| 【発明の名称】 |
歯科用磁性アタッチメント |
| 【発明者】 |
【氏名】小宮山 彌太郎
【氏名】小島 憲男
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| 【要約】 |
【課題】顎骨に植立された歯科用インプラント用フィクスチャー又は支台歯にオーバーデンチャーを装着・保持するために使用する歯科用磁性アタッチメントを、臼歯部や前歯部での咀嚼時に臼歯部や前歯部の歯肉粘膜の被圧変位による歯科用磁性アタッチメントを中心とした回転運動を阻害せず咬合位置が安定した咀嚼機能が得られ、且つキーパーと磁石構造体との接触面での横ずれによる複雑な動きによる弊害が発生しないようにする。
【解決手段】磁石構造体1と磁性材料から成るキーパー2とで磁気回路を構成するオーバーデンチャー用の歯科用磁性アタッチメントを、磁石構造体1とキーパー2との接触面の一方を凸状球面にまた他方を凸状球面と同一半径の凹状球面となし、凸状球面の平面投影形状を凹状球面の平面投影形状より大きくする。凹状球面はその周囲が凹状球面の中心軸に直角な平面部を持つ構造にすることが好ましい。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 磁石構造体(1)と磁性材料から成るキーパー(2)とで磁気回路を構成するオーバーデンチャー用の歯科用磁性アタッチメントにおいて、前記磁石構造体(1)とキーパー(2)との接触面の一方が凸状球面をまた他方が該凸状球面と同一半径の凹状球面をなし、該凸状球面の平面投影形状が該凹状球面の平面投影形状より大きいことを特徴とする歯科用磁性アタッチメント。 【請求項2】 凹状球面がその周囲に該凹状球面の中心軸に直角な平面部を持つ請求項1に記載の歯科用磁性アタッチメント。 【請求項3】 磁石構造体(1)が、非磁性材料で構成された底付きの円筒状の容器(1b)と、該容器(1b)内の周囲に設けられた軟磁性材料で構成されたヨーク(1c)と、該ヨーク(1c)の中央に挿入され該容器(1b)の底に固定された磁石体(1a)と、該磁石体(1a)を覆う非磁性材料で構成されたスペーサ(1d)とで構成されている請求項1又は2に記載の歯科用磁性アタッチメント。 【請求項4】 キーパー(2)が、残存歯で形成した支台歯に埋設されるポスト部を有している請求項1から3までのいずれか1項に記載の歯科用磁性アタッチメント。 【請求項5】 キーパー(2)が、歯科用インプラントフィクスチャー(3)の口腔側に設置されるキーパー筒(2a)と該キーパー筒(2a)内を貫通して該キーパー筒(2a)を該歯科用インプラントフィクスチャー(3)に螺合固定するキーパースクリュー(2b)とで構成されている請求項1から3までのいずれか1項に記載の歯科用磁性アタッチメント。 【請求項6】 キーパー(2)が、歯科用インプラントフィクスチャー(3)の口腔側に設置されてアバットメントスクリュー(5)で該歯科用インプラントフィクスチャー(3)に固定されるアバットメント(4)の口腔側に設置されるキーパー筒(2a)と該キーパー筒(2a)内を貫通して該キーパー筒(2a)を該アバットメントスクリュー(5)に螺合固定するキーパースクリュー(2b)とで構成されている請求項1から3までのいずれか1項に記載の歯科用磁性アタッチメント。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、顎骨に植立された歯科用インプラントフィクスチャー(以下、単にフィクスチャーと言う)又は支台歯にオーバーデンチャーを装着・保持するために使用する歯科用磁性アタッチメントの改良に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来より、歯牙が完全に喪失した顎に対する補綴治療は、口腔粘膜に密着させて維持させるフルデンチャーが広く用いられているが、残存歯が存在する場合にはこの残存歯で形成した支台歯を利用して、また無歯顎患者に対しては近年のインプラント治療の発達に伴いフィクスチャーを固定源としたオーバーデンチャーも採用されてきている。 【0003】これまでの無歯顎患者へのフルデンチャーは、デンチャーの裏面全面による口腔粘膜への密着力が維持固定の役目を果たし、咬合咀嚼力の負担は前歯部,臼歯部共にデンチャーの裏面全面に接する歯肉粘膜で行われるものであるため、歯肉粘膜に負荷がかかった場合の被圧変位に対する追従は、歯肉粘膜全体で自在に調整することができた。 【0004】しかしながら、長期に亘る使用によって歯肉粘膜に圧痕や歪みが生じたり、顎堤に変形が生じたりすると、デンチャーの裏面と歯肉粘膜との密着状態が良好に維持されなくなってきて、容易にデンチャーが口腔粘膜から外れてしまう現象が発生するという欠点があった。 【0005】そこで、デンチャーを従来の口腔粘膜への密着力のみによって維持固定するのではなく、着脱の容易性,清掃性,耐久性等の有利性からデンチャーの維持に磁石吸引力を利用する歯科用磁性アタッチメント、即ち磁石構造体と磁性材料から成るキーパーとで磁気回路を構成し、顎骨に植立されたフィクスチャー又は支台歯に磁石構造体又はキーパーを固定し、デンチャーの裏面にキーパー又は磁石構造体を固定した構造のオーバーデンチャーが使用されるようになってきている。 【0006】しかしながら、このようなオーバーデンチャーに使用されている歯科用磁性アタッチメントを構成する磁石構造体とキーパーとの接触吸着面は、平面形状のものが使用されていたため、臼歯部又は前歯部での咀嚼時にオーバーデンチャーの臼歯部側又は前歯部側の裏面が歯肉粘膜に被圧変位を与えると、オーバーデンチャーは歯科用磁性アタッチメント部を中心とする回転運動を起こしてキーパーと磁石構造体との接触面の一部に隙間ができて端面接触の状態が発生するため磁石構造体とキーパーとの相互に損傷を起こすばかりでなく、キーパーと磁石構造体とが平面間接触であるために横ずれも起こし複雑な動きが発生することになる。更にキーパー端面への力が、キーパーを顎骨に植立されたフィクスチャーに固定しているキーパースクリューに対し横荷重を発生し、ネジの緩みやフィクスチャー周囲組織への侵襲という悪影響を与えるという欠点もあった。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記した如き従来のオーバーデンチャーへの歯科用磁性アタッチメントの欠点を解消し、咀嚼時に臼歯部や前歯部での歯肉粘膜への被圧変位によって歯科用磁性アタッチメント部を中心としたオーバーデンチャーの回転運動が発生してもキーパーと磁石構造体との接触面の一部に隙間ができずに咬合位置が安定した咀嚼機能が得られ、且つキーパーと磁石構造体との接触面での横ずれによる複雑な動きによる弊害が発生しない歯科用磁性アタッチメントを提供することを課題とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意研究の結果、磁石構造体と磁性材料から成るキーパーとで磁気回路を構成するオーバーデンチャー用の歯科用磁性アタッチメントにおいて、前記磁石構造体とキーパーとの接触面の一方が凸状球面をまた他方が該凸状球面と同一半径の凹状球面をなし、該凸状球面の平面投影形状が該凹状球面の平面投影形状より大きければ良いことを究明して本発明に係る歯科用磁性アタッチメントを完成したのである。 【0009】そして、このような本発明に係る歯科用磁性アタッチメントにおいて、凹状球面がその周囲に該凹状球面の中心軸に直角な平面部を持っていたり、磁石構造体が非磁性材料で構成された底付きの円筒状の容器と該容器内の周囲に設けられた軟磁性材料で構成されたヨークと該ヨークの中央に挿入され該容器の底に固定された磁石体と該磁石体を覆う非磁性材料で構成されたスペーサとで構成されていたり、キーパーが残存歯で形成した支台歯に埋設されるポスト部を有していたり、キーパーがフィクスチャーの口腔側に設置されるキーパー筒と該キーパー筒内を貫通して該キーパー筒を該フィクスチャーに螺合固定するキーパースクリューとで構成されていたり、キーパーがフィクスチャーの口腔側に設置されてアバットメントスクリューで該フィクスチャーに固定されるアバットメントの口腔側に設置されるキーパー筒と該キーパー筒内を貫通して該キーパー筒を該アバットメントスクリューに螺合固定するキーパースクリューとで構成されている態様でも良いことも究明したのである。 【0010】 【発明の実施の形態】以下、図面により本発明に係る歯科用磁性アタッチメントの実施例について詳細に説明する。図1は本発明に係る歯科用磁性アタッチメントを構成する磁石構造体とキーパーとの1実施例を示す断面説明図、図2はキーパーの凹状球面がその周囲にその凹状球面の中心軸に直角な平面部を持っている本発明に係る歯科用磁性アタッチメントを構成する磁石構造体とキーパーとの1実施例を示す断面説明図、図3はキーパーが残存歯で形成した支台歯に埋設されるポスト部を有する本発明に係る歯科用磁性アタッチメントを構成する磁石構造体とキーパーとの1実施例を示す断面説明図、図4はキーパーがフィクスチャーの口腔側に設置されるキーパー筒とこのキーパー筒内を貫通してこのキーパー筒をフィクスチャーに螺合固定するキーパースクリューとで構成されている本発明に係る歯科用磁性アタッチメントを構成する磁石構造体とキーパーとの1実施例においてキーパーをフィクスチャーに螺合固定した状態を示す断面説明図、図5はキーパーがフィクスチャーの口腔側に設置されてアバットメントスクリューでフィクスチャーに固定されるアバットメントの口腔側に設置されるキーパー筒とこのキーパー筒内を貫通してこのキーパー筒をフィクスチャーに螺合固定するキーパースクリューとで構成されている本発明に係る歯科用磁性アタッチメントを構成する磁石構造体とキーパーとの1実施例においてアバットメントを介してキーパーをフィクスチャーに螺合固定した状態を示す断面説明図である。 【0011】図面中、1は本発明に係る歯科用磁性アタッチメントを構成する磁石構造体であり、磁石体のみで構成されていても良いが、図示した実施例の如く非磁性材料で構成された底付きの円筒状の容器1bと、この容器1b内の周囲に設けられた軟磁性材料で構成されたヨーク1cと、このヨーク1cの中央に挿入され容器1bの底に固定された磁石体1aと、この磁石体1aを覆う非磁性材料で構成されたスペーサ1dとで構成されていることが磁石体1aからの磁力を有効に使用できるので好ましい。 【0012】2は磁石構造体1に吸引されて磁石構造体1とで磁気回路を構成する磁性材料から成り本発明に係る歯科用磁性アタッチメントを構成するキーパーであり、このキーパー2としては、図1及び図2に示す如く残存歯で形成した支台歯やオーバーデンチャーに固定される保持材(図示無し)に固定されるものや、図3に示す如く残存歯で形成した支台歯に埋設されるポスト部を有するものや、図4に示す如くフィクスチャー3の口腔側に設置されるキーパー筒2aとこのキーパー筒2a内を貫通してこのキーパー筒2aをフィクスチャー3に螺合固定するキーパースクリュー2bとで構成されているものや、図5に示す如くフィクスチャー3の口腔側に設置されてアバットメントスクリュー5でフィクスチャー3に固定されるアバットメント4の口腔側に設置されるキーパー筒2aとこのキーパー筒2a内を貫通してこのキーパー筒2aをアバットメントスクリュー5に螺合固定するキーパースクリュー2bとで構成されているものがある。 【0013】このキーパー2を構成する磁性材料としては、口腔内で使用するものであるから錆等が発生し難く且つ磁性を有するフェライト系又はマルテンサイト系のステンレス鋼が好ましく使用できる。 【0014】そして、本発明に係る歯科用磁性アタッチメントにおいては、磁石構造体1とキーパー2との接触面の一方が凸状球面を、また他方がこの凸状球面と同一半径の凹状球面をなし、凸状球面の平面投影形状が凹状球面の平面投影形状より大きいことを特徴としており、凹状球面がその周囲にその凹状球面の中心軸に直角な平面部を持つ態様であることが好ましい。 【0015】この磁石構造体1とキーパー2との接触面である凸状球面と凹状球面との半径は、咀嚼時に臼歯部や前歯部での歯肉粘膜の被圧変位によってオーバーデンチャーに歯科用磁性アタッチメント部を中心とした回転運動が生じても、凸状球面と凹状球面とが磁石構造体1とキーパー2とで構成された磁気回路による吸引力によってその接触を保った状態のまま円滑な回転運動が維持される半径であって、且つ臨床的な配慮として、過大な横荷重が発生した場合には磁石構造体1がキーパー2から外れてキーパー2の周縁部に大きな負荷が生じさせずその結果キーパー2が固定されている支台歯やフィクスチャーの折損及びフィクスチャー周囲骨の吸収・破壊の危険性を防ぐと共にオーバーデンチャーが臼歯部や前歯部での咀嚼時に臼歯部や前歯部での歯肉粘膜の被圧変位による歯科用磁性アタッチメント部を中心とした最大回転時の接点移動でもその接点が凹状球面内に留まっていてしかも凸状球面と凹状球面との接触面における磁石構造体1による吸引力が減少しないような半径を選定すれば良い。 【0016】そして、凸状球面の平面投影形状を凹状球面の平面投影形状より大きくすることによって、凸状球面縁部が凹状球面の内面に当接して円滑な回転運動を阻害したり、凹状球面の内面を損傷させることが防止できるのであり、またこの半径が同一の凸状球面と凹状球面とが接触面を成していることにより臼歯部や前歯部での咀嚼時に臼歯部や前歯部の歯肉粘膜の被圧変位によってオーバーデンチャーに横ずれが発生しても磁石構造体1がキーパー2から外れることが無くなるのであるが、過大な横荷重が発生して凸状球面が凹状球面から外れた場合に凸状球面が凹状球面の周縁部に大きな応力を生じさせても凹状球面が損傷しないようにするために凹状球面がその周囲が凹状球面の中心軸に直角な平面部を持っていることが好ましい。 【0017】また、本発明に係る歯科用磁性アタッチメントを構成するキーパー2がフィクスチャー3の口腔側に設置されるキーパー筒2aとこのキーパー筒2aとキーパースクリュー2bとで構成される場合には、フィクスチャー3の口腔側に設置される歯科用磁性アタッチメントの取付位置が歯肉側に低い方がオーバーデンチャー内に配置される磁石構造体1の取付位置を低く抑えられるため製作上のみならず、フィクスチャー3の中心軸に加わる横成分のモーメントが小さくなるため、フィクスチャー3及びフィクスチャー3の周囲骨への影響を少なくできて有利であるから、図4に示す構造のようにキーパー2を直接フィクスチャー3に固定して歯肉からの高さを低くすることが望ましい。 【0018】しかしながらスクリューの機能として過負荷発生時にスクリューが破折してフィクスチャー3を保護する機能があるので、図5に示す如くアバットメント4を介する2重のスクリュー(キーパースクリュー2bとアバットメントスクリュー5との組合せ)構造とした方が安全性が高く、更に通常フィクスチャー3に螺設されているネジよりアバットメントスクリュー5に螺設されているネジの方が細いため、この保護機能は高くなり安全性が高まると共に、アバットメント4は生体親和性に優れたチタン又はチタン合金製であるから歯肉と接触する部位に生体親和性に問題が無い部材を使用できる利点もある。よって、患者の骨質,フィクスチャー3の埋入部位,咬合高さ,軟組織の高径等の条件と安全性とを考慮してアバットメント4を使用するか否かを選択すれば良い。 【0019】 【発明の効果】以上に詳述した如く、本発明に係る歯科用磁性アタッチメントは、オーバーデンチャーを確実に保持させることができるにも拘らず、臼歯部や前歯部での咀嚼時に臼歯部や前歯部の歯肉粘膜の被圧変位に伴うオーバーデンチャーの歯科用磁性アタッチメント部を中心とした回転運動を阻害せず咬合位置が安定した咀嚼機能が得られ、且つ歯科用磁性アタッチメントのキーパーと磁石構造体との接触面で隙間ができない状態で横ずれ防止を可能とする画期的な歯科用磁性アタッチメントである。 【0020】そして、凹状球面がその周囲にその凹状球面の中心軸に直角な平面部を持つ構造にすれば、大きな横荷重が発生してキーパーと磁石構造体とが外れた場合でもキーパーの磁石構造体との接触面での損傷等がなく消耗部品が不要となるため、患者及び術者に大きな恩恵をもたらすのである。 【0021】このような効果を奏する本発明に係る歯科用磁性アタッチメントは、歯科医療における技術の向上に寄与するところの非常に大きなものである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000181217 【氏名又は名称】株式会社ジーシー
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| 【出願日】 |
平成11年11月24日(1999.11.24) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100070105 【弁理士】 【氏名又は名称】野間 忠之
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| 【公開番号】 |
特開2001−145642(P2001−145642A) |
| 【公開日】 |
平成13年5月29日(2001.5.29) |
| 【出願番号】 |
特願平11−333329 |
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