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【発明の名称】 X線コンピュータ断層撮影装置
【発明者】 【氏名】本多 豊正

【氏名】田口 亘

【要約】 【課題】インターロック機能を備えたX線コンピュータ断層撮影装置において、インターロック機能が働いても適宜、スキャンを継続させること。

【解決手段】本発明のX線コンピュータ断層撮影装置は、X線管10と、X線検出器11と、X線検出器で検出した多方向の投影データに基づいて断層像データを再構成する再構成ユニット36と、X線管に高電圧を印加する高電圧発生器21と、X線管の状態を複数の異常事態にわたって多角的に監視しその中の少なくとも1つが発生したと判断したとき高電圧の印加を停止させるインターロック制御部4とを備え、インターロック制御部4は高電圧の印加の停止が、X線管内の真空度劣化を主たる原因として管電流の急激な上昇及び管電圧の急激な低下をもたらす異常放電という異常事態のみによるものであるとき、高電圧の印加を再開させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 高電圧発生手段から電圧を供給してX線管からX線を発生させるX線発生系と、前記X線発生系のX線発生に関わる複数種の情報について異常の有無を監視する監視手段と、前記複数種の情報のうち所定の情報が異常を示す場合、前記X線の発生を一旦停止し、停止後所定時間経過して前記X線の発生を自動的に再開させる停止手段と、を具備することを特徴とするX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項2】 前記所定の情報は、前記X線管の放電を示す情報であることを特徴とする請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項3】 前記X線管の放電は、X線管内の真空度劣化を主たる原因とした管電流の急激な上昇及び管電圧の急激な低下の少なくとも一方をもたらす状態であることを特徴とする請求項2記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項4】 前記放電の回数をカウントする計数手段を更に具備し、前記停止手段は、放電回数が所定回数未満である場合、前記X線の発生を再開させ、前記放電回数が前記所定回数以上である場合、前記X線の発生を再開させないものであること、を特徴とする請求項2又は請求項3記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項5】 前記停止手段は、前記高電圧発生手段から前記X線管へ供給する電圧の印加の停止及び開始を制御することを特徴とする請求項1又は請求項4記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項6】 前記停止手段は、前記高電圧発生手段から前記X線管への電圧印加の停止時に、前記X線管の回転陽極のロータ回転及びX線管のフィラメントへの電流供給の少なくとも一方を継続させるものであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項7】 前記X線管からのX線を検出したデータに基づいて断層像データを再構成する再構成手段を更に具備し、前記再構成手段は、前記X線の発生の一旦停止から前記X線の発生の再開までの期間に相当する前記データを、当該データ近傍の前記期間外に得られたデータを補間して求めるものであること、を特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項8】 前記再構成手段は、前記期間外に実際に収集された投影データ、又は当該投影データとその対向データとから補間して求めるものであることを特徴とする請求項7記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項9】 前記再構成手段は、前記期間に相当するデータを、当該データに最も近い前記期間外に得られたデータを補間して求めるものであることを特徴とする請求項6又は請求項7記載X線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項10】 前記データ近傍のデータは、前記期間に相当するデータと投影角度が同じで体軸方向に異なるデータであることを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれか一項記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項11】 前記X線管からのX線を検出した投影データに基づいて断層像データを再構成する再構成手段を更に具備し、前記再構成手段は、複数種の補間処理方法を有し、所定のスライス面の断層像データを再構成するにあたって、前記複数の補間処理方法の中から適切な補間処理方法に切替える機能を有するものであること、を特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項12】 前記再構成手段は、180°補間法又は360°補間法を切替えるものであることを特徴とする請求項11記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項13】 前記X線発生の一旦停止から前記X線発生の再開までの期間に相当するデータを、所定範囲のデータ収集終了後、被検体を載せる寝台又は前記X線管を搭載した架台を前記一旦停止前に戻して収集させる手段を更に具備することを特徴とする請求項1乃至請求項12のうちいずれか一項記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項14】 前記監視手段の出力に基いて、異常を示す情報を表示する表示手段を更に具備することを特徴とする請求項1乃至請求項13のうちいずれか一項記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項15】 前記監視手段により得られた異常情報を保存する保存手段と、前記保存手段に保存された異常情報を表示する表示手段と、を更に具備することを特徴とする請求項1乃至請求項13のうちいずれか一項記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項16】 前記監視手段により得られた異常情報を保存する保存手段と、前記保存手段に保存された異常情報を転送する転送手段と、を更に具備することを特徴とする請求項1乃至請求項14のうちいずれか一項記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、X線管の状態を複数の異常項目にわたって多角的に監視し、複数の異常項目の中の少なくとも1つが異常値を示すとき、X線の曝射を停止するために高電圧の印加を停止させるいわゆるインターロック機能を持ったX線コンピュータ断層撮影装置に関する。
【0002】
【従来の技術】被検体に関する広範囲にわたる投影データを連続的に切れ目無くしかも非常に高速で収集することのできるヘリカルスキャンは、周知の通り、X線管及び多チャンネルタイプX線検出器等の連続回転と、被検体を載置した寝台のテーブルトップのスライドとの同期的な動きによって実現される。
【0003】ところで、現在殆どのX線コンピュータ断層撮影装置には、管電圧、管電流、フィラメント電流、管内温度、クールポンプの動作状態等からX線管の状態を監視して様々な異常事態の発生をX線曝射の停止という手段で未然に防ぐいわゆるインターロック機能が装備されている。
【0004】従来では、このインターロック機能が働いて、X線曝射が停止したとき、その原因を追求して解消すると共に、操作者がエラークリアの指示を出さなければX線曝射を含むスキャン動作全体が停止するようになっていた。
【0005】このようなインターロック機能は非常に便利なものであるが、反面、スキャンを最初からやり直さなければならないことも多々あった。例えば、造影検査などでは、経時的なCT値の変化が最も重要な情報の1つであるが、インターロック機能でスキャンが途中で停止してしまうと、その再開までに造影効果が殆ど消失してしまうので、造影剤を再度注入して、最初からスキャンをやり直すことが必要になるし、また、上述したヘリカルスキャンでは、スキャン停止時点から再開するにしても、スキャン停止中の被検体の姿勢の変化等によって連続データにならないこともあり、やはり最初からスキャンをやり直すことが必要になる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、インターロック機能を備えたX線コンピュータ断層撮影装置において、インターロック機能が働いても適宜、スキャンを継続させることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】(1)本発明のX線コンピュータ断層撮影装置は、高電圧発生手段から電圧を供給してX線管からX線を発生させるX線発生系と、前記X線発生系のX線発生に関わる複数種の情報について異常の有無を監視する監視手段と、前記複数種の情報のうち所定の情報が異常を示す場合、前記X線の発生を一旦停止し、停止後所定時間経過して前記X線の発生を自動的に再開させる停止手段とを具備するものである。
【0008】(2)本発明のX線コンピュータ断層撮影装置は、上記(1)に記載したものであって、かつ前記所定の情報は、前記X線管の放電を示す情報であることを特徴とするものである。
【0009】(3)本発明のX線コンピュータ断層撮影装置は、上記(2)に記載したものであって、かつ前記X線管の放電は、X線管内の真空度劣化を主たる原因とした管電流の急激な上昇及び管電圧の急激な低下の少なくとも一方をもたらす状態であることを特徴とするものである。
【0010】(4)本発明のX線コンピュータ断層撮影装置は、上記(2)又は(3)に記載したものであって、かつ前記放電の回数をカウントする計数手段を更に具備し、前記停止手段は、放電回数が所定回数未満である場合、前記X線の発生を再開させ、前記放電回数が前記所定回数以上である場合、前記X線の発生を再開させないものであることを特徴とするものである。
【0011】(5)本発明のX線コンピュータ断層撮影装置は、上記(1)又は(4)に記載したものであって、かつ前記停止手段は、前記高電圧発生手段から前記X線管へ供給する電圧の印加の停止及び開始を制御することを特徴とするものである。
【0012】(6)本発明のX線コンピュータ断層撮影装置は、上記(1)〜(5)のうちいずれか一つに記載したものであって、かつ前記停止手段は、前記高電圧発生手段から前記X線管への電圧印加の停止時に、前記X線管の回転陽極のロータ回転及びX線管のフィラメントへの電流供給の少なくとも一方を継続させるものであることを特徴とするものである。
【0013】(7)本発明のX線コンピュータ断層撮影装置は、上記(1)〜(6)のうちいずれか一つに記載したものであって、かつ前記X線管からのX線を検出したデータに基づいて断層像データを再構成する再構成手段を更に具備し、前記再構成手段は、前記X線の発生の一旦停止から前記X線の発生の再開までの期間に相当する前記データを、当該データ近傍の前記期間外に得られたデータを補間して求めるものであることを特徴とするものである。
【0014】(8)本発明のX線コンピュータ断層撮影装置は、上記(7)に記載したものであって、かつ前記再構成手段は、前記期間外に実際に収集された投影データ、又は当該投影データとその対向データとから補間して求めるものであることを特徴とするものである。
【0015】(9)本発明のX線コンピュータ断層撮影装置は、上記(6)又は(7)に記載したものであって、かつ前記再構成手段は、前記期間に相当するデータを、当該データに最も近い前記期間外に得られたデータを補間して求めるものであることを特徴とするものである。
【0016】(10)本発明のX線コンピュータ断層撮影装置は、上記(7)〜(9)に記載したものであって、かつ前記データ近傍のデータは、前記期間に相当するデータと投影角度が同じで体軸方向に異なるデータであることを特徴とするものである。
【0017】(11)本発明のX線コンピュータ断層撮影装置は、上記(1)〜(6)に記載したものであって、かつ前記X線管からのX線を検出した投影データに基づいて断層像データを再構成する再構成手段を更に具備し、前記再構成手段は、複数種の補間処理方法を有し、所定のスライス面の断層像データを再構成するにあたって、前記複数の補間処理方法の中から適切な補間処理方法に切替える機能を有するものであることを特徴とするものである。
【0018】(12)本発明のX線コンピュータ断層撮影装置は、上記(11)に記載したものであって、かつ前記再構成手段は、180°補間法又は360°補間法を切替えるものであることを特徴とするものである。
【0019】(13)本発明のX線コンピュータ断層撮影装置は、上記(1)〜(12)に記載したものであって、かつ前記X線発生の一旦停止から前記X線発生の再開までの期間に相当するデータを、所定範囲のデータ収集終了後、被検体を載せる寝台又は前記X線管を搭載した架台を前記一旦停止前に戻して収集させる手段を更に具備することを特徴とするものである。
【0020】(14)本発明のX線コンピュータ断層撮影装置は、上記(1)〜(13)に記載したものであって、かつ前記監視手段の出力に基いて、異常を示す情報を表示する表示手段を更に具備することを特徴とするものである。
【0021】(15)本発明のX線コンピュータ断層撮影装置は、上記(1)又は(13)に記載したものであって、かつ前記監視手段により得られた異常情報を保存する保存手段と、前記保存手段に保存された異常情報を表示する表示手段と、を更に具備することを特徴とするものである。
【0022】(16)本発明のX線コンピュータ断層撮影装置は、上記(1)又は(14)に記載したものであって、かつ前記監視手段により得られた異常情報を保存する保存手段と、前記保存手段に保存された異常情報を転送する転送手段と、を更に具備することを特徴とするものである。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明によるX線コンピュータ断層撮影装置を好ましい実施形態により具体的に説明する。なお、コンピュータ断層撮影装置には、X線管とX線検出器とが1体として被検体の周囲を回転するROTATE/ROTATE-TYPE、リング状にアレイされた多数の検出素子が固定され、X線管のみが被検体の周囲を回転するSTATIONARY/ROTATE-TYPE等様々なタイプがあり、いずれのタイプでも本発明を適用可能である。ここでは、現在、主流を占めているROTATE/ROTATE-TYPEとして説明する。
【0024】また、1枚の断層像を再構成するには、被検体の周囲1周、約360度分の投影データの1セットが、またハーフスキャン法でも210度〜240度程度分の投影データの1セットが必要とされる。いずれの方式にも本発明を適用可能である。ここでは、一般的な前者の約360度分の投影データセットから1枚の断層像を再構成するものとして説明する。
【0025】図1に、本実施形態に係るコンピュータ断層撮影装置の主要部の構成を示している。このコンピュータ断層撮影装置は、大きく、架台1と、インターロック制御部4と、コンピュータ装置3とからなる。架台1は、X線管10等の投影データの収集に要する複数の構成要素から構成されている。X線管10は、図示しない回転リングに多チャンネルタイプのX線検出器11とともに互いに対向する状態で取り付けられており、その間に被検体を載置する寝台2が配置されている。その他、架台1には、X線管4に高電圧を印加するためのインバータ式高電圧発生器21、上記回転リングを回転駆動するための架台駆動装置25、さらにX線検出器11の出力(電流信号)を電圧信号に変換し、それを増幅し、さらにディジタル信号に変換し、投影データとして出力する一般的にDAS(data acquisition system) と呼ばれているデータ収集装置24等が設けられている。
【0026】コンピュータ装置3には、メインコントローラ30の他に、データ収集装置24からの投影データに基づいて、実際には収集されていないデータを補間することを主機能(それ以外の機能は後述する)とする補間ユニット34、補間ユニット34により揃えられた360゜分の投影データに基づいて断層像データを再構成する再構成ユニット36、その断層像データを表示用の例えばRGB信号に変換する表示プロセッサ37、表示プロセッサ37の出力により断層像を表示するためのディスプレイ38等が備えられている。
【0027】上述したX線管10及びその周辺装置には、管電圧、管電流、フィラメント電流、管内温度、クールポンプの動作状態等を検知するため複数のセンサ31が設けられており、インターロック制御部4は、これらセンサ31の出力に基づいて、X線管10の状態を複数の異常事態にわたって多角的に監視し、複数の異常事態の中の少なくとも1つが発生したと判断したとき、インターロック信号を発生し、高電圧発生器21からX線管10への高電圧の印加を停止させることを主機能とするものである。
【0028】また、インターロック制御部4は、この主機能の他に、この主機能による高電圧の印加の停止が、X線管10内の真空度劣化を主たる原因として管電流の急激な上昇及び管電圧の急激な低下(つまり漏電)をもたらす異常放電という異常事態のみによるものであるとき、高電圧発生器21を制御して高電圧の印加を再開させ、そのままスキャンを継続させるという本発明で特徴的な副機能を備えている。以下、この副機能について詳細に説明する。
【0029】図2に、このインターロック制御部4の構成を示している。まず、エラー検出回路40には、複数のセンサ31の出力、つまり管電圧、管電流、フィラメント電流、管内温度、クールポンプの動作状態等に関する情報が供給される。エラー検出回路40は、これら情報に基づいて、X線管10の様々な異常事態を常時監視しており、この中の1つでも異常事態が発生したと判断したときには、停止信号を出力するようになっている。この停止信号に従ってインターロック制御信号発生部41は、インバータ式の高電圧発生器21に対するインターロック制御信号(許可状態、禁止状態)を、許可状態(イネーブル)から禁止状態(インヒビット)に変位させる。インターロック制御信号が許可状態にあるときには、高電圧発生器21は高電圧をX線管10に印加し、一方、禁止状態にあるときには、高電圧発生器21はをX線管10に対する高電圧の印加を停止する。これが上記主機能に関わる部分である。
【0030】エラー検出回路40からの停止信号は、CPU42を介してインターロック解除制御部43にも供給される。このインターロック解除制御部43には、複数のセンサ31の出力、つまり管電圧、管電流、フィラメント電流、管内温度、クールポンプの動作状態等に関する情報が、センサ31から直接的に、またはエラー検出回路40を介して供給されるようになっている。インターロック解除制御部43は、停止信号を受けたとき、管電圧、管電流、フィラメント電流、管内温度、クールポンプの動作状態等に基づいて、高電圧の印加の停止が、X線管10内の真空度劣化を主たる原因として管電流の急激な上昇及び管電圧の急激な低下をもたらす異常放電という異常事態のみによるものであるか、またはその異常事態以外の他の何らかの異常事態の発生が関わっているのかを判断する。
【0031】この判断としては、X線管10内の真空度劣化を主たる原因とする異常放電という異常事態が起こると、図3に示すように、管電流は急激に上昇し、しかも管電圧は急激に低下するという症状に陥る。高い精度で、当該判断を行うために、ここでは、(1)管電流が所定のしきい値より高い、(2)管電圧が所定のしきい値より低い、(3)管電圧の下方勾配が所定のしきい値よりも高い(つまり急)であるという3種類の条件を全て満たしたときに、X線管10内の真空度劣化を主たる原因とする異常放電という異常事態のみの発生を判断するものとしている。
【0032】インターロック解除制御部43では、高電圧の印加の停止が、X線管10内の真空度劣化を主たる原因として管電流の急激な上昇及び管電圧の急激な低下をもたらす異常放電という異常事態のみによるものであると判断したとき、インターロック制御信号発生部41に対して、インターロックを解除するための解除信号を発生する。この解除信号は、インターロック制御信号発生部41内で、停止信号に優先するようになっており、従ってインターロック制御信号発生部41としては、禁止信号を受けていても、解除信号が供給されると、インターロック制御信号を、禁止状態から許可状態に変位する。これに伴って高電圧発生器21からX線管10に対する高電圧の印加が再開されるようになっている。この高電圧の印加の停止から、上記判断を行って、高電圧印加を再開するまでにかかる実際の時間は、数ミリ秒から長くても数十ミリ秒という比較的短時間になるように、インターロック解除制御部43の演算速度等の各種スペックが設定されている。
【0033】また、インターロック解除制御部43は、停止信号を受けても、X線管1の回転陽極のロータ回転を継続させるためにロータ制御部44を制御し、それと共に、X線管1のフィラメントへのフィラメント電流の供給を継続させるためにフィラメント電流制御部45を制御する。なお、X線検出器11による検出動作は、メインコントローラ30の制御のもとで、このインターロックとは無関係に継続されている。
【0034】そして、インターロック解除制御部43は、高電圧印加の停止が、X線管10内の真空度劣化を主たる原因として管電流の急激な上昇及び管電圧の急激な低下をもたらす異常放電という異常事態のみによるものでないと判断したとき、ロータ制御部44とフィラメント電流制御部45との制御を介して、ロータ回転を停止し、そしてフィラメント電流の供給を停止する。このとき、インターロック解除制御部43からは不再開信号がCPU42に出力されるようになっており、この不再開信号はCPU42からメインコントローラ30に転送される。メインコントローラ30は、不再開信号を受けると、高電圧の印加、ロータ回転及びフィラメント電流供給以外のX線検出器11による検出動作、回転リングの回転を含むスキャンに関わる他の全ての動作回転リングの回転等のスキャンに関わる各部の動作を全て停止すると共に、その停止を表すメッセージをディスプレイ38に表示して、操作者にその旨伝えるようになっている。
【0035】尚、ディスプレイに表示するのは、停止を示すメッセージではなく、異常ユニット(例えば、X線管)、異常の要因となった情報(例えば、放電)を示すメッセージであっても良い。更には、この異常ユニット、異常の要因となった情報を保存して、サービスマンが点検時又は修理時に確認できるよう表示できるようにしても良い。また異常ユニット、異常の要因となった情報を、営業所やメーカーに転送できる機能を搭載しても良い。これにより、サービスマンは、点検時や修理時に異常ユニットだけを確認・修理すれば良いので、作業時間を短縮することができる。
【0036】ここで、X線管内の真空度劣化を主たる原因として管電流の急激な上昇及び管電圧の急激な低下をもたらす異常放電という異常事態は、他の異常事態とは異なり、比較的自然回復可能性が高く、このときには高電圧の印加を再開させると、当該異常事態が自然回復して、そのままスキャンを継続できることがある。
【0037】従って、上述したような高電圧印加の停止が、X線管10内の真空度劣化を主たる原因として管電流の急激な上昇及び管電圧の急激な低下をもたらす異常放電という異常事態のみによるものであるときには、高電圧の印加以外のX線検出器11による検出動作、回転リングの回転、ロータ回転及びフィラメント電流供給を含むスキャンに関わる他の全ての動作を継続させておくことにより、高電圧の印加を再開したときに、直ちに正常なスキャンを再開すること、つまり正常な投影データの収集が再開されるものであり、投影データが異常値を示すのは、高電圧の印加の停止から再開までの比較的短時間に限られるものである。
【0038】なお、インターロック解除制御部43は、X線管10内の真空度劣化を主たる原因として管電流の急激な上昇及び管電圧の急激な低下をもたらす異常放電という異常事態のみによる高電圧印加の停止が、数秒程度の所定期間内に所定回数、例えば3回以上繰り返されるとき、当該異常事態が自然回復する可能性は低いものと判断して、3回目の高電圧印加の停止に対してはその再開を実行しないものであり、これに伴って上記不再開信号を発生する。
【0039】このように本実施形態によると、インターロック機能により高電圧印加が停止されると、それがX線管10内の真空度劣化を主たる原因として管電流の急激な上昇及び管電圧の急激な低下をもたらす異常放電という異常事態のみによるものか否かを判断して、当該異常事態のみによるものであるときには、高電圧印加の直ちに再開して、そのままスキャンを継続するものである。これによりインターロック機能が働いたときに、常にスキャンを最初からやり直すのではなく、そのままスキャンを継続するケースも生じる。
【0040】なお、このようにスキャンを継続させるにしても、高電圧印加の停止からその再開までの期間には、X線が曝射されないのであるから、正常な投影データを収集することはできない。例えばヘリカルスキャンでは、断層像を再構成するスライス位置を自由に指定できるようになっているが、この際に、当該スライス位置に対応する360゜分の投影データは収集されていないものであり、その収集されていない投影データをそれに近隣する位置で実際に収集された投影データ、又は実際に収集された投影データとその対向データとから補間することが必要とされる(補間ユニット34)。
【0041】ここで、この補間に用いる投影データが、高電圧の印加停止から再開までの期間内に収集した異常値を示すデータである可能性がある。このときには、補間ユニット34では、当該補間に用いる投影データ(異常値)を、高電圧の印加停止から再開まで期間外の投影データ(正常値)であって、当該補間に用いる投影データ(異常値)の位置に最も近い位置で収集した投影データに代替えをするという機能を有している。この機能により、高電圧印加の停止及び再開を含んでスキャンを継続させた場合には、その停止から再開までの期間の投影データが異常値を示して、それをそのまま使って補間及び再構成を行うと、再構成した断層像にアーチファクトが発生するが、上述したように異常値を示す投影データを、正常値を示す投影データに置き換えて、当該補間処理を行うことにより、アーチファクトの発生という問題は生じない。
【0042】このためには高電圧の印加停止からその再開までの期間を補間ユニット34で認識する必要がある。この認識方法は特定の方法に限定されることはない。図4にその認識方法の3つのバリエーションを示してている。図4(a)の方法は、X線管10と被検体Pとの間に1チャンネル又は数チャンネル程度のリファレンス検出器(X線検出器)50を配置しておき、このリファレンス検出器50によるデータ(リファレンスデータ)を投影データと共にデータ収集装置24で収集する。このリファレンスデータは、X線が発生していないときには、ほぼゼロレベルを示し、X線が発生しているときには、高値を示すので、補間ユニット34でリファレンスデータの示す値を、しきい値と比較し、リファレンスデータの示す値がしきい値より低い期間を当該高電圧の印加停止からその再開までの期間として認識する、またはしきい値より低いリファレンスデータを伴う投影データを当該期間に収集した異常値を示す投影データであることを認識することができる。
【0043】これと同様の考え方で、図4(b)に示すように、当該高電圧の印加停止からその再開までの期間にはX線が発生していないので、X線検出器11の投影データの値はほぼゼロを示すので、データ収集装置24で収集された投影データをしきい値と比較することで、当該高電圧の印加停止からその再開までの期間、またはしきい値より低いリファレンスデータを伴う投影データを当該期間に収集した異常値を示す投影データであることを認識することができる。
【0044】さらに、図4(c)に示すように、インターロック制御部4から、高電圧の印加停止時に対応するタイムコード(投影データにも添付されている)と、その再開時に対応するタイムコードとの供給を受けて、このタイムコードにより当該高電圧の印加停止からその再開までの期間、またはしきい値より低いリファレンスデータを伴う投影データを当該期間に収集した異常値を示す投影データであることを認識するようにしてもよい。
【0045】次に、補間処理に際しては、図5に示すように、指定されたスライス面を中心として前後180゜分の範囲(斜線)の中の実際に収集した投影データとその対向データ(X線方向が逆方向で同じ経路のデータ、X線方向が逆方向で近い経路のデータを補間して求めたデータ、など)とから、指定されたスライス面の投影データを補間するいわゆる180゜補間においては、例えばある管球角度の投影データP0は、その近隣の投影データP1,P2から補間するが、このうち投影データP2が当該高電圧の印加停止からその再開までの期間に収集された異常値を示す投影データである場合、その投影データP2を、投影データP2の収集位置に最も近い位置で収集した投影データ(この場合には対向データ)P3に代替える処理が行われる。
【0046】さらに次の方法で補間処理を行うようにしてもよい。図6(a)に示すように、対向データを使わずに、指定されたスライス面を中心として前後360゜分の範囲(斜線)の中の実際に収集した投影データだけを使って補間を行ういわゆる360゜補間を優先的に使用し、この範囲に、当該高電圧の印加停止からその再開までの期間が部分的に重なるとき、図6(b)に示す180゜補間方法に切り替えるというものであってもよい。180゜補間方法は、360゜補間方法に比べて、補間に使うデータの範囲(体軸方向の範囲)が約半分程度に狭いので、その範囲に、当該高電圧の印加停止からその再開までの期間が部分的に重なる可能性は、低くなる。180゜補間方法に切り替えても、補間に用いるデータ範囲に、当該高電圧の印加停止からその再開までの期間が部分的に重なる場合には、図5のように、投影データが当該高電圧の印加停止からその再開までの期間に収集された異常値を示す投影データである場合、その投影データを、当該投影データの収集位置に最も近い位置で収集した投影データに代替える処理が行われるものである。
【0047】尚、360°、180°補間法を切替えるものに限定されず、種々の補間法の中から適切な補間法に切替えるものであれば良い。
【0048】以上説明したように本実施形態によれば、X線管内の真空度劣化を主たる原因として管電流の急激な上昇及び管電圧の急激な低下をもたらす異常放電という異常事態は、比較的自然回復可能性が高く、このときには高電圧の印加を再開させると、当該異常事態が自然回復して、そのままスキャンを継続することができることが多々ある。従って、ヘリカルスキャンや造影剤検査で、インターロックが働いても、最初からスキャンをやり直す必要がないケースが生じる。
【0049】本発明は上述した実施形態に限定されず、種々変形して実施可能である。
【0050】例えば、X線検出器11は、複数の検出素子列をスライス方向に配置したマルチスライス用の検出器を適用しても良い。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、X線管内の真空度劣化を主たる原因として管電流の急激な上昇及び管電圧の急激な低下をもたらす異常放電という異常事態は、比較的自然回復可能性が高く、このときには高電圧の印加を再開させると、当該異常事態が自然回復して、そのままスキャンを継続できることがある。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成11年11月24日(1999.11.24)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外6名)
【公開番号】 特開2001−145625(P2001−145625A)
【公開日】 平成13年5月29日(2001.5.29)
【出願番号】 特願平11−333370