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【発明の名称】 異常陰影候補検出方法および再生方法並びに検出システム
【発明者】 【氏名】早乙女 滋

【氏名】志村 一男

【氏名】大久保 猛

【要約】 【課題】被写体に対して少なくとも2つの異なる方向から撮影してそれぞれ得られた2以上の画像を用いて、異常陰影候補を、より信頼性高く検出する。

【解決手段】画像間対応位置関係算出手段12により算出された両画像PCC,PMLの位置関係により、異常陰影候補検出手段11により、側面画像PCCに基づいて検出された異常陰影候補P1〜P3、および正面画像PMLに基づいて検出された異常陰影候補P4〜P6のうち、被写体の略同一位置において検出された腫瘤陰影候補P1とP4、および微小石灰化陰影候補P3とP5を、確定的な異常陰影候補として検出する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 被写体の画像に基づいて、該画像中の異常陰影候補を検出する異常陰影候補検出方法において、前記被写体の画像として、該被写体に対して互いに異なる少なくとも2つの方向から撮影してそれぞれ得られた2以上の画像を用い、前記2以上の画像について各別に前記異常陰影候補の検出処理を施し、前記2以上の画像間の、前記被写体についての各位置の対応関係を求め、前記対応関係に基づいて、前記各画像ごとにそれぞれ検出された異常陰影候補のうち、前記被写体についての略同一位置において検出された異常陰影候補のみを、確定的な異常陰影候補として検出することを特徴とする異常陰影候補検出方法。
【請求項2】 前記少なくとも2つの方向から撮影してそれぞれ得られた2以上の画像が、乳房を側面方向から撮影して得られた側面画像と、該乳房を鉛直方向から撮影して得られた正面画像との2つの画像であることを特徴とする請求項1記載の異常陰影候補検出方法。
【請求項3】 前記被写体の略同一位置において検出された異常陰影候補が、さらに同一種類の異常陰影候補である場合のみ、前記確定的な異常陰影候補として検出することを特徴とする請求項1または2記載の異常陰影候補検出方法。
【請求項4】 前記2以上の画像からそれぞれ検出された異常陰影候補のうち、前記被写体についての略同一位置において、全ての画像から検出された異常陰影候補については、その検出確信度を高めることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項に記載の異常陰影候補検出方法。
【請求項5】 請求項1から4のうちいずれか1項に記載の異常陰影候補検出方法により検出された前記確定的な異常陰影候補を、該確定的な異常陰影候補ではない異常陰影候補と識別可能に、画像再生手段により再生することを特徴とする異常陰影候補再生方法。
【請求項6】 前記2以上の画像を並べて再生することを特徴とする請求項5記載の異常陰影候補再生方法。
【請求項7】 前記画像再生手段が、その表示面上に画像を表示することにより画像を再生する画像表示手段であることを特徴とする請求項5または6記載の異常陰影候補再生方法。
【請求項8】 被写体の画像に基づいて、該画像中の異常陰影候補を検出する異常陰影候補検出手段を有する異常陰影候補検出システムにおいて、前記異常陰影候補検出手段に入力される前記被写体の画像が、該被写体に対して互いに異なる少なくとも2つの方向から撮影してそれぞれ得られた2以上の画像であり、前記2以上の画像間の、前記被写体についての各位置の対応関係を求める画像間対応位置算出手段をさらに備えるとともに、前記異常陰影候補検出手段が、前記2以上の画像について各別に検出した異常陰影候補のうち、前記画像間対応位置算出手段により求められた前記対応関係に基づいて、前記被写体についての略同一位置において検出された異常陰影候補のみを、確定的な異常陰影候補として検出するものであることを特徴とする異常陰影候補検出システム。
【請求項9】 前記少なくとも2つの方向から撮影してそれぞれ得られた2以上の画像が、乳房を側面方向から撮影して得られた側面画像と、該乳房を鉛直方向から撮影して得られた正面画像との2つの画像であることを特徴とする請求項8記載の異常陰影候補検出システム。
【請求項10】 前記異常陰影候検出手段が、前記被写体の略同一位置において検出された異常陰影候補がさらに同一種類の異常陰影候補である場合のみ、前記確定的な異常陰影候補として検出するものであることを特徴とする請求項8または9記載の異常陰影候補検出システム。
【請求項11】 前記確定的な異常陰影候補を、該確定的な異常陰影候補ではない異常陰影候補と識別可能に、前記異常陰影候補検出システムが備える画像再生手段により再生させる識別手段をさらに備えたことを特徴とする請求項8から10のうちいずれか1項に記載の異常陰影候補検出システム。
【請求項12】 前記2以上の画像を、並べて再生させるレイアウト設定手段をさらに備えたことを特徴とする請求項11記載の異常陰影候補検出システム。
【請求項13】 前記画像再生手段が、その表示面上に画像を表示することにより画像を再生する画像表示手段であることを特徴とする請求項10または12記載の異常陰影候補検出システム。
【請求項14】 前記異常陰影候補検出手段が、前記2以上の画像からそれぞれ検出された異常陰影候補のうち、前記被写体についての略同一位置において、全ての画像から検出された異常陰影候補については、その検出確信度を高めるものであることを特徴とする請求項8から13のうちいずれか1項に記載の異常陰影候補検出システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、診断用画像に基づいて異常陰影候補を検出する異常陰影候補検出方法およびその再生方法並びに異常陰影候補の検出システムに関し、詳細には、より診断性能を高めたこれらの方法およびシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より医療現場においては、患者の放射線画像を撮影し、得られた放射線画像が記録されたフイルムをシャーカステンに掛けて読影し、疾患や疾病、負傷の状態などの診断に供している。そして近年は、放射線画像を直接フイルムに露光するのではなく、一旦、放射線画像を蓄積記憶する蓄積性蛍光体シート(放射線画像変換パネル)に記憶させ、これに励起光を照射して蓄積記憶されている放射線画像に応じた光量で発光する輝尽発光光をデジタル的に読み取ってデジタル画像信号を得、その後にこのデジタル画像信号を可視画像としてフイルム等の記録媒体にプリントしたり、CRT等の画像表示装置に表示するなどによって再生することが行われるようになっている(放射線画像記録読取システム(コンピューテッド・ラジオグラフィ);特開昭55-12429号、同56-11395号、同56-11397号など)。
【0003】このような放射線画像記録読取システムによれば、デジタル画像信号に対して種々の信号処理を施すことによって、出力される可視画像の階調特性や周波数特性を、従来よりも読影に適したものとすることができ、画像による診断性能を向上させることができる。
【0004】また得られたデジタル画像信号を、コンピュータを用いて解析し、画像中に現れた腫瘤陰影や微小石灰化陰影等の異常陰影を自動的に検出することにより、画像読影者の読影熟達度が低い場合にも一定の検出レベルを確保し、診断に役立てるシステムも開発されている(異常陰影候補検出システム;特開平8-294479号等)。
【0005】このシステムは、主として乳ガン検診で得られた乳房のデジタル画像信号(マンモグラフィ)の濃度(信号値)勾配ベクトルの集中度を評価することにより画像中の腫瘤陰影の候補を自動的に検出したり、デジタル画像信号にモフォロジー演算(ダイレーション処理,イロージョン処理,オープニング処理,クロージング処理等)を施すことにより微小石灰化陰影の候補を自動的に検出するなどのアルゴリズムによって、腫瘤陰影や微小石灰化等の異常陰影の候補を検出するものであり、このシステムで検出された異常陰影候補を、マンモグラフィ上で、例えば矩形のROI(関心領域)枠でマーキングするなどしてCRTや液晶表示装置等に表示したり、診断用のフイルムにプリントすることにより診断に供することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで上述した異常陰影候補検出システムは、従来の検出システムに比べて格段に検出の確度が高められているものの、現状において100%の確度で異常陰影のみを検出することができるものではない。すなわち、ランダムに生じる放射線のノイズやその他読取時のノイズ等を完全に排除することができず、これらを異常陰影候補として誤検出することを完全に0にすることは実現することができていない。また乳腺などの正常組織・正常構造物に関しても、異常陰影候補として誤検出することを完全に0とすることはできていない。このため、医療現場においては、より一層の診断性能(検出確度)の向上が強く望まれている。
【0007】本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、特に被写体に対して互いに異なる少なくとも2つの方向から撮影してそれぞれ得られた2以上の画像を用いて異常陰影候補の検出を行う場合に、異常陰影候補を、より信頼性高く検出し、またはその検出したものを可視画像として再生することができる異常陰影候補検出方法および再生方法並びに異常陰影候補検出システムを提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の異常陰影候補検出方法および再生方法ならびに異常陰影候補検出システムは、被写体の2以上の方向から撮影して得られた2以上の画像のそれぞれから検出された異常陰影候補のうち、被写体に関しての略同一位置(撮影方向である画像の奥行き方向に関する位置を除く)においてそれぞれ検出された異常陰影候補のみを確定的な異常陰影候補として検出しまたは表示等再生することにより、異常陰影候補検出の信頼性を向上させたものである。
【0009】すなわち、マンモグラフィや胸部放射線画像、整形外科用放射線画像などのように、同一被写体に対して互いに異なる少なくとも2つの方向から撮影して画像を得る場合があるが、被写体の所定の位置に存在する真の異常陰影は、そのようにして得られた各画像中において、被写体に関する位置関係が対応するような位置で検出されるはずであり、真の異常陰影ではないノイズなどは各画像においてランダムに発生することから、被写体に関して位置関係が対応するような位置において検出される確率は極めて低いと言える。また乳腺等のように、被写体の所定の位置に現実に存在する正常組織・正常構造物であっても、その撮影方向が異なるそれぞれの画像においてその形状が異なるものとして記録されるため、1つの画像からは異常陰影候補として誤検出されたとしても、撮影方向が異なる他の画像からも誤検出されることは極めて稀であると言える。
【0010】本発明の異常陰影候補検出方法はこのような事情に基づいてなされたものであり、被写体の画像に基づいて、該画像中の異常陰影候補を検出する異常陰影候補検出方法において、前記被写体の画像として、該被写体に対して互いに異なる少なくとも2つの方向から撮影してそれぞれ得られた2以上の画像を用い、前記2以上の画像について各別に前記異常陰影候補の検出処理を施し、前記2以上の画像間の、前記被写体についての各位置の対応関係を求め、前記対応関係に基づいて、前記各画像ごとにそれぞれ検出された異常陰影候補のうち、前記被写体についての略同一位置において検出された異常陰影候補のみを、確定的な異常陰影候補として検出することを特徴とするものである。
【0011】ここで、被写体の画像に基づいて該画像中の異常陰影候補を検出する異常陰影候補検出方法としては、例えば、デジタル画像信号の濃度(信号値)勾配ベクトルの集中度を評価することにより画像中の腫瘤陰影の候補を自動的に検出したり、デジタル画像信号にモフォロジー演算(ダイレーション処理,イロージョン処理,オープニング処理,クロージング処理等)を施すことにより微小石灰化陰影の候補を自動的に検出するなどのアルゴリズムによって、腫瘤陰影や微小石灰化等の異常陰影の候補を検出する異常陰影候補検出方法(特開平8-294479号等)などを適用するのが好ましい。
【0012】確定的な異常陰影候補とは、各画像から検出された異常陰影候補のうち、より真の異常陰影である可能性が高い異常陰影候補を意味するものである。
【0013】2以上の画像間の、被写体についての対応位置関係を求めるとは、必ずしも3次元の位置関係を完全に求めることを要求するものではない。放射線投影像等の画像は3次元の被写体を2次元面上に投影したものにすぎないため、各画像からは、その画像を撮影した方向(画像の奥行き方向)に対応する次元の位置を求めることはできず、したがって、互いに異なる2方向からそれぞれ得られた2つの画像間の位置の対応関係として求めうるのは、基本的にはそれら2つの方向により規定される面に直交する方向の対応関係だけである。よって、「2以上の画像間の、被写体についての対応関係を求める」とは、このように2以上の画像のうちの各2つの画像の組においてそれぞれ求めうる、最低限1次元の対応関係を求めるものであればよい。
【0014】したがって、「被写体の略同一位置」とは、厳格に3次元空間内に存在する被写体における略同一位置というだけではなく、画像の撮影方向である画像の奥行き方向に関する位置を除いた所定の一方向の位置関係が略同一である位置をも含む意味である。なお、略同一位置とは、上記所定の一方向の位置関係が完全に同一であるだけでなく、各画像から検出された異常陰影候補が占める領域同士が隣接する程度の近傍領域の位置までは少なくとも含む意である。特に、2以上の画像が同時に撮影されたものでない場合には、撮影時の被写体の体位誤差などが生じ得るため、この略同一位置の範囲は、実験的・経験的に合理的な範囲(例えば、大きさを有する異常陰影候補の一部が重複し、あるいは隣接する程度の範囲など)で設定可能とすればよい。
【0015】少なくとも2つの方向から撮影してそれぞれ得られた2以上の画像としては、例えば乳癌検診において乳房を側面方向に挟み込んでその側面方向から撮影して得られた側面画像(Cranio-caudal view)と、この乳房を上下方向に挟み込んで鉛直方向から撮影して得られた正面画像(Medio-lateral view あるいは Medio-lateral oblique view)や他にも胸部の正面画像(この正面画像は、体の前後方向から得られた画像を意味する)および側面画像の2つの画像等が挙げられる。上記乳房を被写体とした画像(マンモグラフィ)を適用した場合には、異常陰影像に他の陰影像が重なることが少なく、また、胸壁やニップル等の像を利用して、画像間の対応位置を求めるのが容易であるため、本発明の異常陰影候補検出方法の効果をより効果的に発揮させることができる。なおマンモグラフィは、上述したように乳房を圧迫して撮影を行なうため、撮影方向ごとに圧迫方向が変化し、この圧迫方向の変化による影響で、乳房の変形状態が撮影方向ごとに変化する可能性もあり、そのような場合には、必ずしも、胸壁やニップル等の基準位置から異常陰影候補までの距離(所定の方向に沿った距離を含む)が、両画像間で対応しなくなり得る。このような場合は、2つの基準位置(例えば上記胸壁とニップル)からの各距離の比が略同一の場合は、位置関係が対応しているものと判定し、比が略同一でない場合は、位置関係が対応していないと判定するなど、必ずしも距離という物理量だけでなく、その物理量の比に基づいて両画像の位置関係を対応させてもよい。
【0016】本発明の異常陰影候補検出方法としては、被写体の略同一位置において検出された異常陰影候補が、さらに同一種類の異常陰影候補である場合のみ、確定的な異常陰影候補として検出するのが好ましい。異常陰影候補の検出に際し、その異常陰影候補の種類まで検出可能な異常陰影検出方法によれば、例え被写体の略同一位置において異常陰影候補が検出されたとしても、その検出された異常陰影候補が異なる種類のものであれば、被写体の略同一位置において検出された異常陰影候補とはいえないからである。すなわち2方向から撮影して得られた2つの画像からそれぞれ検出された異常陰影候補が、それぞれの画像中における被写体の略同一位置に対応した位置において検出された場合であっても、一方の画像における異常陰影候補が例えば腫瘤陰影候補を示すものであり、他方の画像における異常陰影候補が微小石灰化陰影候補である場合には、それらの候補を確定的な異常陰影候補としては検出しないようにするものである。
【0017】なお、本発明の異常陰影候補検出方法においては、2以上の画像からそれぞれ検出された異常陰影候補のうち、被写体についての略同一位置において、これら2以上の画像の全てから検出された異常陰影候補については、その検出確信度を高めるようにしてもよい。
【0018】本発明の異常陰影候補の再生方法は、上述した本発明の異常陰影候補検出方法を利用するものであり、当該異常陰影候補検出方法により検出された確定的な異常陰影候補を、該確定的な異常陰影候補ではない異常陰影候補と識別可能に、画像再生手段により再生することを特徴とするものである。
【0019】ここで再生するとは、CRTや液晶表示装置等の画像表示装置の表示面に表示し、あるいはレーザープリンター等の印刷装置によりフイルム等の記録媒体に出力することなど、可視画像として再生することを意味するものである。
【0020】なお、確定的な異常陰影候補を確定的な異常陰影候補ではない異常陰影候補と識別可能に再生するとは、確定的な異常陰影候補とともに確定的な異常陰影候補ではない異常陰影候補をも常に再生することを要求する意ではない。すなわち、確定的な異常陰影候補のみを再生し、確定的な異常陰影候補ではない異常陰影候補を再生しなくてもよい。少なくともどの異常陰影候補が、確定的な異常陰影候補であるかを読影者に認識させるように再生することが目的だからである。
【0021】再生に際しては、上記異なる方向から撮影して得られた2以上の画像を並べて再生するのが好ましい。読影者に対して一目で異常陰影候補の対応関係を把握させることができるからである。
【0022】なお、画像再生手段として、その表示面上に画像を表示することにより画像を再生する画像表示手段を適用した場合、オンデマンドで画像のレイアウト等を容易に、しかも高速に変更することができる。
【0023】本発明の異常陰影候補検出システムは、上記本発明の異常陰影候補検出方法または異常陰影候補再生方法を実施するためのシステムであって、被写体の画像に基づいて、該画像中の異常陰影候補を検出する異常陰影候補検出手段を有する異常陰影候補検出システムにおいて、前記異常陰影候補検出手段に入力される前記被写体の画像が、該被写体に対して互いに異なる少なくとも2つの方向から撮影してそれぞれ得られた2以上の画像であり、前記2以上の画像間の、前記被写体についての各位置の対応関係を求める画像間対応位置算出手段をさらに備えるとともに、前記異常陰影候補検出手段が、前記2以上の画像について各別に検出した異常陰影候補のうち、前記画像間対応位置算出手段により求められた前記対応関係に基づいて、前記被写体についての略同一位置において検出された異常陰影候補のみを、確定的な異常陰影候補として検出するものであることを特徴とするものである。
【0024】上記少なくとも2つの方向から撮影してそれぞれ得られた2以上の画像としては、乳房を側面方向から撮影して得られた側面画像と、該乳房を鉛直方向から撮影して得られた正面画像との2つの画像を適用するのが好ましい。
【0025】異常陰影候検出手段としては、被写体の略同一位置において検出された異常陰影候補がさらに同一種類の異常陰影候補である場合のみ、確定的な異常陰影候補として検出するものとするのが好ましい。
【0026】確定的な異常陰影候補を、確定的な異常陰影候補ではない異常陰影候補と識別可能に、異常陰影候補検出システムが備える画像再生手段により再生させる識別手段をさらに備えたものとするのがより好ましく、この場合、以上の画像を、並べて再生させるレイアウト設定手段をさらに備えたものとするのが望ましい。
【0027】なお、画像再生手段として、その表示面上に画像を表示することにより画像を再生する画像表示手段を適用するのが好ましい。
【0028】また本発明の異常陰影候補検出システムにおいては、異常陰影候補検出手段が、2以上の画像からそれぞれ検出された異常陰影候補のうち、被写体についての略同一位置において、これら2以上の画像の全てから検出された異常陰影候補については、その検出確信度を高めるものとしてもよい。
【0029】
【発明の効果】本発明の異常陰影候補検出方法および再生方法、並びに異常陰影候補検出システムによれば、被写体の2以上の方向から撮影して得られた2以上の画像のそれぞれから検出された異常陰影候補のうち、被写体の略同一位置においてそれぞれ検出された異常陰影候補のみを確定的な異常陰影候補として検出し、さらにこの確定的な異常陰影候補として表示等再生することにより、異常陰影候補検出の信頼性を向上させ、診断性能を向上させることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の異常陰影候補検出方法および再生方法並びに異常陰影候補検出システムの具体的な実施の形態について図面を用いて説明する。
【0031】図1は本発明の異常陰影候補検出方法を利用した本発明の異常陰影候補再生方法を実施する異常陰影候補検出システム10の一実施形態を示すブロック図、図2は図1に示した実施形態の異常陰影候補検出システム10により、異常陰影候補を検出し、再生しようとする処理対象のマンモグラフィを示す図であり、同図(1)は、乳房を側面方向に挟み込んでその側面方向から撮影して得られた側面画像PCC、同図(2)は当該乳房を上下方向に挟み込んで鉛直方向から撮影して得られた正面画像PMLである。
【0032】図示の異常陰影候補検出システム10は、上記各マンモグラフィPCC,PMLにそれぞれ基づいて、各別にこれらマンモグラフィPCC,PML中の異常陰影候補(本実施形態においては、腫瘤陰影候補および微小石灰化陰影候補)をそれぞれ検出し、これら各別に検出した異常陰影候補のうち、後述する画像間対応位置算出手段12により求められた位置の対応関係に基づいて、被写体(乳房)の略同一位置において検出された同一種類の異常陰影候補(上記腫瘤陰影候補同士または微小石灰化陰影候補同士)のみを、確定的な異常陰影候補として検出する異常陰影候補検出手段11と、これら2つのマンモグラフィPCC,PML間の、現実の被写体(乳房)についての各位置の対応関係を求める画像間対応位置算出手段12と、検出された異常陰影候補等を表示面上に可視像として表示する画像表示手段15と、検出された異常陰影候補等を診断用のフイルムに可視像としてプリントするレーザープリンター16と、これら画像表示手段15およびレーザープリンター16により可視像を再生するに際して、その再生のレイアウトを設定するレイアウト設定手段13および検出された確定的な異常陰影候補とそうではない異常陰影候補を識別可能に再生させる識別手段14とを備えた構成である。
【0033】異常陰影候補検出手段11による異常陰影候補の検出は、例えば特開平8-294479号等により開示された、マンモグラフィPCCおよびPMLをそれぞれ表す各デジタル画像信号PCC,PML(説明の煩雑化を避けるため、画像信号も画像Pと同一符号で表す)の濃度勾配ベクトルの集中度をそれぞれ評価することにより各マンモグラフィPCC,PML中の腫瘤陰影候補をそれぞれ自動的に検出し、また各デジタル画像信号PCC,PMLにモフォロジー演算を施すことにより微小石灰化陰影の候補をそれぞれ自動的に検出するアルゴリズムにより実現されている。
【0034】画像間対応位置算出手段12は、入力された両マンモグラフィPCC,PMLについて、対応位置の基準となる画像部分(例えば、ニップルPN や胸壁PK など)を検出し、このニップルPN 若しくは胸壁PK の位置を基準として、図2における左右方向(被写体である乳房において前後方向)における両マンモグラフィPCC,PMLの対応位置関係を求める処理をなす。基準となる部分の検出は、その画像部分の形態的特徴や、全体画像中における出現位置の特徴などに応じて種々の検出方法を適用して検出すればよく、上述した例えばニップルPN の場合は、各マンモグラフィPCC,PMLにおいて乳房の輪郭中それぞれ最右端に出現するという特徴に基づいて、エッジ検出処理等を適用して簡単に求めることができる。胸壁PK は、放射線画像において乳房と明確に濃度差があるため、胸壁PK と乳房との境界線を濃度差に基づいてエッジ検出処理等を適用して簡単に求めることができる。
【0035】そして異常陰影候補検出手段11が、この画像間対応位置算出手段12により求められた対応位置関係に基づいて、ニップルPN から図示左右方法の略同一位置において検出された同一種類の異常陰影候補のみを、確定的な異常陰影候補として検出する作用をなすのである。なお略同一位置か否かは、厳密な同一位置からの許容範囲を予め定めておき、その許容範囲内の場合は略同一位置であるとし、許容範囲を外れた場合は略同一位置ではないと判定するようにすればよい。このような許容範囲は被写体となった患者の年齢や体型、異常陰影候補の種類ごとに設定してもよい。
【0036】レイアウト設定手段13は、画像表示手段15およびレーザープリンター16により可視像を再生するに際して、側面画像PCC(検出された異常陰影候補を含む)と正面画像PML(検出された異常陰影候補を含む)とを並べて、しかもこれらの画像PCC,PML中において、検出された異常陰影候補を矩形枠で囲って、画像表示手段15の単一の表示面上に表示させ、かつ単一のフイルムに出力させるように、画像表示手段15およびレーザープリンター16による画像再生のレイアウトを設定する。なおこのレイアウト設定手段13は、別途、医師等の画像読影者からの要求に応じて他のレイアウトで画像を再生させるような機能を有するものであってもよい。
【0037】また識別手段14は、異常陰影候補検出手段11により検出された確定的な異常陰影候補を、この確定的な異常陰影候補ではない他の異常陰影候補と識別可能に、画像表示手段15およびレーザープリンター16による画像再生をさせるものである。具体的には、レイアウト設定手段13により設定された矩形枠を、確定的な異常陰影候補については実線の矩形枠とし、他の異常陰影候補については破線の矩形枠として再生させるものである。なお、実線と破線とで識別させる外、画像表示手段やレーザープリンターがカラーで画像を再生可能なものである場合は、矩形枠の色を異なるものとすることによって識別させるようにしてもよい。また、レイアウト設定手段13が、矩形枠により異常陰影候補を明示するのではなく、例えば矢印等によりこれら異常陰影候補を指し示す態様の場合は、この矢印等を色違いの矢印等にしてもよい。なお究極的には、確定的な異常陰影候補のみを再生させ、確定的な異常陰影候補ではない他の異常陰影候補を再生させないことにより、これら確定的なものと確定的でないものとを識別させるものであってもよい。
【0038】次に本実施形態の異常陰影候補検出システムの作用について説明する。
【0039】まず、図2に示すような、同一被写体についての2つのマンモグラフィPCCおよびPMLが異常陰影候補検出手段11に入力される。異常陰影候補検出手段11は入力された2つのマンモグラフィPCCおよびPMLをそれぞれ表すデジタル画像信号PCCおよびPMLのそれぞれに対して各別に、濃度勾配ベクトルの集中度をそれぞれ評価することにより、マンモグラフィPCC中の腫瘤陰影候補P1およびマンモグラフィPML中の腫瘤陰影候補P4,P6をそれぞれ自動的に検出し、さらに各デジタル画像信号PCC,PMLにモフォロジー演算を施すことにより、マンモグラフィPCC中の微小石灰化陰影候補P2,P3およびマンモグラフィPML中の微小石灰化陰影P5をそれぞれ自動的に検出する。
【0040】続いて、これらのデジタル画像信号PCC,P1〜P3およびPML,P4〜P5が、画像間対応位置算出手段12に入力され、画像間対応位置算出手段12は、両マンモグラフィPCC,PMLについて、対応位置の基準となるニップルPN の位置を検出し、このニップルPN の位置を基準として、図2における左右方向における両マンモグラフィPCC,PMLの対応位置関係を求める。
【0041】そして異常陰影候補検出手段11は、この画像間対応位置算出手段12により求められた両マンモグラフィPCC,PMLの対応位置関係に基づいて、各マンモグラフィPCC,PMLにおいてそれぞれ各別に検出された異常陰影候補P1〜P3,P4〜P6の各位置を、図3(1),(2)に示すようにニップルPN からの各距離L1〜L3,L4〜L6として求め、両画像PCC,PML間において同一種類の異常陰影候補であって略同一距離にあるもの(本実施形態においては、L1≒L4である腫瘤陰影候補P1,P4、およびL3≒L5である微小石灰化陰影候補P3,P5)を、確定的な異常陰影候補として検出する。
【0042】すなわち両画像PCC,PML間で略同一位置において同一種類の異常陰影候補として出現している(検出された)ものは、本来同一の異常陰影を示すものであり、真の異常陰影である蓋然性が高いことから確定的な異常陰影候補とし、一方、画像PCC,PML間で略同一位置に出現していない異常陰影候補または同一位置に出現しているものの種類が異なる異常陰影候補は、真の異常陰影である蓋然性が低く、誤検出の可能性も高いと考えられることから、あくまで単なる「候補」とするものである。
【0043】このように、確定的な異常陰影候補として検出された腫瘤陰影候補P1,P4および微小石灰化陰影候補P3,P5、および他の異常陰影候補P2,P6並びにマンモグラフィPCC,PMLはレイアウト設定手段13に入力され、レイアウト設定手段13は、各マンモグラフィPCC,PML中において、検出された各腫瘤陰影候補P1,P4,P6を2重の矩形枠で囲い、微小石灰化陰影候補P2,P3,P5を1重の矩形枠で囲うとともに、これら異常陰影候補が矩形枠で囲われた側面画像PCCと平面画像PMLとを並べて、画像表示手段15の単一の表示面上に表示させ、かつ単一のフイルムに出力させるように、画像表示手段15およびレーザープリンター16による画像再生のレイアウトを設定する。
【0044】次いで、識別手段14が、上述したレイアウト設定手段13により設定されたレイアウトのマンモグラフィPCC,PML中の異常陰影候補P1〜P6のうち、異常陰影候補検出手段11により確定的な異常陰影候補として検出された腫瘤陰影候補P1とP4については、これらを囲う矩形枠を実線の2重枠R1とし、確定的な異常陰影候補として検出された微小石灰化陰影候補P3とP5については、これらを囲う矩形枠を実線の1重枠R2とし、確定的な異常陰影候補ではない腫瘤陰影候補P6については、これらを囲う矩形枠を破線の2重枠R4とし、確定的な異常陰影候補ではない微小石灰化陰影候補P2については、これらを囲う矩形枠を破線の1重枠R3として、確定的な異常陰影候補とそうでない異常陰影候補とを識別する。
【0045】そしてこのように確定的な異常陰影候補とそうでない異常陰影候補とが識別されて上述したようにレイアウトされたマンモグラフィPCC,PMLは、画像表示手段15およびレーザープリンター16にそれぞれ入力される。
【0046】画像表示手段15は入力されたマンモグラフィPCC,PMLを、確定的な異常陰影候補P1,P4,P3,P5とそうでない異常陰影候補P2,P6とが識別され、かつ設定されたレイアウトで、図4に示すように、その表示面上に表示する。一方、レーザープリンター16も、画像表示手段15の表示面に表示されたレイアウトで、かつその確定的な異常陰影候補P1,P4,P3,P5とそうでない異常陰影候補P2,P6とが識別された態様(図4と同様)で、単一の診断用フイルムに、マンモグラフィPCC,PMLをプリントする。
【0047】この結果、画像表示手段15の画像表示面に表示され、またはフイルムにプリントされたマンモグラフィPCC,PMLを観察読影する医師等の読影者に対して、検出された異常陰影候補P1〜P6のうち、真の異常陰影の蓋然性が高いと考えられる確定的な異常陰影候補P1,P4,P3,P5に対してより読影意識を傾注させるようにすることができるため、異常陰影候補の検出精度向上による診断性能の向上が図られる。
【0048】また本実施形態の異常陰影候補検出システムによれば、画像表示面およびフイルムに、撮影方向が相異なる2つのマンモグラフィPCC,PMLが並ぶように再生されるため、読影者に対して一目で、確定的でない異常陰影候補も含めて、検出された異常陰影候補の検出位置関係を把握させることができるため、この点においても診断性能の向上を図ることができる。
【0049】なお本実施形態の異常陰影候補検出システムによれば、このように2つのマンモグラフィPCC,PMLが並ぶように再生されるが、本発明の異常陰影候補再生方法および異常陰影候補検出システムにおいては、この態様に限定されるものではなく、少なくとも確定的な異常陰影候補とそうでない異常陰影候補とを識別して再生するものであれば、両マンモグラフィPCC,PMLを各別に再生してもよく、さらに画像表示手段15においては、読影者の要求に応じてまたは自動的にこれらを順次切り換えて表示するようにしてもよい。
【0050】また本実施形態の異常陰影候補検出システムにおいては、画像のニップルPNの位置を基準位置としたが、図5に示すように、乳房と胸壁PK との境界線を基準位置として各異常陰影候補P1〜P6の位置関係を求めるようにしてもよいし、ニップルPN から各異常陰影候補P1〜P6までの距離と胸壁PK から各異常陰影候補P1〜P6までの距離との比に基づいて、両画像間の異常陰影候補の位置関係を求めるようにしてもよい。このように比に基づいて位置関係を求めるのは、特に乳房の圧迫撮影においては、撮影方向ごとに圧迫度が異なる場合があり、絶対的な距離に基づいた両画像の位置関係が、必ずしも対応しなくなることが考えられるからである。
【0051】さらに、本実施形態の異常陰影候補検出システムにおいては、画像間対応位置関係算出手段12が、検出された異常陰影候補の位置のみについて対応関係を算出するものとして説明したが、図6に示すように、両画像PCCおよびPMLの全体の位置関係を予め算出しておき、異常陰影候補検出手段11は、異常陰影候補を検出したのち、画像間対応位置関係算出手段12により算出された位置関係に基づいて、検出された異常陰影候補のうち確定的な異常陰影候補を絞り込むようにしてもよい。
【0052】本発明の異常陰影候補検出方法やこの検出方法を実施する異常陰影候補検出システムおいては、上述した実施形態における、マンモグラフィPCC,PMLの再生時のレイアウトや、再生時の、確定的な異常陰影候補とそうでない異常陰影候補との識別まで行なうものである必要はなく、例えば、上述した異常陰影候補検出手段11と画像間対応位置関係算出手段12とからなる構成のみによって、確定的な異常陰影候補を検出して、その検出された確定的な異常陰影候補の存在位置(検出位置)等を、単に数値情報としてデータ出力する態様(可視データとして表示装置やプリンターを用いて出力する態様に限定されず、不可視のデータとして記憶装置等に出力する態様を含む)を行うものであってもよく、付加的に、確定的な異常陰影候補とそうでない異常陰影候補とを識別した、それらの存在位置に対応した数値情報等としてデータ出力するものであってもよい。
【出願人】 【識別番号】000005201
【氏名又は名称】富士写真フイルム株式会社
【出願日】 平成12年6月8日(2000.6.8)
【代理人】 【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史 (外1名)
【公開番号】 特開2001−346786(P2001−346786A)
【公開日】 平成13年12月18日(2001.12.18)
【出願番号】 特願2000−172229(P2000−172229)