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【発明の名称】 エックス線写真用計測具
【発明者】 【氏名】山田 唯勝

【要約】 【課題】エックス線写真上で不整咬合を表す4つの基準線の相対位置を簡単に計測することのできるエックス線写真用計測具を安価に提供する。

【解決手段】4本の計測棒2a、2b、2c、2dは4つの結合ピース1a、1b、1c、1dによって計測棒の軸方向にスライド自在に結合されている。各結合ピースは2個の回動子3、4をボルト11、ナット12によって回動自在に結合して構成されている。このように構成された計測具を患者の頭蓋骨の側面のエックス線写真上に乗せ、各計測棒が4つの基準線にそれぞれ合致するように各計測棒を動かし、すべてが合致すればその状態を保持したまま他の用紙上にトレースする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 4本の細長い計測棒と、これらの計測棒どうしを連結する4つの結合ピースを備え、個々の結合ピースは、2つの計測棒をそれぞれ軸方向にスライド自在に、且つ、これらの計測棒間の交差角度を変更自在に結合していることを特徴とするエックス線写真用計測具。
【請求項2】 上記各結合ピースは、上記計測棒を挿通させるための貫通孔をそれぞれ有する2つのブロックを回転軸で回転自在に結合してなることを特徴とする請求項1記載のエックス線写真用計測具。
【請求項3】 上記各結合ピースとそれに結合している2つの計測棒との相対位置を固定するための固定手段を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2記載のエックス線写真用計測具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、頭蓋骨のエックス線写真上において、上下歯牙列の配列方向と頭蓋骨および頚椎における観測基準点との位置関係を測定するための計測具であって、その計測結果に基づいて上下歯牙列の位置を矯正し、上下歯牙列の不整咬合に基づく病根の治癒を行なうためのものである。
【0002】
【従来の技術】人体の上顎は口蓋軟骨を介して頭蓋骨に結合されている。したがって上顎に生えている歯牙列は、先天的にまたは後天的に頭蓋骨に対して前後左右に傾斜していることが多い。また、下顎の歯牙列も下顎の顎関節円板(顎関節)の磨耗や脱臼によって上顎歯牙列に対する正しい位置からずれている場合がある。
【0003】このように上下の歯牙列が不整咬合していると、めまい、耳鳴りなどの不定愁訴や顎関節症等の種々の疾病を誘発する原因になる。
【0004】本発明者は、上下の歯牙列が正しい位置にあるか否かをエックス線写真上で簡単に測定することができる方法を見いだした。すなわち、図1に示すように、頭蓋骨の側面のエックス線写真において、上下の歯牙列の位置と頭蓋骨および頚椎における基準点との位置関係を計測するために次の4つの直線(以下基準線という)を用いる。
【0005】A−A’線−第3頚椎の後縁e3と第5頚椎e5の後縁とを結ぶ線。
B−B’線−鼻根点jと(乳様突起gと第1頚椎e1との間)を結ぶ線。
C−C’線−上顎中切歯k1の先端と上顎第5歯k5の先端を結ぶ線。
D−D’線−下顎中切歯m1の先端と顆頭(下顎頭)hの先端を結ぶ線。
【0006】そして、上記4つの基準線の交わる角度が次のようになった場合に、上下の歯牙列が頭蓋骨および頚椎に対して正しい位置にあることを経験的に把握した(図2参照)。
A−A’線とC−C’線の交点1dにおける角度αが90度、これは2足歩行の人間の安定性を示すもので、姿勢制御のための重要な目安となる。
A−A’線とB−B’線の交点1cにおける角度βが120度。
B−B’線とC−C’線の交点sにおける角度γが30度。
B−B’線とD−D’線の交点1b(h)における角度δが120度。
上記のすべての条件を満足させた場合に、三角形1b−t−1cは正三角形を形成する。
【0007】具体的な治療の場合は、角ε(1b−t−1c)が60度をなすように、上顎の歯牙平面すなわち2本の中切歯k1、k1の先端と2本の第5歯k5、k5の先端を結ぶ平面の位置(左右のエックス線写真においてC−C’線として測定できる)および下顎の位置(左右のエックス線写真においてD−D’線として測定できる)を矯正する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記4つの基準線をエックス線写真上で確定するためにエックス線写真上に直接筆記具で線を書き入れても、エックス線写真は画面が黒ずんでいるので、線が分かりにくく、その測定結果を他に利用する場合は、再度白紙に転記しなければならないという煩わしさがある。
【0009】そこで、エックス線写真上にトレシングペーパー等をあててトレースする方法も考えられるが、トレシングペーパーをあてると基準点を透過して読み取ることが困難になり、正確な基準線を書き写すのに多くの労力を費やさなければならないという欠点がある。
【0010】本発明は、エックス線写真上で上記4つの基準線の相対位置を簡単に計測することのできるエックス線写真用計測具を安価に提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明のエックス線写真用計測具は、4本の細長い計測棒と、これらの計測棒どうしを連結する4つの結合ピースを備え、個々の結合ピースは、2つの計測棒を軸方向にスライド自在に、且つ、これらの計測棒間の交差角度を変更自在に結合していることを特徴とする。
【0012】上記の結合ピースとしては、結合ピースを2個のブロックより構成し、各ブロックに設けた貫通孔に計測棒をそれぞれスライド自在に挿通し、この2つのブロックを計測棒の軸と直角をなす回転軸で回動自在に結合したものを例示することができる。
【0013】また、本発明のエックス線写真用計測具は、エックス線写真上で計測した結果を保存するために、各結合ピースにそれに結合している2つの計測棒との相対位置を固定するための手段を設けたことを特徴とする。
【0014】各結合ピースと2つの計測棒との相対位置を固定するための手段としては、各結合ピースを構成している2つのブロックどおしの接触抵抗、および各ブロックに設けた貫通孔と各計測棒の接触抵抗を高くし、その接触抵抗を人力を加えればブロック相互およびブロックと計測棒相互の相対位置を変えることができるが、弱い外力では変らないように設定すればよい。
【0015】具体的には、2つのブロックを結合する回転軸をボルトとナットで構成し、このボルトとナットの緊締圧力を調整できるようにする。各ブロックに設けた貫通孔と各計測棒とは両者が適度な接触抵抗を有するように仕上げ加工をする。
【0016】積極的な方法として、結合ピースに計測棒を固定する固定ネジを設け、この固定ネジをねじ込むことによって計測棒を圧迫固定すると同時に結合ピース以外で交わる2つの計測棒の交点を紐等で緊縛して固定する方法等が挙げられる。
【0017】
【実施例】図は本発明のエックス線写真用計測具の実施例を示すもので、図3は全体の斜視図、図4(a)は部分的拡大図、図4(b)は図4(a)のX−X線による縦断面図である。
【0018】図3、図4において、1a、1b、1c、1dは結合ピース、2a、2b、2c、2dは計測棒である。各結合ピースは2個のブロックとしての回動子3、4をボルト11、ナット12によって回動自在に結合して構成されている。各回動子はボルト11を挿通するためのボルト挿通孔5、計測棒を挿通するための計測棒挿通孔6をそれぞれ有する。
【0019】各計測棒は長さ30cm程度の金属棒で、その両端には危険防止と計測棒の結合ピースからの脱落を防止するための袋ナット21が螺合されている。
【0020】(使用方法)まず、患者の頭蓋骨の側面からのエックス線写真を撮る。エックス線写真上で、基準点としての第3頚椎の後縁e3、第5頚椎の後縁e5、鼻根点j、乳様突起g、第1頚椎e1、上顎中切歯先端k1、第5歯先端k5、下顎中切歯先端m1、顆頭先端hをそれぞれマークする。
【0021】そして、エックス線写真上でマークされた基準点k1−k5に計測棒2aを合わせる。次に、計測棒2a上で結合ピース1aをスライドさせ、結合ピース1aを基準点m1上にセットする。この状態で、計測棒2bを回動させて基準点hに合わせる。
【0022】次に、計測棒2cの一端を基準点jに他端を基準点gとe1との間に合わせる。最後に、計測棒2dが基準点e3−e5上に来るように結合ピース1cおよび1dをそれぞれ計測棒2cおよび2d上で滑動させる。かくして、図2に示すように4本の計測棒2a、2b、2c、2dがそれぞれ既定の基準点上に位置することになる。
【0023】このようにして確定された計測棒の位置は他の用紙上にトレースしたり、各計測棒の交点の角度を計測して、患者の咬合状態の正否の判定や矯正のための指針を作成するために利用する。
【0024】なお、図2の状態は正常な人の場合を表示したもので、角ε(1b−t−1c)が60度の場合が理想的である。したがって、この角度が60度になるように、上下の咬合平面を調整する。特に、計測棒2a、2cの交わる交点sの位置によって、病状を判定することができる。また、結合ピース1aの位置は歯の高さと下顎の位置を決定する重要な治療ポイントとなる。
【0025】
【発明の効果】本発明のエックス線写真用計測具は、4個の結合ピースと4本の計測棒という簡単な構成で、エックス線写真上で歯牙列矯正に必要なデータを簡単に採集することができる。
【0026】本発明のエックス線写真用計測具は、エックス線写真上の計測基準点間の相互関係を直接表示できるので、歯牙咬合上の欠点の発見や改善の効果の確認が容易となる。
【0027】本発明のエックス線写真用計測具で採取されたデータは、咬合器を使用する際の計算基礎として有効に活用できる。
【出願人】 【識別番号】594059972
【氏名又は名称】有限会社エイ・ジェイ・エス
【出願日】 平成11年9月2日(1999.9.2)
【代理人】 【識別番号】100066441
【弁理士】
【氏名又は名称】川島 順 (外1名)
【公開番号】 特開2001−70324(P2001−70324A)
【公開日】 平成13年3月21日(2001.3.21)
【出願番号】 特願平11−248214