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【発明の名称】 口腔内拡散方式による投与のために総ての着脱可能な歯科補綴物に具備された装置
【発明者】 【氏名】小宮山 友信

【要約】 【課題】口臭に対する消臭剤や芳香剤、一般の薬剤、栄養剤などを自然な感じで持続的に円滑に口腔内拡散方式により投与すること。

【解決手段】総義歯、部分床義歯又は各種マウスピースなどのような歯科補綴物に、投与物質を貯留しておく「室」1と、前記「室」1に取り付けられかつ浸透作用を有する隔壁と、一端を前記「室」1に連結しかつ所定の箇所に開口部3を有する導管2と、前記隔壁及び前記導管の開口部に設置させて適宜、使用時(非飲食時)に開き、非使用時(飲食時)に閉じさせるところの開閉手段24、25等より成立させる口腔内拡散方式による投与装置を設ける。隔壁の浸透作用により唾液を「室」1内に導入して投与物質を溶液化し、導管2における濃度勾配により溶液を口腔内に漸次拡散させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ヒトの口腔内の唾液腺の開口部の近傍に位置して、投与物質を貯留しておく「室」(1、11)と、前記「室」(1、11)に具備され且つ浸透作用を有する隔壁(23)と、一端を前記「室」(1、11)に連結し且つ所定の箇所に開口部(3、13)を有する導管(2、12)と、開閉手段(24、25)を前記隔壁(23)及び前記導管(2、12)の開口部(3、13)に設置して、成立させたところの着脱可能な総ての歯科補綴物に具備させて使用する口腔内拡散方式による投与装置。
【請求項2】 使用時(非飲食時)に開き、非使用時(飲食時)に閉じる前記開閉手段(24、25)を前記隔壁(23)及び前記導管(2、12)の開口部(3、13)に設けた請求項1記載の口腔内拡散方式による投与装置。
【請求項3】 投与物質が口臭に対する消臭剤である請求項1又は2に記載の口腔内拡散方式による投与装置。
【請求項4】 投与物質が口臭に対する芳香剤である請求項1又は2に記載の口腔内拡散方式による投与装置。
【請求項5】 投与物質が一般の薬剤である請求項1又は2に記載の口腔内拡散方式による投与装置。
【請求項6】 投与物質が栄養剤である請求項1又は2に記載の口腔内拡散方式による投与装置。
【請求項7】 投与物質がコロイド物質である請求項1〜6のいずれか一項に記載の口腔内拡散方式による投与装置。
【請求項8】 投与物質が溶液状である請求項1〜6のいずれか一項に記載の口腔内拡散方式による投与装置。
【請求項9】 投与物質が本発明の装置を含めて歯科補綴物自体の洗浄のための薬剤である請求項1又は2に記載の口腔内拡散方式による投与装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、歯科補綴物に取付けて使用する口腔内拡散方式による投与装置に関し、特に、総義歯、部分床義歯、マウスピースなどの歯科補綴物に取付け、口臭に対する消臭剤や芳香剤、一般の薬剤や栄養剤等を口腔内に漸次拡散させて投与するための装置、及び該装置が取付けられた歯科補綴物に関する。
【0002】
【従来の技術】口臭の防止や口腔内の清浄化のために、歯垢や歯石の除去、ブラッシング、歯周病手術などが行われている。また、含嗽剤を使用することもある。医療や健康の維持・管理を目的とした各種の薬剤や栄養剤などは、通常は錠剤や粉末の形で経口投与される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】歯垢や歯石の除去、ブラッシング、歯周病手術などを行っても、口臭を感じなく口腔内が清浄な状態に保たれているのは当座の間だけである。日時が経過すると、再び口臭が感じられるようになり、口腔内を清浄な状態に維持できなくなる。含嗽剤を使用してもその効果は一過性である。また、薬剤や栄養剤を服用する患者、特に老人や小児は、錠剤の場合には異物感を感じたり、粉末の場合には咳き込んだり、ときには初めから嫌がって泣き出し全く拒絶することもある。また、多くの場合、栄養剤や甘味料等の摂取量は過剰になる傾向があり、その結果、副作用も起こりやすくなる。
【0004】本発明の目的は、歯科補綴物に取付けて使用され、かつ、口臭に対する消臭剤や芳香剤、一般の薬剤、栄養剤、甘味料などを違和感や嫌悪感を生じさせることなく持続的かつ安定的に自然な感じで拡散投与するための装置、及び該装置の備わった歯科補綴物を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、ヒトの口腔内の唾液腺の開口部の近傍に位置して、投与物質を貯留しておく「室」と、前記「室」に具備され且つ浸透作用を有する隔壁と、一端を前記「室」に連結し且つ所定の箇所に開口部を有する導管と、開閉手段を前記隔壁及び前記導管の開口部に設置して、成立させたところの着脱可能な総ての歯科補綴物に具備させて使用する口腔内拡散方式による投与装置を提示する。上記隔壁は、多孔性で薄膜状の半透膜で構成でき、物理的に堅牢で化学的に安定であって口腔内の組織や器官に無害なものとすべきである。また投与される物質が人体に無害であるべき事は言うまでもない。
【0006】使用時(非飲食時)には開き、非使用時(飲食時等)には閉じることができる開閉手段(扉、窓、シャッター、弁等)を前記隔壁及び前記導管の開口部に設けると、無駄なく効果的に投与できるので好ましい。該開閉手段は、取り外し自在な構成にすることもできる。
【0007】口臭を消す目的で上記投与物質として口臭に対する消臭剤又は防臭剤を用いると、長時間安定して効果を発揮させることができる。また、口腔内を「さわやか」な状態にする目的で上記投与物質として芳香剤を用いても、長時間継続して効果を発揮させることができる。
【0008】医療において上記投与物質として一般の薬剤を用いると、固体状(錠剤や粉末)の薬剤を溶液状にして口腔内に拡散させるので、老人や小児の場合でも異物感や咳込みが起こらず、自然にスムーズに服用できる。
【0009】健康の維持・管理を目的に上記投与物質として栄養剤や甘味料を用いると、とかく過剰になりがちな摂取量を一定の適正量に抑えることができる。
【0010】上記投与物質は、予め「室」内に封入しておくのであるが、その際に錠剤や粉末のような固体状又は溶液状の形態で封入することができる。また、この投与物質は、コロイド物質又は界面活性剤とすることもできる。また、投与物質として、本発明の装置を含めて歯科補綴物自体の洗浄のための薬剤を使用することもできる。
【0011】上記隔壁は歯科補綴物において唾液腺の開口部に対応する領域の近傍に設けると、「室」内に浸透させるべき唾液が豊富に存在するので好ましい。
【0012】「室」に予め封入しておいた投与物質が隔壁を透過した唾液に溶解して得られる溶液を口腔内の広範囲に分配して拡散させるために、上記導管を分枝化させる構造とすることもできる。また、導管の開口部を複数個設けてもよい。
【0013】上記歯科補綴物としては、総義歯や部分床義歯の他にも、咬合治療のための装置、運動用や防具用の「マウスガード」や「マウスピース」等も含まれる。
【0014】尚、本明細書における「投与」なる用語は、投与物質が口腔を経て消化器官等で摂取される場合に限定するものでなく、投与物質が口腔内において作用する場合(例えば消臭剤など)も含む。また、「浸透作用」とは、小さい粒子は通すが大きい粒子は通さない半透膜の持つ機能であり、本明細書では、唾液は通すが投与物質は通さない機能をいう。
【0015】本発明の口腔内拡散方式による投与装置では、「室」内に予め投与物質を封入しておく。隔壁の浸透作用により、口腔内の唾液が隔壁から「室」内に浸透して投与物質を浸潤し溶液化して貯留する。「室」に連結された導管中の溶液は、「室」側では高濃度となり、開口部側では低濃度となる。この濃度勾配により、投与物質の溶解した溶液が導管の開口部から口腔内に拡散する。
【0016】
【発明の実施の形態】発明の実施の形態を実施例に基づき添付図面を参照して説明する。図1と図2は、本発明による口腔内拡散方式による投与装置が設けられた状態の上顎の総義歯の平面図と底面図である。図中、予め封入しておいた投与物質を隔壁から浸透した唾液で溶液化したものを貯留するための「室」を符号1で示し、「室」1内に貯留された投与物質の溶液を導いて開口部3から口腔内に拡散するための導管を符号2で示す。「室」1には浸透作用を有する隔壁(半透膜)を設ける。導管2は総義歯の床中に埋め込む。「室」1は義歯床上に配設してあるが、隔壁部だけ露出させて他は床中に埋め込んでもよい。開口部3は口腔内に開口している。「室」1を図1及び図2に示す部位に設けた理由は、(上顎結節の近傍にある)この部位が耳下腺の開口部の近傍に位置して豊富な量の唾液に接することができて好都合だからである。参考のため、本発明の口腔内拡散方式による投与装置が設けられていない状態の上顎の総義歯の平面図と底面図を図5と図6に示す。
【0017】図3と図4は、本発明の口腔内拡散方式による投与装置が設けられた状態の下顎の総義歯の平面図と底面図である。図中、予め封入しておいた投与物質を隔壁を透過した唾液で溶液化したものを貯留するための「室」を符号11で示し、「室」11内に貯留された投与物質の溶液を導いて開口部13から口腔内に拡散するための導管を符号12で示す。「室」11には浸透作用を有する隔壁(半透膜)を設ける。導管12は総義歯の床中に埋め込む。「室」11は義歯床上に配設してあるが、隔壁部だけ露出させて他は床中に埋め込んでもよい。開口部13は口腔内に開口している。「室」11を図3及び図4に示す部位に設けた理由は、(舌下小丘の近傍にある)この部位が顎下腺や舌下腺の開口部の近傍に位置して豊富な量の唾液に接することができて好都合だからである。参考のため、本発明の口腔内拡散方式による投与装置が設けられていない状態の下顎の総義歯の平面図と底面図を図7と図8に示す。
【0018】次に本実施形態の作用を図9を参照して説明する。図9は、本発明の口腔内拡散方式による投与装置の模式図である。「室」21内には予め粉末や固形物や溶液状態の消臭剤、芳香剤、一般の薬剤、栄養剤などの投与物質を封入しておく。隔壁23は、唾液は通すが投与物質は通さない機能を有する半透膜である。すなわち、隔壁23は、「室」21内の投与物質を保持したまま唾液を「室」21内に浸透させるという「浸透作用」を有する。この際、浸透する唾液は半透膜に「浸透圧」を与える。投与物質が封入された口腔内拡散方式による投与装置の開閉手段24、25が開状態ならば、唾液が隔壁23を通って「室」21内に入り、投与物質を浸潤し溶液化する。そして、導管22中の溶液は、「室」側Poで高濃度(Ci)となり、開口部側Ptで低濃度(Ct)となり、「濃度勾配」が生じて投与物質の溶液を口腔内に移動・拡散させる。本発明は、このように、隔壁23での浸透作用と導管22中の濃度勾配により、投与物質が溶解した溶液を口腔内に漸次拡散させることができる。投与に要する時間や投与量の時間変化は、予め封入しておく投与物質の量や形態、隔壁の広さや浸透作用の能力、導管の太さや長さなどを適宜設定・設計することによって調整できる。
【0019】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
■ 投与物質が消臭剤や芳香剤の場合、口腔内に持続的かつ安定的に自然に拡散させることができ、口腔内を無臭で清浄で快適な状態に長時間維持できる。また、香料、化粧品等の業界や、歯科の補綴、矯正、歯周、口腔衛生等の学問・研究分野で有効である。
■ 投与物質が一般の薬剤や栄養剤の場合、口腔内に漸次自然に拡散させることができるので、投与される患者や利用者が異物感や咳込みを生じることなく容易に燕下できる。医師、歯科医師、薬剤師等により処方される薬剤の口腔内拡散方式による投与、健康の維持・増進、美容、スポーツ等における栄養剤の口腔内拡散方式による投与に有効であり、一般の製薬業界の研究、開発に期待される事項になりうる。
【出願人】 【識別番号】599050918
【氏名又は名称】小宮山 秀子
【出願日】 平成12年3月16日(2000.3.16)
【代理人】 【識別番号】100064355
【弁理士】
【氏名又は名称】川原田 一穂
【公開番号】 特開2001−258910(P2001−258910A)
【公開日】 平成13年9月25日(2001.9.25)
【出願番号】 特願2000−74704(P2000−74704)