| 【発明の名称】 |
脈波伝播速度情報測定装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】布目 知弘
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| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】脈波伝播時間算出手段128(S10)により、大ゴム嚢62によってその上腕60内の上腕動脈が圧迫されている状態で、心音マイク16によって第2心音IIが検出された時点と、大ゴム嚢62の上流側においてその大ゴム嚢62に近接する位置に装着された小ゴム嚢64により上腕脈波のノッチが検出された時点との時間差が脈波伝播時間DTとして算出される。大ゴム嚢62によって上腕60が圧迫されている状態では、その大ゴム嚢62よりも上流側においてその大ゴム嚢62に近接する位置に装着された小ゴム嚢64によって検出される上腕脈波のノッチが明確となることから、ノッチの検出時点を正確に決定できる。従って、正確に決定されたノッチの検出時点に基づいて脈波伝播時間DTが算出されるので、正確な脈波伝播時間DTを算出することができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 生体の所定部位において脈波が伝播する際にそれぞれ発生する第1信号および第2信号に基づいて、生体内を脈波が伝播する脈波伝播速度に関連する脈波伝播速度情報を測定する脈波伝播速度情報測定装置であって、前記生体の所定の第1部位に装着されて該部位に発生する前記第1信号を検出する第1信号検出装置と、前記生体の所定の第2部位に装着されて、前記第2信号として該部位内の動脈に発生する脈波のノッチを検出する脈波検出装置と、該脈波検出装置の下流側且つ該脈波検出装置に近接する部位に巻回され、該部位の動脈を圧迫する圧迫帯と、該圧迫帯により該圧迫帯下の動脈が圧迫されている状態において、前記第1信号検出装置により第1信号が検出された時点と、前記脈波検出装置によりノッチが検出された時点との時間差を算出する脈波伝播時間算出手段とを、含むことを特徴とする脈波伝播速度情報測定装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、生体の動脈内を伝播する脈波の伝播速度に関連する脈波伝播速度情報、たとえば脈波伝播速度或いは脈波伝播時間を測定する脈波伝播速度情報測定装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】生体内を脈波が伝播する脈波伝播速度に関連する脈波伝播速度情報を測定する脈波伝播速度情報測定装置が種々提案されている。脈波伝播速度情報は、血圧値、動脈硬化度、末梢抵抗などを推定するために用いることができるからである。 【0003】前述したように脈波伝播速度情報には、脈波伝播速度および脈波伝播時間が含まれるが、脈波伝播速度を求めるには、伝播経路(距離)を脈波伝播時間で割る必要があるため、いずれにしてもまず脈波伝播時間を求める必要がある。その脈波伝播時間は以下のようにして測定できる。まず、生体の所定の2部位に第1信号検出装置および第2信号検出装置をそれぞれ装着する。そして、第1信号検出装置により第1信号が検出された時間と、第2信号検出装置により第2信号が検出された時間との時間差を測定する。この時間差が脈波伝播時間である。 【0004】上記第1信号検出装置として生体の胸部に装着される心音マイクを、上記第2信号検出装置として生体の頸に装着される頸動脈波センサを用い、第1信号としてその心音マイクに検出される心音の第2音IIを、第2信号として頸動脈波センサにより検出され第2心音IIに対応する頸動脈波のノッチを用い、第2心音が検出されてから頸動脈波のノッチ(ピーク以降減少傾向にある振幅強度が増加傾向に変化する点であり、切痕ともいう)が検出されるまでの時間差が脈波伝播時間として算出されることがある。第2心音IIと頸動脈波のノッチとに基づいて算出される脈波伝播時間は、生体の中枢における脈波伝播時間を評価するのに適していると考えられているからである。上記頸動脈波を検出するための頸動脈波センサとしては、たとえば本出願人が先に出願して公開された特開平10−146322号公報に記載されているものが用いられる。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかし、頸動脈波センサを生体の頸の適切な位置に装着するには熟練が必要であり、頸動脈波センサの装着位置が不適切であると、正確な頸動脈波が検出できず、誤った部位をノッチとして検出してしまうことがあり、その結果、算出される脈波伝播時間が不正確になってしまう場合があった。 【0006】また、生体の他の部位に装着された脈波検出装置を信号検出装置として用い、その脈波検出装置により検出される脈波のノッチを脈波伝播時間を算出するための信号として用いることもあるが、この場合にも、脈波のノッチが明確でないためにそのノッチの検出時点が正確に検出されず、脈波伝播時間が不正確になってしまう場合があった。 【0007】本発明は以上のような事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、正確な脈波伝播速度情報を測定できる脈波伝播速度情報測定装置を提供することにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するための本発明の要旨とするところは、生体の所定部位において脈波が伝播する際にそれぞれ発生する第1信号および第2信号に基づいて、生体内を脈波が伝播する脈波伝播速度に関連する脈波伝播速度情報を測定する脈波伝播速度情報測定装置であって、(a) 前記生体の所定の第1部位に装着されてその部位に発生する前記第1信号を検出する第1信号検出装置と、(b) 前記生体の所定の第2部位に装着されて、前記第2信号としてその部位内の動脈に発生する脈波のノッチを検出する脈波検出装置と、(c) その脈波検出装置の下流側且つその脈波検出装置に近接する部位に巻回され、その部位の動脈を圧迫する圧迫帯と、(d) その圧迫帯によりその圧迫帯下の動脈が圧迫されている状態において、前記第1信号検出装置により第1信号が検出された時点と、前記脈波検出装置によりノッチが検出された時点との時間差を算出する脈波伝播時間算出手段とを、含むことにある。 【0009】 【発明の効果】このようにすれば、脈波伝播時間算出手段により、圧迫帯によってその圧迫帯下の動脈が圧迫されている状態で、第1信号検出装置によって第1信号が検出された時点と、圧迫帯の上流側においてその圧迫帯に近接する位置に装着された脈波検出装置によりノッチが検出された時点との時間差が脈波伝播時間として算出される。圧迫帯によってその圧迫帯下の動脈が圧迫されている状態では、その圧迫帯よりも上流側においてその圧迫帯に近接する位置に装着された脈波検出装置によって検出される脈波のノッチが明確となることから、ノッチの検出時点を正確に決定できる。従って、正確に決定されたノッチの検出時点に基づいて脈波伝播時間が算出されるので、正確な脈波伝播時間を算出することができる。 【0010】 【発明の他の態様】ここで、好適には、前記脈波検出装置は、前記生体の上腕に装着されて上腕脈波のノッチを検出する上腕脈波検出装置であり、前記圧迫帯は血圧測定のために前記生体の上腕に装着される血圧測定用ゴム嚢であり、前記脈波伝播速度情報測定装置は、その血圧測定用ゴム嚢内の圧迫圧力を変化させる圧力制御装置と、その圧力制御装置により前記血圧測定用ゴム嚢内の圧力が徐速変化させられる過程で逐次検出される信号に基づいて前記生体の血圧を測定する血圧測定手段とをさらに含むものである。このようにすれば、脈波伝播速度情報測定装置により、脈波伝播速度情報に加えて血圧も測定できる利点がある。 【0011】また、好適には、前記脈波検出装置は、上腕に装着される前記血圧測定用ゴム嚢の上流部に装着される脈波用ゴム嚢を備えてその脈波用ゴム嚢内の圧力変化に基づいて上腕脈波を検出するものであり、前記血圧測定用ゴム嚢と上記脈波用ゴム嚢は互いに接触しない状態で一つの外袋に収容されたものである。このようにすれば、脈波伝播速度情報を測定するために前記生体に装着するものが、その外袋および前記第1信号検出装置のみとなるので、容易に脈波伝播速度情報が測定できる。 【0012】また、好適には、前記脈波伝播時間算出手段では、前記圧迫帯の圧迫圧力が最高血圧値より高い圧力において検出された脈波のノッチが用いられる。このようにすれば、脈波検出装置の下流側で圧迫帯下の動脈が完全に止血された状態で、その脈波検出装置により脈波のノッチが検出された時点が用いられて脈波伝播時間が算出される。脈波検出装置の下流側の動脈が完全に止血された状態では、その脈波検出装置により検出される脈波の振幅が特に大きくなることから、その脈波のノッチが特に明確になり、ノッチの発生時点をより正確に決定できる。従って、そのノッチの検出時間に基づいて算出される脈波伝播時間がより正確になる。 【0013】また、前記脈波検出装置が前記上腕脈波検出装置であり、前記圧迫帯が前記血圧測定用ゴム嚢であり、さらに、脈波伝播速度情報測定装置が前記圧力制御装置および前記血圧測定手段を含む場合には、さらに好適には、前記脈波伝播時間算出手段において用いられる上腕脈波のノッチは、前記血圧測定用ゴム嚢の圧迫圧力が最高血圧値よりも十分に高い予め設定された目標圧力以上とされた状態において検出され、前記血圧測定手段は、その圧迫圧力で前記第1信号および上腕脈波のノッチが検出された後、前記圧力制御装置により血圧測定用ゴム嚢内の圧力が徐速降圧させられる過程で逐次検出される信号に基づいて前記生体の血圧を測定するものである。このようにすれば、血圧測定のために前記血圧測定用ゴム嚢が上記目標圧力以上に昇圧させられる際に、脈波伝播時間を算出するための第1信号および上腕脈波のノッチが検出されるので、生体の血圧値と脈波伝播時間が一度に測定できる利点がある。 【0014】 【発明の好適な実施の形態】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。 【0015】図1は、本発明の一実施例の自動血圧測定機能を備えた脈波伝播速度測定装置10を示す斜視図である。脈波伝播速度測定装置10は、装置本体12と、その装置本体12に接続されるパラメータ入力端末14と、たとえば被測定者の左手によって心臓に向かって当接するように支持され、第1信号検出装置として機能する心音マイク16とを備えている。 【0016】装置本体12は、箱体18に被測定者の腕20を差し込むための貫通穴22が設けられており、その貫通穴22内には、カフ24を内周面に備えて円筒状に保持された比較的剛性の高い可撓性の外ベルト26が配設されている。箱体18の操作パネル28には、起動スイッチ30、停止スイッチ32、プリンタ34などが配設され、表示パネル36には、最高血圧表示器38、最低血圧表示器40、脈波伝播速度表示器42、脈拍数表示器44、時刻表示器46がそれぞれ配設されている。 【0017】前記パラメータ入力端末14は、身長・体重等を入力するためのテンキー48、そのテンキー48から入力された身長・体重を表示する身長表示器50、体重表示器52等が設けられている。前記心音マイク16は、一般的な形式の心音マイクロホン、たとえば空気伝導形が用いられ、前記貫通穴22に差し込まれる側の腕20とは反対側の手或いは絆創膏等により胸部表皮上に装着される。また、、一方の腕20が貫通穴22に差し込まれ、他方の手が心音マイク16を所持した状態でも測定開始操作ができるように、心音マイク16には起動スイッチ53が設けられている。 【0018】図2は、上記装置本体12のカフ24が配設されている部分を、そのカフ24の軸心を通る垂直断面で切断した断面図である。カフ24は被測定者の上腕内の動脈を圧迫するためのものであり、図2に示すように、布製或いは或いは軟質樹脂シート製の外袋56が外ベルト26の内周側に設けられている。その外袋56内には、比較的剛性のある可撓性の内ベルト58が備えられ、その内ベルト58の弾性回復力により外袋56は拡径方向に付勢されている。さらにその内ベルト58の内周側には、上腕60内の動脈を圧迫して血圧を測定するのに適した所定の幅(たとえば13cm程度)を有する大ゴム嚢62、およびその大ゴム嚢62よりも僅かな間隔(たとえば1cm)を隔てた上流側位置において上腕60内の動脈を圧迫する小ゴム嚢64が固定されており、上記小ゴム嚢64は、大ゴム嚢62よりも狭い幅(たとえば3cm)を有している。本実施例においては、上記大ゴム嚢62が血圧用ゴム嚢すなわち圧迫帯として機能している。また、大ゴム嚢62および小ゴム嚢64は互いに接触しない状態で内ベルト58の内面に固定されている。 【0019】図3は、上記脈波伝播速度測定装置10の回路構成を説明するブロック線図である。図において、大ゴム嚢62は、第1圧力センサ66および第1排気制御弁78に配管70を介して接続されている。一方、小ゴム嚢64は、第2圧力センサ72および第2排気制御弁74に配管76を介して接続されている。そして、上記第1排気制御弁68および第2排気制御弁74は配管78を介して空気ポンプ80に接続されている。上記第1排気制御弁68は、大ゴム嚢62内へ空気ポンプ80からの圧力の供給を許容する圧力供給状態、大ゴム嚢62内を徐々に排圧する徐速排圧状態、大ゴム嚢62内を急速に排圧する急速排圧状態、および大ゴム嚢62内の圧力を保持する保持状態の4つの状態に切り換えられるように構成されている。従って、第1排気制御弁68、配管78および空気ポンプ80が大ゴム嚢62内の圧迫圧力を変化させる圧力制御装置82として機能している。また、上記第2排気制御弁74は、小ゴム嚢64内への圧力の供給を許容する圧力供給状態、小ゴム嚢64内を排圧する排圧状態、および小ゴム嚢64内の圧力を保持する保持状態の3つの状態に切り換えられるように構成されている。 【0020】上記大ゴム嚢62および小ゴム嚢64を備えたカフ24が内周面に配設されて円筒状に巻回された外ベルト26は、一端が固定され且つ他端は減速機付DCモータ84により駆動されるドラム86により引き締められるようになっている。第1圧力センサ66の出力信号SP1 はバンドパスフィルタ88により弁別され、脈拍に同期して発生する大ゴム嚢62の圧力信号である第1脈波信号SM1 が演算制御回路90のA/D変換器92に供給される。また、第1圧力センサ66の出力信号SP1 はローパスフィルタ94により弁別され、大ゴム嚢62の静圧を表す大ゴム嚢圧信号SK1 が演算制御回路90のA/D変換器92に供給される。 【0021】第2圧力センサ72の出力信号SP2 も上記第1圧力センサ66の場合と同様にして、バンドパスフィルタ96およびローパスフィルタ98により、上腕動脈の脈拍に同期して発生する小ゴム嚢64の圧力信号である第2脈波信号(すなわち上腕脈波信号)SM2 、および小ゴム嚢64の静圧を表す小ゴム嚢圧信号SK2 に弁別される。従って、本実施例においては、小ゴム嚢64、第2圧力センサ72、およびローパスフィルタ98が上腕脈波検出装置99として機能している。そして、弁別された第2脈波信号SM2 および小ゴム嚢信号SK2 は、ともに演算制御回路90のA/D変換器92に供給される。 【0022】上記演算制御回路90は、CPU100、ROM102、RAM104、入力インターフェース回路106、出力インターフェース回路108などを備えたマイクロコンピュータである。CPU100は、RAM104の一時記憶機能を利用しつつ予めROM102に記憶された手順に従って入力信号を処理して駆動信号や表示信号などを出力する。すなわち、CPU100は、予め定められた手順に従って減速機付DCモータ84、空気ポンプ80、第1排気制御弁68、および第2排気制御弁74を制御し、その過程で心音マイク16から供給される心音信号SH、バンドパスフィルタ88から供給される第1脈波信号SM1 、ローパスフィルタ94から供給される大ゴム嚢信号SK1 、バンドパスフィルタ96から供給される第2脈波信号SM2 、およびローパスフィルタ98から供給される小ゴム嚢圧信号SK2 に基づいて、血圧値BPおよび脈波伝播速度PWVを決定し、その血圧値BPおよび脈波伝播速度PWVを、最高血圧表示器38、最低血圧表示器40、および脈波伝播速度表示器42に表示させると同時に、記憶装置110の所定の記憶領域に記憶させる。この記憶装置110は、磁気ディスク、磁気テープ、揮発性半導体メモリ、或いは不揮発性半導体メモリなどのよく知られた記憶装置により構成されている。 【0023】図4は、上記脈波伝播速度測定装置10における演算制御回路90の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図4において、大ゴム嚢圧制御手段120は、第1排気制御弁68および空気ポンプ80を制御することにより大ゴム嚢62の圧迫圧力を制御する。小ゴム嚢圧制御手段122は、第2排気制御弁74を制御することにより小ゴム嚢64の圧迫圧力を制御する。 【0024】血圧測定手段124は、脈波伝播時間DTを算出するための脈波を測定する脈波測定手段126を含み、その脈波測定手段126は、ローパスフィルタ94から供給される大ゴム嚢圧信号SK1 に基づき大ゴム嚢62の圧迫圧力P1 を判断し、上記大ゴム嚢圧制御手段120によって、その大ゴム嚢62の圧迫圧力P1を最高血圧値BPSYS よりも十分に高い所定の第1目標圧力P1M(たとえば180mmHg程度の圧力値)まで急速昇圧させ且つその圧迫圧力で保持させる。また、それとともに、ローパスフィルタ98から供給される小ゴム嚢圧信号SK2 に基づき小ゴム嚢64の圧迫圧力P2 を判断し、小ゴム嚢圧制御手段122によってその小ゴム嚢64の圧迫圧力P2 を平均血圧値BPMEANよりも低い所定の第2目標圧力P2M(たとえば50〜60mmHg程度の圧力値)まで急速昇圧させ且つその圧迫圧力で保持させる。その状態で、心音マイク16により第1信号である第2心音IIの立ち上がり点が検出され、第2圧力センサ72により第2信号である上腕脈波のノッチが検出された後、小ゴム嚢圧制御手段122によって、小ゴム嚢64内の圧力を排気させる。 【0025】さらに血圧測定手段124は、上記所定の第1目標圧力P1Mに保持されている大ゴム嚢62内の圧力P1 を大ゴム嚢圧制御手段120によって3mmHg/sec程度の速度で徐速降圧させ、その徐速降圧期間内において順次採取される第1脈波信号SM1 が表すカフ脈波の振幅の変化に基づきよく知られたオシロメトリック法を用いて最高血圧値BPSYS および最低血圧値BPDIA などを決定し、その決定した最高血圧値BPSYS および最低血圧値BPDIA を最高血圧表示器38および最低血圧表示器40に表示する。 【0026】ここで、上記脈波測定手段126における第1目標圧力P1Mの値について説明する。図5は、脈波測定手段126によって保持される大ゴム嚢62の第1目標圧力P1Mを変化させたときに第2圧力センサ72およびローパスフィルタ98により検出される上腕動脈波(第2脈波信号SM2 )の形状を比較して示す図であり、第1目標圧力P1Mは、図5(a)が0mmHg、図5(b)が60mmHg、図5(c)が170mmHg、図5(d)が230mmHgである。図5(c)、(d)に示されるように大ゴム嚢62の圧迫圧力P1Mが最高血圧値BPSYS よりも高い場合には、ノッチが明確に検出できる。それに対して、図5(a)、(b)に示されるように大ゴム嚢62の圧迫圧力P1Mが最高血圧値BPSYS よりも十分に低い場合にはノッチが確認できない。これは、大ゴム嚢62が圧迫されることによってその上流における上腕動脈波の振幅が大きくなるためであると考えられる。言い換えれば、上腕動脈波を検出している小ゴム嚢64の下流において流路が制限されることによって、小ゴム嚢64が巻回されている部位の脈動が大きくなるためであると考えられる。とりわけ、大ゴム嚢62の圧迫圧力P1 が最高血圧値BPSYS よりも高い場合には上腕動脈が完全に閉塞させられているので、特にノッチが明確に検出できると考えられる。 【0027】脈波伝播時間算出手段128は、上記脈波測定手段126によって大ゴム嚢62が所定の第1目標圧力P1Mに保持され、小ゴム嚢64が所定の第2目標圧力P2Mに保持された状態で、図6に示す脈波伝播時間DT(sec) 、すなわち、心音マイク16によって第2心音IIの立ち上がり点が検出された時点から第2圧力センサ72によって上腕動脈波のノッチが検出された時点までの時間差DTを算出する。 【0028】脈波伝播速度算出手段130は、パラメータ入力端末14から入力される被測定者の身長に基づいて、予め記憶された関係から心臓から小ゴム嚢64が装着されている部位までの距離L(m) を算出し、その距離Lを上記脈波伝播時間算出手段128で算出された脈波伝播時間DTで割ることにより脈波伝播速度PWV (m/sec)を算出し、表示パネル36の脈波伝播速度表示器42に表示する。 【0029】図7は、上記脈波伝播速度測定装置10の演算制御回路90における制御作動の要部を説明するフローチャートである。図7において、ステップS1(以下、ステップを省略する。)では、パラメータ入力端末14から被測定者の身長が入力されたか否かが判断される。この判断が否定された場合には、S1の判断が繰り返し実行される。 【0030】一方、S1の判断が肯定された場合には、続くS2において、測定開始操作がされたか否かが判断される。測定を開始するためには、たとえば、被測定者の右腕が脈波伝播速度測定装置10の貫通穴22に挿し通され、且つ心音マイク16が左腕或いは装着テープ等により胸部表皮上に装着された状態で、その心音マイク16を保持している手または第三者により起動スイッチ30または53が操作される必要がある。従って、S2では、貫通穴22内に設けられた図示しないセンサにより貫通穴22に上腕が挿し通されたと判断され、心音マイク16から心音信号SHが供給されていると判断された状態で、起動スイッチ30または53が操作されたか否かが判断される。 【0031】上記S2の判断が否定された場合にはS2が繰り返し実行されるが、肯定された場合には、続いて大ゴム嚢圧制御手段120および小ゴム嚢圧制御手段122に対応するS2において、空気ポンプ80が起動させられ、且つ第1排気制御弁68および第2排気制御弁74が圧力供給状態に切り換えられることにより、大ゴム嚢62内圧P1 および小ゴム嚢64内圧P2 が急速に昇圧させられる。 【0032】続いて脈波測定手段126に対応するS4において、小ゴム嚢64内の圧迫圧力P2 が50〜60mmHgに設定された目標圧力P2M以上となったか否かが判断される。このS4の判断が否定されるうちは、S4の判断が繰り返されることにより、上記S3で開始された第1ゴム嚢62内圧P1 および第2ゴム嚢64内圧P2 の昇圧が継続される。第2ゴム嚢64の圧迫圧力P2 が上昇させられて上記S4の判断が肯定された場合は、小ゴム嚢圧制御手段122に対応するS5において、第2排気制御弁74が圧力保持状態に切り換えられ、小ゴム嚢64の圧迫圧力P2 がその圧力に保持される。 【0033】続いて脈波測定手段126に対応するS6において、大ゴム嚢62内の圧迫圧力P1 が180mmHg程度に設定された目標圧力P1M以上となったか否かが判断される。このS6の判断が否定されるうちは、S6の判断が繰り返されることにより第1ゴム嚢62内圧P1 の昇圧が継続される。しかし、第1ゴム嚢62の圧迫圧力P1 が上昇させられて上記S6の判断が肯定された場合は、大ゴム嚢圧制御手段120に対応するS7において、第1排気制御弁68が圧力保持状態に切り換えられ、大ゴム嚢62の圧迫圧力P1 がその圧力に保持される。 【0034】続いて脈波検出手段126に対応するS8乃至S9が実行される。まず、S8では、心音マイク16から逐次供給される心音信号SHに基づいて、第2心音IIの立ち上がり点が検出されたか否かが判断される。この判断が否定された場合はS8の判断が繰り返し実行され、肯定された場合には、続くS9において、バンドパスフィルタ96から供給される第2脈波信号SM2 に基づいて、上腕動脈波のノッチが検出されたか否かが判断される。この判断が否定された場合はS9の判断が繰り返し実行される。 【0035】しかし、上記S9の判断が肯定された場合は、続く脈波伝播時間算出手段128に対応するS10において、前記S8で第2心音IIの立ち上がり点が検出された時点から、上記S9で上腕動脈波のノッチが検出された時点までの時間差すなわち脈波伝播時間DTが算出される。さらに、続く脈波伝播速度算出手段130に対応するS11において、前記S1で入力された被測定者の身長に基づいて予め記憶された関係から、心臓から小ゴム嚢64が装着されている部位までの距離L(m) が算出され、さらに、その距離Lが上記S10で算出された脈波伝播時間DTで割られることにより脈波伝播速度PWVが算出される。 【0036】上記S11において脈波伝播速度PWVが算出されると、続く小ゴム嚢圧制御手段122に対応するS12において、第2排気制御弁74が排圧状態に切り換えられることにより、第2ゴム嚢64の圧迫圧力P2 が開放される。 【0037】続いて、大ゴム嚢圧制御手段120に対応するS13において、第1排気制御弁68が徐速降圧状態に切り換えられ、大ゴム嚢62の圧迫圧力P1 が3mmHg/sec程度の速度で徐速降圧させられる。そして、その徐速降圧過程において、血圧測定手段124に対応するS14乃至S16が実行される。 【0038】まず、S14では、バンドパスフィルタ88から逐次供給される第1脈波信号SM1 に基づいて、カフ脈波の一拍分が検出されたか否かが判断される。このS14の判断が否定された場合はS14が繰り返し実行される。一方、肯定された場合には、S15の血圧値決定ルーチンが実行される。この血圧値決定ルーチンにおいては、大ゴム嚢62内圧P1 の徐速降圧過程で、上記S14で逐次検出されたカフ脈波の振幅の変化に基づいて、よく知られたオシロメトリック方式の血圧値決定アルゴリズムに従って最高血圧値BPSYS および最低血圧値BPDIA が決定される。 【0039】続くS16では、血圧値の決定が完了したか否かが判断される。すなわち、S15の血圧値決定ルーチンにおいて、最も低い大ゴム嚢内圧P1 で決定される最低血圧値BPDIA が決定されたか否かが判断される。この判断が否定された場合は、上記S14以下が繰り返し実行されるが、肯定された場合は、続く大ゴム嚢圧制御手段120に対応するS17において、第1排気制御弁68が急速排圧状態に切り換えられることにより、大ゴム嚢62内が急速に排圧させられる。 【0040】続いて、S18において、前記S11で算出された脈波伝播速度PWVが脈波伝播速度表示器42に表示され、上記S16で決定された最高血圧値BPSYS および最低血圧値BPDIA が最高血圧表示器38および最低血圧表示器40に表示されて、本ルーチンが終了させられる。 【0041】上述のように、本実施例によれば、脈波伝播時間算出手段128(S10)により、大ゴム嚢62によってその上腕60内の上腕動脈が圧迫されている状態で、心音マイク16によって第2心音IIが検出された時点と、大ゴム嚢62の上流側においてその大ゴム嚢62に近接する位置に装着された小ゴム嚢64により上腕脈波のノッチが検出された時点との時間差が脈波伝播時間DTとして算出される。大ゴム嚢62によって上腕60が圧迫されている状態では、その大ゴム嚢62よりも上流側においてその大ゴム嚢62に近接する位置に装着された小ゴム嚢64によって検出される上腕脈波のノッチが明確となることから、ノッチの検出時点を正確に決定できる。従って、正確に決定されたノッチの検出時点に基づいて脈波伝播時間DTが算出されるので、正確な脈波伝播時間DTを算出することができる。 【0042】また、本実施例によれば、脈波検出装置として上腕60に巻回される小ゴム嚢64を含んで上腕脈波のノッチを検出する上腕脈波検出装置99が用いられ、圧迫帯として血圧測定のために生体の上腕60に装着される大ゴム嚢62が用いられ、さらに、脈波伝播速度測定装置10には、その大ゴム嚢62内の圧迫圧力P1 を変化させる圧力制御装置82と、その圧力制御装置82により大ゴム嚢62内の圧力が徐速変化させられる過程で逐次検出される信号に基づいて前記生体の血圧を測定する血圧測定手段124(S14乃至S16)とが備えられているので、脈波伝播速度測定装置10により、脈波伝播速度PWVに加えて血圧BPも測定できる利点がある。 【0043】また、本実施例によれば、上腕脈波検出装置99は、大ゴム嚢62の上流部に装着される小ゴム嚢64を備えてその小ゴム嚢64内の圧力変化に基づいて上腕脈波を検出するものであり、大ゴム嚢62と小ゴム嚢64は互いに接触しない状態で一つの外袋56に収容されたものであることから、脈波伝播速度PWVを測定するために前記生体に装着するものが、外袋56および心音マイク16のみとなるので、容易に脈波伝播速度PWVが測定できる。 【0044】また、本実施例によれば、脈波伝播時間算出手段128(S11)では、大ゴム嚢62の圧迫圧力P1 が最高血圧値BPSYS よりも高い圧力において検出された上腕動脈のノッチが用いられる。すなわち、小ゴム嚢64の下流側で大ゴム嚢62により上腕60内の動脈が完全に止血された状態で小ゴム嚢64に伝達される上腕動脈波のノッチが用いられて脈波伝播時間DTが算出される。小ゴム嚢64の下流側で動脈が完全に止血された状態では、小ゴム嚢64に伝達される上腕脈波の振幅が特に大きくなることから、そのノッチが特に明確になり、ノッチの発生時点をより正確に決定できる。従って、そのノッチの検出時間に基づいて算出される脈波伝播時間DTがより正確になる。 【0045】また、本実施例によれば、血圧測定のために大ゴム嚢62の圧迫圧力P1 が目標圧力P1M以上に昇圧させられる際に、脈波伝播時間DTを算出するための第2心音IIの立ち上がり点および上腕脈波のノッチが検出されるので、生体の血圧値BPと脈波伝播時間DTが一度に測定できる利点がある。 【0046】以上、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。 【0047】たとえば、前述の実施例では、第2信号を検出する脈波検出装置として上腕60に装着される上腕脈波検出装置99が用いられていたが、大腿部に装着されて大腿動脈波を検出する大腿動脈波検出装置や、足首に装着されて足首内の動脈波(後脛骨動脈波、前脛骨動脈波)を検出する足首動脈波検出装置が脈波検出装置として用いられてもよい。 【0048】また、前述の実施例では、第1信号として心臓において発生する第2心音IIが用いられ、第2信号として上腕脈波のノッチが用いられていた。すなわち、第1信号は第2信号よりも上流側の信号であったが、第1信号として第2信号よりも下流側の信号が用いられてもよい。なお、第1信号として第2信号よりも下流側の信号が用いられる場合、第2信号(すなわち脈波のノッチ)を検出する脈波検出装置の下流側は圧迫帯により圧迫されるので、第1信号を検出する第1信号検出装置は、その脈波検出装置が装着された部位に対して間接的に下流に相当する部位に装着される必要がある。たとえば、第2信号として前述の実施例のように上腕脈波検出装置99により検出される上腕脈波のノッチが用いられ、上腕60に圧迫帯が巻回される場合、第1信号検出装置は、その上腕脈波検出装置99が装着されている側とは反対側の腕において上腕よりも下流側である手首や指先、或いは、下肢(たとえば大腿、足首)に装着される。 【0049】また、前述の実施例では、脈波伝播時間DTの測定と同時に血圧も測定されていたが、脈波伝播時間DTまたはその脈波伝播時間DTから算出される脈波伝播速度情報のみが測定されてもよい。 【0050】また、前述の実施例では、脈波伝播時間DTと血圧BPを同時に測定するために、大ゴム嚢62の圧迫圧力が最高血圧値BPSYS よりも十分に高い第1目標圧力P1M以上の状態において上腕脈波を検出していたが、大ゴム嚢62の圧迫圧力P1 が最高血圧値BPSYS 以上であれば、大ゴム嚢62により上腕動脈は完全に閉塞させられているので、血圧BPを測定せず脈波伝播時間DT等の脈波伝播速度情報のみを測定する場合には、上腕脈波を検出する際の大ゴム嚢62の圧迫圧力は、最高血圧値BPSYS と等しいかそれよりも少し高い程度の圧力であってもよい。また、前述したように、上腕脈波が伝達される小ゴム嚢64の下流に装着されている大ゴム嚢62により上腕動脈の流路が制限されていれば、ノッチが明確に検出できるようになると考えられるので、上腕脈波が検出される際の大ゴム嚢62の圧迫圧力P1 は、最高血圧値BPSYS よりも低い圧力、たとえば平均血圧値BPMEAN程度の圧力であってもよい。 【0051】また、前述の実施例では、圧迫帯として血圧測定のために所定幅を有する大ゴム嚢62が用いられていたが、血圧を測定しない場合には、大ゴム嚢62の幅は前述の実施例よりも狭くても広くてもよい。また、単なるベルト等が圧迫帯として用いられてもよい。 【0052】また、前述の実施例では、脈波伝播速度PWVを算出するために、被測定者の身長が予め入力され、その身長に基づいて心臓から小ゴム嚢64が装着されている部位までの距離Lが算出されていたが、動脈硬化の進行具合や降圧剤の効果を確認するのであれば、脈波伝播速度PWVの経時的変化が判断できればよいので、身長が入力されず予め設定された一定の数値が距離Lとして用いられてもよい。 【0053】また、前述の実施例では、第1信号検出装置として心音マイク16が用いられ、その心音マイク16により検出される第2心音IIが第1信号として用いられていたが、第1心音Iが第1信号として用いられてもよい。また、生体に装着される複数の電極を通して心電誘導波形を検出する心電誘導装置が第1信号検出装置として用いられ、その心電誘導装置により検出される心電誘導波形のQ波、R波、S波等が第1信号として用いられてもよい。 【0054】なお、本発明はその主旨を逸脱しない範囲においてその他種々の変更が加えられ得るものである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】390014362 【氏名又は名称】日本コーリン株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年11月1日(1999.11.1) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100085361 【弁理士】 【氏名又は名称】池田 治幸 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−128946(P2001−128946A) |
| 【公開日】 |
平成13年5月15日(2001.5.15) |
| 【出願番号】 |
特願平11−310655 |
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