| 【発明の名称】 |
速度見越し測定装置及び速度見越し測定プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 |
| 【発明者】 |
【氏名】石垣 尚男
【氏名】酒井 剛史
【氏名】戸島 章雄
【氏名】西山 洋
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| 【要約】 |
【課題】実際の状況に即した速度見越し能力を容易に且つ精度高く測定し得る測定装置を提供する。
【解決手段】速度見越し測定装置1は、移動体24を表示する表示装置12と、被験者の入力を受け取る入力装置13と、移動体24の運動を制御する制御部111と、被験者の入力の計測を行う計測部112とを備える。制御部111は、表示装置12の第1表示領域26での移動体24の移動を視認可能に表示し、これと隣接する第2表示領域28での移動体24の移動を視認不可能にし、第2表示領域で移動体が到達する固定点を表示するように表示装置12を制御し、少なくとも2方向において移動体24が移動可能であるように、又は、移動体24が加速度運動するように制御する。計測部112は、被験者が移動体が固定点に到達したと予測した時点の入力に基づく計測値を得て、予測入力までの計測値と移動体が固定点に到達する場合の真実値との差を求める。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 画面上において所定の運動を行う移動体を表示する表示装置と、該表示装置上の表示に関する被験者からの入力を受け取るための入力装置と、前記表示装置と接続され前記画面上における前記移動体の所定の運動を制御する制御部と、前記入力装置と接続され該被験者からの入力についての計測を行う計測部とを備える速度見越し測定装置であって、前記制御部は、前記表示装置中の第1の表示領域において、前記移動体の移動を法則性をもって前記被験者に視認可能に表示し、該第1の表示領域と隣接する第2の表示領域において、前記移動体の移動を前記被験者に視認不可能にし、該第2の表示領域において、前記移動体が所定時間後に到達する固定点を表示するように、前記表示装置を制御し、かつ、前記移動体が前記画面上の少なくとも2方向において法則性をもって移動可能であるように制御可能であり、前記計測部は、前記被験者が前記法則性に基づいて前記移動体が前記固定点に到達したと予測した時点の入力に基づく計測値を得て、該予測入力までの計測値と前記移動体が前記固定点に到達する場合の真実値との差を求めることを特徴とする速度見越し測定装置。 【請求項2】 画面上において加速度運動を行う移動体を表示する表示装置と、該表示装置上の表示に関する被験者からの入力を受け取るための入力装置と、前記表示装置と接続され前記画面上における前記移動体の加速度運動を制御する制御部と、前記入力装置と接続され該被験者からの入力についての計測を行う計測部とを備える速度見越し測定装置であって、前記制御部は、前記表示装置中の第1の表示領域において、前記移動体の加速度運動を前記被験者に視認可能に表示し、該第1の表示領域と隣接する第2の表示領域において、前記移動体の加速度運動を前記被験者に視認不可能にし、該第2の表示領域において、前記移動体が所定時間後に到達する固定点を表示するように、前記表示装置を制御し、前記計測部は、前記被験者が前記法則性に基づいて前記移動体が前記固定点に到達したと予測した時点の入力に基づく計測値を得て、該予測入力までの計測値と前記移動体が前記固定点に到達する場合の真実値との差を求めることを特徴とする速度見越し測定装置。 【請求項3】 表示装置中の第1の表示領域において、少なくとも2方向において移動体の移動を法則性をもって被験者に視認可能に表示し、該第1の表示領域と隣接する第2の表示領域において、前記移動体の移動を被験者に視認不可能にし、該第2の表示領域において前記移動体が所定時間後に到達する固定点を表示する処理と、被験者が前記法則性に基づいて前記移動体が前記固定点に到達したと予測した時点の入力に基づく計測値を得て、該予測入力までの計測値と前記移動体が前記固定点に到達する場合の真実値との差を求める処理とをコンピュータに実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。 【請求項4】 表示装置中の第1の表示領域において、移動体の加速度運動を被験者に視認可能に表示し、該第1の表示領域と隣接する第2の表示領域において、前記移動体の加速度運動を被験者に視認不可能にし、該第2の表示領域において前記移動体が所定時間後に到達する固定点を表示する処理と、被験者が前記法則性に基づいて前記移動体が前記固定点に到達したと予測した時点の入力に基づく計測値を得て、該予測入力までの計測値と前記移動体が前記固定点に到達する場合の真実値との差を求める処理とをコンピュータに実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、速度見越しを測定する装置及び速度見越し測定プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関し、より具体的には、コンピュータに接続された表示装置の画面上において実現可能な速度見越し測定装置及び速度見越し測定プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。 【0002】 【従来の技術】自動車の運転や各種スポーツを行う際に、視界内の自動車や障害物、或いはボール等の移動体が相対的移動を含めて所定の地点に到達するタイミングを正確に予測する能力が要求される。このように移動体の速度から到達時点を予測する能力を「速度見越し(能力)」と言い、例えば、バレーボールでスパイクを行う時などに、トスされたボールの速度及び方向からボールの軌跡及び到達点を正確に推定するために必要とされる。 【0003】また、速度見越しは心理特性の一つとしても捉えられる。すなわち、推定した到達時点が真の到達時点より前にあるような人は、尚早反応を示す傾向があると判断され得、反対に推定した到達時点が真の到達時点より後にあるような人は遅延反応を示す傾向があると判断され得る。このため、速度見越し測定は、ドライバーの適性検査のために利用されることもある。 【0004】このような速度見越しの測定を行うための従来の装置として、「速度見越し反応検査器」(竹井機器工業株式会社製)が知られている。この従来の測定装置では、視標となる移動ランプが、モータ、歯車、チェーンベルト等を用いて機械的機構によって被験者に対して左側から右側へと直線的に移動される。この移動途中において、視標は黒色の遮蔽板の裏に隠され、被験者が視認できないようにされる。被験者は、遮蔽板の裏側を移動する視標の位置を推定しながら、それが遮蔽板の表側に設けられた反応ランプ(目標位置)に到達したと思ったときに手元にあるスイッチを押す。そして、被験者がスイッチを押した時間について、実際に移動ランプが反応ランプに到達した時間を0としたときの誤差時間(タイムラグ)が1msec単位で測定される。この測定値が、被験者の速度見越しの測定結果となる。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の装置では、機械的機構によって視標(移動ランプ)を移動させて測定を行っており、次のような問題点があった。 【0006】1.移動ランプを移動させる機械的機構の制約により、視標の速度を様々な速度に設定することが容易でない。実際には、高速、低速の2種類にしか設定されていない。 【0007】2.同様の理由で、移動ランプに種々の運動を行わせるように制御することが困難である。例えば加速度運動を行わせることは非常に困難である。実際には、等速直線運動のみしか行えない。 【0008】3.移動ランプの移動方向は、左から右への一方向のみであり、右から左への移動、又は上下方向の移動など他の方向に移動ランプを移動させた時の測定を行うことができない。 【0009】4.測定装置の寸法が大きく重量も重いので、設置場所に不自由であり、また、製作費用が高額であり普及面からも問題がある。 【0010】上述のように、従来の速度見越し測定装置は、左から右への1方向において等速直線運動する移動体に対する速度見越しを測定するように構成されていることから、様々な方向或いは運動に対する速度見越しを測定することは実質的に不可能であった。従って、例えばスポーツ適性の試験などで、上下左右4方向において速度見越しを測定したり、加速度運動に対して速度見越しを測定することが望ましい場合には、十分な測定が行えなかった。また、運転適性試験の場合にも、右から左への移動に対する速度見越しと、左から右への移動に対する速度見越しとの両方を測定することが望ましい場合もあり、従来の測定装置ではこのような詳細な速度見越し測定を行うことは不可能であった。 【0011】本発明は、このような従来の速度見越し測定装置の問題点を解決するためになされたものであり、少なくとも2つの方向における速度見越し或いは加速度運動に対する速度見越しを、容易に精度高く測定することが可能な測定装置及び速度見越し測定プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することをその目的とする。 【0012】 【課題を解決するための手段】本発明の速度見越し測定装置は、画面上において所定の運動を行う移動体を表示する表示装置と、該表示装置上の表示に関する被験者からの入力を受け取るための入力装置と、前記表示装置と接続され前記画面上における前記移動体の所定の運動を制御する制御部と、前記入力装置と接続され該被験者からの入力についての計測を行う計測部とを備える速度見越し測定装置であって、前記制御部は、前記表示装置中の第1の表示領域において、前記移動体の移動を法則性をもって前記被験者に視認可能に表示し、該第1の表示領域と隣接する第2の表示領域において、前記移動体の移動を前記被験者に視認不可能にし、該第2の表示領域において、前記移動体が所定時間後に到達する固定点を表示するように、前記表示装置を制御し、かつ、前記移動体が前記画面上の少なくとも2方向において法則性をもって移動可能であるように制御可能であり、前記計測部は、前記被験者が前記法則性に基づいて前記移動体が前記固定点に到達したと予測した時点の入力に基づく計測値を得て、該予測入力までの計測値と前記移動体が前記固定点に到達する場合の真実値との差を求めることにより上記目的を達成する。 【0013】或いは、本発明の速度見越し測定装置は、画面上において加速度運動を行う移動体を表示する表示装置と、該表示装置上の表示に関する被験者からの入力を受け取るための入力装置と、前記表示装置と接続され前記画面上における前記移動体の加速度運動を制御する制御部と、前記入力装置と接続され該被験者からの入力についての計測を行う計測部とを備える速度見越し測定装置であって、前記制御部は、前記表示装置中の第1の表示領域において、前記移動体の加速度運動を前記被験者に視認可能に表示し、該第1の表示領域と隣接する第2の表示領域において、前記移動体の加速度運動を前記被験者に視認不可能にし、該第2の表示領域において、前記移動体が所定時間後に到達する固定点を表示するように、前記表示装置を制御し、前記計測部は、前記被験者が前記法則性に基づいて前記移動体が前記固定点に到達したと予測した時点の入力に基づく計測値を得て、該予測入力までの計測値と前記移動体が前記固定点に到達する場合の真実値との差を求めることにより上記目的を達成する。 【0014】或いは、本発明の速度見越し測定プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、表示装置中の第1の表示領域において、少なくとも2方向において移動体の移動を法則性をもって被験者に視認可能に表示し、該第1の表示領域と隣接する第2の表示領域において、前記移動体の移動を被験者に視認不可能にし、該第2の表示領域において前記移動体が所定時間後に到達する固定点を表示する処理と、被験者が前記法則性に基づいて前記移動体が前記固定点に到達したと予測した時点の入力に基づく計測値を得て、該予測入力までの計測値と前記移動体が前記固定点に到達する場合の真実値との差を求める処理とをコンピュータに実行させるプログラムを記録することにより上記目的を達成する。 【0015】或いは、本発明の速度見越し測定プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、表示装置中の第1の表示領域において、移動体の加速度運動を被験者に視認可能に表示し、該第1の表示領域と隣接する第2の表示領域において、前記移動体の加速度運動を被験者に視認不可能にし、該第2の表示領域において前記移動体が所定時間後に到達する固定点を表示する処理と、被験者が前記法則性に基づいて前記移動体が前記固定点に到達したと予測した時点の入力に基づく計測値を得て、該予測入力までの計測値と前記移動体が前記固定点に到達する場合の真実値との差を求める処理とをコンピュータに実行させるプログラムを記録することにより上記目的を達成する。 【0016】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。 【0017】図1は、本実施形態の速度見越し測定装置の構成を示すブロック図である。本実施形態において、速度見越し測定装置1は汎用のパーソナルコンピュータを用いて構成されており、コンピュータ本体11と、表示装置としてのモニタ12と、被験者の入力装置としてのキーボード13とを備えている。 【0018】また、コンピュータ本体11は、モニタ12の画面上に表示される移動体の運動を制御するための制御部111と、キーボード13からの入力に基づいて計測値を生成するための計測部112と、計測部112から出力された計測値を処理しモニタ12に測定結果を所定の形式で表示するためのデータ処理部113とを備えている。ただし、制御部111、計測部112及びデータ処理部113は、実際にはコンピュータプログラムによって実現されている。これらは、公知のプログラム言語やオペレーションシステムを用いてコンピュータ本体11内に構築することができる。 【0019】また、モニタ12としては、CRTディスプレイ、LCD(液晶表示装置)、又はPDP(プラズマディスプレイパネル)などの種々の形態の表示装置を用いることができる。また、プロジェクタなどを用いて、スクリーン上に画面を形成することにより、モニタ12の代わりとしてもよい。 【0020】図2は、速度見越し測定中にモニタ12上に表示される表示画面15の一例を示す。表示画面15において、スタート地点20と、移動経路22を移動する円形の視標24と、視標24の移動を被験者が視認できるようにされた可視区間26と、可視区間26に隣接して設けられ、視標24の移動を被験者が視認できないようにされたマスキング区間28と、マスキング区間28において設けられた到達ライン30とが表示されている。例えば、視標24は、コンピュータ本体11内の制御部111によって、画面左側のスタート地点20から出発し画面右側の到達ライン30に向かって等速直線運動を行うように制御される。また、可視区間26の距離d1と、マスキング区間の始め(すなわち可視区間との境界)から到達ライン30までの距離d2との比は、例えば1:3となるように設定されている。また、マスキング区間において、到達ラインまでの距離d2と、到達ライン以降の距離d3とは、例えば2:1に設定されている。 【0021】本実施形態の測定装置では、視標の移動は、コンピュータにより制御され、表示装置の画面上において表示されるため、移動の方向を任意の方向に設定することが容易である。例えば、右から左に視標を移動させたり、上から下又は下から上に視標を移動させることが出来る。スタート地点、到達ライン、可視区間、マスキング区間は、視標の移動方向に従って画面上の適切な位置に表示させることができる。すなわち、上記方向に視標を移動させる場合には、モニタ12上の画面表示は、それぞれ図2に示す画面表示を90°、180°及び270°回転させた状態となるようにできる。 【0022】さらに、視標の運動も等速直線運動に限られず、加速度直線運動、サイン関数運動など、種々の運動とすることができる。視標の形状も円形に限られず、種々の形状とすることが出来る。これらの設定は、コンピュータ本体11の制御部111において、コンピュータプログラムによって容易に実現できる。 【0023】このように、本実施形態の速度見越し測定装置によれば、視標の移動を少なくとも2方向において表示できるので、視標の移動方向を変更することで更に詳細な測定を行うことが可能である。例えば、運転適性の試験を行う際に、右から左の移動と左から右への移動との水平2方向について速度見越し測定を行うことが望ましいことがある。これは、同じ個人でも、各方向で速度見越し能力に違いがあることも多いからである。また、スポーツ適性の試験を行う際には、上下左右4方向の測定を行うことが望ましい。なぜなら、実際のスポーツにおいては、野球におけるフライ捕捉、アメリカンフットボールに於けるロングパスの捕捉など、上下方向の速度見越し能力を必要とすることも多く、例えば、右から左への一方向の速度見越しを測定するだけでは、スポーツ適性を判断するのに不十分だからである。また、個人によって、左右方向の速度見越しに優れていても、上下方向の速度見越しに優れていないようなこともあり、一方向の測定だけでは、個人の総合的な速度見越し能力を判断するのは不適当な場合もある。本実施形態の速度見越し測定装置は、このような様々な実際の状況に対応した、より詳細な速度見越し測定を行えるので、非常に実用的である。 【0024】また、本実施形態の速度見越し測定装置によれば、視標を加速度運動させたときの速度見越し測定を行うことも可能であるので、より実際に近い状況での速度見越し測定を行うことが可能である。例えば、日常において、ボール等の落下は加速度運動に近い運動をする場合が多い。また、自動車を運転するときにおいても、アクセルを踏めば車は加速するし、ブレーキを踏めば車は減速する。このように例えばブレーキをかけて車が徐々に減速する状況での速度見越しは、等速度見越しよりも、寧ろ等加速度見越しに近いので、実際の車の運転の適性を試験するには、加速度運動する視標を用いて試験を行った方が有効的である。また、加速度運動に対する速度見越しは、個人の能力差が大きく現れるという特徴もあることから、等速運動では測定できなかったより詳細な個人の速度見越し能力を測定することも可能になる。 【0025】以下、図3に示すフローチャートを参照しつつ、本実施形態における速度見越し測定の手順を説明する。 【0026】図3に示すように、速度見越し測定処理が開始されると(ステップS100)、ステップS102において、被験者の名前、性別、年齢などの被験者データがキーボード13から入力される。これらの被験者データは、例えばデータ処理部113のデータ格納部に格納される。 【0027】次に、視標の移動する方向が選択される。本実施形態では、モニタ12の画面上で、左から右、右から左、上から下、及び下から上の4方向のうち、測定を行うべき1方向がランダムに選択される(ステップS104)。選択された方向に従って、モニタ12上には図2に示すような測定用表示画面が表示される。被験者は、例えば、17インチのモニタ12の画面から約32cmの距離だけ離れた位置において、移動表示される視標を見るようにする。 【0028】次に制御部111が、ステップS104で選択された方向に視標24を移動させる。視標24は、まずスタート地点20において表示され、そこから到達ライン30に向かって等速運動で可視区間26を移動するように表示される(ステップS106)。視標24は、例えば画面上を約15.625度/秒の視角速度で等速直線運動させる。この可視区間26において、被験者は画面上を移動する視標24の運動を観察できる。 【0029】次に、視標24は、可視区間26から、マスキング区間28へ移行する(ステップS108)。このマスキング区間中を移動する視標24は、表示画面15上に表示されない。従って、被験者は、マスキング区間18を移動する視標24運動を推定することとなる。 【0030】このように、視標24がマスキング区間28を移動している最中において、被験者により、視標24がマスキング区間内の到達ライン30に到達したと推測された時点で、キーボード13の所定のキー(例えばスペースキーなど、予め被験者に知らされたキー)の入力が行われる(ステップS110)。コンピュータ本体11内の計測部112は、この被験者によるキーボード13からの入力を受け取ると、その時点での視標24の座標位置(被験者による推定座標位置)を制御部111から取得する。計測部112は、さらに、制御部111から受け取った推定座標位置(計測値)と到達ライン30の座標位置(真実値)とを比較して、これらの間の差を求め、その差によって表される位置ずれ値を測定値として得る(ステップS112)。ここで、位置ずれ値が負の場合には、推定座標位置が到達ラインの手前側であることを示し、位置ずれ値が正の場合には、推定座標位置が到達ラインを越えた所にあることを示す。このようにして得られた位置ずれ値は、データ処理部113に送られる。データ処理部113は、位置ずれ値を測定値格納部に格納する。これにより、1回の測定が終了し、次の測定に進む。 【0031】上述のような測定を繰り返すことにより、測定精度を高くすることが出来る。本実施形態では、視標の移動方向をランダムに4方向のうちから1つ選択し、各方向について5回ずつ、合計20回の測定を終えるまで連続して測定が行われる(ステップS114)。なお、本実施形態では、左から右、右から左、上から下、及び下から上の4方向について測定するものとしているが、斜め方向など、任意の方向について所望の回数の測定を行うようにしてもよい。 【0032】なお、被験者に測定内容を十分に理解させるために、実際の測定の前に数回練習を行わせるようにしても良い。例えば、練習1回目は、マスキング無しの状態で左から右に視標を移動させ、到達ラインにおいてキーボードのスペースキーを押すことを理解させる。この測定によって得られたデータは、被験者が視標が到達ラインに到着したことを認識した時点とスペースキーを押す時点と間の時間差或いは誤差を示すデータとして、速度見越し測定におけるバックグラウンドデータに利用しても良い。次に、マスキング有りの状態で練習1回目と同様の練習をさせる。さらに上下左右の4方向を連続的に測定する練習を行い、実際の測定と同じ条件を経験するようにしてもよい。 【0033】このようにして、4方向で合計20回の測定が終了すると測定結果表示処理(ステップS120)に移行する。 【0034】図4は、図3にステップS120として示した測定結果の表示処理の内容をさらに詳細に示すフローチャートであり、コンピュータ本体11のデータ処理部113によって実行される。図4に示すように、まず、記憶装置から成績判定を行うための判定閾値が読み出される(ステップS122)。判定閾値は、例えば、視標24がマスキング区間に入ってから到達ライン30に到達する時間を1としたときの速度見越し時間を0.5以下、0.5〜0.75、0.75〜1.5、1.5〜1.75及び1.75以上の5つ段階に分類する閾値とすることができる。このような閾値による分類に基づき、例えば運転適性などが判断され得る。 【0035】次に、上記4方向のうちデータ処理を行う対象となる1方向が選択され(ステップS124)、この方向についての5回分の測定値(位置ずれ値)の平均値が求められる(ステップS126)。これを判定閾値と比較することにより(ステップS128)、この方向における成績が判定される。 【0036】このデータ処理を4方向全てについて終了するまで繰り返し(ステップS130)、その後、4方向の測定結果の全てを含むトータルの平均位置ずれ値を算出する(ステップS132)。この平均位置ずれ値もまた、上記読み出した判定閾値と比較され、成績判定がなされる(ステップS134及びS136)。 【0037】このようにして得られた各方向における平均位置ずれ値及び4方向全てを含めたトータルの平均位置ずれ値は、例えば棒グラフにしてモニタ12上に表示され(ステップS138)、それと共に成績判定結果も同時に表示される。 【0038】これらの結果は、自動的にメモリ装置やフレキシブルディスクなどの記憶装置に保存され(ステップS140)、さらに他の被験者についても測定を行うことで多数の被験者の測定結果を処理することができる。 【0039】なお、上記実施形態では、測定結果は推定位置と到達ラインとの間の距離であり、位置ずれ値として表したが、視標の移動速度で除算することにより時間ずれ値として表しても良い。このように時間すなわちタイミングのずれとしての測定結果を得れば、ずれ量を距離で表した場合よりも人間の感覚として理解し易いという利点がある。また、等加速度見越し測定の場合には、本来停止すべき位置からのずれを距離で表すと、時間にして同一のずれであっても、停止すべき位置の前か後かでは、異なるずれ量となって測定される。例えば、移動体が加速する場合、時間的ずれは同じであっても、停止すべき位置より前でのずれは距離的には短く、停止すべき位置より後でのずれは距離的には長くなる。従って、測定結果を時間ずれとして得れば、加速、減速運動に拘わらず、停止すべき位置の前後でのずれを平等に評価した結果を得ることができる。 【0040】また、上記実施形態では、制御部111が、マスキング区間28内も非表示ながら視標24を移動させるように表示画面15を制御したが、視標24を可視区間26のみ移動させるように制御しても良い。この場合、速度見越し測定は、計測部112において視標24がスタート地点20を出発してから被験者が推測によりキー入力を行うまでの時間を計測し、これをスタート地点20と到達ライン30との間の距離と視標24の移動速度とから算出しておいた真の到達時間と比較して、時間ずれのみを計測してもよい。この場合、計測部112は、被験者がキーを押した時点での視標の座標位置を制御部111から得る必要がなくなる。 【0041】以下、本実施形態の速度見越し測定装置を用いて行った実験例を説明する。 【0042】(実験例1)16才〜61才までの男女91名に対し、画面上において、下から上、上から下、右から左、及び左から右の4方向に視標を移動させたときについて、各々5回の測定を行った。視標の移動速度は15.625度/秒の視角速度で一定速度とし、画面と被験者との間の距離を32cmとした。 【0043】図5は、上記のようにして各方向毎に測定した結果を平均値(ただし、時間ずれ値)で示したものである。図5に示すように、平均時間ずれ値が最も大きかったものは、下から上(↑)に移動させた場合であり、次いで上から下(↓)に移動させたものが大きく、次いで、右から左(←)に移動させたものが大きく、最も小さかったものは左から右(→)に移動させたものである。このように、同じ速度で同じ距離の速度見越し測定を行ったにも拘わらず、左右水平方向に移動する視標についての速度見越しは、上下垂直方向に移動する視標についての速度見越しよりも優れていることがわかる。これは、日常生活では、垂直方向よりも水平方向に移動する対象物が多く、無意識にこの方向での速度見越しが高められているからであると考えられる。 【0044】このように、本実施形態に係る装置であれば、方向毎の速度見越し能力の違いも検査する事ができ、より詳細な測定、評価を行うことができる。 【0045】(実験例2)男子スポーツ選手30名(中学、高校、大学と一貫してテニス及び野球を行った者)と、男子非スポーツ選手30名(高校以降、集中的なスポーツ経験のない者)とについて、等速度見越し及び等加速度見越しについて測定を行った。図6は、その結果を示す。 【0046】図6からわかるように、スポーツ選手及び非スポーツ選手に拘わらず、等速度見越しよりも、等加速度見越しの方が劣っていることがわかる。これは、等加速度運動の方が速度見越しが困難であることに起因していると思われる。また、同じ等速度見越し又は等加速度見越しでは、スポーツ選手の方が非スポーツ選手よりも速度見越しが優れていることがわかる。スポーツ選手は、トレーニングなどを通じた訓練により、高い速度見越し能力を持っていると考えられる。図6の結果は、本発明の見越し測定装置による測定が、そのような実体を客観的に明らかにし得ることを示している。 【0047】このように、本発明に係る速度見越し測定装置によれば、等速運動する移動体だけでなく等加速度運動する移動体についての速度見越しも測定でき、種々の形態での測定が行える。これにより、日常生活における様々な状況により関連づけられた測定を行うことが可能になる。 【0048】 【発明の効果】以上のように、本発明に係る速度見越し測定装置によれば、視標の移動方向、移動速度及び運動をより自由に設定することができ、加速度運動など様々な形態での測定が行える。また、視標の移動する方向による速度見越し能力の違いを測定することも可能になる。このように、少なくとも2つの方向における速度見越し、或いは加速度運動に対する速度見越しを測定できれば、スポーツ、自動車の運転などにおける、実際の状況により即した、より詳細な速度見越し能力を測定することが可能である。さらに、本発明に係る速度見越し測定装置は、汎用の表示装置及びコンピュータを用いて実現できるので、設置場所に制約を受けずに、誰にでも容易に測定を行うことができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】591167430 【氏名又は名称】株式会社関西新技術研究所 【識別番号】598020871 【氏名又は名称】石垣 尚男
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| 【出願日】 |
平成11年11月15日(1999.11.15) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100065215 【弁理士】 【氏名又は名称】三枝 英二 (外8名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−137219(P2001−137219A) |
| 【公開日】 |
平成13年5月22日(2001.5.22) |
| 【出願番号】 |
特願平11−324315 |
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