| 【発明の名称】 |
生体磁場計測装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】神鳥 明彦
【氏名】塚田 啓二
【氏名】笹渕 仁
【氏名】宮下 豪
【氏名】横澤 宏一
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| 【要約】 |
【課題】妨害磁場を除去し微弱磁場を検出する生体磁場計測装置を提供する。
【解決手段】生体1から発生する生体磁場の一方向の磁場成分を検出する2次元に配列される複数のSQUID磁束計11,12と,SQUID磁束計を低温に保持するクライオスッタット2と,クライオスッタットの周囲に配置されるコイルを具備し,複数のSQUID磁束計の内の単数又は複数を参照SQUID磁束計11とし,参照SQUID磁束計の出力に基づいて,コイル3に流す電流の大きさを,参照SQUID磁束計の出力がほぼゼロになるように制御する手段4,5を有する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】生体から発生する生体磁場の一方向の磁場成分を検出する2次元に配列される複数のSQUID磁束計と,該SQUID磁束計を低温に保持するクライオスッタットと,該クライオスッタットの周囲に配置されるコイルを具備し,前記複数のSQUID磁束計の内の単数又は複数を参照SQUID磁束計とし,該参照SQUID磁束計の出力に基づいて,前記コイルに流す電流の大きさを,前記参照SQUID磁束計の出力がほぼゼロになるように制御する手段を有することを特徴とする生体磁場計測装置。 【請求項2】請求項1に記載の生体磁場計測装置に於いて,前記コイルが前記SQUID磁束計の検出コイルの面とほぼ同一の平面に配置されることを特徴とする生体磁場計測装置。 【請求項3】請求項1に記載の生体磁場計測装置に於いて,前記参照SQUID磁束計の出力を前記の各SQUID磁束計の出力から差し引く処理を行なうことを特徴とする生体磁場計測装置。 【請求項4】請求項1に記載の生体磁場計測装置に於いて,前記参照SQUID磁束計の出力を前記の各SQUID磁束計の出力から差し引いた結果を表示する表示手段を有することを特徴とする生体磁場計測装置。 【請求項5】請求項1に記載の生体磁場計測装置に於いて,隣接する前記SQUID磁束計の出力の差を表示する表示手段を有することを特徴とする生体磁場計測装置。 【請求項6】請求項1に記載の生体磁場計測装置に於いて,前記参照SQUID磁束計は,前記複数のSQUID磁束計の配列の周辺部又はその近傍に配置されることを特徴とする生体磁場計測装置。 【請求項7】生体の胸部から発生する生体磁場の前記胸部の面と垂直な方向の磁場成分を検出する2次元に配列される複数のSQUID磁束計と,該SQUID磁束計を低温に保持するクライオスッタットと,該クライオスッタットの周囲を取り囲み,前記SQUID磁束計の検出コイルの面とほぼ同一の平面に配置されるコイルを具備し,前記複数のSQUID磁束計の内の単数又は複数を参照SQUID磁束計とし,該参照SQUID磁束計の出力に基づいて,前記コイルに流す電流の大きさを,前記参照SQUID磁束計の出力がほぼゼロになるように制御する手段を有し,前記生体の心臓から発する磁場の前記胸部の面と垂直な方向の磁場成分を検出することを特徴とする生体磁場計測装置。 【請求項8】請求項7に記載の生体磁場計測装置に於いて,前記参照SQUID磁束計は,右胸上部に対応する位置に配列されたことを特徴とする生体磁場計測装置。 【請求項9】請求項7に記載の生体磁場計測装置に於いて,前記参照SQUID磁束計は,左胸下部又は右胸上部に対応する位置に配列されたことを特徴とする生体磁場計測装置。 【請求項10】請求項7に記載の生体磁場計測装置に於いて,前記参照SQUID磁束計の出力を前記の各SQUID磁束計の出力から差し引いた結果を表示する表示手段を有することを特徴とする生体磁場計測装置。 【請求項11】請求項7に記載の生体磁場計測装置に於いて,隣接する前記SQUID磁束計の出力の差を表示する表示手段を有することを特徴とする生体磁場計測装置。 【請求項12】生体から発生する生体磁場を検出する複数のSQUID磁束計と,該SQUID磁束計を低温に保持するクライオスッタットと,妨害磁場のキャンセルを行なうコイルとを具備し,前記複数のSQUID磁束計の内の単数又は複数を参照SQUID磁束計として,前記コイルに前記参照SQUID磁束計の出力に応じて電流を流すと共に,時間変動する前記妨害磁場の周波数帯域に於ける前記参照SQUID磁束計の出力が最小となるように,前記コイルに流す電流を前記妨害磁場の発生源毎に対応して制御する手段とを具備し,前記コイルに流す電流を前記参照SQUID磁束計の出力がほぼゼロになるように制御する制御手段とを有することを特徴とする生体磁場計測装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は,微弱な磁場を計測する磁場計測方法及び磁場計測装置に関し,特に,成人,小児,胎児等の心臓の心筋活動,脳の神経活動等により発生する微弱な生体磁場を,SQUID(Superconducting QuantumInterference Device:超伝導量子干渉素子)磁束計を用いて計測する生体磁場計測方法及び生体磁場計測装置に関する。 【0002】 【従来の技術】従来の生体磁場計測装置では,生体から発生する磁場(以下,「生体磁場」という)の検出に障害となる妨害磁場を除去するために,生体磁場を検出するSQUID磁束計の他に主に妨害磁場だけを検出するSQUID磁束計(以下,「参照磁束計」という)を,生体磁場を検出するSQUID磁束計から離れた位置(生体磁場の影響のない位置)に配置して妨害磁場だけを検出し,生体磁場を検出するSQUID磁束計の出力から参照磁束計の出力を差し引いて妨害磁場のキャンセルを行なっていた(IEEE Trans.Appl.Supercond.Vol.3,No.1,Mar.,1993,pp1878−1882)。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】以下の説明では,目的とする検査対象から発生する磁場の検出に障害となる妨害磁場を主に検出するSQUID磁束計を「参照磁束計」,磁場を検出するSQUID磁束計を単に「磁束計」と表現し,単に「磁束計」との記載は「SQUID磁束計」を意味する。 【0004】従来技術では,通常,妨害磁場を検出する参照磁束計はクライオスッタット内部の高い位置に配置されているため,磁束計を超伝導状態に保持するために液体ヘリウム等の冷媒を常に参照磁束計の位置まで充填しておく必要があり,冷媒の消耗が多く冷媒の補給の間隔が短くなり,多量の冷媒を必要とし,装置の維持管理が高額となるという問題があった。更に従来法では,生体磁場を検出する磁束計が配列される面と参照磁束計との距離が離れているため,実際に生体磁場が検出される位置に於ける妨害磁場の大きさと,参照磁束計が配置された位置に於ける妨害磁場の大きさとが同じではないために,妨害磁場を精度良くキャンセルできないという問題があった。 【0005】本発明の目的は,上記従来技術に於ける問題を解決し,妨害磁場のキャンセルを精度良く簡便に実行でき,かつ,少量の冷媒を使用して磁束計を超伝導状態に保持し,高精度の生体磁場の計測を可能とする生体磁場計測装置を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明の生体磁場計測装置は,クライオスッタットの内部の底部に配列された複数の磁束計により生体磁場を検出する際に,端部又は端部近傍に配列された単数又は複数の磁束計を,生体磁場の検出の障害となる妨害磁場を検出する参照磁束計として使用する。参照磁束計の出力がほぼゼロ(最小)となるように以下の構成により,妨害磁場のキャンセルを実行する。(1)全ての磁束計に同じ強さのフィードバックの磁場を印加する構成とする。(2)各磁束計の出力から参照磁束計の出力を電気回路により差し引く構成とする。(3)各磁束計の出力から参照磁束計の出力をコンピュータによる演算処理により差し引く構成とする。 【0007】本発明の生体磁場計測装置は,生体から発生する生体磁場を検出する複数の磁束計と,磁束計を低温に保持するクライオスッタットとを具備し,複数の磁束計の内の単数又は複数を参照磁束計として,参照磁束計の出力に応じて電流を流す第1のコイルを有し,第1のコイルに流す電流を参照磁束計の出力がほぼゼロ(最小)になるように制御する手段を有する生体磁場計測装置に特徴がある。 【0008】また,本発明の生体磁場計測装置では,参照磁束計は,複数の磁束計の配列の端部又は端部の近傍に配置される磁束計とし,参照磁束計の出力を各磁束計の出力から差し引く処理を行ない,隣接する磁束計の出力の差を,表示手段に表示する。参照磁束計の出力が所定の磁場強度閾値より小さい場合に,第1のコイルに流す電流をゼロにする。 【0009】上記第1のコイルは,磁束計の検出コイルが配置される面とほぼ同一の平面,又は磁束計の検出コイルが配置される面にほぼ平行に配置され,第1のコイルは,1ターンコイル,ソレノイドコイル,ヘルムホルツコイルの何れかであり,直交する3方向の何れか1方向以上の磁場を発生するコイルとするか,複数の磁束計と磁束的にカップリング可能な,参照磁束計を動作させるFLL(FluxLocked Loop)回路のフィードバックコイルとする。 【0010】上記第1のコイルは,クライオスッタットの周囲に配置されるか,生体を保持するベッド又はクライオスッタットを保持する手段の内部又は外部に配置されるか,生体磁場計測装置が置かれるシールドルームの内壁又は外壁に配置される。また,第1のコイルを,クライオスッタットの外壁に配置し,更に,クライオスッタット及び検査対象(生体)が配置される空間に磁場を発生させる第2のコイルと,第2のコイルに流す電流を制御する手段を具備することもできる。 【0011】また,本発明の生体磁場計測装置では,生体磁場計測装置の振動を検出する振動検出手段と,生体磁場の検出を妨害する妨害磁場を検出するフラックスゲート磁束計と,商用電源の電圧を検出する手段の何れか一つ以上を有し,振動検出手段の出力信号をフィルタ処理する第1の手段と,フラックスゲート磁束計の信号をフィルタ処理する第2の手段と,商用電源の電圧を検出する手段の出力信号をフィルタ処理する第3の手段の何れか1つ以上と,フィルタ処理後の信号を第1のコイルに流す電流を制御する手段と,フィルタ処理後の信号と上記制御手段からの信号とを加算する手段を具備し,振動検出手段と,フラックスゲート磁束計を第1のコイルの内側に配置する構成とすることもできる。 【0012】また,本発明の生体磁場計測装置では,生体から発生する生体磁場を検出する複数の磁束計と,磁束計を低温に保持するクライオスッタットと,妨害磁場のキャンセルを行なうコイルとを具備し,複数の磁束計の内の単数又は複数を参照磁束計として,上記コイルに参照磁束計の出力に応じて電流を流すと共に,時間変動する妨害磁場の周波数帯域に於ける参照磁束計の出力がほぼ最小となるように,コイルに流す電流を妨害磁場の発生源毎に対応して制御する手段とを具備し,上記コイルに流す電流を参照磁束計の出力がほぼゼロ(最小)になるように制御する制御手段とを有することにも特徴がある。 【0013】なお,以上説明した生体磁場計測の構成は,検査対象から発生する一般の微弱な磁場の一方向成分を計測する磁場計測装置にも適用される。以上の構成によれば,妨害磁場を精度良く安定して除去でき,少量の液体ヘリウム等の冷媒の使用により磁場計測装置の維持管理を低コストにできる。 【0014】 【発明の実施の形態】(第1の実施例)図1は,本発明の第1の実施例の生体磁場計測装置の構成を示す図である。図1に示す如く,検査対象(被験者)1の胸部の上部に,磁束計を内部の底部に保持し極低温に保持するクライオスタット2が配置されており,クライオスタット2の内部の底部10には磁束計12が2次元の各配列位置(i,j)に配置されている。以下では,各配列位置(i,j)に配置される磁束計12からの出力信号であり,検出された生体磁場の法線成分をBz(i,j)で示す。空間座標として直交座標(x,y,z)を使用する時,検査対象(被験者)1の胸部の面をxy面とする。各位置(i,j)の磁束計は胸部の各(x,y)位置での磁場を検出する。法線方向をz方向とする。検査対象(被験者)1の胸部上での磁束計S(i,j)の配置に関しては図6に於いて後述する。 【0015】信号処理装置5は,図9やその他の図に示す如く,複数のSQUID磁束計を磁束計として動作させるFLL回路(Flux Locked Loop)等を有する駆動回路,駆動回路の出力を帯域制限するフィルタ回路,生体磁場信号をディジタルの値として取り込み演算処理を行ない,処理結果等を表示する表示器(ディスプレイ)を有するパーソナルコンピュータ等の演算処理装置,その他の装置から構成されている。 【0016】複数の磁束計12の内,端部の配列位置(0,0)に配置される参照磁束計11からの出力信号(Bz(0,0)=Bzref)を,生体磁場の正確な検出の妨げとなる妨害磁場のキャンセルを実行する際の参照信号とする。 【0017】制御装置4は,信号処理装置5に取り込まれた参照磁束計11の出力信号(Bz(0,0)=Bzref)を用いて,クライオスタット2の下部の周囲に配置されるコイル3に流す電流を,参照磁束計11に入力する法線方向の磁場がほぼゼロになるように制御する。即ち,配列位置(0,0)での測定磁場がほぼゼロになるように電流をコイル3に流す。この結果,参照磁束計11により検出された磁場(Bzref)と同じ大きさの磁場が,各磁束計12に入力することになる。従って,制御装置4の制御の結果,各磁束計12の出力信号〈Bz(i,j)〉は(数1)で与えられる。また,制御装置4に於いて、コイル3に流す電流を電圧に変換して制御装置4に表示して,参照磁束計11で検出された磁場を同時にモニタできる。 【0018】 【数1】 〈Bz(i,j)〉=Bz(i,j)−Bzref …(数1) 各磁束計12の出力信号〈Bz(i,j)〉は信号処理装置5で演算処理され,心臓から発する磁場の空間分布が,等しい磁場強度を結ぶ等磁場線図としてディスプレイ(表示器)に表示される。等磁場線図は,ディスプレイに表示された表示画面6の如く,正の磁場(沸き出し磁場)の空間分布13が実線で,負の磁場(吸い込み磁場)の空間分布14が点線で表示される。 【0019】以上の説明では,コイル3により同じ強さのフィードバック磁場を全ての磁束計に印加する構成をとったが,コイル3によるフィードバック磁場を印加せず,各磁束計の出力信号(Bz(i,j))から参照磁束計の出力信号(Bz(0,0)=Bzref)を電気回路,又はコンピュータ等の演算処理装置により,(数1)の演算を実行しても良い。 【0020】上記の構成では,8×8の64個の磁束計の配列を使用し,参照磁束計として,配列位置(0,0)に配置される磁束計を使用したが,参照磁束計として,配列位置(0,7),(7,0),(7,7)の何れかの配列位置に配置される磁束計を使用しても良いことは言うまでもない(なお,磁束計S(i,j)の配列位置(i,j)は,図4,図6に示されている)。 【0021】また,各磁束計間の距離を大きくして配列したり,例えば,16×16=256個の如く多数の磁束計の配列を使用して,生体磁場の検出領域を拡大した場合でも,より心臓から遠く離れた位置に配置された磁束計を参照磁束計としても良い。 【0022】更に,以上の説明では,単一の参照磁束計を使用する例をとり説明したが,端部近傍に配列された少数(2〜5)の複数の磁束計を,生体磁場の検出の障害となる妨害磁場を検出する参照磁束計として使用しても良い。例えば,図1に示す例に於いて,心臓から発する磁場が非常に小さいか殆どゼロと見做せる胸部の部位,即ち,人体の右胸上部に対応する配列位置(0,0),(0,1),(1,0)に配置される磁束計,左胸下部に対応する配列位置(7,6),(6,7),(7,7)に配置される磁束計を参照磁束計として使用するのが好ましい。複数の参照磁束計からの出力信号の平均値を求め参照信号Bzrefとして,コイル3によるフィードバック磁場の印加を実行するか,電気回路,又は演算処理装置により(数1)の演算を実行する。上記の平均値として,配列位置(0,0),(0,1),(1,0)に配置される磁束計の出力信号の平均値,配列位置(7,6),(6,7),(7,7)に配置される磁束計の出力信号の平均値,配列位置(0,0),(0,1),(1,0),(7,6),(6,7),(7,7)に配置される磁束計の出力信号の平均値の何れかを使用できる。 【0023】第1の実施例によれば,「妨害磁場のz方向の成分をキャンセルして磁場の検出ができる」という効果が得られる。 【0024】(第2の実施例)図2は,本発明の第2の実施例の生体磁場計測装置の構成を示す図である。第2の実施例は,第1の実施例の構成に妨害磁場のキャンセルを行なうかどうかの判断を行なう判断処理15を加えた構成である。判断処理15は,信号処理装置5で実行される。判断処理15は,(数2)が成立するか否かの処理である。 【0025】 【数2】 Bzref≧Bzthr …(数2) (数2)に於いて,Bzthrは予め設定される磁場強度閾値を示し,通常,Bzthrは数pTから数十pTの範囲の値に設定する。磁場の検出対象(成人の心臓,小児の心臓,胎児の心臓等)により,磁場強度閾値の設定を変更する。参照信号(Bzref)≧磁場強度閾値(Bzthr)である時,信号処理装置5で,第1の実施例と同様の処理により,等磁場線図をディスプレイに表示画面6の如く表示し,参照信号(Bzref)<磁場強度閾値(Bzthr)である時,制御装置4を動作させないで,各磁束計12からの出力信号を信号処理装置5で演算処理((数1)に於いて,Bzref=0とする。)して得られた等磁場線図を,ディスプレイに表示画面7の如く表示する構成とする。13’は正の磁場(沸き出し磁場)の空間分布,14’は負の磁場(吸い込み磁場)の空間分布を示す。 【0026】なお,第2の実施例で第1の実施例と同様に,複数の磁束計を,生体磁場の検出の障害となる妨害磁場を検出する参照磁束計として使用しても良いことは言うまでもない。 【0027】第2の実施例によれば,「妨害磁場のz方向の成分をキャンセルして磁場の検出ができる」という効果が得られる。 【0028】(第3の実施例)図3は,本発明の第3の実施例の生体磁場計測装置の構成を示す図である。第3の実施例では,第1の実施例の構成に,各(x,y)の位置で検出された生体磁場の法線成分Bz(x,y)から,x及びyの2方向の磁場成分(接線成分)〈Bx(x,y)〉,〈By(x,y)〉をそれぞれ(数3),(数4)により推定し,磁場の絶対値を(数5)により求める演算処理8を行ない,等磁場線図により磁場の空間分布をディスプレイに表示する構成を加えている(特願平9−60488号参照)。演算処理8は,信号処理装置5の演算処理装置で実行され,磁場の空間分布はディスプレイに表示画面9の如く表示される。 【0029】 【数3】 〈Bx(x,y)〉=−∂〈Bz(x,y)〉/∂x …(数3) 【0030】 【数4】 〈By(x,y)〉=−∂〈Bz(x,y)〉/∂y …(数4) 【0031】 【数5】 T(x,y)=√{〈Bx(x,y)〉2+〈By(x,y)〉2} …(数5) 第3の実施例で,妨害磁場のz方向の成分のキャンセルを第1の実施例に従い実行する場合には,妨害磁場による影響が少なくなり,アンプ等の回路の出力が飽和することなく,安定して磁場の空間分布が得られる。第3の実施例の構成の特徴は,複数の磁束計S(i,j)の何れを参照磁束計として選んでも,常にほぼ同じ結果を表わす表示画面9が得られる点にある。 【0032】(数3),(数4)の演算は,具体的にいえば,(数6),(数7)により実行でき,〈Bz(x,y)〉と〈Bz(x+Δx,y)〉とに共通して含まれる妨害磁場のz方向の成分は相殺され,及び,〈Bz(x,y)〉と〈Bz(x,y+Δy)〉とに共通して含まれる妨害磁場のz方向の成分は相殺される。従って,2次元配列された複数の磁束計の配列の中心部の磁束計を参照磁束計として選ぶことができ,より心臓の中心部に近い位置での磁場を検出する場合でも妨害磁場のz方向の成分をコイル3によりキャンセルして磁場の検出ができ,磁場の空間分布をディスプレイに表示画面9の如く表示できる。 【0033】Δxは磁束計が配列されるx方向の間隔であり,Δyは磁束計が配列されるy方向の間隔であり,Δx=Δyである場合には,Δx=Δy=1としても良い。この時,(数3),(数4)は隣接する磁束計の出力の差となる。 【0034】 【数6】 〈Bx(x,y)〉=−{〈Bz(x,y)〉−〈Bz(x+Δx,y)〉} /Δx …(数6) 【0035】 【数7】 〈By(x,y)〉=−{〈Bz(x,y)〉−〈Bz(x,y+Δy)〉} /Δy …(数7) また,第3の実施例では,妨害磁場のz方向の成分は,アンプ等の回路の出力が飽和しない場合には,妨害磁場のz方向の成分をキャンセルするコイル3を使用することなく,より正確な磁場の空間分布を得ることもできる。この場合,(数3),(数4),(数5)は,(数8),(数9),(数10)に従い演算処理される。 【0036】 【数8】 Bx(x,y)=−∂Bz(x,y)/∂x =−{Bz(x,y)−Bz(x+Δx,y)}/Δx …(数8) 【0037】 【数9】 By(x,y)=−∂Bz(x,y)/∂y =−{Bz(x,y)−Bz(x,y+Δy)}/Δy …(数9) 【0038】 【数10】 T(x,y)=√{(Bx(x,y))2+By(x,y))2} …(数10) 即ち,各磁束計の出力信号(Bz(i,j))から,接線成分Bx(x,y),By(x,y)をそれぞれ(数8),(数9)により推定し,磁場の絶対値を(数10)により求める演算処理を行ない,この結果,隣接する磁束計の出力信号(Bz(i,j))に共通して含まれる妨害磁場のz方向の成分をキャンセルする操作を行ない,T(x,y)を求め等磁場線図により磁場の空間分布をディスプレイに表示する。なお,(数8),(数9)に於いて,Δx=Δyである場合には,Δx=Δy=1としても良く,この時,(数8),(数9)は隣接する磁束計の出力の差となる。 【0039】なお,上記の(数3)〜(数10)は演算処理8で実行される。また,(数3),(数4),(数6),(数7),(数8),(数9)は微分を行なう専用の電子回路を用いて行なっても良い。 【0040】なお,第3の実施例でも第1,第2の実施例と同様に,複数の磁束計を,生体磁場の検出の障害となる妨害磁場を検出する参照磁束計として使用しても良いことは言うまでもない。 【0041】第3の実施例によれば,「妨害磁場のz方向の成分をキャンセルして磁場の検出ができる」という効果が得られる。 【0042】(第4の実施例)図4は,本発明の各実施例に於ける磁束計の2次元配列の例を示す図である。磁場のz方向の成分(Bz)を検出する64個の磁束計S(i,j)((i,j)=(0,0)〜(7,7))が,正方形の形状を持つ複数の小格子の4箇所の各角点に配置されている。なお,小格子の形状は矩形としても良く,三角形の形状を持つ複数の小格子の各頂点に磁束計を配置しても良く,勿論,磁束計の個数は64に限定されるものではない。 【0043】第4の実施例によれば,「複数の磁束計を近接させて配列できる」という効果が得られる。 【0044】(第5の実施例)図5は,本発明の各実施例に於ける磁束計S(i,j)の構造を示す図である。磁束計S(i,j)は,検出コイル19,補償コイル18,及びSQUID17から構成されている。検出コイル19はz方向に垂直な面,(x,y)面にほぼ平行に配置し,一本の超伝導線を検出コイル19と反対方向にボビンに巻き付けて補償コイル18とし,一様な磁場をキャンセルする1次微分コイルの構成として,磁場のz方向の成分(Bz)を検出する構成とする。1次微分コイルの構成の他に,2次微分コイル等の構成も使用できることは言うまでもない。1次微分コイルの構成を使用する場合には,検出コイルと補償コイルとに入力する妨害磁場の空間分布内の位置に依存しない一様な(一定の値の磁場)がキャンセルされるため,第1の実施例(図1),第2の実施例(図2),第3の実施例(図3)で説明した妨害磁場のキャンセル方法を用いても磁場の空間分布が1次以上の高次の磁場成分をキャンセルできない。一方,2次微分コイルの構成を用いる場合,妨害磁場の空間分布内の位置の1次関数で表わされる磁場成分までがキャンセルできるため,第1の実施例(図1),第2の実施例(図2),第3の実施例(図3)で説明した妨害磁場のキャンセル方法を用いれば,妨害磁場の1次の磁場成分までがキャンセルできる。 【0045】第5の実施例によれば,「妨害磁場の0次,及び1次の磁場成分までがキャンセルできる」という効果が得られる。 【0046】(第6の実施例)図6は,本発明の各実施例に於ける検査対象(被験者)1の胸部上での磁束計S(i,j)の配置の例を示す図である。64個の隣接する磁束計間の距離は25mmである。 【0047】第6の実施例によれば,「64個の磁束計S(i,j)により,面積約17.5cm×17.5cmの範囲で,生体磁場を検出できる」という効果が得られる。 【0048】(第7の実施例)図7は,磁束計S(i,j)を用い妨害磁場のない状態で,かつ妨害磁場のキャンセルを実行しない状態で,正常な検査対象(被験者)の心臓からの磁場を検出した結果を磁場波形M(i,j)により示す図である。図6に示す如く,磁束計S(6,2)を剣状突起に合わせて磁場の検出を実行した。図7は,64個の各磁束計S(i,j)により検出された磁場波形M(i,j)を示し,各磁場波形の横軸は700msの磁場計測時間の時間軸,縦軸は磁場強度(1div.=30pT)を示す。 【0049】正常な検査対象(被験者)の場合,磁場波形M(7,0)とM(0,7)とを結ぶ直線上に強い磁場信号が出現する。即ち,人体の右胸下部と左胸上部とを結ぶ直線上に強い磁場信号が出現する。一方,磁束計S(0,0),S(7,7)の近傍にある磁束計で検出される磁場波形M(0,0),M(7,7)の強度は小さいことが分かる。以上のことから,本発明の各実施例に於いて,参照磁束計11として,心臓から発する磁場強度が小さい位置(右胸上部又は左胸下部)に対応して配置さている磁束計を使用することが望ましい。例えば,第1の実施例(図1),第2の実施例(図2),第3の実施例(図3),図6に示す例では,S(0,0),S(0,0)の近傍,S(7,7),S(7,7)の近傍の位置の何れかの磁束計を使用することが望ましい。但し,第3の実施例(図3)の構成では,前述の如く複数の磁束計S(i,j)の何れを参照磁束計として選んでも良い。 【0050】第7の実施例によれば,「人体の心臓からの生体磁場を検出する場合には,心臓の右胸上部又は左胸下部の近傍に配置される磁束計を参照磁束計として,妨害磁場の影響の除去された正確な磁場が検出できる」という効果が得られる。 【0051】(第8の実施例)図8は,本発明の各実施例に於ける,妨害磁場をキャンセルする磁場を発生させるコイル3の構成例を示す図である。 【0052】図8(a)に示す構成では,コイル3を1ターンのコイル20zで構成し,妨害磁場のz方向の成分をキャンセルする。コイル20zには,電流発生装置21−zから妨害磁場のz方向の成分をキャンセルする電流が送電される。コイル20zの面は,妨害磁場をキャンセルする効果を上昇させるため,図5に示す検出コイル19と同じ面内に配置するか,又は,検出コイル19と補償コイル18との間に各コイル18,19にほぼ平行に配置することが望ましい。 【0053】図8(b)に示す構成では,コイル3をソレノイドコイル20z’で構成し,妨害磁場のz方向の成分をキャンセルする。コイル20z’には,電流発生装置21−zから妨害磁場のz方向の成分をキャンセルする電流が送電される。ソレノイドコイル20z’を使用する場合は,図5に示す検出コイル19,補償コイル18の何れか一方のみを,又は両方を,ソレノイドコイル20z’で囲まれる空間の中心位置に配置することが望ましい。 【0054】図8(c)に示す構成では,コイル3をz方向で対向するヘルムホルツコイル20z−1,20z−2で構成し,妨害磁場のz方向の成分をキャンセルする。コイル3は,ヘルムホルツコイル20z−1と20z−2に同じ方向に同じ電流が流れる如くコイルを形成したコイルである。ヘルムホルツコイル20z−1,20z−2には,電流発生装置21−zから妨害磁場のz方向の成分をキャンセルする電流が送電される。ヘルムホルツコイルを使用する場合にも,図5に示す検出コイル19,補償コイル18の何れか一方のみを,又は両方を,ソレノイドコイル20z−1,20z−2で囲まれる空間の中心位置に配置することが望ましい。 【0055】図8(d)に示す構成では,各方向で対向するヘルムホルツコイル201x,201y,201zをx,y,zの3方向に配置し,ヘルムホルツコイル201x,201y,201zの内部空間に於いて,妨害磁場のx,y,zの3方向の成分をキャンセルする構成とする。ヘルムホルツコイル201xには,電流発生装置21−xから妨害磁場の妨害磁場のx方向の成分をキャンセルする電流が送電され,ヘルムホルツコイル201yには,電流発生装置21−yから妨害磁場の妨害磁場のy方向の成分をキャンセルする電流が送電され,ヘルムホルツコイル201zには,電流発生装置21−zから妨害磁場の妨害磁場のz方向の成分をキャンセルする電流が送電される。3方向に配置されるヘルムホルツコイル201x,201y,201zにより妨害磁場の3方向の成分をキャンセルできるため,本発明の各実施例に於いて,3方向の磁場が検出可能な検出コイルをもつ磁場ベクトル計測用のSQUID磁束計を使用できる。 【0056】第8の実施例によれば,「妨害磁場の3方向の成分をキャンセルできる」という効果が得られる。 【0057】(第9の実施例)図9は,本発明の第9の実施例の生体磁場計測装置の構成を示す図である。第9の実施例では,第1の実施例(図1),第2の実施例(図2),第3の実施例(図3)で説明した参照磁束計11,生体磁場計測装置の振動を計測する振動計27,生体磁場の検出を妨害する妨害磁場を検出するフラックスゲート磁束計28,商用電源29の組み合わせにより,妨害磁場のキャンセルを行なうためにコイル3に流す電流が調整される。 【0058】妨害磁場のキャンセルを行なうコイル3はクライオスタット2の下部に配置し,妨害磁場と反対方向の磁場を発生させて妨害磁場をキャンセルする構成とする。コイル3は,図8に示すコイル3の構成の何れかとする。 【0059】第9の実施例では,コイル3は,独立して各々電流IC1,IC2,IC3,IC4が流されるコイル3−1,3−2,3−3,3−4から構成されている。コイル3−1には,検出された商用電源29の周波数の変動に基づく磁場の変動をキャンセルする振幅及び位相をもつ電流(IC1)が流される。コイル3−2には,振動計27の出力により検出された振動に基づく磁場の変動をキャンセルする振幅及び位相をもつ電流(IC2)が流される。コイル3−3には,フラックスゲート磁束計28により検出された磁場の変動をキャンセルする振幅及び位相をもつ電流(IC3)が流される。コイル3−4には,商用電源29の周波数の変動に基づく磁場の変動,振動計27の出力により検出された振動に基づく磁場の変動,フラックスゲート磁束計28により検出された磁場の変動がほぼキャンセルされた時の,参照磁束計(1つ以上)の出力を用いて,妨害磁場をキャンセルする振幅及び位相をもつ電流(IC4)が流される。 【0060】フラクッスゲート磁束計28,商用電源29,振動計27,参照磁束計の出力電圧(又は,複数の参照磁束計の出力の平均出力電圧)を,A1(t),A2(t),A3(t),A4(t)とする。先ず,A1(t)を与える時の参照磁束計からの出力電圧A1’(t)とA1(t)とを比較してA1’(t)をほぼゼロとするように,コイル3−1に流す電流IC1の条件(振幅,位相)を,A1(t)に基づいて制御し,コイル3−1に流す。次いで,A2(t)を与える時の参照磁束計からの出力電圧A2’(t)とA2(t)とを比較してA2’(t)をほぼゼロとするように,コイル3−2に流す電流IC2の条件(振幅,位相)を,A2(t)に基づいて制御し,コイル3−2に流す。次いで,A3(t)を与える時の参照磁束計からの出力電圧A3’(t)とA3(t)とを比較してA3’(t)をほぼゼロとするように,コイル3−3に流す電流IC3の条件(振幅,位相)を,A3(t)に基づいて制御し,コイル3−3に流す。最後に,A4(t)をほぼゼロとするように,コイル3−4に流す電流IC4の条件(振幅,位相)を制御し,コイル3−4に流す。 【0061】即ち,第9の実施例では,検査対象以外から発生する時間変動する妨害磁場の周波数帯域に於ける,参照磁束計の出力を最小とするように,妨害磁場のキャンセルを行なうコイルに流す電流の振幅及び位相を,妨害磁場の発生源(例えば,商用電源周波数の変動,建物の振動,突発的な磁場の大きな変動)毎に対応して,制御する構成とする。 【0062】第9の実施例では,検査対象(被験者)が横になるベッド23の上方に,クライオスタット2がガントリー22によって保持されている。クライオスタット2の内部に配置されている複数のSQUID磁束計は,FLL回路(Flux Locked Loop)等を有する駆動回路24によって磁束計として動作し,駆動回路からの出力をフィルタ回路25により,例えば,0.1Hz〜100Hzの帯域制限等を施した後に,生体磁場信号がコンピューター26にディジタル値として取り込まれる。第1,第2,第3の実施例と同様に,1つ以上の参照磁束計からの出力が参照信号として制御装置33に伝達され,参照信号から求めた妨害磁場のキャンセルを行なうためにコイル3(3−1,3−2,3−3,3−4)に流す電流が調整される。 【0063】フラックスゲート磁束計28は,例えば,ホール素子を用いた磁束計等を使用し,SQUID磁束計で検出可能な磁場の限界値を越える大きな磁場を検出する。このような限界値を越え,高い周波数で時間変化する大きな磁場の発生源は,例えば,装置が配置される建物の近くの道路を高速で走行する自動車,線路を高速で走行する電車等であり,これらは,建物の振動の原因となり,建物を構成する鉄等の磁性体の振動に伴い時間変動する妨害磁場の発生の原因ともなっている。フラックスゲート磁束計28は,動作回路30cによって磁束計として動作し,動作回路30cの出力はフィルタ回路31cによって帯域制限され,制御装置32cによりコイル3に流す電流が制御される。 【0064】同様に振動計27も動作回路30bによって振動計として動作し,振動計の出力はフィルタ回路31bによって帯域制限され,制御装置32bにより,検出された振動により生じる妨害磁気を消去するためにコイル3に流す電流が制御される。ここで,振動により生じる妨害磁気は,例えば,装置が配置されている建物等の振動の固有振動数である10Hz程度の基本周波数を持っている。 【0065】更に,商用電源29のコンセントから電圧検出装置30aによって100V程度の電圧を減圧して,フィルタ回路31aによって商用電源周波数のみを検出し,制御装置32aによりコイル3に流す電流を制御する。 【0066】上述の参照磁束計の出力,振動計27の出力,フラックスゲート磁束計28の出力,商用電源29の出力を用いて,参照磁束計の出力が常にほぼゼロ(最小)となるように,各制御装置33,32a,32b,32cはコンピュータ26からの制御信号34によって制御され,以下のようにしてコイル3(3−1,3−2,3−3,3−4)に電流が流される。先ず,定常的に最も大きな妨害磁場の発生の原因となる商用電源29の商用電源周波数を参照信号として,商用電源周波数に対応する周波数帯域(例えば,商用電源周波数が50Hzの時,20Hz〜80Hz)内での参照磁束計の出力が最小となるように,制御装置32aによりコイル3に流す電流の振幅及び位相を制御する。次いで,定常的な建物の振動により生じる妨害磁場の除去を行なうために,振動計27の出力を参照信号として,建物等の振動の固有振動数に対応する周波数帯域(例えば,固有振動数が10Hzの時,2Hz〜30Hz)内での参照磁束計の出力が最小となるように,制御装置32bによりコイル3に流す電流の振幅及び位相を制御する。最後に,フラックスゲート磁束計28で観測される,SQUID磁束計で検出可能な磁場の限界値を越える大きい突発的な磁場(例えば,上記限界値を10pTとする)を参照信号として,参照磁束計の測定周波数帯域(例えば,0.1Hz〜100Hz)での出力が最小となるように,制御装置32cによりコイル3に流す電流の振幅及び位相を制御する。各制御装置32a,32b,32cは,制御装置33と同様にコンピュータ26(DSP:Digital Signal Processor)からの制御信号34によって高速制御され,参照磁束計の出力が常にほぼゼロ(最小)となるように高速制御され,コイル3に電流が流される。このようにして,リアルタイムでの妨害磁場のキャンセルができる。 【0067】以上の説明した第9の実施例では,シールドルームを使用しない構成で説明を行なったが,シールドルーム内にベッド23,ガントリー22,クライオスタット2が配置されている場合には,振動計27,フラックスゲート磁束計28は,シールドルームの内部又は外部の何れにも配置でき,商用電源29はシールドルームの外部にあるコンセントを用いる。 【0068】また,ベッド23を構成する磁性材料が振動し磁気雑音を発生する場合には,振動計27をベッド23上に配置する構成とする。同様に,ガントリー22を構成する磁性材料が振動し磁気雑音を発生する場合には,振動計27をガントリー22上に配置する構成とする。より精密な妨害磁場のキャンセルが必要な場合は,参照磁束計(3方向の磁場が検出可能な検出コイルをもつSQUID磁束計)及びフラックスゲート磁束計28によりx,y,zの3方向の妨害磁場の検出を行ない,振動計27によりx,y,zの3方向の振動の大きさを検出し,上記で説明したように,フラクッスゲート磁束計28,商用電源29,振動計27の何れかの電圧出力A(t)と参照磁束計からの出力電圧A’(t)とを比較して,{A(t)−A’(t)}をキャンセルするように,コイル3−1,3−2,3−3,3−4の何れかのコイルに流す電流IC1,IC2,IC3,IC4の条件(振幅,位相)を,A(t)に基づいて制御する。 【0069】第9の実施例によれば,「リアルタイムでの妨害磁場のキャンセルができる」という効果が得られる。 【0070】(第10の実施例)図10は,本発明の第10の実施例の生体磁場計測装置の構成を示す図である。第10の実施例では,第9の実施例に於いて,コイル3−1,3−2,3−3,3−4に各々独立して流す電流IC1,IC2,IC3,IC4を合成して,コイル3に流す構成とする。即ち,第10の実施例では,コイル3には,商用電源29の周波数の変動に基づく磁場の変動をキャンセルする振幅及び位相をもつ電流(IC1),振動計27の出力により検出された振動に基づく磁場の変動をキャンセルする振幅及び位相をもつ電流(IC2),フラックスゲート磁束計28により検出された磁場の変動をキャンセルする振幅及び位相をもつ電流(IC3),商用電源29の周波数の変動に基づく磁場の変動,振動計27の出力により検出された振動に基づく磁場の変動,フラックスゲート磁束計28により検出された磁場の変動がほぼキャンセルされた時の,参照磁束計(1つ以上)の出力をキャンセルする振幅及び位相をもつ電流(IC4),の各電流IC1,IC2,IC3,IC4の合成電流IC=IC1+IC2+IC3+IC4が流される。 【0071】上述の,商用電源29の出力A1(t),振動計27の出力A2(t),フラックスゲート磁束計28の出力A3(t),参照磁束計の出力A4(t)を用いて,参照磁束計の出力がほぼ常にゼロ(最小)となるように,各制御装置33,32a,32b,32cは,制御装置33と同様にコンピュータ26(DSP)からの制御信号34によって制御され,各制御装置の出力は合成回路21により1つの電流信号(参照磁束計の出力をキャンセルする振幅及び位相をもつ電流(IC))に合成され,コイル3に電流が流される。このようにして,リアルタイムでの妨害磁場のキャンセルができる。 【0072】第10の実施例では,コイル3をクライオスタットの周りに配置したが,ガントリー22の内部又は表面に,ベッド23の内部又は表面に配置しても良く,コイル3のコイル形状は,1ターンコイル,ソレノイドコイル,ヘルムホルツコイルの何れを使用しても構わない。 【0073】更に,第9,第10の実施例を,生体磁場を検出する磁束計から離れた位置に主に妨害磁場だけを検出する磁束計を配置して,妨害磁場だけを検出する従来技術に適用することもできる。 【0074】第10の実施例によれば,「リアルタイムでの妨害磁場のキャンセルができる」という効果が得られる。 【0075】(第11の実施例)図11は,本発明の第11の実施例の生体磁場計測装置の構成を示す図である。第11の実施例では,第10の実施例に於いて,妨害磁場をキャンセルするコイル3の代わりに,ベッド23,ガントリー22,クライオスタット2を囲むように,ヘルムホルツコイル35x,35y,35zを配置して,ヘルムホルツコイルの内部空間に於いて妨害磁場をキャンセルする構成とする。 【0076】ヘルムホルツコイル35xは妨害磁場のx方向の成分を,ヘルムホルツコイル35yは妨害磁場のy方向の成分を,ヘルムホルツコイル35zは妨害磁場のz方向の成分を,それぞれキャンセルするように構成されている。 【0077】参照磁束計と,振動計27,フラックスゲート磁束計28,商用電源29等の出力を組み合わせて,精度良く妨害磁場をキャンセルする方法は,第9,第10の実施例で説明した方法と同様にして行ない,ヘルムホルツコイル35x,35y,35zに流す電流の振幅及び位相を制御して妨害磁場をキャンセルする。合成及び切替え回路21’によって,ヘルムホルツコイル35x,35y,35zの各々に独立して電流が流される。更に,合成及び切替え回路21’によって,参照磁束計,商用電源29,振動計27,フラックスゲート磁束計28の何れか1つ以上の出力の組合せに基づいて,ヘルムホルツコイル35x,35y,35zの1つ以上のコイルに独立して流す電流を合成し,切替える制御を行なう。 【0078】図11に示す例では,振動計27,フラックスゲート磁束計28を,ヘルムホルツコイル35x,35y,35zにより構成される空間の内部に配置しているが,上記空間の外部に配置しても良い。以上の構成では,シールドルームを使用しない構成となる。 【0079】更に,妨害磁場が非常に大きい環境下では,妨害磁場,妨害電磁波を遮蔽するシールドルーム内にクライオスタット2,ベッド23,ガントリー22を配置して,シールドルームの外部又は内部にヘルムホルツコイル35x,35y,35zを配置して上述の妨害磁場をキャンセルする方法を用いれば,シールドルームで遮蔽できなかった妨害磁場を精度良くキャンセルできる。 【0080】第11の実施例によれば,「高価な磁気シールドルームを使用しない構成が可能となり装置の設置が低コストでできる」という効果が得られる。 【0081】(第12の実施例)図12は,本発明の第12の実施例の生体磁場計測装置の構成を示す図である。第12の実施例では,第11の実施例に於いて,妨害磁場キャンセル用コイルをヘルムホルツコイル35zのみの構成として,生体磁場計測装置のシステム規模を小さくする構成例である。第12の実施例では,ヘルムホルツコイル35zが作るキャンセル磁場の方向(z方向)と同一方向のz方向の生体磁場を,例えば,図4に示したz方向を検出するSQUID磁束計を使用して計測を行なう。 【0082】参照磁束計,商用電源29,振動計27,フラックスゲート磁束計28等の出力の組合せにより,精度良く妨害磁場をキャンセルする方法は,第9から第11の実施例で説明した方法と同様にして行ない,ヘルムホルツコイル35zの電流の振幅及び位相を制御して妨害磁場をキャンセルする。合成及び切替え回路21’の使用方法は第11の実施例に説明した方法と同様にして行ない,参照磁束計,商用電源29,振動計27,フラックスゲート磁束計28等の出力電圧の少なくとも1つ以上の出力を組合せて,ヘルムホルツコイル35zに流す電流を制御する構成とする。更に,クライオスタット2の上下に配置される2つのヘルムホルツコイル35zが,コイルのインダクタンス等が同一でなくバランスが悪い時等には,上下の2つのヘルムホルツコイルに流す電流を合成及び切替え回路21’によって独立に調整できる。以上の2つのヘルムホルツコイルの使用により,キャンセル磁場のz方向の0次又は1次の空間分布を生成できる。更に,高次の磁場の空間分布を生成する場合には,4つ以上のヘルムホルツコイルを使用して,高次の妨害磁場の空間分布をキャンセルできる。 【0083】第12の実施例によれば,「高価な磁気シールドルームを使用しない構成が可能となり装置の設置が低コストでできる」という効果が得られる。 【0084】(第13の実施例)図13は,本発明の第13の実施例であり,第10の実施例(図10)と第11の実施例(図11)とを組み合わせた生体磁場計測装置の構成を示す図である。第13の実施例では,妨害磁場をキャンセルするコイル3と,ヘルムホルツコイル35x,35y,35zとを組み合わせて使用する。 【0085】参照磁束計で検出される磁場がほぼゼロ(最小)になるように,第9の実施例,第10の実施例で説明した,参照磁束計,振動計27,フラックスゲート磁束計28,商用電源29の構成により,妨害磁場をキャンセルする電流を制御し,合成及び切替え回路21”によって,参照磁束計,商用電源29,振動計27,フラックスゲート磁束計28の何れか1つ以上の出力の組合せに基づいて,ヘルムホルツコイル35x,35y,35zの1つ以上のコイルに独立して流す電流を合成し,切替える制御を行なう。 【0086】電流調整装置36により,コイル3に流す電流とヘルムホルツコイル35x,35y,35zに流す電流を調整する。例えば,フラックスゲート磁束計28からの出力に基づいてヘルムホルツコイル35x,35y,35zに流す電流を調整し,商用電源29の出力,振動計27の出力に基づいてコイル3に流す電流を調整する。このような調整により,生体磁場を検出する複数の磁束計が配置される近傍で局所的に妨害磁場をキャンセルする構成とする。 【0087】以上説明した如く,コイル3,及びヘルムホルツコイル35x,35y,35zに選択的に電流を流す構成により,複数の磁束計を妨害磁場が存在する環境中でも安定に動作させることができる。 【0088】第13の実施例によれば,「大きな変動する妨害磁場が存在する環境中でも生体磁場装置を安定して動作させることができる」という効果が得られる。 【0089】(第14の実施例)図14は,本発明の第14の実施例であり,本発明の各実施例に適用可能な電気回路であり,各磁束計の出力から参照磁束計の出力を差し引く電気回路の構成を示す図である。クライオスタット2の内部の下部には,検出コイル(37−1,37−2,…,37−N),SQUID(44−1,44−2,…,44−N),フィードバックコイル(45−1,45−2,…,45−N)が配置されている。FLL回路では,SQUIDの出力は差動アンプ(39−1,39−2,…,39−N)で増幅され,積分器(40−1,40−2,…40−N)を通った後,SQUIDを線形動作させるため,フィードバックコイル(38−1,38−2,…,38−N)を通してフィードバックコイル(45−1,45−2,…,45−N)に電流を流す,フィードバック回路を構成している。以上の構成の説明は通常のFLL回路の説明である。 【0090】第14の実施例では,検出コイル37−Nで得られる磁場の出力電圧を参照信号とし,各検出コイルで得られる磁場の出力電圧から参照信号を電気的に差し引く構成とする。各磁束計の感度のばらつき等が生じた場合,感度のばらつき等を補正するために,制御装置41により差し引く参照信号の大きさを各磁束計の出力毎に微調整して差分回路(42−1,42−2,…,42−N−1)に入力し,各検出コイルで得られる磁場の出力電圧の感度のばらつき等を補正した後に参照信号を電気的に差し引いて,各磁束計の出力(43−1,43−2,…,43−N−1)を取得できる。以上の構成により,第1の実施例(図1),第2の実施例(図2),第3の実施例(図3)に於ける,各磁束計の出力から参照磁束計の出力を差し引く信号処理を電気回路により構成できる。 【0091】但し,妨害磁場の大きさが小さく信号取り込み系のダイナミックレンジ内にある場合には,図14に示す参照磁束計の出力を差し引く構成をソフトウェア的に処理することもできる。更に,妨害磁場が,複数の磁束計が配列される面内で空間分布を持つ場合には,複数の磁束計の出力や,第9の実施例(図9)第10の実施例(図10),第11の実施例(図11),第12の実施例(図12),第13の実施例(図13)に於いて説明した,振動計27,フラックスゲート磁束計28,商用電源29等の出力を参照信号とし,上述の制御装置41や差分回路(42−1,42−2,…,42−N−1)の代わりに,DSP(Digital Signal Processor)を用いて,各磁束計の配置位置での妨害磁場の各参照信号の空間分布を線形補間処理等により,リアルタイム処理して,各磁束計毎に独立して妨害磁場をキャンセルできる。 【0092】第14の実施例によれば,「各磁束計の配置位置での妨害磁場をリアルタイムで各磁束計毎に独立してキャンセルできる」という効果が得られる。 【0093】(第15の実施例)図15は,本発明の第15の実施例であり,本発明の各実施例に適用可能な電気回路であり,各磁束計の出力から参照磁束計の出力を差し引く他の電気回路の構成を示す図である。図15は,図14に示す参照磁束計の検出コイル37−Nのフィードバックコイル46を,全ての磁束計に対する妨害磁場をキャンセルするコイルとして使用する例を示す。即ち,参照磁束計を動作させるFLL(Flux Locked Loop)回路のフィードバックコイル46は,複数の磁束計と磁束的にカップリング可能な,コイル3として作用する。フィードバックコイル46は,検出コイル(37−1,37−2,…,37−N)の面とほぼ同一の面内,又はほぼ平行な面に配置されている。 【0094】第15の実施例の構成では,検出コイル37−Nに入力する磁場がほぼゼロ(最小)となるようにフィードバックコイル46に電流を流すため,フィードバックコイル46で囲まれる空間内の磁場分布が殆どなく,各検出コイルの大きさが全て同じ場合,全ての検出コイル(37−1,37−2,…,37−N)に,フィードバックコイル46に電流を流すことにより生じる,同じ大きさの磁場が入力するので,全く無調整で妨害磁場をキャンセルできる。 【0095】第15の実施例によれば,「妨害磁場を無調整でキャンセルできる」という効果が得られる。 【0096】(第16の実施例)第16の実施例では,一般の微弱な磁場を妨害磁場の存在下で検出する例を説明する。以下,検査対象をアナログ腕時計として,9個の磁束計を用いて,アナログ腕時計から発生する磁場を妨害磁場の存在下で検出した例,及び,第1の実施例の方法に従い妨害磁場をキャンセルしてアナログ腕時計から発生する磁場を検出した例について説明する。 【0097】図16は,第16の実施例に於いて,シールドルーム47の内部でガントりー22に保持されたクライオスタット2の内部の下部に配置される9個の磁束計により,アナログ腕時計49から発生する磁場を検出する構成を示す図であり,鉄製の台車48が妨害磁場の発生源となっている。なお,図16では,磁場の計測系は省略している。磁場のz方向の成分(Bz)を検出する9個の磁束計S(i,j)((i,j)=(0,0)〜(2,2))が,3×3のマトリックス状に平面内に配置され,各磁束計は,正方形の形状を持つ複数の小格子の4箇所の各角点に配置されている。 【0098】図17は,第16の実施例に於いて,アナログ腕時計49から発生する磁場を,妨害磁場の存在下で9個の磁束計を用いて検出し,ディスプレイに表示した表示画面例を示す図である。図17の縦軸は磁場強度を示し1div.=10pTであり,横軸は時間軸を示し1div.=250msecである。図17に示す各磁場波形B(i,j)は,9個の磁束計の配列の中心の下方に置かれたアナログ腕時計49から発生する磁場を,アナログ腕時計49の位置から約2.5m離れたシールドルーム47の外部の床面に置かれた鉄製の台車48を,約0.5m/秒の速度でアナログ腕時計49の位置に近付ける方向(x方向)に動かしながら検出して得た例である。 【0099】磁場波形B(i,j)は,磁束計S(i,j)により検出された磁場の時間変化を示す。各磁場波形B(i,j)(i,j=0,1,2)は,鉄製の台車48の動きに対応して時間と共に磁場強度がゆっくりと減少する背景成分(妨害磁場:第1の磁場成分)と,アナログ腕時計49の秒針の動きに対応して発生し非常に短い時間で大きく磁場強度が変化する磁場成分(検出目的とする磁場:第2の磁場成分)を含んでいることが分かる。 【0100】図18は,図17と同様に鉄製の台車48を動かしながら,本発明の第1の実施例に従い参照磁束計の出力B(0,0)がほぼゼロ(最小)になるように,コイル3に電流を流し妨害磁場をキャンセルしてアナログ腕時計49からの磁場を検出し,ディスプレイに表示した磁場波形B(i,j)の表示画面例を示す。図18の縦軸は磁場強度を示し1div.=10pTであり,横軸は時間軸を示し1div.=250msecである。図18に示す如く,出力B(0,0)はほぼゼロ(最小)となり,各磁束計による磁場波形B(i,j)では,時間的にゆっくりと変化する図17に於ける第1の磁場成分(妨害磁場)が消失していることが明確に分かる。 【0101】即ち,磁気シールドルーム内で本発明の第1の実施例を適用する場合には,低周波数で変化する妨害磁場は,簡単な構成によりキャンセルできることが明確である。磁場波形B(0,0)を除く磁場波形では,磁場波形B(0,0)を妨害磁場をキャンセルする参照信号としたために,図18に於ける第2の磁場成分(検出目的とする磁場:アナログ腕時計49の秒針の動きに対応して発生する磁場)の強度は小さくなっている。 【0102】図18に示す例では,妨害磁場のキャンセルと同時に検出目的とする磁場の強度が小さくなっているが,第7の実施例で説明した如く,生体(人体)の右胸上部又は左胸下部では心臓から発する磁場強度が小さいので,参照磁束計を生体の右胸上部又は左胸下部に対応して配置される磁束計を使用し妨害磁場をキャンセルしても,検出目的とする心臓から発する磁場の強度が,図18に示す例の如く小さくなることはない。 【0103】第16の実施例によれば,「低周波数で変化する妨害磁場を,簡単な構成によりキャンセルできる,特に人体の心臓からの磁場を正確に計測できる」という効果が得られる。 【0104】(第17の実施例)第17の本実施例では,妨害磁場,妨害電磁波を遮蔽するシールドルーム内にクライオスタット,ベッド,ガントリーを配置して,本発明の第1,第2,第3の実施例を適用する構成とする。低周波数で変化する妨害磁場は,本発明の第1,第2,第3の実施例により容易にキャンセルできるので,従来の生体磁場計測装置で妨害磁場の遮蔽に必要であった約2mm厚さの2枚のμメタルを,約1mm程度の厚さの1枚のμメタルに薄くでき,低コストで妨害磁場の遮蔽が可能となる。 【0105】第17の実施例によれば,「低コストで妨害磁場の遮蔽が可能となる」という効果が得られる。 【0106】(第18の実施例)図19は,本発明の第18の実施例に於ける生体磁場計測装置の検出コイル部の構成を示す図である。第18の実施例では,図5に示したSQUID磁束計の円周上に妨害磁場キャンセル用コイル301を配置する構成を示す。 【0107】図19(a)に示すように,妨害磁場キャンセル用コイル301を,検出コイル19が形成されているSQUID磁束計S(i,j)の部材上に形成する。図19(b),図19(c)は,図19(a)に示す妨害磁場キャンセル用コイル301と検出コイル19とを同一面(xy面)へ投影した図である。図19(b)の構成では,妨害磁場キャンセル用コイル301は,検出コイル19の内側に形成される。図19(c)の構成では,妨害磁場キャンセル用コイル301は検出コイル19の外側に形成される。なお,図19(b),図19(c)に示す構成に於いて,妨害磁場キャンセル用コイル301は,検出コイル19と同一面,検出コイル19の上部,検出コイル19の下部の何れかに配置される。 【0108】妨害磁場キャンセル用コイル301には,第1の実施例(図1),第2の実施例(図2),第3の実施例(図3)に示した参照磁束計11によって得られた磁束量と同じ磁束量を発生させる電流を流す構成とする。 【0109】第18の実施例では,複数の各SQUID磁束計の検出コイルの各々の近傍に妨害磁場キャンセル用コイルを配置し,複数のSQUID磁束計の内の単数又は複数を参照SQUID磁束計とし,参照SQUID磁束計の出力に基づいて,参照SQUID磁束計の出力がほぼゼロになるような大きさの電流を,各コイル毎に独立して流す制御を行なうする手段を有するので,以上説明した構成を用いると,第1の実施例(図1),第2の実施例(図2),第3の実施例(図3)に示した妨害磁場をキャンセルするコイル3を使用することなく,各SQUID磁束計S(i,j)毎に,各々独立して妨害磁場をキャンセルできるため,精度良く各SQUID磁束計S(i,j)に入力する妨害磁場をキャンセルできる。 【0110】第18の実施例によれば,「各SQUID磁束計毎に,各々独立して妨害磁場を精度良くキャンセルできる」という効果が得られる。 【0111】(第19の実施例)図20は,本発明の第19の実施例に於ける妨害磁場をキャンセルするコイルの構成を示す図である。第19の実施例では,第19の実施例(図19)で示した各SQUID磁束計S(i,j)に配置された妨害磁場キャンセル用コイル301を直列に接続した構成とする妨害磁場キャンセル用コイル302を,各SQUID磁束計,…,S(i,j),S(i+1,j+1),S(i+2,j+2),…の周りに配置する構成とする。妨害磁場キャンセル用コイル302は,検出コイル19の内側,又は外側に形成され,検出コイル19の上部,検出コイル19の下部の何れかに配置される。また,妨害磁場キャンセル用コイル302は,検出コイル19の外側に形成され,検出コイル19と同一面に配置される。SQUID磁束計S(i,j)の何れか1つ,又は複数を参照磁束計304として,参照磁束計304で妨害磁場を検出し,検出された妨害磁場をFLL回路,及び電流調整器303で電圧に変換した後に電流に変換し,この電流を妨害磁場キャンセル用コイル302に流すことにより,各SQUID磁束計に入力する妨害磁場をキャンセルする構成とする。第19の実施例の構成は,第1から第3の各実施例,第9から第13の各実施例に適用できる。 【0112】第19の実施例の生体磁場計測装置に於いては,複数のSQUID磁束計の内の単数又は複数を参照SQUID磁束計とし,参照SQUID磁束計を除く複数の各SQUID磁束計の検出コイルの近傍に配置され直列に接続されるコイルと,参照SQUID磁束計の出力に基づいて,参照SQUID磁束計の出力がほぼゼロになるような大きさの電流を,コイルに流す制御を行なう手段とを有するが,参照SQUID磁束計を除く複数のSQUID磁束計を複数の群に分けて,各群毎の複数のSQUID磁束計の検出コイルの近傍に配置され直列に接続されるコイルを配置して,妨害磁場をキャンセルするコイルの構成として,各群毎にコイルを制御しても良い。 【0113】第19の実施例によれば,「妨害磁場を簡単な構成で精度良くキャンセルできる」という効果が得られる。 【0114】(第20の実施例)図21は,本発明の第20の実施例に於ける,高透磁率の部材を用いた磁気シールドと,高導電率の部材を用いた高周波電磁シールドと,ヘルムホルツコイルとの組合せを用いた妨害磁場キャンセルの構成を説明する図である。第20の実施例では,高透磁率の部材を用いた磁気シールド305と,高導電率の部材を用いた高周波電磁シールド306と,ヘルムホルツコイル35’zとの組合せを用いて妨害磁場のキャンセルを行なう。図21(a),図21(b),図21(c),図21(d),図21(e)は,SQUID磁束計が内蔵されているクライオスタット2の軸方向(z軸)を含む断面307により,妨害磁場キャンセルの構成を説明する模式図である。図21(a),図21(b),図21(c),図21(d),図21(e)に示す模式図では,z軸を囲む磁気シールド及び高周波電磁シールドとコイルによりz方向の妨害磁場をキャンセルする構成を示すが,x軸を囲む磁気シールド及び高周波電磁シールドとコイルによりx方向の妨害磁場のキャンセル,y軸を囲む磁気シールド及び高周波電磁シールドとコイルによりy方向の妨害磁場のキャンセルが,z方向の妨害磁場をキャンセルする構成と同じ構成により可能となる。 【0115】図21(a)に示す構成では,第12の実施例(図12)の構成と同様に,ヘルムホルツコイル35’zを用いる。図21(b)に示す構成では,最も内側に高周波電磁シールド306を配置し,最も外側に磁気シールド305を配置し,高周波電磁シールド306と磁気シールド305との間にヘルムホルツコイル35’zを配置する。図21(c)に示す構成では,最も内側に高周波電磁シールド306を配置し,最も外側にヘルムホルツコイル35’zを配置し,高周波電磁シールド306とヘルムホルツコイル35’zとの間に磁気シールド305を配置する。図21(d)に示す構成では,最も内側にヘルムホルツコイル35’zを配置し,最も外側に磁気シールド305を配置し,磁気シールド305とヘルムホルツコイル35’zとの間に高周波電磁シールド306を配置する。 【0116】図21(d)に示すヘルムホルツコイル35’zに流す電流によリ誘発され,磁気シールド305,又は高周波電磁シールド306に流れる誘導電流が作る磁場が,妨害磁場となる場合には,図21(e)に示す構成のように,ヘルムホルツコイル35’zと35”zとの2セットのコイルを近接して配置する。図21(e)に示すように,電流I1をヘルムホルツコイル35’zに流し,電流I1が流れる方向と反対方向に電流I2をヘルムホルツコイル35”zに流す構成とする。電流I1と電流I2から発生する磁場が,高周波電磁シールド306,又は磁気シールド305の位置でほぼゼロ(最小)となるように,電流I1と電流I2とを反対方向に流すことにより,電流I1と電流I2による磁気雑音は発生しない。電流I1と電流I2との比を一定に保ちながら,クライオスタット2の内部のSQUID磁束計に入力する妨害磁場がほぼゼロ(最小)になるように電流I1,I2の調節を行なう。以上の構成によって,妨害磁場の高精度のキャンセルが可能となる。 【0117】第20の実施例の生体磁場計測装置では,生体から発生する生体磁場の一方向(z方向)の磁場成分を検出する2次元に配列される複数のSQUID磁束計と,SQUID磁束計を低温に保持するクライオスッタットと,クライオスッタットをはさみ対向して配置される高周波電磁シールドと,高周波電磁シールドの外部に配置される磁気シールドと,クライオスッタットと高周波電磁シールドとの間に配置される第1のコイル(ヘルムホルツコイル),及び第2のコイル(ヘルムホルツコイル)を具備し,第1のコイルに流す第1の電流の方向と,第2のコイルに流す第2の電流の方向とを異ならせ,第1の電流と第2の電流が発生する磁場が,高周波電磁シールド,又は磁気シールドの位置でほぼゼロとなるように制御する手段を有し,第1のコイルに流す第1の電流,及び第2のコイルに流す第2の電流を制御して,高周波電磁シールド,又は磁気シールドに生じる渦電流をキャンセルして,且つ,z方向に於ける妨害磁場をキャンセルすることに特徴がある。z方向に直交するx方向,及びy方向に於いて,z方向に於ける構成と同様にして,高周波電磁シールド,磁気シールド,ヘルムホルツコイルを配置する構成としても良い。 【0118】第20の実施例によれば,「高価な磁気シールドルームを使用しないで,妨害磁場の高精度のキャンセルができ,装置の設置が低コストでできる」という効果が得られる。 【0119】以上説明した如く,本発明の生体磁場計測装置では,生体の胸部から発生する生体磁場の胸部の面とほぼ垂直な方向の磁場成分(法線成分)を検出する2次元に配列される複数の磁束計と,磁束計を低温に保持するクライオスタットと,生体磁場の分布を表示するディスプレイと,クライオスタットの周囲を取り囲み,磁束計の検出コイルが配置される面とほぼ同一の平面,又は磁束計の検出コイルが配置される面とほぼ平行な面に配置されるコイルを有し,複数の磁束計の内の単数又は複数を参照磁束計とし,参照磁束計の出力に基づいて,上記コイルに流す電流の大きさを,参照磁束計の出力がほぼゼロ(最小)になるように制御して,生体の心臓から発する磁場の法線成分を検出する。参照磁束計は,右胸上部,又は左胸下部に対応する位置に配列された磁束計とする。ディスプレイに,検出された磁場の法線成分の時間変化を表わす磁場波形を表示することにより,生体磁場の検出の妨害となる妨害磁場の大きさを確認できる。また,参照磁束計の出力を各磁束計の出力から差し引き,ディスプレイに,妨害磁場が除去された心磁図を表示できる。更に,隣接する磁束計の出力の差を求めることにより,検出された磁場の法線成分から磁場の接線成分を推定し,得られた磁場の接線成分の空間分布をディスプレイに表示できる。 【0120】以上の説明では,生体磁場の検出を主な例にとり本発明を説明したが,本発明は生体磁場の検出に限定されるのではなく,第14の実施例で説明した如く,妨害磁場の存在下で微弱な一般の磁場を検出する磁場計測装置に適用できることは言うまでもない。 【0121】また,以上の説明した各実施例に於いて,計測される信号が予め設定される閾値を上回る場合には,妨害磁場がキャンセルできなかったと見做して,予め設定される閾値を上回る信号が計測される時間内での計測信号を削除する構成とするする。 【0122】更に,以上の説明した各実施例では,1次のグラジオメータの構成を持つSQUID磁束計を使用する構成について説明したが,2次のグラジオメータの構成を持つSQUID磁束計を使用する構成,又はマグネトメータの構成を持つSQUID磁束計を使用する構成としても良い。 【0123】 【発明の効果】本発明によれば,妨害磁場を精度良く安定して除去して微弱な磁場を検出でき,特に,生体磁場計測では心臓疾患に関する正確な情報が得られる。また,磁場を検出する全てのSQUID磁束計をクライオスタットの内部の底部に保持するので,使用する液体ヘリウム等の冷媒は少量だけで済み,磁場計測装置の維持管理を低コストにできる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005108 【氏名又は名称】株式会社日立製作所
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| 【出願日】 |
平成10年4月28日(1998.4.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100075096 【弁理士】 【氏名又は名称】作田 康夫
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| 【公開番号】 |
特開2001−104262(P2001−104262A) |
| 【公開日】 |
平成13年4月17日(2001.4.17) |
| 【出願番号】 |
特願2000−247906(P2000−247906) |
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