| 【発明の名称】 |
超音波探触子 |
| 【発明者】 |
【氏名】土田 和俊
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| 【要約】 |
【課題】メカニカルセクタ走査型超音波探触子において振動子の前面に設けられる開口膜内での多重反射により超音波断層画像が劣化する。
【解決手段】開口膜20の一方面に鋸波形の凹凸28を形成する。鋸波形の凹凸28は、その傾斜面30が開口膜20の中心から外周に向かって高くなるように形成される。振動子22と被検体との間の超音波の送受信は、振動子22の中心軸に沿って行われ、当該中心軸は開口膜20に垂直である。凹凸28を設けることにより、超音波の送受信の軸に沿って傾斜面30に入射した超音波が生じる開口膜20内の反射波は、開口膜20に対して斜めになる。これにより開口膜20内での多重反射波は反射を繰り返すたびに超音波の送受信軸から開口膜20の外周に向かって遠ざかることとなり、振動子22で受信される多重反射波が抑圧される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 超音波を透過可能な開口膜と、前記開口膜を介して被検体との間で超音波の送受信を行う振動子とを有する超音波探触子において、前記開口膜の少なくとも一方面は、膜断面における形状が鋸波形である凹凸を形成された領域を有すること、を特徴とする超音波探触子。 【請求項2】 請求項1記載の超音波探触子において、前記凹凸は前記一方面上に縞模様をなすように形成されること、を特徴とする超音波探触子。 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載の超音波探触子において、前記鋸波形の傾斜部は、前記開口膜の中央部から端部に向かって高くなること、を特徴とする超音波探触子。 【請求項4】 請求項1記載の超音波探触子において、前記凹凸は前記一方面上に同心円の縞模様をなすように形成され、前記鋸波形の傾斜部は、前記同心円の中心から外側に向かって高くなること、を特徴とする超音波探触子。 【請求項5】 請求項4記載の超音波探触子において、前記振動子は筐体内で揺動されて前記超音波の送受信方向を変えることができ、前記縞模様の前記同心円の中心は、前記振動子が揺動の中心にあるときの前記超音波の前記送受信方向に配置されること、を特徴とする超音波探触子。 【請求項6】 請求項2記載の超音波探触子において、前記振動子は筐体内で揺動されて前記超音波の送受信方向を変えることができ、前記縞模様は、前記超音波の送受信方向の軌跡に平行となるように形成され、前記鋸波形の傾斜部は、前記軌跡から遠ざかる向きに高くなること、を特徴とする超音波探触子。 【請求項7】 請求項1から請求項6のいずれかに記載の超音波探触子において、前記凹凸は、前記開口膜の内面にのみ設けられること、を特徴とする超音波探触子。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、振動子の前面に配される開口膜を介して被検体との間で超音波の送受信を行う超音波探触子(例えばメカニカルセクタ走査型超音波探触子等)に関する。 【0002】 【従来の技術】図5は、メカニカルセクタ走査型超音波探触子の模式的な断面図である。振動子2は筐体内にて、回転中心点4の回りに揺動するように構成される。これによって振動子2が送受信する超音波の方向が変えられセクタ走査が実現される。筐体の超音波が送受信される方向の壁面は、超音波を透過可能な開口膜6で構成される。 【0003】開口膜6と振動子2との間には、超音波を伝達する音響液体8が充填されており、開口膜6を被検体に当接することにより、振動子2と被検体との間での超音波の伝達が可能となる。 【0004】被検体は一般に生体であり、開口膜6の外面は、生体との接触性が良好な球面形状とされる。一方、開口膜6の内面は、揺動される振動子2と一定の間隔を保つために回転中心4を中心とする球面形状とされる。通常は、開口膜6は外面と内面とが同心球面となるように構成される。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかし、内外面が同心球面である開口膜においては、開口膜内での多重反射が生じやすい。この多重反射は、振動子と被検体との間で送受信される超音波の尾曳きを長くし、超音波診断画像の画質を劣化させる一因となるという問題があった。 【0006】この問題を解決する一つの対策として、開口膜の表面を粗くすることが考えられるが、この対策はさほどの効果が得られない。 【0007】また他の対策として開口膜の内面と外面との曲率を異ならせることにより、開口膜内での反射回数が多いほど当該多重反射波が、振動子の向きで定まる超音波の送受信中心軸から外れていくようにするというものが考えられる。しかし、この対策は、内面と外面との曲率の違いを大きくしなければ十分な効果が得られず、特に開口膜の中心部に近いほど効果は弱くなるという問題を有している。また曲率の相違を大きくするほど、開口膜の膜厚や、振動子と開口膜との間隔が超音波の送受信方向に応じて大きく異なることとなり、送受信条件が方向に応じて異なるという問題もある。 【0008】本発明は、上記問題点を解消するためになされたもので、開口膜内での多重反射による画像劣化が抑制される超音波探触子を提供することを目的とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明に係る超音波探触子は、開口膜の少なくとも一方面にその膜断面における形状が鋸波形である凹凸を形成された領域を有するものである。 【0010】本発明によれば、鋸波形の凹凸が形成された領域においては、振動子による超音波の送受信方向に対する開口膜の一方面の向きと他方面の向きとが互いに異なるため、開口膜内の多重反射が同一箇所において繰り返されることが回避される。すなわち、多重反射が繰り返されるほど、当該反射波は開口膜内をシフトして超音波の送受信方向から外れていく。また、開口膜の表面に鋸波形の凹凸を形成する構成においては、従来考えられているような開口膜の内面と外面との曲率を変える構成とは異なり、開口膜の膜厚の変動幅及び振動子と開口膜との間隔の変動幅がそれぞれ基本的に鋸波形の高さに抑制される。 【0011】他の本発明に係る超音波探触子においては、前記凹凸は前記一方面上に縞模様をなすように形成される。 【0012】本発明によれば、開口膜内での多重反射波を、鋸波形の凹凸が形成する縞模様に直交する方向にシフトさせることができる。 【0013】さらに他の本発明に係る超音波探触子においては、前記鋸波形の傾斜部は、前記開口膜の中央部から端部に向かって高くなる。 【0014】本発明によれば、開口膜内での多重反射波を開口膜の縁に向かってシフトさせることができる。 【0015】別の本発明に係る超音波探触子においては、前記凹凸は前記一方面上に同心円の縞模様をなすように形成され、前記鋸波形の傾斜部は前記同心円の中心から外側に向かって高くなる。 【0016】本発明によれば、開口膜内での多重反射波を、鋸波形の凹凸の縞模様が形成する同心円の半径方向に沿って外側へシフトさせることができる。これにより開口膜内で発生した多重反射波の拡散が図られる。この拡散の作用は、超音波の送受信方向が当該縞模様の同心円の中心部に向かう場合において特に顕著となる。 【0017】さらに別の本発明に係る超音波探触子においては、前記振動子は筐体内で揺動されて前記超音波の送受信方向を変えることができ、前記同心円状の縞模様の中心は、前記振動子が揺動の中心にあるときの前記超音波の前記送受信方向に配置される。 【0018】超音波断層画像を生成する場合、関心領域を当該画像の中心に位置させることが多い。本発明によれば、同心円状の縞模様の中心が、画像の中心に対応する揺動中心での超音波送受信方向に配置されるため、関心領域の画像における多重反射波の影響を軽減し、良好な画像を得ることができる。 【0019】また本発明に係る超音波探触子においては、前記振動子は筐体内で揺動されて前記超音波の送受信方向を変えることができ、前記縞模様は前記超音波の送受信方向の軌跡に平行となるように形成され、前記鋸波形の傾斜部は前記軌跡から遠ざかる向きに高くなる。 【0020】本発明によれば、振動子の揺動により走査される領域から遠ざかるように多重反射波がシフトされるため、断層画像における多重反射の影響を軽減し、良好な画像を得ることができる。 【0021】本発明に係る超音波探触子においては、前記凹凸は、前記開口膜の内面にのみ設けられる。 【0022】本発明によれば、鋸波形の凹凸は、被検体に接する開口膜の外面には設けられず、基本的に外面は従来同様、滑らかな形状とされる。これにより開口膜の外面に汚れが付着することを抑制し、また被検体との密着性の低下を回避しつつ、多重反射の影響を軽減する効果を得ることができる。また、内面に設けられた凹凸は、開口面が被検体等他の物に当接されても、摩耗したりつぶれたりすることがない。 【0023】 【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。 【0024】図1は、本発明の実施形態に係るメカニカルセクタ走査型超音波探触子の主要部の模式的な断面図である。本超音波探触子の筐体の一部は超音波を透過可能な開口膜20にて構成される。開口膜20の概形は一様な厚さの球面の一部で構成される「お椀」型形状である。その厚さは典型的には、0.5〜2mmである。この開口膜20のお椀形状の内側に円形の振動子22が収納される。振動子22は開口膜20の内面に向き合う配置で軸24に連結され、当該軸24を中心として機械的に揺動される。軸24は開口膜20の半球形状の中心を通るように設けられ、これにより振動子22は、開口膜20の内面と一定間隔を保ちながら揺動される。そしてこの揺動によって、振動子22の超音波の送受信方向が変えられ、セクタ走査が実現される。ちなみに、振動子22の超音波の送受信方向は、基本的に開口膜20に垂直となる。 【0025】また、開口膜20の内側の振動子22が収納される空間26は、超音波を伝達する水やオイル等の音響液体が充填されており、振動子22と開口膜20との間の音響的な整合が図られている。 【0026】本超音波探触子の大きな特徴は、開口膜20の内面に垂直断面が鋸波形となる凹凸28が形成された領域を有する点にある。この凹凸28は、鋸波形の傾斜部に対応し比較的緩やかに傾いた傾斜面30と開口膜20に垂直な垂直面32とが連接して構成される。 【0027】図2は、開口膜20の斜視図である。図2に表されるように凹凸28は、同心円状に形成される。例えばその円の中心は開口膜20の中心に配置される。ここで凹凸28は、傾斜面30が同心円の中心から開口膜20の外周に向かって高くなる鋸波形凹凸に形成される。開口膜20の材質は例えばゴムや樹脂であり、この同心円状の縞模様をなす凹凸28は、例えば、切削加工や型抜き加工により形成することができる。 【0028】図3は、開口膜の鋸波形状の凹凸を有する領域における多重反射の様子を示す説明図であり、開口膜20の断面の一部を示している。振動子22と被検体との間の超音波の送受信方向は、振動子22の中心軸42によって代表される。ここではこの中心軸42に沿った超音波の送信波及び反射波を例に本超音波探触子における多重反射の影響を軽減する作用を説明する。 【0029】中心軸42に沿って開口膜20に入射した送信波はその大部分は被検体へ透過されるが、一部は開口膜20の外面にて反射される。これにより外面上の点P1から内面に向かう反射波44が生じ、この反射波44は内面に設けられた傾斜面30上の点P2にて再び反射され得る。ここで傾斜面30は凹凸28がない場合の開口膜20の内面に対し角度θだけ傾斜しているとすると、反射波44は傾斜面30に入射角θで入射することとなり、点P2からの反射波46は中心軸42に対して角度2θの方向へ向かう。以降、図3に示す点P3,P4,P5,…での反射の様子から理解されるように、開口膜20内での反射波は外面と内面とで反射を繰り返す度に、超音波の送受信方向である中心軸42から遠ざかっていく。 【0030】また、反射を繰り返すごとに反射波の進行方向は開口膜20に沿った方向に変化するので、反射回数が増えるほど速やかに中心軸42から遠ざかるとともに、開口膜20内での経路長が増えることにより減衰していく。 【0031】さらに、上述したように傾斜面30を開口膜20の外周に向かって高くなるように構成したことによって、多重反射波は開口膜20の外周へ向かって拡散され弱められる。 【0032】受信波に起因して開口膜20内で生じる多重反射に関しても上述した送信波の場合と同様である。すなわち、受信波が開口膜20に入射して点P2にて生じた反射波は、送信波同様、反射を繰り返すたびに速やかに拡散、減衰される。 【0033】凹凸28の深さ(すなわち垂直面32の高さ)、幅(すなわち縞模様の間隔)は例えば、鋸波形の傾斜面30の傾斜角度θを考慮して決定される。当該傾斜角度θが大きいほど、多重反射波の開口膜20に沿った方向へのシフト量も大きくなり多重反射波の影響が良好に除去されるが、傾斜角度θがあまり大きいと、傾斜面30で全反射が起こる不都合がある。このような事情を考慮して傾斜角度θは好適な値に定められる。また、凹凸28の深さがあまり深いと、開口膜20の機械的強度が損なわれたり、多重反射波の開口膜20に沿ったシフトが阻害される可能性がある。よって凹凸28の深さはそのような事情を考慮して定められる。 【0034】開口膜20に形成される凹凸28は必ずしも上述のような同心円状である必要はない。例えば図4に模式的な上面図を示すように、上から見て直線的な縞模様となるように凹凸28を形成することができる。特に縞の方向を振動子22の揺動の方向50と一致させることにより、超音波により走査されるライン状の領域の外に多重反射波がシフトされるので、多重反射波が断層画像に与える影響が好適に抑制される。ここで凹凸28の傾斜面30は、揺動される振動子22の中心軸の軌跡を境目として、その両側で互いに反対向きに傾斜し、かつその傾斜の向きは当該境目から離れる向きに高くなるように構成するのが好適である。このように構成することにより、境目近傍で送受信される超音波によって開口膜20内に発生する多重反射波を速やかに当該境目領域の両側に拡散し、当該領域から除去することができる。 【0035】 【発明の効果】本発明の超音波探触子によれば、開口膜に鋸波形の凹凸が形成される。この凹凸によって、開口膜の同じ箇所における内面と外面とが互いに傾いて向き合うことになり、開口膜の同一箇所にて超音波の多重反射が継続されることが防止される。開口膜内における多重反射波は、超音波の送受信方向から離れた領域に速やかにシフトし、拡散され弱められるので、受信波における尾曳きが抑制され、当該受信波に基づいた超音波断層画像の画質が向上する効果が得られる。また、鋸波形の凹凸を用いることにより、開口膜の概形を一様な厚さに形成することができ、超音波の送受信方向に応じて開口膜と振動子との間隔が変動することも抑制される。よって、振動子を揺動させて断層画像を得る場合において、画質が画像内にて一様に保たれる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】390029791 【氏名又は名称】アロカ株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年11月16日(1999.11.16) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100075258 【弁理士】 【氏名又は名称】吉田 研二 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−137239(P2001−137239A) |
| 【公開日】 |
平成13年5月22日(2001.5.22) |
| 【出願番号】 |
特願平11−325281 |
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