaction-Bonded Aluminum Oxide Ceramics"J.Am.Ceram.Soc.,76[4]970-80(1993)ZrO2添加のRBAOが作製されるであろうと述べられている。
【0015】4. Dietmar Holz,Suxing Wu,Sven Scheppokat,and Nils Claussen,"Effect of Processing Parameters on Phase and Microstructure Evolution in RBAO Ceramics"J.Am.Ceram.Soc.,77[10]2509-17(1994)1,Introduction でRBAOは低収縮〜収縮ゼロのAl2O3セラミックスであると述べられている。
【0016】5. Suxing Wu,"Reaction Bonding and Mechanical Properties of Mullite/Silicon Carbide Composites"J.Am.Ceram.Soc.,77[11]2898-904(1994)reaction-bondedコンポジットの線収縮は、7.2%,4.8%、3%であり、強度は、610,580,490MPaであると述べられている。1,Introduction においてRBAOで無収縮のnet-shapeな成型は、アルミニウム単独では不可能で、焼成収縮を減らす為に、他のセラミックスや金属を添加する必要があると述べられている。
【0017】6. Nils Claussen ,Rolf Janssen,and Dietmar Holz,"Reaction Bonding of Aluminum Oxide(RBAO)"Journal of Ceramic Society of Japan 103[8]749-758(1995)2,The RBAO process 2.1 Technology において、収縮を減らして無収縮にするために、Zr,Cr,Ti,Nb,Si,SiC,etcを添加することができると述べられている。
【0018】7. 大塚 敦、富岡 聡志、原田 真二“無収縮アルミナ材料”「粉体および粉末冶金」44,729-733(1997)線収縮率が0.7%,6%,10%である述べられている。
【0019】以上のように一般工業界では、従来よりニアネットシェイプの技術として反応焼結(reaction-bonded)の報告が数多くあるが、どれも収縮を示しており歯科用に用いることが出来なかった。
【0020】従来よりAl2O3-Alの系として公知であるReaction Bonding of Aluminum Oxide(RBAO)では、歯科用陶材冠組成物としての具備しなければならない強度を達成しているものもある。しかしながら、いずれも焼成時に収縮するため、適合性について好ましいものはない。
【0021】臨床上、歯冠修復物に必要な加工精度は、セメントラインとして、約20〜70μm大きいものが望ましい。通常技工士は辺縁部で30μm程度の精度で適合するように加工している。RBAO系では現在のところ、高い精度での加工が可能なよう焼成により膨張し、かつ一定以上の強度を提供するものは存在しない。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、RBAO系の歯科用陶材において、焼成によりわずかに膨張し、かつ一定以上の強度が得られる歯科用陶材を提供することを目的とする。
【課題を解決する手段】
【0023】本発明者らはアルミニウム粉末を主体とする金属粉末および/または金属酸化物粉末の混合物を原料として用い、焼成により微膨張する歯科用陶材を提供できることを見出し、本願を完成した。
【0024】本発明は、アルミニウム粉末を主体とする金属粉末および/または金属酸化物粉末の混合物を含み、成形、焼成することによって人工歯冠を作製するための歯科用陶材であって、該材料の焼成後の寸法/焼成前の寸法>1であること、および焼成後の曲げ強度が200MPa以上であることに特徴付られる歯科用陶材を提供する。
【0025】なお、本明細書において「アルミニウム粉末を主体とする」とは、金属粉末および/または金属酸化物粉末の混合物中、アルミニウム粉末を50重量%以上含有することを意味する。
【0026】本明細書において、歯科用陶材の寸法とは線寸法をいうものとする。本明細書においては歯科用陶材を25mm×6mm×2mmに成形加工した試験片の、焼成前後の線寸法を測定して、その膨張率を計算した。
【0027】曲げ強度とは歯科用セラミックの国際規格ISO 6872(1995)に準じて3点曲げ試験により測定されるものをいう。本明細書においては25mm×6mm×2mmに成形加工し、これを焼成した試験片の3点曲げ強度を測定した。
【0028】本発明の歯科用陶材の1態様としては、金属粉末および/または金属酸化物粉末の混合物が、アルミニウム粉末100%から構成されるものが挙げられる。
【0029】本発明の歯科用陶材の別の態様としては、アルミニウム粉末を主体とする金属粉末および/または金属酸化物粉末の混合物が、アルミナ粉末を含有する混合物である。
【0030】本発明のさらに別の態様としては、アルミニウム粉末を主体とする金属粉末および/または金属酸化物粉末の混合物が酸化ジルコニウム粉末を含有する混合物である。
【0031】本発明の更なる態様としては、アルミニウム粉末を主体とする金属粉末および/または金属酸化物粉末の混合物がアルミナ粉末および酸化ジルコニウム粉末を含有する混合物である。
【0032】本発明の歯科用陶材は、アルミニウム粉末を主体とする金属および金属酸化物粉末の混合物あるいは、該粉末混合物を適当な媒体とともに湿式混合した後に乾燥させて得られる乾燥組成物であってもよい。さらに(1)粉末混合物または乾燥組成物を加圧成形したブロック、(2)粉末混合物及び/または乾燥組成物と、結合材、滑材、可塑剤および助剤を混合して得られる射出成形用コンパウンド組成物、これを射出成形したブロック、(3)粉末混合物及び/または乾燥組成物と結合材、解膠材、溶媒を混合して作製される鋳込スラリー組成物も本発明の範囲である。
【0033】本発明の歯科用陶材の各態様は、従来から良く知られた技術により人工歯冠用陶材内冠(コア)、オンレー、ラミネートベニア、クラウンなどの所望の形状に成形加工し、その後酸化雰囲気下で焼成される。いずれの態様においても、本発明の歯科用陶材は焼成後の寸法が焼成前のものより大きくなり、好適な適合性を示す。また、本発明の歯科用陶材は、焼成後の曲げ強度200MPa以上を示す。
【0034】
【発明の実施の形態】本発明の歯科用陶材の原料として用いるアルミニウム粉末としては、平均粒子径0.1μm〜500μmのもの、好ましくは0.1μm〜100μmのもの、さらに好ましくは0.1μm〜50μmのもの、最も好ましくは0.1μm〜0.5μmのものを用いる。アルミニウムは純度99%以上のもの、特に99.99%以上のものが好ましい。
【0035】本発明の歯科用陶材の原料として用いるアルミナ粉末としては、平均粒子径0.1μm〜500μmのもの、好ましくは0.1μm〜100μmのもの、さらに好ましくは0.1μm〜50μmのもの、最も好ましくは0.1μm〜0.5μmのものを用いる。アルミナは純度99%以上のもの、特に99.99%以上のものが好ましい。アルミナの一部は板状アルミナ、例えばLonza製板状アルミナ(α型 平均粒径16μmアスペクト比5〜20 純度99%単結晶)、ファイバー、例えばEFG法によるサファイア(α−Al23)の連続繊維あるいはウィスカー、例えば径3〜50μm、長さ1〜3mmの針状、リボン状のα型Al23ウィスカーであってもよい。
【0036】本発明の歯科用陶材の原料として用いる酸化ジルコニウム粉末としては、平均粒子径が0.1μm〜500μm、より好ましくは0.1〜50μmのものがよい。また更に、0.1μm以下のものが好ましい。
【0037】酸化ジルコニウムは、純度が95%以上のものが好適に用いられ、好ましくは純度99%以上、さらに好ましくは99.9%以上のものである。
【0038】本発明の歯科用陶材の原料としてのアルミニウム粉末を主体とする金属粉末および/または金属酸化物粉末の混合物としては、アルミニウム粉末を50から100重量%、特に50から85重量%含有するものが好適に用いられる。結合材成分を含まない歯科用陶材組成物の場合は、アルミニウム粉末が50〜55重量%含まれているのが好ましく、以下に示すコンパウンド組成物の場合には、アルミニウム粉末が75〜85重量%、またスラリー組成物の場合には、アルミニウム粉末が80〜100重量%含まれているものが好ましい。
【0039】アルミナ粉末を用いる場合、アルミナ量としては10〜50重量%、好ましくは15〜50重量%である。アルミナとして一部が板状および/またはファイバーまたはウイスカーアルミナを用いる場合、その添加量は、全アルミナ成分の5〜50重量%、より好ましくは15〜40重量%とするのがよい。
【0040】酸化ジルコニウムを含有する場合、酸化ジルコニウムはアルミニウム粉末を主体とする金属粉末および/または金属酸化物粉末の混合物全体の10〜25重量%含有されていることが好ましい。酸化ジルコニウムおよびアルミナの両方を含有する場合、それぞれの含有量は、重量比をAl/Al23/ZrO2=50〜95/5〜50/1〜25とするのが好ましい.
【0041】さらに、金属粉末および/または金属酸化物粉末の混合物は、Zr、Cr、Ti、Nb、SiおよびSiCからなる群より選ばれた1種または2種以上の無機材料を含有させてもよい。さらにムライトの板状および/またはファイバーおよび/またはウイスカーを含有することも可能である。上記無機材料の添加量は、金属粉末および/または金属酸化物粉末の混合物全体の5〜25重量%である。
【0042】本発明の歯科用陶材は、アルミニウム粉末を主体とする金属粉末および/または金属酸化物粉末の混合物を、有機溶媒の下で磨砕、混合し、乾燥させて得られる乾燥組成物であってもよい。乾燥後に適当なメッシュで篩にかければ、顆粒状の混合物が得られ、取り扱いしやすい。
【0043】乾燥組成物を作製する際に、本発明に用いる金属粉末および/または金属酸化物粉末を湿式にて磨砕、混合するには、純度の高いアルミナ製ポットおよびボールを用いて、ポット混合、磨砕を行うのが好ましい。乾燥組成物は、ポット中へ原料粉末および有機溶媒を投入し、有機溶媒の存在下で粉末を湿式混合し、次いで乾燥させることによって得られる。湿式混合する際に、混合、磨砕を十分行うほど、良好な歯科用陶材が得られる。
【0044】湿式混合する際に用いる有機溶媒としては、無水エタノール、アセトン、2-プロパノ-ルが例示される。なお、湿式混合の際はアルミニウムへの物理吸着水や化学結合水が含まれないよう、注意する必要がある。水の存在によりアルミニウムが水酸化アルミニウムに変化すると、後の焼成時にブローティングの原因となり好ましくない。湿式混合により内容物粉末の粒径が0.1〜0.5μmとなるよう作製するのが好ましい。
【0045】湿式混合したものの乾燥は、従来良く知られた方法、例えばロータリーエバポレーターなどを用いて行えばよい。乾燥後の組成物は、80mesh 〜200mesh のナイロン篩で篩うことにより顆粒化され、取り扱いが容易となる。
【0046】アルミニウム粉末を主体とする金属粉末および/または金属酸化物粉末の混合物に板状アルミナ、ファイバー、ウィスカー等を合わせる場合には、原料を配合当初より添加する。
【0047】本発明の乾燥組成物は、歯科技工士等が以下に示すごとき加圧成形ブロック、コンパウンド組成物、あるいはスラリー組成物を作製する材料として好適に用いられる。
【0048】本発明の歯科用陶材は、上記で得られた乾燥組成物を加圧成形したブロックであってよい。加圧成形ブロックを作製する際、上記乾燥組成物に加えて快削性向上のために重合度の調整されたポリエチレン、ポリプロピレン、酢酸ビニル等の熱可塑性バインダーを10重量%以下の含有量で添加する。この場合、脱脂工程が必須となる。
【0049】本発明の加圧成形ブロックはこれを所望の形状に成型した後焼成して歯科用補綴材料を作製することができる。加圧成形ブロックは、乾燥組成物を、バインダーを加えない状態で適当な型、例えば14mm×14mm×18mmに入れ、適当な成形圧で成形すればよい。成形圧は、20〜50MPa、特に40〜50MPaとするのが好ましい。加圧には、例えばラバープレスを用い、冷間静水圧下でブロックを成形すればよい。
【0050】こうして得られるブロックは、切削により、人工歯冠用陶材内冠(コア)、オンレー、ラミネートベニア及びクラウンなど所望の形状に加工し、これを焼成して、歯科用補綴物を作製すればよい。切削による成形加工は、従来から用いられているCAD/CAM技術の制御下において、ダイヤモンド砥石などの通常良く知られた道具を用いて、所望の形状に作製すればよい。CAD&CAMシステムを用いた切削方法は当業者にはよく知られている。歯科で用いられているCAD&CAMシステムは支台歯模型の形を計測し、支台歯に適合するように切削加工を行う。切削は乾式で行うことが好ましい。本発明の歯科用陶材は切削加工後の焼成により微膨張するため、CAD&CAMシステムにおいて大きめのサイズに作製する必要は無く、測定したそのままの大きさで作製することができる。切削により得られる成形加工品は次いで、焼成して歯科用補綴物として提供される。
【0051】本発明の歯科用陶材は、上記乾燥組成物と結合材、滑材、可塑剤および助剤とを混合したコンパウンド組成物であってもよい。コンパウンド組成物としては、本発明の乾燥組成物と、従来歯科用陶材のコンパウンド組成物の成分として用いられてきた各成分を含有することができる。乾燥組成物が本発明のものであればその他の成分については特に限定されないが、特に以下のごとき組成:乾燥組成物 100重量部結合材 8〜40重量部滑材 0〜40重量部可塑剤 0〜15重量部助剤 0〜8重量部のものが好適に用いられる。結合材は15〜40重量部であるものが特に好ましい。乾燥組成物と、他の成分との混合は、従来良く知られたコンパウンド組成物製造工程、即ち原料秤量→混練→造粒の順で行えばよい。混練、造粒工程は例えば従来からコンパウンド組成物の製造に良く使われている加熱式ニーダーを用い、適当な形状のものを得ればよい。コンパウンド組成物の形状は特に限定されないが、例えば粒径約3mmの顆粒状とするのが、扱いやすく、好ましい。
【0052】コンパウンド組成物を作製するにあたって、結合材、滑材、可塑材としては、いずれも従来公知のものを用いることができる。例えば結合材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、アタクチックポリプロピレン、メタアクリル、ポリスチレン、ポリブチルメタクリレート、ポリエチレンビニルアセテート、エチレン酢ビ共重合体、アクリル共重合体等が例示される。滑材としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタンワックス、ステアリン等が例示される。可塑材としては、フタル酸系(メチル、エチル、ブチル、オクチル)等が例示される。助剤としてはステアリン酸、ステアリン酸ブチル、樟脳、ナフタリン等が例示される。
【0053】コンパウンド組成物は、適当な型を用いた射出成形によりブロックを調製し、射出成形ブロックの形態であってもよい。射出成形ブロックは、市販の射出成形機を使用して射出成形して作製することができる。例えば、射出成形機として東芝機械(株)IS 1000 EN−i3Zを用い、型締め圧150MPa最大射出圧125MPaの圧力、100〜160℃の温度にて行えばよい。得られたブロックは、上記CAD&CAMシステムなどにより切削して所望の形状に形成加工すればよい。
【0054】又は、コンパウンド組成物は、所望の歯科用補綴物の型内へ直接射出成形してもよい。型としては、歯科臨床でよく用いられているロストワックス法で調製したもの等、従来から知られた型を用いることができる。射出成形の手順は、上記と同様のものを採用することができる。
【0055】コンパウンド組成物の成型加工品は焼成前に脱脂する。脱脂は従来行われているいずれの方法により行ってもよいが、典型的には、室温〜200℃まで20℃/時以下の昇温速度で加熱、200℃から450℃まで50℃/時の昇温速度で加熱し、450℃で10時間係留すればよい。得られる脱脂ずみ成形加工品は次いで焼成する。焼成はコーピングを歯型からはずして行う。
【0056】本発明の歯科用陶材は以下の成分:乾燥組成物 100重量部結合材 0〜10重量部解膠材 0〜3重量部溶媒 150〜500重量部の比で混合して調製される鋳込み用スラリー組成物であってもよい。
【0057】鋳込み成型用スラリー組成物の成分である、結合材としては、アクリル共重合物、ポリビニルアルコール、多糖類、エチレン酢ビコポリマー、デキストリン、澱粉、糖アルコール等が例示される。解膠材としては、アクリル酸エステル共重合体、ポリアクリル酸アンモニウム、CMC-Na塩,CMC―アンモニウム塩、ポリアクリル酸ソーダ、アルギン酸ソーダ、アクリル酸オリゴマー、メタクリル酸オリゴマー、ワックスエマルジョン等が例示される。溶媒としては、n-ブチルアルコール、無水エタノール、石油エーテル、酢酸ブチル、トリハロメタン、グリセリン、グライコール等を用いることができる。
【0058】鋳込み成型用スラリー組成物は、アルミナ製ポットにアルミナボールを加えて、ボールミル分散を行い、約1〜2日間「熟成」(aging)して作製する。
【0059】鋳込み成型用スラリー組成物は、鋳型として、従来から歯科臨床で用いられている石膏型、多孔性天然セルロース製型などを用いて成形する。ここで多孔性天然セルロース製型とは石膏型に代えて多孔質の紙を塩類溶液中に浸して、細かくして、石膏の代用としたものである。
【0060】鋳込み成型用スラリー組成物を成形するには、まずスラリー組成物を超音波もしくはバイブレーターによる脱泡後、成形する。
【0061】成形は、乾燥させた型を泥漿中へ浸して着肉する方法である、dipping casting method(石膏型の場合)またはpaper casting method(多孔質セルロース製型の場合)にて行えばよい。
【0062】鋳込み成形したものを乾燥した後、成形加工品を脱脂する。脱脂は、常套の方法にて行えばよい。例えば、室温から200℃までは20℃/時間以下、200℃〜450℃まで50℃/時間以下の昇温速度で加熱し、次いで450℃で10時間係留すればよい。
【0063】脱脂した成形加工品を次いで、750℃以下で酸化雰囲気中で仮焼する。仮焼は典型的には、室温から750℃まで1℃/min以下の昇温速度で加熱して行う。石膏型を用いる場合には、石膏の分解を防ぐために、昇温を750℃までとすることが好ましい。仮焼により、成形加工した組成物が取り扱い可能な強度を有するようになり、脱型する事が可能となる。
【0064】上記いずれかの方法により所望の形状に成形加工した本発明の歯科用陶材は、次いで焼成する。焼成は、酸化雰囲気下で1,500℃〜1,550℃まで加熱して行う。ここで酸化雰囲気とは、酸素が十分に供給される雰囲気である。焼成に際しては、これに限定されないが典型的には大気中で室温から1,150℃まで1℃/min以下の昇温速度で徐々に加熱し、1,150℃で5時間係留した後、1,550℃まで10℃/minの昇温速度で加熱し、1,550℃で2時間係留し、その後室温まで10℃/minの冷却速度で冷却する、という加熱スケジュールが好適に採用される。
【0065】焼成により、本発明の歯科用陶材は僅かに膨張する。膨張は、焼成前の寸法をa、焼成後の寸法をbとすると、b/a=1.001〜1.015、より好ましくは1.003〜1.007となる。
【0066】また、本発明の歯科用陶材は焼成後の歯科用セラミックの国際規格ISO 6872 (1995)3点曲げ試験による曲げ強度が200MPa、好ましくは250MPa、より好ましくは300MPaを超える値を有する。
【0067】曲げ強度が100MPa未満の場合には、歯科用補綴物としての使用に耐え得る十分な強度であるとはいえない。従来技術では、歯科用としての臨床使用に耐え得る曲げ強度を有し、かつ焼成により寸法が膨張を示す歯科用陶材は知られていない。
【0068】本発明の歯科用陶材においては、より有利に歯科用補綴物を作製するため、当業者に公知の付随的な工程を付加してもよい。また、本発明の特徴を害さない範囲で、コンパウンド組成物に、他の成分を任意に配合してもよい。
【0069】本発明の歯科用陶材は、セラミックス製の陶材内冠(コア)、オンレー、ラミネートベニア、及びクラウンなどの歯科用補綴物の作製に適用できる。上で詳述した、本発明歯科用陶材を用いる歯科用補綴物の作製方法もまた本発明の範囲である。
【0070】すなわち、本発明の方法は、アルミニウム粉末を主体とする金属粉末および/または金属酸化物粉末の混合物を含む、成形、焼成することによって人工歯冠を作製するための歯科用陶材を成形加工し、次いで焼成する工程を含み、該陶材の焼成後の寸法/焼成前の寸法>1であること、および焼成後の補綴物の曲げ強度が200MPa以上であることに特徴付られる歯科用補綴物の作製方法である。
【0071】本発明の方法によって高い靭性を有し審美性の高い、焼成時に膨張することにより適合精度の非常に高い、即ちニアネットシェイプ(near-net shape)性の高い歯科用陶材を提供することができる。本発明の歯科用陶材を用いて、内冠(コア)、オンレー、ラミネートベニア、及びクラウンなどの歯科用補綴物を作製することができる。本発明により従来のメタルセラミックスクラウンの製造工程と同様の工程にてオールセラミックスクラウンを作製することが出来、従来メタルセラミックスクラウンが使用されていた分野にも、オールセラミックスクラウンを適用することが可能になる。
【0072】
【実施例】以下実施例によつて本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。実施例中、部は重量部を表し、組成の%は特に断らない限り重量%である。
【0073】実施例1〜6、比較例1実施例1〜6および比較例1の加圧成形ブロックを、表1に示す組成にて、以下の手順にて作製した。平均粒子径6μmのアルミニウム粉末50〜53部と平均粒子径5μmのアルミナ粉末(α―Al2O3)38〜50および100部、および平均粒子径5μmのジルコニア粉末0〜10部と板状アルミナ(α型 平均粒子径16μm アスペクト比5〜20 純度99%単結晶)0〜10部をアルミナ製ポットミルへ投入、混合し、ここへ無水エタノールを加え7時間磨砕した。磨砕後、ロータリーエバポレーターで乾燥させた。乾燥物を100meshのナイロン篩で篩って、乾燥組成物を得た。
【0074】上記乾燥組成物を、ラバープレス(株)神戸製鋼所 KOBELCO PERSONAL CIP「Dr.CIP」を用いて冷間静水圧50MPaの成形圧で寸法測定及び試験用に25mm×6mm×2 mm寸法の試験片及び、14 mm×14mm×18mm寸法のブロックとに成形した。上記14 mm×14mm×18mm寸法のブロックを、CAD&CAMシステムの制御下で、定法どおり人工歯冠用陶材内冠に成形加工した。即ち、支台歯を形成し、これより歯科用印象材にて印象を採取し、採取した印象材に練和した石膏を注入して支台歯模型を作製し、この支台歯模型よりCAD&CAMデータを採取し、このシステムの制御下でブロックの切削加工を行って人工歯冠用陶材内冠に成形した。
【0075】試験片及びCAD&CAM切削加工済み人工歯冠陶材内冠を、大気中で焼成した。焼成スケジュールは以下の通りである:室温から1150℃まで1℃/min以下の昇温速度で加熱、次いで1150℃から1550℃まで10℃/min以下の昇温速度で加熱し、1550℃で2時間係留した後、室温まで、10℃/minの冷却速度で冷却した。
【0076】焼成前後の試験片の寸法をオリンパスMeasuring Microscope STMを用いて測定し、焼成による膨張量を求めた。尚、焼成前の寸法をaと、焼成後の寸法をbとし、膨張率はb/aで示す。
【0077】また、焼成後の試験片の3点曲げ強度試験を行った。3点曲げ強度試験は、歯科用セラミックの国際規格ISO 6872 (1995)に準じて、インストロンジャパン(社)製 INSTRON Series IXを用いて行った。
【0078】焼成前後の人工歯冠用陶材内冠を、CAD&CAMデータを採取する際に計測した歯台支模型にもどして、適合を調べた。適合はオリンパス Measuring Microscope STMを用いて目視で行った。結果を表1に示す【0079】
【表1】

【0080】アルミナ粉末のみを用いた従来技術の比較例1では、焼成収縮を示している一方、アルミニウムを主体とする金属粉末および/または金属酸化物の混合物を用いる本発明の加圧成形歯科用陶材は、焼成前後で僅かに膨張し、良好な適合性を示すものであった。
【0081】実施例7〜9、比較例2コンパウンド組成物を射出成形してなる、射出成形ブロックである実施例7〜9および比較例2の歯科用陶材を、表2に記載の成分を用いて以下のごとく作製した。
【0082】平均粒子径6μmのアルミニウム粉末0〜100部と平均粒子径5μmのアルミナ粉末(α―Al2O3)100〜20部からなる粉末に、無水エタノールを加えて、アルミナ製ポットミルで7時間磨砕した。磨砕後、ロータリーエバポレーターで乾燥させた。乾燥物を100meshのナイロン篩で篩って乾燥組成物を得た。
【0083】射出成形用コンパウンドは加熱式ニーダーを使い、乾燥組成物55部、エチレン酢酸ビニル共重合体25部を投入して約15分間低速で混練後、パラフィンワックス20部を投入してさらに約1.5時間混練し、ニーダーから取り出し造粒機で、コンパウンドの粒径が、2〜3mmになるよう造粒した。
【0084】上記コンパウンドを、射出成型機 東芝機械(株)IS 1000 EN−i3Zを用い、140℃ 型締め圧150MPa最大射出圧125MPaにて25mm×6mm×2mm寸法の試験片及び、14mm×14mm×18mm寸法のブロックを射出成形した。
【0085】上記成形物中、14mm×14mm×18mm寸法のブロックをCAD&CAMシステムの制御下で、人工歯冠用陶材内冠に加工した。CAD&CAMシステムによる加工は実施例1と同じ手順で行った。
【0086】得られた試験片および人工歯冠用陶材内冠を脱脂した。脱脂は、室温から200℃まで20℃/時間の昇温速度で、200℃から450℃までを50℃/時間の昇温速度で加熱し、450℃で10時間係留して行った。その後自然放冷にて室温まで冷却した。
【0087】次いで、上記脱脂済み品を大気中で、焼成した。焼成は、実施例1と同じ焼成スケジュールで行った。脱脂後焼成前と、焼成後の試験片の寸法をオリンパス Measuring Microscope STM を用いて測定し、上記と同様に焼成による膨張量を求めた。焼成後に得られた試験片の3点曲げ強度試験を実施例1と同様にして行った。また、人工歯冠用陶材内冠は、支台歯模型上にもどして、適合を調べた。適合は、オリンパスMeasuring Microscope STM を用いて目視で行った。結果を表2に示す。
【0088】
【表2】

【0089】実施例10〜12、比較例3表3に示す組成にて、実施例10〜12および比較例3の射出成型用コンパウンド組成物を調製した。平均粒子径6μmのアルミニウム粉末0〜100部からなる粉末と平均粒子径5μmのアルミナ粉末(α―Al2O3)100〜20部に、無水エタノール加えて、アルミナ製ポットミルで7時間磨砕した。磨砕後、ロータリーエバポレーターで乾燥させた。乾燥物を100meshのナイロン篩で篩って、乾燥組成物を得た。
【0090】加熱卓上式ニーダーPBV-03-K(入江商会(株)製)を用い、乾燥組成物68.5部、ポリプロピレン2.8部、ポリエチレン0.8部、カルナバワックス1.5部の順に投入して約15分間低速で混練し、ここへアクリル共重合体13.7部、パラフィンワックス9.5部、フタル酸−ジ−n−ブチル3.2部をニーダーに順に投入してさらに約1.5時間混練した。次いで、混練物をニーダーから取り出し、造粒機で、コンパウンドの粒径が2〜3mmになるよう造粒して、射出成形用コンパウンドを作製した。
【0091】上記コンパウンドを、射出成型機 田端機械工業(株) プランジャ式立型射出成形機 TK−14−IAPEにより140℃、7kgf/cm2にて25mm×6mm×2mm の寸法の試験片を調製した。また、上記の支台歯模型を用い、現在歯科業界で広く行われているロストワックス法により人工歯冠用陶材内冠を成形した。
【0092】試験片及び人工歯冠用陶材内冠を脱脂した。脱脂は実施例7と同じ手順にて行った。
【0093】上記脱脂済み品を、大気中で焼成した。焼成スケジュールは、実施例1と同じ条件にて行った。
【0094】脱脂後焼成前、および焼成後の試験片の寸法をオリンパスMeasuring Microscope STM を用いて測定し、上記と同様に焼成による膨張率を求めた。また、焼成後に得られた試験片の3点曲げ強度試験を行った。また人工歯冠用陶材内冠は支台歯模型上にもどして、適合を調べた。適合は、オリンパス Measuring Microscope STMを用いて、目視で行った。結果を表3に示す。
【0095】
【表3】

【0096】実施例13および14本発明の鋳込み成型用スラリー組成物(実施例を13および14)を、表4に記載の組成のアルミニウム粉末を主体とする金属粉末および/または金属酸化物粉末の混合物から以下の手順により調整した:【0097】平均粒子径6μmのアルミニウム粉末0〜100部と平均粒子径5μmのアルミナ粉末(α―Al2O3)100〜20部からなる粉末に、無水エタノール加えて、アルミナ製ポットミルで7時間磨砕した。磨砕後、ロータリーエバポレーターで乾燥させた。乾燥物を100meshのナイロン篩で篩って乾燥組成物を得た。
【0098】鋳込み成形用スラリーは、上記の乾燥組成物100部、液状アクリル共重合物3部、ポリアクリル酸ソーダ0.1部、n-ブチルアルコール400部を投入し、ボールミルへ投入し、2時間ボールミル内で分散混合を行って調製した。
【0099】支台歯から印象をとった印象材に石膏を流して、支台歯模型を複数個作成した。得られた支台歯模型を用い、dipping casting methodにて鋳込み成形した。具体的には、上記スラリー組成物を室温で、石膏型へdipping casting methodで着肉した。
【0100】得られた鋳込み成形人工歯冠用陶材内冠を、脱脂した。脱脂は、室温から200℃まで20℃/時間、200℃から450℃まで50℃/時間の昇温速度で加熱し、450℃で10時間係留して行った。
【0101】脱脂後、酸性雰囲気中で仮焼した。仮焼は室温から750℃まで1℃/minの昇温速度で加熱して行った。
【0102】仮焼後、石膏型をはずし、次いでこれを大気中で焼成した。焼成は、実施例1と同じ焼成スケジュールを用いて行った。
【0103】焼成後、鋳込み成形品を支台歯模型上にもどして、適合を調べた。適合は、オリンパス Measuring Microscope STMを用いて、目視で行った。結果を表4に示す。
【0104】
【表4】

【0105】実施例15実施例15の加圧成形ブロックを以下の方法で作製した。平均粒子径6μmのアルミニウム粉末80部と平均粒子径5μmのジルコニア粉末20部からなる粉末に、無水エタノールを加え、アルミナ製ポットミルで7時間磨砕した。磨砕後、ロータリーエバポレーターで乾燥させた。乾燥物を100meshのナイロン篩で篩った。
【0106】上記篩い済み乾燥粉末を、(株)神戸製鋼所 KOBELCO PERSONAL CIP「Dr.CIP」を用いて冷間静水圧50MPaの成形圧で寸法測定及び試験用に25mm×6mm×2 mm寸法の試験片及び、14 mm×14mm×18mm寸法のブロックとに成形した。上記14 mm ×14mm×18mm寸法のブロックを、CAD&CAMシステムの制御下で、人工歯冠用陶材内冠に加工した。試験片及びCAD&CAM加工済み人工歯冠陶材内冠を、大気中で焼成した。焼成は、実施例1と同じ焼成スケジュールを用いて行った。
【0107】焼成前後の試験片の寸法を、オリンパス Measuring Microscope STMを用いて測定し、焼成による寸法の膨張率を求めた。
【0108】また、焼成後に得られた試験片の3点曲げ強度試験を行った。また、人工歯冠用陶材内冠は支台歯模型上にもどして、適合を調べた。適合はオリンパス Measuring Microscope STMを用いて目視で行った。結果を表5に示す。
【0109】
【表5】

【0110】実施例16実施例16の射出成形ブロックを以下の通り作製した。平均粒子径6μmのアルミニウム粉末100部からなる粉末に、無水エタノール加えて、アルミナ製ポットミルで7時間磨砕した。磨砕後、ロータリーエバポレーターで乾燥させた。乾燥物を100meshのナイロン篩で篩った。
【0111】射出成形用コンパウンド組成物はニーダーを使い、篩い済み乾燥粉末55部、エチレン酢酸ビニル共重合体25部を入れて約15分間低速で混練後、パラフィンワックス20部を入れ、約1.5時間混練し、ニーダーから取り出し造粒機で、コンパウンドの粒径が、2〜3mmになるようにした。
【0112】上記コンパウンドを、射出成型機で25mm×6mm×2mm寸法の試験片及び、14mm×14mm×18mm寸法のブロックとに成形した。成形条件は、東芝機械(株)IS 1000 EN−i3Z型締め圧150MPa 最大射出圧125MPa、140℃である。
【0113】上記14mm×14mm×18mm寸法のブロックをCAD&CAM システムの制御下で、人工歯冠用陶材内冠に加工した。得られた試験片及び人工歯冠用陶材内冠を脱脂した。脱脂は、実施例7と同様の脱脂条件下で行った。
【0114】上記脱脂済み品は大気中で焼成した。焼成は実施例1と同じ焼成スケジュールを用いて行った。
【0115】脱脂後焼成前および焼成後の試験片の寸法を、オリンパス Measuring Microscope STM を用いて測定し、実施例1と同様にして焼成による膨張率を求めた。また、焼成後に得られた試験片の3点曲げ強度試験を行った。また、人工歯冠用陶材内冠は、支台歯模型上にもどして、適合を調べた。適合は、オリンパスMeasuring Microscope STM を用いて目視で行った。結果を表6に示す。
【0116】
【表6】

【出願人】 【識別番号】390011143
【氏名又は名称】株式会社松風
【出願日】 平成12年5月19日(2000.5.19)
【代理人】 【識別番号】100062144
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 葆 (外2名)
【公開番号】 特開2001−327516(P2001−327516A)
【公開日】 平成13年11月27日(2001.11.27)
【出願番号】 特願2000−147946(P2000−147946)