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【発明の名称】 内視鏡の線状伝達部材駆動部取付け構造
【発明者】 【氏名】秋庭 治男

【要約】 【課題】モータの回転軸と保護チューブの芯合せ、また線状伝達部材及び保護チューブの回転軸方向での位置決めを容易に行う。

【解決手段】観察距離可変用の先端部可動レンズを線状伝達部材10で駆動し、この線状伝達部材10をモータ30で回転するように構成された内視鏡において、上記線状伝達部材10の保護チューブ26を保持する保持部材24に、モータ保持部材25の所定面25Aに当接する突き当て面27Aを有する芯合せ部材27を設け、この芯合せ部材27により線状伝達部材10の回転軸(36H)と保護チューブ26の中心の芯合せが行われる。また、各保持部材24,25には、それぞれを回転軸方向100へずらすために長孔28(A,B)、35(A〜D)を設け、これを介してネジ29により各保持部材24,25が固定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内視鏡アングル部を通して配置され、対象物を駆動させるために回転運動する線状伝達部材と、この線状伝達部材が軸接続されるモータと、このモータを保持・固定するモータ保持部材と、上記線状伝達部材を回転可能に内包する保護チューブと、この保護チューブを保持・固定する保護チューブ保持部材とを有する内視鏡において、上記モータ保持部材又は上記保護チューブ保持部材のいずれか一方に、他方の所定面に突き当てて上記モータの回転軸と上記保護チューブの中心の位置合せをするための芯合せ部材を設けたことを特徴とする内視鏡の線状伝達部材駆動部取付け構造。
【請求項2】 上記線状伝達部材の端部位置を上記回転軸方向へずらすための軸方向調整手段と、上記保護チューブ保持部材の端部位置を上記回転軸方向へずらすための軸方向調整手段とを設けたことを特徴とする上記請求項1記載の内視鏡の線状伝達部材駆動部取付け構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は内視鏡の線状伝達部材駆動部取付け構造、特に観察距離を変える(被写体深度を変えることも含む)ための線状伝達部材をモータで回転させる駆動部の取付け構造に関する。
【0002】
【従来の技術】図3には、観察距離(又は被写体深度)を可変にする機構が適用された内視鏡の構成が示されており、図3(A)は内視鏡操作部1Aであり、この操作部1Aの左側に図3(B)の挿入部1B、そして図3(C)の先端部1Cが配置される。上記操作部1Aの後側には、送気/送水操作釦2A、吸引操作釦2B、フリーズスイッチ3A、その他のスイッチ3B,3Cや観察距離可変スイッチ4等が設けられる。
【0003】また、この操作部1A内では、シャーシ(基台)6の上にモータ7が保持部材8で取り付けられ、このモータ7には、多重コイルバネからなる線状伝達部材10が軸接続具11を介して取り付けられる。この線状伝達部材10は、他の部材との干渉を避けるための保護チューブ12内に入れられており、この保護チューブ12は保持部材13で上記シャーシ6に取り付けられる。これら線状伝達部材10及び保護チューブ12は、操作部1Aから挿入部1Bを介して先端部1Cまで配設される。
【0004】この先端部1Cでは、図3(C)に示されるように、対物レンズ15、可動レンズ16、プリズム17が配置され、このプリズム17の下側に固体撮像素子であるCCD18が光学的に接続される。上記可動レンズ16の保持部材19は、その上部に雌ネジ部を有し、この雌ネジ部に雄ネジ部を螺合する回転駆動体20が配置され、この回転駆動体20に上記線状伝達部材10が連結される。
【0005】このような構成によれば、上記モータ7の回転は線状伝達部材10により先端部1Cの回転駆動体20へ伝達され、この回転駆動体20の回転運動が保持部材19との螺合結合により直線運動へ変換される。これにより、可動レンズ16は前後移動し、対物光学系で設定される観察距離を変化させることが可能となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記内視鏡における線状伝達部材駆動部の取付けでは、線状伝達部材10が連結されるモータ7の回転軸と保護チューブ12の中心の位置合せ(芯合せ)が比較的困難である。即ち、上記線状伝達部材10は保護チューブ12内で回転するため、両者の中心がずれていると、線状伝達部材10が保護チューブ12の内壁にぶつかることにより、駆動力の伝達効率が低下し、振動が発生する等の不都合が生じる。この場合、モータ7の保持部材8と保護チューブ12の保持部材13とを一体化した保持部材を用いて芯合せすることも考えられるが、この芯合せには高い寸法精度が要求され、形状も複雑となる。
【0007】また、挿入部1Bのアングル部1Dを湾曲動作した際に線状伝達部材10がモータ7側に押し出されると、その回転軸を押圧する方向に力がかかり、その結果、モータ7への負荷が増大する。そのため、線状伝達部材10は湾曲動作により最も押し出された状態で取付けを行い、アングル部1Dが例えば真っ直ぐの状態では常に引張り力が働いた状態として弛みが生じないようにしている。一方、保護チューブ12はアングル部1Dを湾曲動作した際に引っ張られてしまうと、線状伝達部材10との接触抵抗が増大して回転伝達効率の低下を招き、また先端部1Cが所望の動作方向からずれて傾く、いわゆる首曲りを引き起こす。これを防止するために、上記の保護チューブ12は図3(C)のEに示されるように、その長さを外装体よりも少し長くして押し込むような形で配置する。従って、保護チューブ12の取付けではこの押込み量を調整する必要がある。
【0008】しかし、図3の構成では、この線状伝達部材10の回転軸方向の取付け位置を簡単に調整する手段がなく、仮にこの線状伝達部材10のコイルバネが不必要に伸びた状態で取り付けられた場合は、その伸びにより負荷が常にモータ軸に与えられ、回転駆動力の伝達効率が低下することにもなる。従って、この線状伝達部材10は回転軸方向において駆動力が良好に伝わる位置に配置する必要がある。
【0009】本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、モータの回転軸と保護チューブの芯合せ、また線状伝達部材及び保護チューブの回転軸方向での位置決めを容易に行うことができる内視鏡の線状伝達部材駆動部取付け構造を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、内視鏡アングル部を通して配置され、対象物を駆動させるために回転運動する線状伝達部材と、この線状伝達部材が軸接続されるモータと、このモータを保持・固定するモータ保持部材と、上記線状伝達部材を回転可能に内包する保護チューブと、この保護チューブを保持・固定する保護チューブ保持部材とを有する内視鏡において、上記モータ保持部材又は上記保護チューブ保持部材のいずれか一方に、他方の所定面に突き当てて上記モータの回転軸と上記保護チューブの中心の位置合せをするための芯合せ部材を設けたことを特徴とする。請求項2に係る発明は、上記線状伝達部材の端部位置を上記回転軸方向へずらすための軸方向調整手段と、上記保護チューブ保持部材の端部位置を上記回転軸方向へずらすための軸方向調整手段とを設けたことを特徴とする。
【0011】上記の構成によれば、例えば保護チューブ保持部材に設けられた芯合せ(軸合せ)部材をモータ保持部材の所定面に突き当てれば、保護チューブの中心がモータの回転軸に一致し、その結果、保護チューブと線状伝達部材の芯合せ(この線状伝達部材はモータ軸に接続されるので)が容易に行われることになる。また、線状伝達部材の軸方向調整手段、保護チューブの軸方向調整手段を設けた場合は、これらのそれぞれの回転軸方向の位置調整、即ち線状伝達部材(例えば多重コイルバネ)の伸縮状態を考慮した位置決め、保護チューブは押込み量を考慮した位置調整が容易となる。
【0012】
【発明の実施の形態】図1には、実施形態の第1例に係る内視鏡の線状伝達部材駆動部取付け構造が示されており、これは内視鏡操作部に配置されるモータ側駆動部である。図1(A),(B)において、シャーシ22は2枚の板を重ねてなり、操作部内の中央に配置されており、このシャーシ22に保護チューブ保持部材24とモータ保持部材25が取り付けられる。
【0013】内視鏡で線状伝達部材10を用いる場合は、他の部材との干渉を避けて線状伝達部材10の回転動作を確保するために保護チューブ26を用いており、上記保護チューブ保持部材24は、この保護チューブ26の端部を円管部に嵌合させて保持すると共に、底面にはモータ保持部材25側へ延出する板状の芯合せ部材27(位置合せ部材)を設けている。この芯合せ部材27には、端部を下側へ90度に曲げて、上記モータ保持部材25の対向面(25A)に突き当てる突き当て面27Aが設けられ、この突き当て面27Aは線状伝達部材10(又はモータ30)の回転軸に直交するように形成される。
【0014】また、この保護チューブ保持部材24の左右位置には、回転軸方向100に長い長孔28A,28Bが設けられ、この長孔28A,28Bに挿入したネジ29A,29Bにより当該保持部材24がシャーシ22に固定される。従って、この長孔28A,28Bによって、上記保護チューブ26は回転軸方向100の位置調整が可能となる。
【0015】一方、上記モータ保持部材25は、モータ30を防振ゴム31を介して保持しており、モータ電源線32を保護するためにシール材33が上記モータ30の端部に取り付けられる。このモータ保持部材25では、上記芯合せ部材27が当接する面25Aが回転軸に直交する平面とされ、この面25Aに芯合せ部材27の突き当て面27Aが突き当てられたとき、モータ軸(30H)中心と上記保護チューブ26の中心が一致する(又は平行状態になる)ことになる。
【0016】また、このモータ保持部材25の左右位置にも、回転軸方向100に長い長孔35A〜35Dが設けられ、この長孔35A〜35Dに挿入したネジ29により当該保持部材25がシャーシ22に固定される。従って、この長孔35A〜35Dによって、モータ保持部材25は回転軸方向100へ移動できることになる。
【0017】そして、上記のモータ30と線状伝達部材10は軸接続具35で接続される。即ち、線状伝達部材10の端部に回転軸36Hを有するスリーブ36が取り付けられており、この回転軸36Hと上記モータ30の回転軸30Hが軸接続具35の中心孔に嵌入され、それぞれがネジ37で固定される。
【0018】第1例は以上の構成からなり、このモータ側駆動部の組付けは、例えば保護チューブ保持部材24を長孔28(A,B)を介して回転軸方向100へ移動させて、保護チューブ26の所定の押込み量が調整され、この設定の後、この保持部材24はネジ29でシャーシ22に固定される。その後、線状伝達部材10の回転軸36Hとモータ30のモータ軸30Hが軸接続具35で接続固定される。次に、上記保護チューブ保持部材24の芯合せ部材27の突き当て面27Aにモータ保持部材25の面25Aが突き当たるように、長孔35(A〜D)を利用して当該モータ保持部材25を回転軸方向100へ動かし、線状伝達部材10が少し引っ張られる状態となる所定位置でこのモータ保持部材25をネジ29でシャーシ22に固定する。
【0019】このとき、線状伝達部材10の回転軸方向100の位置は、上記軸連結具35において回転軸36Hとモータ軸30Hの取付け位置を変えるによって、ある程度調整することが可能である。この調整幅は、軸連結具35、回転軸36H、モータ軸30Hのそれぞれの長さを予め設定することにより、大きくすることができる。
【0020】上記の芯合せ部材27によれば、線状伝達部材10の回転軸36Hと保護チューブ26の中心を容易に一致させることができ、また上記両保持部材24,25を回転軸方向100へずらすことができるので、回転軸方向(内視鏡軸方向)100での線状伝達部材10の伸縮状態を考慮した位置、保護チューブ26の押込み量を考慮した位置の調整を容易に行うことができる。
【0021】更に、上記実施形態例では、芯合せ部材27がモータ保持部材25に突き当てられることにより、両者が一体的に固定された状態となるので、保護チューブ保持部材24がシャーシ22上で回転するということに関して強固となる。この芯合せ部材27がない場合の保護チューブ保持部材24の固定で、確実性を考えると左右2個ずつのネジ固定が好ましいが、当該第1例では芯合せ部材27による一体的な固定によって、左右1個のネジ止めで保護チューブ保持部材24を固定できるという利点がある。
【0022】図2には、実施形態の第2例の構成が示されており、この第2例は、保護チューブ保持部材と芯合せ部材を分離させたものである。図2に示されるように、芯合せ部材39は保護チューブ保持部材40とは別体とされ、この芯合せ部材39に長孔41A,41B、他方の保護チューブ保持部材40にも長孔42A,42B(41B,42Bは反対側にあり図示していない)が形成される。そして、この二つの長孔41A,42Aを通して保護チューブ保持部材40を固定するためのネジ43が設けられる。その他の構成は、第1例と同様となる。
【0023】このような第2例によれば、保護チューブ保持部材40が芯合せ部材39とは別に動くので、モータ保持部材25を介して取り付けられた線状伝達部材10と保護チューブ26との間の位置関係を第1例よりも自由に設定、調整することが可能となる。
【0024】上記実施形態例では、芯合せ部材27,39を保護チューブ保持部材24,40側に配置したが、この芯合せ部材はモータ保持部材25側に配置することもできる。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、線状伝達部材を用いて例えば観察距離を変えるための可動レンズを駆動する内視鏡で、モータの保持部材又は線状伝達部材保護チューブの保持部材のいずれか一方に、他方の所定面に突き当ててモータの回転軸と保護チューブの中心の位置合せをするための芯合せ部材を設けたので、モータの回転軸と保護チューブの芯合せ、そして保護チューブと線状伝達部材の芯合せが容易となり、モータ側駆動部の組付け時間の短縮化が可能となる。しかも、線状伝達部材の回転軸と保護チューブの中心位置のずれが生じないので、駆動力の伝達効率の低下や振動の発生等を防止することができる。
【0026】また、請求項2に係る発明によれば、上記線状伝達部材の軸方向調整手段と上記保護チューブ保持部材の軸方向調整手段を設けたので、これら線状伝達部材及び保護チューブの回転軸方向の位置決めが容易になるという利点がある。そして、線状伝達部材の場合には伸縮状態を考慮した位置決めにより、回転駆動力の伝達効率も良好に維持できることになる。
【出願人】 【識別番号】000005430
【氏名又は名称】富士写真光機株式会社
【出願日】 平成11年9月22日(1999.9.22)
【代理人】 【識別番号】100098372
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 保人
【公開番号】 特開2001−87220(P2001−87220A)
【公開日】 平成13年4月3日(2001.4.3)
【出願番号】 特願平11−269575