| 【発明の名称】 |
有床義歯の製作法及び補強線仮係止具 |
| 【発明者】 |
【氏名】斉藤 幸二
【氏名】久保中 秀樹
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| 【要約】 |
【課題】有床義歯の簡便な製作法及びこれに用いる補強線仮係止具を提供することである。
【解決手段】義歯(10)の床と同一の樹脂からなる補強線仮係止具18を補強線16の両端に取り付け、各補強線仮係止具18の一端20を突出露出させながら補強線16を蝋形(22)の床部(23)内に埋設し、次いで、蝋形(22)を石膏(24)に埋没させ、流蝋し、レジン重合し、石膏型(25)を解体した後、突出してる補強線仮係止具の端部20を除去して義歯(10)を製作することである。また、流蝋して形成される石膏型(25)内の空間部(26)に補強線16を保持するための部材であって、義歯の床用樹脂からなり、一端に補強線把持部30を備え、他の一端に石膏型(25)への係止部32を備えた補強線仮係止具18とされることである。また特に、補強線把持部30が環状又はフック状とされることである。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 樹脂からなる補強線仮係止具を補強線の少なくとも両端に取り付け、該各補強線仮係止具の一端を突出露出させながら該補強線を蝋型の床部内に埋設し、次いで、該蝋型を石膏に埋没させ、流蝋し、レジン重合し、石膏型を解体した後、補強線仮係止具の前記突出露出した一端を除去することを特徴とする有床義歯の製作法。 【請求項2】 前記樹脂が、レジン重合に用いられるのと同一の樹脂とされたことを特徴とする請求項1に記載する有床義歯の製作法。 【請求項3】 流蝋して形成される石膏型内の空間部に補強線を保持するための部材であって、樹脂からなり、一端に補強線把持部を備え、他の一端に石膏型への係止部を備えたことを特徴とする補強線仮係止具。 【請求項4】 前記樹脂が、義歯の床用樹脂とされたことを特徴とする請求項3に記載する補強線仮係止具。 【請求項5】 前記補強線把持部が環状又はフック状であることを特徴とする請求項2に記載する補強線仮係止具。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は合成樹脂床を備えた義歯の製作法と、これに用いる補強線仮係止具に関する。 【0002】 【発明が解決しようとする課題】合成樹脂床義歯は通常次の手順で製作される。すなわち、歯科医から提出された印象模型に基づくいわゆる試適の製作、患者との試適適合の確認、試適を基にクラスプなどを付加しての蝋形製作、蝋形の石膏への埋没、蝋形を溶かして流し出す流蝋、流蝋して形成された石膏型内の空間に樹脂を注入し固化させるレジン重合、石膏を外して義歯を取り出す石膏分割、洗浄や艶出し等の仕上げ、の手順である。 【0003】また、大形の有床義歯には強度を高めるための補強線が使用される。図8に示されるように、義歯50は主に人口歯52と床54とで構成され、補強線56は床54内に弓状に埋設されている。上述した義歯の製作手順によれば、流蝋によって床54の部分は空洞となるため、ここに予め封入されていた補強線56は所定の位置に留まることができず空洞内で落下してしまう。このため、流蝋時にも補強線56を正しい位置に保持するための工夫が必要である。。 【0004】これに対し従来は、図9〜図11に説明されるような方法が採用されてきた。すなわち、図9に示されるように、補強線56を長くしてその両端58、60を曲げておき、図10に示されるように、両端58、60を突き出した状態にして蝋形62に埋め込む。この蝋形62を、図11(a)に示されるように石膏64内に埋没し流蝋すれば、同図(b)に示されるように、両端58、60が石膏型67に埋まって係止されているので補強線56は空間部57内を落下することなく所定に位置に留まっている。レジン重合されて石膏型67が外された成形物65には、同図(c)に示されるように、補強線56の両端58、60が突出しているが、同図(d)に示されるように、両端58、60を、その根元部66と共にえぐって除去し、その跡にレジン重合で注入された樹脂と同じ樹脂を埋め込めば、同図(e)に示されるように、補強線56が覆い隠された義歯50が得られる。 【0005】本製作方法によれば所定の義歯を確実に製作できる。しかしながら、補強線56の両端58、60を、例えば、研磨などによって根元からえぐって除去する作業やバリ取り作業、また、その跡に樹脂を埋め込む作業は、非常に面倒で労力を要するので、より簡便な補強線係止方法の開発が待たれている。 【0006】そこで本発明者等は、上述した従来技術の問題点に鑑み、補強線を必要とする有床義歯の簡便な製作法について、鋭意検討を重ねた結果本発明に至ったのである。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明に係る有床義歯の製作法の要旨とするところは、樹脂からなる補強線仮係止具を補強線の両端に取り付け、各補強線仮係止具の一端を突出露出させながら補強線を蝋型の床部内に埋設し、次いで、蝋型を石膏に埋没させ、流蝋し、レジン重合し、石膏型を解体した後、突出露出した補強線仮係止具の一端を除去することにある。 【0008】さらに、かかる有床義歯の製作法において、レジン重合に用いられるのと同一の樹脂からなる補強線仮係止具が用いられることにある。 【0009】また、本発明に係る補強線仮係止具の要旨とするところは、流蝋して形成される石膏型内の空間部に補強線を保持するための部材であって、義歯の床用樹脂からなり、一端に補強線把持部を備え、他の一端に石膏型への係止部を備えたことにある。 【0010】さらに、かかる補強線仮係止具が義歯の床用樹脂からなることにある。 【0011】さらにまた、かかる補強線仮係止具において、補強線把持部がリング状又はフック状とされたことにある。 【0012】 【発明の実施の形態】次に、本発明に係る有床義歯の製作法及び補強線仮係止具の実施態様について、図面に基づいて詳しく説明する。 【0013】図1〜図3は、本発明の有床義歯製作法の一例を説明するものであるが、図1に示されるように、補強線16の両端と中程に、それぞれ補強線仮係止具18と補強線仮係止具19が取り付けられ、図2に示されるように、各補強線仮係止具18の一端20が突き出た状態で蝋形22の床部23内に埋設される。次いで、図3(a)に示されるように、この蝋形22を石膏24に埋没させ、蝋を融解して流出させれば、同図(b)に示されるように、補強線仮係止具18の一端20が石膏型25に埋まって係止されているので、補強線16は落下することなく空間部26内の所定の位置に留まっている。空間部26に床用の樹脂を注入して固化させる、いわゆるレジン重合の後、石膏型25を外して得られる成形物28には、同図(c)に示されるように、床14から補強線仮係止具18の一端20が突出しているが、この突出部分を切除することにより、同図(d)に示されるように、補強線16が覆い隠された義歯10が得られる。補強線16の中程に取り付けられた補強線仮係止具19は、補強線16の位置決めを補助するためのものであり、本発明で必ずしも使用される必要はない。 【0014】本発明の有床義歯製作法によれば、レジン重合後の成形物28から突出してる補強線仮係止具18の一端20が樹脂からなるので、この突出した部分を切除するだけで簡単に義歯10を得ることができる。したがって、従来の製作法で必要とされた、補強線端部の根元部からのえぐり取りや、えぐり取り跡の埋め戻しなどの作業が不要となり、労力や作業時間が大幅に節減される。また、補強線の両端を曲げる作業が不要になり、高価な補強線の両端を切断廃棄しなくてもよくなるメリットがある。 【0015】本発明で用いられる補強線の材質やレジン重合用樹脂の種類は特に限定されず、通常用いられているものでよい。例えば、補強線にはステンレス鋼線やコバルトクロム線などが使用され、レジン重合用樹脂にはアクリル樹脂やポリスルフォン樹脂などが使用される。また、流蝋やレジン重合なども、従来より通常採用されてきた条件に基づいて実施することができる。補強線仮係止具の材質は、通常、一般成形品に用いられるポリプロピレンやABS樹脂やポリアミド樹脂等々を使用できるが、レジン重合に用いられるのと同一の樹脂とされれば、補強線仮係止具の突出した端部20を切除した跡が残らず、外観や強度が向上するので特に好ましい。 【0016】図4は、補強線仮係止具18の形状の一例を示している。その一端に設けられた補強線把持部30は、補強線16の端部が挿入されるように円環状とされている。円環内径と補強線径とを精度良く合わせることにより、きっちり嵌合・固定させて補強線仮係止具18と補強線16とを連結させるのが簡便であるが、円環内径を補強線径より大きめとし、補強線16を挿入してから相互の位置関係を微調整し、その後床用樹脂を充填して固定することもできる。また、本例の係止部32は円柱状であるが、本発明において係止部32の形状は特に限定されない。石膏型25内に十分に埋め込まれて離脱しにくく、石膏型25が支障なく解体される形状であればよく、角柱であったり、先端が太く、あるいは細くされたりしてもよい。 【0017】図5は、環状補強線把持部30の種々の形状例を示している。環状とは円環に限らず、対向する開口部を残して閉じられた形状をいう。同図(a)では四角の穴、同図(b)では三角の穴、同図(c)では六角の穴が設けられている。また、同図(d)では斜めに偏平四角の穴が設けられていて、偏平な補強線を弓形に曲げて係止する場合などに好ましく用いられる。 【0018】図6は、フック状補強線把持部30の種々の形状例を示し、同図(a)では下方に開いた形状、同図(b)ではJ型に上方が開いた形状が示されている。また、同図(c)に示される補強線把持部30は上方に開くV型とされているので、補強線16を上方から差し込めば、補強線16の太さに合った位置でV型溝に嵌まって固定される。したがって、太さの異なる種々の補強線16に適合できるので汎用性に優れた形状である。 【0019】図7に示される補強線把持部30では、補強線16が挿入される穴の内側34がテーパー状に絞られている。このため、補強線16は広い入り口から容易に挿入することができ、その先端が突き当たる深さで確実に固定されるので、太さの異なる種々の補強線16に適合し易く汎用性に優れている。 【0020】補強線把持部30の形状は、上述した諸例に限定されず種々の形状が可能である。その中で、環状又はフック状は、環又はフック内に挿入するだけで補強線を簡単に把持できるので、本発明の特に有用な実施態様である。 【0021】以上、詳細に説明してきたが、本発明は上述の説明に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で、補強線仮係止具の材質や形状、補強線と補強線仮係止具との連結方法、蝋形への補強線埋設方法、石膏への蝋形埋没方法、流蝋条件、レジン重合条件、石膏解体方法、義歯仕上げ方法、補強線や人口歯や床用樹脂の種類などにづき種々なる改良、修正、変形を加えた態様で実施し得るものである。 【0022】本発明の実施例を以下に詳しく説明する。 【0023】実施例1図5(d)に示されるのと同様のアクリル樹脂からなる補強線仮係止具18を製作した。補強線把持部30には、断面約2.6mm×約1.1mm、長さ約3.6mmの偏平四角の穴が斜めに設けられており、係止部32は直径2.5mmの円柱状であった。補強線16には市販のステンレス鋼線(山八株式会社製、品番1340)を用いた。本ステンレス鋼線は、2本の撚線が潰されて、幅2.5mm、厚さ1.0mmの偏平形状とされたものである。補強線16を弓状に曲げ、その両端を補強線仮係止具18の補強線把持部30に挿入して、図1に示されるのと同様に、補強線仮係止具18が補強線16から略直角に立ち上がるようにして連結した。本例では、図1中に示されている補強線仮係止具19は使用されてない。 【0024】次に、図2に示されるように、補強線仮係止具18の一端20が床部23から約5mm突き出るようにして補強線16を埋め込み蝋形22を製作した。次いで、図3に示される手順により、常法によって、蝋形22を石膏24に埋没し、流蝋し、アクリル樹脂を用いてレジン重合し、石膏型25を解体した。流蝋は約100℃、レジン重合は100℃×20分で行った。石膏型5を解体して得られた成形物28から、突出した補強線仮係止具18、19の端部20を切除して義歯10を得た。 【0025】 【発明の効果】本発明に係わる有床義歯の製作法によれば、補強線仮係止具が樹脂からなるので、レジン重合後の成形物から突出してる補強線仮係止具の端部を切除するだけで簡単に義歯が得られる。また、補強線の両端を曲げる作業が不要になり、高価な補強線の両端を切断廃棄しなくてもよくなる。 【0026】特に、レジン重合に用いられるのと同一樹脂からなる補強線仮係止具が用いられれば、補強線仮係止具の突出した端部を切除した跡が残らず、外観や強度が向上する効果がある。 【0027】また、本発明に係わる補強線仮係止具によれば、一端に補強線把持部を備え、他の一端に石膏型への係止部を備えているので、補強線と連結し、係止部を露出するようにして蝋形に埋設して使用すれば、流蝋後の床部空間内の所定位置に補強線を正しく保持することができる。また、樹脂からなるので、レジン重合後の成形物から突出してる補強線仮係止具の端部を切除するだけで簡単に義歯が得られる。 【0028】特に、補強線把持部が環状又はフック状の補強線仮係止具とされれば、補強線の端部を環又はフック内に挿入するだけで補強線を簡単に把持できるので作業性が格別に改善される。
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| 【出願人】 |
【識別番号】599125124 【氏名又は名称】有限会社斉藤歯研工業所
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| 【出願日】 |
平成11年9月3日(1999.9.3) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100094248 【弁理士】 【氏名又は名称】楠本 高義 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−70320(P2001−70320A) |
| 【公開日】 |
平成13年3月21日(2001.3.21) |
| 【出願番号】 |
特願平11−249771 |
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