| 【発明の名称】 |
超音波生体組織測定装置及び超音波生体組織測定方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】柳浦 真美子
【氏名】渡邊 彰
【氏名】山田 訓
【氏名】中島 道夫
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| 【要約】 |
【課題】皮下脂肪組織と筋肉組織との境界面において反射して戻ってくる超音波パルスのエコーを検出して生体組織を測定することから、生体の表層にある皮下脂肪などの生体組織は測定できるが、より生体の深層にある内臓脂肪などの生体組織は他の測定方法によって求める必要があり容易に推定することができないという課題があった。
【解決手段】生体内の生体組織を透過して生体表面の他の位置から抜け出る超音波を検出する超音波送受手段と、超音波が透過した透過距離を求める透過距離測定手段と、この透過距離測定手段が測定した透過距離と、超音波送受手段が検出した超音波とに基づいて、生体組織の透過による超音波の減衰率の周波数特性を求める周波数特性算出手段と、この周波数特性から生体内の生体組織の厚さに対する指標を求める厚さ指標算出手段とを備えた。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 生体表面の所定位置から上記生体内に向けて超音波を放射し、上記生体内の生体組織を透過して上記生体表面の他の位置から抜け出る上記超音波を検出する超音波送受手段と、上記生体表面の所定位置から上記生体表面の他の位置までの上記超音波が透過した透過距離を求める透過距離測定手段と、この透過距離測定手段が測定した上記透過距離と、上記超音波送受手段が検出した上記超音波とに基づいて、上記生体組織の透過による上記超音波の減衰を単位長さ当たりの値で表した減衰率を算出し、この減衰率の周波数特性を求める周波数特性算出手段と、この周波数特性算出手段が算出した周波数特性から上記生体内の生体組織の厚さに対する指標を求める厚さ指標算出手段とを備えた超音波生体組織測定装置。 【請求項2】 周波数特性算出手段は、生体組織を透過して生体表面の他の位置から抜け出る超音波をフーリエ変換して得られるスペクトルに基づいて減衰率の周波数特性を求めることを特徴とする請求項1記載の超音波生体組織測定装置。 【請求項3】 超音波送受手段は、超音波の放射及び/若しくは検出を生体表面の複数位置にて行い、周波数特性算出手段は、上記生体内の生体組織を透過した上記各超音波の減衰率の周波数特性を求めることを特徴とする請求項1または請求項2記載の超音波生体組織測定装置。 【請求項4】 超音波送受手段は、生体表面の所定位置から上記生体内に向けて周波数の異なる複数の超音波を放射し、周波数特性算出手段は、上記生体内の生体組織を透過した上記複数の超音波の各周波数帯域における減衰率から周波数特性を求めることを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の超音波生体組織測定装置。 【請求項5】 超音波送受手段は、生体表面の所定位置から上記生体内に向けて複数の異なる周波数成分が混合した超音波を放射し、周波数特性算出手段は、上記生体内の生体組織を透過した上記複数の異なる周波数成分が混合した超音波の減衰率の周波数特性を求めることを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の超音波生体組織測定装置。 【請求項6】 厚さ指標算出手段は、生体組織の厚さに対する指標として超音波の減衰率の周波数に対する変化分を求めることを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の超音波生体組織測定装置。 【請求項7】 厚さ指標算出手段は、生体組織の厚さに対する指標として上記生体組織の厚さ、若しくは生体組織の厚さの比率を求めることを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の超音波生体組織測定装置。 【請求項8】 透過距離測定手段は、生体表面の所定位置から上記生体内に向けて透過距離の算出に使用する距離測定用超音波を放射し、上記生体内の生体組織を透過して上記生体表面の他の位置から抜け出る上記距離測定用超音波を検出する距離測定用超音波送受手段を備え、上記距離測定用超音波が上記生体表面の所定位置から上記生体表面の他の位置に至るまでの到達時間に基づいて透過距離を算出することを特徴とする請求項1から請求項7のうちのいずれか1項記載の超音波生体組織測定装置。 【請求項9】 透過距離測定手段は、超音波送受手段による超音波が生体表面の所定位置から生体表面の他の位置に至るまでの到達時間に基づいて透過距離を算出することを特徴とする請求項1から請求項7のうちのいずれか1項記載の超音波生体組織測定装置。 【請求項10】 周波数特性算出手段は、生体組織を互いに音響インピーダンスが異なる脂肪組織と該脂肪組織を除いた除脂肪組織とからなるものと仮定して、透過距離測定手段が測定した透過距離と、超音波送受手段が検出した超音波とに基づいて、上記脂肪組織及び上記除脂肪組織の透過による上記超音波の減衰を単位長さ当たりの値で表した減衰率を算出し、減衰率の周波数特性を求め、厚さ指標算出手段は、この周波数特性から上記脂肪組織の厚さに対する指標若しくは上記脂肪組織の厚さを求めることを特徴とする請求項1から請求項9のうちのいずれか1項記載の超音波生体組織測定装置。 【請求項11】 生体内の皮下脂肪組織の厚さを算出する皮下脂肪厚算出手段と、脂肪組織を上記皮下脂肪組織と内臓脂肪組織とからなるものと仮定し、上記脂肪組織の厚さから上記皮下脂肪組織の厚さを減算して内臓脂肪組織の厚さを算出する内臓脂肪厚算出手段とを備えたことを特徴とする請求項10記載の超音波生体組織測定装置。 【請求項12】 生体内の皮下脂肪組織とこれと隣接する生体組織との境界面で反射した超音波を検出するエコー検出手段と、上記超音波が上記生体内に向けて放射されてから上記エコー検出手段に検出されるまでの所要時間を測定するエコー検出時間測定手段とを備え、皮下脂肪厚算出手段は、このエコー検出時間測定手段が測定した所要時間に基づいて、皮下脂肪組織の厚さを算出することを特徴とする請求項11記載の超音波生体組織測定装置。 【請求項13】 超音波送受手段は、超音波パルスを送受することを特徴とする請求項1から請求項12のうちのいずれか1項記載の超音波生体組織測定装置。 【請求項14】 人体を除く生体表面の所定位置から上記生体内に向けて超音波を放射し、上記生体内の生体組織を透過して上記生体表面の他の位置から抜け出る上記超音波を検出する超音波送受ステップと、上記生体表面の所定位置から上記超音波が抜け出た上記生体表面の他の位置までの上記超音波が透過した透過距離を求める透過距離測定ステップと、この透過距離と上記超音波送受ステップで検出した上記超音波とに基づいて、上記生体組織の透過による上記超音波の減衰を単位長さ当たりの値で表した減衰率を算出し、この減衰率の周波数特性を求める周波数特性算出ステップと、この周波数特性から上記生体内の生体組織の厚さに対する指標を求める厚さ指標算出ステップとを備えた超音波生体組織測定方法。 【請求項15】 周波数特性算出ステップで、生体組織を透過して生体表面の他の位置から抜け出る超音波をフーリエ変換して得られるスペクトルに基づいて減衰率の周波数特性を求めることを特徴とする請求項14記載の超音波生体組織測定方法。 【請求項16】 超音波送受ステップで、超音波の放射及び/若しくは検出を生体表面の複数位置にて行い、周波数特性算出ステップで、上記生体内の生体組織を透過した上記各超音波の減衰率の周波数特性を求めることを特徴とする請求項14または請求項15記載の超音波生体組織測定方法。 【請求項17】 超音波送受ステップで、生体表面の所定位置から上記生体内に向けて周波数の異なる複数の超音波を放射し、周波数特性算出ステップで、上記生体内の生体組織を透過した上記複数の超音波の各周波数帯域における減衰率から周波数特性を求めることを特徴とする請求項14から請求項16のうちのいずれか1項記載の超音波生体組織測定方法。 【請求項18】 超音波送受ステップで、生体表面の所定位置から上記生体内に向けて複数の異なる周波数成分が混合した超音波を放射し、周波数特性算出ステップで、上記生体内の生体組織を透過した上記複数の異なる周波数成分が混合した超音波の減衰率の周波数特性を求めることを特徴とする請求項14から請求項16のうちのいずれか1項記載の超音波生体組織測定方法。 【請求項19】 厚さ指標算出ステップで、生体組織の厚さに対する指標として超音波の減衰率の周波数に対する変化分を求めることを特徴とする請求項14から請求項18のうちのいずれか1項記載の超音波生体組織測定方法。 【請求項20】 厚さ指標算出ステップで、生体組織の厚さに対する指標として上記生体組織の厚さ、若しくは生体組織の厚さの比率を求めることを特徴とする請求項14から請求項18のうちのいずれか1項記載の超音波生体組織測定方法。 【請求項21】 透過距離測定ステップで、生体表面の所定位置から上記生体内に向けて透過距離の算出に使用する距離測定用超音波を放射し、上記生体内の生体組織を透過して上記生体表面の他の位置から抜け出る上記距離測定用超音波を検出し、上記距離測定用超音波が上記生体表面の所定位置から上記生体表面の他の位置に至るまでの到達時間に基づいて透過距離を算出することを特徴とする請求項14から請求項20のうちのいずれか1項記載の超音波生体組織測定方法。 【請求項22】 透過距離測定ステップで、超音波送受ステップにおける超音波が生体表面の所定位置から生体表面の他の位置に至るまでの到達時間に基づいて透過距離を算出することを特徴とする請求項14から請求項20のうちのいずれか1項記載の超音波生体組織測定方法。 【請求項23】 周波数特性算出ステップで、生体組織を互いに音響インピーダンスが異なる脂肪組織と該脂肪組織を除いた除脂肪組織とからなるものと仮定して、透過距離と超音波送受ステップで検出した超音波とに基づいて、上記脂肪組織及び上記除脂肪組織の透過による上記超音波の減衰を単位長さ当たりの値で表した減衰率を算出し、減衰率の周波数特性を求め、厚さ指標算出ステップで、この周波数特性から上記脂肪組織の厚さに対する指標若しくは上記脂肪組織の厚さを求めることを特徴とする請求項14から請求項22のうちのいずれか1項記載の超音波生体組織測定方法。 【請求項24】 生体内の皮下脂肪組織の厚さを算出する皮下脂肪厚算出ステップと、脂肪組織を上記皮下脂肪組織と内臓脂肪組織とからなるものと仮定し、上記脂肪組織の厚さから上記皮下脂肪組織の厚さを減算して内臓脂肪組織の厚さを算出する内臓脂肪厚算出ステップとを備えたことを特徴とする請求項23記載の超音波生体組織測定方法。 【請求項25】 生体内の皮下脂肪組織とこれと隣接する生体組織との境界面で反射した超音波を検出するエコー検出ステップと、上記超音波が上記生体内に向けて放射されてから上記エコー検出ステップにて検出されるまでの所要時間を測定するエコー検出時間測定ステップとを備え、皮下脂肪厚算出ステップで、このエコー検出時間測定手段が測定した所要時間に基づいて、皮下脂肪組織の厚さを算出することを特徴とする請求項24記載の超音波生体組織測定方法。 【請求項26】 超音波送受ステップで、超音波パルスを送受することを特徴とする請求項14から請求項25のうちのいずれか1項記載の超音波生体組織測定方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は生体組織の音響インピーダンスの違いからその厚さ或いは厚さに対する指標を求める超音波生体組織測定装置及び超音波生体組織測定方法に係り、特に生体内の脂肪組織の厚さ或いは厚さに対する指標を求める超音波生体組織測定装置及び超音波生体組織測定方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来の生体内の脂肪率や脂肪量を測定する方法は、臨床検査42(4) 413−416(1998)、Clinical Engineering 9(1) 34−39(1998)に開示されるように種々のものがある。これらの測定法は大別すると局所測定法と全身測定法とに分けられる。全身測定法の主なものには、体密度法、体水分法、体内K40測定法、二重X線吸収法や身体計測法などがある。以下にこれらを簡単に説明する。体密度法は脂肪の密度が筋や骨の密度に比べて小さいことを利用して、生体の体重をその体積で除して体密度を算出しこれより体脂肪率を推定するもので、体積測定方法の違いから水中体重法と空気置換法とがある。水中体重法は被験者を水中に沈めてアルキメデスの原理から体積を求めるもので、水中で被験生体の体重を測定する大がかりな測定装置を使用する。また、これにより算出された体積は肺内の残気量や腸内ガスによる分を補正する必要がある。空気置換法は密閉されたチャンバ内の体積と圧力の関係から被験者の体積を求めるもので、被験者が入ることによって生じる内部圧力変化から体積を計測する専用の測定チャンバを必要とする。 【0003】体水分法は生体の生体組織の中で、脂肪組織を除いた除脂肪組織は一定した組成を有し、除脂肪量に占める水分の割合が一定であるという仮定の上に成り立つものである。具体的には、重水を経口投与して血清や尿からトレーサとしての重水素を検出して体内の総水分量を求め、除脂肪量に占める水分の割合とから除脂肪量を算出することができるので、これを体重から減算することで体脂肪量が求められる。ただし、この方法はトレーサである重水素を検出するための分析機器が別個に必要となる。 【0004】体内K40測定法は生体内のカリウムには一定量の天然K40が含有されており、除脂肪量のカリウム含量を一定と仮定して除脂肪量を算出する。この方法も体水分法と同様に天然K40を検出するための分析機器が別個に必要となる。二重X線吸収法は2つの異なるエネルギーのX線を照射し、そのX線透過率の差から体脂肪量や除脂肪量を測定する。身体計測法は体重を身長の2乗で除して体格比(Body Mass Index:BMI)を求める。このBMIは肥満の目安として健康診断などで広く用いられている。 【0005】また、局所測定法の主なものとしては皮脂厚法、画像法や電気インピーダンス法がある。以下にこれらを簡単に説明する。皮脂厚法は身体の特定部位の皮下脂肪厚をキャリパーなどで測定し、その値から体脂肪率を推定するものである。この方法は特定部位の正確な位置で測定を行い、且つキャリパーの測定部の圧力を一定にしなければならないなど熟練を要する。画像法にはX線CTスキャンなどによる人体各部位のCT断面像から、ある範囲のX線吸収値を脂肪組織として計算している。このX線CTスキャンは脂肪組織の中でも皮下脂肪と内臓脂肪とを区別することもでき詳細な情報を得ることができるが、測定に長時間を要したり放射線被曝による安全面の問題や、装置コストもかかる。電気インピーダンス法は、電気をほとんど通さない絶縁体である脂肪組織と、電解質を多く含む電導体である除脂肪組織との電気インピーダンスの違いを利用して体脂肪率を推定する。しかし、内臓には電流がほとんど流れないので内臓脂肪を推定することが困難である。 【0006】局所測定法として上記の他に超音波を利用して脂肪組織の厚さを求める方法がある。この簡単な原理は生体内に向けて超音波パルスを放射し、この超音波パルスが皮下脂肪組織とこれに隣接する筋肉組織との境界面において反射してエコーとして戻ってくる分を検出して皮下脂肪厚を測定するもので、例えば、特開平9−292214号公報に開示された超音波皮脂厚測定装置などがある。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】従来の超音波生体組織測定装置及び超音波生体組織測定方法は以上のように構成されているので、皮下脂肪組織と筋肉組織との境界面において反射して戻ってくる超音波パルスのエコーを検出して生体組織を測定することから、生体の表層にある皮下脂肪などの生体組織は測定できるが、より生体の深層にある内臓脂肪などの生体組織は他の測定方法によって求める必要があり容易に推定することができないという課題があった。 【0008】また、他の生体組織測定方法やこれに使用する生体測定装置は、体密度法では被験者の体積を精度良く求めることが容易でなく、水中で被験者の体重を測定するための測定装置や内部圧力変化から体積を計測する専用の測定チャンバなどの大がかりな装置が必要であることからコスト的にも不利であった。さらに、体水分法、体内K40測定法及びX線を用いた計測も同様に専用の大型装置や分析機器が必要であることからコスト的にも不利であった。さらに、これらの測定は熟練した操作を要し、これによって得られるパラメータの判断も熟練を要することから測定の専門家が必要であった。 【0009】この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、専用の大型装置を必要とせず、簡便で安価に生体組織(特に、脂肪組織)の厚さやその指標を求めることができる超音波生体組織測定装置及び超音波生体組織測定方法を得ることを目的とするものである。また、この発明は専用の大型装置を必要とせず、簡便で安価に脂肪組織における内臓脂肪組織の厚さを求めることができる超音波生体組織測定装置及び超音波生体組織測定方法を得ることを目的とするものである。 【0010】 【課題を解決するための手段】この発明に係る超音波生体組織測定装置は、生体表面の所定位置から生体内に向けて超音波を放射し、生体内の生体組織を透過して生体表面の他の位置から抜け出る超音波を検出する超音波送受手段と、生体表面の所定位置から生体表面の他の位置までの超音波が透過した透過距離を求める透過距離測定手段と、この透過距離測定手段が測定した透過距離と、超音波送受手段が検出した超音波とに基づいて、生体組織の透過による超音波の減衰を単位長さ当たりの値で表した減衰率を算出し、この減衰率の周波数特性を求める周波数特性算出手段と、この周波数特性算出手段が算出した周波数特性から生体内の生体組織の厚さに対する指標を求める厚さ指標算出手段とを備えるものである。 【0011】この発明に係る超音波生体組織測定装置は、生体組織を透過して生体表面の他の位置から抜け出る超音波をフーリエ変換して得られるスペクトルに基づいて周波数特性算出手段が減衰率の周波数特性を求めることを特徴とするものである。 【0012】この発明に係る超音波生体組織測定装置は、超音波送受手段が超音波の放射及び/若しくは検出を生体表面の複数位置にて行い、周波数特性算出手段は、生体内の生体組織を透過した各超音波の減衰率の周波数特性を求めることを特徴とするものである。 【0013】この発明に係る超音波生体組織測定装置は、超音波送受手段が生体表面の所定位置から生体内に向けて周波数の異なる複数の超音波を放射し、周波数特性算出手段は、生体内の生体組織を透過した複数の超音波の各周波数帯域における減衰率から周波数特性を求めることを特徴とするものである。 【0014】この発明に係る超音波生体組織測定装置は、超音波送受手段が生体表面の所定位置から生体内に向けて複数の異なる周波数成分が混合した超音波を放射し、周波数特性算出手段は、生体内の生体組織を透過した複数の異なる周波数成分が混合した超音波の減衰率の周波数特性を求めることを特徴とするものである。 【0015】この発明に係る超音波生体組織測定装置は、生体組織の厚さに対する指標として超音波の減衰率の周波数に対する変化分を厚さ指標算出手段が求めることを特徴とするものである。 【0016】この発明に係る超音波生体組織測定装置は、生体組織の厚さに対する指標として生体組織の厚さ、若しくは生体組織の厚さの比率を厚さ指標算出手段が求めることを特徴とするものである。 【0017】この発明に係る超音波生体組織測定装置は、透過距離測定手段が生体表面の所定位置から生体内に向けて透過距離の算出に使用する距離測定用超音波を放射し、生体内の生体組織を透過して生体表面の他の位置から抜け出る距離測定用超音波を検出する距離測定用超音波送受手段を備え、距離測定用超音波が生体表面の所定位置から生体表面の他の位置に至るまでの到達時間に基づいて透過距離を算出することを特徴とするものである。 【0018】この発明に係る超音波生体組織測定装置は、超音波送受手段による超音波が生体表面の所定位置から生体表面の他の位置に至るまでの到達時間に基づいて透過距離を透過距離測定手段が算出することを特徴とするものである。 【0019】この発明に係る超音波生体組織測定装置は、生体組織を互いに音響インピーダンスが異なる脂肪組織と該脂肪組織を除いた除脂肪組織とからなるものと仮定して、透過距離測定手段が測定した透過距離と、超音波送受手段が検出した超音波とに基づいて、脂肪組織及び除脂肪組織の透過による超音波の減衰を単位長さ当たりの値で表した減衰率を算出し、減衰率の周波数特性を周波数特性算出手段が求め、厚さ指標算出手段はこの周波数特性から脂肪組織の厚さに対する指標若しくは脂肪組織の厚さを求めることを特徴とするものである。 【0020】この発明に係る超音波生体組織測定装置は、生体内の皮下脂肪組織の厚さを算出する皮下脂肪厚算出手段と、脂肪組織を皮下脂肪組織と内臓脂肪組織とからなるものと仮定し、脂肪組織の厚さから皮下脂肪組織の厚さを減算して内臓脂肪組織の厚さを算出する内臓脂肪厚算出手段とを備えるものである。 【0021】この発明に係る超音波生体組織測定装置は、生体内の皮下脂肪組織とこれと隣接する生体組織との境界面で反射した超音波を検出するエコー検出手段と、超音波が生体内に向けて放射されてからエコー検出手段に検出されるまでの所要時間を測定するエコー検出時間測定手段とを備え、皮下脂肪厚算出手段はこのエコー検出時間測定手段が測定した所要時間に基づいて、皮下脂肪組織の厚さを算出することを特徴とするものである。 【0022】この発明に係る超音波生体組織測定装置は、超音波送受手段が超音波パルスを送受することを特徴とするものである。 【0023】この発明に係る超音波生体組織測定方法は、人体を除く生体表面の所定位置から生体内に向けて超音波を放射し、生体内の生体組織を透過して生体表面の他の位置から抜け出る超音波を検出する超音波送受ステップと、生体表面の所定位置から生体表面の他の位置までの超音波が透過した透過距離を求める透過距離測定ステップと、この透過距離と超音波送受ステップで検出した超音波とに基づいて、生体組織の透過による超音波の減衰を単位長さ当たりの値で表した減衰率を算出し、この減衰率の周波数特性を求める周波数特性算出ステップと、この周波数特性から生体内の生体組織の厚さに対する指標を求める厚さ指標算出ステップとを備えるものである。 【0024】この発明に係る超音波生体組織測定方法は、周波数特性算出ステップで生体組織を透過して生体表面の他の位置から抜け出る超音波をフーリエ変換して得られるスペクトルに基づいて減衰率の周波数特性を求めることを特徴とするものである。 【0025】この発明に係る超音波生体組織測定方法は、超音波送受ステップで超音波の放射及び/若しくは検出を生体表面の複数位置にて行い、周波数特性算出ステップで生体内の生体組織を透過した各超音波の減衰率の周波数特性を求めることを特徴とするものである。 【0026】この発明に係る超音波生体組織測定方法は、超音波送受ステップで生体表面の所定位置から生体内に向けて周波数の異なる複数の超音波を放射し、周波数特性算出手ステップで生体内の生体組織を透過した複数の超音波の各周波数帯域における減衰率から周波数特性を求めることを特徴とするものである。 【0027】この発明に係る超音波生体組織測定方法は、超音波送受ステップで生体表面の所定位置から生体内に向けて複数の異なる周波数成分が混合した超音波を放射し、周波数特性算出ステップで生体内の生体組織を透過した複数の異なる周波数成分が混合した超音波の減衰率の周波数特性を求めることを特徴とするものである。 【0028】この発明に係る超音波生体組織測定方法は、厚さ指標算出ステップで生体組織の厚さに対する指標として超音波の減衰率の周波数に対する変化分を求めることを特徴とするものである。 【0029】この発明に係る超音波生体組織測定方法は、厚さ指標算出ステップで生体組織の厚さに対する指標として生体組織の厚さ、若しくは生体組織の厚さの比率を求めることを特徴とするものである。 【0030】この発明に係る超音波生体組織測定方法は、透過距離測定ステップで、生体表面の所定位置から生体内に向けて透過距離の算出に使用する距離測定用超音波を放射し、生体内の生体組織を透過して生体表面の他の位置から抜け出る距離測定用超音波を検出し、距離測定用超音波が生体表面の所定位置から生体表面の他の位置に至るまでの到達時間に基づいて透過距離を算出することを特徴とするものである。 【0031】この発明に係る超音波生体組織測定方法は、透過距離測定ステップで超音波送受ステップにおける超音波が生体表面の所定位置から生体表面の他の位置に至るまでの到達時間に基づいて透過距離を算出することを特徴とするものである。 【0032】この発明に係る超音波生体組織測定方法は、周波数特性算出ステップで生体組織を互いに音響インピーダンスが異なる脂肪組織と該脂肪組織を除いた除脂肪組織とからなるものと仮定して、透過距離と超音波送受ステップで検出した超音波とに基づいて、脂肪組織及び除脂肪組織の透過による超音波の減衰を単位長さ当たりの値で表した減衰率を算出し、減衰率の周波数特性を求め、厚さ指標算出ステップで、この周波数特性から脂肪組織の厚さに対する指標若しくは脂肪組織の厚さを求めることを特徴とするものである。 【0033】この発明に係る超音波生体組織測定方法は、生体内の皮下脂肪組織の厚さを算出する皮下脂肪厚算出ステップと、脂肪組織を皮下脂肪組織と内臓脂肪組織とからなるものと仮定し脂肪組織の厚さから皮下脂肪組織の厚さを減算して内臓脂肪組織の厚さを算出する内臓脂肪厚算出ステップとを備えるものである。 【0034】この発明に係る超音波生体組織測定方法は、生体内の皮下脂肪組織とこれと隣接する生体組織との境界面で反射した超音波を検出するエコー検出ステップと、超音波が生体内に向けて放射されてからエコー検出ステップにて検出されるまでの所要時間を測定するエコー検出時間測定ステップとを備え、皮下脂肪厚算出ステップで、このエコー検出時間測定手段が測定した所要時間に基づいて、皮下脂肪組織の厚さを算出することを特徴とするものである。 【0035】この発明に係る超音波生体組織測定方法は、超音波送受ステップで超音波パルスを送受することを特徴とするものである。 【0036】 【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の一形態を説明する。 実施の形態1.図1はこの発明の実施の形態1による超音波生体組織測定装置の構成を概略的に示すブロック図である。図において、1は生体であり、例えば人体などがある。2,3は超音波探触子(超音波送受手段)で、受信した超音波信号を電気信号に変換したり、入力された電気信号を超音波信号に変換する超音波トランスジューサからなる。また、超音波探触子2,3は、例えば中心周波数を1MHzとしておよそ±0.5MHzの広がりを有する超音波を放射するものとする。つまり、1MHzを中心周波数として0.5MHzから1.5MHzまでの周波数帯域を有する。10は超音波探触子2,3が電気的に接続された実施の形態1による超音波生体組織測定装置本体である。 【0037】11は送波制御部12及び受波制御部13によって送受される超音波信号を処理し、生体1内の生体組織の厚さに対する指標を算出する信号処理部(透過距離測定手段、周波数特性算出手段、厚さ指標算出手段)である。ここでは、生体組織を脂肪組織とそれ以外の除脂肪組織からなるものとし、信号処理部11は脂肪組織の厚さに対する指標を算出するものとする。12は超音波探触子2に超音波信号を発生させるための電気信号を出力する送波制御部(超音波送受手段、透過距離測定手段)で、同時にこの電気信号の出力タイミングを示す信号も信号処理部11に出力する。13は超音波探触子3によって検出された超音波信号に対応する電気信号を増幅、フィルタリングなどの処理を経て信号処理部11に出力する受波制御部(超音波送受手段、透過距離測定手段)である。14は信号処理部11によって算出された脂肪組織や除脂肪組織などの厚さ指標が入力され、これを図または数字などの形で表示する表示部である。なお、生体1は本願特許請求の範囲請求項13から請求項24までに記載した方法の発明においては人体を除くもの(例えば、豚や牛など)とする。また、図2はこの実施の形態1による超音波生体組織測定方法を示すフローチャートである。 【0038】次に動作について説明する。超音波の送り側である超音波探触子2を生体1の皮膚表面の所定位置に配置し、この超音波のうち生体組織を透過して皮膚表面の他の位置から抜け出てきた分を検出することができるように超音波探触子3を配置する。超音波の生体1への送波は、装置本体10内の送波制御部12が超音波探触子2へ電気信号を出力することにより行われる。ここでは、超音波探触子2が中心周波数1MHz、およそ±0.5MHzの広がりを有する超音波をパルス信号として放射するように、送波制御部12は、内部の不図示のパルス発生器で発生させた電気パルス信号を超音波探触子2に出力する。また、これと同時に送波制御部12は電気信号を出力するタイミングに対応する信号を後述する信号処理部11へ出力する。この送波制御部12からの電気信号を入力した超音波探触子2は、電気信号を上記超音波のパルス信号に変換して、該超音波を生体1の所定の皮膚表面から生体1内へ放射する。 【0039】生体1内の生体組織を透過して皮膚表面の他の位置から抜け出てきた超音波は超音波探触子3によって受波される。超音波探触子3は上記超音波を受波すると、これを該超音波の周波数情報と振幅(強度)情報とを有する電気信号に変換して装置本体10内の受波制御部13へ出力する。受波制御部13は超音波探触子3から入力した電気信号のノイズ成分を除去したり、信号処理のために増幅などを行って信号処理部11に出力する。ここまでの動作が図2におけるステップST1(超音波送受ステップ)に対応する。 【0040】信号処理部11は送波制御部12からの電気信号を出力するタイミングと、受波制御部13から受波超音波に対応する電気信号を入力したタイミングとから、受波超音波の生体1内の透過時間を測定し、これに基づいて超音波の生体1内の透過距離を求める(ステップST2、透過距離測定ステップ)。上記透過時間は超音波探触子2が送波制御部12内のパルス発生器によって出力タイミングが規定される超音波パルス信号を出力し、受波制御部13はこのパルス発生器の電気パルス信号の発生タイミングと、入力した超音波に対応する電気パルス信号の入力タイミングとから容易に算出することができる。ここで、超音波の生体1内の透過距離を求める過程を詳細に説明する。上記のようにして測定した透過時間と生体を透過する超音波の平均透過速度との積をとることにより上記透過距離を求める。この生体を透過する超音波の透過速度は以下のようにして求められる。ノギスなどを使って超音波を送受する超音波探触子間の距離を生体の外部から測定しておき、この超音波探触子間の距離を保ったまま超音波の送受を行って超音波の生体透過時間を測定する。これにより、生体の超音波の透過速度が求められる。以上の測定を複数の生体に対して行い、これにより得られた透過速度データの平均をとることで、生体を透過する超音波の平均透過速度が算出される。ちなみに、生体内の生体組織は不均一な組織であるためにこれらを透過する超音波の透過速度も様々な値を示すが、上記測定を行う生体の部位を一定にしておけば上記生体を透過する超音波の平均透過速度はおおよそ一定の値を示す。 【0041】また、信号処理部11は入力した受波超音波信号に対応する周波数情報と振幅(強度)情報とを有する電気信号をフーリエ変換して、生体1内の生体組織を透過した超音波のスペクトルを算出する。信号処理部11内には不図示のメモリがあり、このメモリに超音波の減衰が小さい水中を透過させた時のスペクトルを予め記憶しておく。この水中の超音波のスペクトル、上記生体1内を透過した超音波のスペクトル、及び超音波の透過距離から超音波の単位長さあたりの減衰を示す減衰率のスペクトルを求め、周波数特性を算出する(ステップST3、周波数特性算出ステップ)。最後に上記減衰率の周波数特性から生体1内の脂肪組織と除脂肪組織の厚さの指標を解析する(ステップST4、厚さ指標算出ステップ)。 【0042】ここで、ステップST3及びステップST4における生体1を透過した超音波の減衰率、この減衰率の周波数特性、及び減衰率の周波数特性から生体1内の脂肪組織と除脂肪組織の厚さの指標について説明する。生体1内に放射された超音波は、生体組織に吸収されたり異なる音響インピーダンスを有する生体組織の境界面で反射したりして、その強度が減衰する(ここで、音響インピーダンスとは組織(生体組織)の密度と音速との積)。周波数fの超音波の生体組織による吸収は下記式(1)で表される。 A=A0e−αx ・・・(1) 周波数fにおける超音波の振幅をA、生体1に入射される前の初期振幅をA0、xは生体1内の超音波の透過距離(cm)、αは超音波の振幅に関する減衰率(dB・cm−1)である。上記Aは超音波が生体1内を透過した場合におけるスペクトルの各周波数あたりの強度に対応する。この(1)式の両辺の対数をとったものが下記の式(2)である。 lnA=lnA0−αx ・・・(2) 【0043】水中は超音波の減衰が小さいので、生体1内を透過した超音波の減衰率を算出する基準として使用することができる。この水中の超音波のスペクトルは含有成分による影響(超音波の減衰)を除くために脱気蒸留をおこなった水に対して求める。上記式(2)に水中の超音波のスペクトルに対応するパラメータを代入したものが下記式(3)である。 lnAH2O=lnA0−αH2OxH2O ・・・(3) AH2Oは水中の超音波の振幅、xH2Oは超音波の水中の透過距離(cm)、αH2Oは水中の超音波の振幅に関する減衰率(dB・cm−1)である。 【0044】式(2)及び式(3)から生体1内における超音波の減衰率αは式(4)のように求められる。 α={ln(AH2O/A)+(αH2OxH2O)}/x・・・(4) 【0045】式(4)でαH2Oは既知の値であるが、実験的に求めても良い。また、水中での超音波の減衰率と比較して生体組織の透過による減衰率はずっと大きな値を示す(例えば、水で2.5×10−3(dB・cm−1・MHz−1)、脳で1.0(dB・cm−1・MHz−1)、筋肉は1.3(dB・cm−1・MHz−1)、脂肪は0.5(dB・cm−1・MHz−1))ので、簡単な近似を得るために水中での超音波の減衰率を零と見積もっても良い。また、lnAH2O及びxH2Oはこの実施の形態1による超音波生体組織測定装置の脱気蒸留水に対する計測における条件とその超音波のスペクトルから容易に求めることができる。さらに、生体1内の超音波の透過距離xは上記のようにして超音波の透過時間などから算出することができる。以上より、式(4)からある周波数の超音波の生体組織透過による減衰率αを算出することができる。なお、これらのパラメータは信号処理部11内の不図示のメモリなどに記憶しておき、必要に応じて読み出せるようにしておく。 【0046】上記のようにして求めた超音波の単位長さあたりの減衰率αは、超音波の生体組織による吸収の他に、生体組織界面における反射による減衰も含まれる。ここでは、超音波の生体組織による吸収のみを考慮するので、超音波の生体組織界面における反射による減衰を除く必要がある。一般的に超音波の生体組織界面における反射では超音波の周波数の違いによる減衰量の変動が少ないので、この発明の超音波生体組織測定では生体組織界面における反射による減衰量は超音波の周波数によらず一定としている。これにより、上記減衰率の周波数に対する変化量、つまり、減衰率の周波数特性を求めれば、生体組織による吸収の効果のみを抽出することができる。 【0047】図3は超音波の各周波数に対して減衰率をプロットしたグラフ図である。プロットした減衰率は周波数0.5MHzの減衰率の値を零とした相対的な値を示している。図のように、減衰率は超音波の周波数の増加に伴って直線的に増加していることが分かる。これより、最小二乗法を使って超音波の周波数に対する減衰率の傾き、つまり、減衰率の周波数特性を求める。 【0048】ここで、生体組織を脂肪組織とそれ以外の除脂肪組織とからなるものとする。脂肪組織は他の生体組織と比較して、これを透過する超音波の組織の吸収による減衰は少ない。従って、生体1内を超音波が透過した場合に生体1内に脂肪組織が多ければ超音波の減衰は小さくなり図3の減衰率の傾きは小さくなる。一方、生体1内に脂肪組織が少なければ図3の減衰率の傾きは大きくなる。これを超音波の透過距離間について言えば、脂肪組織が多ければ、即ち、透過距離間で脂肪組織の厚さ(脂肪組織の距離)が厚ければ(大きければ)、減衰率の周波数特性(減衰率の傾き)は小さくなり、逆であれば減衰率の周波数特性(減衰率の傾き)は大きくなる。このように、減衰率の周波数特性(減衰率の傾き)から生体1内における脂肪組織及び除脂肪組織の厚さの指標を得ることができる。 【0049】ここまでの動作を信号処理部11が行い、減衰率の周波数特性(減衰率の傾き)に基づいた生体1内における脂肪組織及び除脂肪組織の厚さの指標を表示部14に出力する。表示部14は上記指標を容易に視認できるように図または数字などの形で表示する。 【0050】以上のように、この実施の形態1によれば、超音波トランスジューサなどからなる超音波探触子2,3、送波制御部12及び受波制御部13にて生体1の皮膚表面の所定位置から生体1内に向けて超音波を放射し、生体1内の生体組織を透過して皮膚表面の他の位置から抜け出る超音波を検出し、生体1の皮膚表面の所定位置から皮膚表面の他の位置までの超音波が透過した透過距離を求め、信号処理部11にて超音波の生体1の透過距離とこの生体組織透過超音波とに基づいて、生体組織の透過による超音波の減衰を単位長さ当たりの値で表した減衰率を算出し、この減衰率の周波数特性を求め、この周波数特性から生体1内の生体組織の厚さに対する指標を求めるようにしたので、生体組織を透過した超音波を検出することから、より生体の深層にある生体組織を含んだ厚さの指標を得ることができる。また、X線や同位体などを使用しないことから、大型装置や特殊な分析機器を必要とせず、装置の小型化や操作を簡単にすることができる。さらに、厚さ指標は生体を透過した超音波信号の周波数や強度、その透過距離などの簡単なパラメータに基づいて解析することができることから、汎用のパーソナルコンピュータでも十分に処理することが可能であり、高性能な計算機資源を必要としない。従って装置を安価に構成することができる。 【0051】また、この実施の形態1によれば、生体組織を透過して生体1皮膚表面の他の位置から抜け出る超音波をフーリエ変換して得られるスペクトルに基づいて減衰率の周波数特性を求めるので、減衰率を簡便に求められることができることから、最小二乗法などを使って容易にその周波数に対する減衰率の傾きを算出することができる。 【0052】さらに、この実施の形態1によれば、超音波送受手段である超音波探触子2,3が送受する超音波が生体表面の所定位置から生体表面の他の位置に至るまでの到達時間に基づいて透過距離を算出するので、透過距離を簡便に求めることができることからとともに、測定毎に透過距離を求めることができるので測定中の経時的な誤差を取り除くことができる。また、到達時間を測定するため別個に装置を用意する必要がないので簡単な構成でコスト的にも有利な装置を得ることができる。 【0053】さらに、この実施の形態1によれば、送受する超音波をパルス信号としたので、送波制御部12及び受波制御部13による超音波の出入力タイミングを容易に規定することができることから超音波の透過時間を正確に測定することができる。また、1パルスの超音波信号の送受で生体組織の厚さ指標を求めることができるので、超音波の連続波を安定した強度で発生させるには大がかりな装置を必要とせず、装置を小型化することができる。 【0054】さらに、この実施の形態1によれば、生体組織の厚さに対する指標として超音波の減衰率の周波数に対する変化分(超音波の周波数に対して減衰率をプロットした図3における傾き)を求めるので、生体組織界面における反射による超音波の減衰の影響を取り除くことができることから、超音波の生体組織による吸収のみを考慮した生体組織の厚さに対する指標を簡便に求めることができる。 【0055】なお、上記実施の形態1では、超音波送受手段として1対の超音波探触子2,3を使用して生体1の皮膚表面の所定位置から超音波を放射する例を示したが、本発明はこれに限らず、複数対の超音波探触子(例えば、複数の超音波探触子によるアレイや複合体)を使用して生体1の複数位置を透過した各超音波の減衰率の周波数特性を求めるようにしてもよい。このようにすることで生体1の複数位置から生体組織の厚さ指標を得ることができる。これにより、例えば、骨や肺などの音響インピーダンスや減衰率の大きい生体組織による影響を取り除くこともできる。さらに、生体1の簡易的な脂肪分布や平均化した広い面積での脂肪の厚さ指標を得ることもできる。 【0056】また、上記実施の形態1では、超音波送受手段としての超音波探触子2,3は中心周波数1MHzの超音波を送受する例を示したがこれに限らず、生体1の皮膚表面の所定位置から生体1内に向けて周波数(中心周波数)の異なる複数の超音波を放射し、この複数の超音波の各周波数帯域における減衰率の周波数特性を求めるようにしてもよい。さらに、超音波送受手段が生体1の皮膚表面の所定位置から生体1内に向けて複数の異なる周波数成分が混合した超音波を放射し、この複数の異なる周波数成分が混合した超音波の減衰率の周波数特性を求めるようにしてもよい。このようにすることでも上記と同様の効果が得られるとともに、減衰率の周波数特性を様々な周波数帯域から求めることができる。従って、これにより得られた減衰率の周波数特性を統計的手法で処理することで測定精度を向上させることができる。 【0057】上記実施の形態1では生体1内に放射する超音波はパルス信号を用いたが、放射する超音波は連続波であってもかまわない。また、上記実施の形態1では中心周波数1MHzで±0.5MHzの広がりを有する超音波を使用する例を示したが、生体1内を透過することが可能であれば他の周波数帯域を有する超音波を使用してもかまわない。 【0058】上記実施の形態1では減衰率の周波数に対する傾きを得るのに最小二乗法を用いたが本願発明はこれに限定されるものでなく、周波数に対する減衰率の関係を適当に解析することができる方法であればよい。 【0059】上記実施の形態1では生体組織の厚さの指標として超音波の減衰率の周波数に対する変化分である傾きを使用する例を示したが、傾きを規格化した値、例えば、多数の人の標準的な傾きを求め、これとのずれを理解しやすいように規格化して脂肪量などを表示しても良い。 【0060】生体組織の厚さ指標を算出する過程において、生体組織を透過した超音波のスペクトルと水中の超音波のスペクトルとをフーリエ変換によって求めたが本願発明はこれに限らず、他の方法によっても超音波の周波数と減衰量との関係を解析できればかまわない。 【0061】上記実施の形態1において生体1内を透過した超音波の減衰率を求める基準として水中の超音波の減衰を求めたが、超音波の減衰の小さい他の物質を用いてもよい。 【0062】上記実施の形態1では生体1内における超音波の透過距離を生体組織の厚さ指標を算出するために超音波探触子2,3が送受した超音波から求めたが、これとは個別に透過距離測定用の超音波(距離測定用超音波)を送受する超音波探触子(距離測定用超音波送受手段)を設けてもよい。これによっても上記実施の形態1と同様に上記透過距離を簡便に求めることができる効果を得ることができる。 【0063】生体1内における超音波の透過距離は、生体組織の厚さ指標の近似的な値を得るためには、生体1の外部からノギスやメジャーなどを用いて簡易に求めてもよい。 【0064】実施の形態2.上記実施の形態1では生体組織の厚さ指標を求める方法及び装置について示したが、この実施の形態2は生体組織、特に脂肪組織の厚さを求める方法及び装置について説明する。使用する装置は、信号処理部11が生体組織の厚さを算出する機能をさらに備えた以外は上記実施の形態1の構成と同一である。 【0065】次に動作について説明する。図4はこの発明の実施の形態2による超音波生体組織測定方法を示すフローチャートであり、これに沿って実施の形態2による超音波生体組織測定装置の動作を説明する。ステップST1からステップST4までの生体組織の厚さ指標として超音波の減衰率の周波数特性を求める動作は上記実施の形態1と同様であるので重複する説明を省略する。 【0066】ステップST5では、信号処理部11がステップST1からステップST4までの動作において求められる生体1内を透過した超音波の透過距離や減衰率の周波数特性から生体組織の厚さを算出する。ここでは、生体組織を脂肪組織とそれ以外の除脂肪組織とからなるものと仮定して脂肪組織の厚さを算出するもので、その原理を以下に示す。 【0067】信号処理部11で行われる演算は、脂肪組織の厚さに対応する量として超音波の透過距離において脂肪組織の占める距離を求めるものである。この脂肪組織の占める距離をL、透過距離をDとする。また、ステップST4で算出した超音波の周波数特性である周波数に対する減衰率の変化分(傾き)をKとし、これを求めた周波数帯域内の周波数f1及びf2(f1≠f2)における減衰率をそれぞれαf1、αf2(dB/cm)とすると、傾きKは下記式で表される。 K=(αf1−αf2)/(f1−f2) ・・・(5) 【0068】また、脂肪組織を周波数f1の超音波が透過することによる減衰率をαLf1、脂肪組織を周波数f2の超音波が透過することによる減衰率をαLf2とし、除脂肪組織を周波数f1の超音波が透過することによる減衰率をαMf1、除脂肪組織を周波数f2の超音波が透過することによる減衰率をαMf2とすると、周波数f1の超音波の減衰率αf1、及び周波数f2の超音波の減衰率αf2はそれぞれ下記式(6)、(7)によって表される。 αf1=αLf1・L+αMf1・(D−L) ・・・(6) αf2=αLf2・L+αMf2・(D−L) ・・・(7) 式(6)及び式(7)から傾きを求める式(5)は下記式のように表される。 K={(αLf1−αLf2)・L+(αMf1−αMf2)・(D−L)}/(f1−f2) ・・・(8) ここで、式(8)に含まれるパラメータを検討すると、単位長さあたりの減衰率の周波数特性K、減衰率αf1及びαf2はステップST4までの動作で既に求められているので、脂肪組織の厚さに対応する距離Lを算出するには脂肪組織を透過することによる超音波の減衰率αLf1、αLf2、及び除脂肪組織を透過することによる超音波の減衰率αMf1、αMf2を求める必要がある。これら減衰率αLf1、αLf2、αMf1、αMf2は、例えば、下記のように実験的に求め、基準値として信号処理部11内の不図示のメモリに記憶させておく。 【0069】生体1の脂肪組織と除脂肪組織の比率を、X線CTスキャンの断層画像などから算出する。この後、周波数f1、f2の超音波の透過による減衰率αf1、αf2を上記実施の形態1と同様な操作で求める。ここまでの操作を脂肪組織と除脂肪組織の比率の異なる複数の生体1に対して行うか、生体1の複数箇所(同一の生体1内における脂肪組織と除脂肪組織の比率の異なる部位)に対して実施する。この測定において、それぞれの脂肪組織と除脂肪組織の比率に対する減衰率が求められ、これらの平均から各周波数f1、f2の超音波の脂肪組織における減衰率αLf1、αLf2及び除脂肪組織における減衰率αMf1、αMf2を算出することができる。これらの値は上述したように基準値としてメモリに記憶させておき、脂肪組織の厚さ算出過程で適時読み出すようにすることが望ましい。 【0070】信号処理部11は、上記のようにして予め求めておいた周波数f1、f2の超音波の脂肪組織における減衰率αLf1、αLf2及び除脂肪組織における減衰率αMf1、αMf2とステップST4までに求められる超音波の透過距離D、周波数f1、f2の超音波の減衰率αf1、αf2、及び減衰率の周波数特性Kとを式(8)に代入して脂肪組織の厚さに対応する距離Lを算出する。算出された距離Lは、表示部14に出力されて生体1内の脂肪組織の厚さを表す量として容易に視認できるように図または数字などの形で表示する。 【0071】以上のように、この実施の形態2によれば、実施の形態1に示した構成に加えて、生体組織を互いに音響インピーダンスが異なる脂肪組織と該脂肪組織を除いた除脂肪組織とからなるものと仮定して、生体1を透過した超音波の透過距離と、超音波探触子3が検出した生体1を透過した超音波とに基づいて、脂肪組織及び除脂肪組織の透過による超音波の減衰を単位長さ当たりの値で表した減衰率をそれぞれ算出し、これら減衰率の周波数特性を求め、この周波数特性から脂肪組織の厚さを求めるようにしたので、生体組織を透過した超音波を検出することから、超音波の透過部位における脂肪組織の厚さを測定することができる。また、X線や同位体などを使用しないことから、大型装置や特殊な分析機器を必要とせず、装置の小型化や操作を簡単にすることができる。さらに、厚さ指標は生体を透過した超音波信号の周波数や強度、その透過距離などの簡単なパラメータに基づいて解析することができることから、汎用のパーソナルコンピュータでも十分に処理することが可能であり、高性能な計算機資源を必要としない。従って装置を安価に構成することができる。 【0072】また、上記実施の形態2において求めた脂肪組織の厚さに替えて、脂肪組織と除脂肪組織との比率である脂肪率などで表した生体組織の厚さの指標を算出するようにしても良い。 【0073】さらに、この実施の形態2によれば、生体組織の厚さに対する指標として生体組織の厚さ、若しくは生体組織の厚さの比率を求めるので、複数の生体組織の厚さやその構成比などに対して、よりわかりやすい指標を提供することができる。 【0074】実施の形態3.上記実施の形態2では生体組織の厚さとして脂肪組織の厚さを算出するものを示したが、この実施の形態3は脂肪組織をさらに皮下脂肪組織と内臓脂肪組織とからなるものと仮定しこれらの厚さ指標または厚さを求めるものである。 【0075】図5はこの発明の実施の形態3による超音波生体組織測定装置の構成を示すブロック図であり、図6は実施の形態3による超音波生体組織測定装置における皮下脂肪組織と内臓脂肪組織とを求める方法を概念的に示す模式図である。図において、4は生体1の皮膚表面下に形成される皮下脂肪組織であり、この実施の形態3では生体1内の脂肪組織はこの皮下脂肪組織と内臓脂肪組織とからなるものと仮定している。20は実施の形態3による超音波生体組織測定装置本体、21は実施の形態2による脂肪組織の厚さを算出する機能を有し、さらに送受波制御部22,23によって検出される超音波の入射からエコーの検出までに要した時間に基づいて皮下脂肪組織4の厚さを算出する信号処理部(透過距離測定手段、周波数特性算出手段、厚さ指標算出手段、エコー検出時間測定手段、皮下脂肪厚算出手段、内臓脂肪厚算出手段)である。22,23は実施の形態1の送波制御部12及び受波制御部13と同様の機能を有するとともに、皮下脂肪組織4の厚さを測定するために超音波を生体1内に入射し皮下脂肪組織4と隣接する生体組織との境界面で反射して戻ってくる超音波のエコーを検出する送受波制御部(超音波送受手段、透過距離測定手段、エコー検出手段、エコー検出時間測定手段)である。 【0076】次に動作について説明する。図7は実施の形態3による超音波生体組織測定方法を示すフローチャートであり、上記図5,6及びこのフローチャートに沿って実施の形態3による超音波生体組織測定装置の動作を説明する。超音波の送り側である超音波探触子2を生体1の皮膚表面の所定位置に配置し、この超音波のうち生体組織を透過して皮膚表面の他の位置から抜け出てきた分を検出することができるように超音波探触子3を配置する。超音波の生体1への送波は、装置本体20内の送受波制御部22が超音波探触子2へ電気信号を出力することにより行われる。ここでは、超音波をパルス信号として放射するように、送受波制御部22は、内部の不図示のパルス発生器で発生させた電気パルス信号を超音波探触子2に出力する。また、これと同時に送受波制御部22は電気信号を出力するタイミングに対応する信号を信号処理部21へ出力する。上記送受波制御部22からの電気信号を入力した超音波探触子2は、この電気信号を上記超音波のパルス信号に変換して、該超音波を生体1の所定の皮膚表面から生体1内へ放射する。 【0077】生体1内の生体組織を透過して皮膚表面の他の位置から抜け出てきた超音波は超音波探触子3によって受波される。超音波探触子3は上記超音波を受波すると、これを該超音波の周波数情報と振幅(強度)情報とを有する電気信号に変換して装置本体20内の送受波制御部23へ出力する。送受波制御部23は超音波探触子3から入力した電気信号のノイズ成分を除去したり、信号処理のために増幅などを行って信号処理部21に出力する。ここまでの動作が図7におけるステップST1(超音波送受ステップ)に対応する。 【0078】信号処理部21は送受波制御部22からの送信用電気信号を出力するタイミングと、送受波制御部23から受波超音波に対応する電気信号を入力したタイミングとから、受波超音波の生体1内の透過時間を測定し、これに基づいて受波超音波の生体1内の透過距離を求める(ステップST2、透過距離測定ステップ)。ここでは、超音波探触子2が送受波制御部22内のパルス発生器によって出力タイミングが規定される超音波パルス信号を出力し、送受波制御部23はこのパルス発生器の電気パルス信号の発生タイミングと、入力した超音波に対応する電気パルス信号の入力タイミングとから容易に超音波パルスの透過時間を算出することができる。 【0079】また、信号処理部21は入力した受波超音波信号に対応する周波数情報と振幅(強度)情報とを有する電気信号をフーリエ変換して、生体1内の生体組織を透過した超音波のスペクトルを算出する。信号処理部21内には不図示のメモリがあり、このメモリに超音波の減衰が小さい水中を透過させた時のスペクトルを予め記憶しておく。この水中の超音波のスペクトル、上記生体1内を透過した超音波のスペクトル、及び超音波の透過距離から超音波の単位長さあたりの減衰を示す減衰率のスペクトルを求め、周波数特性を算出する(ステップST3、周波数特性算出ステップ)。この後、上記減衰率の周波数特性から生体1内の脂肪組織と除脂肪組織の厚さの指標を解析する(ステップST4、厚さ指標算出ステップ)。 【0080】信号処理部21は、生体組織を脂肪組織とそれ以外の除脂肪組織とからなるものと仮定してステップST1からステップST4までの動作において求められる生体1内を透過した超音波の透過距離や減衰率の周波数特性から脂肪組織の厚さを算出する(ステップST5、厚さ指標算出ステップ)。以上のステップST1からステップST5までの動作は、この実施の形態3による信号処理部21が有する実施の形態2に示した信号処理部11と同一の機能に依るものである。 【0081】次に皮下脂肪組織及び内臓脂肪組織の厚さを求める動作について説明する。超音波探触子2から生体1の所定の皮膚表面から生体1内へ放射された超音波のパルス信号のうち、図6に示すような皮下脂肪組織4と、これに隣接する生体組織、例えば筋肉組織などとの境界面で反射して戻ってくるエコー成分を超音波探触子2が受波する。超音波探触子2は上記超音波のエコーを受波すると、これを電気信号に変換して装置本体20内の送受波制御部22へ出力する。送受波制御部22は超音波探触子2からの電気信号の入力タイミングなどから、超音波を生体1内に放射して該超音波が上記境界面で反射してエコーとなって再び検出されるまでの時間を計測し、エコー検出時間として信号処理部21に出力する。同様に超音波探触子3から生体1の所定の皮膚表面から生体1内へ超音波のパルス信号を放射し、皮下脂肪組織4と筋肉組織などとの境界面で反射して戻ってくるエコー成分を超音波探触子3が受波する。超音波探触子3は上記超音波のエコーを受波すると、これを電気信号に変換して装置本体20内の送受波制御部23へ出力する。送受波制御部23は超音波探触子3からの電気信号の入力タイミングなどから、超音波を生体1内に放射して該超音波が上記境界面で反射してエコーとなって再び検出されるまでの時間を計測し、エコー検出時間として信号処理部21に出力する。ここまでの動作が図7におけるステップST6(エコー検出ステップ、エコー検出時間測定ステップ)に対応する。 【0082】次に信号処理部21は、送受波制御部22,23から入力されたエコー検出時間に基づいて皮下脂肪組織4の厚さを算出する(ステップST7、皮下脂肪厚算出ステップ)。この過程は、基本的には既知の値である皮下脂肪組織4内の超音波の伝播速度と上記エコー検出時間との積を2分の1(超音波が往復する時間を考慮して)して皮下脂肪組織4の厚さを求める(ステップST7、皮下脂肪厚算出ステップ)。なお、上記皮下脂肪組織4の厚さの測定精度を向上させるために、これまでに開示されている超音波のエコーを利用した皮下脂肪厚測定技術を、本願発明の皮下脂肪厚算出手段に適用してもかまわない。 【0083】さらに、信号処理部21は、図6に概念的に示すようにステップST1からステップST5までの脂肪厚測定により算出された脂肪組織の厚さと、上記ステップST6からステップST7までの皮下脂肪厚測定により算出された皮下脂肪組織4の厚さとから内臓脂肪組織の厚さを求める。具体的には脂肪組織を皮下脂肪組織と内臓脂肪組織とからなるものと仮定して、脂肪組織の厚さから皮下脂肪組織4の厚さを減算し、内臓脂肪組織の厚さを算出する(ステップST8、内臓脂肪厚算出ステップ)。 【0084】以上のように、この実施の形態3によれば、実施の形態2に示した構成に加えて、生体1内の皮下脂肪組織4とこれと隣接する生体組織との境界面で反射した超音波を検出し、超音波が生体1内に向けて放射されてから上記境界面で反射してエコーとして検出されるまでの所要時間を測定し、この所要時間に基づいて、皮下脂肪組織4の厚さを算出するようにしたので、実施の形態2と同様の効果が得られるとともに皮下脂肪組織4の厚さを測定することができる。 【0085】また、この実施の形態3によれば、生体1内の脂肪組織を皮下脂肪組織4と内臓脂肪組織とからなるものと仮定して、皮下脂肪組織4の厚さを算出して脂肪組織の厚さからこの皮下脂肪組織4の厚さを減算して内臓脂肪組織の厚さを算出するので、生体1内の超音波の透過距離における脂肪組織が占める厚さと、生体1内の超音波の透過距離における皮下脂肪組織4が占める厚さとから、生体1内の超音波の透過距離における内臓脂肪組織が占める厚さを簡易に推定することができる。また、生体1の深層の内臓脂肪組織をX線や同位体などの大型装置や特殊な分析機器を必要とせずに測定することができることから、装置の小型化や操作を簡単にすることができる。さらに、生体1内の脂肪組織を皮下脂肪組織4と内臓脂肪組織とからなるものと仮定することから、簡単な減算などによって内臓脂肪組織の厚さを求めることができるので、汎用のパーソナルコンピュータでも十分に処理することが可能であり、高性能な計算機資源を必要としない。従って装置を安価に構成することができる。 【0086】なお、上記実施の形態3では、生体組織を透過した超音波の計測と、この超音波の透過距離の測定と、皮下脂肪組織4の厚さ測定とを全て同じ超音波探触子2,3を用いて行ったが、それぞれを個別の超音波探触子を用いて行っても良い。また、超音波探触子として用いる超音波トランスジューサの性能を考慮して、上記3種類の測定のうち、2種類の測定を1つの超音波探触子が行い、他の測定を別の超音波探触子が行うようにしてもよい。例えば、生体1内における減衰の小さい比較的低周波数の超音波を発生する超音波トランスジューサは、生体組織を透過する超音波を扱う超音波探触子とし、生体1内における減衰の大きい比較的高周波数の超音波を発生する超音波トランスジューサは、音響インピーダンスの異なる生体組織間で反射した超音波を扱う超音波探触子とする。 【0087】また、皮下脂肪組織4の厚さを求めるのに上記実施の形態3のように超音波のエコーを使用する他に、キャリパや近赤外線法などを用いてもよい。 【0088】なお、この発明の超音波生体組織測定方法においては、測定の対象としての生体は人体を除くものとする。このため上記測定方法の適用対象としては、例えば豚や牛などの家畜がある。この場合、上記測定方法によって上記家畜の内部状態(脂肪率など)を知ることができるので、その測定結果は上記家畜の内部を所望の状態に育てるための有効な資料となりえる。また、本願発明は生体内の生体組織を測定するのにX線などの大型装置や特殊な分析機器を使用するものでなく、生体組織を透過した超音波に基づくものであることから、安価に実施することができ、上記のように家畜などに適用しても非常に有効な方法であるといえる。 【0089】 【発明の効果】以上のように、この発明によれば、生体表面の所定位置から生体内に向けて超音波を放射し、生体内の生体組織を透過して生体表面の他の位置から抜け出る超音波を検出し、生体表面の所定位置から生体表面の他の位置までの超音波が透過した透過距離を求め、この透過距離と、検出した生体内の生体組織を透過して生体表面の他の位置から抜け出る超音波とに基づいて、生体組織の透過による超音波の減衰を単位長さ当たりの値で表した減衰率を算出し、この減衰率の周波数特性を求め、この周波数特性から生体内の生体組織の厚さに対する指標を求めるので、生体組織を透過した超音波を検出することから、より生体の深層にある生体組織を含む厚さの指標を得ることができる効果がある。 【0090】また、X線や同位体などを使用しないことから、大型装置や特殊な分析機器を必要とせず、装置の小型化や操作を簡単することができる効果がある。さらに、厚さ指標は生体を透過した超音波信号の周波数や強度、その透過距離などの簡単なパラメータに基づいて解析することができることから、汎用のパーソナルコンピュータでも十分に処理することが可能であり、高性能な計算機資源を必要としない。従って装置を安価に構成することができる効果がある。 【0091】この発明によれば、生体組織を透過して生体表面の他の位置から抜け出る超音波をフーリエ変換して得られるスペクトルに基づいて減衰率の周波数特性を求めるので、減衰率を簡便に求められることができることから、最小二乗法などを使って容易にその周波数に対する減衰率の傾きを算出することができる効果がある。 【0092】この発明によれば、超音波の放射及び/若しくは検出を、生体表面の複数位置にて行い、生体内の生体組織を透過した各超音波の減衰率の周波数特性を求めるので、生体の複数位置から生体組織の厚さ指標を得ることができる効果がある。これにより、例えば、骨や肺などの音響インピーダンスや減衰率の大きい生体組織による影響を取り除くこともできる。さらに、生体の簡易的な脂肪分布や平均化した広い面積での脂肪の厚さ指標を得ることもできる効果がある。 【0093】この発明によれば、生体表面の所定位置から生体内に向けて周波数の異なる複数の超音波を放射し、生体内の生体組織を透過した複数の超音波の各周波数帯域における減衰率の周波数特性を求めるので、減衰率の周波数特性を様々な周波数帯域から求めることができる。従って、これにより得られた減衰率の周波数特性を統計的手法で処理することで測定精度を向上させることができる効果がある。 【0094】この発明によれば、生体表面の所定位置から生体内に向けて複数の異なる周波数成分が混合した超音波を放射し、生体内の生体組織を透過した複数の異なる周波数成分が混合した超音波の周波数帯域における減衰率の周波数特性を求めるので、減衰率の周波数特性を広い周波数帯域から求めることができる。従って、これにより得られた減衰率の周波数特性を統計的手法で処理することで測定精度を向上させることができる効果がある。 【0095】この発明によれば、生体組織の厚さに対する指標として超音波の減衰率の周波数に対する変化分を求めるので、生体組織界面における反射による超音波の減衰の影響を取り除くことができることから、超音波の生体組織による吸収のみを考慮した生体組織の厚さに対する指標を簡便に求めることができるという効果がある。 【0096】この発明によれば、生体組織の厚さに対する指標として生体組織の厚さ、若しくは厚さの比率を求めるので、音響インピーダンスの異なる複数の生体組織の厚さやその構成比などに対して、よりわかりやすい指標を提供することができる効果がある。 【0097】この発明によれば、生体表面の所定位置から生体内に向けて透過距離の算出に使用する距離測定用超音波を放射し、生体内の生体組織を透過して生体表面の他の位置から抜け出る距離測定用超音波を検出し、この距離測定用超音波が生体表面の所定位置から生体表面の他の位置に至るまでの到達時間に基づいて透過距離を算出するので、透過距離を簡便に求めることができることからとともに、測定毎に透過距離を求めることができるので測定中の経時的な誤差を取り除くことができる効果がある。 【0098】この発明によれば、生体組織の厚さの算出に使用する超音波が生体表面の所定位置から生体表面の他の位置に至るまでの到達時間に基づいて透過距離を算出するので、透過距離を簡便に求めることができることからとともに、測定毎に透過距離を求めることができるので測定中の経時的な誤差を取り除くことができる効果がある。また、到達時間を測定するため別個に装置を用意する必要がないので簡単な構成でコスト的にも有利な装置を得ることができる効果がある。 【0099】この発明によれば、生体組織を互いに音響インピーダンスが異なる脂肪組織と該脂肪組織を除いた除脂肪組織とからなるものと仮定して、透過距離と、検出された生体内の生体組織を透過して生体表面の他の位置から抜け出る超音波とに基づいて、脂肪組織及び除脂肪組織の透過による超音波の減衰を単位長さ当たりの値で表した減衰率を算出し、減衰率の超音波の周波数特性を求め、この周波数特性から脂肪組織の厚さに対する指標若しくは脂肪組織の厚さを求めるので、生体組織を透過した超音波を検出することから、超音波の透過部位における脂肪組織の厚さを測定することができる効果がある。 【0100】また、脂肪組織の厚さを測定するために、X線や同位体などを使用しないことから、大型装置や特殊な分析機器を必要とせず、装置の小型化や操作を簡単することができる効果がある。さらに、厚さ指標は生体を透過した超音波信号の周波数や強度、その透過距離などの簡単なパラメータに基づいて解析することができることから、汎用のパーソナルコンピュータでも十分に処理することが可能であり、高性能な計算機資源を必要としない。従って装置を安価に構成することができる効果がある。 【0101】この発明によれば、生体内の皮下脂肪組織の厚さを算出し、脂肪組織を皮下脂肪組織と内臓脂肪組織とからなるものと仮定し、脂肪組織の厚さから皮下脂肪組織の厚さを減算して内臓脂肪組織の厚さを算出するので、生体内の超音波の透過距離における脂肪組織が占める厚さと、生体内の超音波の透過距離における皮下脂肪組織が占める厚さとから、生体内の超音波の透過距離における内臓脂肪組織が占める厚さを簡易に推定することができる効果がある。 【0102】また、生体内の脂肪組織を皮下脂肪組織と内臓脂肪組織とからなるものと仮定することから、簡単な減算などによって内臓脂肪組織の厚さを求めることができるので、汎用のパーソナルコンピュータでも十分に処理することが可能であり、高性能な計算機資源を必要としない。従って装置を安価に構成することができる効果がある。 【0103】この発明によれば、生体内の皮下脂肪組織とこれと隣接する生体組織との境界面で反射した超音波を検出し、超音波が生体内に向けて放射されてからエコーが検出されるまでの所要時間を測定し、この所要時間に基づいて、皮下脂肪組織の厚さを算出するので、段落0099及び段落0100と同様の効果が得られるとともに皮下脂肪組織の厚さを測定することができる効果がある。 【0104】この発明によれば、超音波パルスを送受するので、超音波の出入力タイミングを容易に規定することができることから超音波の透過時間を正確に測定することができる効果がある。また、1パルスの超音波信号の送受で生体組織の厚さ指標を求めることができるので、超音波の連続波を安定した強度で発生させるには大がかりな装置を必要とせず、装置を小型化することができる効果がある。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006013 【氏名又は名称】三菱電機株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年11月2日(1999.11.2) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100066474 【弁理士】 【氏名又は名称】田澤 博昭 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−128973(P2001−128973A) |
| 【公開日】 |
平成13年5月15日(2001.5.15) |
| 【出願番号】 |
特願平11−312982 |
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