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【発明の名称】 超音波治療装置用アプリケータ
【発明者】 【氏名】小作 秀樹

【氏名】高田 洋一

【氏名】石橋 義治

【氏名】相田 聡

【氏名】野村 哲

【氏名】藤本 克彦

【氏名】原頭 基司

【氏名】迫 陽一

【氏名】山中 昭一

【要約】 【課題】治療用超音波の照射/非照射に関わらず良好な治療対象部位の観察を良好に行い得る超音波治療装置用アプリケータを提供する。

【解決手段】超音波アプリケータ10に備わる超音波プローブ4の中心線L2と振動子1の中心線L1とを所定の距離で離して配置する。もしくは所定の角度θをもって配置する。また、超音波プローブ13を振動子収納部12に対して横方向から取り付けることで小型化が達成できる。また、把持部20を可折式にしたり、用途に合わせて把持部を変更する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 治療対象部位を観察するための超音波断層像を得ることができる超音波プローブを有する超音波治療装置用アプリケータにおいて、前記治療用超音波の中心線より振動子上の所定距離だけ離間した位置に前記超音波プローブが配置されていることを特徴とする超音波治療装置用アプリケータ。
【請求項2】 前記超音波プローブは、前記治療用超音波の集束の中心線と前記超音波プローブの視野の中心線とが平行となる位置に配置されていることを特徴とする請求項1記載の超音波治療装置用アプリケータ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、治療対象部位に超音波を照射して治療を行う超音波治療装置に適用される超音波治療装置用アプリケータに関する。
【0002】
【従来の技術】従来の技術として、連続的な超音波を照射することにより、超音波照射領域における治療対象部位の加熱を可能とする技術が知られている。これらの超音波を発生させるための手段としては、たとえばピエゾ素子を用いた圧電方式や電磁変換方式などが用いられてきた。
【0003】これらの従来技術を、たとえば超音波治療装置へ適用するといった構成が知られており、治療対象となる患者の体外から超音波発生源にて発生させた治療用超音波を、体内の治療対象部位である病変組織などに照射する構成を備えている。
【0004】また、前述の超音波治療装置において照射する超音波を集束する集束手段を備えることにより、意図する部位に集束させることもでき、治療対象部位である病変部に超音波の集束による焦点を結ばせることが行われている。この超音波の集束により、その焦点部位においては超音波エネルギの集中による温度上昇が生じる。この温度上昇により治療対象部位の温度を瞬時に摂氏80度以上にまで加熱できるので、腫瘍などの病変部分を組織変性させて治療することができる。
【0005】このような治療に対して、超音波を発生させるための振動子や、超音波を伝播して被検体との密着を行う超音波伝播媒体、および被検体の治療対象部位を観察するための超音波断層像を得る超音波プローブなどから構成される超音波治療装置用アプリケータ(以下、超音波アプリケータと記す。)を備える超音波治療装置が用いられている。この超音波アプリケータは被検者に対して密着させて使用され、治療対象部位に治療用超音波を伝播させることができる。
【0006】また、超音波アプリケータの中には被検体の治療対象部位を観察するための超音波プローブが配置されている。この超音波プローブにより治療対象部位の治療進行具合や組織の変化の様子、照射対象部位の確認などに有効な超音波断層画像が得られる。超音波プローブは、集束超音波を得るために球殻形状をした振動子の頂点部分に配置されており、直下に位置する集束超音波の焦点付近の超音波断層画像を描出することができる。
【0007】この超音波プローブを用いて、まず治療対象部位を超音波プローブにて観察して治療用超音波が焦点を結ぶ部位を観察することが行われている。この観察は治療用超音波の照射前に行うのみならず、照射中の変化を観察したり、あるいは照射後の治療対象部位の変化を観察する。この観察により治療の進行具合や今後の治療方針の決定等が行われる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述のような超音波アプリケータを用いて超音波治療を行う場合、治療医用超音波を照射している最中に、治療対象部位に集束した焦点を結ぶ以外に治療対象部位観察用の超音波プローブにも照射されてしまう。この照射は意図されたものではなく、たとえば治療用超音波が被検体の体表部分に反射して戻ってきた成分や、あるいは超音波アプリケータの密着不足から生じた体表との間の気泡などにより反射して戻ってくるものである。
【0009】この様々な要因により戻ってくる反射した治療用超音波が、観察用の超音波プローブの主に先端部分に焦点を結んでしまう。超音波プローブは治療対象部位を描出するために治療用超音波を発生させるための振動子の中央部分に配置されるので、丁度超音波プローブの先端部分が、この反射してきた治療用超音波の焦点付近に位置してしまうからである。この結果、超音波プローブの先端部分が温度上昇してしまい、超音波プローブの先端部分に収納されている画像描出用の超音波振動子に影響を及ぼし、所望する超音波断層像を得ることができなくなってしまう。
【0010】本発明はこの点に鑑み、治療用超音波の照射時においても良好な超音波断層像を得られる、安定した信頼性の高い超音波治療装置用アプリケータを提供することを解決すべき課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために請求項1に記載の本発明においては、治療対象部位を観察するための超音波断層像を得ることができる超音波プローブを有する超音波治療装置用アプリケータにおいて、前記治療用超音波の中心線より振動子上の所定距離だけ離間した位置に前記超音波プローブが配置されていることを特徴とする超音波治療装置用アプリケータをもって解決手段とする。
【0012】また、請求項2記載の本発明においては、前記超音波プローブは、前記治療用超音波の集束の中心線と前記超音波プローブの視野の中心線とが平行となる位置に配置されていることを特徴とする請求項1記載の超音波治療装置用アプリケータをもって解決手段とする。
【0013】このようにすれば、超音波断層像を得るための超音波プローブを反射してくる治療用超音波の焦点位置付近から離しておけるので、治療用超音波の照射時において安定して超音波断層像を得る超音波アプリケータを提供することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の第1の実施の形態を説明するための概略図である。
【0015】本発明の第1の実施の形態による超音波アプリケータ10は、治療用超音波を発生させるための振動子1と、被検体の体表と密着しつつ治療用超音波を伝播するためのアプリケータ膜2と、このアプリケータ膜2に保持されて治療用音波を伝播する超音波伝播媒体3と、治療対象部位の超音波断層像を得るための超音波プローブ4と、この超音波プローブを所定位置に保持している保持手段5と、振動子1が組み込まれて支持を行うベース材8と、振動子1を駆動する駆動回路7と、超音波治療装置全体の動作制御を行うシステムコントローラ6とから構成されている。
【0016】超音波プローブ4はシステムコントローラ6に接続されており、このシステムコントローラ6は超音波治療装置全体の動作制御を行い、同時に操作者からの指示が入力され、また操作者に必要な画像情報などを提供している。操作者は被検体に超音波アプリケータ10を接触させると、アプリケータ膜2が被検体の体表面などに密着する。この密着はアプリケータ膜2がゴム等の材質を用いて柔軟性を発揮する膜形状に加工されていることで実現される。このアプリケータ膜2の材質は超音波の透過性にも優れたものが選択されており、たとえばシリコーンゴムを膜状に加工したものなどが多く用いられている。また、逆に柔軟性を有しない硬度を備えた材質でも可能であり、たとえば音響透過性に優れた樹脂材料を薄板状に成形して適用することも可能である。
【0017】超音波伝播媒体3は振動子1で発生した治療用超音波を体表まで伝播するために備えられている。この超音波伝播媒体3は一般的に水がその手軽さから用いられており、超音波の伝播特性や化学的安定性、コスト、入手やメンテナンスの容易さから一般的に選択されている。この超音波伝播媒体3は治療用超音波を伝播する以外に、超音波プローブ4からの画像描出用超音波の伝播も行っている。この画像描出用超音波を超音波プローブ4から送信して、再び反射してきた反射超音波を受信し、システムコントローラ6が備える図示しない超音波信号処理手段にて信号処理された後に画像モニタなどを介して操作者に超音波断層像を提供するものである。
【0018】この超音波プローブ4は保持手段5により振動子1の中心線L1から所定の距離を置いて保持されている。超音波プローブ4は振動子1の中心線L1から所定の距離を離して配置されることで意図しない超音波プローブ4の先端部分の温度上昇を防止することができる。この温度上昇は治療用超音波が被検体に向けて照射されると、その治療用超音波の多くの部分は集束されて焦点f1を被検体内の治療対象部位に結ぶ。しかしながら、体表面からの治療用超音波の反射して戻ってくる分も少なからず存在しており、その反射してくる治療用超音波は振動子1の中心線L1上で球殻形状の中央付近に集束してしまう場合が多い。
【0019】この反射した治療用超音波の集束する焦点付近においては、超音波エネルギーの集中が起り、温度の上昇が発生する。この位置に超音波プローブ4が位置していると先端部分などにおいて温度上昇が生じるので、これを避けるために超音波プローブ4は保持手段5にて保持されて振動子1の中心線L1から離れた位置に配置される。この離れる距離は、超音波プローブ4の視野幅と、および治療対象部位や焦点f1が十分に観察視野に入るかどうかといった点を考慮して決められる。
【0020】また、保持手段5は振動子1の所定位置にて超音波プローブ4を保持しているが、この保持手段5をシステムコントローラ6にて移動制御が可能に構成することもできる。この場合は治療用超音波の照射に連動して、治療用超音波の照射中においては中心線1上から移動し、照射が行われていない時には中心線L1上に超音波プローブ4を移動させるようにしても良い。この移動は振動子1の球殻状の円弧に沿うのではなく、超音波プローブ4の画像の中心線L2と振動子1の中心線L1とが平行を保つように平行移動することで、超音波断層像上の治療対象部位を見失ったり、位置関係に混乱を生じることを防ぐことができる。
【0021】図2は本発明の第2の実施の形態による超音波治療装置を説明するための概略図である。
【0022】図2に示される超音波治療装置の構成は先に図1にて示した本発明の第1の実施の形態の構成に対して、超音波プローブ4の配置角度が異なっている。この配置角度の違いに伴い、保持手段9の形状が図1の保持手段5に比べて異なっている。この第2の実施の形態による超音波プローブ4の配置によれば、体表等から反射してきて再び焦点を結んだ治療用超音波から超音波プローブ4の先端部分を離すことができる点については変わりわない。しかしながら、超音波プローブ4で得ることのできる超音波断層像の視野が異なっており、振動子1の中心線L1に対して超音波プローブ4の中心線は角度θをなしている。
【0023】超音波プローブ4にて得られる超音波断層像は、その画像の中心線上に焦点f1が重なった治療対象部位を描出する。この描出される超音波断層像は治療用超音波の中心線l1に対して角度θ分の斜め方向からの画像となるものの、得た超音波断層像を治療観察情報として十分に活用でき、同時に超音波プローブ4の先端部分の加熱の心配も無いので、治療用超音波の照射中において治療対象部位の観察をすることができる。
【0024】図3は、本発明の第1または第2の実施の形態が適用された超音波アプリケータの第1の外観を示す。
【0025】この超音波アプリケータ11は、治療用超音波の振動子ならびに超音波伝播媒体などを収納している振動子収納部12と、治療対象部位の超音波断層像を描出するための超音波プローブ13と、被検体の体表に密着して治療用超音波の伝播を良好にするためのアプリケータ膜28と、操作時に把持されるスライド部14と、スライド部14を把持しやすい角度に可折可能に支持する可折支点15とから構成されている。
【0026】超音波プローブ13は、その超音波断層像描出のための画像中心線L3は治療用超音波の中心線L1に平行に離して配置されている。もしくは図示されないが中心線L1に対して所定の角度をもって画像中心線L3が配置されても良い。このように中心線L1から離すことによって、反射してきた治療用超音波による超音波プローブ13の先端部分が加熱されることはない。超音波プローブ13の長手方向の本体は中心線L1に対して直角に交わる方向に配置されており、これによって超音波アプリケータ11の厚み方向の寸法を小さくすることができる。
【0027】また、可折支点15を中心として所定の角度の範囲内において折れ曲がることができるので、更に把持するための操作性が向上する。たとえばこの可折は図中の矢印hにて示されるように移動する。スライド部14はこの可折支点の後方の本体装置側に設けられており、このスライド部14は図中の矢印kにて示されるように超音波プローブ13の長手方向に沿って移動可能である。これにより把持部分の長さを自在に調節することができる。
【0028】これらの構成により、たとえば超音波アプリケータ11を術中において使用する場合に有効である。超音波プローブ13が中心線L1に対して実質的に直行方向に配置されることにより、振動子収納部12の厚みが減るので肋骨などの下に存在する肝臓表面などの狭い部分への進入操作が容易に行える。この狭い部位での操作に対して可折支点15やスライド部14の可動範囲を適宜に調節することにより、所望する治療対象部位に良好に接触させることができ、ひいては正確かつ安全な超音波治療が実施できる。
【0029】図4は、本発明の第1または第2の実施の形態が適用された超音波アプリケータの第2の外観を示す。また(a)は超音波アプリケータ16の鳥瞰図であり、(b)は俯瞰図である。
【0030】この超音波アプリケータ16は、治療用超音波を発生させるための振動子や超音波伝播媒体および超音波プローブなどが収納されている振動子収納部17と、体表に密着して治療用超音波を良好に伝播して透過するアプリケータ膜18と、操作時に把持される把持部20と、この把持部20から引出されて超音波治療装置の本体に接続している接続ケーブル21と、把持部20が振動子収納部17に対して相対位置が移動可能に支持接続している支点19とから構成されている。
【0031】振動子収納部17に対して把持部20は支点19を支点として、図(b)にて示されるように移動する。この移動は図中の矢印nにて示されるように左右に動かすことができ、Pで示される位置は例えば右利きの操作者が把持したり、操作するのに好適である。また、図中Qで示される位置は左利きの操作者の把持などにとって好適である。さらに、図(a)中の矢印mのように上下方向にも把持部20が支点19をその中心として屈曲可能なので、より自由度の高い把持や操作が可能になっている。
【0032】図5は、本発明の第1または第2の実施の形態が適用された超音波アプリケータの第3の外観を示す。
【0033】超音波アプリケータ22には図示しない振動子や超音波伝播媒体などの超音波治療に必要な構成が包含されている。この超音波アプリケータ22は装着部26を有しており、この装着部26は本実施の形態の場合は雌ネジが設けられている。この雌ネジに把持部が備える雄ネジがねじ込まれて接合が完成する。この雄ネジ27は把持部の形状にかかわらず設けられている。
【0034】この所定の角度で交差する超音波断層像を得ることができるので、たとえばこの交差の交差軸上に治療対象部位を描出すれば、操作者はこの2断面から容易に治療対象部位の立体的な形状や構造を把握することができる。この立体的な構造が把握できることで、正確な位置決めや、正確な超音波照射を行うことができる。
【0035】このような超音波プローブ29,30の配置の角度は90度での配置により、より好ましく立体的な形状の把握をすることができる。また図6では超音波プローブ29,30を傾斜して配置しているが、もちろん体表面に対して垂直に配置してもよい。
【0036】なお、把持部31はカップリング32に対して着脱自在であり、着脱手段33を操作することで行われる。この用に把持部31が外れることで、狭い治療対象部位にカップリング32を進入させることもでき、あるいは把持部31の形状を他の様々な形状に変更することで、より正確で容易な治療用超音波の照射を行うことができる。
【0037】以上、本発明の実施の形態について述べたとおり、本発明の超音波治療装置用アプリケータによれば、治療用超音波を照射している最中に、たとえば被検体の体表面等から反射して戻ってきた治療用超音波が結ぶ焦点付近の温度上昇から、画像観察用の超音波プローブを離すことができる。このため、超音波プローブの先端部分の意図しない加熱から逃れることができるので、先端部に配置された画像描出用の超音波振動子に不具合が発生することを防止できる。
【0038】また、超音波プローブの先端部分の加熱が生じないので、治療用超音波の照射中においても安定して治療対象部位の超音波断層像を観察することができ、経過を観察しながら超音波治療を進めることができる。
【0039】また、超音波プローブを治療用超音波の反射してきた意図されない焦点付近から離して配置できるので、超音波アプリケータの形状を使用目的などに応じて自在に設計できるので、用途に応じた最適の形状を備えた超音波治療装置用アプリケータを提供することができる。
【0040】また、超音波プローブを複数備えることが可能になるので、治療対象部位の2断面の超音波断層像を得ることができ、立体的な治療対象部位の把握をすることが容易になる。
【0041】なお、以上説明した実施の形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施の形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、治療用超音波の照射/非照射にかかわらず安定した超音波断層像を得ることができ、また、信頼性も高く操作性の良好な超音波アプリケータを備えた超音波治療装置を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成11年10月8日(1999.10.8)
【代理人】 【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和 (外7名)
【公開番号】 特開2001−104327(P2001−104327A)
【公開日】 平成13年4月17日(2001.4.17)
【出願番号】 特願平11−288681