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【発明の名称】 脳波装置及び脳波の左右差表示方法
【発明者】 【氏名】大木 昇

【要約】 【課題】左右脳波の違いを表示画面上に数値的に表現させる。

【解決手段】左右脳波データを所定区間にサンプリングして周波数要素に分解し、目的の帯域の周波数範囲のパワー値或は電位を周波数要素を加算して次の(1)式で左右差値Aを計算する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 計測した所定区間毎の左右脳波データから左右パラメータ値を分析するパラメータ分析手段と、上記パラメータ分析手段で得た左右パラメータ値の左右差値を演算する左右パラメータ差演算手段と、上記左右パラメータ差演算手段で得た左右パラメータ差をグラフ中心から左右に上記脳波データをチャンネル毎にプロットして表示又は記録させて成ることを特徴とする脳波装置。
【請求項2】 計測した所定区間毎の左右脳波データから左右パラメータ値を分析し、該分析した左右パラメータ差値を演算し、該左右パラメータ差値をグラフ中心から左右に脳波データをチャンネル毎にプロットし、表示又は記録して成ることを特徴とする脳波の左右差表示方法。
【請求項3】 前記左右パラメータ値の分析は周波数パワー又は電位パワーに分析された左右パラメータ値VR 及びVL を、100×(VR −VL )/(VL +VR )%として求め、左右パラメータ差値を区間単位及びトータル単位でプロットして前記表示手段に表示又は記録手段に記録させて成ることを特徴とする請求項2記載の脳波の左右差表示方法。
【請求項4】 前記パラメータ差値をレベル設定し、前記プロット点の色を変化させて表示又は記録させて成ることを特徴とする請求項2又は請求項3記載のいずれか1項記載の脳波の左右差表示方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は脳波装置及び脳波の左右差表示方法に係わり、特に脳波の左右差を定量的に表示するようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】従来から脳波計、脳波分析装置、脳波自動診断装置等(以下これらを脳波装置と記す)で脳の自発性変動である脳波を測定記録、表示分析、診断等を行なう場合に8〜16個所の脳波を同時に検出し、脳波の記録及び表示等は被検者の脳波を10分から30分にわたって連続的に測定する。この間に感覚器へ刺激を与え、各導出位置の波形から波形の非対称性、位相ずれ、電位、周波数成分、出現様式等をみて、分析、診断等を行なっている。脳波の診断或は検査に於いて左右の脳波の違いが重要視されている。
【0003】脳波電極の配置位置は種々の方法が提案されているが現在は国際10〜20法が広く用いられている図6(A)は国際10−20法で導出された脳波波形であり、これら脳波以外の心電図並びに脳波の時間的経過やタイマ信号の誘導性の種類を表すマーカ信号を同時に記録した脳波波形の1例を示すものであるが、上述の脳波の左右差の診断、検査では、この脳波記録用紙の視察によって左右差の有無をみている。図6(A)では電極F:(Frontal:前頭葉)、C:(Central:中心頭)、T:(Temporal:側頭葉)、P(Parietal:頭頂)、O:(Occiprtal:後頭)等のFP1,FP2,F3 ,F4 ,C3 ,C4 ,P3 ,P4 ,O1 ,O2 ,F7 ,F8 ,T4 ,T5 ,T6 ,FZ ,CZ ,PZ 位置等からの脳波信号と25〜26で示す心電波形並びにMARK1,MARK2のマーク信号が導出されている。FP1,FP2,F3 ,F4 等のサフィックスの数字及び符号で奇数数字は被検者の右脳側に取り付けられた電極群を偶数数字は左脳側に、Zは頭頂部に配置した電極群からの導出脳波を示している。
【0004】又、頭皮上から導出した脳波又は誘電電位を基に電極装置点以外を補間し、二次元画像として表示するトポグラフィ手段又はマッピング手段を有する脳波装置も広く利用されている。この様なトポグラフィ手段を有する脳波装置では左右の脳の刺激に対する反応の伝搬状態の差から疾患部位の推定等を行なう場合に多チャンネルの脳波信号をフーリエ変換を行なってパワー値を求めα,β等の周波数毎のエネルギー分布(エネルギーマップ)や振幅マップ、潜時マップ等を求めて図6(B)の様に表示している。
【0005】図6(B)のカラートポグラフィ表示において頭皮1に示すR,Y,S,Bは夫々赤色、黄色、空色、青色等の擬似カラー表示で各部位の動作機能状態を示し、脳波の左右差をマッピング表示したもので2は国際10−20法で配置した電極位置を示している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述の図6(A)に示した脳波記録紙上での視察による脳波の左右差の波形の判読・分析と云った手法では導出電極数の数が多く短時間で判読が困難であり、図6(B)のトポグラフィ表示方法では直観的なイメージとして左右脳での各種状態を左右脳位置上で1目で把握できる利点はあるが、どの程度脳波の例えば、振幅に左右差があるか数値的に表現されていないため、データベース化による客観的な比較が行なえなかった。
【0007】本発明は叙上の課題を解決するためになされたもので、脳波の左右差を数値的に把握し、数値データとすることでデータベース化を可能にし、更に短い区間とトータルの区間の脳波の左右差を計算してプロットすることでバラツキを考慮して信頼性を向上させた脳波装置及び脳波の左右差表示方法を得ようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の脳波装置は計測した所定区間毎の左右脳波データから左右パラメータ値を分析するパラメータ分析手段と、このパラメータ分析手段で得た左右パラメータ値の左右差値を演算する左右パラメータ差演算手段と、この左右パラメータ差演算手段で得た左右パラメータ差をグラフ中心から左右に上記脳波データをチャンネル毎にプロットし、表示又は記録させて成るものである。
【0009】本発明の脳波の左右差表示方法は計測した所定区間毎の左右脳波データから左右パラメータ値を分析し、この分析した左右パラメータ差値を演算し、この左右パラメータ差値をグラフ中心から左右に脳波データをチャンネル毎にプロットし、表示又は記録させて成るものである。
【0010】本発明の脳波装置及び脳波の左右差表示方法によれば左右のパラメータ値を数値的に把握して、データベース化することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の脳波装置及び脳波の左右差表示方法を詳記する。図1は本発明の1形態例を示す流れ図、図2は本発明の脳波装置及び脳波の左右差表示方法を説明するための系統図とプログラム構成図、図3乃至図5は各種表示例を示している。図1を説明する前に図2(A),(B)によって本例の脳波装置及び脳波装置内蔵のマイクロコンピュータ(以下CPUと記す)のプログラム構成を説明する。
【0012】図2(A)の系統図に於いて、被検者の頭皮1上に配設した複数の電極2からピックアップした多チャンネル(電極FP1,FP2,F3 ,F4 ‥‥等)のアナログの脳波信号はラインセレクタ3を介して各チャンネルに対応した複数のアンプ4で増幅され、アナログ−デジタル変換器(以下ADCと記す)5に供給される。
【0013】ADC5やラインセレクタ3はCPU9で制御され、ADC5でデジタル変換された脳波データはプリンタ6に記録されると共にCRT等の表示部7に表示される。これら記録又は表示される脳波データはCPU9で制御されている。CPU9はシステム用のメモリとしてのRAM10及びワーク用のROM11並びにキーボード等からなる操作部8を有している。
【0014】図2(B)によって本例のプログラム構成の大要を説明する。図6(B)で説明したと同様の頭皮1上の配設した複数の電極2から導出された左右の脳波信号のデータは上記したRAM10(以下メモリ10と記す)に格納されている。このメモリ10に格納した左右の脳波データは図2(B)の第1のステップS1 の様にCPU9内に取り込まれて任意区間の左右脳波データはサンプリングされ、高速フーリエ変換(FFT)等で周波数分析されて所定パラメータ分析が行なわれる。
【0015】次の第2のステップS2 でCPU9は所定帯域のパワー値を区間毎に演算して、左右差値を所定パラメータ差演算手段で計算して、第3ステップS3 の様にCRT等の表示部7にトレンド表示或はプリンタ6等へ記録が行なわれる。
【0016】以下、図1及び図3乃至図5を用いて、本発明の脳波装置及び脳波の左右差表示方法の一形態例を説明する。
【0017】図1の流れ図はメモリ10内に格納した左脳波データ(FP1,F3 ,C3 ,P3 ,O1 ,O7 ,T3 ,T5 電極からの導出データ)及び右脳波データ(FP2,F4 ,C4 ,P4 ,O2 ,F8 ,T4 ,T6 電極からの導出データ)の任意区間の例えば左右一対(FP1,FP2)の脳波データをCPU9内に取り込む(第1ステップST1 )。
【0018】次にCPU9内に取り込まれた左右脳波データは分析区間内で任意分割数の区間単位に分割される(第2ステップST2 )。
【0019】次に、区間単位の左右脳波データは高速フーリエ変換(FFT)の手法で周波数要素に分解する(第3ステップST3 )。
【0020】次に、目的とする帯域成分(例えばα波又はβ波発生帯域)に対応する周波数範囲の細かい区間でのパワー値を周波数要素を加算して算出する(第4ステップST4 )。
【0021】次の第5ステップST5 では第3ステップST3 で選択した任意の解析区間のトータルパワー値も算出する。
【0022】第6ステップST6 では左右の電極対(FP1:FP2),(F3 :F4 ),(C3 :C4 ),(P3 :P4 ),(O1 :O2 ),(F7 :F8 ),(T3 ,T4),(T5 :T6 )毎に下記の1式により左右差値Aを求める。
A=100×(VR +VL )/(VL +VR )% −(1)
但しVL ‥‥左の値、VR ‥‥右の値この結果、左右差値Aは右の値が大きい場合は正の値をとる様になる。
【0023】第7ステップでは各電極対毎の左右差値を図3の様にグラフの中心を零としたスケールで分割区間単位で例えば小さな丸でプロットする。同様に第8ステップST8 でトータルの解析区間での左右差値を大きな丸でプロットさせて表示部7のCRTへの表示又はプリンタ6により記録紙へ記録される。
【0024】図3はα波の電極対毎の左右差をトレーンド表示したもので、縦軸に示された12L及び12Rは左右電極群を、13は左右電極対の左右差の単位区間の分割毎のプロット点を、14は左右電極対の所定帯域内でのトータルの解析区間のパワー左右差のプロット点を示している。この様な表示によれば、左右差を数値的に把握可能でデータベース化が可能となる。更に後述するが左右差値のプロット点は“ばらつき”の有無が把握できる表示が可能な表示方法とされている。
【0025】又、本例では横軸のレベルに応じてYライン、Rラインを設け、例えば図3に於いて、30〜50及び−30〜−50のレベル範囲にプロットされた左右差値Aの小丸と大丸は黄色(Y)で表示し、50以上及び−50以上のレベルは赤(R)で表示する様に色を変化させることで16部分のプロット点はRで17部分はYで表示されるので色分けにアラーム的な機能を持たすことが可能となる。
【0026】図4は複数帯域のトータル左右差値Aをプロットした例を示すもので、アラーム的機能が加味されトータルの左右差が一見して数値的に把握できる。勿論、この場合もレベル30〜50の範囲はYで50以上はRで表示されている。
【0027】図5(A)(B)は被検者がアーチファクトのない安静時の脳波データの左右差値Aを示し、図5(C),(D)は開眼時にアーチファクトがある場合の本例の同様のトレンド表示を示しているが、図5(A),(B)の例えば、左右一対の電極(C3 ,C4 )と図5(C),(D)の同様の左右一対の電極(C3 ,C4 )を比べた場合の左右差のスポット点は符号18と19、18′と19′で示す様に図5(A),(B)のアーチファクトのない安静時の脳波電極の左右差はプロット点の“ばらつき”が少なく、図5(C),(D)の開眼時でアーチファクトの有る場合は脳波データの左右差のプロット点に“ばらつき”があることが明確に判る。これは短い区間での左右差とトータル区間での左右差を計算してプロットすることで“ばらつき”の有無が表示できる様に成されているため、ばらつきを考慮して信頼性を高めることが可能な脳波装置及び脳波の左右差表示方法が得られる。
【0028】上述の形態例では左右の脳波データを周波数要素に分解し、周波数パワーを求めた場合を説明したが、電位や、その他、左右で計測可能なパラメータについて、(1)式と同様の計算式に基づいて左右差を計算するようにしてもよいことは明白であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
【0029】
【発明の効果】本発明の脳波装置及び脳波の左右差表示方法によれば脳波の様な左右計測が可能なパラメータの左右差を(1)式によって数値化したので、左右差を数値的に直視状態で把握することがてきて、この数値化された数値データをデータベース化することが可能となる。又計測条件によって左右差のプロットに“ばらつき”を生ずるが、短い区間での左右差とトータル区間での左右差を演算してプロットしているので、“ばらつき”状態が直視できて、左右差の認識時に“ばらつき”を考慮に入れて表示画面を視ることが出来るので、左右差データの信頼性が向上する。更に左右差値のレベルに応じてプロット点の色を変化させる様にしたので、アラーム機能を持たせたものが得られる効果を生ずる。
【出願人】 【識別番号】300019238
【氏名又は名称】ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー
【出願日】 平成11年11月2日(1999.11.2)
【代理人】 【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
【公開番号】 特開2001−128951(P2001−128951A)
【公開日】 平成13年5月15日(2001.5.15)
【出願番号】 特願平11−312709