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【発明の名称】 電気的切開処置具
【発明者】 【氏名】鶴田 稔

【要約】 【課題】本発明の目的とするところは、電気的損失が少ない、且つ熱影響範囲の少ない電気的切開処置具を提供することにある。

【解決手段】本発明は、電気的絶縁性を持ち少なくとも先端部が柔軟な外套管21の先端部側壁に開口22a,22bを設け、上記外套管21の内腔に進退自在に挿通された導電線23の中途部が、上記開口22a,22bより外へ出てこれより先方位置に導電線23の先端が固定され、上記導電線23は互いに電気的に絶縁された第1導線28と第2導線26を備え、第1導線28によって外套管21の外表面に露出する第1電極24を形成し、第2導線26に第2電極25を設け、第1電極24と第2電極25を上記外套管21の管軸に沿って直線状に前後に配置して設けた電気的切開処置具である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】電気的絶縁性を持ち少なくとも先端部が柔軟な外套と、この外套の先端部側壁に設けられ上記外套の内腔に通じた開口と、上記外套の内腔に進退自在に挿通され先端側部分が上記開口より外套の外表面に出てこれより先方位置に先端が固定される導電線とを有し、上記導電線は、互いに電気的に絶縁された第1導電部材と第2導電部材を備え、第1導電部材によって外套の外表面に露出する第1電極を形成し、第2導電部材に第2電極を設け、第1電極と第2電極を上記外套の軸に沿う直線上に配置して設けた事を特徴とする電気的切開処置具。
【請求項2】請求項1において、上記導電線は内側より第1導電部材、電気的絶縁材、第2導電部材の順に重ねて構成し、第1導電部材を外套の外表面に露出させて第1電極とし、第2導電部材は外套の先端に設けた第2電極に接続した事を特徴とする電気的切開処置具。
【請求項3】請求項1において、外套の先端部で外套の外に露出した導電線の第1導電部材によって第1電極を形成し、この第1電極より先端側に位置して上記外套の外で第2導部材を露出し、この露出部分を第2電極とした事を特徴とする電気的切開処置具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医療分野において、例えば内視鏡と組み合わせて使用し、体腔内の組織を電気的に切開する電気的切開処置具に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】この種の内視鏡用電気的切開装置として一般に使用されてきたものはいわゆる高周波ナイフと呼ばれ、単一の電極を備えたモノポーラのものであり、このモノポーラ電極と体外電極との間に高周波電流が流される。このモノポーラ型の内視鏡用電気的切開装置にあっては意図しない部位への電流の漏れが起きるので出力を上げる必要があった。
【0003】そこで、特開平5−344977号公報において、柔軟なプラスチック製の管の先端部外壁に、2つの線状の電極を管軸方向に沿って平行に設けた双極型の括約筋切開装置が提案されている。このポーラ型の括約筋切開装置は、管の先端部外壁に、ワイヤ電極が、管軸方向に沿って平行に配置して設けられているため、2つのワイヤ電極の間の間隔に応じて切開する部分の面積が広くなり、その結果、熱影響を受ける組織の範囲が広くなる。
【0004】一方、特公平7−73583号公報において、管状のカテーテルの遠位端近くで第1の導電体と電気的に接続される可動式の導電性セグメント部材と、この可動式の導電性セグメント部材の側方を通り、先端へ延びるワイヤ状の第2の導電体を持つ2極型の電気外科装置が提案されている。これは、組織へ接触する2つの電極部分がカテーテルの周囲において反対方向に離れて位置して設けられるため、電流経路が長くなり、電気的損失が大きいという問題があった。
【0005】本発明は上記課題に着目してなされたもので、その目的とするところは、電気的損失が少ない、且つ熱影響範囲の少ない電気的切開処置具を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、電気的絶縁性を持ち少なくとも先端部が柔軟な外套と、この外套の先端部側壁に設けられ上記外套の内腔に通じた開口と、上記外套の内腔に進退自在に挿通され先端側部分が上記開口より外套の外表面に出てこれより先方位置に先端が固定される導電線とを有し、上記導電線は、互いに電気的に絶縁された第1導電部材と第2導電部材を備え、第1導電部材によって外套の外表面に露出する第1電極を形成し、第2導電部材に第2電極を設け、第1電極と第2電極を上記外套の軸に沿う直線上に配置して設けた事を特徴とする電気的切開処置具である。
【0007】請求項2に係る発明は、上記請求項1において、上記導電線は内側より第1導電部材、電気的絶縁材、第2導電部材の順に重ねて構成し、第1導電部材を外套の外表面に露出させて第1電極とし、第2導電部材は外套の先端に設けた第2電極に接続した事を特徴とする電気的切開処置具である。
【0008】請求項3に係る発明は、上記請求項1において、外套の先端部で外套の外に露出した導電線の第1導部材によって第1電極を形成し、この第1電極より先端側に位置して上記外套の外で第2導電部材を露出し、この露出部分を第2電極とした事を特徴とする電気的切開処置具である。
【0009】
【発明の実施の形態】(第1実施形態)本発明の第1実施形態に係る電気的切開処置具を図1乃至図6をもって説明する。
【0010】本実施形態の切開処置具は図1で示す如く、操作部1と挿入部2より成る。操作部1は、第1指掛けリング3を一端に持ち、他端で上記挿入部2と接続される把持用本体4を有し、この本体4上にはその軸方向へ摺動自在に装着されたスライダ5が装着されている。スライダ5の左右端部には第2指掛けリング6が形成されている。そして、第1指掛けリング3に親指を掛け、同じ手の人差し指と中指を第2指掛けリング6に掛けてスライダ5を前後にスライドさせることができる。本体4とスライダ5は例えばいずれも電気的絶縁性の材料によって形成されている。
【0011】電気的絶縁処理が施されたスライダ5には電極接続部10が設けられている。この電極接続部10には第1電極コネクタピン11と第2電極コネクタピン12が電気的に絶縁された状態で設けられている。この電極接続部10には図示しない電源に接続された給電ケーブルのコネクタが着脱自在に接続される。給電ケーブルのコネクタを電極接続部10に接続したとき、第1電極コネクタピン11と第2電極コネクタピン12が上記電源に導通される。
【0012】上記挿入部2はPTFE、FEPやポリイミドなどの電気的絶縁性のプラスチック材料からなる柔軟な外套管(外套)21で形成される。外套管21の先端部側壁には管軸直線上に並ぶ2つの開口部22a,22bが内外に貫通して形成されている。この前後にずれて管軸直線上に一列に配置した一対の開口部22a,22bを通じて、外套管21の内腔21aを通って外套管21の外へ露出するように導電線23の中途部分が設けられている。
【0013】すなわち、導電線23は外套管21の内腔21aに摺動自在に挿通され、外套管21の先端部側壁に形成された後方の開口部22bから外へ出て露出し、第1電極24を形成したのち、前方に位置する開口部22aから再び外套管21の内腔21aに入り込み、後述する第2電極25へ接続される。
【0014】上記外套管21の先端にはステンレスなどの導電材料からなる第2電極25が設けられている。この第2電極25を形成する部材は先端側部分が半球状であり、基端部分が柱状に形成され、その柱状の基端部が外套管21の先端に嵌め込まれ、接着等の手段で固定的に取り付けられる。
【0015】上記導電線23は三層の同軸電線構造のものであり、柔軟性を持つ。中心線がステンレス、銅、金などの第2導線26、その外が樹脂性の絶縁層27、更に最外層が第1導線28となっている。最外層の第1導線28はコイル状の金属材やメッシュ状の金属材で作られる。この導電線23の外径は0.4mmから0.2mmであり、第2導線26は外径は約0.1mmである。
【0016】上記導電線23の最外層を形成する第1導線28は外套管21の先端部において2つの開口部22a,22bから外へ延びて外套管21の外へ露出する部分によって上記第1電極24を構成する。また、前方に位置する開口部22aから再び外套管21の内腔に入り込んだ導電線23の先端部分の第1導線28は剥離して除去され、これよりも先に位置する最先端部分では絶縁層27も剥離され、先端において露出した第2導線26のみが第2電極25に対し、接続・固定される。
【0017】また、導電線23の基端側部分は外套管21の内腔を通じて操作部1に導かれ、スライダ5の固定部29に固定される。その上で、第1導線28が第1電極コネクタピン11ヘ電気的に接続され、第2導線26が第2電極コネクタピン12ヘ電気的に接続される。
【0018】挿入部2の外套管21は口金31付きの接続管32を介して操作部1の本体4に装着リング33を用いて着脱自在に接続される。口金31は外套管21の内腔21aに連通し、この口金31にシリンジ等を接続して、例えば薬液等の流体を外套管21の内腔21aに注入できるようになっている。
【0019】次に、切開処置具の使用例について説明する。まず、挿入部2を、内視鏡のチャンネルに通して体内に挿入する。このように経内視鏡的に体腔内に挿入された挿入部2の先端部を目的とする狭窄部分に位置決めし、第1電極24を切開方向に向ける。
【0020】そして、操作部1のスライダ5を後退操作し、導電線23に引っ張り力を加えると、挿入部1の先端部は図5で示すように一方向へ弓状に湾曲変形し、第1電極24と第2電極25の両方が組織に押し付けられる。
【0021】次に、図示しない電源装置より切開電流を導電線23に供給し、この切開電流を第1電極24、生体組織、第2電極25の順に流す。狭窄部分の組織は電気エネルギーにより切開され、狭窄が解除される。図6は具体的な管腔35の狭窄部36を処置する例の状況を示す。
【0022】第1実施形態によれば、第1電極24と第2電極25が挿入部2の軸方向に直線状に配置されているため、切開電流の流れる経路が最短となり、消費電力を少なく出来る。また、消費電力が少ないため、組織への熱的影響を少なく出来る。
【0023】(第1実施形態の変形例)本発明の第1実施形態の変形例として、第2電極25の部分に第1電極24側へ向いて突出する突起を設けたものが考えられる。突起を設けることにより目的組織への電極の密着を更に確実にする事が出来る。
【0024】(第2実施形態)本発明の第2実施形態に係る電気的切開処置具を図7乃至図10をもって説明する。
【0025】本実施形態は、外套管21の先端部内腔に弾性を持つ補強材40を固定し、外套管21の先端には固定パイプ41を設け、補強材40の先端が固定パイプ41に固着されている。さらに開口部22aと開口部22b間の導電線23上に、第1電極24と第2電極25の両方を設けるようにした。
【0026】上記導電線23は第2実施形態のものと同様に三層の同軸電線構造のものであり、開口部22aと開口部22bから外へ露出した導電線23の中途部分は開口部22a側より第2電極25となる第2導線26、絶縁層27、第1電極24となる第1導線28の順に露出するように処理されている。開口部22a,22bの間の第1電極24と絶縁層27と第2電極25のそれぞれの長さは順に約2mm、1mm以下、10mm〜20mmの長さとなっているのが好ましい。導電線23の先端は固定パイプ41に接続されている。その他は前述した第1実施形態のものと同様の構成である。
【0027】次に、この切開処置具の使用例について説明する。まず、内視鏡のチャンネルを通して、挿入部2を体内に挿入する。このように経内視鏡的に体腔内に挿入された挿入部2の先端部を目的とする狭窄部分に位置決めし、第1電極24及び第2電極25が露出した側部を切開しようとする狭窄部分に向ける。
【0028】そして、操作部1のスライダ5を後退操作し、導電線23に引っ張り力を加えると、挿入部1の先端部は図9で示すように弓状に湾曲変形し、第1電極24と、第2電極25の両方が組織に押し付けられる。
【0029】次に、図示しない電源装置より切開電流を導電線23に供給し、この切開電流を第1電極24、組織、第2電極25の順に流す。狭窄部分の組織は電気エネルギーにより切開され、狭窄が解除される。図6は具体的な管腔35の狭窄部36を処置する例の状況を示す。
【0030】この第2実施形態によれば、第1電極24と第2電極25が挿入部2の軸方向に直線状、しかも近接して配置されているため、切開電流の流れる経路が最短となり、消費電力を少なく出来る。また、消費電力が少ないため、組織への熱的影響を少なく出来る。
【0031】更に、第1電極24と第2電極25が同じ導電線23上で同軸であるため、目的部分へ確実に押し付けて接触させる事が出来る。また、消費電力が少ないため、組織への熱的影響を少なく出来る。
【0032】(第3実施形態)本発明の第3実施形態に係る電気的切開処置具を図11乃至図13をもって説明する。
【0033】本実施形態は挿入部2の先端部付近での外套管21と固定パイプ41の一部にわたりスリット45(または孔)を設け、このスリット45(または孔)より第2導線26の一部を外套管21の側壁の外側へ弓状に突出させて第2電極25としたものである。上記スリット45は第1電極24と同じ向きに位置するように方向を一致させており、第2電極25は第1電極24と外套管21の側壁外表面で直線状に配列している。その他の構成は上記第2実施形態に係る電気的切開処置具のものと同様な構造である。
【0034】この第3実施形態では、第2電極25が組織に接触し易くなる。その他の作用・効果は、第1、第2の実施形態と同様である。
【0035】尚、本発明は前述した実施形態のものに限定されるものではない。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、電流の流れる経路を最短とする事が出来、電気的損失が少ない、且つ熱影響範囲の少ない電気的切開装置を提供する事が出来る。
【出願人】 【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス光学工業株式会社
【出願日】 平成11年10月12日(1999.10.12)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外4名)
【公開番号】 特開2001−104330(P2001−104330A)
【公開日】 平成13年4月17日(2001.4.17)
【出願番号】 特願平11−289645