| 【発明の名称】 |
磁気共鳴映像装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】岡本 和也
【氏名】佐藤 幸三
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| 【要約】 |
【課題】複数個のサーフェイスコイルを介して被検体からの磁気共鳴信号を検出して画像化を行う場合に各サーフェイスコイル間のデカップリングを効果的に行うことができる磁気共鳴映像装置を提供する。
【解決手段】複数個のサーフェイスコイル10a,10bを介して磁気共鳴信号を検出するのと同じ時間内に、一様コイルを介して磁気共鳴信号を検出し、これらマルチサーフェイスコイルおよび一様コイルを介して得られた磁気共鳴信号に対してフーリエ変換を含む画像化処理を施して画像生成を行う磁気共鳴映像装置において、隣接したサーフェイスコイル10a,10b間の相互結合を防止するために、8の字形コイル43をコイル10a,10bに重ねて配置する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】被検体に静磁場を印加する手段と、被検体の所望領域に配置された複数個のサーフェイスコイルを含み、これらのサーフェイスコイルを介して被検体からの磁気共鳴信号を検出する信号検出手段と、前記複数個のサーフェイスコイルのうち少なくとも隣接したコイル間の相互結合を防止する結合防止手段とを具備し、前記結合防止手段は、8の字形コイルまたはループ状コイルが前記隣接したコイルに重ねて配置されていることを特徴とする磁気共鳴映像装置。 【請求項2】被検体に静磁場を印加すると共に、勾配磁場パルスを印加する手段と、被検体の画像化すべき所望領域において前記静磁場に垂直な面内で高周波磁場を発生するための、インダクタンス素子およびキャパシタンス素子からなる一様コイルと、前記被検体に近接して前記一様コイルの前記インダクタンス素子およびキャパシタンス素子で囲まれた空間内に配置された複数個のサーフェイスコイルと、前記一様コイルおよび複数個のサーフェイスコイルをそれぞれ介して被検体からの磁気共鳴信号を検出する信号検出手段と、前記一様コイルと前記サーフェイスコイルとの相互結合を防止する第1の結合防止手段と、前記複数個のサーフェイスコイルのうち少なくとも隣接したコイル間の相互結合を防止する第2の結合防止手段とを具備し、前記第2の結合防止手段は、8の字形コイルまたはループ状コイルが前記隣接したコイルに重ねて配置されていることを特徴とする磁気共鳴映像装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は磁気共鳴映像装置に係り、特に一様コイルとサーフェイスコイルを用いて高S/N画像を取得する磁気共鳴映像装置に関する。 【0002】 【従来の技術】磁気共鳴映像装置は、 1Hの画像化に関しては撮像時間が数分かかるとしても、ほぼ完成されていると考えられる。臨床的にも静止または遅い動きを伴う部位の撮像においては、実用上ほとんど問題ない程度に良質の画像を提供している。 【0003】しかし、近年、動きの早い部位(心臓など)の撮像を可能とする高速イメージング(映像化時間〜50ms程度)や、 1H以外の31P,19F,13C,23N等の核種のイメージングへの要求が大きくなっている。これらの場合、技術的にはS/Nの向上が大きな課題となる。例えば、高速イメージングにおいては撮像時間が短くなることによるS/Nの劣化があり、31Pに関しては体内存在量が 1Hの10-4程度と極めて微量であることによるS/N不足が挙げられる。 【0004】S/Nを良くするために、従来より磁気共鳴信号の受信にサーフェイスコイルを用いることが行われている。サーフェイスコイルは被検体の関心部位に密着させて設置され、密着部位周辺の信号を高S/Nで検出できるものであるが、密着部位周辺の画像しか得られないという欠点があり、被検体の所定断面を全域にわたって高S/Nで画像化することができない。 【0005】一方、被検体の所望領域において静磁場に垂直な面内で略均一な高周波磁場を発生する、いわゆる一様コイル(例えば鞍型コイル、Slotted tube resonator、鳥かご型コイル等)を磁気共鳴信号の受信に用いると、被検体の所望断面全体の画像が得られる。この一様コイルをクォードラチャ受信方式で使用すれば、画像全体でS/Nを21/2 倍向上させることができる。しかし、一様コイルを用いて得られる磁気共鳴信号のS/Nは、サーフェイスコイルを用いた場合の密着部位周辺ほどの高いS/Nを得ることはできない。 【0006】以上のような問題を解決するため、例えば米国特許4,825,162号明細書には、被検体の画像化すべき所望の領域に複数個のサーフェイスコイルを配置し、これら複数個のサーフェイスコイルを介して被検体からの磁気共鳴信号をそれぞれ検出し、検出された磁気共鳴信号について各々画像化処理を行なって複数系列の画像データを生成した後、同じ空間位置に対応する画素データ(単一複素信号または一次元複素信号=スペクトル信号)どうしを、各々のサーフェイスコイルが発生する高周波磁場の分布に基づいて予め決められた重み関数を乗じて加算することによって各画素のデータを作り、所望領域の一つの画像を合成することにより、高S/N画像を得る技術が開示されている。 【0007】このような方法では、一枚の画像を得るのに要する時間内に、複数個のサーフェイスコイルによって磁気共鳴信号を同時に観測するため、サーフェイスコイルが定常的に互いに干渉しないように、すなわち一つのサーフェイスコイルに所定の周波数の高周波電流を流しても、他のサーフェイスコイルには高周波電流が流れないように、コイルの相互結合を防止することが必要となる。 【0008】また、被検体の関心領域を覆うように複数個のサーフェイスコイルを配置した場合、得られる磁気共鳴信号のS/Nは、コイル近傍では一様コイルをクォードラチャ受信方式で使用した場合に比較して良くなるが、被検体の中心、すなわちどのサーフェイスコイルからも最も遠い点におけるS/Nは、一様コイルをクォドラチャ受信方式で用いた場合と同等あるいはそれを上回るという理論的確証はまだ得られていない。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】上述したように、複数個のサーフェイスコイルを用いて同時に磁気共鳴信号を収集し、得られた画像データを重み付け加算することにより高S/N画像を得る従来の技術においては、各サーフェイスコイル間のデカップリングをいかに簡単かつ確実に行うかが課題となる。 【0010】また、サーフェイスコイルを用いれば被検体の密着部位周辺では高S/Nで画像化ができるが、密着部位から離れるに従って急激にS/Nが低下する。 【0011】一方、クォードラチャ受信方式を用いた一様コイルを用いると、所望断面全体の画像が得られるが、サーフェイスコイルを用いた場合の密着部位周辺のS/Nには及ばない。 【0012】本発明の目的は、複数個のサーフェイスコイルを介して被検体からの磁気共鳴信号を検出して画像化を行う場合に各サーフェイスコイル間のデカップリングを効果的に行うことができる磁気共鳴映像装置を提供することにある。 【0013】本発明の他の目的は、このようなサーフェイスコイル間のデカップリング技術を利用して、被検体の表面近傍ではサーフェイスコイルを用いた場合と同等の高いS/Nが得られ、また被検体の深部でも少なくとも一様コイルにクォードラチャ受信方式を適用した場合に実現されるのと同等のS/Nを達成できる磁気共鳴映像装置を提供することにある。 【0014】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明に係る磁気共鳴映像装置は、被検体に静磁場を印加する手段と、被検体の所望領域に配置された複数個のサーフェイスコイルを含み、これらのサーフェイスコイルを介して被検体からの磁気共鳴信号を検出する信号検出手段と、前記複数個のサーフェイスコイルのうち少なくとも隣接したコイル間の相互結合を防止する結合防止手段とを具備し、前記結合防止手段は、8の字形コイルまたはループ状コイルが前記隣接したコイルに重ねて配置されていることを特徴とする。 【0015】本発明に係る他の磁気共鳴映像装置は、被検体に静磁場を印加すると共に、勾配磁場パルスを印加する手段と、被検体の画像化すべき所望領域において前記静磁場に垂直な面内で高周波磁場を発生するための、インダクタンス素子およびキャパシタンス素子からなる一様コイルと、前記被検体に近接して前記一様コイルの前記インダクタンス素子およびキャパシタンス素子で囲まれた空間内に配置された複数個のサーフェイスコイルと、前記一様コイルおよび複数個のサーフェイスコイルをそれぞれ介して被検体からの磁気共鳴信号を検出する信号検出手段と、前記一様コイルと前記サーフェイスコイルとの相互結合を防止する第1の結合防止手段と、前記複数個のサーフェイスコイルのうち少なくとも隣接したコイル間の相互結合を防止する第2の結合防止手段とを具備し、前記第2の結合防止手段は、8の字形コイルまたはループ状コイルが前記隣接したコイルに重ねて配置されていることを特徴とする。 【0016】このように本発明では、8の字形コイルまたはループ状コイルを複数個のサーフェイスコイルの隣接したコイルに重ねて配置することにより、複数個のサーフェイスコイルの隣接コイル間の相互結合を簡単かつ確実に防止できる。 【0017】また、一様コイルを構成するインダクタンス素子およびキャパシタンス素子で囲まれた空間内に複数個のサーフェイスコイルを、一様コイルとの相互結合を防止し、かつ隣接するコイル間の結合を上述のように防止した状態で配置し、これら両コイルを用いて磁気共鳴信号を検出することによって、被検体の表面近傍ではサーフェイスコイルを使用したときと同等の高S/Nが達成され、また被検体の深部でも少なくともクォードラチャ受信方式を適用した一様コイルで実現されるのと同等のS/Nが得られる。 【0018】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。図1は、本発明の一実施例に係る磁気共鳴映像装置の構成を示すブロック図である。 【0019】図1において、静磁場磁石1は励磁用電源2により励磁され、被検体5に一様な静磁場を印加する。勾配磁場コイル3はシステムコントローラ16によって制御される駆動回路(駆動アンプ)4によって駆動され、寝台6上の被検体5(例えば人体)に対して、注目する所望の断層面内の直交するX,Y方向及びこれらに垂直なZ方向に磁場強度が直線的に変化する勾配磁場Gx,Gy,Gzを印加する。被検体5にはさらにシステムコントローラ16による制御下で、送信部7からの高周波信号がデュプレクサ8を介して送受信兼用コイルである一様コイル9に印加されることによって発生される高周波磁場が印加される。 【0020】一様コイル9の内側に、被検体5に近接して信号検出用コイルであるマルチサーフェイスコイル10が配置されている。そして、一様コイル9とマルチサーフェイスコイル10で、被検体5からの磁気共鳴信号が受信される。一様コイル9で受信された磁気共鳴信号はデュプレクサ8を介して受信部11に導かれ、マルチサーフェイスコイル10で受信された磁気共鳴信号は直接、受信部11に導かれる。デュプレクサ8は、一様コイル9を送信と受信とに切り替えて使用するためのものであり、送信時には送信部7からの高周波信号を一様コイル9に伝達し、受信時には一様コイル9からの受信信号を受信部11に導く働きをする。 【0021】受信部11に入力された磁気共鳴信号は増幅および検波された後、システムコントローラ16による制御下で、データ収集部12に送られる。データ収集部12では、受信部11を介して入力された磁気共鳴信号をシステムコントローラ16の制御下で収集し、それをA/D変換した後、電子計算機13に画像再構成用データとして送る。 【0022】電子計算機13はコンソール14により制御され、データ収集部12から入力された画像再構成用データについて2次元フーリエ変換を含む画像再構成処理を行う。この画像再構成によって、マルチサーフェイスコイル10のコイル数に等しいチャネル数の画像データを得た後、これらの画像データを重み付け加算して一枚の画像に対応した画像データを合成する。また、電子計算機13はシステムコントローラ16の制御をも行う。電子計算機13により得られた画像データは画像ディスプレイ15に供給され、画像が表示される。 【0023】図2は、一様コイル9およびマルチサーフェイスコイル10の構成・配置を示す概略断面図である。一様コイル9は被検体5の画像化すべき領域全体に対して高周波磁場を印加し、さらに被検体5からの磁気共鳴信号を受信検出するためのもので、被検体5を覆うように配置されている。一様コイル9は被検体5の画像化すべき領域に均一な高周波磁場を印加することができるコイルであり、具体的には例えば鞍型コイルや分布定数型コイル、あるいはこれらのコイルを用いて構成されるクォードラチャ送受信コイルが使用される。マルチサーフェイスコイル10は一様コイル9の内側に設けられ、被検体5の画像化すべき所望の領域を取囲むように被検体5に近接して配置された複数個(この例では6個)のサーフェイスコイル10a〜10fからなる。 【0024】図3に図1における受信部11の詳細を示す。一様コイル9に対応してプリアンプ21、検波回路(DET)22およびローパスフィルタ(LPF)からなる第1の信号検出手段が設けられ、また各サーフェイスコイル10a〜10fに対応して、プリアンプ31a〜31f、検波回路32a〜32fおよびローパスフィルタ33a〜33fからなる第2の信号検出手段がそれぞれ設けられている。すなわち、一様コイル9およびサーフェイスコイル10a〜10fでそれぞれ受信された磁気共鳴信号は、プリアンプ21および31a〜31fで増幅され、さらに検波回路22および32a〜32fにより検波された後、ローパスフィルタ23および33a〜33fで不要成分が除去されてから、データ収集部12に入力される。 【0025】データ収集部12では、受信部11から入力された磁気共鳴信号の検波出力をサンプルホールドしてA/D変換器によりディジタル化することによって、画像再構成用データの収集を行う。このディジタル化された画像再構成用データが図1の電子計算機13に取込まれる。データ収集部12におけるデータ収集方式としては、取得すべき画像の帯域で決まるサンプリング時間(Δtとする)毎に受信部11内の全てのローパスフィルタ出力をサンプルホールドし、Δtの間に各サンプルホールド出力を走査してディジタル化する方式と、Δtの間に各ローパスフィルタ出力を順次サンプルホールドしてディジタル化する方式とがあり、これらのいずれを用いてもよい。 【0026】一様コイル9とサーフェイスコイル10a〜10fとは近接して配置される関係上、両コイル間のデカップリングが必要となる。このデカップリングのため、例えばサーフェイスコイルとして図4に示す微分型コイル40が用いられる。これは図5にその原理を示すように、2つの同形のリング状コイル41,42を同軸かつ平行に配置し、互いに空間的に逆向きの電流が流れるように結線したものであり、従来よりスクイッド磁束計で微分型コイルとして用いられているものと同様である。この微分型コイル40と、その両端に接続されたキャパシタンス素子43〜45からなる同調・整合回路とにより一つのサーフェイスコイルが構成される。同調・整合回路は受信部11内のプリアンプに接続される。 【0027】このように構成された微分型コイルからなるサーフェイスコイルでは、一様コイル9より発生される空間的に均一の高周波磁場B1 が鎖交したとき、両コイル41,42に等しい誘導起電力が生じようとするが、コイル41,42が上記のように結線されているため、両コイル41,42に誘導される起電力が打ち消し合って、高周波電流は流れない。従って、このサーフェイスコイルは外側に配置される一様コイル9に対して常時デカップリングされていることになる。但し、この場合には一様コイル9の性質として微分型コイルからなるサーフェイスコイルが配置された領域において空間的に十分均一な高周波磁場を発生する必要がある。 【0028】微分型コイルをサーフェイスコイルとして用いた場合のS/Nについては、文献:Magn.Reson.Med.3,590-603(1986)で検討されている。すなわち、この微分型コイルからなるサーフェイスコイルのS/Nは被検体からのノイズ成分が支配的であれば、1ターンコイルからなる通常のサーフェイスコイルの場合のS/Nと同等であるが、コイル自身の高周波ロスが無視できない状況では、通常のサーフェイスコイルのS/Nに対して劣るため、実際のコイルの製作・配置には、サーフェイスコイルと被検体との距離や、2つのコイル41,42の間隔を十分に検討する必要がある。 【0029】次に、サーフェイスコイル10a〜10fとして微分型コイルを用いた場合の隣接するサーフェイスコイル間のデカップリング法について、図6〜図9を用いて説明する。図6および図7は、隣接する微分型コイルからなるサーフェイスコイル(図では10a,10b)が平面的に配置された場合のデカップリング法を示し、図8および図9はサーフェイスコイル10a,10bが円周上に配置された場合のデカップリング法を示している。 【0030】図6の場合は、2つの微分型サーフェイスコイル10a,10bをコイルの囲む面積で決まる面積Sだけ面内で重ねることにより、デカップリングを行っている。1ターンのコイルについての同様なデカップリング法は、例えば米国特許第4,825,162号明細書に記載されている。図7ではコイル10a,10bを軸方向(コイルで囲まれた面に垂直の方向)にずらせることにより、デカップリングを行っている。図8は、図6の方法を変形したものである。すなわち、微分コイル型サーフェイスコイル10a,10bを湾曲させた上で円周上に配置した場合、外周側のコイル41の重なり部分の面積S′と、内周側のコイル42の重なり部分の面積S″とが異なってしまうが、S″>S>S′の条件を満たす特定の位置にコイル10a,10bを配置することにより、デカップリングが可能となる。図9は図7を変形したもので、コイル41とコイル42が角度θで配置されている場合である。この場合は、図のx,y方向に一方の微分型サーフェイスコイル10bを調整することにより、デカップリングを実現できる。 【0031】これらのデカップリング法は、全て一方の微分型コイルに電流が流れた時に発生する磁場のうち、他方の微分型コイルに鎖交する磁場の総和が0になっている状態である。このように、種々の配置においてデカップリングが可能であることが、微分型コイルを用いたサーフェイスコイルのもう一つの特徴である。 【0032】次に、隣接していないサーフェイスコイル間のデカップリング法について説明する。隣接していないサーフェイスコイル間のカップリングは、隣接したサーフェイスコイル間のカップリングに比べて少ない。そこで、隣接していないサーフェイスコイル間には精密なデカップリング法を用いず、見掛けのQを低くすることによりカップリングの影響を抑えられることに着目して、デカップリングを行えば十分である。具体的には、微分型サーフェイスコイルの各々にQダンプ回路を付加すればよい。 【0033】図10はQダンプ回路の具体例であり、コイル50はインダクタンスLとキャパシタンス素子ンスCで特定の周波数fo に共振しているとする。並列抵抗Rpは共振状態におけるコイル50のインピーダンスを示し、Q値を用いてRp =2πfo LQと表わされる。 【0034】このコイル50の両端にゲインK倍のアンプ51の反転入力端子および非反転入力端子を接続し、さらにアンプ51の出力端子と反転入力端子との間に帰還抵抗52(抵抗値Rf とする)を接続して、アンプ51の出力端子と非反転入力端子を外部接続端子とする。アンプ51は実際には、図3におけるプリアンプ31a〜31fが用いられる。 【0035】図10のコイル50とアンプ51および帰還抵抗52からなるQダンプ回路は図1に示す等価回路で表わされる。図11の抵抗Rd は、Rd =Rf /(K+1) で与えられる。 【0036】従って、アンプ51のゲインKを十分に大きくすれば、Rp >>Rd となり、両端のインピーダンスが低くなることによって、見掛けのQが低下することになる。 【0037】実際の微分型サーフェイスコイルの配置状態によっては、隣接していないサーフェイスコイル間のカップリングが十分小さいこともあり、その場合にはこの様なQダンプ回路は不要である。 【0038】一様コイル9と各々のサーフェイスコイル10a〜10fとの間、または隣接するサーフェイスコイル間のデカップリングがコイル形状や配置によって十分にできない場合には、サーフェイスコイル10a〜10fの方にQダンプ回路を用いた方がよい。 【0039】次に、本実施例における高S/N画像化の手順を具体的に説明する。一例として二次元画像を得る場合の画像化シーケンスを図12に示す。この画像化シーケンスは、高周波磁場(高周波パルス)として90°パルス−180°パルスを用いた公知のスピンエコー法により二次元画像を得るためのパルスシーケンスであり、Gsはスライス方向の勾配磁場、Grはリード方向の勾配磁場、Geはエンコード方向の勾配磁場の印加タイミングをそれぞれ示す。 【0040】図12のようにエンコード用勾配磁場Geの振幅を変えながら磁気共鳴信号を収集する。高周波パルスの印加は一様コイル9を用いて行い、磁気共鳴信号の受信は一様コイル9および全てのサーフェイスコイル10a〜10f(マルチサーフェイスコイル10)を用いて行う。各コイル9,10a〜10fを介して受信部11で検出された磁気共鳴信号は、データ収集部12を介して画像再構成用データとして電子計算機13に取り込まれ、電子計算機13内で2次元フーリエ変換されることにより、画像再構成がなされる。この画像再構成によって、一様コイル9を介して得られた1チャネルの画像データと各サーフェイスコイル10a〜10fを介して得られた複数チャネル(この例では6チャネル)の画像データが得られる。そして、サーフェイスコイル10a〜10を介して得られた6チャネルの画像データ、さらには一様コイル9を介して得られた1チャネルを加えた合計7チャネルの画像データが、S/Nが最大となるように所定の重み関数により重み付け加算されることによって、一枚の画像の画像データが合成される。 【0041】一般に、コイルで検出されるノイズは、ほとんど被検体5からの誘導的ノイズであると考えると、上記の重み関数は[数1]〜[数3]で与えられる。 【0042】 【数1】
【0043】 【数2】
【0044】 【数3】
【0045】但し、Rは画像上の位置(画素位置)を示す位置ベクトル、rは被検体のある空間の位置を示すベクトル、ki (R)はi番目のサーフェイスコイルで得られた画像データに対する重み関数、hi (R)はi番目のサーフェイスコイルが発生する高周波磁場分布、λ(R)はサーフェイスコイルの高周波磁場分布に起因する、重み付け加算後の画像データの感度むらを補正する補正関数、Ei (r)はi番目のサーフェイスコイルに単位高周波電流を流した時に発生する電場である。なお、Hijの積分は被検体の全体について行われる。 【0046】コイルのノイズとしては、コイル自身に起因する高周波抵抗のノイズ、被検体に起因する誘電的または誘導的ノイズがあるが、コイルを被検体に装着した状態では、被検体からのノイズが大部分を占めると考えられる。コイル自身に起因するノイズが無視できない場合には、この影響を行列[Hij]の対角要素を変更することにより考慮すればよい。但し、実際上は[Hij]の対角要素は非対角要素に比べ小さくなるため、簡単のために[Hij]の非対角要素を0と置いた重み関数を用いてもよい。 【0047】重み関数k(R)を決定するには、各サーフェイスコイル10a〜10fの高周波磁場分布h(R)を求める必要がある。以下、これについて説明する。h(r)には近似的にh(R)を代用することができる。まず、一様コイル9およびサーフェイスコイル10a〜10fを介してそれぞれ得られた画像データの位相補正を行う。ここで、一様コイル9を用いて図13に示すような画像が得られたとする。図13で太線は一様コイル9の位置、破線はサーフェイスコイル10aの位置をそれぞれ示す。 【0048】図13の一点鎖線A上における画像のヒストグラムを図14(a)に示し、またサーフェイスコイル10aによって得られた画像の同じ位置に相当するヒストグラムを図14(b)に示す。図14(a)(b)において、横軸は位置を表わし、縦軸はそれぞれの画像における信号強度ST ,SS を表わす。図14(b)によれば、サーフェイスコイル10aによって得られた画像は、サーフェイスコイル10aの位置から離れるに従って感度が落ちていることが分かる。なお、画像のS/Nが悪い場合には、移動平均などの平滑化処理を適宜行うことが望ましい。 【0049】次に、被検体5の各部位の信号強度比ha(=SS /ST )を求める。図14(a)(b)に示した一点鎖線A上における画像のヒストグラムから、この信号強度比haを計算した結果を図14(c)に示す。元々信号源のない点や、緩和時間などの影響で信号が出てこなかった点は、画像データが抜けてしまうので、補間等の処理を行う。サーフェイスコイルが発生する高周波磁場分布は直交関数で展開できるので、得られている画像データを使って最小二乗法等により直交関数系の各項の係数を決定するという方法を用いてもよい。これらの方法により、サーフェイスコイル10aの画像化領域全体にわたる、図14(d)にヒストグラムを示すような高周波磁場分布ha(R)を求めることができる。 【0050】なお、高周波磁場分布ha(R)として、単純に図14(c)のヒストグラムのように被検体5の部位の信号強度比ha(=SS /ST )をとったものを用いても構わない。 【0051】一方、一様コイル9を介して得られた画像において、被検体5等の影響で一様コイル9の高周波磁場分布が不均一になる場合には、前もって一様コイル9の高周波磁場分布を求めておくことが必要である。 【0052】以上の説明では、各サーフェイスコイルから得られた磁気共鳴信号の生データを画像再構成用データとし、これをフーリエ変換した画像データを重み付け加算することにより、所望領域の高S/Nの画像を得るようにしたが、次のような方法を用いることもできる。すなわち、フーリエ変換前の各サーフェイスコイルからの磁気共鳴信号の生データと、これらにそれぞれ対応する重み関数の逆フーリエ変換結果との畳み込み積分を行い、得られた複数チャネルの畳み込み積分結果を加算合成した後、フーリエ変換することによっても、同様に所望領域の高S/N画像を得ることができる。 【0053】例えば2次元画像の場合についてi番目のサーフェイスコイルによって得られる磁気共鳴信号の生データをIfi(Kx,Ky)、フーリエ変換後の画像データをIi(X,Y)、i番目の画像の重み関数をki(X,Y)、この重み関数ki(X,Y)の逆フーリエ変換をkfi(Kx,Ky)とし、最終的に得られる高S/N画像をI(X,Y)とすると、[数4]に示すような関係が成り立つ。 【0054】 【数4】
【0055】この[数4]に示されるように、磁気共鳴信号の生データIfi(Kx,Ky)と、重み関数ki(X,Y)の逆フーリエ変換kfi(Kx,Ky)との畳み込み積分結果を各サーフェイスコイルについて加算したものが、最終的に得られる画像I(X,Y)の逆フーリエ変換に相当することが分かる。従って、これをフーリエ変換すれば、画像I(X,Y)が求まることになる。 【0056】以上の実施例では、サーフェイスコイルとして微分型コイルを用い、かつその配置を工夫することにより、各サーフェイスコイル10a〜10f間のデカップリングを行ったが、デカップリング法は他に種々考えられる。例えば、図15〜図17に示すようなデカップリング回路を用いてもよい。図15(a)は2種類の値のリアクタンス素子Z1 ,Z2 によるブリッジ回路からなるデカップリング回路であり、その等価回路を図15(b)に示す。端子a,b及び端子c,dは、それぞれデカップリングすべき2つのサーフェイスコイル10a,10bの両端に接続される。リアクタンス素子Z1 ,Z2 として、図16に示すようにキャパシタンス素子C1 ,C2 を用いるか、または図17に示すようにインダクタンス素子L1 ,L2 を用い、それらの値を調整することにより、カップリングの効果を打ち消すことができる。 【0057】図18は、このようなブリッジ回路によるデカップリング回路を1ターンコイルからなるサーフェイスコイル10a,10b間のデカップリングに適用した例を示し、図19は図4に示したような微分型コイルを用いたサーフェイスコイル10a,10b間のデカップリングに適用した例を示している。 【0058】また、図20〜図22には8の字型またはループ状コイルからなるデカップリングコイル43〜45を用いた例を示す。図20は1ターンコイルからなるサーフェイスコイル10a,10bにデカップリングコイル43がカップリングしている。これによりコイル10a,10bの一方に鎖交する磁束が0になるようにでき、デカップリングが可能となる。図21および図22は微分型コイルからなるサーフェイスコイル10a,10bにデカップリングコイル44,45をカップリングさせており、同様にしてデカップリングがなされる。 【0059】ここに示したデカップリングコイル43,44はバタフライ型コイルであり、それ自身が一様コイル9とはデカップリング状態を実現できる。但し、図22の例では一様コイル9の発生する高周波磁場の向きによってはデカップリングコイル45が一様コイル9とカップリングするため、適用に当たっては配置を考慮するか、被検体から離すことが望まれる。 【0060】先の実施例では、一様コイル9とサーフェイスコイル10a〜10f間のデカップリングを行うために、微分型コイルをサーフェイスコイルとして用いたが、通常のコイルを用いた場合、一様コイル9とのデカップリングに図15〜図17に示したようなデカップリング回路を用いても構わない。 【0061】次に、一様コイルおよびサーフェイスコイルからなる高周波コイル部の他の実施例を説明する。図23は一様コイルとして鳥かご型コイル61、サーフェイスコイルとして微分型コイル64をそれぞれ用いた例を示している。ここで示した鳥かご型コイル61はハイパス型と呼ばれるもので、軸方向に平行で円周方向に所定間隔で配列されたインダクタンス素子63と、隣接するインダクタンス素子ンス素子63間を接続するキャパシタンス素子62とから構成されている。すなわち、インダクタンス素子63とキャプスタン素子62が梯子状に配設されることにより、鳥かご型コイル61が構成される。 【0062】一方、微分型コイル64は鳥かご型コイル61を構成するインダクタンス素子63とキャパシタンス素子62とで囲まれた空間内に、鳥かご型コイル61の半径方向に並べて配置された2つの導体ループからなり、これら上下の導体ループを互いに逆向きに電流が流れるようにキャパシタンス素子65で接続して構成される。このようにすると、二つの導体ループに鎖交する各々の磁束が等しければその磁束変化に対して誘導起電力を生じない。従って、鳥かご型コイル61と微分型コイル64とのデカップリングが可能である。 【0063】微分型コイル64の相互間についても、デカップリングを考慮することが望まれる。微分型コイル64については、図24および図25に示されるように隣接するコイル間に導電性板66を配置することによって、カップリングする磁束を遮断することができる。この導電性板66は導電性板66を挟んで両側のコイルが対称となるような位置に配置されることが望ましく、また面積が大きいほどデカップリング効果は大きい。 【0064】次に、図24および図25で説明したデカップリング法を実際に適用した例を図26〜図28に示す。図26ではハイパス型の鳥かご型コイル61における軸方向に平行なインダクタンス素子(図23のインダクタンス素子63に相当する)を導電性板67で構成することにより、導電性板67に微分型コイル64間のデカップリングの役割を兼ねさせている。 【0065】図27および図28は、いずれもローパス型の鳥かご型コイル71を用いた場合の例である。図27では、軸方向に平行なインダクタンス素子を導電性板72で構成すると共に、これらの導電性板72の途中に電極板73と誘電体板74とで構成されるキャパシタンス素子をそれぞれ挿入している。この場合、誘電体板74の厚みに相当する僅かな部分からでも磁束が漏れないように、電極板73の端部を誘電体板74の一部を覆うように折り曲げておくことが望ましい。図28は、軸に平行なインダクタンス素子をそれぞれ2枚の導電性板75,76で構成し、各先端部が誘電体板74を挟んで対向するようにしたものである。 【0066】図29は、図16で説明したデカップリング回路を図23における隣り合う微分型コイル64間のデカップリングに適用した例を示している。 【0067】なお、上述の方法で隣り合う微分型コイル間のデカップリングが不十分な場合(例えば図26における導電性板66の幅をあまり大きくとれない場合)や、隣り合っていない微分型コイル間のカップリングがある場合、それらを抑えるために図10に示したようなQダンプ回路を併用して、見掛けのQを低くすることが望ましい。 【0068】図30〜図33に、鳥かご型コイルと微分型コイルとからなる高周波コイル部の他の構成例を示す。図30は、ハイパス型の鳥かご型コイル61において軸方向に平行なインダクタンス素子を導電性板67で構成するとともに、隣接する導電性板67の中央部間を円周方向に沿った導電性板68により接続して、鳥かご型コイル61のインダクタンス素子(導電性板67)とキャパシタンス素子62とで囲まれた各空間を軸方向に二つの空間に分割し、これらの各分割空間に微分型コイル64をそれぞれ配置したものである。この場合、導電性板67,68によって隣接する微分型コイル64間のデカップリングが行われることになる。 【0069】図31は、ローパス型の鳥かご型コイル71について図30と同様の構成を適用した例であり、軸方向に中央に配置されたキャパシタンス素子78の中心に円環状導体板77を通すことによって、鳥かご型コイル71のインダクタンス素子(導電性板72)とキャパシタンス素子78とで囲まれた各空間を軸方向に二つの空間に分割し、各分割空間に微分型コイル64を配置している。 【0070】図32は、軸方向に3つ以上の微分型コイル64を配置するために、軸方向において隣り合う微分型コイル64間のデカップリングを各コイルの一部を重ねることにより、互いに鎖交する磁束を零にすることで行っている。なお、図15および図16で説明したようなデカップリング法を用いても、3つ以上の微分型コイルを軸方向に配置することができる。 【0071】図33は、サーフェイスコイルとして微分型コイル64と8の字型コイル69を併用した例を示す。微分型コイル64および8の字型コイル69のいずれも、鳥かご型コイル61とデカップリングが可能である。また、両コイル64,69の間も互いに鎖交する磁束の総和が零となるように配置できるので、図33に示すように両コイル64,69を円周方向に交互に配置することにより、隣接するサーフェイスコイル間のデカップリングを容易に達成でき、鳥かご型コイル61の軸方向に平行なインダクタンス素子63をデカップリングを兼ねる板状のような形状とする必要もなくなる。 【0072】以上の実施例では、一様コイルとして鳥かご型コイルを用いたが、スロッテド・チューブ・リゾネータも4つの間隙を持つので、この間隙を利用して微分型コイル等からなるサーフェイスコイルを一様コイルと近接して配置することが可能である。 【0073】図34は、図23〜図29を用いて説明したように、一様コイル9として鳥かご型コイルを用い、サーフェイスコイル10a〜19hとして微分型コイルを用いた高周波コイル部の配置を示す図であり、一様コイル9を構成する鳥かご型コイルにおけるインダクタンス素子とキャパシタンス素子とで囲まれた空間内にサンプリングコイル10a〜10hが配置されている。このようにすると、一様コイル9およびサンプリングコイル10a〜10hの両者を被検体5に近接して配置でき、被検体5の表面部でも深部でも高いS/Nの画像が得られる。 【0074】 【発明の効果】本発明によれば、複数個のサーフェイスコイルを介して被検体からの磁気共鳴信号を検出して画像化を行う場合に各サーフェイスコイル間のデカップリングを効果的に行うことができる。 【0075】また、本発明によれば一様コイルを構成するインダクタンス素子およびキャパシタンス素子で囲まれた空間内に小型化された複数個のサーフェイスコイルを配置するとともに、両コイル間及びサーフェイスコイル相互間のデカップリングを行い、これら両コイルを用いて磁気共鳴信号を検出することにより、被検体の表面近傍おいてはサーフェイスコイルを使用したときと同等の高いS/Nを達成でき、被検体の深部においても少なくともクォードラチャ受信方式を適用した一様コイルで実現されるのと同等のS/Nを実現することが可能となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003078 【氏名又は名称】株式会社東芝
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| 【出願日】 |
平成3年2月28日(1991.2.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100058479 【弁理士】 【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外6名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−128956(P2001−128956A) |
| 【公開日】 |
平成13年5月15日(2001.5.15) |
| 【出願番号】 |
特願2000−309573(P2000−309573) |
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