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【発明の名称】 歯科技工用の型枠
【発明者】 【氏名】アンドレ・カリトゥグ

【要約】 【課題】歯科技工用の型枠において、型枠成形中のがたつきを防止し、確実な取扱いを達成することができるものを提供する。

【解決手段】型枠に、底部2と二つの側壁3,4とを有するU字溝1を設け、この底部2に、溝のU字両脚部の端部から離間するにつれて増大する厚みをつける。これにより、型枠成形材料が硬化する時、その型枠を保持するのに必要な圧縮力を患者自身が型枠を噛み込むことによって得ることができるため、補助者が型枠を保持している必要がなくなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 底部(2)と二つの側壁(3,4)とを有するU字溝(1)を備えた歯科技工用の型枠であって、前記底部(2)が、前記U字溝(1)のU字両脚部の端部から離間するにつれて徐々に大きくなる厚みを有することを特徴とする型枠。
【請求項2】 前記底部(2)の上側が、シュペー湾曲に沿って、U字の両脚部の端部において隆起する形状を有することを特徴とする請求項1記載の型枠。
【請求項3】 前記底部(2)の上側が、ウィルソン湾曲に対応する、U字の内側に向かう横傾斜面を有することを特徴とする請求項1記載の型枠。
【請求項4】 前記二つの側壁(3,4)が、前記底部(2)の向こう側まで延設され、U字形のカウンタ噛み込み溝(7)を形成していることを特徴とする請求項1記載の型枠。
【請求項5】 前記底部(2)に貫通穴(8)が形成されていることを特徴とする請求項1記載の型枠。
【請求項6】 底部(2)と二つの側壁(3,4)とを有するU字溝(1)を備えた歯科技工用の型枠であって、前記底部(2)に、取り外し可能な流し込み通路型枠(16)のための溝(11)が一体形成されていることを特徴とする型枠。
【請求項7】 前記型枠における前記U字溝(1)の基部領域に把手(10)が一体形成され、この把手(10)に前記溝(11)に連通する穴(15)が形成され、かつ、この溝(11)の中に、突出片(16a)を備えた前記流し込み通路型枠(16)をセットすることが可能に構成されていることを特徴とする請求項6記載の型枠。
【請求項8】 前記穴(15)が、前記溝(11)に向かって円錐状にテーパした断面を有することを特徴とする請求項7記載の型枠。
【請求項9】 請求項1〜8いずれか1項に記載の型枠に使用される流し込み通路型枠(16)であって、対をなす端部(17,18)に向けてテーパした断面を備えた略Y字形の輪郭を有することを特徴とする流し込み通路型枠。
【請求項10】 略Y字状に形成され、一端部(19)に把持用ループ(20)が形成されていることを特徴とする請求項9記載の流し込み通路型枠。
【請求項11】 前記対をなす端部(17,18)に向かってテーパした横支柱(21)が形成されていることを特徴とする請求項9記載の流し込み通路型枠。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、底部と二つの側壁とを有するU字溝を備えた歯科技工用の型枠に関する。
【0002】この種の型枠は、歯科医療において印象技工用の型枠として一般的に知られているものである。このような型枠を用いて顎と歯又はその一部の印象がとられ、その後、歯冠、ブリッジ、入れ歯その他の歯科技工具の製造に供される。
【0003】
【従来の技術】型枠は、そのU字状の輪郭において、その型枠がとられるべき顎の列に実質的に対応している。
【0004】前記U字溝には自硬性の型枠ペーストが充填され、その後、これによって型枠が作られる。
【0005】前記型枠を使用して、その後、歯科技工士によって技工用のポジ型が作られる。
【0006】前記自硬性の型枠ペーストは、具体的には特殊シリコーンの塊状物であるが、これは型枠技工のコストの大きな部分を占めるのみならず、その後の廃棄処分においても、たとえばプラスチックであることにより埋め立て地中での腐食性に乏しいため、環境に対して大きな負担となりうる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、一般的な型枠ペーストにおける本質的な問題点は、時間のかかるペースト自己硬化の間じゅう、通常助手が、正確な型枠を得るためにその型枠を位置保持していなければならないことにある。もしもこの硬化中に、型枠ががたつくと、できた型枠が不正確なものとなってしまうからである。
【0008】したがって、本発明の課題は、上述したような型枠において助手等が引き起こすおそれのある、がたつきを防止することが可能であって、かつ、確実な取扱いを達成することが可能なものを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明による歯科技工用の型枠の特徴構成は、特許請求の範囲の欄における請求項1〜11に記載した点にある。具体的には、以下の通りである。
【0010】本発明によれば、この課題は、前記底部が、U字形の両脚部の端部から離間するにつれて徐々に大きくなる厚みを有するように構成することによって達成される。
【0011】底部をこのような特定形状にすることによって、型枠の保持を、顎等の型枠をとる患者の中で硬化している間じゅう、その患者が型枠を噛むことによって行うことができる。従来使用されてきた厚みが一定の底部を有する型枠の場合には、その一端部が型とりされる歯に対して先ず押し付けられることによって型枠が傾斜し、型枠が不正確なものとなるおそれがある。このようなことは、脚部の端部から徐々に厚くなる底部を備えた本発明の型枠によって防止される。
【0012】本発明は、下顎骨が、略円形の軌跡に沿って顎関節を中心に動くという知見に基づくものである。このような動き方は、前記U字溝の底部をU字脚部の端部から離間するにつれて徐々に厚みを大きくする構成にした際には、その底部を側面視で円弧形状にしていることによって考慮されている。したがって、前記底部には、これを上顎と下顎との両方から噛み込んだ時には、底部表面に対して垂直な力だけが作用する。これにより、従来の型枠について上述した、がたつきはもはや発生しなくなる。
【0013】したがって、材料が硬化する時に必要な圧縮力を、患者自身がその型枠を噛むことによって得ることができるため、助手が型枠を保持する必要はなくなるのである。したがって、助手はその他の作業を行うことができる。
【0014】特に好適な実施形態においては、前記底部の補強は、5°以下の角度で構成される。この角度は、患者にとって特に快適であり、患者が型枠を噛む時に、患者は緊張することなく、その必要な圧力を長時間かけ続けることができる。
【0015】別の好適な実施形態においては、前記底部の上側が、U字の両脚部の端部において上昇する延出形状を有する。
【0016】この実施形態は、歯の咀嚼面が一平面上に位置しておらず、その後方から前方に向かっていわゆるシュペー湾曲(Spee’sche Kurve)を形成しているという知見に基づいている。このシュペー湾曲にしたがって底部を構成することにより、噛み込み中における型枠に対する垂直方向の力の付与を、より確かなものとすることができる。
【0017】また、前記底部の上側を、U字の内側に向かう横傾斜面を備えたものにしてもよい。このようにすれば、顎上互いに対向に位置する左右の頬歯の咀嚼面が、直線上に位置しておらず、いわゆるウィルソン湾曲(Wilson’ schenKurve)という曲線に沿って位置することが観察される。
【0018】さらに別の好適実施形態においては、前記U字溝の二つの側壁が前記底部の向こう側まで延出し、下顎のためにU字状のカウンタ噛み込み溝を形成している。
【0019】このカウンタ噛み込み溝にも型枠ペーストを充填して、上顎の型枠と下顎の型枠とを両方同時に作ることができる。後の成形のためにも、このように反対側からも噛むことができるように構成すると特に有利である。
【0020】この点に関し、これまでは、反対側の顎のために別の型枠を作ることが提案されてきた。そのためには、対応の型枠ペーストを別の型枠に充填することになるため、これにより作業とコストが増加する。本発明によって提案される型枠の形状によれば、上下の顎の型とりを同時に行うことができるため、患者にとっては、不快な型枠とり作業が一回で済むようになる。さらに、この構成によれば、作業が迅速となり、助手が型枠を作るのにとられる時間が少なくなる。
【0021】さらに、前記底部の溝とカウンタ溝との間には、貫通穴を形成することが有利であることが分かった。これによって、型枠の上側と下側の間の連通が確実になるばかりでなく、一回の型枠とりの間、ペーストが型枠に対してより良好に保持されるようになる。したがって、接着剤が不要となるのみならず、型閉じ具を介してペーストを型枠内に保持するための捕捉手段(Retentionen)さえ不要となる。この種の捕捉手段は、アンダーカット(Hinterschnitten)等のため、後に洗浄することが困難である。
【0022】前記型枠のU字溝の底部全体を、そのU字脚部の両端部から離間するにしたがって厚みが増大するように形成する代わりに、この型枠の底部に、脚部の両端部から離間するにしたがって増大する厚みを有しU字溝に沿って延出する膨出部を設けることも、本発明の範囲内のものである。このような膨出部によっても、上述したような効果を達成することができる。
【0023】この膨出部の一好適実施形態においては、膨出部が、U字形状を有する取り外し可能な流し込み通路型枠として構成され、その取り付け用の受け溝が、前記型枠の底部に形成される。この場合には、さらに、前記型枠のうちU字の基部領域に把手を設け、把手には前記受け溝に連通する穴を形成するとともに、この受け溝に、突出片を備えた流し込み通路型枠を挿入することが好適である。この場合には、流し込み通路型枠は略Y字形状に構成される。
【0024】上記実施形態においては、前記把手に設ける穴が、好ましくは、前記受け溝に対して円錐状にテーパする断面を有する。この円錐状テーパは、段付きのものとすることも可能である。
【0025】対応の流し込み通路型枠を備えた型枠の場合には、患者が噛んでいる時に、その口内で型枠に対し垂直方向の力を加えるだけでよいのみならず、さらに、取り外し可能な流し込み通路型枠を介して複数段階の型枠形成工程を実施可能になるという利点もある。すなわち、流し込み通路型枠を挿入した型枠によって予備型枠を作成することが可能となり、これにより、予備型枠の材料としては比較的粗いものとすることができる。この予備型枠形成材の硬化後、型枠を患者の口から再度取り出し、中子としての流し込み通路型枠を取り外す。この時には患者が既に流し込み通路型枠を噛み込んでいるため、流し込み通路型枠を取り外せば噛み込み位置に連通孔が、注入溝と歯によって形成される中空空間等との間に形成される。尚、このような連通孔は、メスその他類似の道具によって形成することも可能である。
【0026】次に、前記型枠を再び患者の口に挿入した後、より低粘度の型枠形成材を前記注入溝から流し込めば、この材料は、最初に使用した粗い予備型枠形成材よりも型とり領域をより忠実に写しとる。
【0027】この材料は、低粘度の型枠形成材を前記注入溝に導入するために、上述した把手に形成された前記穴を通じて注入される。したがって、この目的のために注入具を接続可能とし、かつその突入具について最大限広範囲の径のものを使用可能にするために、前記穴は円錐テーパ形状に形成される。このテーパ状穴に注入具を可能な限り押し込むことにより、注入具は最も深い位置に固定される。
【0028】前記流し込み通路型枠は、その端部に向かってテーパする断面ゆえに、従来の既存の型枠を、型枠の両端部から離間するにつれて厚みが増す底部領域又は噛み込み領域を備えた型枠に変換するためにも利用可能であり、この場合の流し込み通路型枠は、具体的には略Y字形の輪郭を有する。これに対して、上述したように、対をなす端部が前述したようにテーパ状の断面を有する構成においては、別のストッパ形状の肉厚領域が一断面に設けられる。これにより、前記型枠の把手に形成された前記穴を閉じることができる。
【0029】さらに、前記Y字形の流し込み通路型枠の一端部に、把持用ループを接続することも可能である。これにより、硬化した予備型枠形成材の注入溝から流し込み通路型枠を引き出すことが容易になる。さらに、必要な場合には、前記流し込み通路型枠の、その対をなす部分に、テーパ状の横支柱を備えさせることが可能である。これにより、必要な場合には、実際の主通路から離れた地点に、低粘度成形材をより正確に案内することができる。
【0030】また、このような横支柱を設けたことによって、前記流し込み通路型枠を従来の型枠のU字溝に、型枠に注入した成形材によってそこに保持する前に、固定することも可能となる。
【0031】前記注入溝の円錐形状は、流し込み通路型枠の取り外しが容易になるという利点だけでなく、この注入溝に注入される低粘度成形材が均一に分布されるという利点も有する。
【0032】本発明のその他の利点、作用効果及び特徴は、以下の実施形態の記載から明らかとなろう。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて、本発明による歯科技工用の型枠の好適実施形態を説明する。
【0034】[第1実施形態]まず、図1〜図3を参照しながら本発明による歯科技工用の型枠の第1実施形態について説明すると、この型枠はU字溝1を有し、この溝1は、底部2と二つの側壁3、4とによって形成されている。
【0035】内側の側壁4は上側が閉じられたアーチ状に形成され、患者の口蓋に沿って延設されている。
【0036】両側壁3,4は底部2の向こう側まで延設され、内側の側壁4の延出部5と、外側の側壁5の延出部6と、前記底部2の下側とにより、同じくU字形のカウンタ噛み込み溝(Gegenbissrinne)7を形成している。これは特に、同じ型枠を下から見た図2からよく分かる。
【0037】この図2には、さらに、前記底部2に形成された貫通穴8もはっきりと示されている。これら貫通穴8の作用については後述する。
【0038】図示された型枠には通常シリコーンが充填され、その後、患者の顎にセットされ、そこに存在する歯の位置についての型枠を作る。硬化中に正確な型枠を得るためには、型枠を固定せねばならない。これは、通常、歯科助手が型枠をしっかりと保持することによって行われる。しかし、これには、その間じゅう助手の手が取られ、他の作業をすることができないという欠点がある。
【0039】その点、本発明の型枠の場合には、型枠の溝1に略沿った側方断面図である図3から理解されるように、前記底部2がU字溝1の両脚部の端部(図3ではいずれも右側)から徐々に大きくなる厚みを有するように構成されていることにより、そのような作業を回避することができる。
【0040】この図3から明らかなように、底部2の一端側(ここでは右側)の方が、他端側(ここでは左側)よりもはるかに薄く形成されている。この厚みの増加率は一定であり、約5度の傾斜角に相当するものである。
【0041】このような徐々に大きくなる厚みは、患者が噛むことによって型枠を保持することが可能になる、という効果を奏する。下顎は下顎関節を中心に略円形の軌跡に沿って動くため、底部2にこのような厚み変化をつけることによって、底部の上側と下側いずれにおいても、歯の噛み込み力が底部の表面に対して垂直方向に作用する。その結果、噛み込み等の間に、型枠のぐらつきひいてはその不正確成形の原因になる、底部の傾きが発生しないのである。
【0042】さらに、図3から分かるように、前記底部2は湾曲して延びており、前記U字溝1のU字においては、その相対向する両端部において特に隆起している。このような特定の延設形状は、いわゆるシュペー湾曲(Spee’sche Kurve)、すなわち歯組の咀嚼面が位置する湾曲線を考慮したものである。
【0043】前述したように、型枠を患者の歯組にセットする前には、前記溝1に硬化シリコーンが注入される。その後に患者が噛み込むと、底部2が前述のような厚みを有することにより、その力が型枠に均一に分布し、型枠のぐらつきが起こらないのである。型枠をとる間には、過剰量の成形材を、両側壁3,4の側方から上方に、さらには前述した貫通穴8を通して押し込む。硬化の間に型枠形成材がこれら貫通穴8に捕捉されるため、その後、型枠を歯組から取り外す時には、硬化した型枠形成材が確実に型枠に固定されている。
【0044】外側に位置する側壁3の外側には、型枠の取り外しを容易にするためのストラップ9が設けられている。歯科助手は、患者の顎から型枠を取り外す時、これらストラップ9を把持することができる。これらストラップ9は型枠形成材充填後のU字溝の間近にあるため、仮に型枠に設けた把手10を用いて型枠を形成しようとした場合には、発生するおそれのあるぐらつきも回避することができる。
【0045】[第2実施形態]以下、図4〜図10を参照しながら、本発明の第2実施形態について説明する。尚、第1実施形態と共通の構成要素については共通の符号を用い、その詳しい説明は繰り返さない。
【0046】図4〜図7を参照すると、前記底部2には溝11が形成されている。この溝11には、図8〜図10に示すような、取り外し可能な流し込み通路型枠16を挿入することができる。
【0047】前記溝11は、二股部において対をなす端部12,13と、もう一つの端部14とを備えた略Y字状に延設されている。端部14は、断面が徐々にテーパし、型枠の把手10内に形成された穴15に一体化されている。
【0048】この種の型枠においては、後述のような流し込み通路型枠16を溝11にセットした後でU字溝1に硬化シリコーンを注入することによって、第1段階としての予備型枠を患者の歯組からとる。シリコーン硬化後に、中子としての役割を果たす流し込み通路型枠16を成形材から引き抜くと、前記溝11の上方には、硬化シリコーンによって中空の溝ができている。
【0049】流し込み通路型枠16は把手10の前記穴15に連通しているので、流し込み通路型枠16を取り外した後には、この穴15を介して、前記中空の溝へのアクセスが形成される。その後、この穴15を介して、低粘度の成形材を溝に圧入することができる。
【0050】このような低粘度成形材を注入するためには、注入具を前記穴15に挿入することができる。穴15が実質的に円錐状に形成され、その径が広範囲のバリエーションを有していることから、注入具の突入部を様々なものとすることができる。このように、穴15を円錐形状にしたことによって、この穴15にセットされる注入具に関して融通性と適用性とが増加する。
【0051】患者が噛み込む時には、流し込み通路の上を噛み込むこととなるため、流し込み通路型枠16を取り外してそこが中空となった後で型枠を患者の顎に再挿入する時には、この中空となった流し込み通路を介して低粘度材を注入することができ、予備段階の成形材注入時よりもより正確に、歯の配置を成形することが可能となる。
【0052】万が一、予備型枠形成材への噛み込み時に、流し込み通路と歯によってできた中空空間との間に上述したような連通部が形成されなかった場合には、その後、必要な場合にはメス等の道具によって、硬化後の予備型枠形成材に連通部を形成すればよい。
【0053】図6に示すように、流し込み通路型枠16はマッシュルーム状の断面とすることができ、この場合には、この流し込み通路型枠16が挿入される前記溝11が流し込み通路型枠16によってカバーされることとなる。しかしながら、この流し込み通路型枠16の断面形状は、図7に示すような矩形にすることも可能である。このタイプの形状は製造がより容易である。
【0054】図8から分かるように、流し込み通路型枠16は略Y字形に形成され、その二股の対をなす部分は、側面図である図9から理解されるように、その端部17,18に向けてテーパする断面を備えて形成される。この側面図からも理解されるように、流し込み通路型枠16の下側には突起16aが突設されており、これにより流し込み通路型枠16を、図4及び図5に示したような型枠の底部2の溝11に挿入することができる。
【0055】さらに、図8及び図9から分かるように、流し込み通路型枠16の一つの端部19は、把持用ループ20を備えて形成されている。流し込み通路型枠16上で予備型枠材が既に硬化している場合には、この把持用ループ20によって流し込み通路型枠16を注入溝から引き出せば、形成された中空空間に低粘度成形材を、上述したように注入可能とすることができる。
【0056】上述したように、また図9からも容易に分かるように、前記流し込み通路型枠16は、その二股の対をなす端部17,18に向けてテーパした断面を有する。このことは、前記把持用ループ20を引くことによって流し込み通路型枠16を予備型枠形成材から容易に取り外すことができるという利点のみならず、底部の上側と下側とが互いに平行な型枠を用いる場合にも、その底部に厚みの大小ができるため、顎の型枠とり中には、垂直方向の力でのみ噛み込むだけでよくなるという利点も有する。
【0057】尚、この種の流し込み通路型枠は、これに必要な対応の溝11がない、従来式の型枠にも挿入することが基本的に可能である。
【0058】図10には、そのための流し込み通路型枠16を示す。この流し込み通路型枠16においては、二股の対をなす端部17,18に向かってテーパした横支柱又はストッパ21が形成されている。これら横支柱21が、専用の溝11を持たない、ここでは破線でのみ示すような型枠のU字溝に流し込み通路型枠16をセットするために作用することによって、これらの横支柱21は、流し込み通路型枠16又はその対をなす端部17,18を正しい位置に固定する。
【0059】前記横支柱21は、取り外しをより容易にするべくわずかにテーパして形成されるとともに、硬化した予備成形材からの流し込み通路型枠16の引き抜きを防止するためのかえし又は棘として作用するべく、幾分傾斜して形成されている。
【0060】断面視で二股部の端部に向けてテーパしているこの種の流し込み通路型枠の場合には、たとえ通常の型枠であっても厚みの漸増する噛み込み領域が形成されるため、患者が型枠を噛み込むことによって、この型枠を傾けることなく保持することが可能となる。これは、挿入された流し込み通路型枠によって防止される。
【0061】以上、本発明による歯科技工用の型枠を、好適な第1及び第2の実施形態に基づいて説明した。尚、理解を容易にするために特許請求の範囲に図中の符号を記入したが、該記入により、本発明の範囲が図示のものに限定されるものではない。
【出願人】 【識別番号】500532632
【氏名又は名称】インゲ・ヘレネ・キーファー
【氏名又は名称原語表記】INGE HELENE KIEFER
【住所又は居所原語表記】WALDSTRASSE 14, D‐66763 DILLINGEN, BUNDESREPUBLIK DEUTSCHLAND
【出願日】 平成12年11月17日(2000.11.17)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開2001−178744(P2001−178744A)
【公開日】 平成13年7月3日(2001.7.3)
【出願番号】 特願2000−351325(P2000−351325)