| 【発明の名称】 |
位相分布測定方法および装置、位相補正方法および装置、並びに、磁気共鳴撮像装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】三好 光晴
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| 【要約】 |
【課題】局所的な位相乱れがある場合でも正確な位相マップを求める位相分布測定方法および装置、そのようにして求めた位相マップを用いる位相補正方法および装置、並びに、そのような位相補正を行う磁気共鳴撮像装置を実現する。
【解決手段】磁気共鳴撮像した画像をローパスフィルタリングし(702)、フィルタリング後の値がフィルタリング前の値に対し所定の比率以下になるピクセル位置を検出し(704)、このピクセル位置におけるピクセルデータを除外して位相分布を求め、除外したピクセル位置における位相を近傍のピクセル位置の位相から推定して補充し、位相マップを完成させる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 磁気共鳴撮像した画像をローパスフィルタリングし、前記ローパスフィルタリングする前の画像と前記ローパスフィルタリングした後の画像につき、対応するピクセルごとにピクセルデータを比較して前記ローパスフィルタリング後の値が前記ローパスフィルタリング前の値に対し予め定めた比率以下になるピクセル位置を検出し、前記検出したピクセル位置におけるピクセルデータを除外した前記ローパスフィルタリング前の画像または前記ローパスフィルタリング後の画像に基づいて位相分布を求め、前記求めた位相分布において前記除外したピクセル位置における位相を近傍のピクセル位置の位相から推定して補充する、ことを特徴とする位相分布測定方法。 【請求項2】 磁気共鳴撮像した画像をローパスフィルタリングするフィルタリング手段と、前記ローパスフィルタリングする前の画像と前記ローパスフィルタリングした後の画像につき、対応するピクセルごとにピクセルデータを比較して前記ローパスフィルタリング後の値が前記ローパスフィルタリング前の値に対し予め定めた比率以下になるピクセル位置を検出するピクセル位置検出手段と、前記検出したピクセル位置におけるピクセルデータを除外した前記ローパスフィルタリング前の画像または前記ローパスフィルタリング後の画像に基づいて位相分布を求める位相分布計算手段と、前記求めた位相分布において前記除外したピクセル位置における位相を近傍のピクセル位置の位相から推定して補充する位相補充手段と、を具備することを特徴とする位相分布測定装置。 【請求項3】 磁気共鳴撮像した画像をローパスフィルタリングし、前記ローパスフィルタリングする前の画像と前記ローパスフィルタリングした後の画像につき、対応するピクセルごとにピクセルデータを比較して前記ローパスフィルタリング後の値が前記ローパスフィルタリング前の値に対し予め定めた比率以下になるピクセル位置を検出し、前記検出したピクセル位置におけるピクセルデータを除外した前記ローパスフィルタリング前の画像または前記ローパスフィルタリング後の画像に基づいて位相分布を求め、前記求めた位相分布において前記除外したピクセル位置における位相を近傍のピクセル位置の位相から推定して補充し、前記補充した位相分布を用いて画像の位相補正を行う、ことを特徴とする位相補正方法。 【請求項4】 磁気共鳴撮像した画像をローパスフィルタリングし、前記ローパスフィルタリングした画像に基づいて位相分布を求め、前記求めた位相分布に基づいて前記ローパスフィルタリングする前の画像を位相補正し、前記位相補正した画像をあらためてローパスフィルタリングし、前記あらためてローパスフィルタリングした画像に基づいてあらためて位相分布を求め、前記位相補正した画像を前記あらためて求めた位相分布に基づいてあらためて位相補正する、ことを特徴とする位相補正方法。 【請求項5】 前記位相補正した画像をあらためてローパスフィルタリングすること、前記あらためてローパスフィルタリングした画像に基づいてあらためて位相分布を求めること、および、前記位相補正した画像を前記あらためて求めた位相分布に基づいてあらためて位相補正することを循環的に行う、ことを特徴とする請求項4に記載の位相補正方法。 【請求項6】 前記ローパスフィルタリングの程度を繰り返しのたびに次第に弱くする、ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の位相補正方法。 【請求項7】 前記ローパスフィルタリングの程度を繰り返しのたびに次第に強くする、ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の位相補正方法。 【請求項8】 磁気共鳴撮像した画像をローパスフィルタリングするフィルタリング手段と、前記ローパスフィルタリングする前の画像と前記ローパスフィルタリングした後の画像につき、対応するピクセルごとにピクセルデータを比較して前記ローパスフィルタリング後の値が前記ローパスフィルタリング前の値に対し予め定めた比率以下になるピクセル位置を検出するピクセル位置検出手段と、前記検出したピクセル位置におけるピクセルデータを除外した前記ローパスフィルタリング前の画像または前記ローパスフィルタリング後の画像に基づいて位相分布を求める位相分布計算手段と、前記求めた位相分布において前記除外したピクセル位置における位相を近傍のピクセル位置の位相から推定して補充する位相補充手段と、前記補充した位相分布を用いて画像の位相補正を行う位相補正手段と、を具備することを特徴とする位相補正装置。 【請求項9】 磁気共鳴撮像した画像をローパスフィルタリングするフィルタリング手段と、前記ローパスフィルタリングした画像に基づいて位相分布を求める位相分布計算手段と、前記求めた位相分布に基づいて前記ローパスフィルタリングする前の画像を位相補正する位相補正手段と、前記位相補正した画像を前記フィルタリング手段であらためてローパスフィルタリングすること、前記あらためてローパスフィルタリングした画像に基づいて前記位相分布計算手段であらためて位相分布を求めること、および、前記位相補正した画像を前記あらためて求めた位相分布に基づいて前記位相補正手段であらためて位相補正することを行わせる制御手段と、を具備することを特徴とする位相補正装置。 【請求項10】 前記制御手段は前記位相補正した画像を前記フィルタリング手段であらためてローパスフィルタリングすること、前記あらためてローパスフィルタリングした画像に基づいて前記位相分布計算手段であらためて位相分布を求めること、および、前記位相補正した画像を前記あらためて求めた位相分布に基づいて前記位相補正手段であらためて位相補正することを循環的に行わせる、ことを特徴とする請求項9に記載の位相補正装置。 【請求項11】 前記ローパスフィルタリングの程度を繰り返しのたびに次第に弱くするフィルタリング調節手段、を具備することを特徴とする請求項9または請求項10に記載の位相補正装置。 【請求項12】 前記ローパスフィルタリングの程度を繰り返しのたびに次第に強くするフィルタリング調節手段、を具備することを特徴とする請求項9または請求項10に記載の位相補正装置。 【請求項13】 撮像対象につき磁気共鳴を利用して画像を撮像する撮像手段と、前記撮像した画像をローパスフィルタリングするフィルタリング手段と、前記ローパスフィルタリングする前の画像と前記ローパスフィルタリングした後の画像につき、対応するピクセルごとにピクセルデータを比較して前記ローパスフィルタリング後の値が前記ローパスフィルタリング前の値に対し予め定めた比率以下になるピクセル位置を検出するピクセル位置検出手段と、前記検出したピクセル位置におけるピクセルデータを除外した前記ローパスフィルタリング前の画像または前記ローパスフィルタリング後の画像に基づいて位相分布を求める位相分布計算手段と、前記求めた位相分布において前記除外したピクセル位置における位相を近傍のピクセル位置の位相から推定して補充する位相補充手段と、前記補充した位相分布を用いて画像の位相補正を行う位相補正手段と、前記位相補正した画像のピクセルデータの位相差を利用して水画像と脂肪画像を別々に生成する画像生成手段と、を具備することを特徴とする磁気共鳴撮像装置。 【請求項14】 撮像対象につき磁気共鳴を利用して画像を撮像する撮像手段と、前記撮像した画像をローパスフィルタリングするフィルタリング手段と、前記ローパスフィルタリングした画像に基づいて位相分布を求める位相分布計算手段と、前記求めた位相分布に基づいて前記ローパスフィルタリングする前の画像を位相補正する位相補正手段と、前記位相補正した画像を前記フィルタリング手段であらためてローパスフィルタリングすること、前記あらためてローパスフィルタリングした画像に基づいて前記位相分布計算手段であらためて位相分布を求めること、および、前記位相補正した画像を前記あらためて求めた位相分布に基づいて前記位相補正手段であらためて位相補正することを行わせる制御手段と、前記位相補正した画像のピクセルデータの位相差を利用して水画像と脂肪画像を別々に生成する画像生成手段と、を具備することを特徴とする磁気共鳴撮像装置。 【請求項15】 前記制御手段は前記位相補正した画像を前記フィルタリング手段であらためてローパスフィルタリングすること、前記あらためてローパスフィルタリングした画像に基づいて前記位相分布計算手段であらためて位相分布を求めること、および、前記位相補正した画像を前記あらためて求めた位相分布に基づいて前記位相補正手段であらためて位相補正することを循環的に行わせる、ことを特徴とする請求項14に記載の磁気共鳴撮像装置。 【請求項16】 前記ローパスフィルタリングの程度を繰り返しのたびに次第に弱くするフィルタリング調節手段、を具備することを特徴とする請求項14または請求項15に記載の磁気共鳴撮像装置。 【請求項17】 前記ローパスフィルタリングの程度を繰り返しのたびに次第に強くするフィルタリング調節手段、を具備することを特徴とする請求項14または請求項15に記載の磁気共鳴撮像装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、位相分布測定方法および装置、位相補正方法および装置、並びに、磁気共鳴撮像装置に関し、特に、磁気共鳴撮像した画像における位相分布を測定する方法および装置、測定した位相分布に基づいてピクセルデータの位相を補正する方法および装置、並びに、位相を補正したピクセルデータに基づいて水と脂肪を分離した画像を得る磁気共鳴撮像装置に関する。 【0002】 【従来の技術】磁気共鳴撮像装置では、撮像対象を収容する空間に静磁場を形成し、静磁場空間に勾配磁場と高周波磁場を形成し、撮像対象のスピン(spin)が発生する磁気共鳴信号に基づいて画像を生成(再構成)するようになっている。脂肪の磁気共鳴信号は、ケミカルシフト(chemical shift)により水の磁気共鳴信号とは周波数が異なるので、周波数の相違に基づく位相差を利用して水と脂肪を別々に画像化することが行われる。 【0003】磁気共鳴信号の位相は静磁場強度の不均一の影響を受けるので、磁場不均一に影響されずに水と脂肪を別々に画像化するために、静磁場不均一を表す位相分布すなわち位相マップ(map)を求め、それに基づいて画像の位相補正を行うようにしている。 【0004】位相マップは、複素数で与えられる画像データ(data)の位相をピクセル(pixel)ごとに求めることにより得られる。正しい位相マップを得るために、予め画像をローパスフィルタで処理することによりノイズ(noise)除去することが行われる。 【0005】図19に位相マップの概念図を1次元画像の例について示す。位相マップの原点は静磁場の中心にとる。原点における位相は0である。同図は静磁場強度がリニア(linear)な傾斜を持つ場合の位相マップであり、原点からの距離に応じて位相がリニアに変化する。位相は、同図の(a)に示すように、+πを超えると−π側に折り返し、−πを超えると+π側に折り返す。すなわち、位相のラップアラウンド(wrap around)が生じる。 【0006】そこで、ラップアラウンドがある部分ではラップアラウンドの補正すなわちアンラッピング(unwrapping)を行い、(b)に示すようなラップアラウンドのない位相マップを得るようにしている。ラップアラウンドの有無は、隣り合うピクセル同士の画像データの位相差の絶対値が2πであるかどうかで検出し、ラップアラウンドを検出したピクセルについては、その位相に位相差とは逆符号で2πを加算する。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】位相マップを求める前段階として画像のローパスフィルタリングを行った場合、撮像対象の磁化率の変化、脂肪による位相変化、血流や体動によるゴースト(ghost)あるいは大きなノイズ等によりピクセルデータの位相が局所的に乱れているところでは、あたかもラップアラウンドがあるかのような位相状態となり、それに基づいてアンラッピングを行うと正しい位相マップを得ることができないという問題があった。 【0008】また、磁場不均一がノンリニア(nonlinear)である場合、位相マップは高次成分を含むものとなるので、高次成分を除去しない程度にローパスフィルタリングを設定しなければならないが、そのようなローパスフィルタリングの設定は容易でないという問題があった。 【0009】本発明は上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、局所的な位相乱れがある場合でも正確な位相マップを求める位相分布測定方法および装置、そのようにして求めた位相マップを用いる位相補正方法および装置、並びに、そのような位相補正を行う磁気共鳴撮像装置を実現することである。 【0010】また、高域成分をも含めた位相補正が容易な位相補正方法および装置、並びに、そのような位相補正を行う磁気共鳴撮像装置を実現することを目的とする。 【0011】 【課題を解決するための手段】(1)上記の課題を解決するための1つの観点での発明は、磁気共鳴撮像した画像をローパスフィルタリングし、前記ローパスフィルタリングする前の画像と前記ローパスフィルタリングした後の画像につき、対応するピクセルごとにピクセルデータを比較して前記ローパスフィルタリング後の値が前記ローパスフィルタリング前の値に対し予め定めた比率以下になるピクセル位置を検出し、前記検出したピクセル位置におけるピクセルデータを除外した前記ローパスフィルタリング前の画像または前記ローパスフィルタリング後の画像に基づいて位相分布を求め、前記求めた位相分布において前記除外したピクセル位置における位相を近傍のピクセル位置の位相から推定して補充することを特徴とする位相分布測定方法である。 【0012】この観点での発明では、ローパスフィルタリングする前と後の画像につき、対応するピクセルごとにピクセルデータを比較し、位相乱れが生じているピクセル位置を検出し、このピクセル位置におけるピクセルデータを除外した位相マップを求め、その後に、除外したピクセル位置における位相を近傍のピクセル位置の位相から推定して補充し、矛盾のない位相マップを得る。 【0013】(2)上記の課題を解決するための他の観点での発明は、磁気共鳴撮像した画像をローパスフィルタリングするフィルタリング手段と、前記ローパスフィルタリングする前の画像と前記ローパスフィルタリングした後の画像につき、対応するピクセルごとにピクセルデータを比較して前記ローパスフィルタリング後の値が前記ローパスフィルタリング前の値に対し予め定めた比率以下になるピクセル位置を検出するピクセル位置検出手段と、前記検出したピクセル位置におけるピクセルデータを除外した前記ローパスフィルタリング前の画像または前記ローパスフィルタリング後の画像に基づいて位相分布を求める位相分布計算手段と、前記求めた位相分布において前記除外したピクセル位置における位相を近傍のピクセル位置の位相から推定して補充する位相補充手段とを具備することを特徴とする位相分布測定装置である。 【0014】この観点での発明では、ピクセル位置検出手段により、ローパスフィルタリングする前と後の画像につき、対応するピクセルごとにピクセルデータを比較して位相乱れが生じているピクセル位置を検出し、このピクセル位置におけるピクセルデータを除外した位相マップを位相分布計算手段で求め、その後に、除外したピクセル位置における位相を位相補充手段により近傍のピクセル位置の位相から推定して補充し、矛盾のない位相マップを得る。 【0015】(3)上記の課題を解決するための他の観点での発明は、磁気共鳴撮像した画像をローパスフィルタリングし、前記ローパスフィルタリングする前の画像と前記ローパスフィルタリングした後の画像につき、対応するピクセルごとにピクセルデータを比較して前記ローパスフィルタリング後の値が前記ローパスフィルタリング前の値に対し予め定めた比率以下になるピクセル位置を検出し、前記検出したピクセル位置におけるピクセルデータを除外した前記ローパスフィルタリング前の画像または前記ローパスフィルタリング後の画像に基づいて位相分布を求め、前記求めた位相分布において前記除外したピクセル位置における位相を近傍のピクセル位置の位相から推定して補充し、前記補充した位相分布を用いて画像の位相補正を行うことを特徴とする位相補正方法である。 【0016】この観点での発明では、ローパスフィルタリングする前と後の画像につき、対応するピクセルごとにピクセルデータを比較し、位相乱れが生じているピクセル位置を検出し、このピクセル位置におけるピクセルデータを除外した位相マップを求め、その後に、除外したピクセル位置における位相を近傍のピクセル位置の位相から推定して補充し、矛盾のない位相マップを得る。この位相マップを用いて画像データの位相補正を行う。 【0017】(4)上記の課題を解決するための他の観点での発明は、磁気共鳴撮像した画像をローパスフィルタリングし、前記ローパスフィルタリングした画像に基づいて位相分布を求め、前記求めた位相分布に基づいて前記ローパスフィルタリングする前の画像を位相補正し、前記位相補正した画像をあらためてローパスフィルタリングすること、前記あらためてローパスフィルタリングした画像に基づいてあらためて位相分布を求めること、および、前記位相補正した画像を前記あらためて求めた位相分布に基づいてあらためて位相補正することを特徴とする位相補正方法である。 【0018】この観点での発明では、ローパスフィルタリングした画像から第1段階の位相マップを求め、この位相マップに基づいてローパスフィルタリング前の画像を位相補正し、位相補正した画像をあらためてローパスフィルタリングし、その画像から第2段階の位相マップを求め、第1段階の位相マップで位相補正した画像を第2段階の位相マップでさらに位相補正する。このように複数回位相補正することにより、高次成分を含めた位相補正を行う。 【0019】(5)上記の課題を解決するための他の観点での発明は、磁気共鳴撮像した画像をローパスフィルタリングするフィルタリング手段と、前記ローパスフィルタリングする前の画像と前記ローパスフィルタリングした後の画像につき、対応するピクセルごとにピクセルデータを比較して前記ローパスフィルタリング後の値が前記ローパスフィルタリング前の値に対し予め定めた比率以下になるピクセル位置を検出するピクセル位置検出手段と、前記検出したピクセル位置におけるピクセルデータを除外した前記ローパスフィルタリング前の画像または前記ローパスフィルタリング後の画像に基づいて位相分布を求める位相分布計算手段と、前記求めた位相分布において前記除外したピクセル位置における位相を近傍のピクセル位置の位相から推定して補充する位相補充手段と、前記補充した位相分布を用いて画像の位相補正を行う位相補正手段とを具備することを特徴とする位相補正装置である。 【0020】この観点での発明では、ピクセル位置検出手段により、ローパスフィルタリングする前と後の画像につき、対応するピクセルごとにピクセルデータを比較して位相乱れが生じているピクセル位置を検出し、このピクセル位置におけるピクセルデータを除外した位相マップを位相分布計算手段で求め、その後に、除外したピクセル位置における位相を位相補充手段により近傍のピクセル位置の位相から推定して補充し、矛盾のない位相マップを得る。この位相マップを用いて位相補正手段により画像データの位相補正を行う。 【0021】(6)上記の課題を解決するための他の観点での発明は、磁気共鳴撮像した画磁気共鳴撮像した画像をローパスフィルタリングするフィルタリング手段と、前記ローパスフィルタリングした画像に基づいて位相分布を求める位相分布計算手段と、前記求めた位相分布に基づいて前記ローパスフィルタリングする前の画像を位相補正する位相補正手段と、前記位相補正した画像を前記フィルタリング手段であらためてローパスフィルタリングすること、前記あらためてローパスフィルタリングした画像に基づいて前記位相分布計算手段であらためて位相分布を求めること、および、前記位相補正した画像を前記あらためて求めた位相分布に基づいて前記位相補正手段であらためて位相補正することを行わせる制御手段とを具備することを特徴とする位相補正装置である。 【0022】この観点での発明では、ローパスフィルタリングした画像から位相分布計算手段で第1段階の位相マップを求め、この位相マップに基づいて位相補正手段でローパスフィルタリング前の画像を位相補正し、位相補正した画像をあらためてローパスフィルタリングし、その画像から位相分布計算手段で第2段階の位相マップを求め、第1段階の位相マップで位相補正した画像を位相補正手段により第2段階の位相マップでさらに位相補正する。このように複数回位相補正することにより、高次成分を含めた位相補正を行う。この位相マップを用いて位相補正手段により画像データの位相補正を行う。 【0023】(7)上記の課題を解決するための他の観点での発明は、撮像対象につき磁気共鳴を利用して画像を撮像する撮像手段と、前記撮像した画像をローパスフィルタリングするフィルタリング手段と、前記ローパスフィルタリングする前の画像と前記ローパスフィルタリングした後の画像につき、対応するピクセルごとにピクセルデータを比較して前記ローパスフィルタリング後の値が前記ローパスフィルタリング前の値に対し予め定めた比率以下になるピクセル位置を検出するピクセル位置検出手段と、前記検出したピクセル位置におけるピクセルデータを除外した前記ローパスフィルタリング前の画像または前記ローパスフィルタリング後の画像に基づいて位相分布を求める位相分布計算手段と、前記求めた位相分布において前記除外したピクセル位置における位相を近傍のピクセル位置の位相から推定して補充する位相補充手段と、前記補充した位相分布を用いて画像の位相補正を行う位相補正手段と、前記位相補正した画像のピクセルデータの位相差を利用して水画像と脂肪画像を別々に生成する画像生成手段とを具備することを特徴とする磁気共鳴撮像装置である。 【0024】この観点での発明では、ピクセル位置検出手段により、ローパスフィルタリングする前と後の画像につき、対応するピクセルごとにピクセルデータを比較して位相乱れが生じているピクセル位置を検出し、このピクセル位置におけるピクセルデータを除外した位相マップを位相分布計算手段で求め、その後に、除外したピクセル位置における位相を位相補充手段により近傍のピクセル位置の位相から推定して補充し、矛盾のない位相マップを得る。この位相マップを用いて位相補正手段により画像データの位相補正を行う。位相補正済みの画像データに基づいて、画像生成手段により水と脂肪を別々に画像化する。 【0025】(8)上記の課題を解決するための他の観点での発明は、撮像対象につき磁気共鳴を利用して画像を撮像する撮像手段と、前記撮像した画像をローパスフィルタリングするフィルタリング手段と、前記ローパスフィルタリングした画像に基づいて位相分布を求める位相分布計算手段と、前記求めた位相分布に基づいて前記ローパスフィルタリングする前の画像を位相補正する位相補正手段と、前記位相補正した画像を前記フィルタリング手段であらためてローパスフィルタリングすること、前記あらためてローパスフィルタリングした画像に基づいて前記位相分布計算手段であらためて位相分布を求めること、および、前記位相補正した画像を前記あらためて求めた位相分布に基づいて前記位相補正手段であらためて位相補正することを行わせる制御手段と、前記位相補正した画像のピクセルデータの位相差を利用して水画像と脂肪画像を別々に生成する画像生成手段とを具備することを特徴とする磁気共鳴撮像装置である。 【0026】この観点での発明では、ローパスフィルタリングした画像から位相分布計算手段で第1段階の位相マップを求め、この位相マップに基づいて位相補正手段でローパスフィルタリング前の画像を位相補正し、位相補正した画像をあらためてローパスフィルタリングし、その画像から位相分布計算手段で第2段階の位相マップを求め、第1段階の位相マップで位相補正した画像を位相補正手段により第2段階の位相マップでさらに位相補正する。このように複数回位相補正することにより、高次成分を含めた位相補正を行う。この位相マップを用いて位相補正手段により画像データの位相補正を行う。位相補正済みの画像データに基づいて、画像生成手段により水と脂肪を別々に画像化する。 【0027】(9)上記の課題を解決するための他の観点での発明は、撮像対象につき磁気共鳴を利用して画像を撮像し、前記撮像した画像をローパスフィルタリングし、前記ローパスフィルタリングする前の画像と前記ローパスフィルタリングした後の画像につき、対応するピクセルごとにピクセルデータを比較して前記ローパスフィルタリング後の値が前記ローパスフィルタリング前の値に対し予め定めた比率以下になるピクセル位置を検出し、前記検出したピクセル位置におけるピクセルデータを除外した前記ローパスフィルタリング前の画像または前記ローパスフィルタリング後の画像に基づいて位相分布を求め、前記求めた位相分布において前記除外したピクセル位置における位相を近傍のピクセル位置の位相から推定して補充し、前記補充した位相分布を用いて画像の位相補正を行い、前記位相補正した画像のピクセルデータの位相差を利用して水画像と脂肪画像を別々に生成することを特徴とする磁気共鳴撮像方法である。 【0028】この観点での発明では、ローパスフィルタリングする前と後の画像につき、対応するピクセルごとにピクセルデータを比較して位相乱れが生じているピクセル位置を検出し、このピクセル位置におけるピクセルデータを除外した位相マップを求め、その後に、除外したピクセル位置における位相を近傍のピクセル位置の位相から推定して補充し、矛盾のない位相マップを得る。この位相マップを用いて画像データの位相補正を行う。位相補正済みの画像データに基づいて水と脂肪を別々に画像化する。 【0029】(10)上記の課題を解決するための他の観点での発明は、撮像対象につき磁気共鳴を利用して画像を撮像し、前記撮像した画像をローパスフィルタリングし、前記ローパスフィルタリングした画像に基づいて位相分布を求め、前記求めた位相分布に基づいて前記ローパスフィルタリングする前の画像を位相補正し、前記位相補正した画像をあらためてローパスフィルタリングし、前記あらためてローパスフィルタリングした画像に基づいてあらためて位相分布を求め、前記位相補正した画像を前記あらためて求めた位相分布に基づいてあらためて位相補正し、前記位相補正した画像のピクセルデータの位相差を利用して水画像と脂肪画像を別々に生成することを特徴とする磁気共鳴撮像方法である。 【0030】この観点での発明では、ローパスフィルタリングした画像から第1段階の位相マップを求め、この位相マップに基づいてローパスフィルタリング前の画像を位相補正し、位相補正した画像をあらためてローパスフィルタリングし、その画像から第2段階の位相マップを求め、第1段階の位相マップで位相補正した画像を第2段階の位相マップでさらに位相補正する。このように複数回位相補正することにより、高次成分を含めた位相補正を行う。この位相マップを用いて画像データの位相補正を行う。位相補正済みの画像データに基づいて水と脂肪を別々に画像化する。 【0031】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、本発明は実施の形態に限定されるものではない。図1に磁気共鳴撮像装置のブロック(block)図を示す。本装置は本発明の実施の形態の一例である。本装置の構成によって、本発明の装置に関する実施の形態の一例が示される。本装置の動作によって、本発明の方法に関する実施の形態の一例が示される。 【0032】図1に示すように、本装置はマグネットシステム(magnet system)100を有する。マグネットシステム100は主磁場コイル(coil)部102、勾配コイル部106およびRF(radio frequency)コイル部108を有する。これら各コイル部は概ね円筒状の外形を有し、互いに同軸的に配置されている。マグネットシステム100の内部空間に、撮像対象300がクレードル(cradle)500に搭載されて図示しない搬送手段により搬入および搬出される。 【0033】主磁場コイル部102はマグネットシステム100の内部空間に静磁場を形成する。静磁場の方向は概ね撮像対象300の体軸の方向に平行である。すなわちいわゆる水平磁場を形成する。主磁場コイル部102は例えば超伝導コイルを用いて構成される。なお、超伝導コイルに限らず常伝導コイル等を用いて構成しても良いのはもちろんである。 【0034】勾配コイル部106は静磁場強度に勾配を持たせるための勾配磁場を生じる。発生する勾配磁場は、スライス(slice)勾配磁場、リードアウト(read out)勾配磁場およびフェーズエンコード(phase encode)勾配磁場の3種であり、これら3種類の勾配磁場に対応して勾配コイル部106は図示しない3系統の勾配コイルを有する。 【0035】RFコイル部108は静磁場空間に撮像対象300の体内のスピンを励起するための高周波磁場を形成する。以下、高周波磁場を形成することをRF励起信号の送信という。RFコイル部108は、また、励起されたスピンが生じる電磁波すなわち磁気共鳴信号を受信する。RFコイル部108は図示しない送信用のコイルおよび受信用のコイルを有する。送信用のコイルおよび受信用のコイルは、同じコイルを兼用するかあるいはそれぞれ専用のコイルを用いる。 【0036】勾配コイル部106には勾配駆動部130が接続されている。勾配駆動部130は勾配コイル部106に駆動信号を与えて勾配磁場を発生させる。勾配駆動部130は、勾配コイル部106における3系統の勾配コイルに対応して、図示しない3系統の駆動回路を有する。 【0037】RFコイル部108にはRF駆動部140が接続されている。RF駆動部140はRFコイル部108に駆動信号を与えてRF励起信号を送信し、撮像対象300の体内のスピンを励起する。 【0038】RFコイル部108には、また、データ収集部150が接続されている。データ収集部150はRFコイル部108が受信した受信信号を取り込み、それをディジタルデータ(digital data)として収集する。 【0039】勾配駆動部130、RF駆動部140およびデータ収集部150には制御部160が接続されている。制御部160は、勾配駆動部130ないしデータ収集部150をそれぞれ制御する。 【0040】データ収集部150の出力側はデータ処理部170に接続されている。データ処理部170は、データ収集部150から取り込んだデータを図示しないメモリ(memory)に記憶する。メモリ内にはデータ空間が形成される。データ空間は2次元フ−リエ(Fourier)空間を構成する。データ処理部170は、これら2次元フ−リエ空間のデータを2次元逆フ−リエ変換して撮像対象300の画像を再構成する。 【0041】データ処理部170は制御部160に接続されている。データ処理部170は制御部160の上位にあってそれを統括する。データ処理部170には、表示部180および操作部190が接続されている。表示部180は、データ処理部170から出力される再構成画像および各種の情報を表示する。操作部190は、操作者によって操作され、各種の指令や情報等をデータ処理部170に入力する。 【0042】図2に、他の方式の磁気共鳴撮像装置のブロック図を示す。本装置は本発明の実施の形態の一例である。本装置の構成によって、本発明の装置に関する実施の形態の一例が示される。本装置の動作によって、本発明の方法に関する実施の形態の一例が示される。 【0043】図2に示す装置は、図1に示した装置とは異なるマグネットシステム100’を有する。マグネットシステム100’以外は図1に示した装置と同様な構成になっており、同様な部分に同一の符号を付して説明を省略する。 【0044】マグネットシステム100’は主磁場マグネット部102’、勾配コイル部106’およびRFコイル部108’を有する。これら主磁場マグネット部102’および各コイル部は、いずれも空間を挟んで互いに対向する1対のものからなる。また、いずれも概ね円盤状の外形を有し中心軸を共有して配置されている。マグネットシステム100’の内部空間に、撮像対象300がクレードル500に搭載されて図示しない搬送手段により搬入および搬出される。 【0045】主磁場マグネット部102’はマグネットシステム100’の内部空間に静磁場を形成する。静磁場の方向は概ね撮像対象300の体軸方向と直交する。すなわちいわゆる垂直磁場を形成する。主磁場マグネット部102’は例えば永久磁石等を用いて構成される。なお、永久磁石に限らず超伝導電磁石あるいは常伝導電磁石等を用いて構成しても良いのはもちろんである。 【0046】勾配コイル部106’は静磁場強度に勾配を持たせるための勾配磁場を生じる。発生する勾配磁場は、スライス勾配磁場、リードアウト勾配磁場およびフェーズエンコード勾配磁場の3種であり、これら3種類の勾配磁場に対応して勾配コイル部106’は図示しない3系統の勾配コイルを有する。 【0047】RFコイル部108’は静磁場空間に撮像対象300の体内のスピンを励起するためのRF励起信号を送信する。RFコイル部108’は、また、励起されたスピンが生じる磁気共鳴信号を受信する。RFコイル部108’は図示しない送信用のコイルおよび受信用のコイルを有する。送信用のコイルおよび受信用のコイルは、同じコイルを兼用するかあるいはそれぞれ専用のコイルを用いる。 【0048】図3に、磁気共鳴撮像に用いるパルスシーケンス(pulse sequence)の一例を示す。このパルスシーケンスは、スピンエコー(SE:SpinEcho)法のパルスシーケンスである。 【0049】すなわち、(1)はSE法におけるRF励起用の90°パルスおよび180°パルスのシーケンスであり、(2)、(3)、(4)および(5)は、同じくそれぞれ、スライス勾配Gs、リードアウト勾配Gr、フェーズエンコード勾配GpおよびスピンエコーMRのシーケンスである。なお、90°パルスおよび180°パルスはそれぞれ中心信号で代表する。パルスシーケンスは時間軸tに沿って左から右に進行する。 【0050】同図に示すように、90°パルスによりスピンの90°励起が行われる。このときスライス勾配Gsが印加され所定のスライスについての選択励起が行われる。90°励起から所定の時間後に、180°パルスによる180°励起すなわちスピン反転が行われる。このときもスライス勾配Gsが印加され、同じスライスについての選択的反転が行われる。 【0051】90°励起とスピン反転の間の期間に、リードアウト勾配Grおよびフェーズエンコード勾配Gpが印加される。リードアウト勾配Grによりスピンのディフェーズ(dephase)が行われる。フェーズエンコード勾配Gpによりスピンのフェーズエンコードが行われる。 【0052】スピン反転後、リードアウト勾配Grでスピンをリフェーズ(rephase)してスピンエコーMRを発生させる。スピンエコーMRはデータ収集部150によりビューデータ(view data)として収集される。このようなパルスシーケンスが周期TR(repetition time)で64〜512回繰り返される。繰り返しのたびにフェーズエンコード勾配Gpを変更し、毎回異なるフェーズエンコードを行う。これによって、64〜512ビューのビューデータが得られる。 【0053】スピンエコーMRは、エコー中心に関して対称的な波形を持つRF信号となる。中心エコーは90°励起からTE(echo time)後に生じる。時間TEを適切に選ぶことにより、水のエコーと脂肪のエコーの位相差をπ/2とすることができる。位相差をπ/2にするTEは静磁場強度が0.2Tの場合で2τ+8.6msまたは2τ−8.6ms程度である。なお、τは90°励起から180°励起までの時間間隔である。この程度のTEで得られるスピンエコーは十分な信号強度を有する。 【0054】磁気共鳴撮像用パルスシーケンスの他の例を図4に示す。このパルスシーケンスは、グラディエントエコー(GRE:Gradient Echo)法のパルスシーケンスである。 【0055】すなわち、(1)はGRE法におけるRF励起用のα°パルスのシーケンスであり、(2)、(3)、(4)および(5)は、同じくそれぞれ、スライス勾配Gs、リードアウト勾配Gr、フェーズエンコード勾配GpおよびスピンエコーMRのシーケンスである。なお、α°パルスは中心信号で代表する。パルスシーケンスは時間軸tに沿って左から右に進行する。 【0056】同図に示すように、α°パルスによりスピンのα°励起が行われる。αは90以下である。このときスライス勾配Gsが印加され所定のスライスについての選択励起が行われる。 【0057】α°励起後、フェーズエンコード勾配Gpによりスピンのフェーズエンコードが行われる。次に、リードアウト勾配Grにより先ずスピンをディフェーズし、次いでスピンをリフェーズして、グラディエントエコーMRを発生させる。グラディエントエコーMRはデータ収集部150によりビューデータとして収集される。このようなパルスシーケンスが周期TRで64〜512回繰り返される。繰り返しのたびにフェーズエンコード勾配Gpを変更し、毎回異なるフェーズエンコードを行う。これによって、64〜512ビューのビューデータが得られる。 【0058】グラディエントエコーMRは、エコー中心に関して対称的な波形を持つRF信号となる。中心エコーはα°励起からTE後に生じる。時間TEを適切に選ぶことにより、水のエコーと脂肪のエコーの位相差をπ/2とすることができる。位相差をπ/2にするTEは静磁場強度が0.2Tの場合で8.6ms程度である。この程度のTEで得られるグラディエントエコーは十分な信号強度を有する。 【0059】図3または図4のパルスシーケンスによって得られたビューデータが、データ処理部170のメモリに収集される。なお、パルスシーケンスはSE法またはGRE法に限るものではなく、例えばファーストスピンエコー(FSE:FastSpin Echo)法やエコープラナーイメージング(EPI:EchoPlanar Imaging)等、他の適宜の技法のものであって良いのはいうまでもない。 【0060】データ処理部170は、ビューデータを2次元逆フ−リエ変換して撮像対象300の断層像を再構成する。再構成した画像はメモリに記憶する。ここまでの本装置の構成および機能は、本発明における撮像手段の実施の形態の一例である。 【0061】データ処理部170は、再構成した画像から、水分を画像化した像および脂肪分を画像化した像をそれぞれ生成する。以下、水分を画像化した像を水像、脂肪分を画像化した像を脂肪像という。 【0062】水像および脂肪像を生成するに当たり、データ処理部170は、静磁場の強度分布に相当する位相分布すなわち位相マップを求め、この位相マップで画像の位相補正を行う。なお、位相マップは水・脂肪分離撮像のためばかりでなく、通常の撮像における位相補正用に求めるようにしても良いのはいうまでもない。 【0063】データ処理部170は、本発明の位相分布測定装置の実施の形態の一例である。データ処理部170の構成によって、本発明の装置に関する実施の形態の一例が示される。データ処理部170の動作によって、本発明の方法に関する実施の形態の一例が示される。 【0064】データ処理部170は、また、本発明の位相補正装置の実施の形態の一例である。データ処理部170の構成によって、本発明の装置に関する実施の形態の一例が示される。データ処理部170の動作によって、本発明の方法に関する実施の形態の一例が示される。データ処理部170は、また、本発明における位相補正手段の実施の形態の一例である。 【0065】図5に、水像と脂肪像を分離して生成する観点から見たデータ処理部170のブロック図を示す。同図の各ブロックの機能は、例えばコンピュータプログラム(computer program)等により実現される。以下同様である。 【0066】同図に示すように、データ処理部170はフィルタリング部702を有する。フィルタリング部702は、本発明におけるフィルタリング手段の実施の形態の一例である。フィルタリング部702には、前段の画像再構成部700から再構成画像が入力される。再構成画像としては標準ファントム(phantom)を撮像した画像が用いられる。なお、標準ファントムは水成分のみを含むものである。 【0067】再構成画像のピクセルデータ(pixel data)は複素数で与えられる。すなわち、ピクセルデータは実数成分と虚数成分を有する。以下、実数成分をリアルパート(real part)、虚数成分をイマジナリパート(imaginary part)という。 【0068】入力画像において、撮像対象の磁化率の変化、脂肪による位相変化、血流や体動によるゴーストあるいは大きなノイズ、またはそれらの複合により、静磁場不均一以外の理由で、ピクセルデータの位相が局所的に乱れているところでは、例えば図6の領域Aに示すように、複素画像データを表すベクトルの位相がまちまちとなる。なお、図6はピクセルデータの1次元配列を示す。また、説明を簡単にするためピクセルデータの信号強度は一定であるとする。 【0069】このような入力画像をフィルタリング部702でローパスフィルタリングする。ローパスフィルタリングは例えば移動平均により行う。移動平均に加えるピクセルデータには、例えばガウシアン(Gaussian)分布等の適宜の重みを付しても良い。 【0070】ローパスフィルタリングにより、ピクセルデータは両隣の所定数のピクセルデータとの平均で与えられるので、各ピクセルデータは例えば図7に示すようになる。すなわち、領域Aでは、ピクセルデータの位相が周囲のピクセルデータとは大きく異なるので移動平均により信号強度がかなり低下する。領域Aの外側では、直近のピクセルデータを除いて事実上そのような変化がない。 【0071】このようなピクセルデータにつき、ピクセル位置検出部704により振幅が低下したピクセル位置の検出を行う。ピクセル位置検出部704は、本発明におけるピクセル位置検出手段の実施の形態の一例である。ピクセル位置の検出に際して入力画像も参照される。ピクセル位置の検出は、次式の条件を満たすピクセル位置を検出することである。 【0072】 【数1】
【0073】または、【0074】 【数2】
【0075】ここで、E,eは閾値である。上式により、フィルタリング前の画像とフィルタリング後の画像のピクセルデータを対応するピクセル同士で比較し、信号強度低減が所定の限度を超えたピクセル位置を検出する。これによって、領域Aに属するピクセル位置、すなわち、位相乱れを生じているピクセル位置を検出することができる。 【0076】なお、閾値E,eは、例えば全ピクセルデータに関する(1)式または(2)式の値の標準偏差等に基づいて統計値に定める。あるいは、過去の実績に基づいて定めた値とする。または、結果を見ながら適宜に調節するようにしても良い。 【0077】このようにして検出されたピクセル位置情報が、位相分布計算部706に入力される。位相分布計算部706には入力画像も入力される。位相分布計算部706に入力する画像はフィルタリング部702の出力画像であっても良い。位相分布計算部706は、本発明における位相分布計算手段の実施の形態の一例である。 【0078】位相分布計算部706は入力された画像の個々のピクセルデータについて位相を計算する。位相は複素画像データのリアルパートとイマジナリパートのアークタンジェント(arc tangent)を計算することにより求める。その際、上記のピクセル位置を除外して計算する。これにより、位相の乱れを生じているピクセル位置についてはデータを持たない位相分布が得られる。 【0079】このような位相分布につき、位相補充部708により位相データがない部分についての位相補充を行う。位相補充部708は、本発明における位相補充手段の実施の形態の一例である。位相補充は補間により行われる。補間としては内挿補間および位相補間の両方があり得る。補間演算には1次関数またはそれ以上の高次関数あるいはスプライン(spline)関数等適宜のものが用いられる。 【0080】これによってデータの完備した位相分布が得られる。このような位相分布に基づいて、位相マップ形成部710により位相マップを形成する。位相マップの形成に際して位相のアンラッピングが行われる。位相分布における位相の乱れが無くなっていることにより、アンラッピングを正確に行うことができ、正しい位相マップを得ることができる。 【0081】位相マップは位相マップメモリ712に記憶される。位相マップメモリ712に記憶された位相マップは、位相補正部714において再構成画像の位相補正に利用される。位相補正部714は、画像再構成部700から位相補正すべき再構成画像を入力し、そのピクセルデータの位相を位相マップにおける対応するピクセルの位相によって補正する。 【0082】位相を補正した複素画像は水・脂肪分離部716に入力される。水・脂肪分離部716は、本発明における画像生成手段の実施の形態の一例である。水・脂肪分離部716は、位相補正済みの複素画像のリアルパートを用いて水像を生成し、イマジナリパートを用いて脂肪像を生成する。これによって、正確な水像および脂肪像を得ることができる。生成した水像は水像メモリ718に記憶し、脂肪像は脂肪像メモリ720に記憶する。 【0083】図8に、水像と脂肪像を分離して生成する観点から見たデータ処理部170の他のブロック図を示す。同図の各ブロックの機能は、例えばコンピュータプログラム等により実現される。この図に示すデータ処理部170は、静磁場不均一が非直線的である場合、それに対応する高次成分を含む位相マップで位相補正を行うものである。静磁場不均一の非直線性に対応する位相マップの高次成分および低次成分を、以下単に、それぞれ、高次位相および低次位相という。 【0084】同図に示すように、データ処理部170はフィルタリング部724を有する。フィルタリング部724は、前述のフィルタリング部702と同様なものである。フィルタリング部724には、切換部722を通じて画像再構成部700からの再構成画像または後述する位相補正済みの画像が入力される。切換部722の切り換えは制御部732によって制御される。 【0085】フィルタリング部724は入力された画像をローパスフィルタリングする。フィルタリング部724は、本発明におけるフィルタリング手段の実施の形態の一例である。ローパスフィルタリングの程度はコントローラ732によって調節される。ローパスフィルタリングの程度は、移動平均に用いるデータ数や重みによって調節される。コントローラ732は、本発明におけるフィルタリング調節手段の実施の形態の一例である。 【0086】ローパスフィルタリングにより、再構成画像における例えば図9に示すような位相分布は図10に示すように平滑化された位相分布となる。この位相分布は、1次およびその近傍の低次の位相のみを含み、高次位相を含まない。なお、図9および図10では説明の便宜上位相分布を1次元に縮退して示す。以下の各図においても同様である。 【0087】ローパスフィルタリングした再構成画像につき、位相マップ形成部726により位相マップを形成する。なお、位相マップ形成部726の前段に、図5に示したピクセル位置検出部704から位相補充部708までの構成を組み込み、位相乱れ部分を修正した上で位相マップを形成するようにしても良い。 【0088】位相マップ形成部726は、本発明における位相計算手段の実施の形態の一例である。位相マップ形成部726は前述の位相マップ形成部710と同様なものである。位相マップの形成過程で、ラップアラウンド部分については位相のアンラッピングが行われる。 【0089】ローパスフィルタリングした画像の位相分布が図10に示したようになることにより、図11に示すような位相マップが得られる。このような位相マップを用いて、位相補正部728により入力画像の位相補正を行う。位相補正部728は、本発明における位相補正手段の実施の形態の一例である。位相補正部728は前述の位相補正部714と同様なものである。 【0090】位相補正された入力画像の位相分布は例えば図12に示すようになる。同図に示すように、入力画像は1次ないし低次の位相について位相補正され、高次位相を残したものとなる。残った高次位相には静磁場の非直線性による高次位相が含まれている。 【0091】このような位相分布を持つ位相補正済みの画像を、切換部730および切換部722を通じてフィルタリング部724に戻し、再度ローパスフィルタリングを行う。このときローパスフィルタリングの程度はコントローラ732によって調節される。ローパスフィルタリングの程度は、前回のローパスフィルタリングの程度よりも弱くされる。ローパスフィルタリングの程度は、例えば移動平均のデータ数を削減することにより弱くすることができる。 【0092】このようなローパスフィルタリングにより、画像における例えば図12に示したような位相分布は、図13に示すようになる。図13は新たなローパスフィルタリングを弱くした程度に応じた高次位相を含むものとなる。 【0093】このようにローパスフィルタリングした画像につき、位相マップ形成部726により位相マップを形成する。このとき得られる位相マップは図13に示したものと同じになる。この位相マップを用いて、位相補正部728により、先に位相補正済みの画像をさらに位相補正する。 【0094】位相補正された画像の位相分布は例えば図14に示すように、高次位相に対して位相補正を行ったものになる。このようにして、静磁場の非直線性による高次位相を補正することができる。 【0095】この段階で残留するさらに高次の位相について補正する場合は、切換部730および切換部722を通じて位相補正済みの画像をフィルタリング部724に再度戻す。そしてフィルタリング部724の程度をさらに弱くしてローパスフィルタリングを行い、フィルタリングした画像から求めた位相マップで3度目の位相補正を行う。このような処理を所望の回数繰り返す。すなわち、位相間マップの形成とそれによる位相補正を循環的に行う。コントローラ732および切換部722,730からなる部分は、本発明における制御手段の実施の形態の一例である。 【0096】繰り返しのたびに、ローパスフィルタリングの程度を次第に弱くする。なお、これとは逆に、ローパスフィルタリングの程度を最初は弱いものとし、繰り返しのたびに次第に強くするようにしても良い。ローパスフィルタリングの程度を強くするには、例えば移動平均のデータ数を増加させる。ローパスフィルタリングの程度は、毎回同じであっても差し支えない。 【0097】上記の繰り返しの途中で位相補正済みの画像を随時に表示させるようにしても良い。これによって、位相補正の程度を随時確認することができ、一層適切な位相補正を行うことができる。 【0098】最終的に位相補正済みの画像を切換部730を通じて水・脂肪分離部716に入力する。水・脂肪分離部716は、水像と脂肪像をそれぞれ形成して水像メモリ718および脂肪像メモリ720にそれぞれ記憶する。位相補正が高次成分まで行われるので、正確な水像および脂肪像を得ることができる。 【0099】位相マップを求めるための元画像として撮像対象300を撮像したものを用いる場合は、上記のパルスシーケンスにより、水像と脂肪像はπ/2の位相差を持つので、位相マップは脂肪像に相当するところでは静磁場不均一よる位相にπ/2を加えた位相を持つ。 【0100】このような位相マップで位相補正を行うと、水像と脂肪像の位相差までも補正してしまい、水・脂肪分離画像を得ることができなくなる。そこで、撮像対象300を撮像した画像から位相マップを求める場合は次のような処理を行う。 【0101】図15に、水像と脂肪像がπ/2の位相差を持つ画像から位相マップを求める観点でのデータ処理部170のブロック図を示す。同図に示すように、データ処理部170はパワー(power)画像形成部902および位相分布計算部904を有する。パワー画像形成部902および位相分布計算部904には、再構成画像が入力される。 【0102】パワー画像形成部902は、ピクセルごとの複素数データのパワーを求め、このパワーをピクセル値とする画像すなわちパワー画像を形成する。位相分布計算部904は、再構成画像の位相分布を求める。位相分布の模式図を図16の(a)に示す。同図は、断層像が脂肪像とその周囲を囲む水像からなる場合の、位相分布の1次元プロファイル(profile)である。 【0103】位相分布の1次元プロファイル(以下、単に位相分布という)は、静磁場が均一であるとすると、水像の位相が0になることにより、同図の一点鎖線で示すような図形になるべきであるが、例えば静磁場がリニア(linear)に傾斜す不均一性を持つとすると、実線で示すような位相分布となる。 【0104】位相分布は位相4倍部906に入力される。位相4倍部906は位相分布における各位相をを4倍する。これにより、図16の(b)に示すような位相分布が得られる。同図に示すように、4倍したことにより水と脂肪の位相差が2πになり両者は同相となる。なお、位相分布にはラップアラウンドが生じる。また、それに加えて、水と脂肪の境界部分では位相の不連続ないし急変が生じる。 【0105】このような位相分布が複素画像形成部908に入力される。複素画像形成部908にはパワー画像形成部902からパワー画像も入力される。複素画像形成部908は、位相分布とパワー画像に基づいて複素画像を形成する。 【0106】複素画像のリアルパートは、パワー画像データのコサイン(cosine)として求められる。複素画像のイマジナリパートは、パワー画像データのサイン(sine)として求められる。なお、コサインおよびサインの演算に用いる角度は位相角度である。 【0107】複素画像はローパスフィルタ部910を通して位相分布計算部912に入力される。位相分布計算部912は、ローパスフィルタリングされた複素画像から位相分布を形成する。ローパスフィルタリングにより、位相分布は、図17の(a)に示すような位相の不連続ないし急変部分が、例えば(b)に示すように連続化ないし急変緩和されたものとなる。 【0108】このような位相分布が位相アンラッピング部914に入力される。アンラッピング部914は、図18の(a)に示すようにラップアラウンドしている位相を(b)のようにアンラッピングする。 【0109】アンラッピングされた位相分布は位相1/4倍部916に入力される。位相1/4倍部916は入力位相を1/4倍する。これにより、図18の(c)に示すような位相分布が得られる。この位相分布は、撮像対象300が水だけからなる場合の位相分布に相当する。したがって、この位相分布は静磁場の強度分布すなわち静磁場不均一を表すものとなる。 【0110】このような処理を、図5では位相分布計算部706での処理に置き換え、図8では位相マップ形成部726での処理に置き換えることにより、脂肪像に影響されない位相マップを得ることができる。 【0111】 【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によれば、局所的な位相乱れがある場合でも正確な位相マップを求める位相分布測定方法および装置、そのようにして求めた位相マップを用いる位相補正方法および装置、並びに、そのような位相補正を行う磁気共鳴撮像装置を実現することができる。 【0112】また、高域成分をも含めた位相補正が容易な位相補正方法および装置、並びに、そのような位相補正を行う磁気共鳴撮像装置を実現すること正確な位相マップを能率良く求めるための位相分布測定方法および装置、そのようにして求めた位相マップを用いる位相補正方法および装置、並びに、そのような位相補正を行う磁気共鳴撮像装置を実現することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】300019238 【氏名又は名称】ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー
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| 【出願日】 |
平成11年10月22日(1999.10.22) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100085187 【弁理士】 【氏名又は名称】井島 藤治 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−120516(P2001−120516A) |
| 【公開日】 |
平成13年5月8日(2001.5.8) |
| 【出願番号】 |
特願平11−301078 |
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