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【発明の名称】 歯科印象用トレー
【発明者】 【氏名】ヨハン フェッツ

【氏名】インゴ ヴァーグナー

【氏名】ヨアヒム ツェッヒ

【要約】 【課題】印象材における空隙の形成を防止する歯科印象用トレーを提供する。

【解決手段】歯科印象用トレーは、そのトレーの使用位置において、顎の方を向いて内面に配置され、口蓋または舌にそれぞれ面する歯列弓と向かい合い、歯21または低歯22と歯肉との間の領域に印象材25を導びく流動面26を形成する壁部材14が設けられている。これによって、凝固後の印象材の空隙が防止される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 歯科印象用トレーの内面に壁部材(14)が設けられており、前記トレーの使用位置において、前記壁部材(14)は、患者の顎の方を向き、患者の口蓋または舌に面している歯列弓(21、22)側と少なくとも部分的は向かい合わせに配置されている歯科印象用トレーにおいて、前記壁部材(14)は、患者の歯列弓(21、22)と歯肉(23)との間の変わり目の領域に向かって突出している表面(27)を末端縁部(27)が有することを特徴とする、歯科印象用トレー。
【請求項2】 前記壁部材(14)の表面(26)は凹状に湾曲している、請求項1に記載のトレー。
【請求項3】 前記壁部材(14)の前記末端縁部(27)は、前記トレーの使用位置において、患者の歯列弓(21、22)と共同して、流れの断面を狭くした領域を形成している、請求項1または2に記載のトレー。
【請求項4】 前記壁部材(14)は、前記トレーの使用位置において、実質的に歯列(21、22)全体にわたって延びる湾曲ウェブとして構成されている、請求項1から3のいずれか1項記載のトレー。
【請求項5】 前記壁部材(14)は、その長手方向の一部分にのみ沿って前記凹状湾曲面(26)を備えている、請求項1から3のいずれか1項記載のトレー。
【請求項6】 前記トレーの外側上縁部(16)を形成する外周壁(11)を有し、前記壁部材(14)が内側上縁部(15)を形成し、前記内側上縁部(15)は前記外側上縁部(16)の実質的に上方に位置している、請求項1から5のいずれか1項記載のトレー。
【請求項7】 請求項1から6のうちのいずれか1項記載の印象用トレーを使用することによって歯の印象を採取する方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、歯科印象用トレーに関する。
【0002】
【従来の技術】歯科印象用トレーは、歯列またはその一部の印象を採取するための治療組成物を受容するのに使用される。その型に石膏または他の材料を流し込むと、歯科技工士の作業ベースの役目をする、歯列またはその一部の模型が得られる。
【0003】ドイツ特許発明明細書第196 28 682号には、トレーの内面に設けられた壁部材を有する歯科印象用トレーが開示されており、壁部材は、トレー使用位置において、患者の顎の方を向いており、患者の口蓋または舌に面している歯列弓側と少なくとも部分的に向かい合わせに配置されている。この公知のトレーは、特に下顎の印象採取用に作られている。壁部材は、舌の領域をあけたままにしておくために設けられている。壁部材は、硬化した印象材をトレーから簡単に外せるように、トレーのベースプレートに対して傾斜している。
【0004】ドイツ特許発明明細書第26 19 799号には、上述したものとほとんど同様の、別の歯科印象用トレーが開示されている。このトレーは、印象材に保持力を及ぼすためのビーズ付き末端縁部を備えた内側および外側壁部材を有している。
【0005】特に、印象材としてシリコンを使用すると、歯すなわち低歯と歯肉との間の変わり目の領域の硬化材料に、いわゆる流れ縞、すなわち、型取り工程中に材料の流れによって充填されなかった空隙が生じる。このような空隙は、印象材が満たされたトレーを顎に合わせるときの材料の流動性によって生じ、また、これらの空隙は、シリコンの疎水性によってさらに助長される。歯および歯肉によって押しのけられた材料は、流動の物理法則により、歯と歯肉の中間にある個々の小さなアンダーカットを通り越して流れ、エーロフォイルの剥離現象と同様に前述の小さな空隙を形成することがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】これらの空隙によって印象が損なわれ、そのため、はめ合わせに重要な、そのような部位に対する歯科技工士のその後の作業が不十分な精度で行われ、それによって歯科技工士および/または歯科医の労力が増え、さらに深刻な場合は、型全体が使いものにならなくなってしまう。
【0007】本発明の目的は、正確な印象を採取できる歯科印象用トレーを提供することである。本発明の特別な目的は、印象材における前述の空隙の形成を防止することであることが理解されるであろう。
【0008】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するために、本発明の歯科印象用トレーは、トレーの内面に設けられた壁部材を有し、該壁部材は、トレー使用位置において、患者の顎の方を向いて、患者の口蓋または舌に面している歯列弓側と少なくとも部分的に向かい合わせに配置され、また、その壁部材は患者の歯列弓と歯肉との間の変わり目の領域に向かって突出している表面を、末端縁部に有している。
【0009】トレーが顎に向かって加圧されるときに、この表面によって、印象材の流れが歯列弓と歯肉との間の変わり目の領域に導かれ、そのため、印象材の流れは、前記領域に存在する狭いくぼみ、すなわちアンダーカットを容易に流れることができず、むしろ前述の形成が遂行される。このようにして、印象材における前述の空隙を排除する、あるいは少なくとも減らすことができ、その結果、できあがった歯の交換部品の適合度が向上する。
【0010】同時に、壁部材によって成形材料が節約される。
【0011】一実施態様において、今まで印象材を満たすことが困難であったそれらの部位に、さらにいっそう制御された方法で、印象材が流れるように、壁部材の表面が凹状に湾曲している。
【0012】壁部材の末端縁部は、トレーの使用位置において、患者の歯列弓とともに、流れの断面を小さくすることが好ましい。これによって、空隙が形成される傾向がある部分の圧力が増加する。
【0013】壁部材は、トレーの使用位置において、本発明が歯列弓全体にわたって有効となるように、実質的に歯列弓全体に沿って延びる湾曲ウェブとして構成することもできる。
【0014】あるいは、壁部材には、その長手方向の一部のみに沿って凹状に湾曲した表面が設けられており、そうすることによってトレーが製造しやすくする。
【0015】さらに別の好適な実施態様において、トレーは、トレーの外側上縁部を画定する外周壁を有し、壁部材は、外側上縁部の実質的に上方に位置する内側上縁部を形成している。この構成では、歯列弓がそのままトレー底部に達するほど押し込まれることがなくなる。
【0016】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】図1に示すように、印象用トレーは、周壁11を有するほぼ馬蹄形のベースプレート10と、ベースプレート10の中央部を埋める上側に湾曲した口蓋プレート12とを有する。ベースプレート10の基部には取手13が取り付けられている。
【0018】ベースプレート10の馬蹄形状に一致する弓形ウェブのような形に作られている壁部材14が、口蓋プレート12の上部と一体に形成されている。壁部材14の上縁部15は、周壁11の上縁部16より実質的にわずかに上方に配置されている。
【0019】図2(1)は、歯21と低歯22を含む上顎20の概略断面図である。低歯22の部分に詳細に示されているように、歯肉23への変わり目の領域には、くぼみ、ポケット、および/またはアンダーカット24がある。
【0020】図2(2)は、ベースプレート10、周壁11、口蓋プレート12の一部、および壁部材14によって閉じられた領域内が印象材25が満たされた図1に示す印象用トレーの断面図である。
【0021】図2から明らかなように、壁部材14の断面は、周壁11に向かって湾曲している流動面26を形成するように構成されている。図示された実施形態では、流動面26は縁部27で終端し、それに沿って約45°の傾斜角度で上方向に延びている。
【0022】図2に示す位置から上顎20に向かってトレーを移動させると、歯21と低歯22とを含む上の歯が、まだ柔らかい印象材25に食い込んでいく。この工程の間、印象材25は、図3に示された矢印の方向に押しのけられて流れる。
【0023】図3に示すトレーの使用位置において、弓形の流動面26の延長部は、低歯22(または歯21)と周囲の歯肉23との間の変わり目の領域、すなわち、くぼみ、ポケット、および/またはアンダーカット24が存在する領域を指している。流動面26のこの形態によって、印象材25の流れは印象材25がアンダーカット24の中に導びかれるように、壁部材14によって変わり目の領域に導かれる。
【0024】また、図3からも明らかとなるように、流動面26によって形成された外向きの末端縁部27を含む壁部材14の形状と、対向する構成体(歯21/低歯22)とによって、流れの断面領域が狭くなる。それによって、この領域の印象材25が圧力下に置かれ、型を採取しようとする構成体に当って押し進められ、その結果印象材25によるアンダーカット24への充填が促進される。
【0025】図1に示す実施形態では、壁部材14は、印象用トレーの弓形全体にわたって延びている。印象用トレーの製造を容易にするために、壁部材14を連続する弓形ウェブ以外として構成すること、すなわち、流動面26が、個々の歯または歯群の領域のみに有効に存在するように構成することが適切であろう。
【0026】さらに、前述の実施形態は、特に流動面26と末端縁部27の形状に関して、壁部材14が弓形全体にわたって一定の断面形状を有しているという仮定に基づいたものである。しかしながら、顎の各部における印象材25の流動および圧力条件をさらに一層改善するために、弓形の壁部材14の断面形状を変更することも適切であることもある。
【0027】壁部材14は、凝固した印象材25の空隙の形成を防止する機能に加え、以下の好ましい作用を有する。
【0028】(1)印象材25を貫通するおそれ、すなわち歯列弓がトレーのベースプレート10に達するまで加圧されるおそれは、歯列弓がベースプレート10に接触する前に、壁部材14がその高さにより患者の口蓋に接するという特徴によって防止される。これに関連して、流動面26の末端縁部27の上方に位置する壁部材14の扁平構造が、口蓋の支持部を形成する。
【0029】(2)壁部材14によって印象材25の流れが口蓋領域に入るように限定され、したがって、完全な印象を採取するのに少ない量の印象材25で十分となる。
【0030】(3)喉に流れ落ちる口蓋領域の印象材25によって生じる嘔吐反射が減少する。このような嘔吐反射は、患者にとって迷惑なだけでなく、印象用トレーを顎に押し付けている間の印象材25の平静な凝固を妨げる位置変動の原因となるという問題を生じさせる。
【0031】図面に示した実施形態は、上顎の印象用トレーに関するものである。従来の下顎用トレーにしばしば存在し、舌部を自由に維持するという目的に役立つ内周壁が、型の空隙のおそれをある程度減少させる印象材の流れをすでにもたらしているにも関わらず、本発明を下顎のトレーにも同様に適用することができる。
【出願人】 【識別番号】598051657
【氏名又は名称】エスぺ デンタール アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ESPE Dental AG
【出願日】 平成12年11月22日(2000.11.22)
【代理人】 【識別番号】100088328
【弁理士】
【氏名又は名称】金田 暢之 (外2名)
【公開番号】 特開2001−178745(P2001−178745A)
【公開日】 平成13年7月3日(2001.7.3)
【出願番号】 特願2000−355692(P2000−355692)