| 【発明の名称】 |
義歯アタッチメント用のキーパ及びその取り外し方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】本蔵 義信
【氏名】荒井 一生
【氏名】田中 裕幸
【氏名】木村 一誠
【氏名】水谷 紘
【氏名】平沼 謙二
【氏名】高倉 久夫
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| 【要約】 |
【課題】歯根の形状に対する適合性に優れ,かつ,取り外しが比較的容易な義歯アタッチメント用のキーパ及びその取り外し方法を提供すること。
【解決手段】義歯に配設された磁石構造体を吸着させるための義歯アタッチメント用のキーパである。キーパ1は,軟磁性体よりなるキーパ本体部10と,キーパ本体部10の裏面に接合された非磁性体よりなるポスト部2とよりなる。ポスト部2には曲げ加工可能な曲げ可能部21が設けられていることが好ましい。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 義歯に配設された磁石構造体を吸着させるための義歯アタッチメント用のキーパにおいて,該キーパは,軟磁性体よりなるキーパ本体部と,該キーパ本体部の裏面に接合された非磁性体よりなるポスト部とよりなることを特徴とする義歯アタッチメント用のキーパ。 【請求項2】 請求項1において,上記ポスト部には曲げ加工可能な曲げ可能部が設けられていることを特徴とする義歯アタッチメント用のキーパ。 【請求項3】 請求項1又は2において,上記曲げ可能部は,上記キーパ本体部との接合部近傍に設けられ,かつ,他の部分よりも小さい外径を有していることを特徴とする義歯アタッチメント用のキーパ。 【請求項4】 請求項3において,上記曲げ可能部の直径は0.2〜0.8mmの範囲内にあることを特徴とする義歯アタッチメント用のキーパ。 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の義歯アタッチメント用のキーパを歯科用合着材により歯根に配設した状態から,上記キーパを取り外す方法であって,上記キーパ本体部の周囲の上記歯科用合着材と共に上記ポスト部を切断することにより上記キーパ本体部を分離して取り外すことを特徴とする義歯アタッチメント用のキーパの取り外し方法。 【請求項6】 請求項5において,上記ポスト部の切断は,上記曲げ可能部において行うことを特徴とする義歯アタッチメント用のキーパの取り外し方法。 【請求項7】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の義歯アタッチメント用のキーパを歯科用合着材により歯根に配設した状態から,上記キーパを取り外す方法であって,上記キーパ本体部の周囲の上記歯科用合着材を割ることにより,ポスト部と一体でキーパ本体部を取り外すことを特徴とする義歯アタッチメント用のキーパの取り外し方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【技術分野】本発明は,磁気吸引力を利用して義歯を固定するための義歯アタッチメントにおけるキーパおよびこれを歯根に配設した後の取り外し方法に関する。 【0002】 【従来技術】歯科の分野においては,磁気吸引力を利用して義歯を固定するための義歯アタッチメントの開発が進められている。従来の義歯アタッチメント9は,図8に示すごとく,義歯81に配設された磁石構造体91と,該磁石構造体91を吸着させるために根面板82に配設されたキーパ92とよりなる。キーパ92は,軟磁性体により構成されており,上記磁石構造体91との間において吸引力を発揮する。 【0003】このような構造の義歯アタッチメントは,キーパ92を根面板82に鋳接した状態で用いる必要がある。キーパ92と根面板82との鋳接工程は,高温での精密鋳造であるため,キーパ92の品質を維持するための工夫が必要であるなど,コストアップの一因となり,さらに手間がかかるため治療期間も長くなる。そのため,近年,改良されてきた歯科用合着材を用いて,キーパを歯根に直接配設する方法が適用されてきている。この場合のキーパ92としては,図9,図10に示すごとく,切削加工によりキーパ本体部921とポスト部922とを一体的に有するものが用いられる。 【0004】 【解決しようとする課題】しかしながら,上記従来の義歯アタッチメント用のキーパ92においては,次の問題がある。即ち,図9,図10に示すごとく,上記ポスト部922は,切削加工により削り出して作製するため,その径が比較的大きくなる。そのため,歯根に設ける穴径を大きくする必要があり,歯根の強度を弱くしてしまう。また,上記ポスト部922の形状は,歯根から抜けやすい。 【0005】また,歯根の傾きなどへの対応が困難である。即ち,根面板を使用する場合には,その鋳造時に歯根の傾き等を考慮した形状にすることができるが,ポスト部922を最初からキーパに設けておく場合には,この角度等を各歯根にあわせた最適な状態に設けることが困難である。 【0006】さらに,上記従来のキーパ92は,いわゆるMRI診断時の取り外し作業に非常に手間がかかるという問題もある。即ち,従来のキーパ92は全体が同材質の軟磁性材料よりなるため,すべての部分がMRI診断に悪影響を及ぼす。そのため,MRI診断を行う場合には,事前に上記本体部921とポスト部922の全てを歯根から撤去する必要がある。そのため,その撤去作業は非常に手間がかかるものとなる。 【0007】本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,根面板を用いることなく設置することができ,かつ,取り外しが比較的容易な義歯アタッチメント用のキーパ及びその取り外し方法を提供しようとするものである。 【0008】 【課題の解決手段】請求項1の発明は,義歯に配設された磁石構造体を吸着させるための義歯アタッチメント用のキーパにおいて,該キーパは,軟磁性体よりなるキーパ本体部と,該キーパ本体部の裏面に接合された非磁性体よりなるポスト部とよりなることを特徴とする義歯アタッチメント用のキーパにある。 【0009】本発明において最も注目すべきことは,上記キーパは,上記キーパ本体部とこれに接合されたポスト部とよりなると共にそれぞれ軟磁性体と非磁性体という異なる材質よりなることである。 【0010】次に,本発明の作用効果につき説明する。本発明の義歯アタッチメント用のキーパは,上記キーパ本体部に上記ポスト部を一体的に接合してある。そのため,根面板を用いることなく歯科用合着材によって直接歯根に接合することができる。またそのため,従来行っていた鋳接工程を省略することができ,製造工程の合理化およびコストダウンを図ることができる。 【0011】また,上記キーパ本体部とポスト部とは異なる材質よりなり,かつ,ポスト部は非磁性体により構成されている。そのため,このキーパを歯根に配設した後に,MRI診断を受ける場合には,事前に上記キーパ本体部のみを除去すればよい。それ故,ポスト部も含めて全体が軟磁性体よりなる従来のものよりも,MRI診断時のキーパ取り外し作業を容易かつ短時間で行うことができる。 【0012】したがって,本発明によれば,根面板を用いることなく設置することができ,かつ,取り外しが比較的容易な義歯アタッチメント用のキーパを提供することができる。 【0013】次に,請求項2の発明のように,上記ポスト部には曲げ加工可能な曲げ可能部が設けられていることが好ましい。この場合には,上記ポスト部に上記曲げ可能部を設けてあるので,ポスト部のキーパ本体部に対する角度等を,任意な状態に容易に変更することができる。たとえば,歯根が斜めに傾いておりこれに設けた穴も斜めに傾いている場合などには,上記ポスト部を上記曲げ可能部から曲げて穴の角度にあわせることが可能である。それ故,本発明のキーパは,種々の形状の歯根に対する適応性が非常に高い。 【0014】次に,請求項3の発明のように,上記曲げ可能部は,上記キーパ本体部との接合部近傍に設けられ,かつ,他の部分よりも小さい外径を有していることが好ましい。この場合には,この場合には,外径の細径化により曲げ剛性を適度に低下させることができ,曲げ可能部の曲げ作業を容易にすることができる。また,曲げ可能部の細径化によって,それよりも大径の先端側部分との境界に段部が形成される。そのため,この段部によっていわゆるアンカー効果を高めることができ,キーパの固定状態を強化することもできる。 【0015】また,請求項4の発明のように,上記曲げ可能部の直径は0.2〜0.8mmの範囲内にあることが好ましい。曲げ可能部の直径が0.2mm未満の場合にはその剛性が低くなりすぎるという問題がある。一方0.8mmを超える場合には曲げ剛性が高すぎて容易な曲げ作業が困難となるという問題がある。 【0016】次に,請求項5の発明は,請求項1〜4のいずれか1項に記載の義歯アタッチメント用のキーパを歯科用合着材により歯根に配設した状態から,上記キーパを取り外す方法であって,上記キーパ本体部の周囲の上記歯科用合着材と共に上記ポスト部を切断することにより上記キーパ本体部を分離して取り外すことを特徴とする義歯アタッチメント用のキーパの取り外し方法にある。 【0017】本発明において最も注目すべきことは,上記キーパを取り外す際に,軟磁性体よりなる上記キーパ本体部と非磁性体よりなるポスト部とを分離して,キーパ本体部側のみを除去することである。この場合には,ポスト部も含めてキーパ全体を除去する場合に比べて,その作業時間を大幅に短縮することができる。それ故,MRI診断を早急に実施する必要がある場合などに,これに十分に対応することができる。 【0018】また,請求項6の発明のように,上記ポスト部の切断は,上記曲げ可能部において行うことが好ましい。曲げ可能部は他の部分に比べて曲げ剛性が低いだけでなく,切断も容易であるので,ポスト部の切断作業をさらに容易化することができる。 【0019】次に,請求項7の発明は,請求項1〜4のいずれか1項に記載の義歯アタッチメント用のキーパを歯科用合着材により歯根に配設した状態から,上記キーパを取り外す方法であって,上記キーパ本体部の周囲の上記歯科用合着材を割ることにより,ポスト部と一体でキーパ本体部を取り外すことを特徴とする義歯アタッチメント用のキーパの取り外し方法にある。 【0020】この場合には,少なくとも上記キーパ本体部の周囲の上記歯科用合着材を割ることにより,キーパ本体部とポスト部との切断を行うことなく,これら全体を引き抜く。これによっても,比較的容易にキーパの取り外しを行うことができる。 【0021】 【発明の実施の形態】実施形態例1本発明の実施形態例にかかる義歯アタッチメント用のキーパにつき,図1〜図3を用いて説明する。本例の義歯アタッチメント用のキーパ1は,前述した図8に示すごとく,義歯81に配設された磁石構造体91を吸着させるための義歯アタッチメント用のキーパである。 【0022】キーパ1は,図1に示すごとく,軟磁性体よりなるキーパ本体部10と,該キーパ本体部10の裏面に接合された非磁性体よりなるポスト部2とよりなる。かつ,ポスト部2には曲げ加工可能な曲げ可能部21が設けられている。以下,これを詳説する。 【0023】図1に示すごとく,本例のキーパ本体部10は,軟磁性体としてのFe−19Cr−2Mo−0.2Ti軟磁性ステンレス鋼を用いて円盤形状に設けられている。また,キーパ本体部10の外径は裏面側から表面側に向かって拡径した円錐状に設けてある。具体的なサイズとしては,外径φ3.6mm,厚み約0.7mmとした。また,キーパ本体部10の裏側面はその中央部を窪ませて凹部15を設けてある。そして,この凹部15の中央に,上記ポスト部2を溶接により配設してある。 【0024】ポスト部2は,非磁性体としての非磁性ステンレス鋼 JIS SUS316Lを用いて作製されている。また,ポスト部2は,上記キーパ本体部10との接合部側を細径化してなる曲げ可能部21,その反対側に先端を切除した円錐形状のテーパ部22を連ねた形状に設けられている。具体的なサイズとしては,ポスト部2の長さは3.3mm,曲げ可能部21の外径はφ0.5mm,テーパ部22の底部径がφ1.2mm,頂部径がφ1.0mmである。 【0025】次に,このキーパ1の設置構造を図2,図3を用いて説明する。まず,図2に示す構造は,歯根82が略垂直な状態にあり,これに垂直な穴820を設けてキーパ1を配設した例である。この場合には,同図に示すごとく,ポスト部2に曲げ加工を加えず,キーパ本体部10とポスト部2とが垂直な状態のまま用いる。そして,そのポスト部2を歯根82の穴820に挿入すると共に,ポスト部2およびキーパ本体部10の周囲を歯科用合着材3により固めて歯根82に配設する。 【0026】次に,図3に示す構造は,歯根82が斜めに傾いた状態にあり,これに斜めの穴820を設けてキーパ1を配設した例である。この場合には,同図に示すごとく,ポスト部2に曲げ加工を加えて,キーパ本体部10に対してポスト部2を斜めに傾けた状態に変形させて用いる。そして,この場合もポスト部2を歯根82の穴820に挿入すると共に,ポスト部2およびキーパ本体部10の周囲を歯科用合着材3により固めて歯根82に配設する。これにより,歯根82が斜めに傾いている状態にあっても,キーパ本体部10を容易に水平な状態で配置することができる。 【0027】このように,本例の義歯アタッチメント用のキーパ1は,キーパ本体部10にポスト部2を一体的に接合してあるので,根面板を用いることなく歯科用合着材3によって直接歯根82に接合することができる。そのため,従来行っていた鋳接工程を省略することができ,技工工程の合理化を図ることができ,即日治療が可能となる。 【0028】また,ポスト部2には,上記曲げ可能部21を設けてある。そのため,ポスト部2のキーパ本体部10に対する角度等を,任意な状態に容易に変更することができる。たとえば図3に示すごとく,歯根82が斜めに傾いておりこれに設けた穴も斜めに傾いている場合などには,上記ポスト部を上記曲げ可能部から曲げて穴の角度にあわせることが可能である。それ故,本発明のキーパは,種々の形状の歯根に対する適応性が非常に高い。 【0029】また,キーパ本体部10とポスト部2とは異なる材質よりなり,かつ,ポスト部2は非磁性体により構成されている。そのため,後述するごとく,MRI診断時の前などに,比較的容易にキーパ取り外し作業を行うことができる。 【0030】実施形態例2本例では,図2,図4(a)に示すごとく,実施形態例1の義歯アタッチメント用のキーパ1を歯科用合着材3により歯根82に配設した状態から,上記キーパ1を取り外す方法の例を示す。この方法では,図4(b)に示すごとく,キーパ本体部10の周囲の上記歯科用合着材3と共に上記ポスト部2を切断することにより上記キーパ本体部10を分離して取り外す。以下,これを詳説する。 【0031】図2,図4(a)に示すごとく,上記キーパ1を歯根82に配設した状態においては,ポスト部2と歯根82との穴820との間,および歯根82の上面のキーパ本体部10の周囲には,歯科用合着材3が配設されている。この状態でMRI診断を受けた場合には,キーパ本体部10の軟磁性が悪影響を及ぼし,正確なMRI診断ができない。そのため,この軟磁性体を除去することが必要となる。 【0032】そこで,本例においては,図4(b)に示すごとく,キーパ本体部10の厚みよりも若干厚い部分に,歯科用タービンにより略水平に切れ目42を入れる。なお,このとき,図5,図6に示すごとく,最初に,キーパ本体部10の周囲を囲うように歯科用合着材3に垂直方向の切れ目41を設けておくこともできる。そして,この場合にも,略水平方向に切れ目42を入れる。これにより,歯科用合着材3と共にポスト部2の曲げ可能部21を切断する。これにより,比較的容易に軟磁性部分であるキーパ本体部10を取り外すことができる。 【0033】比較のために,図7(a)に示すごとく,従来の,全体が軟磁性体よりなるポスト部つきのキーパ92を用いている場合の,その取り外し方法を示す。この場合には,図7(b)に示すごとく,単なる水平方向のカットだけではなく,ポスト部を除去するための深い縦穴をも設ける必要がある。 【0034】この比較からわかるように,本発明品であるキーパ1は,キーパ本体部10のみを軟磁性体とし,ポスト部2を非磁性体で構成しているので,MRI診断前にはキーパ本体部10のみを撤去すればよい。そのため,MRI診断が急遽必要となった場合などにおいても,上記のごとく非常に簡単除去方法を採用することができ,従来のキーパを採用した場合よりも準備時間を短縮することができる。また,本例では,ポスト部2の最も細い部分である曲げ可能部21を切断するので,その切断作業も容易に行うことができる。 【0035】 【発明の効果】上述のごとく,本発明によれば,歯根の形状に対する適合性に優れ,かつ,取り外しが比較的容易な義歯アタッチメント用のキーパ及びその取り外し方法を提供することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000116655 【氏名又は名称】愛知製鋼株式会社 【識別番号】391028915 【氏名又は名称】井上アタッチメント株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年11月12日(1999.11.12) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100079142 【弁理士】 【氏名又は名称】高橋 祥泰 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−137260(P2001−137260A) |
| 【公開日】 |
平成13年5月22日(2001.5.22) |
| 【出願番号】 |
特願平11−322388 |
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