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【発明の名称】 X線画像を形成するための方法及び装置
【発明者】 【氏名】ミヒャエル グラス

【氏名】ジールド リチャード ケムカース

【要約】 【課題】異なる軌跡(T,T)に沿って連続的に収集される少なくとも2つの一連の投影データセット(P,P)から形成される3Dデータセット(S,S)からできるだけアーチファクトの無いX線画像を形成する。

【解決手段】一連の投影データセットを収集する間の患者の動きを中和するため、或る3Dデータセット(S)のボクセルが選択され、適切な類似性尺度で他の3Dデータセット(S)におけるボクセル位置が決定されるように、3Dデータセットの互いに関する空間位置を表す変換規則(F)を決定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 異なる軌跡に沿って連続的に得られる少なくとも2つの一連の投影データセット、各一連の投影データセットから形成される各3Dデータセット、及び変換規則からX線画像を形成する方法であって、前記変換規則が、3Dデータセットの互いに関する空間内の位置を表すものであって、1つの3Dデータセットのボクセルが選択され、他の3Dデータセットにおける前記ボクセルの位置が適切な類似性尺度により決定されるようにするものであり、前記X線画像が前記変換規則により結合される3Dデータセットから形成される方法。
【請求項2】 前記変換規則を決定するために、3Dデータセットのサブ体積毎に複数のボクセルが選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】 前記変換規則を決定するために、重要な画像情報を含む個々のサブ体積が選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】 平均絶対差、平均2乗差、2重相関又はピアソンの線形相関が前記類似性尺度として用いられることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】 前記投影データセットが、CアームX線装置又はコンピュータトモグラフ装置により得られることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】 とりわけ請求項1に記載された方法を実行するX線装置であって、前記X線装置が、検査される物体の周囲に、異なる軌跡に沿う複数の一連の投影データセットを収集するためのX線検出器及びX線源を含むとともに、各一連の投影データセットから3Dデータセットを形成するための再構成ユニットと、演算ユニットとを含み、前記演算ユニットは、3Dデータセットの互いに関する空間内の位置を表す変換規則が、或る3Dデータセットのボクセルを選択し、適切な類似性尺度により他の3Dデータセットにおけるボクセルの位置を決定することにより決定されるように構成され、X線画像が前記変換規則により結合される3Dデータセットから形成されることを特徴とするX線装置。
【請求項7】 前記X線装置が、CアームX線装置又はコンピュータトモグラフ装置であることを特徴とする請求項6に記載のX線装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、異なる軌跡に沿って連続的に得られる少なくとも2つの一連の投影データセット、各一連の投影データセットから形成される各3DデータセットからX線画像を形成する方法に関する。本発明は、この方法を実行するために特に適したX線装置にも関する。
【0002】
【従来の技術】この種の方法及び装置はヨーロッパ特許出願公報EP860696A2から既知である。この文献では、CアームX線装置により、2つの半円の軌跡に沿って2つの一連の投影データセットが得られる。これら軌跡は互いに60°の角度で延在している。各一連の投影データセットは各3Dデータセットを形成し、このデータから各再構成画像を形成することができる。単一の3Dデータセットは完全で正しい再構成をするのに適切なデータを含んでおらず、この再構成の間にアーチファクトが生じるため、二つ(又はそれ以上の)3Dデータセットは、重み付けられて加算されることにより結合される。所望の画像は、結果として得られたデータから再構成により形成される。この画像にはアーチファクトはほとんど生じない。
【0003】異なる軌跡に沿った一連の投影データセットの収集は、通常、時間的に連続して行われる。その後の結合及び再構成において、投影データセット、又はこのデータセットから形成される3Dデータセットの互換性を最適にするため、例えば患者等の検査される物体はデータ収集の間動かないことが要求される。個々の一連の投影データセットの収集の間、特に検査される物体の位置は常に同一にすべきであり、検査される物体の直進又は回転の動きはできるだけ小さくすべきである。しかしながら、実際に患者を検査する間に、上記の動きを小さくするということを完全に成し遂げることはほとんどできないため、投影データセットを収集する間、X線画像を例えば模型で再生することも知られている。斯かる模型は、整合の取れた3Dデータセットが得られるように、微細な調整に対して用いることができる。この操作はユーザにより行われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】それ故に、本発明は、ユーザが微細な調整を行わなくても3Dデータセットを結合することができる方法を提供することを目的とする。本発明は、この目的に適するように構成されたX線装置を提供することも目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】これらの目的は、請求項1に開示された方法及び請求項6に開示されたX線装置により達成される。
【0006】本発明は、検査される同一の物体は全ての3Dデータセットで再生され、それ故に、個々の構成を全ての3Dデータセットでトレースすることができるという事実の認識に基づいている。本発明では、この事実は、第1の3Dデータセットの少なくとも1つのサブ体積のボクセル画像値を選択し、これらの値を他の3Dデータセットから求め、これらのことから変換規則を得るために用いられる。この変換規則は、個々の3Dデータセットを形成する間に直進又は回転動作が生じる場合、この動作を表すものである。一般的に、サブ体積V自動的に選択される。第1の3Dデータセットから選択されるボクセルを他の3Dデータセットから探すときには、他の3Dデータセットから対応するボクセルを発見するための適切な類似性尺度が用いられる。
【0007】所望の精度に依存して、この方法は、3Dデータセットにより表される全体積に渡ってできるだけ分配されるべき適正な数のボクセルを用いて実行することができる。発見された1つ又は複数の変換規則は、検査される物体の動きを補正し、3Dデータセットを整合し、これらのデータセットを完全なデータセットが形成されるように結合し、このデータセットから所望の画像を形成するために用いられる。本発明の方法によれば、模型物体又はX線画像で再生される他のマーカを利用しなくても、前述の内容を実現することができる。本発明の方法は、自動的に、つまりユーザが介在しなくても実行することができる。
【0008】請求項2及び3では、変換規則を決定するために、3Dデータセットの各サブ体積におけるいくつかのボクセル及び/又は重要な画像情報を含む個々のボクセルが有利に選択される。
【0009】請求項4に示された関数が類似性尺度として用いられることが好ましい。しかしながら、他の方法も実現可能である。
【0010】本発明に係る方法は、主にCアームX線装置に用いられるが、コンピュータトモグラフ装置にも用いることができる。本発明は、円錐形のX線ビームを含むコンピュータトモグラフ装置又はX線装置に用いることもできる。
【0011】請求項6には、X線源、X線検出器、再構成ユニット及び演算ユニットを含む本発明に係るX線装置が開示されている。
【0012】本発明は、図を参照しながら以下に詳細に記載されている。
【0013】
【本発明の実施の形態】図1に示すCアームX線装置1は、このCアーム20の一端に取り付けられたX線管2と、このCアーム20の他端に取り付けられたX線検出器3とを含む。このX線管2は円錐形のX線ビーム14を発生する。このX線ビーム14は、例えば、検査領域内の患者テーブル4に寝かされた患者等の検査される物体13に照射され、この物体13に照射されたX線ビーム14は2次元X線検出器3に入射する。X線管2及びX線検出器3は、Cアーム20に備えられたレール7を介してy軸を中心に回転可能である。複数のアーム及びリンク5,6によるサスペンションのため、Cアーム20の位置を異なる方向に変えることができる。例えば、Cアーム20はx,y及びz軸を中心に回転可能である。
【0014】X線を異なる位置から投影しデータを収集するための動きは制御ユニット8により制御される。得られた投影は再構成ユニット9に供給される。この再構成ユニット9は、軌跡に沿って得られた一連の投影から、各3Dデータセット及びこのデータセットから構成可能な再構成画像を形成する。次に、このような3Dデータセット又は再構成画像は演算ユニット10に供給される。この演算ユニット10は、本発明の方法に従って、個々の3Dデータセットの間の変換規則(又は変換用の変換パラメータ)を決定し、この変換規則により3Dデータセットから所望のX線画像を最終的に決定する。この所望のX線画像はモニタ11に表示される。
【0015】図2は、2つの軌跡T及びTを表す概略図を示す。各軌跡は、投影データセットを収集する間、X線検出器3の検出器表面の中心が通過する経路を示す。それ故に、軌跡は、各投影を行うときの全X線位置に渡って延在する曲線である。図示されている例では、軌跡T及びTはそれぞれ半円を描き、2α=90°の角度で傾いている。第1の3Dデータセットは軌跡Tに沿って得られる投影から形成されるのに対し、第2の3Dデータセットは軌跡Tに沿って得られる投影から形成される。これらデータセットの整合を取るために、つまり、第1の一連の投影と第2の一連の投影とを行っている間に患者が直進又は回転しないようにするために、以下に図3を参照しながら詳細に記載されるようなやり方で、2つの3Dデータセットの間の変換規則が決定される。
【0016】図3に示すブロック図には、ブロック201及び202において、投影P(α)及びP(α)2つのセットが開始点として記号で示されている。これら2つのセットは、基準面を基準にそれぞれ角度α及びαで延在する2つの軌跡T及びTに沿って得られる。ブロック211及び212において、各3DデータセットS,Sが投影データセットP,Pから形成される。
【0017】次に、ブロック22において、2つの3DデータセットS,Sから変換規則が決定され、2つのデータセットの一方(又は双方)に(例えばSに)適用される。
【0018】変換規則は例えば以下のようにして得られる。
a) サブ体積V(つまり、3Dデータセットにより再生される体積の一部)のボクセル(例えば16×16×16)が、2つの3Dデータセットの1つ、例えばデータセットSから選択される。この選択は、例えば、できるだけ高いコントラストを有するサブ体積(この場合は、サブ体積におけるボクセル画像値がこれらの平均値からできるだけ離れている)を選択することにより、自動的に行うことができる。
b) 次に、そのサブ体積Vにおけるボクセルの座標xを、例えば以下の関係式に従って変換する。
【数1】

ここで、x,x,u,tはベクトルであり、 は、原点を中心とした座標系の回転についての座標変換を表す回転マトリックスである。上記ベクトルのうちのベクトルxのみが既知である(これは、ボクセルと座標の原点とを接続するベクトルである)。ベクトルuは回転の中心となる点の座標を表し、tはボクセルの変換に対応するベクトルである。結果として得られるベクトルxは、第2の3Dデータセットにより表される体積におけるボクセルの座標を表す。サブ体積の全ボクセルが変換されると、第2のデータセットSにおいて同じ大きさのサブ体積Vが得られる。
c) 次に、サブ体積Vのボクセル画像値と、第1の3DデータセットSのサブ体積Vのボクセル画像値との間の相関関係が、類似性尺度により評価される。次に、第2のデータセットから選択されたサブ体積の位置及び/又は方向が(u,t等の変化により)変化し、このサブ体積とサブ体積Vとの間の類似性が類似性尺度により評価される。これらステップは、3DデータセットSのサブ体積Vに最も相関があるサブ体積が3DデータセットSから見つかるまで繰り返し行われる。そして、関連する変換パラメータ(u,t又は )により変換規則が規定される。
【0019】例えば、類似性尺度として、2つの体積についてのボクセル画像値の平均絶対差MADを用いることができる。
【数2】

ここで、nは、サブ体積V又はVにおけるボクセルの数であり、V1i及びV2iは、第1のサブ体積V及び第2のサブ体積Vそれぞれのi番目のボクセルの画像値である。平均絶対差を最小にする代わりに、例えば、2乗の差の平方根を最小にしたり、類似性を適切な相関係数(例えば、相互相関、二重相関又はピアソンの線形相関)により評価することができる。
【0020】サブ体積から変換パラメータを抽出することにより、3Dデータセットの全てのボクセル画像値を利用してこれらのパラメータが決定される場合よりも、計算時間が少なくて済む。しかしながら、精度が悪くなり、ノイズによる影響を受ける。この精度は、各3Dデータセットに対して2つ又はそれ以上のサブ体積を考慮し、異なるサブ体積に対して求めた変換パラメータを平均することにより向上させることができる。
【0021】上記の変換は、検査領域内に存在する検査される物体が剛体であるという仮定に基づいている。しかしながら、この物体は変形可能なものであってもよい。変換パラメータの位置依存性は、いわゆる”弾性マッチング(elastic matching)”法により決定することができる。
【0022】ブロック23では、変換に従って互いに対応するボクセル画像値の和を好ましくは重み付けすることにより、変換された3DデータセットS及びSから、改善された3DデータセットSを決定する。ボクセル画像値に乗算される重付け係数が大きいと、関連する軌跡T又はTにより規定される面からのボクセルの距離は小さく(逆の場合も同様である)、ノイズ及びアーチファクトは小さい。なぜならば、上記の面から比較的離れて位置するボクセルにおいては、2つの3DデータセットS及びSのアーチファクトがよりはっきりとするからである。
【0023】図4は、本発明に係るコンピュータトモグラフ装置を示す。円錐形のX線ビーム15を生成するためのコリメータ19を伴うX線源2’及び検出器3’が円環型のガントリ18に取り付けられている。投影を得るために、X線源2’及び検出器3’は、z軸に沿って配される検査される物体13を中心として回転する。この目的のため、ガントリ18は、制御ユニット8’により制御されるモータドライバ16により駆動される。得られた投影は、3Dデータセット及び演算ユニット10に供給される再構成画像を形成するための再構成ユニット9に供給される。変換規則の形成及び次のX線画像の形成は、上記のCアームX線装置1の場合と同様であるため、これらについては省略する。
【0024】図示されたX線装置は本発明の単なる実施例である。本発明は、複数の3Dデータセットから完全なデータセットを形成し、これによりX線画像を形成する他のX線装置にも適用することができる。図2に示すような軌跡及びその数も単なる例として示されている。投影は別の軌跡に沿って得ることもでき、又は2つ以上の軌跡に沿って得ることもできる。これら軌跡としては、例えば、2つ又は2つ以上の平行となる完全な円の軌跡や、互いに垂直に広がる2つの完全な円の軌跡がある。
【出願人】 【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【出願日】 平成13年1月18日(2001.1.18)
【代理人】 【識別番号】100087789
【弁理士】
【氏名又は名称】津軽 進 (外1名)
【公開番号】 特開2001−238877(P2001−238877A)
【公開日】 平成13年9月4日(2001.9.4)
【出願番号】 特願2001−10317(P2001−10317)