| 【発明の名称】 |
MRI装置のコイル構造 |
| 【発明者】 |
【氏名】中林 和人
【氏名】濱村 良紀
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| 【要約】 |
【課題】静音化タイプのMRI装置であっても、WBコイルと傾斜磁場コイルとの電気的、磁気的な干渉を防ぐシールドを好適に配置して、その機能を確実に発揮させる一方で、シールドを配置したことに因るWBコイルの効率の低下を最小限に止め、これにより受信時のS/N及びスピン励起用磁場の発生効率を良好な値に維持させる。
【解決手段】真空封入用の容器12内に傾斜磁場コイル13を配置し、容器12の内周側壁体12Bの容器外側にWBコイル17を配置する。容器内の内周側壁体12Bと傾斜磁場コイル13との間に、当該傾斜磁場コイル13とWBコイル17との磁気的干渉を抑制するシールド体16を配置する。シールド体16は、例えば、傾斜磁場コイル13の内周面に貼り付けられる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 外周側壁体及び内周側壁体とを有する壁体に囲まれ且つ大気圧よりも実質的に低い気圧に制御された容器を備え、この容器内に傾斜磁場コイルを配置し、前記容器の内周側壁体の容器外側にRFコイルを配置し、前記容器内の前記内周側壁体と前記傾斜磁場コイルとの間に当該傾斜磁場コイルと前記RFコイルとの磁気的干渉を抑制するシールド体を配置したことを特徴とするMRI装置のコイル構造。 【請求項2】 請求項1記載のMRI装置のコイル構造において、前記傾斜磁場コイルは円筒状のコイルアセンブリであり、前記シールド体は、前記容器内において前記傾斜磁場コイルの内周面に貼り付けたことを特徴とするMRI装置のコイル構造。 【請求項3】 請求項2記載のMRI装置のコイル構造において、前記シールド体に空気抜き用の穴を形成したことを特徴とするMRI装置のコイル構造。 【請求項4】 請求項1乃至3の何れか一項に記載のMRI装置のコイル構造において、前記RFコイルは全身用RFコイルであることを特徴とするMRI装置のコイル構造【請求項5】 請求項4記載のMRI装置のコイル構造において、前記全身用RFコイルを制御信号に応答して電気的に開放するスイッチを当該全身用RFコイルに設けたことを特徴とするMRI装置のコイル構造。 【請求項6】 請求項1乃至5のいずれか一項に記載のMRI装置のコイル構造において、前記傾斜磁場コイルは、X,Y及びZチャンネルの夫々について一次コイルと二次コイルとを有する能動遮蔽型傾斜磁場コイル(ASGC)であることを特徴とするMRI装置のコイル構造。 【請求項7】 請求項1乃至6のいずれか一項に記載のMRI装置のコイル構造において、前記傾斜磁場コイルは、前記容器に弾性体を介して支持されていることを特徴とするMRI装置のコイル構造。 【請求項8】 請求項1乃至6のいずれか一項に記載のMRI装置のコイル構造において、前記容器の外周側壁体の容器外周側に静磁場磁石を配置し、この静磁場磁石と前記傾斜磁場コイルとを、当該傾斜磁場コイルの荷重を当該静磁場磁石に掛けない状態で各別に支持したことを特徴とするMRI装置のコイル構造。 【請求項9】 請求項8記載のMRI装置のコイル構造において、前記静磁場磁石と前記傾斜磁場コイルとを各別に床又は床に設けた設置サイトに直接支持させたことを特徴とするMRI装置のコイル構造。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、磁気共鳴イメージング装置(以下、MRI装置という)のコイル構造に係り、とくに、診断時の静音化を目的として、大気よりも実質的に低い気圧に制御した容器内に傾斜磁場コイルを封入するMRI装置に対する、傾斜磁場コイルとRFコイルとの間の磁気的干渉を抑制するためのシールド体の配置構造に関する。 【0002】 【従来の技術】MRI装置にあっては、被検体にスピン励起用のRF磁場を与えたり、被検体内で誘起されたエコーなどのMR信号を受信するRFコイルが必要である。 【0003】このRFコイルの一つに、全身撮影で用いられる全身用RFコイル(whole body RFコイル;以下、WBコイルと呼ぶ)がある。このWBコイルは通常、磁石架台内において、他のコイルよりも患者に一番近い位置に配置される。このWBコイルには、スピン励起用RF磁場を発生させるとともに、被検体内に発生したMR信号を受信する、いわゆる送受兼用タイプのコイルや、スピン励起用のRF磁場のみを発生させ、受信は他のサーフェースコイルなどで行う、いわゆる送信専用タイプのコイルがある。 【0004】そして、殆どのMRI装置にあっては、このWBコイルの外周側に傾斜磁場を発生させる傾斜磁場コイルが配置されている。この傾斜磁場コイルを用いて磁場強度が位置に応じて線形に変わる磁場が高効率で被検体に印加される。このため、通常、傾斜磁場コイルの導体は、前記WBコイルに比べて、より多くの巻数で巻装されている。 【0005】さらに、別の要件として、傾斜磁場コイルは、MRIで使用される共鳴周波数よりも格段に低い周波数域で高効率のスイッチングを行う必要がある。つまり、共鳴周波数域において無視できないエネルギ損失が起こり易い。 【0006】したがって、WBコイル(共鳴周波数に合わせて回路的に共振している)にとって、その配置された傾斜磁場コイルによる電気的損失は無視できない負荷となり、励起用RF磁場の発生効率の低下や受信感度の低下を招いてしまう。 【0007】そこで、WBコイルと傾斜磁場コイルとの磁気的な干渉を抑制するため、この両者間に、図12に模式的に示す如く、共鳴周波数に対して損失が十分に小さいシールド(銅箔などのシールド体)を配置する手法が採られている(例えば米国特許第5,367,261号参照)。このシールドは通常、アースされる。 【0008】その一方で、このようにシールドを配置すると、このシールドに因ってWBコイルの受信感度を低下させることが知られている(例えば、文献“A Technique of Double Resonant Operation of F and H Quadrature Birdcage Coils”Magnetic Resonance in Medicine 19,180−185(1991)参照)。しかしながら、シールドに拠るWBコイルの損失よりも、シールドを配置しない場合のWBコイルと傾斜磁場コイルの相互干渉に拠る損失の方が大きいため、大半のMRI装置では止む無く上述のようにシールドを配置している。なお、上述の文献からも分かるように、シールドとWBコイルとの距離が大きくするほど、WBコイルの効率低下を抑えることができる。 【0009】このようにシールドそのものは次善の策として用いられるが、しかし、このシールドをWBコイルとは実質的に異なる電位に容易に固定できる。これを利用して、WBコイルとシールドとの間に電気的なスイッチを設け、このスイッチの開閉をコントロールすることでWBコイルの共鳴周波数をずらす、いわゆる「デチューン」が知られている(例えば米国特許第5,053,711号参照)。また、シールドを例えば零電位に固定することで、WBコイルとWBコイルまでの回路との零電位面としても利用される。 【0010】 【発明が解決しようとする課題】ところで、傾斜磁場コイルはその駆動時に作用する電磁力に起因して機械的に振動し、音(ノイズ)の発生源になっている。この音を低減させるために、内部の気圧を大気圧よりも実質的に低い値に制御した円筒状の容器に傾斜磁場コイルを封入配置し、音の空気伝播を減らす構造のものも知られている(例えば米国特許第5,793,210号参照)。 【0011】しかしながら、このような静音化タイプのMRI装置に前述したシールドを配置する場合については、好適な且つ具体的な提案は未だなされていなかった。 【0012】そこで、従来のシールドの配置法をこの静音化タイプのMRI装置にそのまま適用するとすれば、以下のような構成になるものと想定される。まず、WBコイルは、被検者になるべく近くに配置してS/Nを良くするという観点から、容器の内周側壁体の外部側、つまり容器の内周面の側に配置される。シールドは、WBコイルに対する固定電位として、スイッチや伝送系の零電位としても利用されるので、やはり容器の内周側壁体の外側、つまり容器の内周側に配置せざるを得ない。それは、これらの目的に対してもシールドを利用するには、WBコイルに近い位置でシールドとの電気的な接続をとる方が都合がよいからである。この結果、被検者から磁石半径方向にみて、WBコイル、シールド、容器(傾斜磁場コイルを封入)、及び静磁場磁石の順に並ぶことになる。 【0013】しかし、このように容器の内周側壁体の外側、つまり容器の内周側にシールドが配置されると、磁石架台全体の径方向のサイズを同じにするという条件の元では、WBコイルとシールドとの間の磁石径方向の間隔が、従来の容器を用いない構造に比べて、単純に言っても容器厚さ(内周側壁体及び外周側壁体の合計厚さ)の分だけ狭くなる。これは、前述したように、WBコイルの損失の増大を招き、重大な機能低下ともなりかねない。 【0014】本発明は、上述した従来技術の状況に鑑みてなされたもので、静音化タイプのMRI装置であっても、WBコイルと傾斜磁場コイルとの電気的、磁気的な干渉を防ぐシールドを好適に配置して、その機能を確実に発揮させる一方で、シールドを配置したことに因るWBコイルの効率の低下を最小限に止め、これにより受信時のS/N及びスピン励起用磁場の発生効率を良好な値に維持させることを、その目的とする。 【0015】 【課題を解決するための手段】上述した目的を達成するため、本願発明によれば、外周側壁体及び内周側壁体とを有する壁体に囲まれ且つ大気圧よりも実質的に低い気圧に制御された容器を備え、この容器内に傾斜磁場コイルを配置し、前記容器の内周側壁体の容器外側にRFコイルを配置し、前記容器内の前記内周側壁体と前記傾斜磁場コイルとの間に当該傾斜磁場コイルと前記RFコイルとの磁気的干渉を抑制するシールド体を配置したことを特徴とするMRI装置のコイル構造とする。 【0016】この構造において、好適には、前記傾斜磁場コイルは円筒状のコイルアセンブリであり、前記シールド体は、前記容器内において前記傾斜磁場コイルの内周面に貼り付けてある。例えば、前記シールド体に空気抜き用の穴を形成してある。 【0017】また、上述の各構成において、例えば、前記RFコイルは全身用RFコイルである。さらに、前記全身用RFコイルを制御信号に応答して電気的に開放するスイッチを当該全身用RFコイルに設けてもよい。 【0018】さらに、上述の各構成において、例えば、前記傾斜磁場コイルは、X,Y及びZチャンネルの夫々について一次コイルと二次コイルとを有する能動遮蔽型傾斜磁場コイル(ASGC)である。 【0019】さらに、上述の各構成において好適な一例は、前記傾斜磁場コイルは、前記容器に弾性体を介して支持されていることである。 【0020】また、上述の各構成において、前記容器の外周側壁体の容器外周側に静磁場磁石を配置し、この静磁場磁石と前記傾斜磁場コイルとを、当該傾斜磁場コイルの荷重を当該静磁場磁石に掛けない状態で各別に支持するようにしてもよい。例えば、前記静磁場磁石と前記傾斜磁場コイルとは各別に床又は床に設けた設置サイトに直接支持させる。 【0021】 【発明の実施の形態】以下、本発明に係るMRI装置のコイル構造の実施形態を説明する。 【0022】<第1の実施の形態>第1の実施形態を図1〜図4を参照して説明する。 【0023】図1に、MRI装置の磁石架台1を示す。この磁石架台1は、傾斜磁場コイルを真空容器内に封入して配置した、いわゆる静音化タイプに構成されている。 【0024】磁石架台1は、全体に略円筒状に形成され、そのボアが診断用空間Sを成し、診断時には図示しない寝台天板により被検体Pがその空間内に挿入されるようになっている。ここで、磁石架台の長軸方向を直交座標系のZ軸とする。 【0025】この磁石架台1の径方向(XY面方向)の一番外側には、円筒状の超伝導磁石11が床に配置されている。この磁石11は、図示しない静磁場電源に接続されており、その診断用空間Sに静磁場を発生させる。なお、この超伝導磁石11の少なくとも径方向の大きさは、後述する真空容器による静音化機構を備えていない装置のものと同じであるとする。 【0026】超伝導磁石11の内周側には、その磁石に支持させる状態で、容器12が配置されている。この容器12は、その全体が外周側壁体12A、内周側壁体12B、及び側面体12Cで囲まれた内部空間ISを有する円筒状に形成され、その軸方向をZ軸方向に一致させて配置されている。内部空間ISの径方向の厚みは後述する傾斜磁場コイルのアセンブリをその壁体に接触させることなく(支持部は除く)、封入できる適宜な値に設定されている。この容器12は図示しない真空ポンプに結合されており、診断時には大気圧よりも実質的に低い気圧(真空)に調整される。 【0027】この容器12の内部空間ISには、図示の如く、傾斜磁場コイル13のアセンブリが配置されている。この傾斜磁場コイル13は、ここでは能動遮蔽型傾斜磁場コイル(ASGC)を成す。具体的には、このコイルアセンブリは図3に示すように円筒状の樹脂製スプール13A上にX,Y及びZチャンネルの夫々の1次コイル及び2次コイルを層状に絶縁状態で巻装したもので(これらの層状の巻装コイルを代表的に符号13Bで示す)、その全体も略円筒状のアセンブリに成形されている。各チャンネルの1次コイル及び2次コイルはチャンネル毎に傾斜磁場電源(図示せず)に接続されている。この能動遮蔽型傾斜磁場コイルにより、そのコイル駆動時の磁場を径方向の外界には殆ど漏らさないようになっている。 【0028】この傾斜磁場コイル13のアセンブリは、図1及び2に示す如く、かかる内部空間ISにおいて、弾性体14を介挿させた複数の支持部15、…、15によって外周側壁体12Aに支持されている。この傾斜磁場コイル13への給電線(図示せず)は容器12の一部を気密に貫通させて配置されている。 【0029】さらに、容器12の内部空間ISにおいて、シールド(シールド体)16が傾斜磁場コイル13のアセンブリ内周面に貼りつけられている。このシールドは一例として、35μm程度の銅箔から成る。シールド16は、本実施形態では、容器12を気密に貫通させたアース線(図示せず)に接続され、容器外でアースされる。なお、シールド16はアースしない構成も採ることができ、シールド16とWBコイル17に接続した線の夫々を容器外部に気密に引き出し、極力遠方の位置で相互に接続する同電位構造にしてもよい。 【0030】このシールド16は、傾斜磁場コイル13と後述するWBコイルとの間の電気的、磁気的な相互干渉を抑制するように機能する。このシールド16の配置位置が本発明の特徴の1つを成している。 【0031】容器12の内周側壁体12Bの外側、すなわち診断用空間Sには、被検体Pを囲むようにしてRFコイルとしてのWBコイル(全身用RFコイル)17が配置されている。このWBコイル17はここでは送受兼用タイプのRFコイルである。 【0032】本実施形態の磁石架台1は以上のように構成されている。このため、シールド16によって、WBコイル17と傾斜磁場コイル13との間の磁気的、電気的な相互干渉は従来と同様に好適に排除又は抑制される。 【0033】また、傾斜磁場コイル13のアセンブリを実質的な真空状態にした容器12内に封入していることから、診断時に傾斜磁場コイル13からその外界構成物、とくには磁石11への空気伝播量が著しく抑制される。このため、傾斜磁場コイル13が振動源となって磁石11が一体に振動することに因る音(ノイズ)の発生が大幅に抑制される。 【0034】さらに、シールド16の取付け位置がWBコイル17から見て、物理的な許容範囲の最も遠い位置、すなわち傾斜磁場コイル13の内周面である(このときの距離は図2の半径r1となる)。したがって、シールド16の取付け位置は、WBコイル17からみた場合、従来技術から想定された最良の取り付け位置、すなわち容器12の内周側壁体12Bの外側(このときの距離は図2中の半径r2となる)と比べて、さらに距離「r1−r2」の分だけ遠くなる。この結果、WBコイルの効率が良好に維持され又は向上する。 【0035】この理由を詳述する。前述した文献「Magnetic Resonancein Medicine 19,180−185(1991)」からも理解できるように、シールド16をWBコイル17の外側に置くことは、図4に示す如く、Rm=Rsh2/Rwb(WBコイルの内半径=Rwb,シールドの内半径=Rsh)で決まる位置に、WBコイルが作る磁場とは反対向きに仮想的な鏡像コイルを置いたのと等価になる。被検体Pに到達する磁場は、この差分「WBコイルがつくる磁場−鏡像コイルのつくる高調波磁場」となる。一方、個々のコイルが中心点につくる磁場強度は約「1/コイルの内半径」に比例する。 【0036】このため、シールドをWBコイルから極力離して配置すると、仮想的な鏡像コイルが中心位置につくる磁場を弱めることができ、その結果、差分「WBコイルがつくる磁場−鏡像コイルのつくる高調波磁場」が強められる。したがって、WBコイルが被検体に実質的につくる磁場(=「WBコイルがつくる磁場−鏡像コイルのつくる高調波磁場」)は増加する。これにより、WBコイル17のRF磁場送信効率及びMR信号受信効率を、静音化機構を備えていないタイプの従来装置に比べても遜色の無い値に維持でき、又は、それ以上に向上させることができる。 【0037】なお、本発明に係るシールド16の取付け位置は上述した第1の実施形態に記載のもの、すなわち容器12内における傾斜磁場コイル12のアセンブリ内周面に限定されるものではない。例えば、シールド16を容器12の内周側壁体12Bの内側面と傾斜磁場コイル12のアセンブリ内周面との間の空間であれば、任意の位置(図2の半径差rd参照)であってもよい。一例として、シールド16が内周側壁体12Bの内側面に取付けられていたとしても、その壁体12Bの厚さ分だけ少なくともWBコイル17の効率改善がなされる。 【0038】<第2の実施の形態>第2の実施形態を図5〜図6を参照して説明する。 【0039】本実施形態に係るMRI装置のコイル構造は、WBコイル以外のRFコイルを用いるときにそのWBコイルを共振系から外す、所謂「デチューン」機構に関する。なお、この実施形態においては、シールドは真空容器を気密に貫通させたアース線を介してアースされているものとする。 【0040】比較のために、図5に従来のデチューン機構を示すと、WBコイルとシールドとを電気的に接続し、例えばPINダイオードなどのスイッチSWをその両者間に挿入し、このスイッチSWを介してWBコイルの何箇所かをシールドに接続する。シールドはアースされているので、結局、WBコイルもアースされる。これにより、共振回路の共振周波数が変化し、デチューン状態となる。 【0041】この構成をそのまま本発明に係るコイル構造に適用すると、シールドが容器内に配置されるため、WBコイルとシールドを電気的に接続するための配線の引き回しが複雑化し且つ多くなる。とくに、それらの配線が容器を貫通してシールドと接続されることになるので、その気密性を保つための部品が多数個又は大形のものが必要になって、部品コストも高くなリ且つ構造も複雑化するとともに、故障などに因って真空度を低下させる確率も高くなる。 【0042】そこで、この実施形態では、図6に示す如く、WBコイル17に直列にスイッチSWを介挿し、このスイッチSWを外部の制御回路からの指令により開放させる。スイッチSWは例えばPINダイオードである。このスイッチSWを開放することにより、WBコイル17の共振周波数が変更になり、前述したデチューン機能が発揮される。 【0043】このとき、図6からも分かるように、WBコイル17をシールド16(アース)に接続する必要はない。このため、その接続線を容器12に貫通させるといった配線構造は一切必要ない。したがって、上述したような容器構造の複雑化、気密性保持に対する信頼性の低下、および部品コスト増など事態に至らなくても済む。 【0044】<第3の実施の形態>第3の実施形態を図7〜図8を参照して説明する。 【0045】本実施形態のコイル構造は、シールドを貼り付けて設置するときの空気抜き構造に関する。 【0046】シールド16としての、例えば同箔は粘着剤で、容器12内にて、例えば傾斜磁場コイル17のアセンブリ内周面に貼り付けられる。この張付け時に若干の気泡がシールド材とコイル内面との間に発生することは回避できない。静音を目的として、封入容器12内の気圧を下げると、かかる気泡は膨張して、シールド材が変形したり、剥がれたりする恐れがある。 【0047】これを防止するには、粘着材ではなく、ゲル状の接着剤を用いることができ、気泡を減少させることができる。 【0048】本実施形態では、シールド16を接着剤で貼り付けることとし、気泡の発生対策としては、シールド材に気泡内の空気を抜くための穴及び/又はスリットを設ける。図7は、シールド16に穴21を開けた例を示し、図8は、シールド16にスリット22を設けた例を示す。当然に穴21とスリット22を組み合わせて設けてもよい。穴やスリットの形状は任意である。この穴やスリットの大きさは、シールドの導電体が在る部分に対しては電気的に無視できるほど小さく開け、導電体が無い部分に対しては気泡抜きを重視して十分に大きく開ける。 【0049】この結果、容器12内を減圧するときに、シールド16と傾斜磁場コイル17内面との間に発生し存在する気泡も穴21やスリット22を介して一緒に抜ける。このため、接着剤だけを用いたときの前述したシールドの剥がれや変形を防止することができる。 【0050】なお、この実施形態の目的を達成するには、シールド16そのものを繊維状或は網状の導電性材料で形成してもよい。 【0051】<第4の実施の形態>第4の実施形態を図9〜図10を参照して説明する。 【0052】本実施形態のコイル構造は、取付け時や保守時のシールドとWBコイルとの位置合わせに関する。 【0053】シールドとWBコイルは、その共鳴周波数を一致させることが望ましい。加えて、感度均一性を確保するには、シールドとWBコイルとを1mm以下の精度で同軸状に配置することが望ましい。 【0054】しかしながら、本発明に係るコイル構造によれば、WBコイル17は容器12の外部に、シールドコイル16は容器12の内部に配置するを基本構成としているため、取付け時や保守時における両者の位置合わせが非常に難しい。そこで、この実施形態では、そのような位置合わせを容易にするアライメント調整手段を設ける。 【0055】具体的には、図9に示す如く、WBコイル17と容器12の内周側内壁12Bとに小さな穴17H、12Hが開けられる。そして、容器12内の気圧を下げる前に、図10に示す如く、ゲージ23を穴17H,12Hに差し込んでWBコイル17とシールド16との間の距離を測りながらWBコイル17の容器半径方向の位置を決めたり、調整する。ゲージ23には目盛が付してある。WBコイル17の位置決め(位置調整)を行った後は、図11に示すように、内周側内壁12Bの穴12Hに栓24をし、容器12内の気圧を所望値まで下げる。このとき、栓24は容器12の内部の向かって引かれるので、抜け落ちることはない。 【0056】この位置決め(位置調整)により、シールド16とWBコイル17とを1mm以下の精度で同軸状に配置することができ、感度の均一性を確保することができる。 【0057】なお、上述の各実施形態では、傾斜磁場コイル13は容器12内に在って容器に支持させ、且つ、この容器12は静磁場磁石11に支持させる構造としたが、これに代えて、例えば特開平10−118043号(特願平8−274609号)記載の支持構造を採るようにしてもよい。つまり、傾斜磁場コイル13は容器12内に配置し、且つ、この静磁場磁石11とは別個の支持手段(但し、弾性体などを介挿させた支持手段が望ましい)で床上(床上に設けたビームなどの基礎部分を含む)に支持させるものである。このとき、傾斜磁場コイル13の支持手段は容器12の例えば側壁12Cを貫通して延設されるので、支持手段と容器12との間の気密性を保持する部材が配置されることは勿論である。 【0058】この結果、傾斜磁場コイル13から空気伝播により静磁場磁石11に至る振動をより一層確実に減らすことができるとともに、傾斜磁場コイル13と静磁場磁石11との支持手段が異なり且つそれらの位置が床上で離れている分、傾斜磁場コイル13から構造体(両方の支持手段及び床)を伝わって静磁場磁石11に至る振動成分もより少なくなる。したがって、この別個の支持構造によって、より確実な静音化が図られ、且つ、前述したコイル構造に伴う効果も合わせて得ることができる。 【0059】ところで、上述の基本構成を更に変形したものとして以下の例を挙げることができる。その1つは、WBコイル17を容器12内に配置させる構成であり、これにより、シールドを零電位としてWBコイルとの間で容易に電気的接続を採ることができる。別の例は、容器12の内周側壁体12BをWBコイル17の巻き枠として用いる構成である。WBコイルは前述の如く、架台の一番内側に位置させたいので、このように内周側壁体をコイル巻き枠として用いることは好都合である。 【0060】 【発明の効果】以上のように、本願発明によれば、大気圧よりも実質的に低い気圧に制御された容器を備え、この容器内に傾斜磁場コイルを配置し、容器の内周側壁体の容器外側にRFコイルを配置し、容器内の内周側壁体と傾斜磁場コイルとの間に当該傾斜磁場コイルとRFコイルとの磁気的干渉を抑制するシールド体を配置したので、静音化タイプのMRI装置であっても、WBコイルと傾斜磁場コイルとの電気的、磁気的な干渉を防ぐシールドを好適に配置して、その機能を確実に発揮させることができ、その一方で、シールドを配置したことに因るWBコイルの効率の低下を最小限に止め、これにより受信時のS/N及びスピン励起用磁場の発生効率を良好な値に維持させることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003078 【氏名又は名称】株式会社東芝
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| 【出願日】 |
平成12年1月24日(2000.1.24) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100083161 【弁理士】 【氏名又は名称】外川 英明
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| 【公開番号】 |
特開2001−198104(P2001−198104A) |
| 【公開日】 |
平成13年7月24日(2001.7.24) |
| 【出願番号】 |
特願2000−14826(P2000−14826) |
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