| 【発明の名称】 |
歯科用インプラント及びその植立方法並びにこれに用いるドリル |
| 【発明者】 |
【氏名】平嶋 亭一
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| 【要約】 |
【課題】植立部位の骨が十分な厚さがない場合でも、自家骨の移植手術を施すことなくインプラントを確実に且つ安定して植立し得る歯科用インプラント及びその植立方法並びにこれに用いるドリルを提供する。
【解決手段】インプラント体10を概略円板状に平板状に形成し、その中心部にアバットメントが装着されるようにした凸状部11を有する。インプラント体10の外周面10aを粗面化するとともに、凸状部11とは反対側に先細になる緩いテーパが付されている。インプラント体10を圧入するだけで初期固定し、さらにインプラント体の上面10bにて凸状部11の周囲に緻密骨を新生させてインプラントを植立することできる。上顎骨のような厚さが薄い場合でも上顎洞挙上術の手術を施すことなくインプラントを確実にかつ適正に安定させることができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 アバットメントとこのアバットメントを接合可能なインプラント体とを有する歯科用インプラントであって、上記インプラント体は板状に形成され、その中心部にアバットメントが装着されるようにした凸状部を有することを特徴とする歯科用インプラント。 【請求項2】 前記インプラント体が概略円板状に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の歯科用インプラント。 【請求項3】 前記インプラント体の外周面が粗面化されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の歯科用インプラント。 【請求項4】 前記インプラント体の外周面は、前記凸状部とは反対側に先細になる緩いテーパが付されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の歯科用インプラント。 【請求項5】 インプラント体にアバットメントを接合するようにした歯科用インプラントを顎骨に植立するための方法であって、上記インプラント体を埋入すべき顎骨の緻密骨に該インプラント体とほぼ同径の平底穴を形成する工程と、上記インプラント体を上記平底穴に圧入して上記緻密骨に隣接する海綿骨まで埋入する工程と、上記インプラント体の周囲に緻密骨を新生させる工程と、を含んでいることを特徴とする歯科用インプラントの植立方法。 【請求項6】 平底穴を形成する際、前記インプラント体の外周に沿って前記緻密骨および前記海綿骨のそれぞれに切込みを刻設することを特徴とする、請求項5に記載の歯科用インプラントの植立方法。 【請求項7】 前記インプラント体を前記平底穴に圧入する際、該平底穴部分の前記緻密骨を前記海綿骨内に押入することを特徴とする、請求項5又は6に記載の歯科用インプラントの植立方法。 【請求項8】 前記インプラント体の上面にて前記凸部の周囲に骨芽細胞が誘導されるようにしたことを特徴とする、請求項5又は6に記載の歯科用インプラントの植立方法。 【請求項9】 歯科用インプラントの植立に用いるドリルであって、先端に平底穴形成用の切削刃が設けられると共に、その外周に沿って緻密骨および海綿骨の切込みを刻設する切削刃が上記平底穴形成用の切削刃から僅かに突出して設けられていることを特徴とする、ドリル。 【請求項10】 前記ドリル先端の中心に、位置決め並びに支持用の突起部が備えられており、該突起部が前記外周の切削刃の長さより僅かに長い寸法に設定されていることを特徴とする、請求項9に記載のドリル。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、歯科用インプラント及びその植立方法並びにこれに用いるドリルに関する。 【0002】 【従来の技術】歯科用インプラントを顎骨に植立する手術には、通常、1回の手術で植立させる方法(1回法)と、2段階の手術で植立させる方法(2回法)とがある。このうち、2回法インプラントは、顎骨に植立させるフィクスチャ(インプラント体)と補綴物を装着するアバットメントの2つのピースを用いており、フィクスチャにアバットメントをねじ止め固定するようになっている。 【0003】たとえば、特開平10−14940号公報に記載の歯科用インプラントでは、2回法による2ピースの歯科用インプラントにおいて、フィクスチャとアバットメントの接合部を補綴物のマージンよりも上方に位置するように形成し、これによりアバットメントをフィクスチャに固定するネジの破損を防止するようにしている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】上述の例をはじめとして、現在一般に行われているインプラントの殆どは円柱状の縦長のものを採用しており、これを一定の深さまで顎骨に埋入している。この場合、患者の顎骨に5mm程度以上の厚みがある場合は、このインプラント体も比較的安定して植立することができるが、それ以下の厚みしかないとき、例えば上顎において極度に上顎骨の垂直的骨高径が不足する症例にこのような縦長のインプラントを用いた治療を選択するときは、上顎洞の挙上術による手術を施してインプラントを安定させなければならない。しかしながら、この手術には腸骨などの多量の自家骨採取と移植を必要とするため、かなりな手間と費用がかかっていた。 【0005】この発明は以上の点に鑑み、容易にかつ的確にインプラントを植立し得る歯科用インプラントとその植立方法を提供することを目的とし、とくに、上顎骨の厚さが薄い、例えば4mm以下の薄い部分にも上顎洞挙上術なしで安定させることができるインプラント及びその植立方法並びにこれに用いるドリルを提供することを目的としている。 【0006】 【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、アバットメントとこのアバットメントを接合可能なインプラント体とを有する歯科用インプラントであって、このインプラント体は板状に、好ましくは請求項2に記載のような概略円板状であっで、その中心部にアバットメントを装着するようにした凸状部を有することを特徴としている。 【0007】請求項3に係る発明は、前記インプラント体の外周面を粗面化したことを特徴とする。請求項4に係る発明は、前記インプラント体の外周面に、前記凸状部とは反対側に先細になる緩いテーパを付したことを特徴としている。 【0008】さらに、請求項5に係る発明は、上記いずれかの歯科用インプラントを顎骨に植立するための方法であって、インプラント体を埋入すべき顎骨の緻密骨にこのインプラント体とほぼ同径の平底穴を形成する工程と、上記インプラント体を緻密骨に形成した平底穴に圧入して、この緻密骨に隣接する海綿骨まで埋入する工程と、上記インプラント体の周囲に緻密骨を新生させる工程と、を含んでいることを特徴としている。 【0009】請求項6に係る発明は、請求項5記載の方法において、平底穴を形成する際、インプラント体の外周に沿って緻密骨および海綿骨のそれぞれに切込みを刻設するようにしたことを特徴とする。請求項7に係る発明は、上記方法において、インプラント体を平底穴に圧入する際、この平底穴部分の緻密骨を海綿骨内に押入することを特徴とする。請求項8に係る発明は、上記方法において、インプラント体の上面にて凸状部の周囲に骨芽細胞を誘導するようにしたことを特徴としている。また、請求項9に係る発明は、歯科用インプラントの植立に用いるドリルであって、先端に平底穴形成用の切削刃が設けられると共に、その外周に沿って緻密骨および海綿骨の切込みを刻設する切削刃が上記平底穴形成用の切削刃から僅かに突出して設けられていることを特徴としている。さらに、請求項10に係る発明は、請求項9記載のドリルにおいて、その先端の中心に、位置決め並びに支持用の突起部が備えられており、この突起部が外周の切削刃の長さより僅かに長い寸法に設定されていることを特徴としている。 【0010】この発明によれば、板状、好ましくは概略円板状に形成した薄肉のインプラント体が用いられる。そして、このインプラント体とほぼ同径の平底穴にインプラント体を圧入して、インプラント体を緻密骨に隣接する海綿骨まで埋入する。このようにして一定期間静置することにより、インプラント体の周囲に緻密骨が新生する。したがって、特に上顎骨のような、厚さが薄い顎骨にインプラントを植立するような場合でも、上顎洞挙上術の手術を施すことなくインプラントを的確にかつ安定して植立させることができる。なお、平底穴を形成する際、本発明によるドリルを用いることによって、簡単に且つ的確にインプラント体に適合する同径の平底穴を形成することができる。 【0011】 【発明の実施の形態】以下、図面に基づきこの発明による歯科用インプラントおよびその植立方法の好適な実施の形態を説明する。図1はこの発明の実施形態におけるアバットメントを接合可能なインプラント体10を示している。このインプラント体10は厚みの薄い板状、好ましくは概略円板状又はボタン状に形成されていて、その中心部に、後述するアバットメントが装着されるようにした凸状部11を有する。インプラント体10は、典型的にはチタン(Ti)により形成される。このチタンは骨との結合性がよく、顎骨に埋入された際にその周囲に緻密骨の生成を促すことができる。 【0012】この例では、インプラント体10の外径Dは8mm、厚さtは2〜5mm程度に設定される。特にこの厚さtは、本実施形態でインプラントを上顎骨に植立する場合を考慮したものである。インプラント体10の外周面10aは、好ましくは粗面化される。この粗面化は一般的な方法、たとえばサンドブラスト等によって行うことができるが、外周面10aを粗面化することにより、実質的な表面積を大きくしている。これは、後述するように血餅との接触面積を増加させ、骨との結合性をより一層高めるようにするものである。 【0013】また、インプラント体10の外周面10aは、凸状部11とは反対側に先細になる緩いテーパが付されている。これによりインプラント体10を顎骨に圧入する際、無理なく円滑に圧入し得るようにする。 【0014】凸状部11の外径D1 は、インプラント体10の外径Dが8mmのとき、例えばその半分程度の4mm程度に設定される。この凸状部11の中心部には、アバットメントを接合させるための嵌合孔12が形成されており、さらにアバットメントと螺着するねじ部13を有する。この嵌合孔12もアバットメントが容易に嵌入し得るよう、インプラント体10の外周面10aと同様のテーパが付されている。 【0015】ここで、凸状部11の周囲に、図1(B)に示すように、メッシュ状部材14を装着するようにしてもよい。このメッシュ状部材14を凸状部11の周囲にリング状に覆い被せることにより、インプラント体の外周と凸状部11との間に内部空間15が形成される。このようなメッシュ状部材14を設けて内部空間15を確保すると、この中に血餅が充満して、そこに骨芽細胞が誘導されるようにし得るとともに、表皮細胞が入り込むのを防ぐことができる。このメッシュ状部材14は好適には、チタンにより形成される。このメッシュ状部材14は、インプラント体10と一体的に形成されていてもよいが、別体物としてインプラント体10より若干大径のドーム型に形成したものをインプラント体10の上部にピン固定してもよい。なお、このようなメッシュ状部材14を用いることなく、後述するバリアメンブレンを用いてインプラント体10の全体を覆うことにより、内部空間15を確保するようにしてもよい。 【0016】本発明に係るインプラント体10は、従来型のような縦長形状ではなく、縦方向に極めて薄い平板形状に作製することができるので、例えば、上顎骨に適用する場合、上顎洞までの厚みがたとえ4mm以下と薄くなっていても、この上顎洞の周囲に腸骨などを削って移植する上顎洞挙上術のような骨の厚みを増すための大掛かりな手術を施すことなく、インプラント体10を単に埋入するだけの手術で確実に植立することができる。 【0017】つぎに、図2および図3を参照して、上記構成のインプラント体10を植立する場合の主要工程を説明する。図2はインプラントが植立される上顎骨部の概略断面形状を示している。図において、100は歯肉で、この内部に、順次、骨膜101、緻密骨102、海綿骨103が積層されており、その内部は空洞となって上顎洞104が形成されている。本インプラント体10は、後述するように、柔軟な海綿骨103に基底部が位置して硬質の緻密骨102に定着される。まず、歯肉100及び骨膜101を切開して、インプラント体10を埋入すべき顎骨の緻密骨102にインプラント体10とほぼ同径の平底穴105を形成する。この平底穴105は、本発明に係るドリル1を用いて形成される。 【0018】ここで、本発明において歯科用インプラントの植立に用いるドリル1には、その先端に平底穴105の形成用の切削刃1aが設けられていると共に、その外周に沿って緻密骨102および海綿骨103のそれぞれに切込み106を刻設するための切削刃2が設けられている。ドリル1の外径D2 は、例えば直径8mmのインプラント体10を埋入する場合は同様に8mm程度に設定される。切削刃2は、切削刃1aからm=1〜2mm程度突出するかたちで設けられている。なお、このドリル1の先端の中心に、位置決め並びに支持用の突起部1bが備えられていると、平底穴105を形成する際、ドリルの回転駆動に伴うブレが生じても位置合わせがずれることなく精確に掘削することができる。上記突起部1bは、外周の切削刃2の長さより僅かに長い寸法に設定される。 【0019】ドリル1によって緻密骨102に直径8mm、深さ0.5mm程度の平底穴105が形成される。この平底穴105の底部は、ドリル1の切削刃1aによって平滑にされる。またこれとともに、緻密骨102および海綿骨103には深さ1〜2mmの切込み106が刻設される。 【0020】つぎに、図3においてインプラント体10を平底穴105に圧入して、緻密骨102に隣接する海綿骨103まで埋入する。この場合、圧入ヘッド3を用いて行う。圧入ヘッド3の圧入部3aは、その周囲から深さm1 =1mm程度陥没した凹陥部として形成されている。 【0021】インプラント体10を平底穴105に圧入していくと、平底穴105部分の緻密骨102aは海綿骨103内に押入される。また、圧入ヘッド3の圧入部3aが凹んでいることで、インプラント体10の凸状部11の先端は、t1 =1mm程度上顎骨部から頭を出す。このようにインプラント体10の基底部に緻密骨102aが添接するかたちで埋入され、また凸状部11の先端を突出させることでインプラント体1の上面10bに凸状部11を取り囲むようにして骨芽細胞が誘導され易くなり、これによりインプラント体10の周囲に新たな緻密骨を新生することができる。 【0022】周囲に緻密骨が新生したインプラント体10は、数カ月で安定し、上顎骨の所定部位に確実に固定される。固定されたインプラント体10には、2次手術により、たとえば図4のようにアバットメント20が接合され、あるいは図5のようにカバースクリュ30が螺着される。このように厚さが4mm程度の薄い上顎骨に上顎洞挙上術の手術を施すことなく、インプラントを確実にかつ適正に植立することができる。なお、カバースクリュ30を例えば磁石体で形成し、義歯などのアタッチメントをこのカバースクリュ30に吸着させることにより安定させることができる。この場合は、義歯などのアタッチメントに無理な荷重がかかっても、この荷重を横方向にずらすことにより逃げを作ることができるので、上顎骨の極めて薄い部位にもインプラント体を埋入し植立することが可能になる。 【0023】因みに、インプラント体10の埋入後、周囲に緻密骨102を早期に新生させるために、インプラント体10の全表面を、図3に破線で示すバリアメンブレン16により被覆するように処置すれば有利である。このバリアメンブレン16としては、例えばゴアテックス(ゴア社商品名:e−PTEFシート)等の非分解性シートが便宜であり、このバリアメンブレンを用いてインプラント体10の全表面を被覆して内部空間15を作ることにより、治癒スピードの早い上皮組織と歯肉結合組織とがインプラント体10内への侵入をブロックし、新生骨が形成されるべきスペース(内部空間15等)を数ヵ月間確保することができる。この際、少量の自家骨を内部空間15に詰めておけば、新生骨を一層短期間に誘導し形成することができる。数カ月後、例えば3〜6ヵ月経過して、バリアメンブレン16によって確保されたスペースに新生骨が形成されたら、アバットメント20又はカバースクリュ30の装着のために再度手術を行う際に、骨膜を剥離してこのバリアメンブレン16を除去することになる。バリアメンブレンとして分解性シートを用いればこの除去工程は不要となる。なお、上述したメッシュ状部材14をインプラント体10に設けて内部空間15を確保すると、この中に血餅が充満して一層骨芽細胞が誘導され易くなる。 【0024】なお、上記実施形態における具体的数値等はこれに限定されるものではなく、必要に応じて適宜変更等が可能である。また、インプラントを上顎骨に植立する例を説明したが、上顎骨に限ることなく下顎骨にも同様に植立することができるのは勿論である。 【0025】 【発明の効果】以上説明したように、この発明によれば、挙上手術なしではインプラントの植立が不可能な症例に対しても、自家骨の移植手術を施すことなく又は所望により僅かな量の骨材を詰めることにより、インプラントを安定して植立することができ、インプラント体の周囲に緻密骨を新生させることが可能となるので、特に上顎骨のような厚さが薄い場合でも上顎洞挙上術を施すことなくインプラントを確実にかつ安定して植立させることができる。従って、本発明によれば、大掛かりな手術が不要となり、患者の肉体的、精神的な負担を大きく軽減させることができると共に、実質的に手間と費用がかからず、コスト的にも極めて有利である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】399118634 【氏名又は名称】平嶋 亭一
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| 【出願日】 |
平成11年12月16日(1999.12.16) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100082876 【弁理士】 【氏名又は名称】平山 一幸 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−170078(P2001−170078A) |
| 【公開日】 |
平成13年6月26日(2001.6.26) |
| 【出願番号】 |
特願平11−357680 |
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