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【発明の名称】 振動糸式歯石除去治療具
【発明者】 【氏名】加藤 征

【要約】 【課題】高齢化に伴い歯の健康は重大な関心事になっておりながらも、歯石や歯垢の除去にあたっては、歯科医院で先の尖ったドリルにより行われ、苦痛を強いられる上に完全に除去治療がなされるとは限らないという事情がある。

【解決手段】本発明では、楊枝部7の弓状部7bに張られた振動糸8を歯に当てることにより歯面に対しては研磨作用を与え、歯肉と歯との境界部では研磨作用とマッサージ効果を生じ、歯肉部分ではマッサージ効果を奏し、歯肉に損傷を与えることなく、歯石や歯垢といった付着物を除去できる。しかも、歯磨き剤や濯ぎ水などは不要で手軽且つ簡便に行い得て至便で、コスト的に有利に歯の予防は勿論、進行中の歯周病や歯槽膿漏の早期の治療に貢献できるものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内部に振動付与部を配したハウジングからなる把持部と、この把持部のハウジングの先端部に設けられ、弓状部を有する楊枝部と、この楊枝部の弓状部に張られ、治療時には歯と歯の間に差し込まれ歯面に接触状態あるいは歯の付け根に配され、前記振動付与部からの振動を受ける振動糸とを備えたことを特徴とする振動糸式歯石除去治療具。
【請求項2】 請求項1において、前記振動付与部は、モータと該モータの回転軸に直結した偏心錘とからなることを特徴とする振動糸式歯石除去治療具。
【請求項3】 請求項1において、前記楊枝部は、前記把持部のハウジングの先端部に着脱可能になっていることを特徴とする振動糸式歯石除去治療具。
【請求項4】 請求項1において、前記振動糸は、太さが10から50ミクロンの寸法範囲のナイロン繊維を非撚糸状態で200本程度束ねて形成したことを特徴とする振動糸式歯石除去治療具。
【請求項5】 請求項1において、前記振動糸は、単一繊維状態のステンレススティールから形成したことを特徴とする振動糸式歯石除去治療具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、振動糸を有する振動糸式歯石除去治療具に係り、業務用は勿論、家庭で簡便かつ手軽に行える振動糸式歯石除去治療具に関する。
【0002】
【従来の技術】歯石歯垢の除去にあたっては、歯科医院で歯科医師あるいは衛生士により行なわれるのが通常である。この際には、先端が尖ったドリルを用いて歯間の歯周部に付着した汚れなどを機械的に削り取るようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、この治療では、通院の上に機械的なドリルを歯面や歯間に直接当てることもあって患者が苦痛を強いられることがある。また、治療時間などによる制限もあり歯石歯垢の除去に完璧を期すには無理がある。ところで、近年では高齢化に伴い、80歳までに20本の歯を残す厚生省の8020運動が推奨され、歯周病や虫歯の予防を心掛ければ高齢でも健康な歯が維持できるとされている。また、歯の健康維持、病気の予防や治療には、歯と歯の間、特に歯肉と歯の付け根の掃除が強く関連し、これに係わる予防治療具の登場が望まれていた。本発明は、このような背景のもとになされ、その目的は手軽に自宅で所望に応じた時間で使用でき、業務用は勿論、家庭用として好適し、治療内容が安全確実かつ熟練が不要で楽に継続使用が行えるといった極めて簡便な振動糸式歯石除去治療具を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、振動糸式歯石除去治療具に係り、内部に振動付与部を配したハウジングからなる把持部と、この把持部のハウジングの先端部に設けられ、弓状部を有する楊枝部と、この楊枝部の弓状部に張られ、治療時には歯と歯の間に差し込まれ歯面に接触状態あるいは歯の付け根に配され、前記振動付与部からの振動を受ける振動糸とを備えたことを特徴とする。また、前記振動付与部は、モータと該モータの回転軸に直結した偏心錘とからなることを特徴とする。また、前記楊枝部は、前記把持部のハウジングの先端部に着脱可能になっていることを特徴とする。さらに、前記振動糸は、太さが10から50ミクロンの寸法範囲のナイロン繊維を非撚糸状態で200本程度束ねて形成したことを特徴とする。加えて、前記振動糸は、単一繊維状態のステンレススティールから形成したことを特徴とする。
【0005】
【発明の作用・効果】(1)歯と歯の間の歯石、歯垢や食べカスを除去するにあたっては、病巣の主因をなす歯間の歯肉と歯の付け根の境界部に振動糸を直接当てる。これにより、歯肉境界部を傷つけることなく、歯側に付着した歯石などを取り去ることができる。これの理由は下記のように考えられる。
(2)歯垢除去原理としては、歯面に圧接した振動糸の摩擦振動が歯側に付着した歯石などの固形物に対してのみ研磨力として作用する。この物理現象は、固形物に対してのみ研磨力として作用するが、柔らかい歯肉部では、振動糸の運動に追随して振動し、マッサージ効果となって歯肉境界部を損傷させることがなくなる。
(3)振動糸は、歯面の部分と歯肉の部分とでは全く異なる現象として作用し、歯面では研磨作用、歯肉ではマッサージ効果を内包した二重効果を発揮する。このため、苦痛を伴わず、合理的で且つマッサージ感覚で歯石歯垢の除去治療が実現できる。
(4)このように、固形物に対しては研磨作用、柔軟物に対しては振動併発作用が生ずるのみで、損傷を与えないといった硬軟に対して相反する現象を同時に満たす二重効果により、使い易く安全で且つ効率の優れたものとして、専門の歯科医による治療は勿論、家庭用として歯周病、虫歯の予防および治療に貢献することができる。
(5)とりわけ、通常の歯ブラシでは、その毛先が歯間の根元に届き難いため、歯周の汚れが20%程度は残り、汚れの累積によりポケットと称される細菌繁殖の培養源となり、食べカスが付着、固形化を交互に繰り返して、歯肉は腐食し、歯は脱落することとなる。このような脱落現象を予防治療し、歯肉と歯との境界部を強化して健康な歯を維持し、進行中の歯周病、歯槽膿漏があれば、これら病根の早期治療に多大に貢献できる。
(6)また、使用時には振動糸を歯間に差し込むだけで済むので、使用時の違和感や苦痛を感じることがない。
(7)把持部のハウジングは、振動付与部を収納するだけの大きさで済むので、構造簡素にでき、堅牢小型で安価になるとともに、携帯収納に便利である。
(8)しかも、振動糸に振動を与えるだけの構造であるため、騒音の発生がほとんど無く且つ故障が少なく使用が簡単である。
(9)さらには、使用の際には、歯磨き剤や濯ぎ水を用いないで済むので、この観点からも使用が手軽で簡便である。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の実施例を図に基づいて説明する。図1および図2の(イ)、(ロ)は、本発明の一実施例に基づく振動糸式歯石除去治療具Aを示す。この振動糸式歯石除去治療具Aにおいて、1は細長なプラスチック製のハウジングからなる把持部で、この内部には振動付与部2が配置されている。
【0007】この振動付与部2は、ハウジングの延長腕1aに固定されたモータ3と該モータ3の回転軸3aに直結されたセクター形の偏心錘4からなり、スイッチSwを入れると、電源5(例えば1.5Vの単三形乾電池)により駆動されるようになっている。6は鞘部で、これは把持部1のハウジングの先端部に並行状態に固着されている。7は柄7aと弓状部7bとからなる楊枝部で、これは把持部1の鞘部6に差し込むことにより、着脱可能に設けられている。このように、楊枝部7を着脱可能に設けたことにより楊枝部7が長期使用により劣化した場合は、新しいものと交換できるためコスト的に有利である。
【0008】8は単一数の振動糸で、これは一本の太さが10から50ミクロンの寸法範囲のナイロン繊維を非撚糸状態で200本程度束ねて(互いに撚らずに集め合わせた状態)形成され、楊枝部7の弓状部7bに矢筈部7c、7dを介して把持部1の長手方向と平行状態に張られている。この場合、振動糸8は、10から50ミクロンの寸法範囲の単一繊維状態の極細なステンレススティールから形成してもよい。
【0009】そして、上記構成でスイッチSwを入れると、モータ3が起動して偏心錘4を高速回転させる。これにより、偏心錘4の側程大きく、これから離れ把持部1の右端側に接近する程、小さくなる振動が所定の周波数で発生し、ハウジングの延長腕1aを介して楊枝部7の振動糸8に伝達される。このとき、振動糸8は、原理的には図3の(イ)に模式的に示すように振動により形成された円錐体の先端Pで空転運動を行っている状態が生じる。この振動糸8を歯間に差し入れ、歯面に圧接すれば、振動糸8の円錐運動は、図3(ロ)に示すように歯面Teを上下に研磨する高速往復運動に変わり、歯面Teに付着した歯石歯垢などの付着物を除去する。なお、図3の(イ)では、振動糸8自体が旋回するのではなく、振動糸8の先端Pの占める位置が時間の経過に伴い変化する様子を示す。
【0010】このとき、振動糸8は、図4(イ)のLで示すように歯面Teでは研磨作用を有し、同図にMで示すように歯と歯肉と境界部Boでは研磨とマッサージ作用が併存するといった二重効果を奏し、同図にNで示すように歯肉ではマッサージ効果を発揮する。特に、振動糸8が、歯と歯肉と境界部Boでは研磨とマッサージ作用とが併存する二重効果を奏するときには、図4(ロ)で示すように、通常の歯ブラシの使用では、その毛先が歯間の根元に届き難いため、ポケットと称される細菌繁殖の培養源から汚れを除去する場合には一層効果的である。
【0011】実際の使用にあたっては、図5および図6に示すように楊枝部7の振動糸8を歯と歯の間に差し入れ、歯の付け根の部分に当てる。次いでスイッチSwを入れてモータ3を起動する。すると、上述の原理に則して振動糸8が図7および図8に示すように振動して歯石歯垢といった付着物やポケットに溜まった汚れが除去される(振動糸8の振動態様を便宜上8xで示す)。この場合、使用中も使用後も歯磨き剤や濯ぎ水は必要ではないため、身体の不自由な者や高齢者などの歯への健康管理には特に便利である。
【0012】図9および図10は上記実施例の変形例を示す。上記実施例では、楊枝部7は把持部1と並列状態で、全体的に直線状態に形成したが、この変形例では楊枝部7をL字状に折り曲げ、弓状部7bすなわち振動糸8が把持部1と略直交状態となっている。このようにすれば、図10に示すように口腔内の奥歯Tmに対して振動糸8を容易に差し入れることができ、楊枝部7が口唇の左右の端部に干渉されることなく奥歯Tmの歯石歯垢といった付着物の除去が楽にできるようになる。この場合、L字状の楊枝部7を予め形成しておき、必要に応じて直線状の楊枝部7と交換することもできる。
【0013】図11ないし図13は、本発明を業務用に適用した実施例を示す。この業務用の実施例では、上記の図1および図2と同一部材には同一符号を付して異なる部分のみ説明する。この場合、把持部1の左端部には、図11の(イ)、(ロ)に示すように連結軸部10が設けられ、これの表面には位置決めピン12が立設されているとともに、外部に対して出没可能に設けられ、常時ばね部材により(図示せず)外方に付勢されたロックボール11が設けられている。15は電源コードで、これを介して家庭用電源からモータ3に給電するようになっている。
【0014】一方、楊枝部7にあっては、柄7aは連結軸部10に対応する管状に形成され、位置決めピン12に対応する切欠部13を有している。振動糸8は、弓状部7bの外側に沿い、矢筈部7c、7dを通過するようにして張られ、その両端部8a、8bは、楊枝部7にねじ込まれた螺子部14に絡め取られるようにして固定されている。このため、螺子部14を緩めることにより、振動糸8のみを新しいものと交換でき、頻繁に使用する必要のある業務用に適したものとなる。
【0015】そして、楊枝部7の柄7aを図11の(イ)、(ロ)の状態から連結軸部10に差し込むと、図12の(ロ)に見られるように、切欠部13が位置決めピン12に嵌まるとともに、ロックボール11が柄7aの内周面に弾接して、楊枝部7が連結軸部10に接続される。この場合には、振動糸8が把持部1の長手方向と平行状態になり下方を向いているので、口腔内で下の前歯に適用される。また、楊枝部7を図11の(ロ)の状態から180度の角度だけ引っ繰り返して連結軸部10に接続すれば、図12の(イ)に見られるように、振動糸8が把持部1の長手方向と平行状態になり上方を向いているので、上の前歯に適用される。
【0016】図13は、奥歯に対応できるように形成した様子を示し、楊枝部7の弓状部7bはフォーク状をなし、振動糸8は矢筈部7c、7dを介して把持部1と略直交する方向に張られている。このフォーク状の弓状部7bは柄7aとともに、くの字状を形成しており、楊枝部7を図13の(イ)、(ハ)のように接続した場合には、振動糸8が柄7aよりも下方に位置し、下の奥歯に適用される。また、楊枝部7を図13の(イ)、(ハ)の状態から同図の(ロ)のように、180度だけ引っ繰り返して接続し直せば、振動糸8が柄7aよりも上方に位置し、上の奥歯に適用される。
【0017】なお、振動付与部2としては、モータ3と偏心錘4とからばかりではなく、電磁石への断続通電によりハンマーを振動させて発生するものでもよいし、振動発生素子を使用し、振動糸8を電気的に振動させ、全体の小型化を更に図るようにしてもよい。また、振動糸8の材料としては、ナイロンやステンレススティールばかりではなく、各種のプラスチック繊維、ホウ素繊維、セラミック繊維、炭素繊維やグラスファイバーを各自単独であるいは、これらの繊維を適宜に組み合わせて形成してもよい。また、ダイヤル式の変速部をモータ3に組み込み、ダイヤル操作でモータ3の回転数を変えることにより、振動糸8の周波数を段階的あるいは無段階的に調節できるようにしてもよい。また、弓状部7bに張るべき振動糸8の数は、単一数に限られず、二本あるいは複数本を互いに並列状態に設けてもよい。さらに、電源5としては家庭用電源や乾電池に限られず、太陽電池や充電式電池を使用することができる。
【出願人】 【識別番号】591019003
【氏名又は名称】加藤 征
【出願日】 平成11年11月22日(1999.11.22)
【代理人】 【識別番号】100080045
【弁理士】
【氏名又は名称】石黒 健二
【公開番号】 特開2001−145644(P2001−145644A)
【公開日】 平成13年5月29日(2001.5.29)
【出願番号】 特願平11−331523