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【発明の名称】 電気掃除機
【発明者】 【氏名】津永 久夫

【氏名】広瀬 徹

【氏名】香山 博之

【氏名】菊川 智之

【要約】 【課題】低消費電力でも高集塵性能を発揮する低出力モードと、さらに高い集塵性能を有する電気掃除機を提供することを目的とする。

【解決手段】吸込具本体1の前後進に応じて空気通路22a、22bの通路面積または通路抵抗を可変せしめ、進行逆方向側からの吸引空気を低減せしめると共に、高出力モードと低出力モードとの複数の出力モードを備えた電動送風機を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 底面に吸込口を有し、前記吸込口の前後方向に吸込具底面と床面との間に空気通路が形成される吸込具と、前記吸込口に連通し、高出力モードと低出力モードとの複数の出力モードを備えた電動送風機を収容する掃除機本体とを備え、前記吸込具の前後進に応じて前記吸込口の前方または後方の空気通路の通路断面積または通路抵抗を可変させ、吸込具の進行方向と反対側の空気通路を遮断するか、または進行方向側の空気通路に比べ、前記吸込具の進行方向と反対側の空気通路の通路断面積を小さくまたは通路抵抗を大きくなるようにした電気掃除機。
【請求項2】 底面に吸込口を有し、前記吸込口の前後方向に吸込具底面と床面との間に空気通路が形成される吸込具と、前記吸込口に連通し、高出力モードと低出力モードとの複数の出力モードを備えた電動送風機を収容する掃除機本体とを備え、吸込口後方の空気通路の通路断面積または通路抵抗を可変させ、吸込具前進時には前記吸込口後方の空気通路を遮断するか、または前方の空気通路に比べ、通路断面積を小さくまたは通路抵抗を大きく形成し、前記吸込具後進時には前記吸込口後方の空気通路を、前記前進時に比べ、通路断面積を大きくまたは通路抵抗を小さく形成した電気掃除機。
【請求項3】 電動送風機への印加電圧を低出力モードにおいては、交流実効値電圧で掃除機本体への電源電圧または家庭等における電源電圧の60%未満とした請求項1または2に記載の電気掃除機。
【請求項4】 電動送風機の消費電力を低出力モードにおいては500W未満とした請求項1から3のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項5】 運転開始時には、低出力モードで運転が開始され、スイッチ操作により高出力モードに切り替わる請求項1から4のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般家庭等で使用される電気掃除機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図8に従来の電気掃除機で使用される吸込具の例を示し、図9に前記吸込具における動作状態を示す。
【0003】図8において、1は吸込具本体で、底面には吸込口2を有し、前記吸込口2の前後には吸込具本体1の底面と床面21とにより空気通路22a、22bが形成されている。この空気通路22a、22bは吸込具本体1の前後方向に設けた吸込具移動用の車輪5a、5bにより床面より吸込具本体1の底面が浮いた状態になることにより形成されている。また、吸込具本体1の後方には吸込口2と連通する接続管6が設けられており、この接続管6は、図示されていないが吸込具取付管、ホースを介して掃除機本体に接続され、掃除機本体内に設けられた電動送風機の吸引力が作用するようになっている。前記電動送風機の吸引力により、吸込口2前後の空気は空気通路22a、22bを通って吸込口2へ吸引され、床面上のゴミは前記吸引空気と共に吸込口2内部へ吸引される。なお、吸込口2内には回転ブラシを設け、床面が絨毯の場合には回転ブラシを回転させてゴミを掻き出すようにしているものもあるが、本発明の内容とは直接の関係は無いので、回転ブラシは省略する。
【0004】図9に従来の吸込具における動作状態を示す。図9は吸込具前進時について示したものであるが、後進時についても同様である。図9に示すとおり、従来の吸込具においては、前進時も後進時も、吸込口2の前方の空気通路22aを通して風量Q1が吸引され、後方の空気通路22bを通して風量Q2が吸引され、全風量Q1+Q2の状態で使用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記従来例に示す電気掃除機の吸込具にあっては、吸込具の前後進にかかわらず常に吸込口2の前方、後方の空気通路22a、22bより同じように空気を吸い込んでいる。
【0006】しかしながら、実際の掃除作業において、吸込具前進時は吸込具の前方にあるゴミを捕集しようとする動作であり、吸込具進行逆方向側からの吸引空気はゴミの捕集にあまり寄与していない。
【0007】すなわち、前記従来例に示す吸込具においては、電動送風機はゴミの捕集にあまり寄与していない空気まで吸引しており、その結果、電動送風機の消費電力は大きくなっており、現在、消費電力1,000W前後のものが主流となっている。
【0008】電気掃除機の消費電力の大部分は前記電動送風機によるものであり、消費電力の低減が望まれているが、消費電力すなわち入力を下げると、電動送風機の吸引力が低下し、集塵能力が低下するという課題を有していた。
【0009】本発明は上記課題に鑑み、集塵能力を低下させることなく消費電力を低減させた電気掃除機を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明は、吸込口の前後方向に吸込具底面と床面との間に空気通路を形成する吸込具と、前記吸込口に吸引力を作用させる電動送風機とを備え、前記吸込具の前後進に応じて前記吸込口の前方または後方の空気通路の通路断面積または通路抵抗を可変し、吸込具の進行方向側からの吸引空気量は増減させず、進行逆方向からの吸引空気量を低減させ、かつ、前記電動送風機の出力モードとして高出力と低出力との複数の出力モードを設けたものである。
【0011】上記構成により、集塵能力を低下させることなく、電動送風機すなわち電気掃除機の消費電力を低減させることができると共に、低消費電力でも高い集塵能力を有する低出力モードと、前記低出力モードよりさらに高い集塵能力を有する高出力モードとを有する電気掃除機とすることが出来る。
【0012】すなわち、電動送風機の吸引力を利用した電気掃除機において、ゴミは吸引される空気によって吸込口に吸い込まれる。一方、実際の掃除作業において、吸込具前進時は吸込具前方にあるゴミを吸引しようとする作業であり、吸込口後方は、吸込口が通過しゴミを吸引した直後なので、基本的にゴミは存在していない。したがって、吸込口前方からの吸引空気はゴミの吸引に対して有効に働いているが、後方からの吸引空気は有効に働いていない。(吸込具後進時は吸込具後方にあるゴミを吸引しようとする作業となり、前進時と前後逆の動作となる。)一方、電動送風機に対する負荷すなわち仕事量は、吸引空気量とホースなどを含めた掃除機全体における空気圧力損失との積で表され、吸引空気量を低減することは、電動送風機の仕事量を減らし、消費電力を低減せしむる。なお、吸引空気量を減ずると前記掃除機全体における空気圧力損失も減じ、双方の減少効果により消費電力は大きく低減される。
【0013】したがって、吸込口前方からの吸引空気量は低減させず、後方からの吸引空気量を低減させることにより、集塵能力を低下させることなく、電動送風機すなわち電気掃除機の消費電力を低減させることができ、電動送風機出力が低出力モードにおいて、低消費電力でも高い集塵能力を発揮させることができる。また、電動送風機出力を高出力モードとすると、さらに高い集塵能力を発揮させることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】請求項1に記載の発明は、吸込具底面に吸込口を有し、前記吸込口の前後方向に吸込具底面と床面との間に空気通路が形成される吸込具と、前記吸込口に連通する電動送風機を収容する掃除機本体とを備え、前記吸込具の前後進に応じて前記吸込口の前方または後方の空気通路の通路断面積または通路抵抗を可変させ、吸込具の進行方向と反対側の空気通路を遮断するか、または進行方向側の空気通路に比べ、前記吸込具の進行方向と反対側の空気通路の通路断面積を小さくまたは通路抵抗を大きくなるようにし、かつ、前記電動送風機の出力モードとして高低複数の出力モードを設けたもので、上記構成により、吸込具の前進時には吸込口後方の空気通路を流れる風量を無くすもしくは小さくし、一方、吸込具の後進時には吸込口前方の空気通路を流れる風量を無くすもしくは小さくし、ゴミの捕集に関係のない風量を抑制して電動送風機での消費電力を低減し、低消費電力でも高い集塵能力を有する低出力モードと、前記集塵能力よりさらに高い集塵能力を有する高出力モードとを有する電気掃除機を得ることができる。
【0015】請求項2に記載の発明は、吸込口後方の空気通路の通路面積または通路抵抗を可変させ、吸込具前進時には前記吸込口後方の空気通路を遮断するか、または前方の空気通路に比べ、通路断面積を小さくまたは通路抵抗を大きく形成し、吸込具後進時には前記吸込口後方の空気通路を、前記前進時に比べ、通路断面積を大きくまたは通路抵抗を小さく形成し、かつ、前記電動送風機の出力モードとして高低複数の出力モードを設けたもので、上記構成により、吸込具前進時には吸込口後方からの吸引空気を低減し、実質的なゴミの吸引効果を損なうことなく消費電力を下げることができる。吸込具の後進時には吸込口後方からも空気を吸引し、吸込口後方からゴミを押すことなく吸引すると共に、前記請求項1と同様に、低消費電力でも高い集塵能力を有する低出力モードと、前記集塵能力よりさらに高い集塵能力を有する高出力モードとを有する電気掃除機を得ることができる。
【0016】請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の電気掃除機において、低出力モードにおける電動送風機への印加電圧を、交流実効値電圧で掃除機本体への電源電圧または家庭等における電源電圧の60%未満としたものである。
【0017】請求項1または2に記載の電気掃除機においては、従来の電気掃除機に比べて電動送風機への印加電圧を低く設定することができ、電動送風機への入力電圧がAC60V未満であっても入力電圧AC100Vに相当する集塵性能を得ることが可能なので、低出力モードにおいて電動送風機入力電圧を電源電圧の60%未満として、低入力、高集塵性能の電気掃除機を得る。
【0018】請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気掃除機において、低出力モードにおける電動送風機の消費電力を500W未満としたものである。
【0019】請求項1〜3に記載の電気掃除機においては、従来の電気掃除機に比べて電動送風機の消費電力を下げることができ、従来1,000W前後消費されていた電動送風機の消費電力を、従来と同等の集塵性能を確保しながら500W未満とすることができるので、低出力モードにおいて、電動送風機消費電力を500W未満として、低入力、高集塵性能の電気掃除機を得る。
【0020】請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気掃除機において、運転開始時には、低出力モードで運転が開始され、スイッチ操作により高出力モードに切り替わり、高出力モードでの使用は前記運転開始後、別途操作を必要とするように構成したもので、前記構成によれば、使用者が意識しなくても低出力モードが主たる操作モードとなり、高出力モードは、使用者の特別な意識の下で使用されるモードとなる。本発明による電気掃除機はすでに述べたとおり、低出力モードにおいて、低入力でも高集塵性能を発揮するため、通常は低出力モードでの使用で充分であるので、それに合致したモード選択のし易い電気掃除機となる。
【0021】
【実施例】以下、本発明の各実施例を図面とともに説明する。
【0022】(実施例1)図1〜図5を用いて第1の実施例について説明する。
【0023】図1は第1の実施例を示す吸込具の側面断面図で、(a)は吸込具前進時、(b)は吸込具後進時を示す。図2は図1の吸込具を底面より見た図である。また、図3は図1の吸込具を使用した電気掃除機の例を示す全体構成図で、図4は図1の吸込具における動作状態説明図で、図5は図1の吸込具を使用した場合の電気掃除機全体の動作状態を説明するための説明図である。
【0024】図1〜図3において、1は吸込具本体で、その吸込具本体1の底面の略中央部には横長の開口を有する吸込口2を設けている。吸込口2の周囲(前後左右)には吸込具本体1の底面と床面21とにより吸込口2へ吸引される空気の通路が形成されており、少なくとも吸込口2の前方および後方には空気通路22a、22bが形成される。
【0025】3a、3bは可撓性を有する遮蔽板であり、吸込口2の前後において全幅にわたる長さを有し、アクチュエータ4a、4bにより上下動可能に構成されており、吸込具前進時(a)においては、吸込口2の前方の遮蔽板3aは上昇位置に、吸込口2の後方の遮蔽板3bは下降位置に位置し、後進時(b)においては前記前進時と逆の位置に位置する。アクチュエータ4a、4bはロータリーソレノイド等を用いて回転運動を上下運動に変換して遮蔽板3a、3bを上下動させるものであるが、その他のアクチュエータ、例えば直接上下運動を行えるソレノイド等を用いることも可能である。
【0026】5a、5bは吸込具移動用の車輪で、吸込具本体1の前後に各々一対設けられ、床面と吸込具本体1との間に空気通路22a、22bを形成している。6は接続管で、図3に示すように吸込具取付管10、ホース31を経て、掃除機本体32内の電動送風機34に連通し、電動送風機34の吸引力が吸込具本体1の吸込口2に作用するように構成されている。33はゴミを捕集するゴミ袋で、31aはホース31の取手部である。電動送風機34は高出力モードと低出力モードとの複数の出力モードを有し、取手部31a近辺に設けられた操作スイッチ(図示せず)により選択できるようになっている。
【0027】つぎに上記構成における作用について説明する。図1(a)の吸込具前進時においては、遮蔽板3bにより吸込口2後方の空気通路22bが遮断され、吸込口2後方からの空気の流入が阻止され、吸込口2へは前方の空気通路22aより空気が流入する。同時に吸込口2前方にあるゴミが前記流入空気と共に吸い込まれる。吸込具前進時は基本的に前方のゴミを除去しようとする作業であって、後方からの空気の吸込みは不必要である。図に示した吸込具は前方からの空気流入量を減少させることなく、したがって前方からのゴミに対する吸引能力すなわち集塵性能は低下させることなく掃除機本体の電動送風機の吸引風量を下げることができる。図1(b)の吸込具後進時においては吸込具後方のゴミを除去しようとする作業であり、前記前進時(a)と前後逆の動作となる。
【0028】一方、電気掃除機における消費電力の大部分は電動送風機32によるものであるが、前記電動送風機32の仕事量は吸引風量とホース31などを含めた掃除機全体における圧力損失との積で表され、吸引風量を少なくすることは仕事量を減らすことになり、消費電力を下げる結果を生む。なお、吸引風量を少なくすると前記圧力損失も減少し、双方の減少効果により消費電力は大きく低下する。
【0029】図4に本発明による吸込具(図1)における動作状態を説明する説明図を示し、図9に従来の吸込具(図8)における動作状態説明図を示す。図4、図9は前進時について説明したものであるが、後進時も同様である。
【0030】図9において、従来の吸込具においては、前進時、吸込口2の前方より風量Q1が吸引され後方より風量Q2が吸引され、吸引全風量はQ1+Q2となる。この時、ホースなどを含めた電気掃除機の全通路における圧力損失は前記全風量Q1+Q2によってもたらされ、H1となる。また、吸込口2内の圧力(負圧)は、主として空気通路22a、22bを流れる風量Q1、Q2による圧力損失によってもたらされ、P1となる。
【0031】上記従来例(図9)に対して本発明(図4)においては、その前進時、吸込口2の前方より風量Q1が吸引され、後方からは遮蔽板3bにより空気が吸引されず、全風量はQ1となる。ホースなどを含めた全通路における圧力損失は全風量Q1によりH2となるが、従来例(図9)に比べて、Q1<Q1+Q2のためH2<H1となる。
【0032】電動送風機に対する負荷は風量と全通路における圧力損失の積で表され、従来例(図9)における負荷は(Q1+Q2)*H1であり、本発明(図4)における負荷はQ1*H2であり、H2<H1であるので、従来例(図9)に比べて本発明(図4)においては電動送風機の入力を下げることができる。なお、従来例(図9)のように空気通路22a、22bの通路抵抗がほぼ等しい吸込具においては、Q1とQ2はほぼ等しく、電動送風機の負荷は約2Q1*H1となっている。
【0033】また、本発明(図4)における吸込口2内の圧力(負圧)P2は、主として空気通路22aを流れる風量Q1による圧力損失によってもたらされるが、これは従来例(図9)における空気通路22aにおける圧力損失と同等であるため、P2はP1にほぼ等しい。前記吸込口2内の圧力P2が小さくなると、床面深部に潜むゴミに対する集塵力が低下し、圧力P2が大きくなると、吸込具が床面に吸い付けられて吸込具の移動操作が重くなるものであるが、前記のとおり、従来例(図9)における圧力P1とほぼ同等であるため、集塵力の低下は無く、また、吸込具の移動操作が重くなることもない。
【0034】実際には、本発明(図4)において、吸込口2の側方から流入する吸引空気が存在するため、全風量が従来例(図9)の約60%で吸込口内圧P2が従来例の内圧P1にほぼ等しくなり、従来例とほぼ同等の集塵力が得られた。また同じく本発明(図4)において、全風量を従来例(図9)の約80%にすると、従来例を上回る集塵力が得られたが、吸込口内圧P2が増大し、吸込具が床面に吸い付いて移動操作が重くなり、使用しづらいものとなった。上記において、電動送風機の入力電圧と消費電力は、従来例(図9)において、入力電圧がAC100V、消費電力が約1,000Wであったものが、本発明(図4)において、全風量が従来例の約60%の時、入力電圧が約40V、消費電力が約240Wとなり、全風量が従来例の約80%の時、入力電圧が約60V、消費電力が約500Wとなった。
【0035】また、上記のように電動送風機の入力電圧を下げて運転した場合、掃除機としての騒音値を下げることができ、一例として、電動送風機の入力電圧100Vのとき掃除機の騒音値が61dBであったものが、60Vのとき58dBとなり、40Vのとき52dBとなった。
【0036】図5は図4、図9の吸込具に対する電気掃除機全体の動作状態を説明する説明図である。
【0037】図5において、曲線Aは従来例(図9)の吸込具使用時におけるホースなどを含めた掃除機の全通路における風量Qと圧力損失Hとの関係を表すQ−H曲線で、曲線Bは同様に、本発明(図4)の吸込具使用時における掃除機全通路のQ−H曲線である。吸込具における通路抵抗は、ホースなどを含めた全通路抵抗に比べて比較的小さく、曲線Aと曲線Bは比較的接近している。一方、曲線E、F、Gはそれぞれ、一定の入力電圧の下での電動送風機の風量Qと吸引圧力Hとの関係を表すQ−H曲線であり、曲線Eは従来の電気掃除機における電動送風機のQ−H曲線を表し、曲線F、Gは本発明における電動送風機のQ−H曲線を表し、曲線Fは低出力モード時を、曲線Gは高出力モード時を表す。
【0038】今、従来例(図9)において全風量Q1+Q2が得られる時、図5において電動送風機のQ−H曲線Eは曲線A上の点C(風量Q1+Q2、全通路の圧力損失H1)を通る。また、本発明(図4)において全風量Q1が得られる時、図5において電動送風機のQ−H曲線Fは曲線B上の点D(風量Q1、全通路の圧力損失H2)を通る。一例として、曲線Eを与える電動送風機の入力電圧がAC100Vで、点Cにおける消費電力が1,000Wで、Q1+Q2=2.0m3/minなる電気掃除機に対して、Q1=1.2m3/minすなわち前記Q1+Q2の60%の点Dを通る曲線Fを与える電動送風機の入力電圧はAC約40Vで消費電力は約240Wとなる。したがって、低出力モード(動作点D)時には消費電力240Wで、従来(動作点C)の1,000W相当の集塵性能を発揮させることができ、高出力モード(動作点J)時には消費電力240W以上1,000W以下で、従来(動作点C)の1,000W相当以上の集塵性能を得ることができる。
【0039】(実施例2)図6に本発明の第2の実施例を示す。前記第1の実施例と同一構成部品には同一符号を付し、その説明を省略する。図において、3bは可撓性を有する遮蔽板で、吸込具前進時(a)においては前記遮蔽板3bは下降した位置にあり、吸込口2後方の空気通路22bを遮断し後方からの空気の流入を阻止し、消費電力を下げることができる。
【0040】後進時(b)においては遮蔽板3bは上昇した位置にあり、吸込口2前方、後方の双方から空気が流入する状態となる。ここで、電気掃除機の風量は電動送風機の運転状態と掃除機全体の通路抵抗とによって決定されていて、全体の通路抵抗に比べると吸込具における通路抵抗は小さい(床面により異なるが、全体の通路抵抗の10%前後である)ため、電動送風機の運転状態が前記前進時(a)の状態で設定されていれば、後進時(b)における風量は前進時(a)とほぼ同量であって、前方と後方に分散される。この場合には、消費電力は下がるが、後方からの空気流入量は減少するのでゴミに対する吸引能力は低下する。しかしながら、吸込具は前進操作での作業の方が主たる動作なので本実施例でも実用的な価値を有する。
【0041】実施例1と同様、電動送風機34は高低複数の出力モードすなわち低入力でも高集塵性能が得られる低出力モードと、さらに高い集塵性能を発揮する高出力モードを有する。
【0042】本実施例によれば、後方の空気通路22b側にだけ遮蔽板3bを設けるのみでよいので、前後とも遮蔽板を設けるものに比べ構造が簡単である。
【0043】その他の動作、作用については前記第1の実施例と同様であるので説明を省略する。
【0044】(実施例3)図7は本発明の第3の実施例を示す電気掃除機の操作スイッチ部の外観図である。図において、31aはホースの取手部で、その近傍には電動送風機の運転を入り切りする入切スイツチ35と、前記電動送風機の出力を高出力運転する高出力スイッチ36と、前記出力を低出力運転する低出力スイッチ37が設けられている。上記において、入切スイッチ35をONして運転を開始させた時には、電動送風機の出力は低出力モードであり、高出力スイッチ36をONさせない限り高出力にはならない。低出力スイッチ37は前記高出力モードを低出力モードに戻すためのスイッチである。
【0045】上記構成によれば、使用者が意識しなくても低出力モードが主たる操作モードとなり、高出力モードは、使用者の特別な意識の下で使用されるモードとなる。実施例1、2で述べたとおり、本発明における電気掃除機は低出力モードでも高い集塵性能を有するので、通常は低出力モードでの使用で充分であり、低出力モードが選択しやすい電気掃除機を提供するものである。
【0046】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の発明によれば、吸込具の前後進に応じて吸込口の前方または後方の空気通路の通路断面積または通路抵抗を可変させ、吸込具進行方向と逆方向側からの吸引空気を低減させることにより、集塵能力を低下させることなく電動送風機の消費電力を低減せしむると共に、電動送風機出力として高低複数の出力モードを持たせることにより、低消費電力でも高い集塵能力を有する低出力モードと、前記集塵能力よりさらに高い集塵能力を有する高出力モードとを合わせ持った電気掃除機を得ることができる。
【0047】本発明の請求項2記載の発明によれば、吸込口後方の空気通路の通路断面積または通路抵抗を可変させ、吸込具前進時には吸込口後方からの吸引空気を低減することにより、集塵能力を低下させることなく消費電力を低減せしむると共に、電動送風機出力として高低複数の出力モードを持たせることにより、低消費電力でも高い集塵能力を有する低出力モードと、前記集塵能力よりさらに高い集塵能力を有する高出力モードとを合わせ持った電気掃除機を得ることができる。本発明によれば、吸込具底面の空気通路の形状変更が吸込口後方のみでよいので、構造が比較的簡単となる。
【0048】本発明の請求項3記載の発明によれば、請求項1または2に記載の電気掃除機において、低出力モードにおける電動送風機への印加電圧を電源電圧の60%未満とすることにより、低入力、高集塵性能の電気掃除機を得る。
【0049】本発明の請求項4記載の発明によれば、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気掃除機において、低出力モードにおける電動送風機の消費電力を500W未満とすることにより、低入力、高集塵性能の電気掃除機を得る。
【0050】本発明の請求項5記載の発明によれば、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気掃除機において、運転開始時には、常に低出力モードで運転が開始されるようにすることにより、低入力でも高集塵性能を有する低出力モードが選択されやすい電気掃除機を得る。
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成11年11月19日(1999.11.19)
【代理人】 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄 (外2名)
【公開番号】 特開2001−145593(P2001−145593A)
【公開日】 平成13年5月29日(2001.5.29)
【出願番号】 特願平11−329486