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【発明の名称】 X線画像診断装置
【発明者】 【氏名】鈴木 克己

【要約】 【課題】前画像の残像の多い画素だけを空読みすることにより、空読みに要する時間を短縮することができるX線画像診断装置を提供する。

【解決手段】本装置は、被検体の透過X線を受光してX線画像を出力する平面検出器11と、このX線画像を記憶する画像記憶手段12と、X線画像を表示する表示手段13と、画像読み出し開始信号や空読みをする特定画素抽出のための閾値を送る操作卓14と、平面検出器11の画像データの読み出し制御を行う読み出し制御手段15と、平面検出器11の前画像の画像データを記憶し、空読みした特定画素の画像データを上書き記憶する前画像記憶手段16と、前画像記憶手段16の画像データの中から上記閾値に基づき特定画素を抽出し、そのアドレスを決定する読み出しアドレス決定手段17を具備し、読み出し制御手段15がアドレス決定された特定画素のみの空読みを行うように平面検出器11の読み出し制御する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 被検体にX線を照射するX線源と、このX線源と対向配置され前記被検体の透過X線を入力してX線画像データを出力する平面X線検出器と、該出力したX線画像を画像データとして記憶する画像記憶手段と、該記憶した画像データを画像表示する表示手段と、画像の読出開始信号を出力する操作手段と、該出力した読出開始信号を受けて前記平面X線検出器からX線画像のデータを読み出し制御する読出制御手段とを備えたX線画像診断装置において、前記操作手段は、所定の時相より1つ前の時相で得たX線画像データを前記平面X線検出器から前記画像記憶手段へ読み出した後の読み残しデータの分布によりその読出範囲を決定する手段を備えると共に、前記読出制御手段は、該決定した読出範囲に基づいて前記平面X線検出器の読み残しデータを読み出し制御する手段を備えたことを特徴とするX線画像診断装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被検体を透過したX線を平面検出器にて検出して被検体の診断部位のX線画像を得るX線画像診断装置に係り、特に平面検出器が有する残像の除去技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、X線画像診断装置では、被検体にX線を照射し、被検体の診断部位を透過したX線を平面検出器(参考文献;「Paul R. Granfors; Performance Characteristics of an Amorphous Silicon Flat panel X-ray Imaging Detector. Proc. SPIE Medical Imaging, Feb. 1999. pp. 480〜488」)などのX線受光系で受像し、このX線受光系から出力されるX線画像をTVモニタなどに表示する構成をとっている。
【0003】X線画像診断装置に使用されている平面検出器は、被検体を透過したX線を光に変換するシンチレータと、このシンチレータから出力される光を電荷に変換するフォトダイオード(例えば、アモルファスシリコン型)とから構成され、フォトダイオードの電荷をスイッチング素子(例えば、TFT)を経由して読み出すことによってX線画像を得ている。
【0004】上記の平面検出器において、フォトダイオードから一度電荷を読み出した後にも、フォトダイオード内に読み残しの電荷が存在することが知られている。図5に、フォトダイオード内の読み残し電荷、すなわち残像が時間と共にどのように減少するかを表した例を示す(詳細については、文献「R. L. Weisfield; HighPerformance Amorphous Silicon Image Sensor for X-ray Diagnostic MedicalImaging Applications. Proc. SPIE Medical Imaging, Feb. 1999. pp. 307〜317. 」を参照のこと)。図5から明らかのように、フォトダイオード内の読み残しの電荷は、X線透視やX線撮影の画像を次々と撮像して行く1秒以下の短い時間では殆ど変化せず、次の画像に前画像の残像という形で影響を及ぼすことになる。
【0005】前画像の残像を除去する方法としては、平面検出器から次の画像を画像記憶手段に記憶する前に、平面検出器のフォトダイオ−ド内の読み残しの電荷を、画像記憶手段に記憶することなしに、読み出すこと(以下、空読みという)が行われている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の従来の技術では、前画像の残像を除去するためには、平面検出器の全部のフォトダイオード、すなわち前画素の空読みを行わなければならず、この空読みのために、さらに1画像の読み出しを行うだけの時間を待たなければならなかった。
【0007】また、X線画像内に非常に輝度の高い領域を持つような場合には、1回の空読みだけでは、残像の除去が不十分で、数画像分の空読みを行わなければならないことがある。図6は、その例を説明するための図で、図6(a)は、X線像を受光した平面検出器のフォトダイオードに蓄積され電荷の分布の一例(X線画像)を示したものである。図6(a)のX線画像では、二次元のX又はYアドレスの中央部に非常に輝度の高い領域が存在することが多い。図6(b)は、図6(a)のX線画像について、1回の空読みを行った後の、平面検出器のフォトダイオードに蓄積された電荷の分布を示したもので、中央部にはまだ輝度の高い領域が残っている。このため、この高輝度部分の残像を除去するためには、数画像分の空読みが必要となる。
【0008】本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、前画像の残像の多い画素だけを空読みすることにより、空読みに要する時間を短縮することができるX線画像診断装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明のX線画像診断装置は、被検体にX線を照射するX線源と、このX線源と対向配置され前記被検体の透過X線を入力してX線画像データを出力する平面X線検出器と、該出力したX線画像を画像データとして記憶する画像記憶手段と、該記憶した画像データを画像表示する表示手段と、画像の読出開始信号を出力する操作手段と、該出力した読出開始信号を受けて前記平面X線検出器からX線画像のデータを読み出し制御する読出制御手段とを備えたX線画像診断装置において、前記操作手段は、所定の時相より1つ前の時相で得たX線画像データを前記平面X線検出器から前記画像記憶手段へ読み出した後の読み出しデータの分布によりその読出範囲を決定する手段を備えると共に、前記読出制御手段は、該決定した読出範囲に基づいて前記平面X線検出器の読み残しデータを読み出し制御する手段を備えたものである。
【0010】また、画像の読み出し開始信号を出力する操作卓と、被検体の透過X線を受光してX線画像を出力する平面検出器と、該平面検出器から出力されるX線画像を画像データとして記憶する画像記憶手段と、該画像記憶手段に記憶されている画像データをX線画像として表示する表示手段と、前記操作卓からの画像の読み出し開始信号を受けて前記平面検出器からX線画像データを読み出すための制御を行う読み出し制御手段とを具備するX線画像診断装置において、前記平面検出器より出力されたX線画像の画像データを記憶するとともに、前記平面検出器が次の画像データを出力する前に前記平面検出器の特定画素の空読みを行い、該空読み画像データを上書き記憶する前画像記憶手段と、該前画像記憶手段に記憶されている画像データから特定画素を抽出し、該特定画素の位置に対応するアドレスを算出して前記読み出し制御手段に出力する読み出しアドレス決定手段とを備え、前記特定画素は画像データの輝度値を基準にして抽出され、前記読み出し制御手段は前記読み出しアドレス決定手段から入力された特定画素のアドレスに従って前記平面検出器の特定画素のみを空読みする制御を行うものである。
【0011】この構成では、従来のX線画像診断装置に対し、前画像記憶手段と読み出しアドレス決定手段を追加したことにより、前画像記憶手段にて画像データの輝度値を基準にした空読みをする特定画素の抽出及び特定画素から空読みした画像データによる上書きを行うことができるため、空読み前及び空読み後の平面検出器における各画素での電荷の読み残し状況を把握することができ、更に読み出しアドレス決定手段にて空読みをする特定画素のアドレスを決定することができるので、読み出し制御手段を介して、平面検出器の特定画素のみの空読みを実施させることができる。その結果、空読みが特定画素のみに限定されるので、空読み時間の短縮が図られる。
【0012】本発明のX線画像診断装置では更に、前記前画像記憶手段の特定画素は特定値(以下、閾値という)以上の輝度値を持つ画素である。この構成では、平面検出器の画素のうちの空読みされる特定画素が特定の輝度値を閾値として抽出されるので、高輝度値を持つ画素が空読みされることになり、この空読みによって、平面検出器の読み残し電荷の多い画素から電荷の読み出しが行われ、効率良く読み残し電荷の低減が図られる。
【0013】本発明のX線画像診断装置では更に、前記前画像記憶手段の特定画素の抽出及び前記平面検出器の特定画素の空読みを複数回実行するものである。この構成では、空読みを1回実行しただけでは、平面検出器の読み残し電荷の除去が不十分な場合に、平面検出器の空読みする特定画素の抽出、空読みを2回以上実行するものであり、その結果、平面検出器の読み残し電荷の除去を十分に、かつ効率良く行うことができる。
【0014】本発明のX線画像診断装置では更に、前記前画像記憶手段の画像データから第2回目以降の空読みの特定画素を抽出する基準となる閾値は、前回の閾値に基づいて決定される。この構成では、空読みの特定画素の抽出基準の閾値を前回の閾値と関連付けて決定できるので、例えば両者の比率を一定にするなどして閾値が容易に決定される。また、平面検出器の画素の輝度値と関連付けて閾値が決定されるので、平面検出器に読み残された電荷の状況が容易に把握され、また平面検出器に読み残された電荷も確実に低減させることができる。
【0015】本発明のX線画像診断装置では更に、前記前画像記憶手段の画像データから第2回目以降の空読みの特定画素を1フレームの画素数から第1回目の空読みの特定画素の画素数を差し引いたものとする。この構成では、1フレームの画像データの読み出し時間の間に2回の空読みを行うことができる。例えば、第1回目の空読みで閾値以上の輝度値の大きい画素を読み出し、第2回目の空読みで、輝度値の大きい順に画像データを読み出すことで、効率良く空読みを行うことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明のX線画像診断装置の実施例を添付図面により説明する。図1は、本発明のX線画像診断装置の一実施例の構成を示すブロック図である。図1において、本実施例のX線画像診断装置は、被検体(図示せず)を透過した透過X線を受光してX線画像を出力する平面検出器(2次元検出器)11と、この平面検出器11から出力されるX線画像を画像データとして記憶する画像記憶手段12と、この画像記憶手段12に記憶されている画像データをX線画像としてモニタ等に表示する表示手段13と、操作者が平面検出器11の画像の読み出しを開始するための信号などを読み出し制御手段15に送る操作卓14と、操作卓14からの画像の読み出し開始信号などを受けて平面検出器11の画像データの読み出し制御を行う読み出し制御手段15と、この読み出し制御手段15からの制御信号により平面検出器11から出力された画像データが画像記憶手段12に記憶された後、画像記憶手段12に記憶されている画像データを記憶するとともに、この記憶された画像データの上に、空読みした特定画素のみの画像データを上書き記憶する前画像記憶手段16と、この前画像記憶手段16に記憶されている画像データの中の特定画素だけを抽出し、それらの特定画素の位置に対応するアドレスを算出して、その特定画素のアドレスを読み出し制御手段15に出力することにより、平面検出器11の特定画素だけを空読みさせる読み出しアドレス決定手段17とから構成される。
【0017】本発明における特徴部分は平面検出器11の画像データの空読みのやり方に関するものであり、図1において平面検出器11の画像データの空読みに関係する要素は、平面検出器11と、前画像記憶手段16と、読み出しアドレス決定手段17と、読み出し制御手段15である。以下、これらの要素について、その内容を説明する。
【0018】先ず、平面検出器11は、従来の技術の欄に記載した如く、平板状のシンチレータとフォトダイオードアレイから成り、フォトダイオードの電荷はスイッチング素子を経由して読み出される。平面検出器11によってX線像が撮像されると、平面検出器11のフォトダイオードアレイの各素子に、X線像のX線量分布に対応した電荷が蓄積される。従って、フォトダイオードアレイの各素子はX線画像の各画素に対応し、フォトダイオードアレイの各素子に蓄積された電荷は画像データ(画素値)に対応する。ここで、フォトダイオードに蓄積された電荷は完全に読み出すには時間がかかるので実質的な画像データとしては、フォトダイオードからスイッチング素子を介して読み出された電荷量が対応する。
【0019】読み出し制御手段15は、操作卓14からの画像読み出し開始信号を受けて、平面検出器11の画像データの1回目の読み出し制御を行い、読み出された1回目の画像データは画像記憶手段12と前画像記憶手段16に出力される。画像記憶手段12に出力された画像データは、そこで記憶され、表示手段13に表示されて、医用診断に供される。前画像記憶手段16に出力された1回目の画像データは、そこで記憶され、特定画素の抽出に使用される。
【0020】読み出し制御手段16は更に、読み出しアドレス決定手段17で決定された特定画素のアドレスの情報に基づいて、平面検出器11の特定画素のみについて、2回目の画像データの読み出し、即ち空読みを行い、前画像記憶手段16に出力する。このとき、2回目の画像データについては、画像記憶手段12には出力しない。前画像記憶手段16では、特定画素について、2回目の画像データを1回目の画像データの上に上書き記憶する。
【0021】前画像記憶手段16は、読み出し制御手段15の制御のもとで、1回目の画像データを記憶した後に、空読みの対象となる特定画素の抽出に利用される。特定画素の抽出された後に、前画像記憶手段16は、その特定画素について、2回目の画像データを記憶する。前画像記憶手段16に記憶された各回目の画像データはそれぞれ、次の回の特定画素の抽出に利用される。
【0022】読み出しアドレス決定手段17は、前画像記憶手段16に記憶された画像データに基づき特定画素を抽出し、その抽出された特定画素の読み出しアドレスを決定して、読み出し制御手段15に出力するものである。
【0023】特定画素の抽出は、通常平面検査器11のフォトダイオードに蓄積された電荷に対応する画像データ、すなわち輝度値に基づいて行われる。この輝度値が大きい程残像が大きくなるので、所定の輝度値を輝度閾値(以下、閾値という)として設定し、この閾値より大きい輝度値を持つ画素を特定画素として抽出するものである。
【0024】この閾値の設定は、図1の実線で示す如く、操作卓14にて直接設定してもよいし、図1の破線で示す如く、閾値設定手段18を別に設けて、この閾値設定手段18にて設定してもよい。後者の場合、閾値設定手段18に閾値テーブルを持たせてその中から閾値を選択させるとか、閾値設定手段18に数式を持たせ、変数を選択させるとかして、閾値を設定することができる。また、この閾値設定の機能については、閾値を用いて特定画素の抽出を行う読み出しアドレス決定手段17に持たせてもよい。
【0025】特定画素の抽出は、1回の場合もあるが、2回以上の場合もある。1回目の特定画素の抽出では、閾値は通常輝度値で設定されるが、2回目以降については必ずしも輝度値のみではなく、他の項目、例えば画素数などで設定される場合もある。
【0026】また、閾値を輝度値で設定する場合、高い輝度値で設定すると、特定画素数が少なくなって読み出し時間は短縮するが、残像が多くなり、空読み回数を多くしなければならず、低い輝度値で設定すると、特定画素数が多くなり読み出し時間が長くなり、空読みの効率が悪くなる。従って、閾値の設定の仕方は重要である。本実施例では前画像データのうちの最高輝度値に一定の比率を乗じた値が閾値として設定されている。
【0027】次に、図1に示した本発明のX線画像診断装置の一実施例の動作例について説明する。先ず、X線画像の撮像モードとしては、透視モードと撮影モードがある。透視モードでは、被検体の撮影位置を決めるために、少ないX線量で被検体の撮像を行い、連続的に平面検出器11からX線画像を読み出し、モニタ等の表示手段13に動画表示する。これに対し、撮影モードでは、透視モードにて決定された被検体の撮影位置において、比較的多いX線量で、雑音成分の少ない鮮明な画像を撮像し、平面検出器11からX線画像を読み出す。上記の透視モードでは、例えば毎秒30枚のX線画像を平面検出器11から読み出して、表示手段13に表示する。
【0028】X線を被検体に照射した後、操作者がX線画像の読み出しを開始する信号を操作卓14より読み出し制御手段15に入力することによって、被検体を透過したX線を受光した平面検出器11からX線画像が出力され、画像記憶手段12に記憶される。
【0029】今、撮影モードから透視モードに移行する場合について考える。撮影モードにおいて、平面検出器11から出力されたX線画像の画像データは画像記憶手段12に記憶された後、同じ画像データは前画像記憶手段16にも記憶される。ここで、前画像記憶手段16に記憶されている画像データ(撮影モードのX線画像の画像データ)の輝度値が大きくなるほど、透視モードへ移行した際に、表示手段13に表示されるX線画像に現れる残像が大きくなる。
【0030】そこで、読み出しアドレス決定手段17は、前画像記憶手段16に記憶されている画像データの中から、輝度閾値以上の輝度値を持つ画素を探し出し、それらの画素を空読みする特定画素としてアドレスを決定し、決定したアドレスを読み出し制御手段15に送る。ここで、閾値については、図5の残像特性、又は撮影モードから透視モードへの切り替えに要する時間などを考慮して操作者(又は閾値設定手段18)が予め決めておき、操作卓14(又は閾値設定手段18)より読み出しアドレス決定手段17に送る。
【0031】読み出し制御手段15は、読み出しアドレス決定手段17より送られた空読みする特定画素のアドレスに基づいて平面検出器11より画像データの読み出し(空読み)を行うとともに、読み出された画像データを前画像記憶手段16に上書き記憶する。
【0032】空読み終了後、操作卓14より透視モードでのX線画像の読み出しを開始する信号がすぐに入力されなければ、すなわち次の自相での透視モードへの移行に時間的余裕がある場合には、前画像記憶手段16に記憶されている、1回目の空読み時に上書きされた画像データを用い2回目の空読みを行う。この2回目の空読みを行う特定画素のアドレスを決めるための閾値としては、1回目の空読みで使用した閾値(特定の値)に基づいて新たな閾値が操作卓14、又は閾値設定手段18で設定されて読み出しアドレス決定手段17に送られる。この新しい閾値の設定法については後述する。
【0033】上記の空読み処理は、操作卓14より透視モードでのX線画像の読み出しを開始する信号が入力されるまで繰り返される。これらの処理を繰り返すことにより、空読み時間を短縮するために特定画素だけを空読みするだけでなく、別のモードが操作卓14より入力されるまでの時間的余裕がある場合には、より広範囲の画像データの空読みを行うことができる。
【0034】次に、図2を用いて読み出しアドレス決定手段17の動作例を説明する。図2は、読み出しアドレス決定手段17において、前画像記憶手段16に記憶されている画像データの中から閾値以上の輝度値を持つ画素を空読みする特定画素として探し出す処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【0035】図2において、前画像記憶手段16に記憶されている画像データは、読み出しアドレス決定手段17の判断ブロック21に1画素ずつ読み出される。判断ブロック21では、読み出された画素の画像データと、予め決められた閾値とを比較する。前画像記憶手段16から読み出された画素の画像データが閾値より大きい場合には、処理ブロック22にてこの画素のアドレスが空読みをする特定画素のアドレスとして決定され、読み出し制御手段15に送られる。読み出しアドレス決定手段17は、以上述べた処理を前画像記憶手段16に記憶されている画像データの画素の数だけ繰り返し行う。
【0036】次に、2回目の空読みの際の閾値の決定法の一例について説明する。この2回目の空読みの際の閾値T1は1回目の空読みで使用した閾値に基づいて新しい閾値として操作卓13又は閾値設定手段18によって設定され、読み出しアドレス決定手段17に送られる。1回目の空読み時の閾値をTとし、平面検出器11のフォトダイオード内の蓄積電荷に対する電荷読み出し後の読み残し電荷の割合をW%とすると、新たに設定する2回目の空読みの際の閾値T1は、下式で表される。
1=T×(W/100)……………(1)
【0037】図3は、空読みの際の閾値と前画像記憶手段16に記憶されている画像データとの関係を説明するための模式図である。図3(a)は、前画像記憶手段16に記憶されている空読み前の画像データの任意の1ラインの輝度分布を示している。図3(a)において、予め決められている閾値T以上の輝度領域α(領域S2とS4)に対応する特定画素のアドレスが読み出しアドレス決定手段17で決められ、そのアドレスに従って各特定画素の空読みが読み出し制御手段15によって行われる。
【0038】図3(b)は、空読み後の前画像記憶手段16に記憶されている画像データの任意の1ラインの輝度分布を示している。空読みの行われた特定画素は、前画像記憶手段16に、上書き記憶されるため、前画像記憶手段16に記憶される空読み後の画像データは、図3(b)に示す如く、空読みされた領域S2とS4の特定画素についての画像データは、最初の輝度値のW%の輝度値分布を有し、空読みされなかった輝度領域S1とS3とS5の画素についての画像データは、最初の輝度値(閾値T以下)のままの輝度値分布を有する。
【0039】ここで、操作卓13又は閾値設定手段18では、式(1)に従って、新たな閾値T1(=T×(W/100))を設定し、読み出しアドレス決定手段17ではこの新しい閾値T1以上の輝度領域α1(領域S12とS2とS3とS4とS51とS53)に対応する特定画素のアドレスを決定し、そのアドレスに従って読み出し制御手段15によって2回目の空読みが行われる。
【0040】また、繰り返し空読みを行う場合には、3回目以降の空読みの閾値(T2、T3…)については、上記の2回目の空読みの閾値T1(=T×(W/100))と同様に、T2=T1×(W/100)などとして設定すればよい。
【0041】次に、繰り返し空読みを行う場合の2回目の空読みの閾値の決め方の他の例について説明する。この例は、1回目の空読みと2回目の空読みを、平面検出器11から1枚の画像を読み出す時間と同じ時間内に終わらせようとするものである。このことから、例えば、平面検出器11から読み出される画像データの総数、すなわち1枚の画像の画素数をN、1回目の空読みで前画像記憶手段16に上書き記憶した画像データの数をn1としたとき、2回目の空読みの対象となる画像データの数n2は、n2=N−n1……………(2)
で表される。
【0042】2回目の空読みの閾値T1は、1回目の空読み終了時に前画像記憶手段16に記憶されている画像データを輝度値の高い順に画素を並べた場合のn2番目の画素の輝度値となる。従って、この閾値T1は、式(1)の如く自動的に決まらず、前画像記憶手段16に記憶されている画像データの中から探す必要がある。
【0043】以下に、読み出しアドレス決定手段での本例の閾値を用いた2回目の空読みを行う画素のアドレスを決定する処理手順について説明する。図4は、読み出しアドレス決定手段17において2回目の空読みを行う特定画素のアドレスを探し出す処理の流れを説明するためのフローチャートである。図4において、前画像記憶手段16には、1回目の空読みが終了した後の、空読み画像データを上書き記憶した画像データが記憶されている。先ず、処理ブロック41では、前画像記憶手段16の画像データの中から最大輝度値Tmaxが検出される。次に、判断ブロック42では、前画像記憶手段16から読み出された画像データと前記最大輝度値Tmaxとを比較し、同じ値である場合にはこの画像データは次の判断ブロック43に送られる。もし、前画像記憶手段16から読み出された画像データと前記最大輝度値Tmaxとが異なる値の場合には、処理ブロック44にて最大輝度値Tmaxの値が変更される。
【0044】次に、判断ブロック43では、送られてきた画像データが2回目の空読みを行う画像データの数n2に含まれるのか否かを判断し、空読みを行う画数データの数n2に含まれる場合には、処理ブロック45にて、前記画像データのアドレスが空読み対象となる特定画素のアドレスとして決定され、読み出し制御手段15に送られる。しかし空読みを行う画像データの数n2に含まれない場合(n2を越えた場合)には、処理ブロック46にて、空読み対象となる特定画素のアドレスを探し出す処理は終了とされる。以上の処理は、処理ブロック47にて、空読み画素数がn2に達するまで繰り返し行われる。
【0045】上記の例では、平面検出器11の1枚の画像を読み出す時間だけ空読みを行う場合について説明したが、例えば、循環器検査のように撮影と撮影との間隔が数画像分空いていて、その時間が予めわかっているときには、空読みをある決められた回数だけ繰り返したり、或いは前画像記憶手段16に記憶されている画像データを全て所望の値Tmax以下にするなどの条件を設定して上記の処理を繰り返したりすればよい。ここで、所望の値Tmaxは、残像が次の画像に影響を与えない輝度値として決められる値である。
【0046】更に、上記実施例では、撮影モードから透視モードへ時相を移行する場合について述べたが、本発明は透視モードから撮影モードへの移行時、或いは撮影モードで2枚以上のX線画像を読み出すときの次の画像の画像データを読み出すまでの間や透視モードと透視モードとの間についても適用可能であることは言うまでもない。
【0047】また、本実施例では、画像記憶手段と前画像記憶手段とを別個の記憶手段として設けたもので説明したが、画像記憶手段の一部を前画像記憶手段として使用するように構成してもよいことは言うまでもない。
【0048】
【発明の効果】以上説明した如く、本発明によれば、前画像の中の残像の多い画素だけを選んで空読みすることができるので、空読みに要する時間を短縮することが可能なX線画像診断装置を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000153498
【氏名又は名称】株式会社日立メディコ
【出願日】 平成12年2月1日(2000.2.1)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−212122(P2001−212122A)
【公開日】 平成13年8月7日(2001.8.7)
【出願番号】 特願2000−24318(P2000−24318)