トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学




【発明の名称】 超音波駆動回路
【発明者】 【氏名】吉村 武浩

【要約】 【課題】超音波振動子を駆動する電気的な駆動パルスのパルス幅を理想的な状態に自動補正する。

【解決手段】超音波観測装置1内部の送信部2では、パルス発生回路3で生成した基準となる電気的パルスをパルス幅設定回路4で任意のパルス幅に設定し、パルスドライバ5、パルストランス6を経てパルスを規定電圧に増幅して出力する。送信部2の出力はパルス幅検出回路10、パルス比較回路11、パルス幅補正回路12を介し、パルス幅設定回路4を制御するパルス幅制御回路13にフィードバック接続され、パルス比較回路11にはパルステーブル14が接続されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 超音波振動子を駆動するための送信パルスを発生する発振手段と、前記発振手段から出力される前記送信パルスのパルス幅を可変するパルス幅可変手段と、前記超音波振動子に供給される前記パルス幅可変手段から出力される前記送信パルスに基づく駆動信号を生成する駆動信号生成手段と、前記駆動信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジを検出するパルス幅検出手段と、前記パルス幅検出手段で得られた検出信号と所定の基準信号とを比較する比較手段と、前記比較手段の比較結果に基づき前記パルス幅可変手段を制御するパルス幅制御手段とを備えたことを特徴とする超音波駆動回路。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は超音波駆動回路、更に詳しくは超音波駆動パルスのパルス幅制御部分に特徴のある超音波駆動回路に関する。
【0002】
【従来の技術】超音波観測装置は超音波内視鏡及び超音波プローブと接続して病変の深達度診断、臓器の実質診断等に用いられている。
【0003】この超音波内視鏡及び超音波プローブの先端には超音波振動子が内蔵されており、超音波観測装置から送信される電気 的な駆動パルスは超音波振動子によって音響的な超音波パルスに変換され、体内組織に照射される。体内からはその反射波が返ってくるため、それを超音波振動子で電気的信号に変換し、信号処理等を行って超音波断層像として表示するような仕組みになっている。
【0004】従来、この超音波振動子にはPZT(二成分系圧電セラミックスPb(Ti,Zr)O3の略)が使用されており、PZT振動子の駆動にはその周波数帯域に促したパルス幅のパルスを単波或いは数波(バースト波)送信することによって行っていた。
【0005】この理由として、PZT振動子は信号帯域が非常に狭いため、図6に示すように、駆動のパルス幅を調整してその帯域を変化させたとしても(例えば駆動周波数帯域Aから駆動周波数帯域B)、超音波内視鏡から照射される超音波パルスの周波数帯域はPZT振動子の帯域に依存したため、結局受信波形がほとんど変化せず、画像に大きな影響を及ぼさなかった。
【0006】そうは言うももの、生体には固体差(例えば、脂肪量の差)や組織によって超音波の伝播特性が違うため、適切な診断を行おうとした場合、周波数の異なるPZT振動子を内蔵した数種類の超音波内視鏡および超音波プローブを関心領域の位置や組織によって使い分ける必要があった。
【0007】このため、周波数の異なる各種超音波内視鏡および超音波プローブに応じて或る程度のパルス幅調整や波数変更をする必要はあったが、それらの調整・変更は必ずしも細かいものである必要はなかった。
【0008】一方、近年になってから、複合圧電素子を使用した広帯域振動子が登場してからは、駆動回路側での駆動パルスの帯域が無視できなくなった。超音波振動子の帯域が大幅に広がったことで、超音波内視鏡から照射される超音波の帯域が、図7に示すように、その駆動パルスの帯域に大きく依存することになった。また、振動子の感度が向上したことで、いままでPZT振動子では逃していた微小な反射波を捉えることができるようになった。結果として、駆動パルスの幅や波数で画像そのものががらりと変ることになるため、駆動部においてもそのパルス幅(周波数帯域)や波数の設定を細かく変更できるように高速クロックや高速カウンタを使用してプログラマブルにディレイラインを設定する方法等がとられると同時に駆動回路はより複雑化し部品点数が増えた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記複合圧電素子を使用した広帯域振動子の駆動においては、送信波形が複雑な形となり、また部品の個体差や劣化、使用による内部温度上昇や外部の温度変化を受け易いことから送信波形(パルス幅)が理想状態から大きく外れる可能性が増大するといった問題がある。
【0010】本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、超音波振動子を駆動する電気的な駆動パルスのパルス幅を理想的な状態に自動補正することのできる超音波駆動回路を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の超音波駆動回路は、超音波振動子を駆動するための送信パルスを発生する発振手段と、前記発振手段から出力される前記送信パルスのパルス幅を可変するパルス幅可変手段と、前記超音波振動子に供給される前記パルス幅可変手段から出力される前記送信パルスに基づく駆動信号を生成する駆動信号生成手段と、前記駆動信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジを検出するパルス幅検出手段と、前記パルス幅検出手段で得られた検出信号と所定の基準信号とを比較する比較手段と、前記比較手段の比較結果に基づき前記パルス幅可変手段を制御するパルス幅制御手段とを備えて構成される。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について述べる。
【0013】図1ないし図5は本発明の一実施の形態に係わり、図1は超音波観測装置の構成を示すブロック図、図2は図1のパルス幅設定回路の構成を示すブロック図、図3は図1のパルス幅検出回路の構成を示すブロック図、図4は図1の超音波観測装置の作用を説明する第1のタイミングチャート、図5は図1の超音波観測装置の作用を説明する第1のタイミングチャートである。
【0014】(構成)図1に示すように、本実施の形態における超音波観測装置1内部の送信部2では、パルス発生回路3で生成した基準となる電気的パルスをパルス幅設定回路4で任意のパルス幅に設定し、パルスドライバ5、パルストランス6を経てパルスを規定電圧に増幅して出力する。前記送信部2より出力された送信パルスは、分岐回路7を介し超音波観測装置1から図示しないコネクタを介して超音波内視鏡8の先端に位置する超音波振動子9に印可され、超音波パルスとなって生体内に照射される。
【0015】一方、送信部2の出力はパルス幅検出回路10、パルス比較回路11、パルス幅補正回路12を介し、送信部2内のパルス幅設定回路4を制御するパルス幅制御回路13にフィードバック接続され、パルス比較回路11にはパルステーブル14が接続されている。
【0016】生体内からの反射エコーは超音波振動子9により電気信号に変換され分岐回路7を介してバッファ15に受けた後、超音波画像処理回路16においてA/D変換後に一端メモリに格納され座標変換した後、超音波画像を生成するといった公知の超音波画像処理が行われ、超音波画像をモニタ17に表示するようになっている。
【0017】パルス幅設定回路4は、図2に示すように、複数、例えば3つのプログラマブルアナログディレイライン21a,21b,21c及びパルス合成回路22で構成され、前記パルス発生回路3の出力はプログラマブルアナログディレイライン21a,21b,21cを介するか又は直接パルス合成回路22に入力される。パルス幅制御回路13はそれぞれのプログラマブルアナログディレイライン21a,21b,21cに接続され、前記プログラマブルアナログディレイライン21a,21b,21cのディレイ量を定めるデータを生成する。
【0018】パルス幅検出回路10は、図3に示すように、分圧抵抗25で分圧し小さくなった信号をバッファ26で受けた後、その出力パルスと遅延回路27で遅延させたパルスとをEx−OR28で論理合成し、フリップフロップ29に受け渡す。前記フリップフロップ29はEx−OR28の出力パルスをパルス発生回路3内のCLK回路30(図1参照)からのクロックで同期をとって出力する。
【0019】(作用)以下、本実施の形態の作用について説明する。まず、駆動パルス生成の動作については、図4を参照して説明する。
【0020】図4に示すS1は前記パルス生成回路3の出力パルスである。S2、S3及びS4は各個ディレイ量を設定された前記プログラマブルアナログディレイライン21a,21b,21cの出力パルスであり、S1に対して経時的に遅延を生じたパルスである(図2参照)。
【0021】そして、パルス幅設定回路4のパルス合成回路22では、S2をNOT回路(図示せず)で反転し、その反転したS2とS1とをAND回路(図示せず)によって論理合成することによって、S5のごとく1波目のパルスを形成する。また、プログラマブルアナログディレイライン21b,21cを通って遅延したパルス同士(ここではS3、S4)をS1、S2と同様に論理合成することにより、S6のごとく2波目のパルスを形成する。
【0022】なお、パルス合成回路22では、合成パルスそのものを遅延すると同時にそのパルス幅の変更も可能となる。
【0023】そして、これらS5とS6とをOR回路(図示せず)でS7のごとく合成することにより、数パルスのバースト波を形成し、送信パルスとして出力する。そして、この送信パルスを受け、パルスドライバ5、パルストランス6によりS8のような駆動パルスとなる(図1参照)。
【0024】次に、パルス幅検出からパルス補正までの動作について図5を参照して説明する。ここで、図1及び図3の各部に現れるパルスを仮にS8からS14とする。
【0025】理想駆動パルスの立ち上がり及び立ち下がりのエッジを示すパルスデータS13を前記パルステーブル14に予め記録しておく。超音波振動子9に印可する駆動パルスがS8のごとくなった場合、S8は前記抵抗25で分圧されバッファ26を通過しS9のごとくなる。前記EX−OR28ではS9と前記遅延回路27で経時的に遅延したパルスS10から駆動パルスの立ち上がり及び立ち下がりのエッジ情報を出力し、これを前記フリップフロップ29でS11のごとく前記CLK回路30のクロックS12に同期した検出パルスとして前記パルス幅検出回路10より前記パルス比較回路11に出力される。
【0026】前記パルス比較回路11では、前記パルステーブル14に予め保管されていた理想のパルスデータS13をクロックS12に同期させて読み出し、前記パルス幅検出回路10の検出パルスS11とパルスデータS13と順次比較することで実際の駆動パルスと理想駆動パルスのパルス幅が比較される。
【0027】そして、実際の駆動パルスと理想駆動パルスと異なっていた場合、すなわちパルス幅が異なっていた場合、前記パルス比較回路11は、S14のごとく時間差の分かる時間差パルスを前記パルス幅補正回路12に送り、パルス幅補正回路12で理想のパルスデータS13との時間差データが演算され前記パルス幅制御回路13に出力される。
【0028】そして、前記パルス幅制御回路13では、この時間差データに基づきパルス幅設定回路4のプログラマブルアナログディレイライン21a,21b,21cの遅延設定データを書換える。その結果、超音波振動子9を駆動する駆動パルスの幅がS8’のごとく補正され、より理想のパルスとして駆動できる。
【0029】なお、図示はしないが、送信部2の周辺温度を検出する温度センサを設けると共に、パルステーブル14に任意の温度における複数の理想駆動パルスのパルスデータS13を予め格納することにより、パルス幅制御回路13が温度センサの検出温度に応じたパルステーブル14内のパルスデータS13を取り込んで上記補正を行うようにしてもよく、送信部2の周辺温度によるパルス幅の影響をより正確に補正することが可能となる。
【0030】(効果)以上説明したように、本実施の形態によれば以下のような効果が得られる。
【0031】1、超音波振動子9の駆動パルスを常に理想的な状態の保つことができる。
【0032】2、送信部2に繋がる超音波内視鏡8による駆動パルスへの影響を無くすことが可能となる。
【0033】3、プログラマブルアナログディレイラインを使用したことでパルス幅の変更や補正がプログラムの変更のみで容易である。
【0034】4、プログラマブルアナログディレイラインを使用したことで補正回路が比較的大規模にならない。
【0035】5、プログラマブルアナログディレイラインを使用したことで数nsec〜数百nsec単位でパルス幅の補正が可能となる。
【0036】[付記]
(付記項1) 超音波振動子を励振する超音波駆動回路に於いて、前記超音波振動子に印可する送信パルスのパルス幅を任意に可変できる送信部と、前記送信部に繋がり前記送信パルスのパルス幅を制御する信号を生成するパルス幅制御部と、前記送信部の出力に繋がり前記送信パルスのパルス幅を検出するパルス幅検出部と、理想的送信パルスのパルス幅データを複数保管したパルステーブルと、前記パルステーブルの前記パルス幅データと前記パルス幅検出部の出力とを経時的に比較するパルス比較部と、前記パルス比較部の出力から前記送信パルスを前記理想的送信パルスに補正する値を前記パルス幅制御部に算出するパルス幅補正部とを備えたことを特徴とする超音波駆動回路。
【0037】(付記項2) 前記送信部は、前記パルス幅制御部により任意に遅延量を設定可能な複数のプログラマブルアナログディレイラインと、前記プログラマブルアナログディレイラインの出力を合成するパルス合成部とを備えたことを特徴とする付記項1に記載の超音波駆動回路。
【0038】(付記項3) 超音波振動子を励振する超音波駆動回路に於いて、前記超音波振動子に印加する送信パルスのパルス幅を任意に可変できる送信部と、前記送信部に繋がり前記送信パルスのパルス幅を制御する信号を生成するパルス幅制御部と、前記送信部の温度を検出しその結果に対応する信号を出力する温度検出部と、任意温度による理想的送信パルスのパルス幅データを複数保管したパルステーブルと、前記温度検出部の出力に基づく前記パルステーブルの前記パルス幅データを引き出し前記パルス幅制御部に送出するパルス幅補正部とを備えたことを特徴とする超音波駆動回路。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、超音波振動子を駆動する電気的な駆動パルスのパルス幅を理想的な状態に自動補正することができるという効果がある。
【出願人】 【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス光学工業株式会社
【出願日】 平成12年6月6日(2000.6.6)
【代理人】 【識別番号】100076233
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 進
【公開番号】 特開2001−346798(P2001−346798A)
【公開日】 平成13年12月18日(2001.12.18)
【出願番号】 特願2000−169590(P2000−169590)