トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学




【発明の名称】 印象採得前に用いる測口具
【発明者】 【氏名】中島 健次

【要約】 【課題】患者の口腔内に印象トレーを挿入するとき、サイズが合わずに別のトレーに取り替えてやり直すという失敗をなくすための測口具を提供する。

【解決手段】U字状の板バネや鉗子など左右に開く支持体の両先端に、印象トレーと同じ高さに成形した一対の口角圧迫子を設ける。この口角圧迫子あるいは支持体に定規を取り付けて、印象採得前に用いる測口具とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 U字状板バネあるいは鉗子など左右に開く支持体の両先端に、印象トレーと同じ高さに成形した一対の口角圧迫子を設けると共に、口角圧迫子あるいは支持体に定規を取り付けたことを特徴とする、印象採得前に用いる測口具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、印象採得前に用いる測口具に関する。歯型を採得するため患者の口腔内に印象トレーを挿入するとき、あらかじめ患者の口の大きさを測定して、使用する印象トレーのサイズを選択できるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】歯科医院で義歯などを作製してもらうときに使用する印象トレーは、患者の立場から見ると非常に汚らしく感じられる。トレーが乾燥していれば我慢できるが、さも洗ったばかりという水に濡れたトレーを口に突っ込まれると、嫌悪感で吐き気を催してしまう。茶道の回し飲みは別として、箸や茶碗など口に触れる器物の共用は日本人の感覚にそぐわない。こういうことに無頓着な欧米人には、印象トレーの共用が全く気にならないのであろうが、日本では通用しない。もしも、患者を大切なお客様と認識する心が歯科医にあるなら、印象トレーは使い捨てにすべきである。1個200円くらいのプラスチックトレーが市販されているのであるから、それを6個とか10個とかのパック包装でなく、1個ずつ包装したものをガス滅菌すべきである。患者に新品であることを見てもらうため、患者の目の前で封を切り、目の前で印象材を盛り付けるようにすべきである。少なくとも、健康保険の適用されない金属床義歯を希望するお客様には、是非そうして欲しい。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のように1個ずつ滅菌包装した使い捨てトレーを患者の目の前で開封するとなると、従来のような目測による安易なトレー選択ができなくなる。開封したら価値がなくなるから、経費節約のためにも患者の口に挿入できるサイズのトレーを確実に選択しなければならない。すなわち、患者の口に印象トレーを挿入するとき、真っ直ぐ挿入できるほど大口の患者は稀である。たいていの場合、トレーを斜めに傾けて隅角部の一方を突っ込んでから、トレーの側壁を片方の口角に押し付けて口を広げながら他方の隅角部を滑り込ませている。このようにすると、両口角に2本の指を引っ掛けて左右に強く引っ張ったときの口の幅よりも、おおよそ1.2倍の幅を持つトレーを強引に挿入することができる。そのため、歯列の形状に適合する印象トレーが患者の口に挿入できるかどうかということは、従来、余り問題にならなかった。目測で大体の見当を付けることができるし、見当が外れて挿入できなくても、一回り小さなサイズのトレーに取り替えれば済むからである。しかし、割高な使い捨てトレーを使用するとなると、やり直しは望ましくない。コストの面ばかりでなく、歯科医院にとって余計な手間と時間の損失であるし、患者にとっても口に合わない大きなトレーを無理やり押し込められれば、口角が切れそうな苦痛を味わうことになる。そこで、本発明が解決しようとする課題は、あらかじめ患者の口の大きさを測定して、使用する印象トレーのサイズを確実に選択できるようにした測口具を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、金属製の板バネや鉗子など左右に開く支持体の両先端に、印象トレーと同じ高さに成形した一対の口角圧迫子を設けると共に、口角圧迫子あるいは支持体に定規を取り付けて測口具としている。つまり、実物の印象トレーを使用して口を押し開ける代わりに、外観がスマートな口角圧迫子を使用するわけである。たったこれだけのことであっても、患者の側から見れば、歯科用ミラーやピンセットなどと同様に、この種の測定機器には余り不潔感を抱かずに受容することができる。この測口具を使用するときは、一対の口角圧迫子を左右の両口角に当てがって、患者が我慢できるところまで口を横に大きく広げる。口の前に定規が並行しているので、印象トレーの高さに開いた口の長さを、定規で簡単かつ正確に測定することができる。従って、測定値の1.2倍以下の幅を持つ印象トレーを選択すれば、確実に患者の口腔内に印象トレーを挿入することができる。このため、トレーが大きすぎて口に入らず、別のトレーに変更してやり直すという失敗がなくなる。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の印象採得前に用いる測口具は、ステンレス鋼など加熱消毒が可能な金属類で製造することが望ましい。同様に定規の耐久性を高めるため、目盛を印刷するのではなく、金属板に刻み目を入れることが望ましい。また、1.2倍の暗算を省略するために、1.2mm間隔に刻んだ目盛を1mmと表記してもよい。こうしておけば、定規で測定した患者の口幅の数値が、そのまま印象トレーの横幅のサイズになるので非常に便利である。例えば、口角圧迫子で押し広げた口の長さが実際は60mmであるとき、定規の目盛では72mmとなる。従って、横幅が70mmのトレーを選択すれば、確実に患者の口に挿入できるというわけである。
【0006】
【実施例】図1は、本発明の印象採得前に用いる測口具1の1実施例を示す平面図である。図2は測口具1の使用状態を示す正面図で、図3は口角圧迫子2の側面図である。この実施例では、左右に開く支持体8としてU字状に成形したステンレス鋼の板バネを使用し、その両先端に一対の口角圧迫子2,2’を設けている。口角圧迫子2、2’には、唇を嵌め込むための納唇溝3、3’が形成されている。口角圧迫子2の高さHは、図3に示すように、納唇溝3の上辺と下辺との距離である。この高さHを印象トレーの高さと同じ2cmとする。これにより、板バネの弾発力で支持体8の両先端が左右に開いたとき、一対の口角圧迫子2,2’によって左右に押し広げられた口の形は、図2に示すように、実物の印象トレーを傾けずに真っ直ぐ挿入するときと全く同じ形になる。
【0007】図1に開示した実施例では、一方の口角圧迫子2’から直角に突出する定規固定板5に定規4の一端を固定している。また、他方の口角圧迫子2に定規支持板6を直角に設け、図3に示すように、定規4を定規支持板6で支持するようにしている。そして、図2のようにして口を横に押し広げたときの長さLは、口角圧迫子2,2’の各納唇溝3、3’間の距離である。従って、定規4の目盛の始点を一方の納唇溝3’の底辺とし、また定規支持板6に設けた指示針7の尖端を、他方の納唇溝3の底辺の延長線上に置いてある。こうすることにより、印象トレーを挿入できる高さに開けた口の長さLを、簡単かつ正確に測定することができる。
【0008】図4は、本発明の印象採得前に用いる測口具1aの別の実施例を示す平面図である。この実施例では、支持体8aがU字状に曲げた板バネの一方に交差孔10を設けて交差させ、支持体8aを手で握ると平行部9,9’が左右に開くようにしている。平行部9,9’の両先端に一対の口角圧迫子2,2’を設けると共に、一方の平行部9’に定規4を直角に取り付けている。この定規4を支持するため、他方の平行部9に、定規4が自在に挿通するようにした定規孔11を設けている。一方の平行部9’の外辺が定規4の始点となり、横に広げた口の長さLを他方の平行部9の外辺で測定する。
【0009】図5は、本発明の印象採得前に用いる測口具1bの別の実施例を示す平面図である。この実施例では、支持体8bとして鉗子を使用し、両先端に一対の口角圧迫子2,2’を可動自在に取り付けている。支持体8bの把持部前方に弧形の定規4を取り付けている。
【0010】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の印象採得前に用いる測口具は、左右両口角に口角圧迫子を当てがって印象トレーが挿入する高さに唇を保定しながら、患者の口を横に大きく押し広げることができる。開いた口の前に定規が並行しているので、この状態における口の長さを定規で簡単かつ正確に測定することができる。そして、測定した数値を1.2倍することにより、患者の口腔内に無理なく挿入できる印象トレーのサイズを確実に選択することができる。従って、印象材を盛り付けたトレーを患者の口に入れようとしたのに、サイズが大きすぎて口に入らず、もう一度やり直すという従来の欠点が完全に解消される。
【出願人】 【識別番号】000212795
【氏名又は名称】中島 健次
【出願日】 平成12年4月7日(2000.4.7)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−286491(P2001−286491A)
【公開日】 平成13年10月16日(2001.10.16)
【出願番号】 特願2000−106055(P2000−106055)