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【発明の名称】 生体組織接着剤塗布用具
【発明者】 【氏名】池田 昌夫

【氏名】坂口 幸彦

【要約】 【課題】生体組織接着剤塗布用具の繰り返し使用における複数の薬液を充填したシリンジの再接続時において、初回使用時と同じ薬液注入口にそれぞれ同じ薬液を充填したシリンジを接続する操作が本能的に容易に行える塗布用具を提供する。

【解決手段】複数の薬液を調製して充填するシリンジのプランジャー等の色違いの配色に合わせて、対応する生体組織接着剤塗布用具の後側の薬液注入口またはその近傍を配色した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 2成分以上の薬液を塗布するための用具であって、後端部に設けられた複数の薬液注入口が互いに視覚的に識別できることを特徴とする生体組織接着剤塗布用具。
【請求項2】 2成分以上の薬液を塗布するための用具は、互いに薬液チューブにて連通された複数の薬液注入口及び先端面の薬液吐出ノズルと、無菌ガス注入口が設けられ、さらに無菌ガス噴出口が各薬液吐出ノズルに対して同軸かつ外側略環状に配置されている請求項1記載の生体組織接着剤塗布用具。
【請求項3】 視覚的に識別できる方法が異なる配色である請求項1又は2記載の生体組織接着剤塗布用具。
【請求項4】 異なる配色において、薬液注入口またはその近傍の配色とそのシリンジの色がほぼ同色である請求項3記載の生体組織接着剤塗布用具。
【請求項5】 異なる配色において、薬液注入口と先端面の薬液吐出ノズルを連通させる薬液チューブの配色と、その薬液注入口に接続するシリンジ色がそれぞれほぼ同色であり、さらに各薬液チューブが塗布用具の外側から視覚的に識別できる請求項3記載の生体組織接着剤塗布用具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主に複数成分系製剤として適用される組織接着剤の塗布用具に関するものであり、特に肝臓や肺の切除断端や消化管の縫合部の止血閉鎖などに好適な、生体の患部に噴霧して塗布するための用具に関する。
【0002】
【従来の技術】繊維素原(フィブリノゲン)は、いわゆる血液凝固カスケードの最終段階に存在する非常に重要な役割を担う凝固因子である。フィブリノゲンは、例えば損傷後の血液凝固系の活性化において、トロンビンにより、その可溶性形態から止血及び創傷治療に重要な寄与をする不溶性のフィブリンに変換される。この血液凝固の最終相の原理を利用した組織接着剤が開発され、外科手術において肝臓または脾臓のような軟部器官の縫合代用の接着剤として、または縫合補助剤として使用されている。同時に、幅広い臨床の現場で応用されている。近年、2本のシリンジ体に収納されたフィブリノゲン溶液およびトロンビン溶液を同時に射出し、無菌ガスを利用して、射出させた2液を霧状に噴霧して混合するスプレー塗布法が普及し始めている。このような器具の好適な例は、例えばWO94−7420号に記載されている。
【0003】しかしながら本器具を用いた不具合として、1回の処置でシリンジ体に準備した薬液のみでは間に合わない場合に再度シリンジ体に薬液を充填して本器具に再装着する際などの繰り返し使用の場でしばしば発生していた。すなわち誤ってシリンジ体を初回に接続した配置と逆に装着してしまい薬液注入口においてフィブリノゲン溶液とトロンビン溶液が接触して凝固してしまうというものである。これを克服するべくスプレー本体の各薬液注入口根元部に識別のための文字等を施してあるものがあるがスプレー本体の金型への刻印にて成形されているためスプレー本体と同色をなし、識別が容易でなく一見気が付かずに使用される危険性があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のこのような問題点を解決することを目的とするもので、異なる2成分以上の薬液を注入する各薬液注入口を視覚的に識別できるようにすることにより、各成分を充填したシリンジを所定位置へ容易に接続することが可能な塗布用具を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、1)2成分以上の薬液を塗布するための用具であって、後端部に設けられた複数の薬液注入口が互いに視覚的に識別できることを特徴とする生体組織接着剤塗布用具、2)2成分以上の薬液を塗布するための用具は、無菌ガス注入口と複数の薬液注入口及び先端面に複数の薬液吐出ノズルが設けられ、さらに無菌ガス噴出口が各薬液吐出ノズルに対して同軸かつ外側略環状に配置されている(1)記載の生体組織接着剤塗布用具、【0006】3)視覚的に識別できる方法が異なる配色である(1)又は(2)記載の生体組織接着剤塗布用具、4)異なる配色において、薬液注入口またはその近傍の配色とそのシリンジの色がほぼ同色である(3)記載の生体組織接着剤塗布用具、5)異なる配色において、薬液注入口と先端面の薬液吐出ノズルを連通させる薬液チューブの配色と、その薬液注入口に接続するシリンジ色がそれぞれほぼ同色であり、さらに各薬液チューブが塗布用具の外側から視覚的に識別できる請求項3記載の生体組織接着剤塗布用具である。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、図面をもとに本発明について詳細に説明する。図1は本発明の一実施例となる生体組織接着剤塗布用具にホルダーにて一体に固定された2本のシリンジを接続した状態を示す図で、(a)はこれらを上から見た上面図、(b)は(a)の側面図である。図2の(a)、(b)は本発明の他の実施例となる生体組織接着剤塗布用具のスプレーヘッドを上方向から見た2種類の上面図である。
【0008】本発明による生体組織接着剤塗布用具は、図1に示すように、スプレーヘッド(1)の後端側に2本の薬液注入口(4)、(5)と無菌ガス注入口(8)が設けられ、先端には複数の薬液吐出ノズル(2)と、各薬液吐出ノズル(2)に同軸でかつ外側に略環状に配置された薬液を霧状にして混合するための無菌ガス噴出口(3)が備えられている。スプレーヘッド(1)内は薬液の流路と無菌ガスの流路とに分かれ例えば薬液注入口(4)、(5)と薬液吐出ノズル(2)を薬液チューブ(6)、(7)で連結することによりそれぞれの流路を分割することができるが、スプレーヘッド(1)の成形品そのものに分割された流路を予め施しても何ら構わない。また、無菌ガス注入口(8)の端末には予め無菌フィルター(9)を設置しておくことも望ましい実施例の一つである。
【0009】後端側に設けられた2本の薬液注入口(4)、(5)はお互いに異なる色調をなし、その製造方法は射出成形における2色成形により2色配色に成形されることがコスト的安価となり望ましいが、他の実施例を示すように図2(a)ではスプレーヘッド(1)全体を2本の薬液注入口(4)と(5)を2分する中心線にて2分割した成形品とし、個々の成形色を違える方法を示し、また図2(b)では2本の薬液注入口(4)、(5)を個々に色分けした成形を行いスプレーヘッド(1)に設置する方法を示している。更に図2(c)では、スプレーヘッド(1)全体を透明な成形品とし、薬液注入口(4)、(5)に接続される薬液チューブ(6)、(7)に配色を施して識別できる方法を示している。ここまでは薬液注入口(4)、(5)または薬液チューブ(6)、(7)を成形時に色付けする方法を述べたが、印刷やシールにて色付けしても何ら構わない。
【0010】次に配色について述べると、一般に市販されている生体組織接着剤の2成分薬液の調製用に使用されているシリンジ体はプランジャー色や目盛印刷色を色違にしており、フィブリノゲン溶液用には青色、トロンビン溶液用には赤色となっている。従って薬液注入口(4)、(5)またはその近傍の配色も青色と赤色に配色されていることが望ましい。全ての構成部品の材質および配色のための顔料については特に限定されるものではないが、少なくとも薬液と接触する薬液注入口(4)、(5)、薬液チューブ(6)、(7)、薬液吐出ノズル(2)、の材質は医療用プラスチック材料であり、かつ薬液に影響をおよぼさないものであることが求められる。また、本発明の塗布用具の製作は複数の成形品を接着するか、又は溶着等により組み立てられる。
【0011】次にフィブリノゲン溶液とトロンビン溶液による生体組織接着剤の塗布操作についての具体例を述べる。まずフィブリノゲン溶液を充填したシリンジ(9)とトロンビン溶液を充填したシリンジ(10)をホルダー(12)、(13)に装着し、シリンジ(10)、(11)の先端をスプレーヘッド(1)後端の薬液注入口(4)、(5)に接続する。このとき、シリンジ(9)と同じ配色に対応する薬液注入口(4)を、さらに同様に(10)と(5)というように配色が同じ位置になるように接続する。次に無菌ガス注入口(8)の無菌フィルター(9)にエアー源を接続し、適度なエアー流量を保つ。そして一般的には止血するべく患部へスプレーヘッド(1)を向けホルダー(12)を加圧することにより薬液吐出ノズル(2)よりフィブリンノゲン溶液とトロンビン溶液が無菌ガス噴出口(3)より噴出された無菌ガスにより混合され患部に噴霧され止血がなされることとなる。そして一度充填した容量の薬液を使い切り、さらに使用を追加する場合には改めてシリンジ(10)、(11)への薬液充填を行い、手早くスプレーヘッド(1)の薬液注入口(4)、(5)とシリンジ(10)、(11)の配色の対応を合わせて接続し再操作する。
【0012】
【発明の効果】以上に述べた如く、本発明による生体組織接着剤塗布用具はシリンジの配色に合わせて薬液注入口またはその近傍を配色してあるため、スプレーヘッド(1)の追加使用におけるシリンジの再接続が視覚的に手早くでき、誤ったシリンジ接続による詰まりの発生を防止できる組織接着剤の塗布用具として有用である。
【出願人】 【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
【出願日】 平成12年10月20日(2000.10.20)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−190558(P2001−190558A)
【公開日】 平成13年7月17日(2001.7.17)
【出願番号】 特願2000−320375(P2000−320375)