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【発明の名称】 超音波診断装置
【発明者】 【氏名】朝山 啓二朗

【氏名】中村 恭大

【氏名】門倉 繁好

【要約】 【課題】ドプラ音声情報に対してその周波数に応じた利得制御を施すことにより、所望のドプラ音声情報をより明瞭に抽出する。

【解決手段】位相検波回路13と、位相検波された信号の周波数を分析する周波数分析器14と、位相検波された信号の周波数から超音波探触子に向かってくる血流と遠ざかる血流の二つの音声情報に分離する順逆分離部17と、周波数分析器の出力を用いて前記音声情報のレベルを制御する利得制御部18とを備えている。微小な流量の血流信号であるが、流速が速いような血流の音声を明瞭に抽出することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 超音波探触子から生体内へ送信され、前記生体内で反射し、前記超音波探触子で受信された超音波エコーのドプラ信号を位相検波する位相検波手段と、前記位相検波された信号の周波数を分析する周波数分析手段と、前記位相検波された信号の周波数から前記超音波探触子に向かってくる血流と遠ざかる血流の二つの音声情報に分離する順逆分離手段と、前記周波数分析手段の出力を用いて前記音声情報のレベルを制御する利得制御手段とを備えたことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】 前記順逆分離手段の出力信号の振幅を検出する振幅検出手段を備え、前記利得制御手段が前記振幅検出手段の出力に応じた利得制御を併用することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は超音診断装置に関し、特に、超音波エコーのドプラ信号(ドプラ偏移成分)を音声情報として出力できるようにした超音波ドプラ血流計に関するものである。
【0002】
【従来の技術】生体循環器等の診断において盛んに利用されている超音波ドプラ血流計において、診断技術の進歩とともに画像表示されるドプラスペクトラム情報と同様にドプラ音声情報もより一層重要な診断要素となっている。ドプラスペクトラム情報とともにドプラ音声情報も取得できる超音波ドプラ血流計としては、例えば特開平7-79976号公報に開示されたものがあった。以下に前記公報に開示された超音波ドプラ血流計の基本原理を図5を用いて説明する。
【0003】この超音波ドプラ血流計は、超音波探触子(図示せず)を介して得た受信信号を位相検波するドプラ検波部(位相検波回路)31と、ドプラ検波部32の出力に対して後述するデジタルフィルタ34の出力を乗算する乗算器32,33と、乗算器32,33の出力の増幅を行う増幅器37と、増幅器37の出力をデジタル化するA/D変換器38と、A/D変換器38の出力データを周波数分析する周波数分析部39と、A/D変換器38の出力データをアナログ化するD/A変換器40と、D/A変換器40の出力の折り返し信号除去用のローパスフィルタ41と、ローパスフィルタ41の出力から、超音波探触子に向かってくる血流と遠ざかる血流を音声情報として分離処理する順逆分離部42と、分離された音声情報を出力するスピーカ43と、A/D変換器38の出力データの振幅を演算する絶対値演算部36と、その絶対値から制御すべき利得を算出する利得演算部35と、利得演算部35の出力をフィルタ制御するデジタルフィルタ34とを備えている。
【0004】以上のように構成された超音波ドプラ血流計において、送信走査回路(図示せず)で発生された駆動パルスは超音波探触子の超音波振動子に印加され、超音波に変換されて被検体に送波される。被検体からの反射超音波(超音波エコー)は超音波探触子の超音波振動子によって電気信号に変換され、受信走査回路(図示せず)に送られる。
【0005】受信信号は受信走査回路にて処理された後、ドプラ検波部31において検波処理を施され、これにより得られたR(実部)信号とI(虚部)信号を周波数分析部39において周波数分析することにより、被検体内の血流の移動速度を求め、DSC(Digital Scan Converter)部(図示せず)において走査変換を行い、モニタに画像を表示する。
【0006】また、A/D変換器38においてデジタル化された信号はD/A変換器40、ローパスフィルタ41を経由し、順逆分離部42によって、超音波探触子に向かってくる血流と遠ざかる血流の2つの音声情報に分離され、スピーカ43から音声として出力される。
【0007】さらに、A/D変換器38の出力データの振幅に従い、絶対値演算部36、利得演算部35において、振幅の大小に応じて利得を算出し、デジタルフィルタ34を経由し、ドプラ検波部31の後段に設けられた乗算器32,33によって、データの圧縮を行う。これによりドプラ検波部31からの出力信号レベルが小さいときには圧縮を行わず、出力信号レベルが大きなときは圧縮を行い、ドプラ信号の飽和によるアーティファクト、血流速音の音割れを防止し、正確な血流速像の作成、正確な血流速の出力を行う。
【0008】つまり、上記従来例においては、位相検波で得られた血流情報の振幅をドプラ周波数に依存することなく一義的に利得制御処理し、音声情報として出力していた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の超音波ドプラ血流計においては、ドプラ音声情報の周波数に応じた利得制御を施すことができなかったため、微小な流量の高速血流等の抽出が明瞭でなく、診断用途や診断目的に応じたドプラ音声情報を得ることができなかった。
【0010】また、利得制御にLOG(対数)圧縮を行う方法もあるが、人体の可聴感度の良好な低い周波数が強調され、高い周波数の音声が聞こえにくいという課題があった。
【0011】本発明は、このような従来の欠点を克服するためになされたものであり、ドプラ音声情報に対してその周波数に応じた利得制御を施すことにより、所望のドプラ音声情報を得て、確実な診断を可能にした超音波診断装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の超音波診断装置は、超音波探触子から生体内へ送信され、前記生体内で反射し、前記超音波探触子で受信された超音波エコーのドプラ信号を位相検波する位相検波手段と、前記位相検波された信号の周波数を分析する周波数分析手段と、前記位相検波された信号の周波数から前記超音波探触子に向かってくる血流と遠ざかる血流の二つの音声情報に分離する順逆分離手段と、前記周波数分析手段の出力を用いて前記音声情報のレベルを制御する利得制御手段とを備えた構成を有している。この構成により、周波数に応じて音声情報の利得制御を施し、診断用途や診断目的に応じた所望のドプラ音声情報を得ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について、図1〜図4を用いて詳細に説明する。
【0014】図1は、本発明の第1の実施の形態の超音波ドプラ血流計の構成を示すブロック図である。
【0015】本発明の第1の実施の形態の超音波ドプラ血流計では、超音波エコーのドプラ周波数偏移に応じてドプラ音声情報の利得制御を行うことにより、微小な流量の高速血流等を明瞭に抽出することを可能にした。
【0016】図1に示すように、この超音波ドプラ血流計は、被検体へ超音波パルスを送信し、被検体からの反射超音波を受信して電気信号に変換する超音波探触子10と、超音波探触子10から送信される超音波ビームを走査するための送信走査回路11と、超音波探触子10で受信される超音波を走査するための受信走査回路12と、受信走査回路12の出力信号を位相検波してドプラ信号を検波する位相検波回路13と、位相検波回路13の出力の周波数分析を行う周波数分析器14と、周波数分析器14の出力を表示用の画像データに変換するDSC部15と、DSC部15の出力を表示するモニタ16と、位相検波回路13の出力を用いて、超音波探触子に向かってくる血流(順方向)と遠ざかる血流(逆方向)に音声情報を分離処理する順逆分離部17と、周波数分析器14からの情報を用いて、順逆分離部17の出力の利得を制御する利得制御部18と、利得制御部18の出力を音声として出力する左右のスピーカ19,20とを備えている。
【0017】ここで、DSC部15は、例えば横軸に時間、縦軸(順方向を+、逆方向を−)に周波数偏移を示す血流速画像に対応する画像データを生成する。また、左右のスピーカ19,20は、例えば、順方向を右側のスピーカ、逆方向を左側のスピーカから、血流速音として出力する。
【0018】以上のように構成された超音波ドプラ血流計において、送信走査回路11で発生した駆動パルスは超音波探触子10の超音波振動子に印加され、超音波に変換されて被検体に送波される。被検体からの反射超音波は超音波探触子10の超音波振動子によって電気信号に変換され、受信走査回路12に送られる。そして、受信走査回路にて受信処理された後、位相検波回路13において検波処理を施される。そして、この処理により得られたR信号とI信号を周波数分析器14において周波数分析することにより、被検体内の血流の移動速度を求め、DSC部15において走査変換を行い、モニタ16に画像を表示する。
【0019】また、位相検波回路13の出力は、順逆分離部17によって、超音波探触子10に向かってくる血流と遠ざかる血流の2つの音声情報に分離され、利得制御部18において、周波数分析器14の出力に応じた利得制御を受けた後、スピーカ19,20から音声として出力される。
【0020】次に、利得制御部18における利得制御について、図2および図3を用いて詳細に説明する。
【0021】利得制御部18に図2に示すような振幅がV1inであり、周波数が期間Aでf1A、期間Bでf1Bである信号が入力された場合、周波数の高いf1Bの部分と周波数の低いf1Aの部分に応じて、下記の式に示されている利得制御を行う。
V1outA=K1×V1in×|f1A|V1outB=K2×V1in×|f1B|【0022】これらの式において、V1inは利得制御部18の入力信号の振幅、V1outAは期間Aにおける利得制御部18からの出力信号の振幅、f1Aは期間Aにおいて利得制御部18に入力される信号の周波数、V1outBは期間Bにおける利得制御部18からの出力信号の振幅、f1Bは期間Bにおいて利得制御部18に入力される信号の周波数、K1、K2は係数を示す。ここで、|f1A|<|f1B|の場合はK1<K2とし、|f1A|≧|f1B|の場合はK1≧K2とする。このように、周波数分析器14で分析された周波数が高いほど利得を大きく制御することが可能になる。したがって、臨床的に速い血流が着目される場合、速い流速の音声を強調し、明瞭に抽出することができる。
【0023】次に、利得制御部18への順逆分離部17からの順方向と逆方向の出力信号の周波数がそれぞれ異なる場合の利得制御を図3に示す。利得制御部18の入力#1に振幅V2inA、周波数f2Aの信号が、入力#2に振幅V2inB、周波数f2Bの信号が入力された場合下記の式に示す利得制御を行う。
V2outA=K3×V2inA×|f2A|V2outB=K4×V2inB×|f2B|【0024】これらの式において、V2inA、V2inBは利得制御部18の入力信号の振幅、V2outA、V2outBは利得制御部18からの出力信号の振幅、f2Aは入力#1の信号の周波数、f2Bは入力#2の信号の周波数、K3、K4は係数を示す。ここで、|f2A|<|f2B|の場合はK3<K4とし、|f2A|≧|f2B|の場合はK3≧K4とする。このように、周波数分析器14で分析された周波数が高いほど利得を大きく制御することが可能になる。
【0025】なお、図2および図3では、周波数が高いほど利得を大きく制御する場合を例示したが、周波数が低いほど利得を大きく制御することも勿論可能である。このように制御することで、臨床的に遅い血流が着目される場合、遅い流速の音声を強調し、明瞭に抽出することができる。
【0026】以上のように、本発明の第1の実施の形態では、超音波エコーのドプラ周波数偏移に応じてドプラ音声情報の利得制御を行うので、微小な流量の高速血流等を明瞭に抽出し、可聴音として出力することができる。
【0027】図4は本発明の第2の実施の形態の超音波ドプラ血流計の構成を示すブロック図である。
【0028】本発明の第2の実施の形態の超音波ドプラ血流計は、超音波エコーのドプラ周波数偏移に応じてドプラ音声情報の利得制御を行う際に、ドプラ周波数偏移成分の振幅に応じた利得制御を併用することにより、微小な流量の高速血流等をより明瞭に抽出することを可能にした。
【0029】この図4において、図1と同一の構成要素または対応する構成要素には、図1で使用した符号と同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0030】本発明の第2の実施の形態の超音波ドプラ血流計は、第1の実施の形態の超音波ドプラ血流計に対して、順逆分離部17の出力信号の振幅を検出する振幅検出部21を付加し、この振幅検出部21の出力も利得制御部18における利得制御に用いるように構成したものである。この振幅検出部21は、順逆分離部17で分離された順方向と逆方向の音声情報の二乗和の平方根を演算することにより、ドプラ信号の絶対値を算出する。
【0031】このドプラ信号の絶対値が順逆分離部17の出力信号の振幅を示しており、利得制御部18に入力され、利得制御の式のV1in、V2in等として利得制御に用いられる。
【0032】以上のように構成された超音波ドプラ血流計の基本動作は前述した第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、さらに、順逆変換部17からの出力信号の振幅を振幅検出部21で検出し、利得制御部18において上記の係数K1、K2、K3、K4に補正を加える。この補正により、大きな振幅の信号の圧縮、微小な信号の増幅を行い、周波数に応じた利得制御においてより効果的な作用が得られる。
【0033】以上のように、本発明の第2の実施の形態では、超音波エコーのドプラ周波数偏移に応じてドプラ音声情報の利得制御を行う際に、ドプラ周波数偏移成分の振幅に応じた利得制御を併用するので、微小な流量の高速血流等をより明瞭に抽出し、可聴音として出力することができる。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、超音波エコーのドプラ周波数偏移に応じてドプラ音声情報の利得制御を行うことにより、臨床的に速い血流が着目される場合、高い周波数、すなわち速い流速の音声を強調し明瞭に抽出することができ、逆に臨床的に遅い血流が着目される場合、低い周波数、すなわち遅い流速の音声を強調し、明瞭に抽出することができるという優れた効果を奏する超音波診断装置を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成11年10月6日(1999.10.6)
【代理人】 【識別番号】100099254
【弁理士】
【氏名又は名称】役 昌明 (外3名)
【公開番号】 特開2001−104308(P2001−104308A)
【公開日】 平成13年4月17日(2001.4.17)
【出願番号】 特願平11−285695