| 【発明の名称】 |
歯科磁性アタッチメント用キーパ |
| 【発明者】 |
【氏名】古谷 匡
【氏名】秋浜 賢治
【氏名】水谷 紘
【氏名】中村 和夫
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| 【要約】 |
【課題】歯科医療分野における義歯の固定に永久磁石の吸引力を利用した歯科磁性アタッチメントの構成に係り、特に取り外しが可能となる歯科磁性アタッチメント用キーパおよびそれを用いた歯科磁性アタッチメントを提供する。
【解決手段】義歯床の底部に備えられた永久磁石を耐食性のケース内に配した磁石構造体と磁気吸着させるための歯科磁性アタッチメント用キーパであって、前記歯科磁性アタッチメント用キーパは前記磁石構造体と磁気吸着させる吸着面を有するヘッド部と歯根側と着脱自在とするための着脱部とからなり、かつ前記吸着面中央部近傍に吸着面面積の15%以内の大きさである吸着面の端部より内側で形成される着脱用孔を有することを特徴とする歯科磁性アッタチメント用キーパ。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 義歯床の底部に備えられた永久磁石を耐食性のケース内に配した磁石構造体と磁気吸着させるための歯科磁性アタッチメント用キーパであって、前記歯科磁性アタッチメント用キーパは前記磁石構造体と磁気吸着させる吸着面を有するヘッド部と歯根側と着脱自在とするための着脱部とからなり、かつ前記吸着面中央部近傍に吸着面面積の15%以内の大きさである吸着面の端部より内側で形成される着脱用孔を有することを特徴とする歯科磁性アッタチメント用キーパ。 【請求項2】 前記着脱部はネジ式である請求項1の歯科磁性アタッチメント用キーパ。 【請求項3】 前記着脱用孔は正多角形形状であることを特徴とする請求項2または3に記載の歯科磁性アタッチメント用キーパ。 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の歯科磁性アタッチメント用キーパと、前記歯科磁性アタッチメント用キーパを歯根側に着脱させるための着脱手段を有する支持部材と、義歯床の底部に備えられる磁石構造体と、から構成される歯科磁性アタッチメントであり、前記支持部材に根面板に埋設させるための取手を設けたことを特徴とする歯科磁性アタッチメント。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は歯科医療分野における義歯の固定に永久磁石の吸引力を利用した歯科磁性アタッチメントの構成に係り、特に取り外しが可能となる歯科磁性アタッチメント用キーパおよびそれを用いた歯科磁性アタッチメントの構成に関する。 【0002】 【従来の技術】歯科磁性アタッチメントを義歯に適用した場合の模式図を図4に示す。従来、自在に義歯を歯根に装着したりあるいは取り外しをするために機械的な固定手段が用いられてきたが、図示するように歯科磁性アタッチメントは永久磁石の磁気吸引力を利用する方法であるため、取り扱いが簡単であり衛生的であること等から急速にその適用例を増している。通常歯科磁性アタッチメントは磁石構造体1と軟磁性材の歯科磁性アタッチメント用キーパ(以下、キーパとする)2からなり、これらを義歯に固着して使用される。例えば、磁石構造体1は円筒状の外形を有し、上部に人工歯5を固定した樹脂製の義歯床6の底部中央に接着固定される。一方、キーパ2は円板状の磁性材からなり、歯肉8内に残存する歯根4の根幹7で固定される根面板3上に鋳接される。図示するように磁石構造体1をキーパ2に接近させると、磁気吸引力Fmが生じ義歯を歯根側に吸着固定することになる。逆に、Fm以上の力を加えることにより義歯を取り外すことが可能である。歯根4上に置かれる根面板3は金合金のような耐食非磁性材料が使用され、歯根部を被覆保護する機能を有する。また、キーパ2は磁石構造体1との間で所要の磁気吸引力を生じさせるために良好な軟磁特性を持つと共に、同時に耐食性が必要であるため磁性ステンレス鋼が用いられている。 【0003】次に、磁石構造体の構成と機能を説明する。磁石構造体は外径2〜5mm、高さ1〜2mm程度の大きさである。その断面を図5に示す。カップヨーク9内に永久磁石12を配置し、ディスクヨーク10および非磁性リング11で蓋をした構造であり、それぞれの接触部はレーザ溶接などで接合するため、カップヨークの内部と外部は完全に隔離された状態となる。カップヨーク9およびディスクヨーク10は磁性ステンレス鋼を、また非磁性リング11には非磁性ステンレス鋼を用いているため永久磁石を図示するように着磁すると、磁力線13はカップヨーク9を通過し、非磁性リング11をバイパスしディスクヨーク10に入る。このように永久磁石12が発生する磁束は磁石構造体の下部の空間に分布するため磁性体1のキーパ2を近づけると、キーパ2はディスクヨーク10側に吸引されることになる。このような原理で前述した動作を行うことができる。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】歯科磁性アタッチメントを装着した個人が、MRI(核磁気共鳴診断装置)などの磁気を応用した医療機器で検査診断を受ける場合、アタッチメントの磁性材部分の存在が診断画像の乱れを惹起し、屡々診断に支障を来した。そのため、画像の乱れの防止対策としてアタッチメントの磁性材部を取り除く必要があった。磁石構造体は義歯床に固定され、義歯床は口腔内から取り外し可能であるため問題はないが、キーパ側を歯根に半永久的に固定させる構造とした場合には簡単に撤去ができない。したがって、キーパを取り外すためには歯根以下を破壊して摘出しなければならない。さらに、診断検査後の修復が困難となり、機能回復に多くの日数を要し日常生活に差し障りを生じてしまう。 【0005】この対策として、根面板からの取り外し可能なキーパが特開平7−163589号公報に開示されている。その概略を図6に示す。キーパ20aは板状とせず雄ネジを具備させて形成するもので、磁石構造体と対向吸着するヘッド部22aと雄ネジ状のポスト部24aからなり、根面板25aに設けられた雌ネジ孔26a内にリング15を介して固定する方式である。そのヘッド部22aの上端面には、ドライバー用溝31aが形成されている。このようなドライバー溝31aは−(マイナス)ドライバー用、+(プラス)ドライバー用の適用が記述されているが、この方法ではキーパを取り外す際にドライバーを掛け難いという問題がある。また、磁石構造体と対向吸着するキーパの有効面積が減少し、磁気吸着力が低下するという問題がある。さらに、ドライバーで溝をこじって吸着面にバリを発生させ隙間を作り、吸着力を低下させるという問題がある。 【0006】 【課題を解決するための手段】以上述べたような従来技術の課題を鑑みて解決方法を模索し、新たな構成による機能を検証した結果、次に述べる解決手段を創案した。即ち、キーパの磁石構造体と磁気吸着する吸着面上に吸着面面積の15%以下である着脱用孔を形成した可撤構造としたことである。可撤構造としてはネジ構造とすれば根面板に対してキーパが安定しやすく、かつ着脱性からも好ましい。雄ネジ状のキーパに着脱用孔を設けると磁石構造体とキーパ間での吸着面積が減少することにより、磁石構造体とキーパの間の吸引力は低下する。しかし、特に図5のようなカップヨーク型磁気回路を有する磁石構造体を用いる場合には、吸引力の大部分はキーパの周辺部で担っているため、キーパの中央部に小さな孔が開けられても吸引力の低下を小さく抑えることができる。 【0007】本発明では、この条件を満足する形態として、六角レンチなどの正多角形形状の着脱用孔とすることが好ましい。円形状に近似する形状として考慮すると、四角以上、さらには六角以上の形状とすることが好ましい。プラス又はマイナスドライバ用の十字形や長方形の孔形状と比較して、キーパの中央部(回転軸中心近傍)で、かつ着脱用孔の面積を小さくすることができる。また、プラスやマイナス形状で面積率を小さくしても着脱の際に孔の周辺部でバリが発生しやすい。しかしながら、この条件を満たす形態ならば、上記したものに限定される必要がないことは言うまでもない。 【0008】上記着脱用孔はキーパの吸着面積の15%以下とすれば、孔のない平坦なキーパを用いた場合と比較しても15%以下で吸着力の低減を保つことが可能である。それ以上では吸着面面積の減少に対して吸着力の減少の方が大きくなる。また、着脱用孔はキーパ吸着面積の10%以下とすれば平坦なキーパの90%以上、さらに5%以下とすれば98%以上と可撤式キーパであっても口内に常設される鋳接等を行う吸着面が平坦なキーパと比較してもほぼ同等の吸引力を得ることが可能である。 【0009】着脱用孔としては着脱手段としてネジ式が簡易であることから、回転工具用孔が主に選ばれるが特に限定されるものではない。例えば着脱部が歯根側に埋設された保持部材と嵌着するような構造である場合には着脱用孔に棒状の工具を懸架しててこのようにはずすなど、様々な形態としてもかまわない。また、着脱用孔は着脱面に対して垂直とするだけでなく、奥歯のような狭い空間に用いる場合には吸着面側が広くなるような形状としてもよい。上記したような保持部材とはめ合うような構造の場合には工具を懸架し易いよう吸着面側を狭くして設けても良い。 【0010】キーパの吸着面と磁石構造体の吸着面との形状は通常同形同大であるが、異なる場合は着脱用孔の大きさ等を考慮しなくてはならない。磁石構造体の吸着面に対して本クレームの要件を満たすようにすれば同形である場合と同様の効果が得られる。 【0011】本発明のように可撤式とした場合、キーパを着脱するための支持部材に取手を設けて根面板に埋設することで根面板との固着力を挙げることが可能であり、かつ鋳接する際にこの取手を使用して位置決めを行いやすくすることが可能である。 【0012】 【発明の実施の形態】本発明の実施例として吸着面を示したものを図3に示す。また、根面板に内接した状態の断面図として図2を用いて説明する。雄ネジ式のキーパ20を支持部材である雌ネジ25に収納した状態を示すものである。支持部材には取手16が具備され、根面板3内に埋設されて固定されている。本発明によるキーパ20は、磁石構造体と対向して吸着面を形成するヘッド部22とネジを設けた着脱部24を形成した雄ネジ状である。また、図3に示したヘッド部22の吸着面26には回転工具を挿入するための着脱用孔31を設けてあり、図3では六角孔の場合を示す。この孔31を使い、六角レンチなどで回転させ、容易にキーパ20を雌ネジ25から取り外すことが可能である。 【0013】図2および3のキーパの吸着面が円形状である際の吸引力と着脱用孔の大きさの関係を図1に示す。図中、横軸は着脱用孔の吸着面上の大きさの割合を示したもの、縦軸は吸引力を示したものである。このように着脱用孔を大きくしていくにつれ吸引力は減少していくが、吸着面積に正比例はしない。前記したように吸引力の大部分はキーパの周辺部で担っているため、キーパの中央部に所定の大きさの孔が開けられても吸引力の低下を小さく抑えることができることが解る。図1中、点線はキーパの外径を3.0mmとしたもの、実線はキーパの外形を4.0mmとしたものを表す。歯根の大きさからφ2.5〜4.5mm程度のものが使用されるが、すべて同様の傾向を示す。 【0014】(実施例1)図2および3に示すキーパ20を作成した。材料は軟磁性材料、例えばSUS447J1により成形したネジ形状とした。ヘッド部の寸法は直径4.0mm、厚さ0.8mmとし、雄ネジ部はM3.5、ピッチ0.26mmで長さを1mmとした。キーパの吸着面には1辺の長さが0.5mmである正六角孔をキーパ回転軸中心に設けた。また、キーパの保持部材として歯科用鋳造合金(石福金属興業(株)製商品各KIK)を用いた雌ネジ25を作成した。雌ネジ25は外形が略円柱状とし、直径5.0mm、厚さ2.2mmとし、かつキーパを保持部材に螺着させた際にキーパの吸着面が保持部材の上端面よりも若干突出するように雌ネジおよびヘッド部収納スペースを設けた。実施例1でのキーパと径4mmの円筒状磁石構造体とを用いて吸引力を測定した。結果を表1に示す。また、参考例として吸着面に孔を設けない以外は実施例1と同様に作成したキーパを用いて比較を行った。孔の面積率は約5%であるにも係わらず、吸引力の低下はわずかで2%以下である。 【0015】 【表1】
【0016】(比較例1)吸着面に設けた着脱用孔の大きさを1辺の長さが1mmである正六角孔とした以外は実施例1と同様にしてキーパを作成し、同様にして吸引力を測定した。結果を表1に示す。孔の面積率は吸着面に対して21%であるが、吸引力は孔を設けていない参考例と比較して60%程である。着脱用孔が磁石構造体から出る磁束に影響を与える範囲まで設けられているため、格段に吸引力が悪くなることが解る。 【0017】(比較例2)吸着面に設けた着脱用孔を吸着面の中心を通り端部から端部まで連通した溝状となるマイナス溝状とし、かつ面積率を比較例1と等しい21%となるように設けた。それ以外は実施例1と同様にキーパを作成し、吸引力を測定した。結果を表1に示す。面積率は比較例1と同じであるにも係わらず、吸引力はさらに低下していることが解る。マイナス溝形状としたことで比較例1よりもさらに着脱用孔がキーパの着脱面の外周部がわにせり出したことにより、磁束の影響を多大に受けたものと思われる。この着脱用孔が略円形状から非円形状になるなどして吸着板中心部から離れるに従い同じ面積率でも吸引力の方がさらに悪くなる傾向があり、面積率が15%以下のものでも同様に確認できた。面積率が30%程度以内では常に正多角形状の方が高い吸引力を示す。また、着脱を繰り返す内に吸着面にバリが発生し、吸引力が低減した。 【0018】 【発明の効果】以上、実施例から容易に理解されるように、本発明によって歯科磁性アタッチメント用キーパの取り外しが簡単になると共に、従来問題であった吸引力の低下等の課題を解決できる。併せて、超音波振動などを掛け易い構造としたため、取り外し操作が容易なキーパを提供できるものである。さらに、吸着面のバリを改善でき、より信頼性の良好な義歯の製造が可能となる。さらに、着脱を繰り返しても支持部材が強固に歯根がわに固定され鋳接の作業性が向上した上記キーパを用いたアタッチメントを提供できるものである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005083 【氏名又は名称】日立金属株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年1月6日(2000.1.6) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2001−190571(P2001−190571A) |
| 【公開日】 |
平成13年7月17日(2001.7.17) |
| 【出願番号】 |
特願2000−616(P2000−616) |
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