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【発明の名称】 歯科用補綴物の作製方法
【発明者】 【氏名】有田 明史

【要約】 【課題】コンポジットレジンにより審美性や機械的性質に優れると共に未重合モノマーによる歯髄刺激の恐れもない、特にインレー,クラウンなどに好適である歯科用補綴物の作製方法を提供する。

【解決手段】口腔内形状の複製模型を元に目的とする歯科用補綴物の蝋型を作製し、該蝋型を埋没用の材料中に埋没し該蝋型を除去して鋳型を製作する歯科用補綴物の作製方法であって、該鋳型内にコンポジットレジンを圧入し、加熱及び加圧しながら該コンポジットレジンを硬化させて歯科用補綴物を作製する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 口腔内形状の複製模型を元に目的とする歯科用補綴物の蝋型を作製し、該蝋型を埋没用の材料中に埋没し該蝋型を除去して鋳型を製作する歯科用補綴物の作製方法であって、該鋳型内にコンポジットレジンを圧入し、加熱及び加圧しながら該コンポジットレジンを硬化させることを特徴とする歯科用補綴物の作製方法。
【請求項2】 コンポジットレジンとして、(メタ)アクリレートに無機質,有機質,無機有機複合の1種又は2種以上の充填材と加熱重合触媒とを配合したものを使用する請求項1に記載の歯科用補綴物の作製方法。
【請求項3】 コンポジットレジンが充填材として平均粒径0.02〜10μmのガラス粉末,平均粒径0.02〜0.04μmの超微細粉シリカ,平均粒径0.02〜0.04μmの超微細粉シリカをモノマーと混合して硬化させ粉砕した無機有機複合充填材から選ばれた1種以上を30〜80重量%を含むものを使用する請求項2に記載の歯科用補綴物の作製方法。
【請求項4】 コンポジットレジンの圧入を、コンポジットレジンを60〜90℃加熱して軟化させ、0.5〜30MPaで行う請求項1〜3のいずれか1項に記載の歯科用補綴物の作製方法。
【請求項5】 加圧・加熱時の圧力と温度とを、コンポジットレジンの圧入圧力の70〜100%の圧力と95〜150℃とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の歯科用補綴物の作製方法。
【請求項6】 加圧・加熱時の時間を2〜30分間とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の歯科用補綴物の作製方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンポジットレジンを使用して歯科用補綴物を作製する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】歯牙の修復は、窩洞形成や支台歯形成の後に印象(歯牙の陰型)の採得を行い、その印象に基づいて石膏などを用いて模型(歯牙の複製)を作製し、その模型に基づいて以下のようにして歯科用補綴物を作製し、その歯科用補綴物を歯科用セメントなどの接着材を用いて歯牙に合着させる歯科用補綴物を用いた修復方法と、歯牙窩洞に直接歯科用コンポジツトレジンを填入し化学重合又は光重合により重合・硬化させて修復する充填修復による方法とが一般に行われている。
【0003】インレー,クラウンのような歯科用補綴物の場合は、石膏模型上に歯科用ワックスを用いて目的とする歯科用補綴物と同型の蝋型を作製し、この蝋型を耐火埋没材中に埋没させ、埋没材の硬化後に電気炉中で加熱して蝋型を焼却させ、得られた鋳型で歯科用金属を用いて鋳造し、この鋳造物を埋没材から掘り出した後、切削・研磨して金属製の歯科用補綴物を作製するロストワックス鋳造法と呼ばれる方法が広く行われている。
【0004】インレー,クラウンなどの症例で特に前歯の修復等審美性を要求される症例の場合には、セラミックインレー,レジン前装冠,陶材前装金属冠,オールセラミッククラウンなどの歯科用補綴物による修復が行われている。即ち、セラミックインレー,オールセラミッククラウンなどの歯科用補綴物の場合は、耐火模型材を用いて耐火複模型を作製し、この耐火複模型上にセラミック原料を歯科技工士が手作業で築盛・形態付与を行い、これを焼成した後に耐火複模型を除去し、形態修正,研磨を行うことによって作製されている。また、レジン前装冠や陶材前装金属冠の場合には、ロストワックス鋳造法で作製した金属冠の唇面に歯冠色のレジンを築盛・重合して被覆したり、歯冠色の陶材を築盛・焼成した後、形態修正、研磨を行い作製されている。
【0005】しかし、歯科用コンポジットレジンの場合は、歯牙窩洞に充填して直ちに重合・硬化させるため強度が不充分である場合が多く、また未重合モノマーが残留し易いため歯髄刺激の問題も指摘されている。また、金属製の歯科用補綴物の場合は、金属色が表面に露出しているため審美性に問題があり、セラミックインレー,オールセラミッククラウン,レジン前装冠,陶材前装金属冠のような歯科用補綴物の場合は、手作業による築盛・形態付与に高度な技術が要求されるため、技工士の熟練のみならず多大な時間と費用が必要となる欠点がある。
【0006】一方、特開平7−227400号公報には、型内に熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂などを高圧で圧入して義歯床を作製する方法が開示されており、その中にインレーやクラウン等の歯科用補綴物を作製する方法も記載されている。しかし、この方法は、義歯床を対象とし熱可塑性樹脂を高圧で型内に圧入し成形する方法であって、流動性の良いポリカーボネート,ポリサルフォン,ポリエーテルサルフォン,アクリル等の熱可塑性樹脂を用いる方法である。しかし、これらの熱可塑性樹脂はガラス繊維等を配合して強化しても強度が足りず、クラウン等の機械的強度や磨耗耐久性が必要とされる歯科用補綴物を作製する用途に充分な性能を有しているとは言い難いものであった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、審美性や機械的性質に優れると共に未重合モノマーによる歯髄刺激の恐れもない、特にインレー,クラウンなどに好適である歯科用補綴物の作製方法を提供することを課題とする。
【0008】
【問題を解決するための手段】本発明者は、従来から義歯や人工歯等の作製に使用されていた射出成形や加圧注入の技術を応用し、金属材料と比較して審美性に優れておりポリサルフォン等の熱可塑性樹脂と比較して強度に優れているコンポジットレジンを、型内に圧入し、加熱・加圧下で重合すると未重合モノマーの残留が無く機械的性質に優れた歯科用補綴物の作製が可能なことを究明し、本発明に係る歯科用補綴物の作製方法を完成したのである。
【0009】
【発明の実施の形態】即ち、本発明に係る歯科用補綴物の作製方法は、口腔内形状の複製模型を元に目的とする歯科用補綴物の蝋型を作製し、該蝋型を埋没用の材料中に埋没し該蝋型を除去して鋳型を製作する歯科用補綴物の作製方法であって、該鋳型内にコンポジットレジンを圧入し、加熱及び加圧しながら該コンポジットレジンを硬化させることを特徴とする歯科用補綴物の作製方法である。
【0010】本発明に係る歯科用補綴物の作製方法を実施するには、先ず、目的の歯科用補綴物を装着する歯牙に対して窩洞形成や支台歯形成を行った後、その形状を歯科用印象材などを用いて印象採取する。この時使用する印象材は歯牙の形状を正確に再現出来るものであれば特に限定しないが、通常歯科分野で使用されている印象材が精度と取扱いに優れていることから好ましく、中でも歯科用のシリコーン印象材が好ましい。
【0011】次いで、採取した印象に歯科用石膏,歯科用埋没材等を注ぎ硬化させて口腔内形状の複製模型を作製し、この複製模型上で歯科用ワックス等の蝋を用いて目的とする歯科用補綴物の蝋型を作製し、完成した蝋型にワックスや金属により作製されたスプルーを通法に従い取り付ける。
【0012】次いで、鋳造用リング等の耐熱容器内に前述の蝋型を単独で又は複製模型と共に埋没用の材料を使用して埋没する。埋没用の材料としては、圧入するコンポジットレジンの粘性が低く、最大加圧圧力が0.5〜5MPaと小さい場合は歯科で使用されている鋳造用埋没材を使用することが可能である。また、歯科用等の石膏を使用するとより高い圧力を加えることが出来る。更に、5MPaを超える加圧圧力が必要とされる場合は、更に強い圧力に耐え得る歯科用超硬石膏を使用することが好ましい。
【0013】埋没用の材料の硬化後、通法に従い耐熱容器ごと加熱し、内部の蝋型を除去して鋳型を製作する。埋没用の材料として石膏を使用した場合等、焼却により蝋型を燃焼除去することが出来ない時は温湯で流蝋したり圧力釜で加熱したりして流蝋を行って鋳型を作製する。
【0014】しかる後、耐熱容器を加圧注入装置に取り付け、コンポジットレジンを圧入する。この圧入圧力は0.5〜30MPa、より好ましくは5〜20MPaである。0.5MPa未満であると歯科用補綴物の細部までコンポジットレジンが行き渡らないことがあり、30MPaを超えると模型や埋没用の歯科用石膏等が破損する恐れがある。コンポジットレジンの粘性が高く圧入が困難な場合は、コンポジットレジンを60〜90℃加熱して軟化させ、更に耐熱容器を120〜150℃に加熱し流動性を適切にして圧入することも出来る。この圧入時の温度が60℃未満では流動性を上げる効果を得ることが出来ず、90℃を超える場合はコンポジットレジンの重合・硬化が急速に促進され、注入前に重合・硬化する恐れがあるため好ましくない。圧入時は、埋没用の材料を破壊せず細部までコンポジットレジンが行き渡るように時間,圧力,温度をコンポジットレジンの圧入し易さに合わせて調整する必要がある。
【0015】圧入後、加圧・加熱を行ってコンポジットレジンを重合・硬化させる。この加圧・加熱時の圧力は圧入圧力の70〜100%程度とし、加熱温度は95〜150℃とすることが好ましい。
【0016】加圧・加熱する時間は加圧・加熱の条件やコンポジットレジンに使用する(メタ)アクリレート等のモノマーやオリゴマーの重合性により異なるが、通常は2〜30分間、より好ましくは5〜15分間である。かくして加圧・加熱を行ってコンポジットレジンを重合・硬化させた後、加圧状態のまま冷却し、減圧する。圧力の保持は歯科用補綴物の細部までコンポジットレジンが行き渡らせること及びコンポジットレジンの重合収縮の補正を行うために必要である。加圧圧入装置としては、義歯床等の作製に用いる歯科用の義歯床用材料を耐圧容器内に圧力0.5〜30MPaで圧入することが可能な通常歯科などで使用されている加圧圧入装置を用いることが出来る。
【0017】本発明において使用するコンポジットレジンとしては、(メタ)アクリレートに無機質,有機質,無機有機複合の1種又は2種以上の充填材を任意に配合し、更に加熱重合触媒を添加したコンポジットレジンである。即ち、従来歯科で主に充填修復用として使用されていた歯科用コンポジットレジンの光又は化学重合触媒を加熱・加圧重合に適した加熱重合触媒とし、更に必要に応じて加圧注入に適するように調整した配合から成るものである。(メタ)アクリレートは一般に歯科用コンポジットレジンに使用されているものが使用可能であり、モノマーの他にオリゴマー等も使用出来る。その一例を挙げると、モノマーとしては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジメタクリロキシプロパン、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、トリメチロールメタントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジ−2−メタクリロキエチル−2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジカルバメート、1,3,5−トリス[1,3−ビス(メタクリロイルオキシ)−2−プロポキシカルボニルアミノヘキサン]−1,3,5−(1H,3H,5H)トリアジン−2,4,6−トリオン、1,6−メタクリルエチルオキシカルボニルアミノヘキサン、1,3−メタクリルエチルオキシカルボニルアミノヘキシルアミノカルボニルオキシ(3−メチル)プロパン、1,6−メタクリルエチルオキシカルボニルアミノヘキシルアミノカルボニルオキシ(3−メチル)プロピルオキシカルボニルアミノヘキサンやそれらのアクリレート等が挙げられる。また、オリゴマーとしては、1,3−ブチレングリコールとヘキサメチレンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチルメタクリレートとから成るウレタンオリゴマー、2,2−ジ(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンとヘキサメチレンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチルメタクリレートとから成るウレタンオリゴマーやそれらのアクリレート等も挙げることが出来る。これらは単独又は幾つかを組み合わせて使用することも可能である。
【0018】充填材としては、例えばバリウムガラス,アルミナガラス,カリウムガラス等の各種ガラス、シリカ、長石、石英等の粉末が挙げられるが、無機質充填材をモノマーと混合し硬化させた後に粉砕して得られる無機有機複合充填材を使用することも出来る。これら充填材は予めシラン物質を用いて表面処理を施したものを用いることが望ましく、表面処理は公知のシラン処理法により行われる。中でも平均粒径0.02〜10μmのガラス粉末,平均粒径0.02〜0.04μmの超微細粉シリカ,平均粒径0.02〜0.04μmの超微細粉シリカをモノマーと混合して硬化させ粉砕した無機有機複合充填材から選ばれた充填材の1種以上を30〜80重量%、好ましくは60〜80重量%含むコンポジットレジンであると、硬化後の強度や摩耗性が高く、粘性も60〜90℃の温度の時に型への圧入に適したものとなるため特に好ましい。
【0019】加熱重合触媒としては、アゾ化合物としてアゾビスイソブチロニトリル、トリブチルホウ素等のような有機金属化合物が好ましく、芳香族を有するジアシルパーオキシド類や過安息香酸のエステルとみなされるようなパーオキシエステル類、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロルベンゾイルパーオキシド、m−トリルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ[(o−ベンゾイル)ベンゾイルパーオキシ]ヘキサン等も使用可能である。これらの加熱重合触媒は単独又は幾つかを組み合わせて使用することも可能である。これら加熱重合触媒の配合量はコンポジットレジン組成物に対して0.03重量%未満であると充分な効果を得難く、使用するモノマーの種類や配合割合によって異なるが3重量%を超えて配合すると充分な加熱を行わないうちに重合反応が進んでしまい、コンポジットレジンを型内に圧入することが出来ない恐れがある。
【0020】なお、本発明で使用するコンポジットレジンにおいて、超微細粉シリカの配合量が10重量%を超えるような場合、注入されるペーストの流れと気泡の抜けが悪くなるため、必要に応じて埋没用の材料に排気用のエアベントを設けても良い。また、本発明で使用するコンポジットレジンは、通常歯冠色に着色することでインレー,クラウン等の歯科用補綴物の作製に使用されるが、歯肉色に着色することにより強度の高い義歯床を作製することも出来る。
【0021】鋳型を囲み圧入装置に取り付けられる耐熱容器は、前述した鋳造用リングの他に、歯科の義歯の作製に使用されている歯科用フラスコ等も使用することが出来る。歯科用フラスコを用いる場合は、義歯の作製方法で一般的に行われている歯科用フラスコを用いた蝋型の埋没の使用方法に従って埋没やスプルーの取付けを行い、前述の方法に従いコンポジットレジンを圧入する。歯科用フラスコが割型の場合は、スプルーは蝋型からコンポジットレジン注入口まで石膏,埋没材に添って設置するため、スプルーの断面形状は平面を持つ方形,半円形などの形状であることが望ましく、蝋型の除去方法は、一旦容器を分離し蝋型を温湯などを使用して完全に流蝋した後、再び耐熱容器などを組みあげる方法が適している。耐熱容器として歯科用フラスコを用い埋没用の材料に歯科用超硬石膏を用いた場合は10MPaを超える圧力を加えることが出来るため、重合後のコンポジットレジンの強度や耐摩耗性を上げることが出来る。これら方法によれば審美性や機械的性質に優れると共に未重合モノマーによる歯髄刺激の恐れもないインレー,クラウン等の歯科用補綴物を容易に作製することが出来る。なお、この方法が義歯床の作製にも使用することが出来ることは勿論である。
【0022】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明に係る歯科用補綴物の作製方法を更に具体的に説明する。実施例1〜4,比較例1,2で使用した以下の組成から成るコンポジットレジン100重量部に歯冠色に着色することを目的として酸化鉄,四酸化三鉄,二酸化チタン,酸化クロム等を0.1重量部添加したもの及び市販の歯科用コンポジットレジンについて試験を実施した。結果は表1に纏めて示す。
【0023】<コンポジットレジンI>・(メタ)アクリレートとして、ジ−2−メタクリロキシ−2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジカルバメート(以下、UDMAと略記する):14.6重量%と、1,6−メタクリルエチルオキシカルボニルアミノヘキサン、1,3−メタクリルエチルオキシカルボニルアミノヘキシルアミノカルボニルオキシ(3−メチル)プロパン、1,6−メタクリルエチルオキシカルボニルアミノヘキシルアミノカルボニルオキシ(3−メチル)プロピルオキシカルボニルアミノヘキサンから成る混合物(商品名:アートレジンSH−101,根上工業社製、以下、SH−101と略記する):5.0重量%と、テトラエチレングリコールジメタクリレート(以下、TEGDMAと略記する):5.0重量%・充填材として、無機質充填材である平均粒径0.04μmのコロイダルシリカ(商品名:アエロジルOX−50,日本アエロジル社製、以下、OX−50と略記する):45重量%と、ガラス粉末である平均粒径0.5μmのバリウムガラス:30重量%・加熱重合触媒として、ベンゾイルパーオキサイド:0.4重量%。
【0024】<コンポジットレジンII>・(メタ)アクリレートとして、UDMA:29.8重量%,SH−101:7.0重量%・充填材として、無機質充填材であるOX−50:63重量%・加熱重合触媒として、ベンゾイルパーオキサイド:0.2重量%。
【0025】<コンポジットレジンIII>・(メタ)アクリレートとして、UDMA:16.3重量%,TEGDMA:8.0重量%・充填材として、無機質充填材である平均粒径0.016μmのコロイダルシリカ(商品名:アエロジルR−972,日本アエロジル社製、以下、R−972と略記する):3重量%と、ガラス粉末であるフルオロアルミノシリケートガラス(アルミナ25.0g,炭酸カルシウム27.7g,リン酸アルミニウム15.2g,フッ化アルミニウム13.3g,珪砂11.7gを各々秤量,混合し、白金るつぼ中で1250℃まで約3時間で電気炉内の温度を昇温し溶融させ、そのまま温度を一定に保ち2時間溶融ガラスを清澄させた後、急冷,粉砕して平均粒径1.0μmに調整したもの):72重量%・加熱重合触媒としてベンゾイルパーオキサイド:0.7重量%。
【0026】<コンポジットレジンIV>・(メタ)アクリレートとして、UDMA:21.3重量%,TEGDMA:10.0重量%・充填材として、無機質充填材であるOX−50:16重量%と、無機有機複合充填材である{平均粒径0.04μmのコロイダルシリカ(商品名:アエロジルOX−50,日本アエロジル社製)を通法に従いγ―メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン10重量%のエタノール溶液で表面処理を行った粉末:45重量%を、UDMA:19重量部と1,3,5−トリス[1,3−ビス(メタクリロイルオキシ)−2−プロポキシカルボニルアミノヘキサン]―1,3,5−(1H,3H,5H)トリアジン−2,4,6−トリオン:13重量部とネオペンチルグリコールジメタクリレート:13重量部とから成るモノマー混合液100重量部に対して2,2′−アゾビスイソブチロニトリル:1重量部を溶解した液:55重量%と混合して熱硬化させた後、粉砕し平均粒径10μmに調整した粉末}:52重量%・加熱重合触媒としてベンゾイルパーオキサイド:0.7重量%。
【0027】実施例11)II級窩洞を形成した第1大臼歯の形状を通法に従い歯科用シリコーン印象材を用いて印象採取し、その印象に歯科用超硬石膏(商品名:ニューフジロック,ジーシー社製)を注ぎ、石膏模型を作製した。
2)石膏模型上で歯科用ワックス(商品名:インレーワックス,ジーシー社製)を用いてインレーの蝋型を作製し、埋没用フラスコ(商品名:アクロフラスコ,ジーシー社製)中に蝋型を石膏模型ごとフラスコの樹脂注入口と排気口との軸に沿った位置に設置した。この時、出来るだけ蝋型の前面の部分が多くなるように石膏底面を傾けて調節した。
3)蝋型の最も樹脂が注入され難いと思われる部分から排気口へ石膏模型に沿って排気用エアベントをワックス(商品名:レディーキャスティングワックス,ジーシー社製)により作製し、歯科用超硬石膏(商品名:ニューフジロック,ジーシー社製)を用いてフラスコ下部に石膏模型を埋没した。
4)歯科用超硬石膏の硬化後、蝋型に注入用のスプルーをワックスにより作製した後、石膏面に分離材を塗布しフラスコの中蓋を載せてからフラスコ内に再び歯科用超硬石膏(商品名:ニューフジロック,ジーシー社製)を流し込み上蓋を載せ埋没した。
5)歯科用超硬石膏の硬化後、フラスコを分離し蝋型を温湯で完全に流蝋した。
6)分離したフラスコを再び組み上げ、ボルトで確実に固定し加圧注入装置(商品名:アクロプレス,ジーシー社製)に取り付けた。
7)歯冠色に着色したコンポジットレジンIを80℃で加熱して軟化した後、130℃に加熱したフラスコ内に最大圧力10MPaで注入し、その後7分間130℃・8MPaの加熱・加圧を保持した後、加圧状態のまま冷却し、その後減圧し、鋳型からコンポジットレジンIから得られた成形品を取り出し、スプルー及びエアベント部の樹脂を切り離し、研磨して目的のインレーを得た。
【0028】実施例2歯冠色に着色したコンポジットレジンIIを80℃に加熱して軟化した後、130℃に加熱したフラスコ内に最大圧力23MPaで注入し、その後8分間130℃・20MPaの加熱・加圧を保持した以外は実施例1と同様にして歯科用補綴物を作製した。
【0029】実施例31)II級窩洞を形成した第1大臼歯の形状を通法に従い歯科用シリコーン印象材を用いて印象採取し、その印象に歯科用超硬石膏(商品名:ニューフジロック,ジーシー社製)を注ぎ石膏模型を作製した。
2)石膏模型上で歯科用ワックス(商品名:インレーワックス,ジーシー社製)を用いてインレーの蝋型を作製し、埋没用加熱容器(商品名:鋳造用リング,ジーシー社製)中に蝋型を歯科用耐火埋没材(商品名:セラベスト,ジーシー社製)を用いて通法に従い埋没した。
3)歯科用耐火埋没材の硬化後、埋没加熱容器を700℃に加熱し、内部の蝋型を焼却して鋳型を製作した。
4)約130℃にした鋳型を加圧注入装置(商品名:アクロプレス,ジーシー社製)に取り付け、歯冠色に着色したコンポジットレジンIIIを70℃に加熱して軟化した後、圧力0.7MPaで注入し、120℃・0.6MPaで加熱・加圧成形を行った。
5)9分間加熱・加圧を保持した後、加圧状態のまま冷却し,その後減圧して鋳型からコンポジットレジンIIIから得られた成形品を取り出してスプルー部のレジン枝を切り離し、研磨して目的のインレーを得た。
【0030】実施例41)II級窩洞を形成した第1大臼歯の形状を通法に従い実施例1の1)から5)までと同様に流鑞した。
2)フラスコをボルトで確実に固定し、加圧注入装置(商品名:アクロプレス,ジーシー社製)に取り付けた。
3)歯冠色に着色したコンポジットレジンIVを70℃で加熱して軟化した後、130℃に加熱したフラスコ内に型内圧力5MPaで注入し、その後7分間130℃・4Mpaの加熱・加圧を保持した後、加圧状態のまま冷却し、その後減圧し、鋳型からコンポジットレジンIVから得られた成形品を取り出し、スプルー及びエアベント部の樹脂を切り離し、研磨して目的のインレーを得た。
【0031】比較例11)II級窩洞を形成した第1大臼歯の形状を通法に従い歯科用シリコーン印象材を用いて印象採取し、その印象に歯科用超硬石膏(商品名:ニューフジロック,ジーシー社製)を注ぎ石膏模型を作製した。
2)石膏模型に分離剤(商品名:CRセップ,クラレ社製)を塗布した後、歯科用光重合型コンポジットレジンVを窩洞内に填入して光重合器(商品名:ニューライトVL−II,ジーシー社製)で1分間光照射して硬化させた。石膏模型から硬化体を取り出し分離剤を除去し、研磨して目的のインレーを得た。この比較例1に使用した歯科用コンポジットレジンVの配合を表1に示した。この歯科用コンポジットレジンVは、加熱重合触媒としてのベンゾイルパーオキサイドの代わりに、カンファーキノンとパラジメチルアミノ安息香酸エチルとを0.2重量%と0.5重量%それぞれ配合した以外はコンポジットレジンIVと同じである。
【0032】比較例2比較例2として、直接充填による修復に使用される市販の歯科用光重合型コンポジットレジン(商品名:グラフトLCII,ジーシー社製)を用いて比較例1と同様の方法でインレーを作製した。
【0033】<未重合モノマー量の測定>各実施例,各比較例の重合条件で作製した(歯科用)コンポジットレジンから厚さ0.15±0.025mmの薄片を切り出し重量を測定し、メタノール(5ml)に24時間浸漬した。その後、溶出液に内部標準試料として2−エチルヘキシルメタクリレート含有のメタノールを5ml加え,高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いてモノマーの量を測定し、検量線から未重合モノマー量を計算し浸漬前の重量に対する割合で表示した。
【0034】<圧縮強さ試験>圧縮強さ試験を実施する場合は、それぞれの実施例及び比較例の方法にて,4mmφ×6mmの円柱型の試験体を作製し、37℃の蒸留水に24時間浸漬した後、万能試験機(商品名:オートグラフ,島津製作所社製)によりクロスヘッドスピード1mm/minにて圧縮試験を行った。
【0035】
【表1】

【0036】表1から、各実施例のコンポジットレジンを使用して作製された歯科用補綴物は、比較例1,2と比べて機械的性質に優れており、未重合モノマーもないことが確認出来る。
【0037】
【発明の効果】以上に詳述した如く、本発明は、コンポジットレジンを鋳型内に圧入して加熱・加圧下で硬化させることによって、好適な審美性や機械的性質に優れると共に未重合モノマーによる歯髄刺激の恐れもない歯科用補綴物を得ることを可能とする画期的な歯科用補綴物の作製方法であり、その歯科分野に貢献する価値の非常に大きなものである。
【出願人】 【識別番号】000181217
【氏名又は名称】株式会社ジーシー
【出願日】 平成11年11月10日(1999.11.10)
【代理人】 【識別番号】100070105
【弁理士】
【氏名又は名称】野間 忠之
【公開番号】 特開2001−137263(P2001−137263A)
【公開日】 平成13年5月22日(2001.5.22)
【出願番号】 特願平11−319867