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【発明の名称】 口腔用擦掃清拭材
【発明者】 【氏名】本 間 洋 子

【氏名】岩 田 正 明

【氏名】亀 田 清 治

【氏名】徳 本 憲 史

【要約】 【課題】短時間に口腔内の汚れ、特に歯牙表面に付着した歯垢や食物残渣などの軽微な汚れから沈着したステイン汚れまで除去することができ、しかも使用感と簡便性に優れた口腔用擦掃清拭材を得る。

【解決手段】親水性繊維と疎水性繊維とからなる繊維集合体に、1〜30重量%のエタノールと1〜15重量%の多価アルコールとを含む水性液体組成物を含浸させることにより口腔用擦掃清拭材を形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】親水性繊維と疎水性繊維とからなる繊維集合体に、1〜30重量%のエタノールと1〜15重量%の多価アルコールとを含む水性液体組成物を含浸させると共に、これらの液体組成物と繊維集合体との重量比を1.0:1.0〜3.0:1.0としたことを特徴とする口腔用擦掃清拭材。
【請求項2】上記繊維集合体における親水性繊維と疎水性繊維との混合比が20/80〜65/35であることを特徴とする請求項1に記載の口腔用擦掃清拭材。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、歯磨剤や歯刷子、あるいは水や洗面所等を必要とせず、口腔内を擦掃及び清拭するだけで、該口腔内の汚れ、特に歯牙表面に付着する歯垢や食物残渣、たばこや飲食物等に起因する外因性のステイン等を簡便に効率良く除去することができる口腔用擦掃清拭材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】口腔内の汚れや着色物質等を除去するための手段として、一般的には、研磨剤を含有する歯磨材と歯刷子との併用による物理的研磨、刷掃(ブラッシング)等が行われている。
【0003】しかしながら、歯磨剤と歯刷子とを用いてブラッシングする方法は、時間がかかる上、歯磨き後には洗口する必要があり、このために水や洗面台が必要であるという面倒さがある。そのため、外出先や朝食時などであっても歯牙表面の汚れを短時間で簡便に除去することができる方法の出現が望まれてきた。
【0004】従来、歯牙表面や口腔粘膜の汚れを短時間で簡便に除去するための清掃用具としては、指にはめ込む方式の清掃具(特開昭61−240908号、特開平1−97405号、特公昭61−46146号公報)や、極細繊維を使用した拭取り材(特開平3−176046号公報)、歯磨成分を含浸させた棒状の清掃具(特開平8−56966号、特開昭53−120956号公報)、あるいはシート、テープ状の清掃具(特開昭61−44807号、同52−87245号公報、特開平1−268624号、同2−124812号公報)、またはチューイング刷掃される歯磨材(特開平3−271216号公報)などが提案されている。
【0005】また、物理的清掃以外の方法で歯の汚れ、特に強く付着したステインを除去するため、クエン酸(特開昭63−297318号公報)、コハク酸(特開昭48−43869号公報)等の有機酸や、EDTA(特開昭51−130639号公報)、フィチン酸(特開昭56−18911号公報)等のキレート剤を歯面に付着させる方法などが提案されているが、歯牙を溶解し損傷しない範囲で使用する場合、ステインを充分に除去することは難しい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に鑑みなされたもので、その技術的課題は、口腔内を擦掃及び清拭するだけで、短時間に口腔内の汚れ、特に歯牙表面に付着した歯垢や食物残渣などの軽微な汚れから沈着したステイン汚れまで除去することができ、しかも使用感と簡便性に優れた口腔用擦掃清拭材を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、親水性繊維と疎水性繊維とからなる繊維集合体に、1〜30重量%のエタノールと1〜15重量%の多価アルコールとを含む水性液体組成物を含浸させると共に、これらの液体組成物と繊維集合体との重量比を1.0:1.0〜3.0:1.0とした擦掃清拭材が、歯垢や食物残渣などのたばこや飲食物等に由来のステイン等を除去する掃力に優れていることを見出し、本発明をなすに至ったものである。
【0008】上記構成を有する本発明の口腔用擦掃清拭材は、親水性繊維と疎水性繊維とからなる繊維集合体に含浸されている液体組成物が、擦掃の開始と共に急激かつ一時に滲出することなく、適量ずつ徐々に滲出するため、口腔内を十分擦掃及び清拭することができる。このため、たばこや飲食物に起因するステイン等の強固な汚れまでを簡便に取り除くことができ、歯磨剤や歯刷子、あるいは水や洗面所等も必要とせず、その使用感及び簡便性にも優れる。
【0009】本発明の好ましい具体的な実施態様によれば、上記繊維集合体における親水性繊維と疎水性繊維との混合比が20/80〜65/35である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る口腔用擦掃清拭材の好ましい実施形態について詳述する。この擦掃清拭材は、親水性繊維と疎水性繊維とからなる繊維集合体に、1〜30重量%のエタノールと1〜15重量%の多価アルコールとを含む水性液体組成物を含浸させると共に、これらの液体組成物と繊維集合体との重量比を1.0:1.0〜3.0:1.0としたものである。
【0011】上記液体組成物に含まれるエタノールの割合は上述したように1〜30%が好ましいが、より好ましくは3〜15%である。エタノールが1%より少ないと多価アルコールのべたつき感により使用感が悪くなる。また、30%以上あるとエタノールの刺激感が強く感じられて使用感が悪くなる場合がある。
【0012】一方、上記多価アルコールは、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールや、更には、ソルビトール、マルチトール、ラクチトール等の糖アルコールが好ましく、それらの1種又は2種以上を組み合わせて使用することもできる。中でも特に、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールはスティンの除去効果が高い。
【0013】上記液体組成物には、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、及び両性イオン界面活性剤などの、界面活性剤成分を配合することができる。
【0014】上記アニオン界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチン酸硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸ナトリウム、N−ラウロイルザルコシン酸ナトリウム、N−ミリストイルザルコシン酸ナトリウムなどのN−アシルザルコシン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、水素添加ココナッツ脂肪酸モノグリセリドモノ硫酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、N−パルミトイルグルタミン酸ナトリウムなどのN−アシルグルタミン酸塩、N−メチル−N−アシルタウリンナトリウム、N−メチル−N−アシルアラニンナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム等が用いられる。
【0015】また、上記ノニオン界面活性剤としては、ショ糖脂肪酸エステル、マルトース脂肪酸エステル、ラクトース脂肪酸エステルなどの糖脂肪酸エステル、マルチトール脂肪酸エステル、ラクチトール脂肪酸エステルなどの糖アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラルレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などのポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ラウリン酸モノ又はジエタノールアミド、ミリスチン酸モノ又はジエタノールアミドなどの脂肪酸ジエタノールアミド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン脂肪酸エステル等が好適に用いられる。
【0016】更に両性イオン界面活性剤としては、N−ラウリルジアミノエチルグリシン、N−ミリスチルジアミノエチルグリシンなどのN−アルキルジアミノエチルグリシン、N−アルキル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン、2−アルキル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリンベタインナトリウム等が使用される。
【0017】また、上記液状組成物には香料成分を配合することもできる。この香料成分としては、ペパーミント油、スペアミント油、アニス油、ユーカリ油、ウインターグリーン油、カシア油、クローブ油、タイム油、セージ油、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、カルダモン油、コリアンダー油、マンダリン油、ライム油、ラベンダー油、ローズマリー油、ローレル油、カモミル油、キャラウエイ油、マジョラム油、ペイ油、レモングラス油、オリガナム油、パインニードル油、ネロリ油、ローズ油、ジャスミン油、イリスコンクリート、アブソリュートペパーミント、アブソリュートローズ、オレンジフラワーなどの天然香料、及びメントール、カルボン、アネトール、シネオール、サリチル酸メチル、シンナミックアルデヒド、オイゲノール、チモール、リナロール、リナールアセテート、リモネン、メントン、メンチルアセテート、ピネン、オクチルアルデヒド、シトラール、プレゴン、カルビールアセテート、アニスアルデヒド等の単品香料、さらにエチルアセテート、エチルブチレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、メチルアンスラニレート、エチルメチルフェニルグリシデート、バニリン、ウンデカラクトン、ヘキサナール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブタノール、イソアミルアルコール、ヘキセノール、ジメチルサルファイド、シクロテン、フルフラール、トリメチルピラジン、エチルラクテート、エチルチオアセテート等の単品香料、及び/又は、天然香料も含む調合香料であるストロベリーフレーバー、アップルフレーバー、バナナフレーバー、パイナップルフレーバー、グレープフレーバー、マンゴーフレーバー、トロピカルフルーツフレーバー、バターフレーバー、ミルクフレーバー、フルーツミックスフレーバー等の口腔用組成物に用いられる公知の香料を使用することができる。しかし、これらの香料に限定されない。
【0018】さらに、上記液状組成物には、有効成分として、デキストラナーゼ、ムタナーゼ、リゾチーム、アミラーゼ、プロテアーゼ、溶菌酵素、スーパーオキサイドディスムターゼなどの酵素、モノフルオロリン酸ナトリウム、モノフルオロリン酸カリウムなどのアルカリ金属モノフルオロフスフェートやフッ化ナトリウム、フッ化第一錫などのフッ化物、トラネキサム酸、イプシロンアミノカプロン酸、アルミニウムクロルヒドロキシアラントイン、ジヒドロコレスタノール、グリチルリチン酸類、グリチルレチン酸、ビサボロール、イソプロピルメチルフェノール、グリセロフォスフェート、クロロフィル、グルコン酸銅、塩化ナトリウム、水溶性無菌リン酸化合物、トリクロサン、セチルピリジニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼントニウム等の1種又は2種以上を配合することができる。
【0019】また、甘味剤としては、サッカリン、アルパルテーム、ステビア、ペリラルチン等を、PH調整剤としては、クエン酸及びその塩類、リン酸及びその塩類、炭酸及びその塩類、リンゴ酸及びその塩類、酢酸及びその塩類等の有機酸及びその塩類を配合することができ、さらには、防腐剤や色素など、液体口腔用組成物に通常使用する成分を配合することもできる。
【0020】上記液体組成物を含浸させた擦掃清拭材は、液体組成物と繊維集合体との重量比が1.0:1.0〜3.0:1.0であることが好ましく、中でも1.25:1.00〜2.70:1.00の範囲が最も好ましい。上記重量比が1.0:1.0以下では、歯垢や食物残渣及びたばこや飲食物に由来するとされる外因性のスティン等が除去されにくい。逆に3.0:1.0以上では、液ダレの問題が発生する場合があって好ましくない。
【0021】また、繊維集合体を形成する繊維としては、綿、麻、絹、羊毛、パルプ等の天然繊維や、ビスコースレーヨン、キュプラ等の再生繊維が吸水性が高く、親水性繊維として使用される。一方、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリアクリル等を素材とする合成繊維は吸水性が低く、疎水性繊維として使用される。上記繊維集合体を形成する繊維には、超極細繊維、極細繊維も含み、単繊維繊度は0.001〜30デニールが好ましく、中でも0.05〜5デニールの範囲が最も好ましい。
【0022】上記繊維集合体における親水性繊維と疎水性繊維との混合重量比は、20/80〜65/35であることが好ましく、混合比がこの範囲にある場合に、含浸させた液体組成物の保持力が最も良く、清掃力にも優れる。
【0023】さらに、上記繊維集合体の坪量は、20〜300g/m の範囲にあることが好ましいが、より好ましくは40〜200g/m の範囲である。坪量が20g/m 未満では、使用時に手が汚れ易くなったり、シートが変形して汚れ除去効果が低下する。一方、坪量が300g/m を超えると、加工性が悪化したり、使用時の口腔内粘膜への刺激が大きくなり、使用性が悪くなる。
【0024】
【実施例】以下、本発明の実施例と比較例とを用いて行った歯垢除去試験及びスティン除去試験について述べるが、本発明はこの実施例に制限されるものではない。
【0025】除去試験には、ポリプロピレン/エチレンビニルアルコール共重合体製の複合繊維と親水性繊維(ビスコースレーヨン)とを異なる割合で混合した下記3種類の繊維集合体(不織布、単繊維繊度約1デニール)A,B,Cを使用した。
繊維集合体A a 複合繊維:親水性繊維=80:20繊維集合体B a 複合繊維:親水性繊維=35:65繊維集合体C a 複合繊維:親水性繊維=50:50上記各繊維集合体の坪量は100g/m 、試験用布の大きさは15cm×15cmである。
【0026】また、含浸用の液体組成物(イ)としては表1の成分のものを使用し、この液体組成物に配合する香料(ロ)としては表2の成分のものを使用し、次の方法で歯垢除去試験及びスティン除去試験を行った。その結果は表3に示す。
【0027】歯垢除去試験法歯垢清掃を48時間行っていない状態の上下顎前歯部を、繊維集合体試料で各20回ずつ払拭した。払拭前後の歯垢付着状況を目視観察することにより、除去効果を以下の4段階で評価した。
◎: 著しい歯垢除去効果が認められる○: 歯垢除去効果が認められる△: 弱い歯垢除去効果が認められる×: 殆ど歯垢除去効果が認められない【0028】ステイン除去試験法歯垢清掃後、所定本数の煙草を喫煙した状態の上下顎前歯部を、繊維集合体試料で各20回ずつ払拭した。払拭前後のタバコヤニステインの付着状況を目視観察し、除去効果を以下の4段階で評価した。
◎: 著しい除去効果が認められる○: 除去効果が認められる△: 弱い除去効果が認められる×: 殆ど除去効果が認められない【0029】
【表1】

【0030】
【表2】

【0031】
【表3】

【0032】上記の結果から分かるように、本発明の口腔用擦掃清拭材は、歯垢除去力及びステイン除去力に優れると同時に、液だれもなく使用感にも優れることが明らかである。また、歯磨剤や歯刷子、あるいは水や洗面所等も必要とせず、簡便性にも優れる。
【0033】また、表4及び表5に示すように、上述した場合とは組成の異なる液体組成物(ハ)及び香料(ニ)を使用し、同様の除去試験を行ったが、その結果も表3に示す場合と殆ど同じであった。
【0034】
【表4】

【0035】
【表5】

【0036】
【発明の効果】このように本発明の口腔用擦掃清拭材によれば、口腔内を擦掃及び清拭するするだけで、短時間に口腔内の汚れ、特に歯牙表面に付着した歯垢や食物残渣などの軽微な汚れから沈着したステイン汚れまで除去することができ、しかも使用感と簡便性に優れるという特徴がある。
【出願人】 【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
【出願日】 平成11年9月1日(1999.9.1)
【代理人】 【識別番号】100072453
【弁理士】
【氏名又は名称】林 宏 (外1名)
【公開番号】 特開2001−70323(P2001−70323A)
【公開日】 平成13年3月21日(2001.3.21)
【出願番号】 特願平11−247766