| 【発明の名称】 |
超音波診断装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】篠村 隆一
【氏名】河野 敏彦
|
| 【要約】 |
【課題】本発明の目的は、通常Bモードとハーモニックモードの画像を同時に最適な条件で観察できるようにする。
【解決手段】上記目的は、基本波画像を得るための送波周波数をfTF、ハーモニック画像を得る送波周波数をfTH、その際のハーモニックの受波周波数をfRHとした場合、fTF≦fTH≦fRHとすることにより、また前記2つの画像を並べて表示すると共に、前記2つの画像の画質調整を独自に行う手段を有することにより達成される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の配列された超音波振動子より被検体内へ超音波を送波し、前記被検体内からの反射波を前記超音波振動子により受波し受信ビーム信号を得るとともに、この受信ビーム方向を変更して前記被検体内を走査して前記被検体内の断層像を得る超音波診断装置において、受波信号の非線形成分を主に画像化する手段と,受波信号の基本波成分を主に画像化する手段とを備え、前期二つの画像化手段によって得られた二つの画像を表示手段の画面へ同時表示すること特徴とする超音波診断装置。 【請求項2】 請求項1に記載の超音波診断装置において、各画像の処理条件を個別に設定する手段を備えたことを特徴とする超音波診断装置。 【請求項3】 請求項1又は2に記載の超音波診断装置において、単一のビーム方向へ連続して2度の送受信を各送波において送波周波数を変更して行い、一方の送受信で受波信号の非線形成分の画像データを取得し、他方の送受信で基本波成分の画像データを取得する手段を備えたことを特徴とする超音波診断装置。 【請求項4】 請求項1乃至3に記載の超音波診断装置おいて、非線形成分とは送波信号に対する高調波成分(ハーモニック成分)であることを特徴とする超音波診断装置。 【請求項5】 請求項4に記載の超音波診断装置において、非線形成分とは、送波された超音波が被検体内の組織を伝達することで生じた高調波成分と前記被検体内へ投与された超音波造影剤によって生じた高調波成分のどちらか、または両方であることを特徴とする超音波診断装置。 【請求項6】 請求項1乃至4に記載の超音波診断装置において、非線形成分とは、前記被検体内へ投与された超音波造影剤によって生じた受波信号の基本波成分の1/2の周波数成分(サブハーモニック成分)であることを特徴とする超音波診断装置。 【請求項7】 請求項1乃至6に記載の超音波診断装置において,基本波画像を得るための送波周波数をfTF、高調波画像を得る送波周波数をfTH、その際の高調波の受波周波数をfRHとした場合,fTH≦fTF≦fRHとすることを特徴とする超音波診断装置。 【請求項8】 請求項7に記載の超音波診断装置において、fTH=fTFとし,一回の走査で高調波成分と基本波成分の画像を得ることを特徴とする超音波診断装置。 【請求項9】 請求項1乃至8に記載の超音波診断装置において、前記二つの画像は深度方向で処理周波数を低周波にシフトしていくことを特徴とする超音波診断装置。 【請求項10】 複数の配列された超音波振動子より被検体内へ超音波を送波し、前記被検体内からの反射波を前記超音波振動子により受波し受信ビーム信号を得るとともに、この受信ビーム方向を変更して前記被検体内を走査して前記被検体内の断層像を得る超音波診断装置において、受波信号の1/2の周波数成分(サブハーモニック)を主に画像化する手段と、受波信号の送波周波数とほぼ同じ基本波成分を主に画像化する手段とを具備し、前記二つの画像を並べて表示するとともに前記二つの画像の画質調整を独自に行う手段を有することを特徴とする超音波診断装置。 【請求項11】 請求項1乃至10に記載の超音波診断装置において、二つのモードでそれぞれカラードプラ(CFM),パワードプラ,パルスドプラの血流処理をすることを特徴とする超音波診断装置。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、超音波装置にかかわり、特に受波信号の高調波を画像化したハーモニック画像(断層像、血流像)を表示する医用超音波診断装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】超音波診断装置は、複数の超音波振動子から超音波を被検体内に送波し、被検体内からの反射波を前記超音波振動子で受波して電気信号に変換し、増幅して、各振動子からの受波信号を電気的にフォ−カスするため遅延処理と加算処理とを行って超音波ビ−ムを形成している。このビームを被検体内で走査して取得したエコー信号を画像化することにより断層像を形成する。画像化されるエコー信号は,通常、送波周波数とほぼ等しい基本周波数が使用されている。以下、この基本周波数にほぼ等しい周波数のエコー信号を画像化したものを基本波画像と呼ぶ。 【0003】また、超音波造影剤を被検体内に注入し、超音波エコーの信号成分のうち、送波周波数のn倍(通常は2倍)の周波数信号成分を得て画像化する技術(ハーモニックイメージング)が知られている。また,造影剤を破壊した時に生じる送波周波数の約1/2の周波数信号成分を得て画像化するサブハーモニックイメージング技術も知られている。これらは、マイクロバブル等を血管に注入することで血流イメージの高感度化をするとともに、マイクロバブルが発する送波周波数のn倍の周波数のエコー信号を画像化することにより、血流イメージを良くするものである。以下、これらの基本周波数に対しn倍の周波数のエコー信号を画像化したものをハーモニック画像と呼ぶ。 【0004】さらに、マイクロバブルのような造影剤を被検体内へ入れずに得られるエコー信号のうち、非線形による倍周波数のエコー信号を画像化することも行われてきている。 【0005】基本波画像とハーモニック画像はそれぞれに優位点があるため,同時に観察されることが望まれる。特開平11-099152号公報には,超音波エコーの信号成分のうち送波周波数と同じ周波数の信号成分を画像化する通常Bモード処理手段と、超音波受波信号の信号成分のうち送波周波数の2倍以上の整数倍の周波数の信号成分(以下、ハーモニック成分という)を画像化するハーモニックBモード処理手段と、第1の所定時間は前記通常Bモード処理手段を働かせかつ前記ハーモニックBモード処理手段を休止させると共に、第2の所定時間は前記通常Bモード処理手段を休止させかつ前記ハーモニックBモード処理手段を働かせることを反復する自動切換制御手段とを具備し,通常BモードとハーモニックBモード画像を画面に並べて同時表示することが記載されている。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかし、超音波エコーの信号成分のうち送波周波数と同じ周波数の信号成分の信号と、超音波エコーの信号成分のうち送波周波数に対し2倍以上の周波数の信号成分とを比較した場合、感度にかなりの差がありハーモニックイメージングに用いる信号強度の方が小さい。したがって、これらの2種類のエコー信号を単純に画像化して通常Bモード像とハーモニックBモード画像を画面に並べて同時表示してもハーモニック画像は感度不足となって診断上有意な情報を医師等にもたらさないという問題があった。 【0007】また、従来から知られているサブハーモニック技術においては、通常のBモード画像等の他モード画像とサブハーモニック画像とを画面へ同時表示することについて提案されていなかった。 【0008】また,ハーモニック成分を用いて血流計測を行おうとすると、被検体の体表に近い部分と深い部分において、エコー信号の感度が足りない、距離分解能が劣化するという問題があるために、現在までハーモニックモードによって血流計測を行うという提案はなされていない。 【0009】本発明の目的は、通常BモードとハーモニックBモード及びサブハーモニックBモードの画像および血流計測結果の表示(カラードプラ、パワードプラ等)を同時に最適な条件で観察できるようにすることにある。 【0010】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明は、複数の配列された超音波振動子より被検体内へ超音波を送波し、前記被検体内からの反射波を前記超音波振動子により受波し受信ビーム信号を得るとともに、この受信ビーム方向を変更して前記被検体内を走査して前記被検体内の断層像を得る超音波診断装置において、受波信号の非線形成分を主に画像化する手段と,受波信号の基本波成分を主に画像化する手段とを備え、前期二つの画像化手段によって得られた二つの画像を表示手段の画面へ同時表示すること特徴とする【0011】また本発明は、上記二つの画像の処理条件を独自に設定する手段を有することにより上記目的を達成する。例えばその手段として高調波画像の増幅率と基本波画像の増幅率を独立に調整できる機構を設ける。 【0012】さらに本発明は、単一のビーム方向へ連続して2度の送受信を各送波において送波周波数を変更して行い、一方の送受信で受波信号の非線形成分(ハーモニック成分)の画像データを取得し、他方の送受信で基本波成分の画像データを取得する手段を備えることにより上記目的を達成する。ここに非線形成分とは、送波された超音波が被検体内の組織を伝達することで生じた高調波成分と前記被検体内へ投与された超音波造影剤によって生じた高調波成分のどちらか、または両方とする。さらに、非線形成分とは、前記被検体内へ投与された超音波造影剤によって生じた受波信号の基本波成分の1/2の周波数成分(サブハーモニック成分)とすることができる。 【0013】さらに本発明は、基本波画像を得るための送波周波数をfTF、高調波画像を得る送波周波数をfTH、その際の高調波の受波周波数をfRHとした場合,fTH≦fTF≦fRHとすることを特徴としている。 【0014】そして本発明は、上記基本波画像を得るための送波周波数fTFと高調波画像を得る送波周波数fTHとの関係をfTH=fTFとし,一回の走査で高調波成分と基本波成分の画像を得ることを特徴としている。 【0015】本発明では、上記基本波画像と高調波画像との二つの画像は深度方向で処理周波数を低周波にシフトしていくことを特徴としている。 【0016】また本発明は上記目的を達成するために、複数の配列された超音波振動子より被検体内へ超音波を送波し、前記被検体内からの反射波を前記超音波振動子により受波し受信ビーム信号を得るとともに、この受信ビーム方向を変更して前記被検体内を走査して前記被検体内の断層像を得る超音波診断装置において、受波信号の1/2の周波数成分(サブハーモニック)を主に画像化する手段と、受波信号の送波周波数とほぼ同じ基本波成分を主に画像化する手段とを具備し、前記二つの画像を並べて表示するとともに前記二つの画像の画質調整を独自に行う手段を有することを特徴としている。 【0017】そして本発明は、二つのモードでそれぞれカラードプラ(CFM),パワードプラ,パルスドプラの血流処理をすることを特徴としている。 【0018】 【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態について図面を用いて説明する。図1は本発明の超音波診断装置の構成を示すブロック図である。図1において、1はパルサで、超音波探触子に内蔵された超音波振動子へ超音波を送波させるための駆動パルスを発生するものである。ここに、超音波探触子1に内蔵された超音波振動子は前記基本周波数の他にその基本周波数の整数倍の高調波を送受信できる広帯域特性を有している。2は送波遅延部で、超音波探触子内の複数の超音波振動子から送波された超音波が被検体内に設定されたある深度において集束(フォーカス)するように、各振動子へ印加される駆動信号に対し各々に所定の遅延時間を与えるものである。この送波遅延部2は、超音波を送波するために駆動される振動子の数と同数の遅延回路が並列に設けられている。3は送受分離回路で、超音波振動子を駆動する信号と超音波振動子が受信した信号とをそれぞれ所定方向にのみ通過させる回路、4は切換スイッチ回路(マルチプレクサ:MPX)で、送受信系回路と超音波振動子との接続切換を行うものである。なお装置本体へ接続される超音波探触子が通常の電子セクタ型のみである場合には、本切換スイッチ回路4を省略することができる。 【0019】5は超音波探触子で、複数の配列状超音波振動子が内蔵され、被検体内へ超音波を送波し、その反射波(エコー)を受信するもの、6は受信増幅器で、超音波探触子5から入力したエコー信号を増幅するもの、7は整相部で、超音波を受信する口径を形成する振動子の数と同数の並列に設けられた遅延回路と、これらの遅延回路の出力を加算する加算回路とから成り、受信ビーム信号を形成するもの、8は受信処理部で、整相部7で得られた受信ビーム信号を画像化するための前処理を行うものである。画像化のための前処理には、検波、対数圧縮(log圧縮)、ローパスフィルタ及びバンドパスフィルタ及びダイナミックフィルタによるフィルタリングの他に、TGC(Time Gain Control)処理、γ変換、エンハンス処理、ダイナミックレンジ制御等を含む。 【0020】9はディジタルスキャンコンバータ(以下、DSCと記す。)で、受信処理されたエコー信号をメモリへ記憶し画像データ化するとともに、その画像データを表示装置の表示同期信号に同期して読み出すもの、10はDSC9から読み出された画像データを表示する表示装置である。また、11は整相部7の出力信号を用いてドップラ演算処理を行い、被検体内における血流情報や臓器の移動情報を求めるものである。そして、以上の各構成要件からなる超音波診断装置をシステム的に制御するものとして、中央演算処理装置(CPU)12が設けられている。 【0021】以上述べた構成へ加え、本発明は基本波画像計測とハーモニック画像計測とを個別に制御するための計測制御切換器13、及び計測制御切換器13がどちらに切り換えられているかを表示する表示器14及び15と、受信エコー信号の深度に対応してそのゲインを変更するTGC制御器16と、前記二つの計測における周波数を可変設定する周波数設定器17,18を備えている。なお、符号100は被検体を示す。 【0022】次に、本発明の基本波画像とハーモニック画像をほぼ同時に取得し、表示装置10の表示画面へ同時表示するための動作を図1、図2、図3、図4により説明する。図2は、エコー信号計測シーケンスを示し、上段が送波を、下段が上段の送波に対する受波を、そして横軸は時間軸を示している。また、図3は図2に示す送受信を行った時の送波信号と受波信号の周波数とスペクトル強度の関係を示し、図4は超音波画像を形成している超音波ビーム方向を示している。なお、図4はセクタスキャン方式の超音波ビーム方向を示しているが、リニア方式とすることもできる。 【0023】基本波画像とハーモニック画像をほぼ同時に計測する場合、先ず、基本波Bモード画像を形成する#1の方向に対し超音波を送受信する。この時の送波周波数は送信系を基本周波数fTFに設定し、受信系も基本周波数fTFに設定して受信処理を行う。この#1方向に対する基本周波数fTFの送信は、操作者が被検体100内の関心領域の深さに応じて送波フォーカス値を操作盤に設けられた設定器により設定するとともに、スキャンモードを基本波画像とハーモニック画像との同時計測モードに設定した後に、スキャン開始操作を行うことでスタートする。CPU11から発せられるスキャン開始指令によって、パルサ1から超音波振動子を基本周波数fTFで振動させる駆動パルスが出力される。このパルスは送波遅延部2へ出力される。送波遅延部2は探触子5において超音波を送波するために駆動される振動子数に等しい数の遅延回路が並列に設けられており、各遅延回路には前述の送波フォーカス値に対応した遅延時間が設定され、送波遅延部2からは各々が遅延制御された駆動パルスが出力される。 【0024】遅延制御された駆動パルス群は送受分離回路3、MPX4を介して探触子5へ供給される。駆動パルスが供給されると探触子5から超音波が被検体100内へ送波される。このとき、超音波振動子から被検体100内へ送波された超音波は図3(a)の上段に示すように、基本周波数fTFを中心周波数とし、ある帯域を持ったスペクトル分布を形成している。被検体100内へ各振動子から送波された超音波は送波フォーカス点で集束し、体内を伝播する過程において体内組織の音響インピーダンスの異なる境界でその一部が反射し、エコーとして探触子方向へ戻り受信される。 【0025】探触子5で受信されたエコーは電気信号に変換されMPX4、送受分離回路3を介して受信増幅器6において増幅され、整相部7へ入力する。整相部7は探触子4において受信に携わった配列振動子面の特定位置から被検体100内に向かって伸びる#1の直線上の各点からのエコー信号が各振動子へ同時に到達したように遅延時間制御し、それらの遅延制御された信号を加算する。これによって受信ビーム信号が形成される。そして整相部7の出力信号は受信処理部8へ出力される。 【0026】エコー信号には、図3(a)の下段に示すように基本周波数fTFをほぼ中心周波数としたエコー信号の他に、周波数fTFの整数倍の周波数を中心周波数とした高調波エコー信号も混じって探触子で受信される。高調波エコー信号には周波数fTFの2倍、3倍、…n倍高調波があるが、図3(a)では2倍高調波のみを示している。受信処理部8は、検波、対数圧縮の他に、ローパスフィルタまたはバンドパスフィルタにより前記高調波を除外するとともに、γ変換、エンハンス処理、及びダイナミックフィルタ処理を行って、処理されたエコー信号をDSC9へ出力する。DSC9は入力したエコー信号の基本波画像におけるビーム位置と深度に応じてメモリへ書き込みを行う。 【0027】以上の#1方向へ対する基本周波数fTFの送受信動作が完了すると、CPU12は#1方向へのハーモニック計測を行う。このハーモニック計測においては、パルサ1から発生される駆動パルスは振動子から送波される超音波の周波数がfTHと成るようにCPU12からパルサ1へ指令が送られる。このとき、超音波振動子から被検体100内へ送波される超音波は図3(b)の上段に示すように、周波数fTHを中心周波数とし、ある帯域を持ったスペクトル分布を形成している。駆動パルスが出力されてからエコー信号が整相部7により受信ビームが形成されるまではほぼ基本周波数fTFによる計測と同様である。 【0028】ハーモニック計測におけるエコー信号には、図3(b)下段に示すように周波数fTHをほぼ中心周波数とするエコー信号の他に、周波数fTHの整数倍の周波数を中心周波数とした高調波エコー信号も混じって探触子5で受信される。高調波エコー信号には周波数fTHの2倍、3倍、…n倍高調波があるが、図2(a)では2倍高調波(fRH=2fTH)のみを示している。受信処理部8は、検波、対数圧縮の他に、バンドパスフィルタにより前記2倍高調波のみを受信エコー信号から抽出するとともに、γ変換、エンハンス処理、及びダイナミックフィルタ処理を行って、処理されたエコー信号をDSC9へ出力する。DSC9は入力したエコー信号のハーモニック画像におけるビーム位置と深度に応じてメモリへ書き込みを行う。 【0029】この#1の方向に対する基本周波数fTFと周波数fTHによる送信によるエコー信号の計測を完了すると、次に送受信系を基本波画像計測用の周波数fTFに設定し#2方向のエコー信号の計測を行い、得られたエコー信号をDSC9のメモリへ書きこむ。その後、送信系をハーモニックイメージング用送波周波数fTHに、受信系をハーモニックイメージング用受波周波数fRHに設定して#2方向の高調波を受信し、得られたハーモニックイメージング用エコー信号をDSC9のメモリへ書き込む。そして、両画像を表示するに足るビーム数が得られたところからDSC9の記憶内容を表示装置10の表示同期信号に同期して読出し、表示装置10の表示画面へ基本波画像とハーモニックBモード画像とを同時に並べて表示する。これらの画像表示を行うとき、DSC9のメモリから記憶内容をアドレス制御によって直接読み出して表示装置10へ画像信号を供給しても良いが、別個に表示用メモリを設けても良い。 【0030】図5は表示装置10の表示画面を示し,表示画面において、左に基本波画像I(B)を、右側にハーモニックBモード像I(TH)を表示した例である。 【0031】このように、送信系と受信系に設定される周波数を変更して、交互にエコー信号を計測するとともに、その送受信方向を#1から#nまで順次変更することにより、被検体100内の同一断面に対し基本波画像I(B)とハーモニック画像I(TH)を同時に計測することができる。その後以上の動作を#1から#nまで計測を継続的に繰り返すことにより、リアルタイムで二つの画像を表示するための計測を行う。なお、以上説明した送受信の第一の実施形態では、基本波画像取得のための送受信とハーモニック画像取得のための送受信とを交互に行うために、各画像のフレームレートがそれぞれの画像を単独にスキャンした場合に比べ1/2になる。 【0032】次に、本発明における送受信周波数の第二の実施形態を示している。この実施形態では、上記第一の実施形態と同様に、基本波画像の計測とハーモニックイメージングの計測とを同一ビーム方向へ交互に行って、基本波画像とハーモニック画像とを同時に表示するものであるが、図6に示すように、上記第一の実施形態における探触子から送波される基本波周波数fTFと、ハーモニックイメージング用送波周波数fTHと、ハーモニックイメージング用受波周波数fRHとの関係を、fTH≦fTF≦fRH…(1) とする。 【0033】基本波Bモードの送波周波数fTFをハーモニックBモードの受波周波数fRHと等しくした場合、基本波Bモード画像はハーモニックBモード画像と同じ周波数のビームによって形成された画像となる。このとき、基本波Bモード画像の分解能は、送波、受波ともに比較的に高い周波数なのでハーモニック画像より向上するものの、ペネトレーションが劣ることになるが、医師はハーモニック画像と近距離の分解能の向上した基本波Bモード画像とを比較しながら被検者を診断することができる。 【0034】また、基本波Bモードの送波周波数fTFをハーモニックBモードの受波周波数fRHより低くハーモニックの送波周波数fTHより高くした場合、特に超音波探触子の公称周波数にした場合は、ハーモニック動作をさせない時のB像(通常の公称周波数のB像)とハーモニック画像を比較しながら診察できる。したがって探触子のもっている方位分解能、距離分解能が維持された、かつペネトレーションの劣化の少ないBモード画像と、ハーモニックによる中深度の抜けの良い、多重の改善されたハーモニック画像を同時に観察できる。 【0035】さらに、基本波Bモードの送波周波数fTFを,ハーモニックBモードの送波周波数fTHと等しくした場合、基本波Bモード像の分解能は通常の公称周波数のBモード像における分解能より劣るが、さらにペネトレーションの向上した画像と同時に観察できる。さらにこの条件では,送波周波数が基本波Bモードの周波数fTFとハーモニックBモードの周波数fTHとが同じため1度の送波で同時に両方の画像を得ることができる。つまり,フレームレートの低下を招かずに両画像をリアルタイムに、かつ同時相の2画像を表示できる。 【0036】以上のように、基本波Bモードの送波周波数fTFとハーモニックBモードの送波周波数fTH、受波周波数fRHとを(1)式を満たす範囲内で任意に可変設定することができるようにすると良い。これらの送波周波数の可変設定を可能とすることは、操作盤上に二つのモードに対する周波数設定器17,18を設け、これらの周波数設定器17,18の信号をCPU12へ出力し、CPU12によりシステム制御を行えば良い。 【0037】次に本発明の受信処理の特徴的な一実施形態を説明する。良く知られているように、超音波が物質中を伝播するときに物資特有の周波数に依存した減衰係数を有しているため、エコー信号の周波数成分が深度と共に低周波数にシフトする。このため、受信処理部8のフィルタの帯域を固定しておくとエコー深度が深くなるに連れて信号のS/N低下あるいは感度低下を招く。この問題を解決するために、従来の整相部7をアナログ方式で構成した装置では、受信処理部8におけるフィルタの帯域をエコー深度に追従して変更及び移動することが行なわれていた。これを行うフィルタはダイナミックフィルタと称されていた。 【0038】前記エコー信号の周波数シフトは当然ながら非線形で生じる高調波エコー信号にも生じる。しかしながら,その様子は基本波とは異なるが、その周波数シフトをハーモニックイメージングにおいても補償することによって,良好なハーモニック画像を得ることができる。その周波数シフトの補償を従来のダイナミックフィルタによるものに代えて以下のように行うことができる。すなわち、整相部7がディジタル方式であって、周波数移動の整相方式を採用している装置においては,整相部において受信信号へミキシングする参照信号の周波数をエコー信号の周波数シフトに合わせることで実現できる(図11参照)。また、同じくディジタル整相方式の周波数保存の整相方式を採用している装置であって、整相加算後のエコー信号をゼロ周波数にビートダウンし低域通過フィルタを通すように構成している装置では,ビートダウンの周波数をエコー信号の周波数シフトに合わせて変えてやれば良い(図12参照)。この概念を図7に示している。 【0039】次に画像処理の設定の一実施形態について述べる。前述したように,基本波とハーモニックではエコー深度による周波数シフト、減衰が異なる。しかし現在の装置には、深度方向での減衰補正のTGC設定器及びゲイン設定器は一つしか設けられておらず、基本波画像とハーモニック画像とを同一画面へ表示する場合、設定値を両方の画像に作用させるか、またはどちらかの画像にしか作用させられない。そこで本実施形態では、操作パネル上に前記TGC設定器16及びゲイン設定器19の設定値を基本波B像とハーモニックB像とのどちらに作用させるかを切り換える計測切換器13を設けた。 【0040】これにより,計測切換器13をハーモニックに設定した場合、例えば、ゲイン設定器19の設定値はハーモニック画像(図8のモニタ画面内のハーモニックB像I(TH))のゲイン制御のみに適用される。逆に、計測切換器13を基本波B像に切り換えた場合は、基本波B像(図8のモニタ画面内の基本波B像I(B))のゲイン制御のみに適用される。TGC設定器16も同様である。また、通常モニタにはゲイン値が表示されるが,図5に示すように,基本波画像のゲインはGfTF=A、ハーモニック画像のゲインはGfRH=Bと表示するとより効果的であり、さらにそれらのゲインは各画像に対応して、例えば各画像のすぐ下方に表示すると、操作者にとって識別が容易になる。また,両画像に共通する操作以外の操作スイッチであっても前記計測切換器13に連動させ、選択された画像に有効となるように設定しても良い。また,どのキーを連動させるかは,ユーザーが適宜設定可能としても良い。なお、ここでは,切換器によって選択できるようにしたが,切換器を設けずに、例えば、高調波画像モード(通常THIという)を使う場合には,画像処理関連のキーは高調波画像に対して作用するように予め設定してあっても問題ない。また、画像処理関連の項目として、例えば、ゲイン,TGC(深度方向での可変ゲイン),ダイナミックレンジ,エンハンス,画像のグレイマップ,受波信号の帯域設定等がある。 【0041】ここまではB像について説明したが,次にドプラ計測の場合について説明する。ドプラ計測の一例としてCFM(カラー フロー マッピング)について示す。図9(a)にCFMの計測を基本周波数で行った画像20を画面左側に、またハーモニック信号で行った画像30をモニタの右側に示す。基本周波数によるCFM画像では被検体の浅い部位から深い部位まで血流が描出されている。しかし、ハーモニック画像30では、高調波の信号レベルが深度と共に大きくなり、エコー深度がある深さを超えると信号レベルが減衰により低下し、感度が悪くなる。このため、基本波画像20では深部まで見えていたCFM画像が、ハーモニック画像30では途中でS/Nが不足し、見えにくくなってしまう。 【0042】そこで、DSC9の内部または後段に基本波でのCFM像とハーモニックCFM像とを加算して表示する手段を設けることによって深部まで良好な血流像が得られる。このハーモニックCFM像へ基本波CFM像を加算した画像を図9(b)の右側へ示している。この場合、加算する基本波CFM像の画像データに対しエコー深度に応じた係数を乗算してハーモニックCFM像へ画素対応で加算すると良い。また、ハーモニック信号でカラー処理した場合の特有の効果を示す場合は、勿論基本波CFM像を加算せずにそのまま表示しても良い。また,ハーモニック信号でのカラー処理結果を基本波B像又はハーモニックB像に重畳しても良い。 【0043】以上説明した実施形態では、基本波画像とハーモニック画像とを取得するために超音波を同一ビーム方向へ2回送受信するため、前述のように各画像のフレームレートが単独画像の表示と比較して1/2となる。したがって、表示される画像がちらついて見にくくなるという問題を抱えている。そこでこのフレームレートが低下するという問題を解決できる本発明の第二の実施形態を説明する。図13は基本波画像とハーモニック画像とを1ビーム方向へ1回の送受信で同時に計測するための送受信周波数の関係を示している。 【0044】本実施形態では、図4の#1から#nまでのn回の超音波送受信を行う。これらの送受信に際して、送信時には図13(a)に示すように探触子5からは画像化しようとしている基本波画像用の周波数fTFとハーモニック画像用の周波数fTHとを包含した広帯域の超音波を被検体内へ送波する。そして、このエコー信号を受信し、受信処理部8で基本周波数fTFを中心周波数としてある帯域を持ったエコー信号と、ハーモニック画像用周波数fRHを中心周波数としてある帯域を持ったエコー信号とに分離抽出する。この分離抽出は、図10に示すように整相部7から出力された受信ビーム信号を基本波用バンドパスフィルタ8a及び高調波用バンドパスフィルタ8bとへ入力し、基本波用バンドパスフィルタ8aにより基本周波数fTFを中心周波数としてある帯域を持ったエコー信号(図13(b)参照)を抽出し、高調波用バンドパスフィルタ8bによりハーモニック画像用周波数fRHを中心周波数としてある帯域を持ったエコー信号(図13(c)参照)を抽出することで可能である。 【0045】そして、抽出された各エコー信号を信号処理部8cへ入力し前述の画像化の前処理を行う。本実施形態によれば、基本波用バンドパスフィルタ8aと高調波用バンドパスフィルタ8bの通過帯域を移動または変更することにより表示される画像の周波数特性に応じた画質を操作者の好みに応じて変更することができる。 【0046】以上は基本波とハーモニックあるいはサブハーモニックとのリアルタイム2画像同時表示に関して述べてが、2画像表示の組み合わせはこの限りではなく、本発明は、説明した実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。例えば、基本波周波数による計測とハーモニック周波数による計測のシーケンスは図2及び4に記載した例に限らず、フレーム毎に通常のBモード計測とハーモニック計測を交互に繰り返しても良い。 【0047】 【発明の効果】本発明は,基本波Bモード像とハーモニックBモード像(あるいはサブハーモニック)をならべてリアルタイムに撮像,表示できる,さらに,各モード毎に画質調整できるのでより診断能力を向上できる。また,ドプラ信号をその両画像に自由に重畳できるので,より診断能力が向上する。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000153498 【氏名又は名称】株式会社日立メディコ
|
| 【出願日】 |
平成12年5月24日(2000.5.24) |
| 【代理人】 |
|
| 【公開番号】 |
特開2001−327492(P2001−327492A) |
| 【公開日】 |
平成13年11月27日(2001.11.27) |
| 【出願番号】 |
特願2000−152498(P2000−152498) |
|