| 【発明の名称】 |
脂肪燃焼値算出方法、脂肪燃焼値算出装置及び運動機器 |
| 【発明者】 |
【氏名】大島 秀武
【氏名】志賀 利一
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| 【要約】 |
【課題】運動強度の高低にかかわらず個人の運動中の脂肪燃焼率及び脂肪燃焼量を精度良く算出する脂肪燃焼値算出方法及び脂肪燃焼値算出装置を提供する。
【解決手段】運動開始により心電信号を検出し(ST5)、その検出値から心拍数を算出し(ST6)、更に心拍間隔のゆらぎパワーを算出し(ST7)、ゆらぎパワーからAT強度を決定する(ST8)。AT強度を決定できたら、予め設定した運動プログラムを実行し(ST11)、運動中の負荷値を検出し(ST12)、消費カロリーを算出する(ST13)。次いで、運動中の心電信号を検出し(ST14)、その検出信号から心拍数を算出し(ST15)、運動中の脂肪燃焼率を算出する(ST16)。そして、消費カロリーと脂肪燃焼率から脂肪燃焼量を算出し(ST17)、それらの累積値も算出し(ST18)、これらの値を表示する(ST19)。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】運動中の生体から生理信号を測定し、得られた生理信号に基づいて脂肪燃焼率を算出することを特徴とする脂肪燃焼値算出方法。 【請求項2】前記生理信号は、心電信号又は拍動信号であることを特徴とする請求項1記載の脂肪燃焼値算出方法。 【請求項3】前記生理信号は、少なくとも心電信号により得られた心拍数又は拍動信号により得られた脈拍数と、心電信号により得られた心拍間隔のゆらぎ値との両方であることを特徴とする請求項1記載の脂肪燃焼値算出方法。 【請求項4】前記心拍間隔のゆらぎ値は、心拍間隔のゆらぎのパワー値であることを特徴とする請求項3記載の脂肪燃焼値算出方法。 【請求項5】前記心拍間隔のゆらぎ値は、心拍間隔のゆらぎのエントロピーであることを特徴とする請求項3記載の脂肪燃焼値算出方法。 【請求項6】前記生理信号は、少なくとも心電信号により得られた心拍数又は拍動信号により得られた脈拍数と、心拍数変動スペクトルのパワー値との両方であることを特徴とする請求項1記載の脂肪燃焼値算出方法。 【請求項7】運動中の生体から生理信号を測定し、得られた生理信号から無酸素性運動閾値(AT)を決定し、決定した無酸素性運動閾値における運動強度に基づいて脂肪燃焼率を算出することを特徴とする脂肪燃焼値算出方法。 【請求項8】前記無酸素性運動閾値における運動強度と運動時の運動強度との比率から脂肪燃焼率を算出することを特徴とする請求項7記載の脂肪燃焼値算出方法。 【請求項9】前記無酸素性運動閾値における運動強度は、心電信号により得られた心拍間隔のゆらぎのパワー値の変化から決定することを特徴とする請求項7又は請求項8記載の脂肪燃焼値算出方法。 【請求項10】前記無酸素性運動閾値における運動強度は、心電信号により得られた心拍間隔のゆらぎのエントロピーの変化から決定することを特徴とする請求項7又は請求項8記載の脂肪燃焼値算出方法。 【請求項11】前記無酸素性運動閾値における運動強度は、心拍数変動スペクトルのパワー値の変化から決定することを特徴とする請求項7又は請求項8記載の脂肪燃焼値算出方法。 【請求項12】前記無酸素性運動閾値における運動強度は、心拍数と収縮期血圧の積の値の変化から決定することを特徴とする請求項7又は請求項8記載の脂肪燃焼値算出方法。 【請求項13】前記無酸素性運動閾値における運動強度は、以前に測定した無酸素性運動閾値を用いて決定することを特徴とする請求項7又は請求項8記載の脂肪燃焼値算出方法。 【請求項14】算出した脂肪燃焼率と、運動強度から算出した消費カロリーとから脂肪燃焼量を算出することを特徴とする請求項1又は請求項7記載の脂肪燃焼値算出方法。 【請求項15】運動中の生体から生理信号を測定する生理信号測定手段と、この生理信号測定手段により得られた生理信号に基づいて脂肪燃焼率を算出する脂肪燃焼率算出手段とを備えることを特徴とする脂肪燃焼値算出装置。 【請求項16】前記生理信号は、心電信号又は拍動信号であることを特徴とする請求項15記載の脂肪燃焼値算出装置。 【請求項17】前記生理信号は、少なくとも心電信号により得られた心拍数又は拍動信号により得られた脈拍数と、心電信号により得られた心拍間隔のゆらぎ値との両方であることを特徴とする請求項15記載の脂肪燃焼値算出装置。 【請求項18】前記心拍間隔のゆらぎ値は、心拍間隔のゆらぎのパワー値であることを特徴とする請求項17記載の脂肪燃焼値算出装置。 【請求項19】前記心拍間隔のゆらぎ値は、心拍間隔のゆらぎのエントロピーであることを特徴とする請求項17記載の脂肪燃焼値算出装置。 【請求項20】前記生理信号は、少なくとも心電信号により得られた心拍数又は拍動信号により得られた脈拍数と、心拍数変動スペクトルのパワー値との両方であることを特徴とする請求項15記載の脂肪燃焼値算出装置。 【請求項21】運動中の生体から生理信号を測定する生理信号測定手段と、この生理信号測定手段により得られた生理信号から無酸素性運動閾値(AT)を決定する無酸素性運動閾値決定手段と、決定した無酸素性運動閾値における運動強度に基づいて脂肪燃焼率を算出する脂肪燃焼率算出手段とを備えることを特徴とする脂肪燃焼値算出装置。 【請求項22】前記脂肪燃焼率算出手段は、無酸素性運動閾値における運動強度と運動時の運動強度との比率から脂肪燃焼率を算出することを特徴とする請求項21記載の脂肪燃焼値算出装置。 【請求項23】前記無酸素性運動閾値における運動強度は、心電信号により得られた心拍間隔のゆらぎのパワー値の変化から決定することを特徴とする請求項21又は請求項22記載の脂肪燃焼値算出装置。 【請求項24】前記無酸素性運動閾値における運動強度は、心電信号により得られた心拍間隔のゆらぎのエントロピーの変化から決定することを特徴とする請求項21又は請求項22記載の脂肪燃焼値算出装置。 【請求項25】前記無酸素性運動閾値における運動強度は、心拍数変動スペクトルのパワー値の変化から決定することを特徴とする請求項21又は請求項22記載の脂肪燃焼値算出装置。 【請求項26】前記無酸素性運動閾値における運動強度は、心拍数と収縮期血圧の積の値の変化から決定することを特徴とする請求項21又は請求項22記載の脂肪燃焼値算出装置。 【請求項27】前記無酸素性運動閾値における運動強度は、以前に測定した無酸素性運動閾値を用いて決定することを特徴とする請求項21又は請求項22記載の脂肪燃焼値算出装置。 【請求項28】前記脂肪燃焼率算出手段により算出された脂肪燃焼率と、運動強度から算出した消費カロリーとから脂肪燃焼量を算出する脂肪燃焼量算出手段を備えることを特徴とする請求項15又は請求項21記載の脂肪燃焼値算出装置。 【請求項29】目標とする脂肪燃焼量を入力する入力手段と、前記脂肪燃焼量算出手段により算出された脂肪燃焼量と運動時間から目標の脂肪燃焼量に達するまでの残り時間を算出する残余時間算出手段とを備えることを特徴とする請求項28記載の脂肪燃焼値算出装置。 【請求項30】運動を開始してからの脂肪燃焼量の累積値を算出する累積値算出手段を備えることを特徴とする請求項28記載の脂肪燃焼値算出装置。 【請求項31】被験者に所定の負荷運動をさせる運動負荷装置と、前記運動負荷装置を制御する運動負荷装置制御部と、運動時における前記被験者の心電信号を測定する生理信号測定手段と、前記生理信号測定手段により測定された心電信号より心拍間隔のゆらぎ値を算出し、ゆらぎ値に基づいて無酸素性運動閾値(AT)を決定する無酸素性運動閾値決定手段と、前記無酸素性運動閾値決定手段で決定された無酸素性運動閾値における運動強度を記憶しておき、運動時の運動強度と記憶された無酸素性運動閾値における運動強度との関係から脂肪燃焼率を算出する脂肪燃焼率算出手段と、前記脂肪燃焼率算出手段で算出された脂肪燃焼率に基づき燃焼された脂肪に関する情報を表示する表示手段とを備えることを特徴とする運動機器。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、運動中の生体から測定される生理信号に基づいて脂肪燃焼率や脂肪燃焼量を算出する脂肪燃焼値算出方法、脂肪燃焼値算出装置及び運動機器に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、脂肪燃焼量(脂肪消費量)を算出する装置としては、特開平9−173500号:「トレーニングシステム」や、特開平7−84994号:「消費脂肪量算出装置」などがある。 【0003】前者のトレーニングシステムでは、数十人の被験者に対し、呼吸代謝測定装置を用いて実験的に脂肪燃焼率を算出し、その結果から統計的手法を用い、運動開始からの経過時間に応じて脂肪燃焼比(%)を推定できるようになっている。 【0004】後者の消費脂肪量算出装置では、脂肪消費率が運動時間に比例し、運動強度に反比例するという特性に基づいたテーブルに従って脂肪消費率(%)を算出している。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のような従来の脂肪燃焼量の算出においては、次のような問題点がある。 【0006】前者では、脂肪燃焼率が運動開始からの経過時間のみに基づいて算出されており、運動強度の変化による脂肪燃焼率の変化が考慮されていない。このため、運動中に負荷強度が高低に変化すると、正確な脂肪燃焼率が適用されず、延いては脂肪燃焼量の算出精度が悪くなる。 【0007】後者では、脂肪燃焼量が運動強度に反比例するように予め作成されたテーブルを用いて脂肪燃焼率を算出しており、これも運動強度と脂肪燃焼率との関係、即ち最大運動強度の50〜60%までは、糖質と脂肪の燃焼比率は約50%であるが、それよりも大きい運動強度では強度の増加に伴って脂肪燃焼率が低下し、最大強度での運動時には脂肪燃焼率が0%になる特性に合致しておらず、脂肪燃焼量の算出に誤差が生じる。 【0008】本発明は、そのような従来の問題点に着目してなされたもので、運動強度の高低にかかわらず個人の運動中の脂肪燃焼率及び脂肪燃焼量を精度良く算出する脂肪燃焼値算出方法、脂肪燃焼値算出装置及び運動機器を提供することを目的とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】前記目的を達成するために、本発明の脂肪燃焼値算出方法は、運動中の生体から生理信号を測定し、得られた生理信号に基づいて脂肪燃焼率を算出することを特徴としている。 【0010】この算出方法では、運動中の生理信号、即ち運動中に時々刻々と変化する生理信号から脂肪燃焼率を算出するので、前記従来の技術(脂肪燃焼率の変化を考慮しないもの、脂肪燃焼量が運動強度に反比例するように予め作成したテーブルを用いるもの)に比べて、脂肪燃焼率を精度良く算出することができ、それにより脂肪燃焼を目的として運動を行う者に対して正確で有効な情報を提供できる。 【0011】この算出方法において、具体的に生理信号は、心電信号又は拍動信号であるが、より具体的には、例えば少なくとも心電信号により得られた心拍数又は拍動信号により得られた脈拍数と、心電信号により得られた心拍間隔のゆらぎ値との両方である。ここに心拍間隔のゆらぎ値は、心拍間隔のゆらぎのパワー値でもよいし、心拍間隔のゆらぎのエントロピーでもよい。又は、より具体的な生理信号として、少なくとも心電信号により得られた心拍数又は拍動信号により得られた脈拍数と、心拍数変動スペクトルのパワー値との両方でもよい。 【0012】上記算出方法は、生理信号に基づいて脂肪燃焼率を算出するものであるが、運動中の生体から測定した生理信号から無酸素性運動閾値(AT)を決定し、決定した無酸素性運動閾値における運動強度に基づいて脂肪燃焼率を算出するのでも構わない。脂肪燃焼率は、具体的には例えば無酸素性運動閾値における運動強度と運動時の運動強度との比率から算出する。 【0013】この算出方法において、無酸素性運動閾値における運動強度は、次のいずれの方法で決定してもよい。 ■心電信号により得られた心拍間隔のゆらぎのパワー値の変化から決定する。 ■心電信号により得られた心拍間隔のゆらぎのエントロピーの変化から決定する。 ■心拍数変動スペクトルのパワー値の変化から決定する。 ■心拍数と収縮期血圧の積の値の変化から決定する。 ■以前に測定した無酸素性運動閾値を用いて決定する。 【0014】また、上記算出方法は脂肪燃焼率を算出するものであるが、算出した脂肪燃焼率と、運動強度から算出した消費カロリーとから脂肪燃焼量を算出すれば、脂肪燃焼量も精度良く算出することができる。 【0015】一方、本発明の脂肪燃焼値算出装置は、運動中の生体から生理信号を測定する生理信号測定手段と、この生理信号測定手段により得られた生理信号に基づいて脂肪燃焼率を算出する脂肪燃焼率算出手段とを備える。この装置は、上記前者の算出方法を実施するものである。 【0016】この装置で用いる生理信号は前記したとおりである。 【0017】また、後者の算出方法を実施する脂肪燃焼値算出装置は、運動中の生体から生理信号を測定する生理信号測定手段と、この生理信号測定手段により得られた生理信号から無酸素性運動閾値(AT)を決定する無酸素性運動閾値決定手段と、決定した無酸素性運動閾値における運動強度に基づいて脂肪燃焼率を算出する脂肪燃焼率算出手段とを備える。ここでも、脂肪燃焼率は、具体的には例えば無酸素性運動閾値における運動強度と運動時の運動強度との比率から算出する。 【0018】この装置において決定する無酸素性運動閾値における運動強度も、前記した■〜■のいずれの方法で決定してもよい。 【0019】これらの装置は、いずれも脂肪燃焼率を算出するものであるが、脂肪燃焼率算出手段により算出された脂肪燃焼率と、運動強度から算出した消費カロリーとから脂肪燃焼量を算出する脂肪燃焼量算出手段を備えれば、精度の良い脂肪燃焼量を算出することができる。 【0020】更に、この装置において、目標とする脂肪燃焼量を入力する入力手段と、脂肪燃焼量算出手段により算出された脂肪燃焼量と運動時間から目標の脂肪燃焼量に達するまでの残り時間を算出する残余時間算出手段とを備えれば、各人が希望する脂肪燃焼量になるまで、後どのくらい運動を続ければいいかが分かり、運動への意気込みや楽しみを増すように働きかけることができる。 【0021】或いは、運動を開始してからの脂肪燃焼量の累積値を算出する累積値算出手段を備えれば、脂肪をどの程度燃焼できたか分かり、これも運動に対する取組意欲を向上させることができる。 【0022】他方、本発明の運動機器は、被験者に所定の負荷運動をさせる運動負荷装置と、前記運動負荷装置を制御する運動負荷装置制御部と、運動時における前記被験者の心電信号を測定する生理信号測定手段と、前記生理信号測定手段により測定された心電信号より心拍間隔のゆらぎ値を算出し、ゆらぎ値に基づいて無酸素性運動閾値(AT)を決定する無酸素性運動閾値決定手段と、前記無酸素性運動閾値決定手段で決定された無酸素性運動閾値における運動強度を記憶しておき、運動時の運動強度と記憶された無酸素性運動閾値における運動強度との関係から脂肪燃焼率を算出する脂肪燃焼率算出手段と、前記脂肪燃焼率算出手段で算出された脂肪燃焼率に基づき燃焼された脂肪に関する情報を表示する表示手段とを備えることを特徴とする。 【0023】この運動機器は、前記後者の脂肪燃焼値算出装置を組み込んだものである。ここに表示手段に表示される“燃焼された脂肪に関する情報”は、脂肪燃焼量、運動中に累積された脂肪燃焼量、目標の脂肪燃焼量に達するまでの時間等の情報を意味する。 【0024】なお、本発明における脂肪燃焼値とは、脂肪燃焼率や脂肪燃焼量を指す。 【0025】 【発明の実施の形態】以下、本発明を実施の形態に基づいて説明する。 【0026】図1は、本発明の脂肪燃焼値算出装置を組み込んだ運動機器としての自転車エルゴメータの回路構成を示すブロック図である。このエルゴメータは、心電信号を検知する心電センサ1と、その出力信号を増幅するプリアンプ2と、ノイズを除去するためのフィルタ3と、心電信号を更に適正なレベルまで増幅するアンプ4と、A/D変換器5と、種々の処理を実行するCPU6と、キー入力装置7と、運動強度や脂肪燃焼量などを表示する表示器8と、回転負荷を可変できる負荷装置9とを備える。 【0027】CPU6は、運動負荷時における生体からの生理信号に基づいて、運動負荷時における生理信号の変動パターンから適切な運動強度を決定して負荷装置9を制御する機能、決定された運動強度に基づいて脂肪燃焼率を算出する機能、算出した脂肪燃焼率と、計測した運動時間及び運動強度から算出した消費カロリーとから脂肪燃焼量を算出する機能、消費カロリーや脂肪燃焼量の累積値を算出する機能などを有する。 【0028】図2は、この自転車エルゴメータの外観斜視図である。図2において、このエルゴメータは、サドル11と、ハンドル12と、キー入力装置7、表示器8及び報知器(図示せず)などを有する操作部13と、ペダル14と、前脚フレーム15と、後脚フレーム16とを備える。ハンドル12には心電検出用の一対の電極(生理信号測定手段)17が設けられ、運動時に運動者がハンドル12の電極17の部分を両手で握ることで、両手と電極17が接触し、手から心電信号が検出されるようになっている。 【0029】このエルゴメータでは、被験者(運動者)がサドル11に腰掛けてペダル14を踏み、ペダル14を回転させることによって運動を行うものである。ペダル14は、運動強度の度合に応じた重みとなるように負荷が加えられ、負荷が大きいと、ペダル14を一定数回転させるのに、当然多くの運動量が要求される。但し、このこと自体は周知である。 【0030】なお、図2の実施形態では、心電検出用の電極17をハンドル12に設けてあるが、種々の変更が可能である。例えば図3では、運動者Mの胸に一対の電極及び送信部を備えたチェストベルト41が装着され、ハンドル12に受信部42(図2の操作部13に相当)が設けられている。この場合、運動者Mの胸から検出された心電信号は、無線で受信部42に送信されて処理される。 【0031】図4の実施形態は、+(プラス)、−(マイナス)、G(グランド)の3個の電極45,46,47が運動者Mの胸に貼り付けられ、有線48で本体内の回路部に接続され、心電信号を検出する胸部誘導型のものである。 【0032】図5の実施形態では、心電センサに代えて運動者Mの耳朶に脈拍センサ49が取付けられ、脈拍が検出される。 【0033】このように構成された運動機器では、心電センサや脈拍センサで検出された心電信号や脈波信号といった運動負荷変化に対する生理信号に基づいて、運動負荷時における生理信号の変動パターンから適切な運動強度が決定され、決定された運動強度に応じてペダル14を漕ぐ強度が変化する。 【0034】次に、生理信号の変化から無酸素性運動閾値(AT)を決定し、決定した無酸素性運動閾値における運動強度(以下、AT強度という)に基づいて脂肪燃焼率及び脂肪燃焼量を算出する方法について、図6及び図7のフロー図を参照して具体的に説明する。図6及び図7のフロー図は、ゆらぎパワーの算出後、心拍間隔のゆらぎパワーの収束レベルからAT強度を決定し、脂肪燃焼量を算出する処理の一例を示すものである。 【0035】まず、ステップ(以下、STと略す)1において、図1のキー入力装置7によって年齢が入力され、トレーニング開始キーが押されると(ST2)、表示器8に“トレーニング開始”を表示し(ST3)、負荷装置9の制御を開始する(ST4)。この制御としては、例えば初期負荷値20〔W〕で2分間ウォーミングアップを行った後、毎分15〔W〕のランプ負荷を与える。次に、心電センサ1で心電信号を検出し(ST5)、心電信号のピーク値の検出から心拍数を算出し(ST6)、次式(1)よりゆらぎパワーを算出する(ST7)。 【0036】 Power (n)〔ms2 〕={RR(n)−RR(n−1)}2 ………(1) これは前回と今回の1周期の差を二乗したもので、ここでは心拍間隔のゆらぎのパワー値と称している。このPower データにおいて、例えば30秒間の平均値を15秒間隔で算出し、運動負荷の増加に対するゆらぎパワーの変動特性を求める。 【0037】次いで、ゆらぎパワーの変動特性からAT強度を求めるのであるが、無酸素性運動閾値(AT)を決定する方法は、本願の先願に係るPCT/JP99/00829〔特願平10−46803号:「運動機器及び体力評価方法」を基礎にした国際出願特許で未公開〕に記載されている。それによれば、上記式(1)から算出したゆらぎパワーは、図8に示すように、運動負荷の増加に伴って減少し、収束する。このゆらぎパワーが予め定めた基底値を下回り、且つ次式(2)より算出した前回のパワー値との差が予め定めた基準値以下に達した場合、収束点と判断され、ATポイントとなる。 【0038】 Δpower=power(n−1)−power(n) ………(2) このように、心拍間隔のゆらぎパワーを算出し(ST7)、ゆらぎパワーが指数関数的に低下する収束点からAT強度を決定する(ST8)。AT強度と判断できない場合は、ST8の判定がNoとなり、運動負荷を漸増し(ST9)、ST5〜ST8の処理を繰り返す。AT強度と判断できたら、図9に示したように、AT強度に基づいて予め設定された運動負荷の制御を行う各種運動プログラムに移行する(ST11)。 【0039】次に、運動プログラムによって制御されている現在の運動中の負荷値を検出し(ST12)、次式(3)により運動中の単位時間当たりの消費カロリーを算出する(ST13)。 【0040】 消費カロリー〔kcal/分〕=運動負荷値〔Watt〕÷0.232 ×14.3÷1000 ………(3) Watt:表示負荷値,0.232 :エルゴメータの運動効率(23.2%),14.3:1W=14.3 cal/分,÷1000:cal をkcalに換算次いで、運動中の心電信号を検出し(ST14)、その検出信号から心拍数を算出し(ST15)、運動中の脂肪燃焼率を算出する(ST16)。即ち、図10に示すように、運動中の心拍数がAT強度での心拍数(以下、AT心拍数という)以下の場合には、脂肪燃焼率が50%に決定され、AT心拍数よりも高い場合には、心拍数の増加に反比例して脂肪燃焼率が減少し、最大心拍数(220−年齢)での脂肪燃焼率が0%となるように、次式(4)によって脂肪燃焼率を算出する。 【0041】 脂肪燃焼率(>AT)〔%〕=−{50/(最大心拍数−AT心拍数)} +{50/(最大心拍数−AT心拍数)} ×最大心拍数 ………(4) この式(4)から算出された脂肪燃焼率と消費カロリーに基づき、次式(5)から単位時間当たりの脂肪燃焼量を算出する(ST17)。 【0042】 脂肪燃焼量〔g〕=消費カロリー〔kcal〕×脂肪燃焼率〔%〕÷9 ………(5) 更に、運動時間を計測し、運動時間と単位時間当たりの消費カロリー及び単位時間当たりの脂肪燃焼量から、消費カロリー及び脂肪燃焼量の累積値を算出し(ST18)、その各種値を表示器8に表示する(ST19)。 【0043】消費カロリー及び脂肪燃焼量等の表示は、図11に示すような表示器8の表示部で行われる。この表示部はLCDで構成され、上段にプログラム表示マーク領域50、データ表示領域51、単位表示領域52及びプログラム表示マーク領域53を有し、下段にグラフィック表示領域54を有する。 【0044】この表示部による具体的な表示例は、図12に示すとおりである。図12の(a)は、消費カロリーと累積消費カロリーを表示している場合、図12の(b)は、脂肪燃焼量と累積脂肪燃焼量を表示している場合である。いずれも、上段のデータ表示領域51に消費カロリーや脂肪燃焼量等の数値が表示され、下段のグラフィック表示領域54に“消費カロリー”や“脂肪燃焼量”等の文字が水平方向にスクロールされながら表示される。 【0045】続いて、図1のキー入力装置7のトレーニング終了キーが押されると(ST20)、表示器8に“トレーニング終了”を表示し(ST21)、プログラムが終了する(ST22)。また、トレーニング終了キーが押されない場合は、運動プログラムを継続し、ST12〜ST20の処理を繰り返す。 【0046】なお、上記図6及び図7のフロー図では、運動中の心拍数とAT心拍数との比率から脂肪燃焼率を算出したが、図13及び図14のフロー図に示すように、運動時の負荷値とAT強度との比率から脂肪燃焼率を算出してもよい。 【0047】即ち、図13及び図14のフロー図において、まず図1のキー入力装置7によってトレーニング開始キーが押されると(ST31)、表示器8に“トレーニング開始”を表示し(ST32)、負荷装置9の制御を開始する(ST33)。次に、心電センサ1で心電信号を検出し(ST34)、心電信号のピーク値から心拍数を算出し(ST35)、上記式(1)よりゆらぎパワーを算出する(ST36)。このゆらぎパワーの変化特性から収束判定を行い、AT強度を決定する(ST37)。ST37でAT強度と判断できない場合は、判定Noで運動負荷を漸増し(ST38)、ST34〜ST37の処理を繰り返す。AT強度と判断できたら、図9に示したようなAT強度に基づいて予め設定された運動負荷の制御を行う各種運動プログラムに移行する(ST41)。 【0048】続いて、運動プログラムによって制御されている現在の運動中の負荷値を検出し(ST42)、上記式(3)より運動中の単位時間当たりの消費カロリーを求める(ST43)。 【0049】それから、AT強度以下の運動負荷での脂肪燃焼率は50%に決定する一方、AT強度は平均的に最大運動強度の約50%で出現することが報告されていることから〔公知文献名:「Exercise Physiology in health and desease 」,Wasserman K, and Whipp BJ 〕、AT強度よりも高い強度での脂肪燃焼率は、図15に示すように、AT強度から最大運動強度までの脂肪燃焼率が負荷強度の増加に反比例して減少するように、次式(6)で算出する(ST44)。 【0050】 脂肪燃焼率(>AT強度)〔%〕=−0.5 ×(負荷強度/AT強度×100 ) +100 ………(6) なお、ここでは、AT強度が平均的に最大運動強度の約50%で出現することを利用して脂肪燃焼率を算出したが、図16に示したように、最大下での運動時の負荷強度と心拍数との関係から、心拍数=a×負荷強度+bの回帰直線を算出し、この式の心拍数の値に最大心拍数(220−年齢)の値を代入することで最大負荷強度を求めてもよい。或いは、疲労困憊まで運動を行い、最大負荷強度を実測してもよく、この場合は次式(7)によって、AT強度よりも高い強度での運動時の脂肪燃焼率が算出される。 【0051】 脂肪燃焼率(>AT)〔%〕=−{50/(最大強度−AT強度)} +{50/(最大強度−AT強度)} ×最大強度 ………(7) 上記式から算出した脂肪燃焼率と消費カロリーに基づき、上記式(5)によって単位時間当たりの脂肪燃焼量を算出する(ST45)。 【0052】更に、運動時間と単位時間当たりの消費カロリー及び単位時間当たりの脂肪燃焼量から、消費カロリー及び脂肪燃焼量の累積値を算出し(ST46)、それらの値を前記したような表示器8の表示部に表示する(ST47)。 【0053】そして、図1のキー入力装置7のトレーニング終了キーが押されると(ST48)、表示器8に“トレーニング終了”を表示し(ST49)、プログラムが終了する(ST50)。また、トレーニング終了キーが押されない場合は、運動プログラムを継続し、ST42〜ST48の処理を繰り返す。 【0054】なお、上記実施形態は、運動負荷時における心拍間隔のゆらぎパワーの変動パターンに応じてAT強度を決定して脂肪燃焼率を算出する方法に係るものであるが、心拍間隔のゆらぎパワーの代わりに、心拍間隔のゆらぎのエントロピーを用いてもよい。また、AT強度の決定には、呼気ガス分析により酸素摂取量(VO2 )の増加に対する二酸化炭素排出量(VCO2 )の増加の変曲点、VO2 に対する換気当量(VE/VO2 )の上昇点から求めた無酸素性運動閾値(AT)、或いは心拍数と収縮期血圧の積であるダブルプロダクトの変曲点を用いてもよい。 【0055】また、上記表示器8では、図12に示すように消費カロリー及び脂肪燃焼量やその累積値を表示しているが、予めキー入力装置7により入力した目標とする脂肪燃焼量、運動により消費した脂肪燃焼量及び運動時間から目標の脂肪燃焼量に達するまでの残り時間を算出し、この残余時間を表示するようにしてもよい。 【0056】 【発明の効果】以上説明したように、本発明の脂肪燃焼値算出方法、脂肪燃焼値算出装置及び運動機器によれば、運動中に時々刻々と変化する生理信号から脂肪燃焼率を算出するので、前記従来の技術(脂肪燃焼率の変化を考慮しないもの、脂肪燃焼量が運動強度に反比例するように予め作成したテーブルを用いるもの)に比べて、脂肪燃焼率及び脂肪燃焼量を精度良く算出することができ、それにより脂肪燃焼を目的として運動を行う者に対して正確で有効な情報を提供できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002945 【氏名又は名称】オムロン株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年1月18日(2000.1.18) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100084962 【弁理士】 【氏名又は名称】中村 茂信
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| 【公開番号】 |
特開2001−198114(P2001−198114A) |
| 【公開日】 |
平成13年7月24日(2001.7.24) |
| 【出願番号】 |
特願2000−8494(P2000−8494) |
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