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【発明の名称】 粉末香と糖アルコールを利用する歯牙用麻糸の製造方法
【発明者】 【氏名】權 益 夫

【氏名】金 漢 洙

【氏名】安 惠 ジュン

【氏名】朴 在 雄

【氏名】張 志 一

【要約】 【課題】原糸に、液状香と通常的な糖をコーティングして歯牙用麻糸を製造する方法を提供する。

【解決手段】50重量部の蒸留水に5〜20重量部のハッカ粉末香、5〜50重量部の糖アルコール、及び0.01〜1重量部の抗菌剤を完全に溶解させた溶液により上記歯牙用麻糸の原糸を1次コーティングする工程;上記コーティングされた歯牙用麻糸を熱風乾燥室で乾燥する工程;100重量部のワックスに1〜10重量部のMCT(medium chain triglyceride)オイルを加えて完全に溶解させたワックス溶液により、上記乾燥された歯牙用麻糸を2次コーティングする工程からなることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 歯牙用麻糸(dental floss)の原糸に液状香をコーティングした後、通常的な糖をコーティングする歯牙用麻糸の製造方法において、50重量部の蒸留水に5〜20重量部のハッカ粉末香、5〜50重量部の糖アルコール、及び0.01〜1重量部の抗菌剤を完全に溶解させた溶液により上記歯牙用麻糸の原糸を1次コーティングする工程;上記コーティングされた歯牙用麻糸を熱風乾燥室で乾燥する工程;100重量部のワックスに1〜10重量部のMCT(medium chain triglyceride)オイルを加えて完全に溶解させたワックス溶液により、上記乾燥された歯牙用麻糸を2次コーティングする工程からなることを特徴とする粉末香と糖アルコールを利用する歯牙用麻糸の製造方法。
【請求項2】 上記糖アルコールは、キシリット(xylit ; xylitol)、ソルビトール(sorbitol)或いはそれらの混合物であることを特徴とする請求項1記載の粉末香と糖アルコールを利用する歯牙用麻糸の製造方法。
【請求項3】 上記抗菌剤は、ポリリシン、グレープフルーツ(grape-fruit)の種子抽出物或いはそれらの混合物を有効成分として含むことを特徴とする請求項1記載の粉末香と糖アルコールを利用する歯牙用麻糸の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は粉末香と糖アルコールを利用する歯牙用麻糸の製造方法に関し、より詳細には、歯牙用麻糸(dental floss)の原糸に液状香と通常の糖をコーティングして歯牙用麻糸を製造する方法において、上記歯牙用麻糸の原糸にハッカ粉末香と、甘味料として歯牙ゆう蝕症(dental caries ;虫歯)を誘発しない糖アルコールで1次コーティングした後、MCT(medium chain triglyceride)オイルを加えたワックス溶液で2次コーティングして歯牙用麻糸を製造することにより、ワックスコーティングで香りの損失と変質を最小化するとともに、糖アルコールを用いて甘味及び粉末香の清涼感をもたせ、相互の相乗効果により、使用者の嗜好に対応して、製品の附加価値を高めることができる、粉末香と糖アルコールを利用する歯牙用麻糸の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、歯牙用麻糸(dental floss)は、一般用歯ブラシでは除去しきれずに磨き残しが出る歯牙間に付着した食物の滓(かす)やプラーク(plaque;歯垢)を除去し、歯根膜炎、或いは歯牙ゆう蝕症の発生を防ぎ、歯牙と歯肉の健康を維持するための歯牙用清潔具として広く用いられている。
【0003】上記歯牙用麻糸を製造する方法としては、一般的にナイロンフィラメントを綯って(なって)製造する方法とテープ形態として製造する方法が知られている。また、使用者の嗜好に応じて人体に害がないミクロ結晶性ワックス(microcrystalline wax)をコーティングして、歯牙間への挿入を容易にしたり、逆に、ワックス処理が施されない製品もある。また、製品の附加価値を高めるために、歯牙用麻糸に香り材料を塗布して、使用者の嗜好に対応した製品もある。例えば、子供用フロスの場合には、果物香を用いたり、成人用としては清涼感のあるハッカ(mint)系列の香り材料を用いた製品がある。さらに最近においては、糸に糖類を塗布して使用者の嗜好に対応した製品も日本や米国で市販されている。
【0004】しかしながら、上記ハッカ香は、香りが長期間維持されず、空気との反応により容易に酸化して品質が低下する問題がある。人によっては、歯牙用麻糸を使用する際に、逆に不快感を感じる場合もしばしばある。また、塗布された糖が歯牙ゆう蝕症を引き起こす原因となり、歯牙用麻糸の使用効果に逆行する結果を招来することがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題点に鑑みて創案されたものであり、歯牙用麻糸を製造する時に、液状香を担体としてエントラッピング(entrapping)して粉末形態に転換させたハッカ粉末香として使用し、ハッカ香の清涼感を高めるための甘味料として一般的な糖よりも歯牙ゆう蝕症を誘発する虞がない糖アルコールを用いて歯牙用麻糸の原糸にコーティングし、さらに、長期間にわたって安全性及び持続性を強化するために再びワックスをコーティングすることにより、光による反応や空気との接触による酸化から香りを保護する効果を高め、また、使用者の嗜好に応じて、製品の付加価値を高めることができる、粉末香と糖アルコールを利用する歯牙用麻糸の製造方法を提供することをその目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、歯牙用麻糸(dental floss)の原糸に液状香をコーティングした後、通常の糖をコーティングする歯牙用麻糸の製造方法において、50重量部の蒸留水に5〜20重量部のハッカ粉末香、5〜50重量部の糖アルコール、及び0.01〜1重量部の抗菌剤を完全に溶解させた溶液により上記歯牙用麻糸の原糸を1次コーティングする工程;上記コーティングされた歯牙用麻糸を熱風乾燥室で乾燥する工程;100重量部のワックスに1〜10重量部のMCT(medium chain triglyceride)オイルを加えて完全に溶解させたワックス溶液により、上記乾燥された歯牙用麻糸を2次コーティングする工程からなることを特徴とする粉末香と糖アルコールを利用する歯牙用麻糸の製造方法であることをその特徴としている。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。本発明は、ナイロンフィラメントを綯った歯牙用麻糸にハッカ粉末香と糖アルコールをコーティングし、これをワックスによりコーティングすることにより、一般歯ブラシによる歯磨きでは磨き残しが出やすい歯牙と歯牙の間に付着した食物の滓やプラークを除去し、これにより、歯根膜炎、或いは歯牙ゆう蝕症の発生を防いで、歯牙と歯肉の健康を維持することができる、歯牙の清潔具としての歯牙用麻糸の製造方法に関するものである。
【0008】本発明による歯牙用麻糸の製造方法を、通常の製造工程により必要な成分、含量及び条件について、より具体的に見ると次の通りである。先ず、ナイロンフィラメントを綯って作った通常的な歯牙用麻糸の原糸に糖アルコールとハッカ香をコーティングするために、蒸留水にハッカ粉末香と、甘味料としての糖アルコール及び抗菌剤を添加した溶液を30℃で加温しながら、完全に溶解させる。次いで、上記溶液内に歯牙用麻糸を浸漬,通過させて1次コーティングする工程を行う。
【0009】本発明により用いられる上記ハッカ香料は、一般的な液状香ではなく、液状香を担体(carrier matrix)でエントラッピング(entrapping)して粉末形態に転換したものであり、この、歯牙用麻糸原糸に糖アルコールと共にコーティングされたハッカ香により使用者の嗜好に応ずることができ、製品の価値を高めることができるものである。
【0010】このように、本発明では、ハッカ粉末香を5〜20重量部の範囲で添加したものであるが、その使用含量が5重量部未満であるとメント特有の清涼感に劣る問題があり、その使用含量が20重量部を超えるとキシリット等の粘度の増加による製造工程の難しさ及び原糸の太さの増加による品質低下の問題が発生するので望ましくない。
【0011】前記本発明により用いられる上記糖アルコールは、ハッカ粉末香の清涼感を高めるとともに、一般的な糖のように歯牙ゆう蝕症を誘発する虞がない特徴を有するものであるが、このような糖アルコールの例としては、キシリット、ソルビトール或いはそれらの混合物が用いられる。
【0012】本発明の主要な糖アルコールである前記キシリットは、天然の甘味料として砂糖のような甘みがあり、優れた清涼感があるものであり、一般的な野菜の中に含有されている。また、代表的な虫歯誘発菌であるミュータント(S.mutans)の成長を抑制し、歯牙表面の細菌膜であるプラーク(plaque)の形成を抑制するとともに、プラーク(plaque)内における酸の生成を減少させて虫歯の発生を防ぐことが可能である。当該キシリットが十分に高濃度であると、歯牙からエナメル質の離脱を防ぎ、あるいは離脱したエナメル質の再沈着を助長する作用があるとして世界的に認知されているものである。
【0013】また、本発明は、時間の経過によりキシリットが結晶として析出されるのを抑制するためにソルビトールを用いることにその特徴がある。
【0014】従って、本発明では、上記糖アルコールを5〜50重量部の範囲で添加し、望ましくは50重量部の蒸留水に対して5〜30重量部のキシリット、1〜10重量部のソルビトールを添加する。本発明によると、キシリットの使用含量が5重量部未満であればキシリット特有の甘味度が不足する問題がある。その反面、30重量部をこえれば粘度の増加により製造工程が難しくなって望ましくない。また、ソルビトールの使用含量が1重量部未満であればキシリット結晶の析出を防ぐ効果がない。その反面、10重量部を超えると粘度の増加により望ましくない問題を引き起こす。
【0015】また、本発明では、歯牙用麻糸の衛生上の問題を解決するために、抗菌剤として天然素材である微生物に由来するポリリシン(polylysine)、植物に由来するグレープフルーツの種子抽出物或いはそれらの混合物を有効成分として含む抗菌剤を用いる。その使用含量は、0.01〜1重量部を添加する。本発明によると、抗菌剤の使用含量が0.01重量部未満であれば抗菌効果を発揮するが、1重量部を超えると抗菌素材に由来する異味、異臭が発生する問題がある。
【0016】次いで、本発明は、上記工程を通じて糖アルコールとハッカ粉末香でコーティングされた歯牙用麻糸を、80℃の熱風乾燥室で30秒程度において通過させ、歯牙用麻糸の上にコーティングされた糖アルコールとハッカ溶液を充分に乾燥させる工程を行う。
【0017】本発明によると、乾燥室内の通過時間が30秒未満であれば乾燥が不十分となり、通過時間が30秒を超えるとハッカ粉末香が熱により失われてしまうので、上記通過時間を30秒程度に限定することが望ましい。
【0018】最後の工程として、本発明では、上記工程から完全に乾燥された歯牙用麻糸をワックス溶液で2次コーティングする工程を行う。この2次コーティングは、歯牙用麻糸にコーティングされたハッカ粉末香と糖アルコールが、光と水分に反応することを防止し、香りを長期間にわたって維持し、空気との接触による酸化から保護するものである。従って、100重量部のワックスに対して1〜10重量部のMCT(medium chain triglyceride)オイルを添加した後、90℃で加熱してワックス溶液を製造する。次いで、上記ハッカ粉末香がコーティングされている歯牙用麻糸を、再び上記ワックス溶液に通過させて乾燥し、これを通常的な方法により包装する。
【0019】ワックス溶液にMCTオイルを添加する理由は、常温で液状形態として存在するMCTオイルを添加することによりワックスの融点(melting point)を低めて、糖アルコールとハッカ粉末香がコーティングされている歯牙用麻糸が、高温のワックス溶液を通過する際における熱による損失を最小化するものである。また、MCTオイルを添加して完成した歯牙用麻糸は、従来のワックスだけを用いた歯牙用麻糸に比較して、歯牙用麻糸自体が柔軟となる付加的な効果も得ることができる。
【0020】上に述べた方法により得られた歯牙用麻糸は、従来の一般用歯牙用麻糸に比べて香りの酸化防止及び持続性を強化させる効果ばかりでなく、糖アルコールを用いることにより製品に甘味が付与されて、使用にあたり、拒否感がなくなることから、製品の付加価値を高めることができる。以上のような本発明を次の実施例に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。
【0021】〈実施例1〉50重量部の蒸留水に対して、5重量部のキシリット(Cultor社)、5重量部のハッカ粉末香(Ogawa 香料、peppermint coaton)及び0.2重量部の抗菌剤(有効成分:ポリリシン、グレープフルーツの種子抽出物)を加え、攪拌して完全に溶解させた。つづいて、ナイロンフィラメントを綯って作った歯牙用麻糸の原糸(Kolon社)を上記溶液に通過させた。上記コーティングされた歯牙用麻糸を80℃の熱風乾燥室で30秒にわたって乾燥させた。つづいて、100重量部のワックスに5重量部のMCTオイルを加えて90℃に加温して完全に溶解させたワックス溶液を製造した後、上記乾燥された歯牙用麻糸をワックス溶液に通過させてワックスによりコーティングして歯牙用麻糸を製造した。
【0022】〈実施例2〉50重量部の蒸留水に対して、15重量部のキシリット(Cultor社)、5重量部のソルビトール(Samyang Genex 社)、15重量部のハッカ粉末香(Ogawa香料、peppermint coaton)及び0.2重量部の抗菌剤(有効成分:ポリリシン、グレープフルーツの種子抽出物)を加え、攪拌して完全に溶解させた。つづいて、ナイロンフィラメントを綯って作った歯牙用麻糸原糸(Kolon 社)を上記溶液に通過させた。上記コーティングされた歯牙用麻糸を80℃の熱風乾燥室で30秒にわたって乾燥させた。つづいて、100重量部のワックスに5重量部のMCTオイルを加えて90℃に加温して完全に溶解させたワックス溶液を製造した後、上記乾燥された歯牙用麻糸をワックス溶液に通過させてワックスによりコーティングして歯牙用麻糸を製造した。
【0023】〈実施例3〉50重量部の蒸留水に対して30重量部のキシリット(Cultor社)、10重量部のソルビトール(Samyang Genex 社)、20重量部のハッカ粉末香(Ogawa香料、peppermint coaton)及び0.2重量部の抗菌剤(有効成分:ポリリシン、グレープフルーツの種子抽出物)を加え、攪拌して完全に溶解させた。次いで、ナイロンフィラメントを綯って作った歯牙用麻糸原糸(Kolon 社)を上記溶液に通過させた。上記コーティングされた歯牙用麻糸を80℃の熱風乾燥室で30秒にわたって乾燥させた。次いで、100重量部のワックスに5重量部のMCTオイルを加えて90℃に加温して完全に溶解させたワックス溶液を製造した後、上記乾燥された歯牙用麻糸をワックス溶液に通過させてワックスによりコーティングして歯牙用麻糸を製造した。
【0024】〈比較例1〉歯牙用麻糸原糸に、メント液状香だけをコーティングして歯牙用麻糸を製造した。
【0025】〈比較例2〉歯牙用麻糸原糸にメント液状香をコーティングした後、通常的な糖(グルコース及びスクロースをコーティングして歯牙用麻糸を製造した。上記実施例1〜3及び比較例1〜2から製造された歯牙用麻糸に対して、1年間の経視変化による専門パネルの官能評価と香り成分の残存量に対する機器分析を実施し、その結果を次の表1と2に示した。
【0026】
【表1】

【0027】
【表2】

【0028】
【発明の効果】以上説明のように本発明による歯牙用麻糸は、ハッカ粉末香と糖アルコールをコーティングし、再びワックスでコーティングして光と水分による反応と空気との接触による酸化を防ぐことにより、長期間にわたって香りを維持するとともに甘味が優れ、使用者の嗜好を満足させて、製品の価値を高めることができる効果がある。
【出願人】 【識別番号】501024277
【氏名又は名称】ロッテ商事株式会社
【識別番号】500539376
【氏名又は名称】張 志 一
【出願日】 平成13年1月19日(2001.1.19)
【代理人】 【識別番号】100093399
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬谷 徹 (外1名)
【公開番号】 特開2001−245904(P2001−245904A)
【公開日】 平成13年9月11日(2001.9.11)
【出願番号】 特願2001−12427(P2001−12427)