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【発明の名称】 レジン硬化装置および光学装置
【発明者】 【氏名】大塚 正博

【要約】 【課題】

【解決手段】複数の発光素子13a〜13nを、個々の発光素子が放射する光の進行方向が同一の方向になるように配列し、各発光素子を、冷却ファンにより強制的に冷却しながら、定格電流より大きな駆動電流により発光させて短時間にレジンを硬化させることのできる光強度の高い多くの光を得ることにより、レジンを数秒で硬化させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】複数のLED素子を有するLEDアレイを含み、それぞれのLEDが放射する光の進行方向が同一の方向になるように配列され、所定の波長の光を放射する光源と、この光源からの光を所定の位置に案内するガイド部材と、を有するレジン硬化装置において、前記複数のLEDアレイを、冷却ファンにより強制的に冷却することを特徴とするレジン硬化装置。
【請求項2】前記複数のLED素子を、定格電流より大きな駆動電流を供給することを特徴とするレジン硬化装置。
【請求項3】前記それぞれのLED素子が発光する光の波長は、370〜480nmであることを特徴とする請求項1または2記載のレジン硬化装置。
【請求項4】複数発光素子が密着もしくは近接して配列可能な、または任意個数の光源からの平行光線が入射する第1の曲面と、前記第1の曲面に比較して狭い光出射域を有し、前記第1の曲面に入射された光を、所定の方向に出射する第2の曲面と、前記第1の曲面と前記第2の曲面との間に満たされ、前記それぞれの発光素子が放射する光または前記平行光線の波長に対して光学的に透明な材質からなり、前記光源の前記それぞれの発光素子からの光または前記平行光線を、前記第1の曲面に入射された時点よりも狭い領域に集光して前記第2の曲面に案内する光学装置。
【請求項5】前記光学装置の前記第1の曲面は、前記それぞれの発光素子が放射する光または前記平行光線を、前記第1の曲面の曲率中心側に向かわせることを特徴とする請求項4記載の光学装置。
【請求項6】複数のLED素子を有するLEDアレイを含み、それぞれのLEDが放射する光の進行方向が同一の方向になるように配列され、所定の波長の光を放射する光源と、この光源からの光を所定の位置に案内するガイド部材と、をさらに有し、前記光学装置の前記第2の曲面から出射された光が前記ガイド部材に入射されることを特徴とする請求項5記載の光学装置。
【請求項7】前記光学装置および前記光源の複数のLED素子を冷却する冷却機構をさらに有することを特徴とするレジン硬化装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、光硬化性の樹脂すなわち光重合型レジンを硬化するための所定の波長の光を硬化対象に向けて照射するレジン硬化装置、特に歯科用に用いられ、口腔内の切削部の保護および防湿に用いられるレジンを短時間で硬化するための歯科用のレジン硬化装置および入射面に入射した平行光線を入射面に入射された時点よりも狭い領域に光強度を減衰させることなく集光する光学装置に関する。
【0002】
【従来の技術】歯科用のレジン硬化装置としては、例えば特開平6−30275号公報に開示されているように、電源装置とLEDと光ファイバと光照射ヘッドを有するものが知られている。
【0003】上述した公報に開示されているレジン硬化装置(レジン硬化用光源装置)は、波長455nmの光を放射するLEDを複数個光源に用い、その光を光ファイバを介して光照射ヘッドに供給して、光照射ヘッドから口腔内の所定の位置(照射対象)に光を照射するものである。
【0004】なお、上述した公報によれば、光源としてのLEDは、光出力が1200μWのLEDチップを20個程度配列したとの記載がある。
【0005】また、特開平9−28719号公報には、電池を電源とし、固体輻射線放出器と光伝送路とともに一体型として、取り扱いを容易とした重合装置が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】レジン硬化装置においては、レジンの硬化特性から、LEDチップが放射する光の波長は、430〜480nmの青色である。しかしながら、周知の通り青色の光を放出するLEDの光出力は、今日でも、例えば赤色(波長680nm)やオレンジ色(波長580nm)に比較して数分の1であり、口腔内の所定の位置に位置された光重合型のレジンを完全に硬化させるためには、数十秒を要する。
【0007】このため、口腔内の処置、特に虫歯の治療に訪れている患者に対して、比較的長い時間、口を閉じないように、窮屈な姿勢を要求する問題がある。
【0008】また、レジンを硬化させようとしている医師に対しても、同様にレジンが硬化するまでの間、レジンが位置されている部分に、光が継続して照射されるよう、同じ姿勢で所定の波長の光を照射するよう、特定の光照射姿勢を要求する問題がある。
【0009】このことは、医師に対しては、労働条件(治療姿勢)を過酷なものとし、患者に対しては、治療時間が長く、歯科治療は大変であるとの認識を増大させる問題がある。
【0010】また、光強度を高めるために複数の発光素子を用いると、それぞれの発光素子からの光または平行光線を口腔内に挿入または近接可能な大きさに集光する必要が生じるが、それぞれの発光素子からの光または平行光線を入射面に入射された時点よりも狭い領域に光強度を減衰させずに集光する技術は、現在のところ確立されていない。
【0011】このため、今日は、集光装置およびレジン硬化装置の双方が大きく、かつ重くなり、医師にとっては、必ずしも扱いやすい装置ではなく、しかも発光素子からの発熱により、患者および医師の双方に厚さを感じさせることになる。
【0012】この発明の目的は、レジン硬化用の光を照射してから僅かな時間で光重合型のレジンを硬化することのできるレジン硬化装置および入射面に入射した平行光線を入射面に入射された時点よりも狭い領域に、光強度を減衰させることなく集光する光学装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】この発明は、上述した問題点に基づきなされたもので、複数のLED素子を有するLEDアレイを含み、それぞれのLEDが放射する光の進行方向が同一の方向になるように配列され、所定の波長の光を放射する光源と、この光源からの光を所定の位置に案内するガイド部材と、を有するレジン硬化装置において、前記複数のLEDアレイを、冷却ファンにより強制的に冷却することを特徴とするレジン硬化装置ことを特徴とするレジン硬化装置を提供するものである。
【0014】またこの発明は、複数発光素子が密着もしくは近接して配列可能な、または任意個数の光源からの平行光線が入射する第1の曲面と、前記第1の曲面に比較して狭い光出射域を有し、前記第1の曲面に入射された光を、所定の方向に出射する第2の曲面と、前記第1の曲面と前記第2の曲面との間に満たされ、前記それぞれの発光素子が放射する光または前記平行光線の波長に対して光学的に透明な材質からなり、前記光源の前記それぞれの発光素子からの光または前記平行光線を、前記第1の曲面に入射された時点よりも狭い領域に集光して前記第2の曲面に案内する光学装置である。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて、この発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0016】図1は、この発明のレジン硬化装置を説明する概略図である。
【0017】図1に示すように、レジン硬化装置1は、装置本体2と、装置本体2の一端に設けられたライトガイド接続部3と、装置本体2の握り部2aを介して装置本体2と接続された電源線4からなる。なお、ライトガイド接続部3は、カプラー3aを含み、任意の開口部断面形状が与えられたライトガイド(光ファイバを所定形状に集合させた光ファイバ集合体)11が着脱可能に形成されている。これにより、用途や患者の年齢に応じて、異なる大きさのライトガイド11を任意に交換可能である。
【0018】また、装置本体2の握り部2aの内側には、図2を用いて後段に説明するように、電源線4を介して供給される商用電源から所定の電圧および電流を取り出す電源装置が収容されている。なお、電源装置への通電および光源のオン/オフのための2組のスイッチ5a(主電源用),5b(LED発光用)が握り部2aの任意の位置に設けられている。
【0019】図2は、図1に示したレジン硬化装置の内部構成を説明する概略図である。
【0020】図2に示されるように、ライトガイド11の一端部の近傍には、所定の間隔であるいはライトガイド11に密着されて、LEDアレイ13の個々のLED素子13a,・・・,13nが放射する光を、個々のLED13a,・・・,13nにより定義される直径よりも小さな直径の領域に集光する集光装置12が設けられている。
【0021】LED13の各LED13a,・・・,13nには、図5に示すように、電源回路15により所定の電圧に変圧された交流電圧を直流に変換し、所定のLED駆動電流が供給可能なLED駆動ユニット14が接続され、スイッチ5a,5bがオンされることにより、所定の電圧で所定の大きさの電流が供給される。
【0022】電源回路15には、例えば交流または直流駆動のモータ式の冷却ファン16が接続されている。なお、冷却ファン16は、例えば図1に示した装置本体2のファイバ接続部3と離れた側の排気口2bの側に収容され、冷却ファン16が回転されることで、装置本体2の長手方向の概ね中央部であって、LEDアレイ12に冷却風を効率よく当てることのできる位置に設けられた吸気口2cから冷却風を取り入れ、LEDアレイ13の各LED13a,・・・,13n、集光装置12および冷却ファン16のモータ本体を冷却しながら、排気口へ抜ける冷却風を起こす。この冷却ファン16により、各LED13a,・・・,13nの動作が安定され、また温度の上昇により集光装置12の光学特性が変動することが抑止される。
【0023】図3は、図1および図2に示したレジン硬化装置において、LEDアレイの各LED素子から放射された光を、入射時に比較して狭い領域に変換し、光強度を高めて出射する集光装置の原理を説明する概略図である。
【0024】図3に示すように、複数の平行平板を接続した集光装置12に対し、入射面が入射光(矢印で示す)に対して直交する部分12−1に入射した光は、そのまま出射される。
【0025】これに対して、入射面が入射光に対して所定の角度となるよう、平行四辺形状に形成された部分12−2,12−3に入射した光は、それぞれ、平行四辺形状の部分で、屈折の法則により所定の角度で折り曲げられ、平行四辺形の部分から出射する際に、入射した光と平行に戻される。これにより、集光装置12を出射した光は、入射時の断面積に比較して狭い面積に集められる。また、光強度は、集光装置による損失を除いても、入射時に比較して強められる。
【0026】なお、集光装置12による集光の程度は、集光装置12の材質ならびに厚さにより、任意に設定できる。
【0027】図4は、図1,図2に示したレジン硬化装置に適用される集光装置を説明する概略図である。
【0028】図4に示されるように、集光装置12は、LEDアレイの個々のLED13a,・・・,13nが密着または所定の間隔をおいて配列される第1の曲面(入射面)12aと、第1の曲面から入射された光が出射される第2の曲面(出射面)12bと、それぞれのLED素子13a,・・・,13nが放射する光の波長に対して透明な集光部材(本体)12cからなり、第1の曲面12aに入射した光の光路を本体12cで変更して、第1の曲面12aよりも狭い第2の曲面12bに集光する。なお、集光部材(本体)12cは、例えば光学ガラスや石英ガラスあるいはアクリル等により形成される。
【0029】また、第1の曲面12aは、図示の通り、LEDアレイ13の各LED13a,・・・,13nが放射する光が概ね同一の方向となるように、第1の曲面12aに沿って配列されているとき、それぞれのLED13a,・・・,13nからの光のほとんどが、本体12cの中心側に向かって屈折するような所定の曲率が与えられている。
【0030】一方、第2の曲面12bは、図示の通り、本体12c内を通過した光をライトガイド11に効率よく入射させる(集光装置12を通った光をライトガイド11に結合する)ための集光レンズ(凸レンズ)として機能するための曲率が与えられている。
【0031】なお、第1の曲面12aには、個々のLED13a,・・・,13nからの光が第1の曲面で反射されて集光装置12の外部に戻ることを低減する図示しない反射防止膜(反射防止コーティング)が、同様に、第2の曲面12bには、本体12cを通過した光が第2の曲面で反射されて本体12cに戻されることを低減する反射防止膜(反射防止コーティング)が、それぞれ形成されている。
【0032】この集光装置12によれば、入射面(第1の曲面12a)に入射した平行光線を入射面12aに入射された時点よりも面積の狭い出射面(第2の曲面12b)に、光強度を減衰させることなく集光することができる。
【0033】これにより、集光装置12の大きさおよび重さが低減され、医師による治療の作業性(治療のしやすさ)が改善される。
【0034】また、集光された光の光強度の減衰が少ないため、光源に必要なLED素子の数が低減され、消費電力および発熱量が低減される。このことは、集光装置12の大きさおよび重さを低減することに関しても有益である。
【0035】図5は、LED駆動ユニット14の一例を説明する概略ブロック図である。
【0036】電源回路15により所定の電圧に変圧された交流電圧は、ブリッジZ1により整流され、L0,C1,C2からなる平滑部によりリップルが低減されてタイマ回路14aに入力される。
【0037】タイマ回路14aを通過した直流電圧は、各LED13a〜13nにそれぞれ割り当てられている保護抵抗R0と電流制限抵抗Ra〜Rnを介して、それぞれのLEDに供給される。なお、電流制限抵抗Ra〜Rnのそれぞれにより、個々のLEDに供給される駆動電流は、各LEDの定格電流よりも大きな2倍〜3倍の電流値に制御される。このとき、個々のLEDを流れる駆動電流の大きさは、例えば定格電流が20mAのLEDである場合に、50〜70mAに定義されている。
【0038】スイッチ5bは、LEDアレイ13の個々のLED13a〜13nの発光時間を制御するもので、スイッチ5aがオンされることで、ブリッジZ1により整流された直流電圧をLED駆動ユニット14に供給する。なお、タイマ回路14aは、各LED13a〜13nへの通電時間を、所定時間、例えば5秒に制限して定格電流よりも大きな駆動電流により高輝度で発光している個々のLEDを保護するためのスイッチング回路であるが、例えば各LEDに接続されているトランジスタTa〜Tnのゲート電圧(Ref)をオン/オフするロジック回路でも、単純な時限スイッチでもよい。
【0039】スイッチ5aがオンされることで、タイマ回路14aの動作とは独立に図2に示した電源回路15への通電が確保され、冷却ファン16が回転される。これにより、定格電流よりも大きな駆動電流で高輝度で発光している個々のLED13a〜13nが強制的に冷却される。
【0040】図6は、図1,図2に示したレジン硬化装置において、光源として用いられるであるLEDアレイのLED素子の配列を説明する概略図である。
【0041】図6に示されるように、LEDアレイ13の個々のLED素子13a,・・・,13nは、LED素子の円筒状またはテーパ状の外周部のうちの最大の部分が相互に接して個々のLED素子13a,・・・,13nの中心を結ぶ線分が概ね三角形(通常は正三角形)となるように、最密充填で、配列されている。
【0042】また、各LED素子13a,・・・,13nが配列される面積は、例えば概ね円形に定義されている。なお、各LED素子13a,・・・,13nの直径を、例えば3mmとすると、図6に示した配列において、すべてのLED素子により求められるLEDアレイ13の大きさ(直径)は、25mm程度となる。
【0043】なお、各LED素子13a〜13nが発光する光の波長は、例えば350nm〜480nmであり、特に、370nm,430nm,450nmの波長の光を放射するLED素子が容易に入手可能である。
【0044】これにより、出力する光強度が、集光装置12により集光されることと合わせて、例えば口腔内に投入される所定量の光重合型のレジンを数秒、例えば5秒で硬化させることのできる大きな出力であるLEDアレイ13が得られる。
【0045】図7は、図1,図2に示したレジン硬化装置における冷却風の流れを説明する概略図である。
【0046】図7に示されるように、装置本体2の、例えば図1に示した装置本体2のファイバ接続部3と離れた側の排気口2bの側に収容された冷却ファン16が回転されることで、吸気口2cから取り入れられた冷却風が、LEDアレイ13の各LED13a,・・・,13n、集光装置12および冷却ファン16のモータ本体を冷却しながら、排気口へ抜ける。この冷却ファン16により、各LED13a,・・・,13nの動作が安定され、また温度の上昇により集光装置12の光学特性が変動することが抑止される。
【0047】なお、集光装置12の大きさおよび重さが小さく(少なく)、集光された光の光強度の減衰が少ないため、光源に必要なLED素子の数が低減されていることにより、発熱量が低減されているので、冷却ファン16の大きさおよび重さも、低減できる。
【0048】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のレジン硬化装置においては、複数の発光素子を定格電流より大きな駆動電流により駆動するとともに、冷却ファンにより強制的に冷却することから、短時間に多くの光を得ることができ、光強度が高く、歯科用のレジンを数秒で硬化させることのできるレジン硬化装置が提供される。
【0049】また、入射面に入射した平行光線を入射面に入射された時点よりも狭い領域に、光強度を減衰させることなく集光する光学装置が提供される。
【0050】これにより発熱の要因である光源を小型化、小容量化でき、口腔内の治療に当たる医師や治療を受ける患者の負担が低減される。
【出願人】 【識別番号】591065697
【氏名又は名称】藤栄電気株式会社
【出願日】 平成12年5月10日(2000.5.10)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外5名)
【公開番号】 特開2001−314424(P2001−314424A)
【公開日】 平成13年11月13日(2001.11.13)
【出願番号】 特願2000−137200(P2000−137200)