| 【発明の名称】 |
音波計測装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】堀中 博道
【氏名】張 吉夫
【氏名】松中 敏行
【氏名】細美 昌平
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| 【要約】 |
【課題】超音波と光を組み合わせた新たな計測技術を提供する。
【解決手段】光ファイバ16を用い光源10の光を被検体100にできるだけ均等に照射する。第1ロックインアンプ30の内部参照信号で送波振動子28aを駆動し、向かい側の受波振動子28bで得られる受信信号をその内部参照信号で同期検波して両者の位相差を求める。ライトチョッパ15で被検体100に対する光照射を断続すると、光吸収による温度変化により被検体各部の音速が変わり、振動子28a、28b間の音響的な距離が変わり、第1ロックインアンプ30の位相差出力のレベルが変化する。この変化を第2ロックインアンプ34でライトチョッパ15の断続に同期して検出すれば、光照射の有無による被検体の音速変化が分かる。被検体全周にわたって超音波ビームを走査し、各ビーム毎の音速変化にCTの逆投影演算を適用することで、被検体の光吸収分布の断層像が得られる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 物体に所定エネルギーを照射する照射手段と、物体内に音波を送波し、前記物体からの透過音波又は反射音波を受波して受信信号を出力する送受波手段と、前記エネルギーの照射時と非照射時の前記送受波手段の受信信号に基づいて物体を評価する評価手段と、を含む音波計測装置。 【請求項2】 前記評価手段は、照射時と非照射時の前記受信信号から、照射の有無による前記物体の音速変化に対応する物理量を求め、この物理量に基づき前記物体を評価することを特徴とする請求項1記載の音波計測装置。 【請求項3】 前記音速変化に対応する物理量は、照射時と非照射時とでの前記受信信号の位相差であることを特徴とする請求項2記載の音波計測装置。 【請求項4】 前記照射手段は、エネルギー照射を断続するための断続手段を有し、前記評価手段は、前記断続手段による照射の断続に同期して前記受信信号を検波することにより、照射時と非照射時の前記受信信号の位相差を検出することを特徴とする請求項3記載の音波計測装置。 【請求項5】 前記音速変化に対応する物理量は、照射時と非照射時とでの前記物体内の音波伝搬時間の差であることを特徴とする請求項2記載の音波計測装置。 【請求項6】 前記送受波手段は、音波パルスのビームを送波し、その反射波を受波して前記受信信号を生成し、前記評価手段は、照射時と非照射時の前記受信信号同士の比較により、前記ビーム上の各点ごとに照射の有無による音速変化に対応する物理量を求め、この物理量に基づき前記物体を評価することを特徴とする請求項1記載の音波計測装置。 【請求項7】 前記評価手段は、前記送受波手段の前記ビームで前記物体が走査された場合の各ビーム毎の前記物理量の分布を求め、前記物体各部の前記エネルギーの吸収率の分布を表す断層像を構成する手段を有することを特徴とする請求項6記載の音波計測装置。 【請求項8】 前記送受波手段は、音波ビームを送受波し、前記評価手段は、前記音波ビームで前記物体が走査された場合に、各ビーム毎に前記物理量を求め、これをビーム走査に沿った分布として表示することを特徴とする請求項2記載の音波計測装置。 【請求項9】 前記送受波手段は、前記物体の周囲から音波ビームを走査し、前記物体を透過した音波ビームを受波して前記受信信号を生成し、前記評価手段は、ビーム走査に沿った前記物理量の分布から前記物体の断層像を構成する手段を有することを特徴とする請求項8記載の音波計測装置。 【請求項10】 前記評価手段は、前記照射手段が照射するエネルギーに対して吸収性が高い造影剤を注入した前記物体についての前記送受波手段の受信信号に基づき、前記造影剤が集まりやすい特定の部位が強調された前記物体の画像を構成することを特徴とする請求項7又は請求項9に記載の音波計測装置。 【請求項11】 前記送受波手段のビーム走査により前記物体内各部の音波反射特性を表す断層エコー画像を形成するエコー画像形成手段を有し、前記評価手段は、前記物体各部の前記エネルギーの吸収率の分布を表す断層像を前記断層エコー画像に重畳して表示することを特徴とする請求項7記載の音波計測装置。 【請求項12】 物体に対して、所定エネルギーを、照射強度を変化させながら照射する照射手段と、物体内に音波を送波し、前記物体からの透過音波又は反射音波を受波して受信信号を出力する音波送受波手段と、前記照射手段によるエネルギーの照射量の変化と前記音波送受波手段の受信信号の変化との関係に基づいて物体を評価する評価手段と、を含む音波計測装置。 【請求項13】 前記評価手段は、前記照射強度の変化による前記受信信号の位相変化に基づき前記物体を評価することを特徴とする請求項12記載の音波計測装置。 【請求項14】 物体に所定エネルギーを照射する照射手段と、前記物体内に音波を送波し、前記物体からの透過音波又は反射音波を受波して受信信号を出力する送受波手段と、前記照射手段によるエネルギー照射の影響下で前記送受波手段に音波送受を行わせ、その受信信号に基づいて物体を評価する評価手段と、を含む音波計測装置。 【請求項15】 前記評価手段は、前記受信信号に基づき、前記物体各部の前記エネルギーの吸収特性の分布を表す画像を形成することを特徴とする請求項12又は請求項14に記載の音波計測装置。 【請求項16】 前記照射手段が照射するエネルギーは赤外線であることを特徴とする請求項1から請求項15までのいずれかに記載の音波計測装置。 【請求項17】 (a)所定エネルギー照射時の物体に対して音波を送波し、前記物体からの透過音波又は反射音波を受波して受信信号を生成するステップと、(b)所定エネルギー非照射時の物体に対して音波を送波し、前記物体からの透過音波又は反射音波を受波して受信信号を生成するステップと、(c)ステップ(a)で得られた受信信号とステップ(b)で得られた受信信号との比較により、前記物体の前記音波の伝搬経路を評価するステップと、を含む音波計測方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、超音波等の音波を用いて生体その他の計測対象の物体内部の状態を計測するための装置に関する。 【0002】 【従来の技術】医療分野で利用される超音波診断装置は、超音波ビームを生体内に送波し、これに対する生体内からのエコーを検知してこれを画像化する。電子走査方式などにより断層画像をリアルタイム表示する装置が広く普及しており、体内の非侵襲的な診断に大きな威力を発揮している。 【0003】広く普及している超音波診断装置には、BモードやMモードなどのようにエコーの強さを輝度変調などで画像化するものと、カラードプラなどのように反射体の運動によるエコーのドプラシフト成分を画像化するものとがあり、これら両者の機能を併せ持つ装置もよく用いられている。 【0004】超音波診断装置は、リアルタイム画像の画質向上や、画像からの血流量の算出その他の応用ソフトウエアの開発など、様々な面で進歩しつつある。 【0005】このように、超音波診断装置の進歩は続いているが、開発の方向性がある程度定まって来ており技術的に成熟に近づいている面もある。超音波を利用した新たな診断・計測の技法の模索が続いている。 【0006】そのような試みに、光と超音波の相互作用を利用したものがある。その一つとして、生体に超音波を透過させた状態で生体にコヒーレント光を照射し、超音波によるその光の変調を、参照光とのビート信号により検出し、これをもとに生体の断層像を形成しようとするものがある(M.Kemple,M.Larionov,D.Zaslavsky,and A.Z.Genack;J.Opt.Soc.Am,A 14(1997)1151等)。また別の試みとして、生体に光照射を行い、これにより吸収体が発生した超音波を検出する方式が提案され、実験が行われている(H.Nathel;Optics & Photonics News,27(1999)28.等)。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】上記Kempleらの提案する方式は、相互作用の検出のために光のコヒーレンスを利用しなければならないと言う問題がある。生体内では、光は複雑に反射・散乱されるため、超音波による変調成分だけを感度よく取り出すことは難しい。 【0008】また、Nathelの方式は、光吸収により発生した超音波を検出するという方式なので、強力な光を用いないと十分な大きさの信号が得られない。生体内では光は拡散するので、そのような強力な光を供給することには困難が予想される。また、この方式では、超音波が広い範囲で発生するので、空間分解能を高めることが難しいと考えられる。 【0009】以上、生体計測の技術を例にとって超音波利用装置の問題点を説明したが、生体計測以外の分野でも、超音波を用いた計測技術に新しい展開が求められている。 【0010】本発明は、このような見地に立ってなされたものであり、超音波を用いた従来にない新たな計測・解析のための装置を提供することを目的とする。特に、本発明は、超音波と、光などの他のエネルギーとの相互作用を用いた新たな計測・解析技術を提供することを目的とする。 【0011】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明に係る音波計測装置は、物体に所定エネルギーを照射する照射手段と、物体内に音波を送波し、前記物体からの透過音波又は反射音波を受波して受信信号を出力する送受波手段と、前記エネルギーの照射時と非照射時の前記音波送受波手段の受信信号に基づいて物体を評価する評価手段と、を有することを特徴とする。 【0012】この構成では、エネルギーを照射すると、物体内の各部が、そのエネルギーに対する各々の吸収特性に応じてそのエネルギーを吸収する。そのエネルギーをよく吸収する部位は、そうでない部位よりも大きな温度上昇を示す。超音波を含む音波は、媒質の温度変化に応じてその伝搬速度(音速)が変化する。エネルギー照射時と非照射時とでは、物体の音波伝搬経路各部の温度分布が異なっているので、受信信号に差が現れる。この差を分析することで、当該物体のそのエネルギーに対する吸収性を評価できる。なお、照射するエネルギーは、光、電波、超音波などを用いることができる。 【0013】本発明の好適な態様では、評価手段は、照射時と非照射時の受信信号から、照射の有無による前記物体の音速変化に対応する物理量を求め、この物理量に基づき前記物体を評価する。この物理量は、例えば照射時と非照射時の受信信号の位相差や、被検体を横切る超音波の伝搬時間の差などである。音速変化は、音波伝搬経路上の各部の温度変化に依存し、この温度変化は、それら各部のエネルギー吸収特性に依存する。したがって、求めた物理量は、物体の音波伝搬経路のエネルギー吸収特性の評価のために利用できる。 【0014】また別の好適な態様では、送受波手段は、音波パルスのビームを送波し、その反射波を受波して受信信号を生成し、評価手段は、照射時と非照射時の受信信号同士の比較により、ビーム上の各点ごとに照射の有無による音速変化に対応する物理量を求める。 【0015】この態様では、パルスエコー法を用いることにより、ビーム上の深さ方向の分解能を得ることができる。各反射体に対応する受信信号上の各パルスの位置が、光照射の有無によりどのように変わるかを調べることにより、そのビーム上の各部の音速変化に関する情報を得ることができる。この態様において、ビームを走査し、その走査に従って、各ビームの音速変化の分布を合成すれば、物体内各部のエネルギー吸収率の分布を示す、2次元又は3次元の画像を得ることができる。 【0016】別の好適な態様では、音波ビームで物体を走査したときの、ビーム走査方向に沿った前記物理量の分布を表示する。 【0017】更に別の好適な態様では、そのビーム走査方向に沿った物理量の分布から、例えばX線CTなどで用いられる逆投影演算などを用いることで、ビーム走査面についての断層画像を形成することができる。 【0018】また、別の好適な態様では、照射手段が照射するエネルギーに対して吸収性が高い造影剤を物体に注入し、この状態で送受波手段で超音波を送受してその受信信号を解析することで、造影剤が集まりやすい特定の部位が強調された物体の画像を構成することができる。 【0019】また、本発明の好適な態様では、送受波手段のビーム走査により物体内各部の音波反射特性を表す断層エコー画像を形成するエコー画像形成手段を有し、評価手段は、物体各部のエネルギーの吸収率の分布を表す断層像を前記断層エコー画像に重畳して表示する。音波反射特性は、例えば反射強度やエコーに与えるドプラシフトなどのことであり、音波反射特性を表す画像には従来の超音波診断装置のBモード断層像やカラードプラ画像などが含まれる。この態様によれば、従来からの断層画像の情報で確認した部位がどのようなエネルギー吸収特性を示しているかなどを一目で確認できる。 【0020】また、本発明に係る音波計測装置は、物体に対して、所定エネルギーを、照射強度を変化させながら照射する照射手段と、物体内に音波を送波し、前記物体からの透過音波又は反射音波を受波して受信信号を出力する音波送受波手段と、前記照射手段によるエネルギーの照射量の変化と前記音波送受波手段の受信信号の変化との関係に基づいて物体を評価する評価手段とを含む。 【0021】この構成によれば、照射強度の変化に応じた受信信号の位相等の変化から、物体のエネルギー吸収に関する情報を得ることができる。 【0022】また、本発明に係る音波計測装置は、物体に所定エネルギーを照射する照射手段と、物体内に音波を送波し、前記物体からの透過音波又は反射音波を受波して受信信号を出力する送受波手段と、前記照射手段によるエネルギー照射の影響下で前記音波送受波手段に音波送受を行わせ、その受信信号に基づいて物体を評価する評価手段とを含む。 【0023】この構成で、「照射手段によるエネルギー照射の影響下」とは、エネルギー照射により物体各部の温度が、そのエネルギーの吸収特性に応じて上昇した後、平衡状態まで下がりきっていない状態であり、必ずしもエネルギー照射中でなくてもよい。このような状態での音波送受の受信信号から、例えば物体の音波伝搬経路上の音速を求めるなどの評価演算を行うことで、物体のエネルギー吸収に関する評価を行うことができる。 【0024】また、本発明に係る超音波計測方法は、(a)所定エネルギー照射時の物体に対して音波を送波し、前記物体からの透過音波又は反射音波を受波して受信信号を生成するステップと、(b)所定エネルギー非照射時の物体に対して音波を送波し、前記物体からの透過音波又は反射音波を受波して受信信号を生成するステップと、(c)ステップ(a)で得られた受信信号とステップ(b)で得られた受信信号との比較により、前記物体の前記音波の伝搬経路を評価するステップと、を含む。 【0025】この方法によれば、物体のエネルギー吸収に関する特性を、そのエネルギー吸収による温度上昇から引き起こされる音速変化の影響を含んだ受信信号から検出することができる。 【0026】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)について、図面に基づいて説明する。 【0027】発明者らは、生体にエネルギーを照射した場合に、生体各部のエネルギー吸収特性の相違により各部で温度上昇に差が生じることに着目した。この差により生じた生体各部の温度の差は、超音波の伝搬速度、すなわち音速の差として検出できる。そこで、本発明の実施形態では、生体に対して比較的透過しやすく、しかも安全なエネルギーとして近赤外線を利用し、これを生体に照射した時の音速の変化を超音波プローブで検出することとした。 【0028】[実施形態1]図1は、本発明の第一の実施形態の計測装置の概略構成を示す図である。この装置は、大きく分けて、生体にエネルギーを与えるための光照射機構と、エネルギー吸収による温度変化を音速変化として検出するための超音波計測機構とからなる。 【0029】光照射機構は、光源10、色フィルタ12、電磁シャッター14、光ファイバ16から構成される。色フィルタ12は、光源10から発せられた光の中から所望の近赤外線だけを透過させる。色フィルタ12を通過した光は、電磁シャッタ14を介して多数の光ファイバ16に入力される。電磁シャッター14は、、制御・解析用コンピュータ20から供給されるシャッター制御信号に応じて開閉される。 【0030】光ファイバ16群は、一端を結束バンド17で留められており、その結束部が電磁シャッタ14の出射側に配設されている。各光ファイバ16の他端は、それぞれ被検体100の周囲を取り巻くように分布配置されている。したがって、結束部側から入射した近赤外線は、光ファイバ16群によって被検体100の周囲各部に導かれ、被検体100に向かって照射される。照射された近赤外線200は、被検体100の内部を伝搬し、被検体100内各部のその光に対する吸収特性に応じて吸収される。例えば、病変部110に吸収されやすい波長の光を選べば、照射によりその病変部110が他より光エネルギーを多く吸収し、高い温度上昇を示す。 【0031】この構成では、光ファイバ16群で多数の箇所から被検体100に向かって光を照射するので、被検体100内各部に、できるだけ均一なエネルギー密度で光を照射することができる。また、光ファイバ16を用いることにより、被検体100の形状に合わせて適切な光照射が可能となるという利点もある。 【0032】超音波計測機構は、パルス発生器22、高周波パワーアンプ24、入出力切り替え回路26、振動子28及びA/D変換器29を含む。パルス発生器22は、制御・解析用コンピュータ20から与えられるトリガ信号に従って高周波の電気パルスを発生する。このパルスが高周波パワーアンプ24で増幅され、入出力切り替え回路26を介して振動子28に供給される。振動子28は、この電気パルスを機械的振動に変換し、超音波パルスを発生する。振動子28は、音響レンズその他の機構により超音波を絞ってビームとする能力を有する。振動子28は、送受波兼用であり、送波した超音波に対するエコーを検出してそれを電気信号(受信信号)に変換する。また、振動子28は、走査機構(図示省略)により、被検体100の周りを所定範囲にわたって走査される。このような機構により、超音波ビーム210で被検体100の所望の断層面を走査することができる。このビーム走査は、制御・解析用コンピュータ20が生成する走査制御信号に従って行われる。 【0033】入出力切り替え回路26は、振動子28の送受信を切り替えるための機構である。この切り替えにより、送信時には高周波パワーアンプ24から振動子28に駆動パルスが供給され、受信時には振動子28のエコー検出による高周波の受信信号が入出力切り替え回路26を介してA/D変換器29に入力される。A/D変換器29は、その受信信号をディジタル信号に変換し、制御・解析用コンピュータ20に入力する。制御・解析用コンピュータ20は、そのディジタル化された受信信号を解析して、被検体100内各部の光吸収による温度上昇を評価する。 【0034】本実施形態では、電磁シャッター14を閉じて光照射を行っていないときと、電磁シャッター14を開いて光照射を行っているときとで、それぞれ超音波パルスの送受を行い、それぞれの場合の被検体内からのエコーの受信信号同士を比較することにより、光照射による被検体内各部の温度上昇を解析する。このための一連の制御及び解析は、制御・解析用コンピュータ20によって実行される。その一連の処理手順は、例えば次のようになる(図2参照)。 【0035】制御・解析用コンピュータ20は、振動子28を所定の走査開始位置まで移動させ、電磁シャッター14に対して開動作を指示する制御信号を送る(S10)。これにより、光源10の光が光ファイバ16を介して被検体100に照射される。そして、この照射開始から所定時間経過後にパルス発生器22に対してトリガ信号を送り、振動子28に超音波パルスビームの送受を行わせる(S12)。ここで、光照射開始から超音波送受開始までの時間は、被検体100各部が十分な光エネルギーを吸収するのに要する時間であり、予め実験等で定めてコンピュータ20に設定しておく。そして、制御・解析用コンピュータ20は、この超音波送受によって得られた受信信号の波形を記憶する(S14)。このようにして光照射時の超音波受信波形の記憶が終わると、制御・解析用コンピュータ20は電磁シャッター14に対して閉動作を指示する制御信号を送る(S16)。これにより被検体100に対する光照射が停止される。この照射停止から所定時間経過して被検体100が十分に温度低下したところで、制御・解析用コンピュータ20から超音波パルス出力が指示され、送受波が行われる(S18)。そして、その超音波送受により得られた受信信号の波形が制御・解析用コンピュータ20に記憶される(S20)。 【0036】制御・解析用コンピュータ20は、このようにして取得した光照射時と非照射時の受信信号同士を比較し、超音波ビーム上の各点の光照射の有無による音速の変化を解析する(S22)。この解析処理の概念を図3を参照して説明する。 【0037】周知のように、超音波は音響インピーダンスの異なる組織同士の境界面で反射される。本実施形態では、パルス状の超音波を送波するので、エコーの受信信号は、超音波ビーム上の各境界での反射によるパルス成分が重なったものとなり、振動子28に近い順に各境界に対応した反射パルス(高振幅部)が現れる。図3の(a)は、光を照射していないときの受信信号の波形を模式的に示したものである。この例では、受信信号にA,B,Cの3つの反射パルスが認められ、それらはそれぞれビーム経路上の強反射体(すなわち組織境界)に対応している。これに対し(b)は光照射を行ったときの受信信号波形を示したものである。波形(b)には、波形(a)と同じく3カ所の反射パルスが現れているが、温度上昇による音速変化によりその位置(受信時刻)が少しずつずれている。例えば、振動子28に近い境界からの反射による反射パルスAは位置ずれが起きていないが、2、3番目のパルスB,Cには位置ずれが起こっている。これから、振動子28からパルスAに対応する組織境界までの間の組織は光照射による音速変化(すなわち温度変化)がほとんど起こっていないのに対し、それより深い組織では温度上昇による音速変化が起こっていることが分かる。そこで、本実施形態では、非照射時の受信信号波形と照射時の受信信号波形の比較から、図3に示すように、光照射の有無による各反射パルスの位置の差(位置ずれ)を表す信号(c)を求め、この信号(c)から、反射が生じた組織の位置と、その組織の内部での音速の変化を求める。 【0038】ここで、反射パルスの位置の変化は、超音波がその反射点まで往復するのに要した時間の変化に対応していると考えられる。その往復時間の変化は、超音波の往復経路上の各組織の温度上昇による音速変化が重畳したものと考えられる。したがって、隣り合う反射パルス同士の位置ずれ量の差が、それら反射パルスが表す境界同士の間の組織を超音波が往復するのに要する時間の、光照射による変化に対応すると考えることができる。また、その組織の厚みは反射パルス同士の間隔に対応する。従って、これらを総合すると、各組織の位置と、光吸収による温度上昇によるそれら各組織の音速変化を求めることができる。 【0039】S22では、このような原理に従った演算処理により、超音波ビームに沿った各組織の光照射による音速変化度の分布情報が得られる。 【0040】以上の処理により、光照射の有無による音速変化のビーム方向に沿った分布が得られると、制御・解析用コンピュータ20は、予定したビーム走査が完了したかどうか検査し(S24)、完了していなければ振動子28を1ビーム分移動させ(S26)、上記のS10からS22までの処理を繰り返す。これにより、各ビーム毎に、それに沿った各組織の音速変化の分布情報が得られる。これらを合成することにより、光照射による音速変化の2次元分布が得られる。音速変化は、照射された光エネルギーの吸収特性に依存するので、得られた2次元分布は、被検体断層面における光吸収特性の分布と捉えることができる。 【0041】例えば、1ビームずつ、S26でそのビーム方向に沿った各反射点での音速変化の値を画像メモリに書き込んでいけば、ビーム走査により光吸収特性の2次元分布を画像化することができる。 【0042】以上説明したように、本実施形態によれば、光エネルギーの吸収特性から見た被検体の断層画像を生成することができる。 【0043】本実施形態では、光は被検体組織の加熱のために用いるだけなので、照射する光のコヒーレンスは必要でない。したがって、光照射機構を簡素な構造とすることができる。また、本実施形態では、被検体内で発生する超音波ではなく振動子から放射した超音波の反射波を受信するので、「従来の技術」で説明したNathelの技術と比べて受信信号がはるかに強くなり、信号処理が容易である。また、本実施形態では、走査方向について基本的に超音波ビームのビーム幅程度の、深さ方向については従来の超音波診断装置と同等の分解能が得られるので、Nathelの技術と比べて高い分解能が得られる。 【0044】以上の例では、ビームを走査することにより2次元的な画像を得たが、走査せずに得られるビーム方向の光吸収分布の情報だけでも、有益な診断情報となる。 【0045】また、このようにして得た光吸収の分布情報は、画像表示だけでなく、生体組織の定量分析への利用も期待される。 【0046】[実施形態2]上記実施形態1では、超音波パルスを用いたのに対し、この第二の実施形態では連続波の超音波を用いる。 【0047】図4は、実施形態の装置の概略構成を示す図である。図4において、図1に示した構成要素に相当する構成要素には同一の符号を付して説明を簡略化する。 【0048】この実施形態の装置も、実施形態1の装置と同様、光照射機構と超音波計測機構から構成される。本実施形態の光照射機構は、電磁シャッターの変わりにライトチョッパ15を用いる点を除いては、実施形態1の構成と同様である。ライトチョッパ15は、光源10から出力された光が光ファイバ16群に入射するのを、所定周期で断続する。 【0049】超音波計測機構は、実施形態1とは異なり、送波振動子28aと受波振動子28bを対向配置し、前者から発した連続波の超音波ビームを後者で受波する構成をとっている。送波振動子28a及び受波振動子28bは、図示しない走査機構に取り付けられ、制御・解析用コンピュータ20の走査制御信号に従って、対向状態を維持したまま移動させられる。 【0050】本実施形態では、連続波の超音波を被検体100に送波する。連続波ではパルスとは違って距離分解能は得られないので、1送信ビームではそのビーム経路についての音速変化のみを求める。そして、ビーム走査を行って多数のビームについて音速変化の情報を求め、それらの情報からCT(コンピュータ断層像)の逆投影(バックプロジェクション)の手法を用いて断層画像を構成する。 【0051】第1ロックインアンプ30の内部参照信号を高周波パワーアンプ32で増幅し、これで送波振動子28aを駆動する。内部参照信号としては、例えば5MHzの正弦波を用いる。これにより、送波振動子28aからは内部参照信号と同じ周波数の連続波の超音波ビーム220が出力される。向かい側の受波振動子28bは、被検体100内を伝搬した超音波を受信し、電気的な受信信号に変換する。この受信信号は第1ロックインアンプ30に入力される。 【0052】第1ロックインアンプ30は、入力された受信信号を内部参照信号で同期検波する。送波した超音波は内部参照信号から生成したものなので、受波振動子28bで得られる受信信号も基本的に内部参照信号と同じ周波数になる。第1ロックインアンプ30で受信信号を同期検波すると、受信信号と内部参照信号との位相差の情報が得られる。この位相差の信号が、第1ロックインアンプ30の位相差出力から出力され、第2ロックインアンプ34に入力される。 【0053】ここで、被検体100に光を照射すると、被検体100の温度が上昇するため音速が変化する。この音速が変化するとこれに応じて波長が変わるので、温度上昇の前後では受波振動子28bで受信した受信信号の位相が変化する。したがって、光照射時と非照射時では被検体の温度が変化するので、第1ロックインアンプ30の出力する位相差信号のレベルが異なってくる。 【0054】第2ロックインアンプ34には、ライトチョッパ15の断続制御信号が外部参照信号として入力される。第2ロックインアンプ34は、この外部参照信号を用いて、光照射時と非照射時での第1ロックインアンプ30の位相差信号の変化(振幅)を求める。求められた位相差信号の振幅は、光照射時と非照射時の受信信号の位相の差分に対応しており、光照射の有無による超音波伝搬路の音速の変化を反映している。第2ロックインアンプ34の出力は制御・解析用コンピュータ20に入力される。 【0055】制御・解析用コンピュータ20は、走査制御信号により送波振動子28a及び受波振動子28bを被検体100の周囲に沿って移動させ、これにより超音波ビームを走査する。そして、各走査位置ごとに、第2ロックインアンプ34から出力された光照射時と非照射時の受信信号の位相変化の情報を記憶する。このようにして、被検体100の全周にわたって走査が完了すると、各走査位置での位相変化に対し、X線CT等で周知のバックプロジェクション・アルゴリズムを適用することにより、被検体100の断層像を形成する。 【0056】次に、図5を参照して、第1ロックインアンプ30と第2ロックインアンプ34の動作、すなわち光照射の有無による音速変化の検出手法を説明する。 【0057】図5に示すように、第1ロックインアンプ30の内部参照信号(a)は正弦波であり、送波振動子28aからはこの正弦波に対応した超音波が出力される。超音波は、被検体各部の組織ごとに音速が異なっても同一周波数で被検体内を伝搬する(血流等の運動体による変調成分が若干加わるがレベルとしては小さい)。したがって、受波振動子28bの受信信号波形は内部参照信号に近い波形となる。光源10の光を被検体100に照射しない時(非照射時)の受信信号と内部参照信号との位相差を0に調整すると、このときの受信信号(b1)は、内部参照信号とほぼ同位相同周波数の信号となる。したがって、受信信号と内部参照信号の位相差を求める第1ロックインアンプ30の出力(b2)は、ほぼ0で一定の信号となる。 【0058】一方、被検体100に光を照射すると、被検体100内の各部がその光の吸収特性に応じた温度上昇を示す。この温度上昇により被検体各部の音速が変化する。この音速変化により、送波振動子28aと受波振動子28bとの間の音響的な距離が変化し、これが受信信号の位相変化として現れる。すなわち、光照射時の受信信号(c1)は、内部参照信号(a)に対して位相がずれた、ほぼ同一周波数の信号となっている。したがって、光照射時の第1ロックインアンプ30の出力(c2)は、受信信号(c1)と内部参照信号(a)との位相差を表すほぼ一定値の信号となる。 【0059】ここで、ライトチョッパ15により制御信号(d)に従って被検体100に対する光照射を断続すると、その断続に応じて被検体100各部の温度、ひいては音速が変化する。第1ロックインアンプ30の時定数を、光照射の断続周期よりも十分短く設定しておく。第1ロックインアンプ30の位相差出力は、模式的には、光照射の断続に対応して、光照射時(c2)と非照射時(b2)のレベルを交互に繰り返す(信号(e))。光照射を断続したときのこの第1ロックインアンプ30の出力変化(振幅)を、第2ロックインアンプ34でその光の断続に同期して検出すれば、光照射の有無による受信信号の位相変化のみを高い感度で取り出せる。この位相変化は、振動子28a、28b間の超音波伝搬経路の各点の音速変化を総合したものに対応する。 【0060】制御・解析用コンピュータ20は、振動子28a、28bのペアを被検体100の周りに沿って少しずつ移動させ、各走査位置ごとに上記の処理を行って光照射の有無による受信信号の位相変化を検出して記憶する。そして、これら各操作位置での検出結果をCTのアルゴリズムで処理すれば、被検体100の走査断面各部の、光照射の有無による音速変化の分布が求められる。被検体各部の音速変化は、その部分の光吸収率に依存していると考えられるので、その音速変化の分布は、被検体各部の光吸収率を表す断層画像とみなすことができる。 【0061】このように、本実施形態によれば、光エネルギーの吸収特性に着目した、被検体の断層画像を形成することができる。 【0062】本実施形態でも、実施形態1と同様、光のコヒーレンスは必要なく、十分強い受信信号を処理すればよいので、装置や信号処理回路の構成が簡素化できる。また、超音波ビームのビーム幅程度の分解能が得られる。 【0063】また、以上では、被検体の全周にわたって超音波ビームの走査を行い、得られた結果に逆投影アルゴリズムを用いて断層像を形成したが、これに限らず、超音波ビームを例えばリニアに走査し、各走査線ごとに光照射の有無による音速変化を求め、これを走査方向に沿った一次元的な分布として表示するだけでも、有益な診断情報となると考えられる。 【0064】[実施形態3]図6は、第3の実施形態の概略構成を示す図である。この実施形態は、Bモード等の従来の断層画像と本発明に係るエネルギー吸収分布画像とを重畳表示するための装置構成である。 【0065】被検体100は、光源40により光照射を受ける。光源40は、例えば赤外線レーザである。光源40の出射側には、被検体100への光照射を断続するシャッター42が配設される。このシャッター42は、光吸収解析部60により開閉制御される。 【0066】超音波の送受は、リニアアレイ探触子50により行われる。リニアアレイ探触子50は、直線状に配列された複数の振動子を有する。各振動子は、送受信部52からの駆動信号により励振されて超音波を発し、この超音波に対する被検体内からのエコーを電気的な受信信号に変換して送受信部52に返す。走査制御部54は、送受波を行う振動子を順に切り換えることにより、超音波ビームを走査する。以上のビーム送受信及び走査の機構は、従来の超音波診断装置のものと同様でよい。 【0067】このようにして得られる探触子50の受信信号は、Bモード信号処理回路56及び光吸収解析部60に入力される。Bモード信号処理回路56は、その受信信号に対して周知のBモード断層画像形成処理を行ってビーム走査範囲の断層画像を形成し、DSC(ディジタルスキャンコンバータ)58に書き込む。 【0068】光吸収解析部60は、受信信号を解析してビーム走査範囲の光吸収分布の画像を形成する。光吸収分布は、光照射時と非照射時での受信信号の変化に基づき求める。このための制御の手順を以下説明する。まず、光吸収解析部60は、シャッター42を閉じ、被検体100に光吸収による温度上昇がない状態での探触子50の受信信号を1走査分記憶する。このとき、光吸収解析部60は、走査制御部54からの走査情報に基づき、受信信号を各走査線(ビーム)ごとに区別して記憶する。次に光吸収解析部60は、シャッター42を開いて被検体100に光照射を行い、被検体各部に検出可能な温度上昇が起こる程度の時間(これは予め実験で求めて設定しておく)の経過後、再び探触子50の受信信号を1走査分取得する。そして、光吸収解析部60は、1走査線ずつ、光吸収前と吸収後の受信信号について実施形態1と同様の解析を行い、各走査線毎に、その上の各点の音速変化の程度を求める。この解析結果はDSC58に書き込まれる。 【0069】DSC58は、この光吸収解析部60の解析結果である光吸収分布画像をBモード画像に重畳し、その結果を表示装置62に表示する。表示形態としては、輝度表示のBモード画像に対し、光吸収分布をカラーで重畳するなどが考えられる。光吸収分布は、被検体各部の温度上昇に対応しているので、暖色系の色を用い、吸収率が高い(照射前後の位相差が大きい)ほど明度の高い色になるようにするなどの形態をとれば、診断者に直感的に把握しやすい画像が得られる。 【0070】本実施形態の表示によれば、超音波の反射強度の分布(Bモード画像)と、光吸収特性の分布という、異なる物理量の分布を一目で把握できる。したがって、被検体組織の多面的な把握が可能になる。なお、ここではBモード画像と光吸収分布の画像を重畳表示したが、カラードプラや組織ドプラの画像に光吸収分布の画像を重畳することも可能である。この場合、ドプラ画像はカラーで、光吸収分布は輝度で表すなど、互いの表示情報が混ざり合わないようにする。 【0071】なお、この装置で検査を行う際、造影剤注入器70により造影剤を注入することも好適である。造影剤としては、光吸収率が高く、被検体中の注目組織(例えばガン細胞などの病変部110)に特異的に取り込まれやすいものを用いることが好適である。このような造影剤を注入した後、本実施形態の光吸収イメージングを行えば、注目組織の光吸収による温度上昇が他の部分より大きくなるので、注目組織を強調した画像を形成することができる。なお、この造影剤は、上記実施形態1や2、次の実施形態4にも適用可能である。 【0072】以上、本実施形態ではリニアアレイ探触子50を用いたが、コンベックス探触子など他のタイプのアレイ探触子を用いても同様の処理が行える。 【0073】[実施形態4]本発明の第4の実施形態を図7を参照して説明する。 【0074】上記実施形態では、光照射時と非照射時との受信信号の比較から、光照射の有無による音速の変化の程度を表す情報を得、これを画像化した。これに対し、本実施形態では、被検体100を横切る超音波の絶対的な音速を求め、この音速情報から画像を形成する。 【0075】このため、送波振動子70aから超音波パルス230を被検体100内に送波し、これを向かい側の受波振動子70bで受信する。解析部76には、送波振動子70aに送る駆動パルスが与えられるとともに、受波振動子28bの受信信号が入力される。解析部76は、駆動パルスと受信信号のピークとの時間差を求める。この時間差が、送波振動子70aから受波振動子70bまでの音波伝搬時間である。送波振動子70aと受波振動子70bにはレーザ測長器72が取り付けられており、このレーザ測長器72によりそれら両振動子間の距離を計測することができる。この距離計測結果は、解析部76に入力される。なお、両振動子間の距離を測る手段は、レーザ測長器72には限られない。 【0076】解析部76は、超音波送受により得た音波伝搬時間と、レーザ測長器72から得た両振動子間の距離とから、両振動子間の音波伝搬経路での平均音速を求める。解析部76は、図示しない走査制御部に制御信号を送り、振動子70a、70bを、対向状態を維持しつつ被検体100の周囲に沿って所定間隔ずつ移動させることにより、被検体100を走査する。振動子ペアの各停止位置ごとに、超音波の送受を行って両振動子間の平均音速を求める。このようにして求められた各走査線の平均音速に対してバックプロジェクション演算を適用すれば、被検体100の走査断層面の音速分布の情報が得られる。 【0077】解析部76は、光源40を発光させ、パルス発生器74にトリガ信号を送って超音波パルスを送信させる。そして、このときの受信信号から、上述の手法で平均音速を求める。振動子ペアを被検体100の全周にわたって移動させながら超音波の送受を行うことにより、光照射を行ったときの被検体100の断層面の音速分布が求められる。仮に非照射時の被検体内各部の温度がほぼ一定であるなら、光照射時の音速分布から被検体各部の光吸収性を知ることができる。 【0078】より厳密を期すなら、光照射前にも同様の走査を行って被検体断面の音速分布を求め、光照射時の音速分布との差分を求めればよい。これにより、被検体断面各部の光吸収の程度を求めることができる。 【0079】以上説明したように、本実施形態でも、被検体各部の光エネルギーの吸収特性に関する情報を、超音波の受信信号に基づき得ることができる。 【0080】このように、本実施形態では、音速を求めるに当たり振動子間の距離を実測した。これに対し、上述の実施形態2では、光照射時と非照射時の受信信号の差を求めており、この差分演算により距離のファクタはキャンセルされる。したがって、実施形態2では、振動子間の距離を実測しなくても音速の変化に相当する物理量を求めることができる。同様の考え方をすれば、本実施形態でも、非照射時と照射時の各々について振動子間の音波伝搬時間を求め、それらの差分に対してバックプロジェクションを行うことにより、音速変化の分布と等価な画像が得られる。この場合、レーザ測長器などの距離計測手段は不要になる。 【0081】[まとめ]以上、本発明の好適な実施の形態を説明した。以上説明したように、上記各実施形態によれば、照射した光エネルギーを吸収しやすい部分とそうでない部分とが区別できる光吸収分布画像を得ることができる。生体組織の中には吸収しやすい光の波長が他と異なるものもあるので、注目する組織に応じて使用する光の波長を選ぶことにより、適切な画像化が行える。照射する光に対する吸収性がよく、特定組織に結びつきやすい造影剤を用いることにより、その特定組織を明確に検出することもできる。 【0082】また、上記実施形態1、2などでは機械的なビーム走査機構を用い、実施形態3では電子的な走査機構を用いたが、これに限らず、手動走査にも本発明は適用可能である。手動走査の場合、各ビーム送受の際の振動子の位置及びビームの方向を例えば機械的な機構により検出し、これを解析部に渡して画像形成のためのアドレッシングを行わせればよい。 【0083】また、上記実施形態での「光照射時」の超音波の送受は、厳密に光を照射している間に行わなくてもよい。光照射を止めた後でも、光照射による被検体各部の温度上昇の影響が残っている段階であればよい。逆に、「非照射時」とは、単に光照射を行っていない時点ではなく、被検体が、光照射の影響下の温度分布とは異なる温度分布を示すようになった時点である。両時点の温度分布の差が、分隊各部の音速変化をもたらし、これが受信信号の変化として現れる。逆に言えば、「光照射時」と「非照射時」では、原理的には、受信信号に検出可能な差異(位相差など)が現れる程度に被検体内の温度分布が変化していればよい。したがって、光照射を止めずに単にその強度を、例えば周期的に、変化させるだけで、被検体の温度分布に検出可能な変化をもたらすことができれば、本実施形態の装置でその照射強度の変化に応じた音速変化を求めることで、被検体の断層画像を形成することができる。 【0084】また、以上の各実施形態では、音速変化の計測のために超音波を用いたが、本発明は原理上は超音波に限らず音波一般に適用可能である。どの周波数帯域の音波を用いるかは、計測対象の物体の音響特性に応じて適宜定めればよい。 【0085】また、以上の各実施形態では、被検体内部に加熱エネルギーを供給する媒体として近赤外線を用いたが、これに限らず、マイクロ波等の他の波長帯の電磁波を用いてもよいし、場合によっては超音波を用いることも可能である。超音波でエネルギーを供給する場合、エネルギー供給用の超音波と、計測用の超音波との干渉が起こらないよう、その波長や送波の向きを適切に定める。 【0086】また上記各実施形態の手法は、体表からの診断だけでなく、内視鏡下の術式にも応用可能である。この場合、内視鏡の照明を被検体加熱用の光源として利用することができる。 【0087】また以上では、生体診断のための装置への本発明の適用例を説明したが、本発明は生物以外の対象物体の計測・診断にも適用可能である。加熱のためのエネルギーは、その対象物体に対してある程度の透過性を持つものを選ぶ。 【0088】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、照射したエネルギーに対する物体各部の吸収性の情報を、その物体内を伝搬した超音波の受信信号から得ることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】390029791 【氏名又は名称】アロカ株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年11月19日(1999.11.19) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100075258 【弁理士】 【氏名又は名称】吉田 研二 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−145628(P2001−145628A) |
| 【公開日】 |
平成13年5月29日(2001.5.29) |
| 【出願番号】 |
特願平11−329089 |
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