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【発明の名称】 放射線カセッテおよびその製造方法
【発明者】 【氏名】中條 正和

【要約】 【課題】簡単な工程および構成で、平板部材に一体成形される樹脂製枠部の変形を阻止し、高品質な放射線カセッテを得ることを可能にする。

【解決手段】筐体14は、外部から放射線が照射される平板部材24と、前記平板部材24の内面端縁部に配置される金属板部材26a〜26cと、前記金属板部材26a〜26cを埋設して前記平板部材24の端部24a〜24dに一体成形される樹脂製枠部28a〜28dとを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】放射線画像記録担体を収容する筐体と、少なくとも前記筐体の一部分に開閉自在に装着される蓋体を有し、前記放射線画像記録担体を光密に保持する遮光板と、を備えるとともに、前記筐体は、外部から放射線が照射される平板部材と、前記平板部材の内面端縁部に配置される金属板部材と、前記金属板部材を埋設して前記平板部材の端部に一体成形される樹脂製枠部と、を備えることを特徴とする放射線カセッテ。
【請求項2】請求項1記載の放射線カセッテにおいて、前記金属板部材は、断面L字状に設定されることを特徴とする放射線カセッテ。
【請求項3】請求項1または2記載の放射線カセッテにおいて、前記平板部材は4つの端部を有し、前記放射線画像記録担体の取り出し用開口部を構成する1つの端部を除く他の3つの端部に、前記金属板部材を埋設して前記樹脂製枠部が一体成形されることを特徴とする放射線カセッテ。
【請求項4】請求項1記載の放射線カセッテにおいて、前記遮光板の端部には、前記筐体側に折り曲げられる折り部が設けられるとともに、前記折り部の内面側には、補強用金属部材が取り付けられることを特徴とする放射線カセッテ。
【請求項5】放射線画像記録担体を収容する筐体と、少なくとも前記筐体の一部分に開閉自在に装着される蓋体を有し、前記放射線画像記録担体を光密に保持する遮光板とを備える放射線カセッテの製造方法であって、外部から放射線が照射される平板部材の内面端縁部に金属板部を配置する工程と、前記金属板部材を埋設して前記平板部材の端部に樹脂製枠部を一体成形することにより、前記筐体を製造する工程と、を有することを特徴とする放射線カセッテの製造方法。
【請求項6】請求項5記載の方法において、前記樹脂製枠部が一体成形された後、前記筐体に変形が発生した際には、前記金属板部材にプレス処理を施して該筐体の変形を修正する工程を有することを特徴とする放射線カセッテの製造方法。
【請求項7】請求項5または6記載の方法において、前記金属板部材は、断面L字状に設定されることを特徴とする放射線カセッテの製造方法。
【請求項8】請求項5乃至7のいずれか1項に記載の方法において、前記平板部材は4つの端部を有し、前記放射線画像記録担体の取り出し用開口部を構成する1つの端部を除く他の3つの端部に、前記樹脂製枠部が一体成形されることを特徴とする放射線カセッテの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、放射線画像記録担体を収容する筐体と、少なくとも前記筐体の一部分に開閉自在に装着される蓋体を有し、前記放射線画像記録担体を光密に保持する遮光板とを備える放射線カセッテおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、蓄積性蛍光体(輝尽性蛍光体)を利用して、人体等の被写体の放射線画像情報を一旦記録し、この放射線画像情報を写真フイルム等の写真感光材料等に再生し、あるいはCRT等に可視像として出力させるシステムが知られている。
【0003】蓄積性蛍光体は、放射線(X線、α線、γ線、電子線、紫外線等)の照射によりこの放射線エネルギの一部を蓄積し、後に可視光等の励起光の照射によって、蓄積されたエネルギに応じて輝尽発光を示す蛍光体をいう。この蓄積性蛍光体は、通常、シート状に構成されて蓄積性蛍光体シートとして使用されている。
【0004】一方、人体等の被写体に放射線、例えば、X線を照射してこの被写体の放射線画像情報を写真フイルムに直接記録する作業が行われている。そして、この写真フイルムに現像処理が施されることにより可視画像が得られ、この可視画像を使用して医療診断等がなされている。
【0005】上記の蓄積性蛍光体シートや写真フイルム等の放射線画像記録担体は、通常、1枚ずつカセッテに収容された状態で撮影装置に装填され、このカセッテを通して前記放射線画像記録担体にX線が照射されている。
【0006】この種のカセッテでは、X線が照射される表板全体を一体成形しようとすると、異物の混入や強度上の問題およびX線透過率の低下等の不具合が生じていた。このため、通常、平板部分を、例えば、カーボン板やアルミニウム板等により形成し、4辺の枠部材がプラスチック等を用いたインサート成形により構成されるカセッテが知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のカセッテでは、プラスチック等の樹脂により枠部材を成形する際に成形収縮が発生し易く、4辺に反り(変形)が惹起されるという問題が指摘されている。特に、大寸法のカセッテでは、この種の反りが相当に大きなものとなってしまい、不良品となるおそれが多い。そこで、反りの発生が少ない樹脂、例えば、ガラス繊維等を含有した樹脂を用いて成形することも考えられるが、この種の樹脂では、外観品質に劣るという問題がある。
【0008】本発明はこの種の問題を解決するものであり、簡単な構成および工程で、変形のない高品質な放射線カセッテおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る放射線カセッテおよびその製造方法では、筐体を構成する平板部材の内面端縁部に金属板部材が配置されるとともに、この金属板部材を埋設して前記平板部材の端部に樹脂製枠部が一体成形される。このため、樹脂製枠部の成形収縮による変形を、金属板部材を介して有効に阻止することができる。しかも、筐体に変形が発生した際には、金属板部材にプレス処理を施すことにより、前記筐体の変形を容易かつ確実に修正することが可能になる。
【0010】また、金属板部材は、断面L字状に設定されており、樹脂製枠部の成形収縮に対して前記金属板部材の変形を有効に回避することができる。これにより、簡単な構成で、筐体に変形が発生することを確実に阻止することが可能になる。
【0011】さらに、平板部材には、放射線画像記録担体に取り出し用開口部を構成する1つの端部を除く他の3つの端部に、金属板部材を埋設して樹脂製枠部が一体成形される。このため、樹脂製枠部の成形処理が、単一の工程で、簡単かつ短時間に遂行され、放射線カセッテ全体の製造工程の効率化が容易に図られる。
【0012】さらにまた、遮光板の端部には、筐体側に折り曲げられる折り部が設けられるとともに、この折り部の内面側には、補強用金属部材が取り付けられている。従って、放射線カセッテ全体の強度が有効に向上し、相当な荷重が付与されても前記放射線カセッテ全体の変形を確実に阻止することが可能になる。
【0013】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施形態に係る放射線カセッテ10の分解斜視説明図であり、図2は、前記放射線カセッテ10の斜視説明図である。
【0014】放射線カセッテ10は、蓄積性蛍光体シート(放射線画像記録担体)12を収容する筐体14と、前記筐体14の一部分に開閉自在に装着される蓋体16を有し、前記蓄積性蛍光体シート12を光密に保持する遮光板18と、前記蓄積性蛍光体シート12の放射線照射面12aとは反対側の裏面12b全面を覆って前記筐体14内に配設されるとともに、前記蓋体16側に延在する自由端20aを有する鉛シート20と、一端が前記蓋体16の裏面側に固定され、他端が前記鉛シート20と前記蓄積性蛍光体シート12の間に介装されて前記筐体14内に配置されるガイドシート22とを備える(図1乃至図3参照)。
【0015】図1および図4に示すように、筐体14は、外部から放射線が照射される、例えば、カーボン板で構成される平板部材24と、この平板部材24の4つの端部24a、24b、24cおよび24dの中、蓄積性蛍光体シート12の取り出し用開口部25を構成する1つの端部24aを除く他の3つの端部24b〜24dの内面端縁部に配置される金属板部材26a、26bおよび26cと、前記金属板部材26a〜26cを埋設して前記平板部材24の端部24a〜24dに一体成形される樹脂製枠部28a、28b、28cおよび28dとを備える。
【0016】図4および図5に示すように、金属板部材26a〜26cは、例えば、SUS材やアルミニウム材等の金属板を断面L字状に屈曲させて構成しており、平板部材24の面に対して両面接着テープ等により仮付けされている。この金属板部材26a〜26cの平板部材24に載置される底面部には、孔部や切り欠き部等の開口部30が複数形成されている。
【0017】金属板部材26a、26cは、平板部材24の長手方向の端部24b、24dに沿って延在する長尺状に構成される一方、金属板部材26bは、前記平板部材24の短手方向の端部24cに沿って延在する短尺状に構成されている。金属板部材26bの両端部は、金属板部材26a、26cの端部に当接支持可能である。
【0018】図1および図2に示すように、枠部28b、28dの先端側(枠部28a側)には、蓋体16を固定するためのロック手段32a、32bが設けられるとともに、前記枠部28b、28dの先端には、前記ロック手段32a、32bを解除するための押圧ピン挿入用孔部34a、34bが形成される。
【0019】遮光板18は、筐体14の上部を閉塞するとともに、図示しないストッパピン等を介してこの筐体14に着脱自在に装着されている。遮光板18には、ヒンジ部36を介して蓋体16が一体的に設けられており、この蓋体16が筐体14に開閉可能に装着される。蓋体16には、バーコード読み取り用窓部38が形成されるとともに、この蓋体16には、操作者自身によりロック手段32a、32bを解除可能なロック解除用ノブ40a、40bが進退自在に装着される。蓋体16の裏面には、ロック手段32a、32bに係合自在なロック爪42a、42bが形成される。
【0020】図1および図3に示すように、遮光板18の3つの端部には、筐体14側に折り曲げられる折り部44a、44bおよび44cが設けられるとともに、この折り部44a〜44cの内面側には、補強用金属板(金属部材)46a、46bおよび46cが取り付けられる。金属板46a〜46cは、折り部44a〜44cの内面に膨出形成される複数の突起部48が前記金属板46a〜46cに形成されている複数の孔部50に挿入されることにより支持されている。金属板46a〜46cは、高強度材料、例えば、SUSのばね鋼により構成されており、所定の荷重を十分に受け得る構造となっている。
【0021】図1に示すように、鉛シート20の自由端20a側には、蓋体16の窓部38に対応して開口部52が形成される。ガイドシート22は、樹脂シート、例えば、PP(ホリプロピレン)シートで構成されており、蓋体16の裏面に固着される一端54には、窓部38に対応して切り欠き部56が形成される。ガイドシート22の筐体14側に折り返された部分には、窓部38に対応して開口部60が形成される。
【0022】このように構成される放射線カセッテ10を製造する方法について、以下に説明する。
【0023】まず、図5に示すように、カーボン板等からなる平板部材24を用意し、この平板部材24の3つの端部24b、24cおよび24dに対応してそれぞれ断面L字状の金属板部材26a、26bおよび26cが両面接着テープ等の接着手段を介して仮付けされる。次いで、図6に示すように、金属板部材26a〜26cが仮付けされた平板部材24は、射出成形機70内に配置され、この射出成形機70に設けられている複数のゲート72からキャビテイ(図示せず)に溶融樹脂が充填される。
【0024】これにより、平板部材24の端部24a〜24dに枠部28a〜28dが一体成形されるとともに、前記枠部28b〜28dには、金属板部材26a〜26cが埋設される(図4参照)。このため、平板部材24と樹脂製の枠部28a〜28dとが一体化されて筐体14が成形される。
【0025】このように、本実施形態では、平板部材24の端部24a〜24dに射出成形により枠部28a〜28dを一体成形する際に、予め前記平板部材24の端部24b〜24dにSUS材やアルミニウム材等の金属板部材26a〜26cが配置されており、前記金属板部材26a〜26cが前記枠部28b〜28dに埋設される。これにより、枠部28a〜28dに成形収縮が発生しても、金属板部材26a〜26cの補強作用下に、筐体14に反り等の変形が惹起することを有効に阻止することができる。
【0026】従って、本実施形態では、平板部材24上に断面L字状の金属板部材26a〜26cを配置するという簡単な工程および構成で、枠部28a〜28dを一体成形する際の成形収縮による影響を回避することができ、反り等の変形のない高品質な筐体14を効率的に製造することが可能になるという効果が得られる。
【0027】また、特に、大寸法の筐体14を製造する際に、枠部28a〜28dの成形収縮によって筐体14に変形が発生したときには、変形が発生した箇所、例えば、金属板部材26aを埋設している枠部28bにプレス処理を施せばよい。すなわち、図7に示すように、プレス機80を構成する下型82と上型84との間に枠部28bが配置され、前記下型82と前記上型84との押圧作用下に、金属板部材26bがプレスされる。このため、枠部28bは、図7中、二点鎖線で示す反り形状から実線で示す平坦形状に容易かつ確実に修正され、筐体14全体の平面性を維持することが可能になる。
【0028】なお、上記のように製造される筐体14に対して種々の加工作業や組み付け作業が施され、例えば、枠部28b、28dにロック手段32a、32bが組み付けられるとともに、孔部34a、34bが形成されることになる。
【0029】次に、このように構成される放射線カセッテ10の動作について説明する。
【0030】放射線カセッテ10内に放射線画像情報記録前の蓄積性蛍光体シート12を挿入する際には、操作者が蓋体16に設けられているノブ40a、40bを直接操作し、あるいは図示しない装填装置内で、ロック解除ピンを筐体14の孔部34a、34bに挿入することにより、ロック手段32a、32bの解除が行われる。
【0031】さらに、蓋体16が、筐体14に対してヒンジ部36を支点に開放されると、筐体14の開口部25が開放され、この開口部25を介して蓄積性蛍光体シート12が前記筐体14内に挿入される。そこで、蓋体16が筐体14側に押圧されると、この蓋体16の裏面に設けられているロック爪42a、42bがロック手段32a、32bに係合して蓋体16が筐体14に固定される。
【0032】蓄積性蛍光体シート12が収容された放射線カセッテ10は、図示しない画像記録装置に装填され、この放射線カセッテ10の平板部材24側から図示しない被写体の放射線画像情報を含む放射線が照射され、前記蓄積性蛍光体シート12にこの放射線画像情報が記録される。
【0033】ところで、上記の放射線カセッテ10では、ポータブル撮影等の際に前記放射線カセッテ10自体に患者の体重が付与されてしまう。この場合、本実施形態では、図3に示すように、遮光板18の折り部44a〜44cの内面側に、例えば、SUSのばね鋼等の高強度材料で形成された金属板46a〜46cが取り付けられている。このため、放射線カセッテ10に患者の体重が直接作用しても、金属板46a〜46cの補強作用下に、前記放射線カセッテ10に変形が発生することを確実に阻止することができるという効果が得られる。
【0034】特に、本実施形態では、放射線カセッテ10に金属板46a〜46cを取り付けるだけでよく、従来のようにアルミニウム金属の押し出し品による変形防止構造のように、コストが高く、加工時に傷等が付き易いという不具合がなく、また、プラスチックの一体成形で弾性変形させる構造のように、設備費の高騰や変形による内部部材の破損等の不具合を生ずることがない。
【0035】なお、本実施形態では、放射線画像記録担体として蓄積性蛍光体シート12を用いて説明したが、例えば、放射線画像記録担体として、X線を照射して被写体の放射線画像情報を直接記録する写真フイルムを用いることもできる。
【0036】
【発明の効果】本発明に係る放射線カセッテおよびその製造方法では、平板部材に配置された金属板部材を埋設して樹脂製枠部が設けられるため、この樹脂製枠部の成形収縮による変形を前記金属板部材を介して確実に阻止することができ、平面性を有する高品質な放射線カセッテを効率的に製造することが可能になる。
【出願人】 【識別番号】000005201
【氏名又は名称】富士写真フイルム株式会社
【出願日】 平成12年5月30日(2000.5.30)
【代理人】 【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏 (外1名)
【公開番号】 特開2001−340325(P2001−340325A)
【公開日】 平成13年12月11日(2001.12.11)
【出願番号】 特願2000−160638(P2000−160638)