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【発明の名称】 歯根補強材
【発明者】 【氏名】越智 隆弘

【氏名】吉川 秀樹

【要約】 【課題】金属材を使用することなく、軽度の歯槽骨の後退時に、歯をしっかりと固定することができる歯根補強材を提供する。

【解決手段】リン酸カルシウム系焼結体から成り、平面視で、略Uの字形状をなすように形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 リン酸カルシウム系焼結体から成り、平面視で、略Uの字形状をなすことを特徴とする歯根補強材。
【請求項2】 リン酸カルシウム系焼結体から成り、平面視で、略3の字形状をなすことを特徴とする歯根補強材。
【請求項3】 リン酸カルシウムが、アパタイトである請求項1または2記載の歯根補強材。
【請求項4】 横断面の形状が、ほぼ同一である請求項1,2または3記載の歯根補強材。
【請求項5】 リン酸カルシウム系焼結体が、緻密質である請求項1,2,3または4記載の歯根補強材。
【請求項6】 リン酸カルシウム系焼結体に、多孔質層を設けた請求項1,2,3,4または5記載の歯根補強材。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、歯根補強材に関する。
【0002】
【従来の技術】老化等によって歯槽骨の後退が進行すると、従来、その治療には、例えば、特公平6-38807号公報に開示されているような複雑なインプラントが用いられていた。これは、植立歯根部を有する生体親和性のフレームと、歯槽骨上に配置したフレームの周囲に充填する生体不活性の粒子と、充填粒子の群を覆ってフレームの植立歯根部を垂直に維持する生体不活性の半透明膜と、から成るものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の従来例のインプラントは、部品点数が多く、その構成が大変複雑で高価である上に、その一部に、金属材が使用されているため、経時的な品質の劣化があり、また、僅かなりと言えども、生体毒の溶出も懸念される。一方、歯がぐら付く程度で症状が比較的に軽度な場合には、このような複雑な構成のインプラントは適当ではなく、もっと構成が簡単で、治療も容易なコスト安の歯根補強材が求められていた。
【0004】そこで、本発明は、金属材を使用することなく、軽度の歯槽骨の後退時に、歯をしっかりと固定することができる歯根補強材を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するために、本発明は、リン酸カルシウム系焼結体から成り、平面視で、略Uの字形状をなすものである。
【0006】また、リン酸カルシウム系焼結体から成り、平面視で、略3の字形状をなすものである。
【0007】そのリン酸カルシウムが、アパタイトであってもよい。また、横断面の形状が、ほぼ同一であってもよい。さらに、リン酸カルシウム系焼結体が、緻密質であってもよい。そして、リン酸カルシウム系焼結体に、多孔質層を設けてもよい。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、実施の形態を示す図面に基づき、本発明の歯根補強材を詳説する。
【0009】図1は、本発明の実施の一形態を示す歯根補強材の斜視図で、符号1で示される歯根補強材は、リン酸カルシウム系焼結体から成り、2つの歯根3,3に嵌合させることができるように、平面視で、「3」の字状に形成され、かつ、その平面に垂直な断面の形状(矩形状)が略同一となっている。
【0010】2は治療の対象となる歯(大臼歯)であり、図示の状態では、その歯2がぐら付く程度の比較的に軽度の症状(歯槽骨4の後退)の場合に、歯肉を切開して、二股状の歯根3,3をむき出し状態とし、その両歯根3,3を囲むように、歯根補強材1を嵌合させている。
【0011】このような嵌合状態では、その歯根補強材1の一面が直接歯槽骨4と接触する。従って、歯根補強材1は、術後、骨置換により、徐々に歯槽骨4に一体化される。その接触面を多孔質(多孔質層)とした場合には、骨置換はより速やかに達成される。
【0012】その材質については、緻密質であると、歯2を支える力が大きく、特に、骨の成長が遅い老人等では、緻密体を用いる方が、より早く効果が得られる。逆に、多孔質であると、全体が短期間に骨置換されるので、骨の成長の早い患者に適する。なお、このような歯根補強材1には、骨成長因子を含有させておくことにより、骨の成長をより一層促進させることができる。
【0013】また、リン酸カルシウム系焼結体が、ハイドロキシアパタイトであれば、強度が大になり好ましい。そのアパタイトは、緻密質アパタイトと、多孔質アパタイトと、を適宜使い分けたり、組み合わせるのが望ましい。例えば、歯槽骨4と接触する部分を、骨との置換が早い多孔質アパタイトで形成し、その他の部分を、強度の大きい緻密質アパタイトで形成してもよい。
【0014】その緻密質体(緻密質アパタイト)は、気孔率が0〜20%のものであり、多孔質体(多孔質アパタイト)は、気孔率が60〜80%である。
【0015】緻密質体の気孔率が20%を越えると、強度の低下が甚だしくなるため好ましくない。また、多孔質体の気孔率が60%未満になると、骨に置換される時間が長くかかり過ぎる。気孔率が80%を越えると、強度が低下するため、損壊する虞がある。
【0016】このような歯根補強材1が、骨置換によって歯槽骨4に一体的に固定されれば、両歯根3,3が、その歯根補強材1によって囲まれているため、歯根3,3は充分に支えられ、歯2のぐら付きや脱落を防止することができる。その骨置換が達成されると、歯2の周囲は、歯槽骨4が後退する以前の状態となる。
【0017】この歯根補強材1は、その構成がきわめて簡素であり、前述のように、断面の形状が略同一に形成されている。すなわち、その厚さtが各部位で略一定となっている。従って、例えば、押し出し成形により長尺な中間成形物を形成して、これを所定の間隔(t)で切断することにより、量産が可能であり、コスト安に提供することができる。
【0018】その歯根補強材1の側面の形状は、歯槽骨4の形状に合わせて多少の丸みを付しておいてもよいが、一般には薄体状(tが小)でよい。そのtの値については、例えば、1mm≦t≦5mmとするのが好ましい。1mmより小であると、強度が不足し、5mmより大であると、歯根3に対して密着状態に嵌合させるのが難しくなる(フィット性の低下)。
【0019】また、図1に示すような「3」の字状の歯根補強材1に代えて、「ヨ」の字状のものも考えられるが、歯茎に対する適合性を考慮した場合、「3」の字状が好ましい。なお、図1では、一枚の歯根補強材1を使用しているが、複数枚を重ねて使用してもよい。また、大臼歯だけでなく、隣り合う異なる2つの歯の単一の歯根同士を一緒に固定してもよい。
【0020】図2は他の実施の形態を示し、この場合も、歯肉を切開して、歯根3をむき出し状態とし、その(単一の)歯根3を囲むように、平面視で、「U」の字状(または半円弧状等)に形成された歯根補強材1を嵌合させている。
【0021】この「U」の字状に形成された歯根補強材1は、前歯等の単一の歯根3に適用することができるが、治療の対象となる歯根の状態に応じて、適宜、図1に示すものと、組み合わせて使用することができる。
【0022】このような「3」または「U」の字状に形成された歯根補強材1は、歯根3に対して、一方向から嵌合させるだけでも、優れた効果が得られるが、歯根3を完全に取り囲めるように、歯根3に対して、異なる複数の方向から複数の歯根補強材1…を差し込むことによって、より緊密な嵌合状態を得ることができる。
【0023】
【発明の効果】(請求項1によれば)リン酸カルシウム系焼結体から成り、平面視で、略Uの字形状をなすので、生体組織との親和性が良好であり、骨置換により、歯槽骨4に一体化され、かつ、歯根3を取り囲むように支えることができ、歯2のぐら付きや脱落を効果的に阻止することができる。また、金属材のような劣化や生体毒の溶出の心配がなく、耐久性も良好である。
【0024】(請求項2によれば)リン酸カルシウム系焼結体から成り、平面視で、略3の字形状をなすので、大臼歯2等の2つの歯根3,3を取り囲むように確実にかつ安定姿勢に支えることができる。
【0025】(請求項3によれば)リン酸カルシウムが、アパタイトであるので、歯根補強材1の強度であり、歯根3に対する固定状態をより強固なものとすることができる。
【0026】(請求項4によれば)横断面の形状を、ほぼ同一としたので、押し出し成形により、コスト安に量産することができる。
【0027】(請求項5によれば)リン酸カルシウム系焼結体が、緻密質であるので、充分な強度を確保することができ、骨成長の遅い老齢者等に好適となる。
【0028】(請求項6によれば)リン酸カルシウム系焼結体に、多孔質層を設けたので、骨置換が早く、歯槽骨4との一体化が早期に達成される。
【出願人】 【識別番号】500097119
【氏名又は名称】株式会社エム・エム・ティー
【識別番号】500103720
【氏名又は名称】越智 隆弘
【識別番号】500103823
【氏名又は名称】吉川 秀樹
【出願日】 平成12年4月7日(2000.4.7)
【代理人】 【識別番号】100080746
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 武嗣
【公開番号】 特開2001−286488(P2001−286488A)
【公開日】 平成13年10月16日(2001.10.16)
【出願番号】 特願2000−105824(P2000−105824)