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【発明の名称】 人工歯
【発明者】 【氏名】野首 孝嗣

【氏名】下澤 茂

【要約】 【課題】複数の素材によって人工歯を構成することにより、長期にわたって深い溝を確保することができ、削合なども容易な人工歯を開示する。

【解決手段】少なくとも隆線および咬頭を含む部分と、少なくとも溝および窩を含む部分とをそれぞれ異なる樹脂で構成し、前記隆線および咬頭を含む樹脂が前記溝および窩を含む樹脂よりも硬質とした。溝は人工歯の上下方向に貫通しており、この溝に充填された樹脂は人工歯の底面まで回りこんでいる。溝および窩を含む部分は、歯ブラシによるブラッシングによって研磨できる程度の硬さである。隆線および咬頭を含む樹脂と、溝および窩を含む樹脂の色を異ならしめる。溝および窩を除いた表面をカバーレジンで被覆する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】人工歯において、少なくとも隆線および咬頭を含む部分と、少なくとも溝および窩を含む部分とをそれぞれ異なる樹脂で構成し、前記隆線および咬頭を含む樹脂が前記溝および窩を含む樹脂よりも硬質であることを特徴とした人工歯。
【請求項2】溝は人工歯の上下方向に貫通しており、当該溝に充填された樹脂は人工歯の底面まで回りこんでいる請求項1記載の人工歯。
【請求項3】溝および窩を含む部分は、歯ブラシによるブラッシングによって研磨できる程度の硬さである請求項1記載の人工歯。
【請求項4】隆線および咬頭を含む樹脂と、溝および窩を含む樹脂の色を異ならしめた請求項1または2記載の人工歯。
【請求項5】溝および窩を含む樹脂は透明である請求項3記載の人工歯。
【請求項6】溝および窩を除いた表面をカバーレジンで被覆した請求項1〜4のいずれかに記載の人工歯
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は咬合面に簡単に溝を形成することができる構造の、レジンによって成形された人工歯に関するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】従来からレジンを素材とした人工歯は広く知られており、金型にレジンを注入することによって容易に成形することができる。しかしながら、従来のこの種の人工歯は成形品であるために歯の表面に複雑な溝を付与することができない。ところで、特に臼歯における表面の溝は咀嚼効率を上げるために重要な役割を担っている。従って、従来のように表面に溝が少なく、あったとしても浅い溝しか付与できない人工歯であれば、十分な咀嚼を行うことができないという問題がある。
【0003】また、深い溝を人工歯に付与することができたとしても、人工歯の素材は比較的軟らかい単一素材で形成されているので、人為的な削合や自然磨耗によって咬合面が平坦になり、溝が浅くなってしまうという問題が残ることになる。一方、人工歯の素材の硬度を高くすればこの問題は解消するが、削合による形態付与が困難であるという別の問題が新たに発生することになる。
【0004】本発明は上述した従来の課題を解決するもので、複数の素材によって人工歯を構成することにより、長期にわたって深い溝を確保することができ、削合なども容易な人工歯を開示することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明では上記目的を達成するために、少なくとも隆線および咬頭を含む部分と、少なくとも溝および窩を含む部分とをそれぞれ異なる樹脂で構成した。そして、前記隆線および咬頭を含む樹脂が前記溝および窩を含む樹脂よりも硬質の素材を採用するという手段を用いた。従来の課題で示したように、単一素材の人工歯であれば自然歯と同様の深く複雑な溝を形成することはできない本発明の人工歯では、溝および窩を含む部分をその他の部分よりも軟質としており、口腔に適用する際の咬合合わせ時に比較的容易に削合作業をすることができるように設計しているまた、隆線および咬頭に該当する部分を硬質の素材とすることによって、この部分の磨耗を抑制し、的確な擦り合わせに資する機能を行わせる【0006】さらに溝のより具体的な手段として、溝を人工歯の上下方向に貫通させ、この溝に充填した樹脂を人工歯の底面まで回りこませるという技術を採用したこのようにすることによって、2種類の樹脂が確実に一体化され、界面に小さな剥離が生じた場合でも溝および窩の部分の樹脂が脱落することを防止する機能を有する【0007】次に、溝および窩を含む部分は歯ブラシによるブラッシングによって研磨できる程度の硬さとすることによって、人工歯を装着した者が日常の歯ブラシによって軟質部を徐々に削合することになり、溝の磨耗による平坦化を抑制することになる。
【0008】さらに、隆線および咬頭を含む樹脂と、溝および窩を含む樹脂の色を異ならしめる手段は、人工歯を装着する際に軟質部を削合するときの削合すべき箇所を色彩的に指示する機能を有している。この場合、軟質部を透明とすることによって、自然な色彩を得ることができる。
【0009】さらにまた、溝および窩を除いた表面をカバーレジンで被覆する手段は、削合する必要がない表面を保護する機能を有している。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施形態を、添付した図面に従って説明する。図1は本実施形態で示す人工歯の斜視図であって、臼歯に適用したところを示しているここで、1は人工歯全体、2は咬頭、3は隆線、4は溝、5は窩である。図2は同じく概略断面を示したもので、人工歯に用いる素材が明確になるようにしており、6は硬質レジン、7は硬質レジン6と比較してより軟質であるアクリルレジンで形成された部分を表す図1と図2から理解できるように、本実施形態の人工歯は、咬頭2や隆線3に該当する部分は硬質レジンが露出しており、溝4や窩5に該当する部分はアクリルレジンが露出しているまた、アクリルレジン7は溝4の表面を単に覆っているだけでなく、溝4に該当する部分はまず硬質レジンによって深い溝4aを形成しておき、この部分を含めてアクリルレジン7を適用するようにしている。
【0011】上記実施形態において、アクリルレジンとして必要な硬度は第1に、人工歯を患者の口腔内に装着する際の咬合合わせ時において、ドクターサイドで器具を用いて用意に削合できる程度であることが必要である。第2に、装着後において磨耗が進行するが、日常のブラッシングによってアクリルレジン部が磨耗し、これによって溝や窩を的確に維持できる程度の軟らかさであることである。このようにすれば、装着時の削合によって付与された形態を、効果的に維持することができるようになる。なお、アクリルレジン7として適当な着色を行えば、削合する際に判りやすく便利である。また、これを透明とした場合には溝の存在がより鮮明になるので、自然歯らしい外観を付与することができるようになる。
【0012】次に、図3は別の実施形態を示した断面図であって、図2の実施形態の人工歯にさらにカバーレジン8を適用したところを示すカバーレジン8は、硬質レジン6の外周を覆うが、積極的に磨耗を所望するアクリルレジン7は覆わないように設ける必要があるこのようにすれば、カバーレジン8の色彩を調整することによって人工歯を自然な色合いとすることができ、さらに半透明に調整することによって、患者の他の歯と調合させることも可能である。
【0013】上記実施形態の人工歯の製造方法としては、先ず硬質レジンを図2のような形状になるように作成したベース型に注入して成型する。次に、アクリルレジンを築盛して形態を整える。そして、必要であればカバーレジンで覆うことができるように別のカバーレジン用の型に投入した後にカバーレジンを注入して完成させる。レジンの種類は特に問わないが、硬質レジンはある程度硬度を確保できるもの、アクリルレジンは作業を容易にするために光重合性のレジンを用いるのが便利である。また、カバーレジンは注入形に代えて塗布することも可能である。
【0014】なお、本実施形態では軟らかい方のレジンとしてアクリルレジンを採用したが、これに限定されるものではなく、隆線や咬頭を構成するレジンと比較してより軟らかい素材で、ブラッシングによって磨耗できるような硬度を有するレジンであれば、歯科で認められているレジン中から自由に選択することができるのはいうまでもない。
【0015】続いて、本発明の別実施形態を図4〜6に示す。図は上顎小臼歯を実例として適用したところであり、図4の平面視、図5のA−A断面視、図6のB−B断面視で示したように、硬質レジン部分には上下に貫通する透孔10を形成し、この透孔にもアクリルレジンを充填し、さらに人工歯の底面部11にアクリルレジンを回りこませているこのようにすると、アクリルレジンの磨耗に応じて硬質レジンとアクリルレジンの界面に剥離が生じた場合でも、アクリルレジンが脱落してしまうことを防止することができるなお、本質的な構成については先の実施形態と変わるところはない【0016】ところで、図7は本発明の別実施形態を示す断面図であって、アクリルレジン7が歯の表面側に露出せず、硬質レジン6で表面全体を覆っている構成を示しているこれは量産を考慮したものであり、アクリルレジン7を表面に露出させる構造よりも成形がより容易になる。しかしこの場合であっても、患者に適用する際には図7の溝12を削合してアクリルレジン7を露出させるようにするので、最終的な構成は他の実施形態と何ら変わるところはなく、本発明の範囲に入ることはいうまでもない。
【0017】
【発明の効果】本発明では上述したように 少なくとも隆線および咬頭を含む部分と、少なくとも溝および窩を含む部分とをそれぞれ異なる樹脂で構成して、隆線および咬頭を含む樹脂が溝および窩を含む樹脂よりも硬質であること、即ち溝などに該当する樹脂をより軟質とした。従って、この人工歯を患者に適用するに際して行われる削合においても、作業性を向上させることが可能となったまた、溝および窩を含む部分の硬さとして、ブラッシングによって研磨できる程度の硬さの樹脂を採用した場合には、装着した者がブラッシングを行うことによって磨耗することになり、溝や窩に該当する部分は全体の磨耗による平坦化を回避することができる従って、長期装着によっても咀嚼効率が低下することなく人工歯を利用することができるようになるさらにまた、溝の部分を貫通させ、この部分に対するより軟質な樹脂を人工歯の底面まで回りこませることによって、2種類の樹脂の界面に剥離が生じた場合でも溝に該当する樹脂が脱落することを防止することができ、寿命の長い人工歯とすることができる。
【0018】さらに、隆線および咬頭を含む樹脂と、溝および窩を含む樹脂の色を違えた場合には、適用時の削合の際でも視覚によってこれらを識別することができるので、作業が容易になる。特に、溝および窩を含む樹脂に透明樹脂を採用した場合には溝が鮮明に出現することになるので、審美性も向上する。
【0019】溝および窩を除いた表面をカバーレジンで被覆する手段を採用した場合には、カバーレジンの着色によって自然な色彩を付与することができるので、付加価値をさらに高めることが可能となる
【出願人】 【識別番号】392001966
【氏名又は名称】下澤 茂
【識別番号】500088081
【氏名又は名称】楠 智恵
【出願日】 平成12年2月28日(2000.2.28)
【代理人】 【識別番号】100095647
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 俊明
【公開番号】 特開2001−238897(P2001−238897A)
【公開日】 平成13年9月4日(2001.9.4)
【出願番号】 特願2000−51740(P2000−51740)